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最近犯罪機会論というのを知ったのだけれど、犯罪学には犯罪機会論と犯罪原因論があって、犯罪機会論は犯罪者に犯罪の機会を与えないことで犯罪を未然に防止しようという考え方で、犯罪原因論は犯罪者の人格や境遇に原因があるとしてそれを取り除くことで犯罪を防止しようという考え方だそうな。犯罪機会論は例えば割れ窓理論で小さな悪を放置しないことで凶悪犯罪が起きにくい雰囲気にしたり、警察官が犯罪が起こる確率が高い所を重点的に回るホットスポット・パトロールをして犯罪者に犯行をあきらめさせるようにしている。人間に原因を求めずに機会に原因を求めてよくないことを防止する機会論という考え方は他の物にも応用できると思うので、徒然なるままに機会論について考えることにした。・無職機会論無職になることを未然に防止することはできないけれど、無職を続けたいと思う人の機会をなくすことで無職が長期化することは防げるかもしれない。ドイツだと市民金(日本の生活保護に相当)の受給者が働けるにもかかわらずジョブセンターの斡旋する就職を断り続けると補助が10%減らされるそうだけれど、低賃金の仕事と市民金の金額がほとんど差がないので10%減額されても市民金を受給する人が多くて、市民受給者の2/3が移民だそうで、働けるのに働かない移民のフリーライダーへの福祉が労働者の負担になっている。受給開始からの時間経過ごとに減額割合を増やして最終的に需給停止にしたり、就労したらすぐに補助を打ち切るのでなくてしばらく補助を受けながら働く方が所得が増えて生活基盤を作りやすくするなりしていけば、働けるのに働こうとせず無職のままでいる機会が少なくなるかもしれない。・ブラック企業機会論サービス残業とかで法律を無視するブラック企業がなかなか淘汰されないのは、労基の権限が弱くて監視の目が届かなくて違法行為が見逃される機会が多いせいかもしれないし、逆に言えば企業に対する監視がつよくなって違法行為をする機会が少なくなればブラック企業は減っていくかもしれない。個人だと履歴書の賞罰欄に刑事事件で有罪判決として確定した罰を書かないと経歴詐称になるけれど、企業も法的人格として疑似的な人格があるのだから、金融商取引法や不正競争防止法や労働安全衛生法とかで刑事罰を受けた場合は企業情報に賞罰を書くことを義務付けたり、社名を変えたときに旧社名を書くことを義務付けて悪い評判があっても検索逃れをさせないようにすれば、法人が組織的に不正をやりにくくなるかもしれない。工場や工事現場では作業の様子を監視カメラで記録して契約書と同様に最低2週間保管することを義務付けたら労災隠しや残業代未払いや労働ビザがない外国人の不法就労が少なくなるかもしれない。・交通事故機会論スピードの出しすぎや危険運転などの交通事故につながる行為をする機会をなくすことで交通事故を防げるようになるだろう。田舎はしばしば見通しがよくて信号がない道路でコリジョンコース現象が起きて相手の車が止まっていると錯覚して交差点で事故が起きるけれど、交差点をラウンドアバウトにしたら手前で減速する必要があるので事故を起こす機会がなくなる。北海道警察は一斗缶を使ったダミーのオービスを作って速度抑止をしていて、費用は本物の移動式オービスが1千万円かかるのに対してダミーは1000円で済んだそうで、費用対効果がよさそうである。ドライブレコーダーが普及してあおり運転をする危険な車をSNSで晒し上げしたり動画を証拠にして警察に通報したりしやすくなって、あおり運転をやろうとする人をあきらめさせてあおり運転が原因の事故を未然に防止できている。将来自動運転が普及して全部の車が機械で制御されれば、ドライバーの運転技術や体調とかの個人差は関係なくなるので、人間が運転するよりも事故が起きにくくなる。・読書離れ機会論最近は電車の中ではみんなスマホをいじってSNSを見たりゲームをしたりしていて本を読んでいる人はほとんど見かけなくて、本を持ち歩いてちょっとした空き時間の暇つぶしに読むという習慣さえなくなっているようである。本屋も経営が厳しくなって町の小さな本屋が廃業していて全国の3割の自治体には書店がなくなっていて、遠くの大きな本屋に行ったりしないといけなくて気軽に本を買いにくくなっている。そこで病院の待合室やバス停や道の駅やサービスエリアとかに本の自動販売機を置いて待ち時間や休憩時間に暇を潰せるようにしたら、本屋が身近にないがゆえに本を読まなくなる状態をなくせると思う。絶版への対策も必要で、もし興味がある本があっても絶版なら古本を探すのも面倒くさいし、絶版本の価格が高騰して買えないこともあるし、図書館に蔵書がある場合でもわざわざ遠くの図書館まで行きたくないので、すぐに手に入らないなら別に読まなくてもいいやと本への興味をなくしてしまう。図書館による電子書籍の貸し出しをやれば興味を持ってすぐに本を借りやすくなって、読書離れを防げるだろう。・恋愛離れ機会論男子校や女子校だと日常生活で異性と会う機会がないので、ふとしたきっかけから仲良くなって恋愛に発展していくようなイベントが起きない。共学でもいったんクラス内の人間関係ができあがると次のクラス替えまでは新しい出会いがなくなる。そこで学園祭や体育祭とかは近隣の学校と合同開催したり、部活で他校と合同練習したりしたら、人間関係が固定される機会を減らして新しい出会いを増やせると思う。企業だと席を固定しないフリーアドレスを導入すれば、普段話をしない人と隣の席になる機会が増えてそこから恋が始まるかもしれない。・病気機会論イタリアのブレシア大学医学部のルイジ・フォンターナ氏の研究チームによると、フライドポテトを週に2-3回食べると死亡リスクが上昇するそうで、トランス脂肪酸による動脈硬化やアクリルアミドの発がんリスクが原因の可能性があるようである。学術誌「ニューロロジー」には超加工食品(インスタント食品や菓子パンや加工肉や清涼飲料水などの乳化剤や保存料を添加して工業的過程によって作られる食品)の摂取が10%増加すると認知機能低下リスクが16%上昇して、未加工食品または最小加工食品を多く食べることは認知機能障害のリスクを12%低下させるという研究を発表した。フランス・パリ第13大学の研究によると超加工食品の割合が10%上昇すると全がんリスクおよび乳がんリスクが10%以上有意に上昇するそうな。こうした揚げ物や加工肉とかの健康に好ましくない食べ物に税金をかけると、小売りの値段が上がって摂取する機会を減らすことにつながって、生活習慣病とかの病気になりにくくできるだろう。例えばイギリスだと砂糖税があるし、イタリアだと加糖ノンアルコール飲料の消費に対する税がある。日本のたばこ税や酒税とかも有害な嗜好品の値段を上げることで摂取を控えさせるようにしている。