よんきゅ部屋

よんきゅ部屋

Jan 8, 2007
XML
前回、「新世界より」を取り上げたが、ドヴォルザークにとって傑作揃いの時期の作品について過去に書いたものをもう一度見てみようということで、今回はこれを取り上げることにした。

-------------------------
この曲は、大学時代、卒業した高校の文化祭で後輩たちが演奏していたのを聴いて一度で好きになった曲だ。

この曲の作品番号は「新世界」「アメリカ」に続くもので、まさに傑作の宝庫と言える時代に属する。この弦楽五重奏曲は通常の弦楽四重奏にヴィオラをもう一本足したもので、編成としてはポピュラーな方だ。前の2作品と同様、インディアンの音楽、当時のアメリカの音楽、そして彼の故郷ボヘミアの音楽の要素を見事なまでにミックスして仕上げられている。

第1楽章は明るい民謡風(これはおそらくアメリカのものだろう)の開始だがおとなしめ。だんだん盛り上がって、民謡舞曲の雰囲気になる。ここでもあっけらかんとした部分と少し陰を含んだ部分をうまく織り交ぜながらドヴォルザーク節が自由自在に展開されていく。五重奏らしい少し厚めの響きがある場所も聴きどころ。最後はおとなしくしめていくところが心憎い。

第2楽章はインディアンの民謡っぽい感じ。最初の2小節で示されるリズムが主要な部分で常に鳴っているのだが、このリズムが特徴的である。この曲は変ホ長調(b3つ)が基本だが、この楽章はなんとロ長調(#5つ)。かなり関係としては離れている。変ホ長調は雄大さを表す場面でよく使われるが(ベートーヴェンの「英雄」「皇帝」、R.シュトラウスの「英雄の生涯」など)、逆の関係すなわちコンパクトというか素朴な感じ、そして軽い感じが出ている。途中短調になったところでのヴィオラの泣くようなメロディがたまらない。

第3楽章は変イ短調(b7つ!)という珍しい調で書かれている変奏曲。旋律の最後の変イ長調の流れによって救われる気分になる。しっとりとした調子から激しい調子まで変幻自在に作られていて、さすがである。しかし、楽譜を見るたびに音とるの大変だなこりゃと思ってしまう。全部の元を半音下げてイ短調で書いてくれという人もいたりする(それは無茶だが)。

第4楽章は跳ねるようなメロディーとしっとりとしたメロディが交互に出てくる楽しい曲。これを初めて聴いたときからこの曲が大好きになった。一度はやってみたいと思い、楽器5種類分の楽譜を買うのがしんどかった中、スコアを買ってすべて写譜して大学オケの仲間に一緒に演奏を頼んでやってもらったのがいい思い出だ。

-------------------------
この曲は体がしんどいときにでもすんなり聴くことができる。さっぱりしているが味もちゃんとある中華粥のような味わいがすると感じる。今日聴いた演奏は、アンナー・ビルスマなどがいるラルキブデッリという弦楽アンサンブルによるもの。何でも、この団体はガット弦を使って演奏しているのが特徴であるらしく、なるほど音は他の演奏よりもまろやかにきこえる。また、奏法もヴィブラートを極力抑えた感じ(これっていわゆる「ピリオド奏法」に近いものかな?)。しかし、それが味気ないものにならないのがすごい。弓のコントロールがきっと絶妙なのだろう。それに自信がなければあんなにヴィブラートがないのに味のある演奏はできないだろう。もちろん、現代的な響きが魅力的に感じることもあるので、いつもそれがいいという評価にはならないところが、音楽の面白いところでもある。

この曲、「新世界より」「アメリカ」と続けて聴いてみると、いい感じかもしれない。この後に、ヴァイオリンとピアノのためのソナチネや、チェロ協奏曲といった曲が続いていく。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 8, 2007 09:51:08 PM
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Favorite Blog

伊福部昭 生誕110周… New! 魔神8888さん

配信:モンスターズ… New! ピカルディの三度THさん

第351回定期演奏会 すららさん

小田和正「自己ベス… はるのひ1918さん

黄 金 時 代 ショスタコーヴィチさん

Comments

новое русское порно бесплатно@ Hot and Beauty naked Girls Respect to post author, some fantast…

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: