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ヒカリさんも書かれているように「お任せします。」と言われると、
「お任せください。」とこちらも思うし、「この子の成績を上げよう」と気合いが入る。
ところが、以前勤めていた頃は、とりわけ個別指導塾に配置されていた頃は、保護者の方が指導方針に介入してくることが度々あった。
そこは、サービス業であり、何と言っても最も大切なのは生徒数と売上であったので、ニコニコしながら上手にかわしていた。
「宿題を多め(少なめ)にしてください。」「うちの子は叱らないでください。」「教材は予習シリーズを使ってください。 (本人のレベルと合ってない) 」「教材は日能研の知の翼を使ってほしい。」といった要望にも笑顔できちんと応対していた。
今の塾では、そうした要望は受け付けない。
とにかく塾の指導に任せてほしいという気持ちは、最近さらに強くなった。
塾・家庭教師という教育サービス業ジャンルの特徴として挙げられるのは、「誰でもできる、あるいは誰でもできるような感じがする」ということだろう。
ベネッセのチャレンジのように手取り足取り教えてくれる教材もあるし、最近では個別指導専用教材なるものも売り出されている。
言葉はきついが「素人」でできてしまうのが、塾であり、家庭教師である。
保護者の方も、自分自身も中学・高校時代を経験されており、また受験も経験している。中には家庭教師や塾でのアルバイトを経験された方も多いことだろう。そうした方が、いろいろと子どもの勉強に口を出したくなってしまうことは致し方ないことだろう。下手したら大学生講師よりも、優秀な場合もある。
塾の側にも問題があり、教務面の弱い塾や受験の素人である教室長が運営するFC塾が、最近は増えてきた。
(そもそも「教務面の弱い塾」というのが面白い言葉であり、ラーメン屋だけれども肝心のラーメンがおいしくなかったり、自動車教習所なのに教官の運転が下手であったりすることと変わりがない。)
以前の塾でも、受験の知識も全くなく、教科書レベルの問題もほとんど解けない人材を教室長に採用するようになっていた。私が退職した理由の1つもそこにある。室長は、営業が出来れば良いという考え方である。もっと言えば、教室に座っていてさえしてくれれば良いという考え方である。(当時、退職者が多かったので、室長不在になりそうな教室もあった)
これも1つの考え方であるが、最近はこうした塾があまりに増えてきたようで、それが保護者の方の不信感にも繋がってきているようだ。
そのため「お任せします」という言葉を塾に対してなかなか言えない。
これが塾業界の特殊性である。
たとえば、家族がガンに冒され、入院・手術することになったとする。この場合は、普通は誰もが外科の先生に「お任せします。」「よろしくお願いします」と言うはずだ。 (インフォームドコンセントは、また別の問題。この場合、あくまで外科手術自体を任せるかどうか。また、免許の必要性の有無も考慮にいれない)
まさか、「あなたの外科手術は不安なので、私も手術を手伝います」なんて、手術室に入っていく人はいないだろう。素人が手を出せる範囲ではない。
いきなり素人が入って「メス」とか「汗」とか言ったら、スリッパでひっぱたかれそうな気もする。そこは思いっきり突っ込んでほしい。
外食産業だってそうだ。味が気にくわないと言って、厨房に入って自分で料理する人など、山岡士郎以外に見あたらない。(彼は一度、地方のお店でラーメンを作ったことがある)
しかし、塾は違う。誰でも教えようと思えば教えられるのだ。
いや、正確に言えば、そう世間に認知され始めているのだ。
そこが話をややこしくする。