日本だとやたらと入院を長引かせたりやたらと薬を処方したりする過剰医療が社会保険料の負担の増加につながっているけれど、病気にならないように予防できれば社会保険料の負担も減らせていいことづくめである。場所も機会と関連がありそうで、例えば家の周りや通勤の経路に高カロリーのジャンクフードの店が多い人は健康によくないものを食べる機会が多くなって病気になりやすくなるかもしれない。健康に悪影響がある食品を提供する店を撤去するわけにはいかないけれど、サラダなどの健康的な食事を提供する店よりはジャンクフードを提供する店のほうが不利になるように税制や条例で規制するくらいならできるだろう。たばこの包装に警告表示をするのも機械論的な考え方で、ジャンクフードも同様に広告や包装に健康に悪影響がある旨の警告の表示を義務付ければ買うのを躊躇して食べる機会を減らせるかもしれない。・詐欺機会論こないだ投資詐欺について考えたけれど、金融リテラシーが低い人は自分で投資や詐欺の手口を勉強しようとしなくてほいほい詐欺被害にあっているけれど、詐欺が起きた後で被害者の落ち度を責めたところで詐欺はなくならないので、詐欺師が詐欺をしにくくする仕組みにするほうが詐欺被害を防止しやすいだろう。寸借詐欺のような対面の詐欺に比べて、SNSの投資詐欺やロマンス詐欺や詐欺メールによるフィッシングや詐欺通販サイトはオンラインで完結していて詐欺師が身バレしにくくて逃げやすくて外国人詐欺師がわんさか現れるところに問題がある。前沢勇作がMetaを提訴して自民党にプラットフォーム規制を要望したように、そもそもSNSが詐欺広告を掲載しなきゃいいのに詐欺広告を通報されても放置しているのが詐欺の温床になっている。被害者が詐欺師の偽SNSアカウントや広告を知る機会がなければ詐欺を未然に防止できたはずで、被害が起きてから動く警察のやり方だと被害を防止できなくて被害が増える一方なので、政治の力で規制する必要があるだろう。検索結果の上位に詐欺通販サイトを表示するGoogleとかのプラットフォーマーの責任も追及して詐欺サイトや詐欺広告の表示数に応じて罰金を取るなりすればよい。広告を閉じる×ボタンの表示や大きさを規定して、広告を閉じにくくしたり広告だとわかりにくくしたりするのを違法にするとかでも投資詐欺広告に誘導させにくくする効果があると思う。あるいは広告主の名前の表示義務をつけてクリックしなくても広告主がわかるようにすれば、例えば有名人が投資を呼びかける広告なのに広告主が中国の企業だったらなんかおかしいと気づきやすくなるだろう。スマホやパソコンの機能を制限することでも詐欺対策できて、例えば広告をブロックするアプリやブラウザを使えば詐欺広告が表示されなくなる。・ペット遺棄機会論去年の落し物は過去最多で、落とし物として全国の警察に届けられた動物は2万5535匹で、犬が1万2722匹、猫が4382匹、鳥やカメなどのその他が8431匹だそうな。愛護動物を遺棄した者は動物愛護法違反で1年以下の懲役または100万円以下の罰金になるけれど、遺棄の現行犯逮捕や監視カメラとかの遺棄した証拠が残っていないと捕まえにくくて、目を離したすきにペットが逃げてしまって探していたとかの言い逃れをされたら遺棄したと証明できないので、罰則があったところであまり抑止効果がない。令和4年6月1日からブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫のマイクロチップ装着が義務化されていて、これは遺棄をした際の個人情報を割り出しやすくして遺棄を防止するのに効果的だと思う。しかしこれだけではブリーダーやペットショップから買わずに自家繁殖したり知人から子犬や子猫を譲ってもらったりした場合の遺棄を防げないので、動物病院で受信する際にマイクロチップの有無の確認と新規登録を義務付けて、マイクロチップがない場合は診療しないようにすればさらに遺棄を防ぎやすくなるかもしれない。あるいは新規にペットを飼うまでの手続きを面倒くさくすれば、ペットが欲しくなって衝動買いしたけれどすぐに世話に飽きて1週間で捨てたり虐待死させたりするようなパターンを防いで、面倒な手続きをしてでも本当にペットを飼いたい人だけが大事に飼うようになるかもしれない。・消費控え機械論エコノミストの永濱利廣によると、経済学者ギヴリアーノとスピリンバーゴの2009年の論文では若い頃(18-25歳)の不況経験が価値観に影響を与えることを米国のデータから実証的に明らかにしていて、その価値観はその後年齢を重ねてもほとんど変わらないそうな。クレジットカードでがんがん消費する傾向が強いアメリカ人でさえ若い頃の不況の価値観を生涯引きずるのだから、けちな日本人ならなおさら不況の影響は強いだろう。若い頃に第二次世界大戦を経験した日本人が戦後に地価が上昇して農地を売って金持ちになっても老後が不安で金を使わずに質素な生活をして数千万円のタンス預金を残したまま死ぬのが典型的である。就職氷河期世代以下の年代は若いころから30年間ずっと不況と低賃金と不安定な雇用の中で生計をやりくりしてきたし、政府がPB黒字化目標を掲げている限り給付金や減税の分は結局他の増税や社会保険料の増加で取られて意味ないと賢い国民は理解しているので、1回限りの10万円の定額給付金を配ったり1回限りの4万円の所得減税をするだけでは消費は増えないし、ましてや実質賃金が低下している現状ではなるべく金を使わずに安いものを求めて節約して将来に備えて貯金を増やそうとするデフレマインドの改善は難しい。若いころから豊かな生活をしてきて親のコネと政治団体の資産引き継ぎで金にも仕事にも困らない世襲議員には不況を経験した若者の価値観がわからないので、あまり効果のない経済対策ばかりやるのだろう。そこで単に実質賃金を増やそうとするのでなく、金を使ったら得して金を使わないと損する仕組みにすれば消費控えする機会をなくせる。韓国ではキャッシュレス決済をした人に所得控除をすることによって金を使うようになって、キャッシュレス普及率が96.4%になったそうな。日本だと特定地域で期間限定で使えるプレミアム商品券は現金で買い物するよりも得なので購入者が殺到するように、プレミアムを付けて使用期間を限定すれば期間内に確実に消費する必要があるので消費控えしなくなる。くら寿司で5皿寿司を食べるとガチャの景品がもらえる『ピッくらポン!』のように消費に対して非売品とかで付加価値をつけるやり方も効果的で、4皿食べた人がそこで満足して消費をやめずにせっかくくら寿司に来たのでついでにもう1皿追加で注文したくなるようになる機会が生まれる。インフレでタンス預金の価値が目減りしていくと、金利が低いうちにローンを組んで家や車とかの高額の消費をしたり投資したりして金の価値が目減りする前に使うほうが得するので消費控えする機会をなくせる。それゆえに緩やかなデマンドプルインフレを継続させることが消費と投資のサイクルを回すことになって経済成長につながる。・モンスター機会論本来はサービス提供者と客は対等な関係なのに、デフレ下の消費社会ではお客様は神様だと増長して自分を特別扱いするように要求して、些細なことで尊厳を傷つけられたと激高するモンスターを生み出してしまった。このような欲求が肥大したモンスターは違法ではないけれどサービス提供者のストレスになって社会を害している。中国の信用スコアは窃盗やローン未返済などの行動が信用スコアに影響するので、信用スコアを悪くしたくない人が好ましくない行動をする機会をなくしているけれど、学校の内申点も同様に進学の際の内申点を下げられたくなければ素行を良くする必要があるので、問題行動をしたい衝動にかられた生徒の脳裏に内申点がちらついて問題行動を抑止する効果がある。しかし内申点はあくまで生徒の評価であって親の評価ではないので、親のモンスターペアレント化を防ぐ効果はない。となると親に対するなんらかの評価基準を作ることがモンスターペアレント化を防ぐことになると思う。私立学校では幼稚園や小学校の受験で親の素行もチェックしてモンスターペアレントに育てられた素行が悪い子供が入学する機会を減らしていて、入学後に保護者と教師の争いや保護者同士の争いが起きることを防いでいる。東京都はカスタマーハラスメントの防止条例を制定する方針のようだけれど、違反者への罰則がないのでたいして防止効果はないと思われる。JR西日本グループはカスタマーハラスメントをする客への対応を中止するそうで、これはカスハラ客は自分を特別扱いさせようとしたらかえって不利益を受けるのでそれなりにカスハラ防止効果があるだろう。カスタマーサポートで通話を録音すると告げるのもハラスメント予防に効果的なように、言った言わないの掛け論にならないように交渉事には録音や録画を標準対応にすると、言葉尻を捕らえて相手を屈服させて謝罪や賠償を引き出そうとするモンスタークレーマーへの牽制になるだろう。・傍観者機械論日本財団18歳意識調査で「自分の行動で国や社会を変えられると思う」日本人は46%で、他の先進国よりも若者の主体性が低くて、日本では当事者意識がなくて不平不満を言うだけで選挙にも行かない人が大勢いる。これは主体性を育てない日本の教育の仕方に問題があると言われていて、子供のころからおとなしく授業を聞いて教師に素直に従うことが評価されて、同級生と喧嘩したとかの問題が起きたときに親や教師が口出しして子供自身に問題を解決させようとしなくて、ヘリコプターペアレントが子供に付きまとって口出しして子供が失敗するまえに先回りして助けて子供が失敗から学ぶ機会を奪うので、子供が当事者意識を持たなくて問題は親や教師が解決するものだという傍観者になってしまって、問題解決のために取り組んで自分で考える能力が育たなくなってしまうようである。そういう子供が大人になると自分で問題を解決しようとせずに相手がやってくれないことに対して不満ばかり言って感謝しないモンスターペアレントやモンスタークレーマーになる。事故現場でもスマホを構えて録画するだけの野次馬は多いけれど、率先して救急車を呼んだり救助したりする人は少ない。アメリカの大学では授業で発言することを求められるし、スティーブ・ジョブズは日本に来た時に会議でメモを取るだけで発言しない日本人に対して怒って退場させたそうで、アメリカでは意見を頻繁に聞かれるのでそもそも傍観者になる機会がない。その一方で恥の文化にいる日本人は間違いを恥だと感じるので正解がわからないことや間違っている可能性があることを言おうとしないし、空気を読んで周りと違う意見も言おうとしない。とりあえず自分の意見を表明しないことにはそれが間違っているかどうかの検証も議論もできないのに、何も言わずに周りの様子を見てから付和雷同するのでは課題に取り組む気がないとみなされても仕方がない。失敗や間違いは学習の機会だし、失敗や間違いは恥ずかしいことではなくてむしろ失敗が多いほどいろいろな事に挑戦する意欲があると評価するべきである。学校の授業で主体的に発言したり行動したりするほうが評価されるようになって、教師が生徒にやれと命令せずにどうしたいのか意見を聞いて自分で判断して行動するように促せば、様子見して傍観者になる機会が減って当事者意識を持つようになるだろう。創作では自分で主体的に考えて作らないことには作品は完成しないので、創作をするのも主体性を持つのによい。創作の授業は図工や美術だけとは限らなくて、例えば算数で教科書に書いてある問題で一番早く手を挙げて正解を答えた人を評価するのでなくて、各生徒が数式を創作して隣の人と交換して答えるとかのやり方でもいいわけである。小中学校の日々の授業で創作の機会が増えれば、黙って教師の言うことを聞いているだけの傍観者になりにくくなるだろう。
2024.05.27
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最近はSNSを使った詐欺が急増していて、警視庁によると2024年1月から3月までの3ヶ月間でSNS型投資詐欺の認知件数は1700件、被害額は219億3000万円で、SNS型ロマンス詐欺は認知件数603件、被害総額60億6000万円だそうな。コンビニで大量のギフトカードを買ったり電話しながらATMで入金しようとする人とかも店員に詐欺を疑われて止められても、詐欺師の意見を信じ込んでコンビニ店員や銀行員の制止を素直に聞かない人が大勢いる。このような詐欺の被害者たちはメタ認知能力が低いがゆえに犯罪を誘発して社会の発展を阻害していると思うので、メタ認知と詐欺について考えることにした。●メタ認知とは何かメタ認知とは自分が認知していることを認知することである。メタ認知的知識として自分がどういう人間なのか自分自身について知って、メタ認知的技能としてメタ認知的モニタリングで知覚、情動、記憶、思考などの認知活動を客観的に評価したうえで、メタ認知的コントロールで認知活動を制御することができるようになる。SNSを使った投資詐欺では森永卓郎や池上彰やホリエモンとかの著名人の動画や音声をAIに学習させて本物そっくりの偽SNSアカウントを作っていてこのAIは相手の言葉に合わせて応答もできるので、外見だけでは相手が本物か偽物か見抜きにくくなっている。そこで自分の認知を客観的に認知して検証するメタ認知能力が詐欺に騙されないようにするために重要になってくる。詐欺師のツールとなるAIや詐欺の手法は日々進歩しているので、我々も騙されないように進歩しないといけない。なにか自分にとって都合がよすぎる儲け話が来たときは、もしかしてだけどもしかしてだけどそれってオイラを騙してるんじゃないの、とメタ認知が詐欺に気づくようにすれば詐欺被害を減らせるだろう。●メタ認知能力が弱い人のタイプ・感情的なタイプ感情を制御する脳の前頭前野は成長が遅いので、一般的に子供は感情を制御しにくくて、泣きわめいたり怒って暴れたりする。