りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

2008.12.11
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カテゴリ: 読書
先日、本屋に行ったら海堂尊の「螺鈿迷宮」が目に入った。
人気があるというので買って読んでみた。
(この記事はネタばれあり)



海堂尊は「チーム・バチスタの栄光」で知られるようになった作家だ。
職業柄、医療関係のミステリーを発表している。

今回の舞台は終末医療と解剖について。

桜宮病院は終末医療を専門にしている病院だ。
この病院の内情を調べるべく、東城大医学部の劣等医学生、天馬大吉が潜入する。
ボランティアとしてだ。
数日前に桜宮病院の院長と面談した後、失踪した男を追って。

しかもこの病院では次々と患者が死亡する。
前の日まで元気だった患者たちが、死ぬための3階に移されたとたん。

「チーム・バチスタ」でも登場する厚生労働省の白鳥圭輔も登場する。
今回は、彼の助手も引き連れて。
(東城大病院「不定愁訴外来」の田口も少しだけ登場する)

死亡した場合、日本では2%しか解剖されないという。
大学病院など、先端医療を売りにしている病院ほど、この率は下がる。

だとすれば、遺体に明らかな不審な点がない場合。
死因すら明らかにされない。

加えて、医師がその気になれば死因などどうにでもなる。
解剖は密室で行われ、医師を監督する目が不足しているからだ。

作者の主張はこうだ。
作中でも出てくるオートプシー・イメージング(死亡時画像診断)の実施。

医師は人の命を助けるために努力する。
そのための健康保険も「生きている人のため」の存在している。
死んだ人のために予算を割くことはしない。
となれば、解剖の実施を推進するのは国しかない。
解剖が増えれば、その資料は人を助けるためにも役立つ。

正直に言うと、この作品はミステリーとして稚拙な部分がある。
謎が次々に明らかになっていく様子は、主人公天馬大吉のためにある舞台。
いくら彼には謎の裏側を知る権利があるとはいえ、話が容易に流れすぎる。
それでも現役の医師が医療現場の裏側を教えてくれるのは貴重だ。

追記

作者は「ミステリー作家」だけではなく、以下のようなブルーバックスなども出している。



今後も医療現場からの発言を楽しみにしている。


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最終更新日  2009.01.04 19:33:01


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