公共事業を民間企業にアウトソーシングして競争させるのも役所が説明責任を果たさなくなる問題がある。経済学者のマリアナ・マッツカートの『The Big Con』はコンサル批判の本で、タイトルのConはconfidence trick(信用詐欺)の略とコンサルティングをかけていて、コンサルティングやアウトソーシングに頼るほどやり方がわからなくなって幼稚化させられてしまって、知識の伝達や企業や政治の説明責任を妨げると主張している。公共事業なら住民が開示請求をすれば不正をチェックできるけれど、民間企業にアウトソーシングすると株主でないと内部資料を閲覧できなくなってしまう。例えば都庁のプロジェクションマッピングに対して開示請求をした人がいて電通に48億円で発注したのが判明したけれど、電通の単価は企業の競争にかかわるノウハウとして不開示なので、しょぼいプロジェクションマッピングに対して金額が妥当なのかぼったくりなのか都民が判断できなくて東京都は説明責任を果たしていない。都庁のプロジェクションマッピングを続けたところで観光名所として競争力をもてるようにはならないだろう。
ホワイトハウスの「FACT SHEET: U.S. STRATEGY TOWARD SUB-SAHARAN AFRICA」によると、アメリカと協調して中国やロシアによる有害な活動に対抗する開かれた社会を擁立する方針のようだけれど、その一方でアメリカに規制されたHuaweiはサブサハラアフリカに投資してデジタルスキルを持つ人材を2025年までに10万人育成するLEAPプログラムで12万人育成して前倒しで目標を達成してさらに追加で2027年までに15万人育成するそうで、アフリカでも米中の衝突の芽がある。
アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(共和党系のシンクタンク)のエリザベス・ブローは『Goodbye Globalization: The Return of a Divided World』という本を書いていて、インドはまだ不安定だけれど中国以外の安定している民主主義の国が出てきたらわざわざリスクをとって中国と取引する理由がなくなると言っている。次の大統領選挙でトランプが大統領になったらアメリカファーストの保護主義的な政策をして中国への規制を強めるだろう。