大人になるにつれて前頭前野が成長して感情を制御できるようになって、誰かに侮辱されて怒っても怒鳴ったり殴ったりせずに証拠を残しておいて後で名誉棄損で訴えようと考えたりして、自分が怒っていることを認知しつつもその怒りをコントロールして適切な行動をとれるようになる。しかし中国の小皇帝みたいに親に叱られずに過保護に育った子供は、親が子供のわがままを通してしまうので衝動をコントロールする訓練をしてこなくて前頭前野が未熟なまま感情的に振舞う大人になって、周囲が思い通りにならないストレスで感情を制御できなくなってキレて暴力的になったりしてしまう。感情的なタイプは好き嫌いの感情で全肯定したり全否定したりしがちで、例えば未婚の女性がSNSで知り合ったイケメン外国人からレストランを開業したいから金を融資してくれと嫌なことを要求されて認知的不協和が起きたとき、不協和を解消するために全肯定して好きな相手の言いなりになってしまって、好きな相手でも嫌な要求は断るという細かい認知の制御ができなくてロマンス詐欺の被害にあう。・権力があるタイプ最近はいなば食品が無知な新卒をだまそうとして説明と実際の待遇が違っていて新卒の大半が入社辞退する事態になって、まともな企業のPRとは思えないような釈明が批判された。ワタミの渡邉美樹も「カンブリア宮殿」で「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです。途中で止めてしまうから無理になるんですよ」と従業員が鼻血を出そうが倒れようが無理やり働かせるやり方を披露して批判された。餃子の王将のブラック研修もテレビに取材させて批判された。ペッパーフードサービスの一瀬邦夫が社員に無意味な点呼をさせたりする様子をテレビに取材させて批判された。こういうワンマン企業の経営者は事業自体はうまくいっているので記憶力や計算力や判断力とかの認知能力は高いのだろうけれど、自分の言動が他人にどう思われて自分の社会的地位にどう影響するのかを理解する社会的メタ認知能力が低いといえる。権力を持って周りをイエスマンで固めて忠言する人がいなくなると社内で全肯定される自己評価と社外の世間からの評価のずれが大きくなって、非常識な言動をしてもどこが問題なのか自分ではわからないようになる。独裁者やワンマン経営者は自分が間違っていようが社内で異を唱える人を怒鳴りつけて従わせたり粛清したりすれば自分が正しいことにできてしまうので、相手に合わせて言動や感情を制御する必要がなくなってメタ認知的コントロール能力が育たなくなるのだろう。コロワイドの蔵人金男会長がM資金詐欺という昭和から何度も繰り返されている古典的詐欺に騙されたように、本来ならまともな判断ができるはずの実業家も詐欺にあう。積水ハウス地面師詐欺事件では社長が稟議承認の前に承認して社長案件扱いされて、承認体制が機能しなくなったことで詐欺が成立してしまった。権力者に従順な権威主義者も権威を妄信して本当にそれでいいのかと疑ったり考えたりすることをやめてしまってメタ認知が働かなくなってしまう。例えば上司が飛行機に乗っていて応答ができないタイミングを見計らって上司を装って部下にオンライン会議のメールを送ってディープフェイクで作ったなりすまし動画で送金を指示する詐欺の手口があるそうで、ターゲットになった部下が権威がある人の言うことだから大丈夫だろうと妄信して新規の送金先について調べたり上司に確認したりすることを怠ると詐欺に騙されてしまう。・自信があるタイプ歯科医院を運営する「ザ・グランシールド」や信用保証会社「トラステール」がコロナ禍で経営難に陥った病院の債務保証として「年利20%の高配当」「5年満期の元本保証」をうたって無登録で出資を募ったとして経営者の中村佳敬や勧誘役ら8人が逮捕されて、1300人の出資を集めて80億円の被害があったそうで、中村容疑者は実際は病院の債務保証をせずに10億円で外車を買ったりキャバクラで豪遊したりしていたそうな。東京新聞の記事だと関東の医師(55)は全資産の9割の約6000万円分の社債を買って、子供の大学進学費用もなくなって、妻に社債購入を相談しなかったので妻との信頼関係も崩れて後悔しているそうな。年利20%で元本保証という異常な利回りを変だと思わないのもおかしいし、一つの商品の全ツッパするのは「卵は一つの籠に盛るな」という投資の格言を無視した異常な資産運用の仕方で、金をケチらずに投資助言業者を雇って相談したり、時間をケチらずに投資の勉強をしてセオリー通りにポートフォリオを組んで株と投資信託と不動産とゴールドと外貨にリスクを分散したりしていれば資産の大半を詐欺で失うことにはならなかっただろう。投資と詐欺について考えるという記事でも考えたけれど、「元本保証」の言葉で安全だと思い込んで思考停止しているんじゃなかろうか。普通はリスクが高い事業ほど出資を集めるのが難しいので利回りが高くなって、例えば楽天モバイルの巨額赤字で資金繰りが苦しい楽天グループのドル建て社債は3年で12.125%でドル債として過去最高の利回りだけれどもし満期になる前に倒産したら元本が返済されないリスクがあるし、国債みたいに満期まで待てば確実に金が増えてリスクがない場合は誰でも投資したがって出資者を集めやすくて利回りが低くなって、例えば個人向け国債の利率は3年満期で0.29%だし、人並みに経済に関心を持っていたら元本を保証しているのに年利20%の超高金利にしないと出資を集められないのはリスクとリターンが矛盾していて怪しいと気づきそうなものだろうに、元本保証で安全だという確証バイアスがいったんできてしまうと自分に不利になる事実は受け入れようとしなくなって危険だと思わずに全ツッパするのだろう。医師は学力は高いけれど、そのぶん異様にプライドが高くて性格に難がある人も多い。医者が高学歴だろうが医学以外の事については素人なのに、自分が優秀な成功者だという自覚があるせいで自分の考えが間違っている可能性を検討せず、偉い先生とおだてられて増長して謙虚に他人の意見を聞くことができなくなってしまうのかもしれない。詐欺師から見たら金持ちで忙しくて金の使い方を知らなくて世間知らずの医師は騙しやすくていいカモだったのだろう。能力が高い人だけでなく能力が低い人も自信満々の場合があって、能力が低い人ほど自分の能力を過大評価する認知バイアスはダニング=クルーガー効果と呼ばれる。経済アナリストの森永康平が偽SNSアカウントの詐欺被害にあった人から話を聞いたら、その人はSNSで有名人になりすまして投資をもちかける詐欺のニュースを知っていて騙される人は馬鹿だと思ったけれど自分だけは特別だと思ったと自分に都合がいいように解釈して騙されたそうな。「自分だけは特別」というのは根拠がない感情的な判断で、自分の感情を判断基準にせずに、金融商品取引業に登録していない人が投資を勧誘したら違法だという事実だけを判断基準にすれば詐欺かどうかを判断できたはずである。高齢男性がマッチングアプリで知り合った相手に結婚や投資を持ちかけられて詐欺被害にあうロマンス詐欺も能力が低いのに自信があるパターンで、社会的メタ認知能力がある人なら老人が若い美女と結婚できるはずがないし言いよって来る奴は詐欺や個人情報の蒐集とかの下心があるはずだと自分の社会的地位を客観視できるだろうに、根拠のない自信がある人は自分に性的魅力があると勘違いしてモテて気分が良くなって相手の言うままに金を渡してしまう。・障害があるタイプ発達障害や精神障害がある人は、こうでなければならないという思い込みが強くて修正できなかったり、共感能力が低くて他人の気持ちがわからなくて社会的認知能力が低かったり、言語化する能力が低くて自分の意見をまとめられなかったりして、認知能力自体に問題があるので認知を認知するメタ認知の働きも弱くなる。あるいは健常者でも高齢になるにつれて老眼や難聴などで五感が衰えたり、前頭前野が衰えて記憶を思い出しにくくて考えがまとまらなくなったりして、認知能力もメタ認知能力も落ちてくる。こうした障害がある人たちは努力して障害を治せるとは限らないし、独力では詐欺を見抜きにくくて騙されやすいので、詐欺被害にあわないように周囲がサポートする必要がある。●メタ認知能力を鍛える方法・エポケーするエポケーとは判断を保留する状態のことで、しばしばカッコに入れると言われる。人間はさまざまな認知のバイアスがあって無意識に間違った認知をして間違った結論や判断に至ってしまうことがあるので、いったん判断を保留することで正しい判断をしやすくなる。例えば著名な経済学者A氏とSNSが炎上した個人投資家B氏が討論番組で投資について異なることを言っている場合、ハロー効果でA氏はすごい経歴と業績があるのだから正しいに違いないと過大評価されがちで、B氏はスキャンダルがあるから間違っているに違いないと過小評価されがちだし、二項対立の選択肢を提示されるとどちらかが正しくてどちらかが間違っていると思いがちでA氏とB氏が両方とも間違っている可能性に気付きにくくなる。このときに片方が正しくてもう一方を間違っていると直感的に判断せずに、(A氏はこう主張している)(B氏はこう主張している)とカッコに入れてひとまず脇に置いて、データが間違っていないか、他のデータはないのか、データは正しくても解釈が間違っていないか、データと解釈は正しくてもロジックが間違っていないか、討論番組の参加者に選択バイアスがあるかもしれないしA氏とB氏以外の人はどういう主張なのか、とひとつづつ検証していけば、A氏とB氏の主張の正しい部分と間違っている部分が明らかになっていって認知バイアスの影響をなくして客観的に判断できるようになる。他人の意見だけでなくて自分の思考もエポケーできる。(羽振りがいいN氏に元本保証で年利20%の投資を持ちかけられたけれど、これは儲かるので投資するべきだと私は考えている)という認知をエポケーしてカッコに入れていったん脇に置くと、儲けたいという欲やN氏の主張から離れて投資に対する自分の認知を客観視できるようになる。そもそも資産運用とは何なのか、なぜ仕事をして収入を得るだけではだめで投資する必要があるのか、資産運用にはどういうものがあるのか、と冷静に投資に対する自分の認知を検証していけば、そもそも収入と預金で余生を十分に過ごせそうなのでわざわざリスクを取って投資する必要はないとか、今は子供の学費を確保することを優先して子供が大学を卒業してから今の家を売って夫婦で小さい家に引っ越して残った金で老後の生き方を考えればいいとかの投資する以外の考え方にも気付けるようになる。詐欺師はまくしたてるように話してその場で契約や振り込みを迫って相手に考える時間を与えないようにして論理の飛躍や根拠不足を相手に気付かせないようにしているので、いったん判断を保留するのは詐欺被害防止には有効な手段になる。・情報と感情を切り離す訓練をする情報自体には感情がないけれど、感情が思考を鈍らせて判断を間違えさせる。これは投資の判断としては致命的なので、投資詐欺で騙されないようにするには少額で株取引をして損したり儲かったりするのを繰り返して感情の変化に慣れておくことが情報と感情を切り離す良い訓練になると思う。例えば株価が下がったというのは単なる情報だけれど、含み損を抱えて悲しいという感情を持ってしまうと、株価の変動に自分の感情は関係ないはずなのに負の感情を解消しようとして慌てて損切りしたりして判断を間違えやすくなる。損得で自分の感情がどれくらい揺れ動くのかという自分自身の特徴についてメタ認知知識を得たうえで、メタ認知的モニタリングをして判断する前に不足している情報を補足してなんで株価が下がったのか、将来の業績見通しはどうなのかを分析して、メタ認知的コントロールをして情報から感情を切り離して感情が判断に影響しないようにすれば、一時的な感情に左右されずに客観的で合理的な判断ができる。少額の投資の経験さえ不十分なのにいきなり資産の大半をぶっこむような投資をしてはいけない。他人から投資を持ちかけられたときは金持ちや有名人や美男美女が自分を特別視して声をかけてくれてうれしいという感情をいったん切り離して、誰が何の事業をしようとしているのかという情報だけを判断基準にすれば投資詐欺を見抜けるだろう。・長い文章を書く人間のワーキングメモリーは個人差があるにしても、複雑なことを一挙に考えることはできない。しかし文章を書くことでちょっとづつ自分の思考を可視化していって客観視できるようになって、根拠を集めて論理を組み立てて複雑な思考ができるようになる。特に小説を読んで記憶を頼りにして感想を書くのは自分が認知したことを認知する訓練としてはうってつけである。「おもしろかった」「つまらなかった」と一語で感想を終わらせずに、自分が何を面白いと感じたのかという認知を掘り下げていくとメタ認知能力が鍛えられていく。私は自分の考えを言語化してしゃべったり文章を書いたりするのが苦手な子供で、大学のレポートを原稿用紙10枚分書くのも苦労していたけれど、ブログを書くようになってからたいていの物事について4000字から8000字程度の文章を書けるようになったので、継続して長い文章を書くことによる前頭前野の能力強化の効果はかなりあると思う。
2024.05.21
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最近は人口戦略会議が子供を産める年代の女性が2050年に半減して全国の市区町村のうち4割超にあたる744自治体が消滅する可能性があるという報告書を発表したことが話題になった。というわけで徒然なるままに自治体の消滅について考えることにした。●自治体の消滅とは何か自治体の消滅と言っても人や土地が物理的に消えてなくなるわけではなくて、市町村合併で新しい自治体が新設されるか、隣接する自治体に編入されることになる。それに伴って役場や学校が集約されて行政が効率的になる反面、公共施設から遠い所に住んでいる人は生活が不便になっていく。田舎について考えるという記事でも考えたけれど、田舎者は偏狭で余所者を受け入れようとしない問題があって、近隣の自治体と張り合ってどの自治体が主導権をとるか、新設する自治体の名前をどうするかで揉めて市町村合併を拒むことがある。地元に愛着があって自治する意欲があるのはよいけれど、全国的に無名な自治体が狭いエリアで低次元ないがみ合いをしても不毛で、日本全体の中でその地域がどういう役割を果たすのかという広い視野でとらえないと産業育成や観光促進も効率が悪いだろう。●なぜ自治体は消滅するのか・政府のせいで衰退する自治体日本の滅亡について考えるという記事でも考えたけれど、地方自治体が衰退するのにはまず政府に問題がある。政府が消費税を導入したあげくに不景気の中で税率を上げたのは明らかな失政だけれど、地方自治体には消費税をなくしたりする権限がなくて独自にとれる経済振興策や少子化対策とかも限られるので、政府が間違った政策をしたら予算が少ない小さな自治体ほど被害を受けて衰退することになる。田舎はもともとは不便で農業や漁業や林業のような一次産業しかなかったけれど、「国土の均衡ある発展」を基調にして高度経済成長期に田舎に高速道路やトンネルや橋や新幹線を作ったりしてインフラが整備されてアクセスが良くなったことで、工場を誘致したり観光客が来たりして二次産業や三次産業が増えて、産業が増えれば移住する人が増えて宅地が開発される好循環になって発展してきた。ところがバブル崩壊後の小泉政権では緊縮財政政策をして道路族議員が悪の権化のように叩かれて、民主党政権では「コンクリートから人へ」のマニュフェストで公共事業を削減してきた。当時はまだ就職氷河期世代が若くて労働力が余っていたのだから、水道管を取り換えるなり建設国債を出して釜山みたいな国際コンテナターミナルを整備するなり全国を新幹線でつなぐなりすればいいし投資先は十分にあったのに、政府が財政支出をしなかったので田舎の仕事がなくなって余った労働力が仕事を求めて都会に向かって飲食店や日雇い派遣とかで低賃金で過当競争して長期間のデフレを引き起こして若者が結婚できなくなったことで少子高齢化して、事業や技術の承継もできなくなって老朽化したインフラの更新もできなくなっている。政府を黒字にしようとして政府支出が減ればそのぶんGDPが減って、投資をしなければ成長しないどころか衰退して当然である。この政府の黒字化を目指すパターンの不況はアメリカが200年前に経験している。アメリカ独立戦争の時に連邦政府が各州の戦争債務を引き受けることにして、それを支持する連邦主義者は債務を経済の燃料にできると主張したものの、反連邦派の中心人物のトーマス・ジェファーソンは借金を国家の恥だと考えて反対して、第7代大統領のアンドリュー・ジャクソンも同様に借金を嫌って歳出法案に拒否権を行使してインフラ拡大プロジェクトを中止して政府の土地を売却して、1835年にアメリカ史上で初めて国債を完済して政府が黒字になったけれど、ジャクソンは政府の財務を扱う第二合衆国銀行が政治的腐敗とインフレを助長するとみなして第二合衆国銀行に再免許を与える法案に拒否権を行使して銀行を破綻させて中央銀行的な銀行がなくなったうえに、政府の土地が大量に売却されて民営化されたことで銀行からの無謀な借り入れが行われて土地バブルが起きて、そのうえ土地売買の増加によるインフレ抑制のために1836年にSpecie Circular(国有地の購入代金は紙幣でなく金か銀の正貨で払うことを定めた大統領令)を出したら紙幣の価値が落ちてジャクソンの意図とは逆にインフレが起きて、1837年に恐慌が起きて土地バブルが崩壊して銀行が破綻して失業率が増加して1840年代後半まで不況が続いた。トーマス・ジェファーソンやアンドリュー・ジャクソンは道徳的に政府の借金をなくそうとして、逆に大勢のアメリカ人を困窮させる非道徳的な悪政をした無能な為政者となった。これに懲りたのか結局は連邦政府が国債を発行してそれ以来アメリカの債務は増え続けているけれど、毎回債務の上限を更新して借り換えをするだけで国債を返そうとはしない。もはや金本位制でないので正貨の金銀の保有量にこだわらずに国債の発行(=自国通貨の発行)をして、増え続ける移民に対して通貨を供給して経済の規模を膨らませ続けている。アメリカ人は失敗の経験から学んで、金の貸し借りを嫌って政府の負債を非道徳的な恥と見なすキリスト教的な金銭感覚からパラダイムが変わって投資効率を高めるためにレバレッジかけるようになって、ゴールドマンサックスを創業したマーカス・ゴールドマンのようなユダヤ人によってウォール街の金融業が発展して世界の金融の中心になった。一方で日本人はアメリカの歴史に学ばずに政府と家計を同一視して政府の借金や赤字を悪いものと見なして、PB黒字化を目指して債務償還費を予算に計上してインフラへの投資を減らして不景気な中でインボイス制度を導入して零細企業を倒産に追い込んで政府が所有するNTT株を売ろうとして、国民を困窮させて国家の資産を外国に売り渡して国力を弱体化させて日本の衰退を主導している。ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったけれど、経験からも歴史からも学べないのであれば愚者ですらなくてもはや人の形をしたうんこである。岸田文雄はまさしく増税クソメガネと呼ばれるに値する稀代のうんこだけれど、さすがの名宰相ビスマルクでもこんな愚者未満の頭にうんこが詰まったうんこ踏み男がいるとは予見できなかったのだろう。・自業自得で衰退する自治体日本では議会制民主主義の制度になっているけれど、国民が民主主義者とは限らない。とういうのも選挙で投票に行かない人が多くて、2022年の参議院選挙だと投票率トップの山形県でさえ61.87%で、最下位の群馬県は48.49%である。衆院選や参院選は国の行く末を決めるのでまだ投票率が高い方で、あまり権限のない首長の選挙は投票率が低くなる。2023年の埼玉知事選の投票率は過去最低の23.76%だそうな。その政治への無関心の結果は住民に跳ね返る。石川県の地震で復興が遅れているのが典型的で、選挙で無能な政治家を選ぶと、平時には前例を踏襲するだけでそれなりに運営できるのであまり影響はなくても、前例がない有事の際には無能ぶりが際立つ。1997年の「石川県地域防災計画 地震災害対策編」の想定が甘くて防災の専門家が県に見直しを要請しても27年間放置されてきて、そのうえで想定外の大きな被害が出る地震が起きたので対応できていなくて、初動対応の不手際もその後の復興の遅れも災害に備えてこなかった政治家の無為無策が招いた人災と言える。石川県の局所的な地震でさえ復興が遅れているのだから、南海トラフ地震で広範囲で被害が起きたときはさらにひどい状況になるだろう。プッシュ型支援は人口が多い大都市が優先されて、自治能力が低い自治体では被害の全容が把握できなくてプル型支援を要請できないまま放置されて、いつまでもインフラが復旧できずに他県に避難した住民が帰れなくなってそのまま見捨てられるかもしれない。地方議会の選挙は数十票差で当選するか否かが分かれることもあるので、衆院選や参院選よりもちゃんと民意が反映された選挙になる。政治は誰がやっても同じではなくて、政治家をやらせてはいけないタイプの人がいる。モラルがなくて企業と癒着したり公金を私物化したりする人や、嘘をついたりごまかしたりする人には権力を与えてはいけない。選挙が終わったらそれで終わりでなくて、市議会のYouTube動画や広報誌とかで議員の活動も見るべきで、選挙の時だけ立派な公約を掲げて当選後に実行せず支持者に活動内容や進捗状況を報告せず議会を欠席するような議員は2期目以降はやらせてはいけない。無能な政治家やその支持者だけに責任があるわけでもなくて、投票しない人にも責任がある。地方選挙で投票しない人は自治体の「自治」の意味すら理解していないのではなかろうか。国民同士で助け合うのが大事とはいえ、自治をする気がない人たちを他の地域の裕福でもない人が身銭を切って助けてやる筋合いもないので、投票率が低くて住民が自治をする気がない自治体は投票率に応じて地方交付税交付金を減らすなりすればいい。投票率が低い地域で住民が政治に参画しないままハコモノを作ったところで住民の声が反映されなくて利用率が上がらなくて採算がとれないだろうし、投票率が高くて自治をする気満々の自治体に地方交付税交付金を増やす方が有意義に公金を使うと思うし、頑張っている自治体が報われる仕組みにするほうが良い自治体ができるだろう。・衰退が加速して手遅れ戦後のベビーブームで人口が増えて団地やニュータウンとかの宅地が開発されたのとは逆に、人口が減ったら自治体が消えるのは当たり前のことだけれど、その当たり前のことさえ予期せずに何も備えてこなかったので、車を運転できない高齢者が買い物や通院ができなくなったりして生活に不自由する状態が起きている。高齢化で里山が維持できなくなって害獣があふれて、老朽化したインフラを治す金もなくなって時間が経つほど不便で住みにくくなっていくので、地元に見切りをつけた若者がインフラが整っていて仕事がある政令指定都市周辺に逃げて、移住者も来なくなって田舎の衰退が加速するだろう。そうなってから対策を始めても手遅れである。衰退期は失敗をリカバリーする余力さえなくなるので成長期よりも政治家に高い能力が求められるけれど、市町村議員はあまり優秀な人達とは言えないし、高齢者たちはもはや日本は成長局面でないことに気付いていないので、いまだに市町村に不釣り合いなほど立派で集客数が少ないハコモノを助成金頼みで作りたがって失敗している。新しい知識を学ばず、古い知識の間違いを正そうともしない無知で頑固な老人たちが選挙で票を持っているので、もう議会制民主主義では地方自治体の状況を改善できなくて手詰まりである。人口が減少するにつれて放置された空き家が増えるのも問題で、害獣の巣になったり不法侵入者が増えて治安が悪くなったり景観が悪くなって観光業に影響がでたりして衰退が加速する原因になるけれど、自治体は費用だけかかって直接利益にならないことはやりたがらなくて、鬼怒川温泉ではバブル期に建てられた旅館の廃墟が放置されたままになっている。移住支援金を出すとか子育て支援をするとかの政策レベルの小手先の対策でなくて、どういうパラダイムをどういう哲学で生きるのかという高次のレベルで町づくりをしないと衰退局面は切り抜けられないだろう。江戸時代には各藩に権力があったので上杉鷹山や西郷隆盛とかのリーダーシップがあって社会を変える傑物がいたけれど、現代では首長に権力がなくてせいぜい予算を組み替えて公共事業の予算を減らして育児の予算に当てる程度のことしかしないので田舎からはもはや傑物は出てこないし、田舎が劇的に変わることも見込めない。それでしびれを切らしたB層が維新の会みたいな改革や既得権益の打破を主張する新自由主義者を支持するようになるけれど、新しい権益を得ることが目的の人たちがでたらめな改悪をしたところで状況は悪化する一方である。・在日外国人の問題地方自治体は農業や工場などで外国人技能実習生の労働力に頼っているけれど、外国人が増えると役所や病院や警察も数か国語で対応しなければならなくなって行政のコストが増加する。特に外国人による犯罪が起きた場合は取り調べや弁護に多大な人的リソースが必要になって、最近はベトナム人の犯罪が増えたのにベトナム語の捜査通訳が日本各地で不足していて捜査が追い付いていなくて治安の悪化が懸念される。在日外国人が自動車やバイクを窃盗してヤードで解体して輸出しているし、外国人が金持ちの家を狙ってカネカネキンコと金を要求する押し込み強盗も多発したし、ペルー人による熊谷連続殺人事件のような凶悪な事件も起きた。外国人も精神病になるけれど、精神科医は予約が取りにくくて半年待ちになるほどの過労状態で外国語での診療に対応する精神科医は余っていないので、外国人が治療されないまま病態が悪化して殺人事件を起こしたりする。川口市の人口の推移を見ると、日本人は56万人台でほぼ横ばいだけれど、外国人が2015年の25263人から2024年の43128人まで10年間で1.7倍に増えている。川口市は2020年と2021年は「本当に住みやすい街大賞」で1位だったけれど、2023年7月のクルド人の病院での乱闘事件とかのクルド人との軋轢が全国ニュースになって埼玉県の住みたくない町ランキングのトップになった。川口市の犯罪の認知件数自体はピークの2004年の16314件から2022年の3815件に減少しているけれど、クルド人が夜にたむろしてしつこくナンパしてきたり車で暴走したり騒音を立てたりするなどの犯罪にならない迷惑行為で体感治安が悪化して不安を感じて住みたくないと思う人が多いようである。川口市の4万人の在日外国人は特に問題も起こさずに日本人と共生してきたのに、3千人程度のクルド人がここまで川口市の評判を下げて、住みやすい町づくりをしてきた大勢の人たちの努力が無駄になった。川口市の奥ノ木信夫市長は難民申請をした仮放免制度に対して不法行為を行う外国人の強制送還や生活維持が困難な仮放免者への国からの援助措置とかの要望書を提出して、自治体に仮放免者の対応を丸投げせずに国が対応するように求めているけれど、比較的大きな川口市でさえ自称難民が起こす問題に十分に対処できていないのだから、人口数万人の小さな市や離島だとなおさら対処は難しいだろうし、国が何とかしないと自治体が潰されかねない。川口市の医療センターでは外国人の未払い金が7400万円あるそうだけれど、それも結局は住民が補填することになる。武蔵野市の住民投票条例案のように在日外国人に投票権や参政権をあげようと左翼が活動している自治体もあるけれど、もともと日本人の投票率が低い中で外国人が組織票を持つようになったら外国人が政策への影響力を持つようになるだろう。日本に帰化せずに一時的に留学や仕事で滞在しているだけの外国人が投票したところで、日本人にとって住みやすい自治体になるか疑問である。・コンパクトシティ政策の失敗Yahooの「コンパクトシティはなぜ失敗するのか 富山、青森から見る居住の自由」という記事に失敗の経緯が詳しく書いてあるけれど、青森や富山は2000年代からコンパクトシティ政策をしてきたものの、富山は車移動が中心で移住が進まず、青森は首長が交代したことで住みやすい街づくりから中心街の活性化へとコンセプトがぶれて迷走して再開発ビルのアウガが赤字になってハコモノ行政の典型的な失敗パターンを辿ったそうな。田舎は広い土地にまばらに人が住んでいるとやがてインフラが維持できなくなるのは予見できるので、私はコンパクトシティ政策自体はインフラの効率を高めて雪国の除雪費用を削減できる点で良いと思うけれど、再開発利権が絡んで金儲けが主軸になると失敗して当然だと思う。どこに住むかを決めるのは市民なので、民意がついてこないまま行政だけ先走っても意味がない。地元民さえ家賃が高いことを理由に移住を拒むくらい魅力がないのであれば、他の自治体から移住者を集めるのも難しくなる。それに日本各地に小さい東京のような施設を作ればいいというものでもなくて、結局は人が町をつくるので、良い隣人たちがいないところには移住しようとは思わない。相互監視する田舎の人間関係の距離感のままコンパクトになって田舎の欠点を濃縮したような隣人ガチャハズレ率が高い町になってしまったら、都会育ちの人はなおさら移住を敬遠したくなるだろう。・当事者意識の欠如しばしば日本が経済成長しないことに対して「失われた30年」という言い方をされるけれど、自然災害が起きたかのように被害者ぶって受動態を使うのはよくない。政治家、官僚、学者、経済団体やマスコミが間違った政策を推し進めて経済成長を鈍化させて若者を低賃金で使い捨てて結婚できないようにして幸福と将来を奪ってきたけれど、その当事者意識がない。養老孟子が『バカの壁』で指摘したけれど、たとえ高学歴な人でも自分には関係ないと思ってしまうと知りたくない情報を脳が遮断してわかった気になって詳細を知ろうとしなくなってしまう。これが政治でも起きていて、中央の役人は地方の問題は自分とは関係ないとみなして理解しようとせず取り組もうともしないし、ましてや新自由主義者は小さい政府を目指して地方自治体や収益が低い一次産業を積極的に切り捨てようとさえする。国民も国債発行の仕組みを調べて理解しようとせず、財政破綻だの円の信認だのの定義が不明な言葉でわかったつもりになって不景気な時に緊縮財政と増税をするバカな政治家を支持して自滅しているけれど、地方が衰退しても東京の不動産価格や日経平均株価にはあまり影響は出ないので、東京で生活している政治家や官僚や経営者には危機感もなく自分たちが地方在住の国民を破綻や自殺に追い込んでいる非道を行っている自覚もない。自然災害じゃないのだから我慢すればいずれ災いが過ぎ去る類のものではなくて、間違った政策をやめない限り日本は衰退し続ける。もし国家が危機に瀕したり国民が不幸になったときに国民がとりうる選択肢は、選挙で政治家を替えるか、あきらめるか、他の国に逃げるか、クーデターで政権を転覆するか、内戦を起こして独立するかのどれかである。小選挙区制度になってから組織票がない候補者が勝ちにくくなって、小渕優子とかの不祥事を起こした世襲政治家でさえ何度も当選して、票集めに比例で立候補する芸能人やスポーツ選手がB層に支持されて当選する有様では、投票しない人たちがあきらめている一方で、もはや民主制を見限って暴力でしか社会を変えられないのだと短気を起こす人も出てきてしまう。安倍晋三の暗殺の後に岸田文雄の暗殺未遂事件が起きて、最近も千葉市で鉄パイプで殺傷能力がある銃を自作した26歳の男が逮捕されて、取り調べに対して「日本の政治を含め、世の中に失望していた。日本の未来を良くするという自分なりの正義のため、こんな国にした者たちを攻撃することを想像していた」と供述したそうな。当事者として不景気で不幸な日々を生きて未来を奪われた若者が、当事者意識がなく腐敗した政治家に怒るのも理解できる。アメリカは政府が腐敗したときに対抗する手段を持つ権利を主張して銃を持ちたがるけれど、そのアメリカでも大統領選挙での不正選挙疑惑で議会制民主主義が機能しなくなりつつあって、テキサス州の独立や内戦の噂が出ていて『Civil War』という映画も人気だそうな。日本では銃刀法の取り締まりが厳しいので内戦は起きないだろうし、鉄パイプや火炎瓶とかで武装して暴動を起こしたところで警察の銃には敵わなくて鎮圧されるだろうけれど、内戦が起きにくいぶんローンオフェンダーが出てきて暗殺やテロに向かうと思う。竹中平蔵はホリエモンとの対談で「社会的に非難される事はあるけど、殺される事は多分ないから」とのんきな事を言っていたけれど、これは日本人の民度を信用しているというよりは、どうせ臆病な日本人は不平不満を言うだけで何もできないと舐めているのだろう。これから日本が衰退するにしたがって怒って天誅を下そうとする国民がさらに増えるだろうし、政治家や官僚や御用学者たちも身の危険を感じるようになったら当事者意識を持って無責任な言動をしなくなるかもしれない。国民の生命と財産を守って敵と戦って死ぬなら名誉として語り継がれるけれど、私利私欲を追求して腐敗して国民に誅殺されるのは恥である。長篠の戦いで命がけで援軍を呼びに行った鳥居強右衛門のような足軽のおっさんでさえ忠義を称えられて現代に名前が残っている。岸田文雄は悪政をして国民を虐げて国富を外国に譲渡して暗殺されかけた史上最低の総理として日本史に名前が残るだろう。どっちにしても死ぬのなら後世に恥じない最期を迎えるのがよいだろう。●話は聞かせてもらった!地方自治体は消滅する!上記のような様々な問題があるので、地方自治体の消滅は免れない。では我々はどう地方自治体の消滅に向き合えばよいのか。人口が減少するからといって短絡的に移民を大勢入れようとするのは論外で、日本の文化や伝統が好きで移住してくる移民ならまだしも郷土へのリスペクトがなくて仕事がほしいだけの移民が増えたところで方言や郷土史や伝統芸能を継承できないのであればその地域は実質的に消滅したようなもので、川口市のクルド人みたいに共生する気がない移民が増えたらむしろ自治体の破壊につながって消滅を速めるだろう。地方が衰退していく中で老人たちは何を残すのかの取捨選択が必要になるし、地方の未来を託された子供たちも自分が地域を担うのだという当事者意識が必要になる。人が多くても貧富の差が大きくて犯罪が多発して魅力がない自治体はあるし、人が少なくても風光明媚で穏やかで平和で魅力的な自治体になりうるので、自治体が合併して名前が消滅することを恐れずによい町を作っていけばよい。
2024.05.10
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