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2019.08.03
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​土本典昭 「水俣 ― 患者さんとその世界〈完全版〉」 淀川文化創造館 シアターセブン​​

​​​​​​​​  今週、二度目の ​シアター・セブン​ でした。やっぱり、高速バス、阪急特急と乗り継いで、でも、前回より30分くらい早く到着しました。上映までには、小一時間あったのですが、50席あるかないかの小さなホールです。その上、今日は ​土本典昭特集​ 最終日、傑作の誉れ高いドキュメンタリーというわけで、とりあえず入場券を確保しようとチケット売り場へ行きました。

「おっ、2番や。そんなに混まへんのかな?」
「先週は、結構、満員でしたけど。」
「そうか、そうやんな、上映してんの気付くの遅かったから。他のも見たかってんけど。パルチザンとこれしか、あかんかってん。」
「ああ、火曜日いらっしゃってましたね。」
「うん、見るの、これも、初めてちやうねんけど、見納めやな。」
「昔、見てはるんですか。」
「うん、大昔やな。」

​  モギリのお嬢さん とおしゃべりできて、すっかり上機嫌です。​
 べつにエロじじいというわけではない。今週、一週間、同居人以外と口をきいたのは、どうも、初めて‥‥。
​​ だから、まあ、電車のお隣りの座席のおじさんとでも、

「よっ!」
「元気?」

 ​ とか、なんとか、会話したかもしれない状態だったわけです(笑)。​​
 ああ、そういえば、昨日かな?明石駅で通りすがりの、ちょっと知っている高校生に声をかけられたな。あれもうれしかった。
​​ そんなことを考えながら、結構、すいている座席の一番後ろに陣取りました。観たのは 土本典昭監督 「水俣  患者さんとその世界〈完全版〉」 です。​​
​ スクリーンで映像が動き始めました。海が映っています。お経か?御詠歌か?はっきりしませんが、そういう、かすかな声が聞こえています。​
​ 海に船が浮かんでいます。白黒のフィルムですが、天気がよくて、 青い水平線 が上の方に見えています。​
 丘の上で、海を見ながら、交渉の行く末を悩む人がいます。寄合で集まって、どうするのか、男や女が相談しています。こっちの方で寝転んでいる人もいます。
​​​ 海の中を歩いてタコを獲る老人がいます。つかまえたタコの急所は目と目のあいだのようです。そこを噛んで、腰にぶら下げていきます。海が 緑色 に透きとおって、揺らいでいます。​​
 少年が笑って、カメラを見ています。少女が大勢で遊んでいる子供たちのところに、よろけて歩きながら近づいていくのを子供たちがじっと見ています。​

 母親がスプーンで、抱きかかえた娘の口に食べ物を運びます。繰り返し吐き出す食べ物を、繰り返し口に運んでいます。食卓では子供たちが食事をしています。
​ 夏ミカンの畑で収穫です。兄が、弟を抱えて家まで連れて帰ってきます。石のボールでおばちゃんと野球をしています。なかなかバットに当たりません。ときどき当たると、おばちゃんがうれしそうに笑っています。​
​ 工場の煙は、町の空の上に広がっていきます。黒い排水溝が見えます。そこから海も黒く 広がっていきます 。画面は、ずっと、モノクロです。イメージには色がついたり消えたりします。
​ それぞれが、ちいさな鐘を掲げ持って御詠歌の練習をしているおばさんやおじいさんの中で、若い 石牟礼道子 が、所作が上手にできなくて困っています。たぶん、歌の文句もご存知ではなかったのでしょうね。彼女もインテリだったんですね。御詠歌を無心に、そして、懸命に唱えるなんて、最初はできなかったんです、きっと。​

​ 白装束と菅笠姿で歩いている人たちがいます。黒い生地に 「怨」 と染め抜いた幟がはためいています。画面を見ながら ​​​ふと思い出しました。

「あの、幟の文字、怖いよね、ほんとに。」

​  ​​ 初めて集会に座った時、隣の女の子がつぶやいた言葉です。40年前の記憶です。
​ 裁判所、電車、大阪のビルの街。株主総会。社長はズボンのポケットに手を突っ込んだまま壇上に立っています。今でも、立派な会社の社長はああやって 「苦情」 を聞いているんだと思いました。信じられないくらい何も変わっていません。
 光る海に船が浮かんでいます。​​

​​  胎児性 とクレジットが出ています。ぼくと同い年か、ほぼ同世代の子供たちです。森永のヒ素ミルク中毒の子供たちも、ぼくと同い年でした。​​
 五十年の歳月が流れているはずのフィルムに映し出される子供たちは、今でも子供のままで懸命に生きています。硬直したり、反り返ったりしている手首や足首は、五十年後も、やはり硬直して、反り返っています。
​ やはり観てよかったと思いました。涙はこぼれませんでした。こうして、たしかに生きていた、この子供たちの姿を忘れてしまうのは、まともなことではないと思いました。ボク自身は、できれば まともでありたい と思っています。
 ​65歳を過ぎて、1本のドキュメンタリー映画を見て 「まともでありたい」 と思ったことを思い出せる日は、またあるのでしょうか。​​

忘れてはいけない。

心もとないことですが、 ​そう、思いました。
製作:東プロダクション
監督:土本典昭
製作:高木隆太郎
撮影:大津幸四郎
録音:久保田幸雄/浅沼幸一
日本 1971 2時間47分
1973年度(第1回)世界環境映画祭グランプリ/マンハイム映画祭デュキャット賞
1972年度ベルン映画祭銀賞/ロカルノ映画祭第3位/優秀映画鑑賞会年間第3位 ​​​​​​​​​


2019/03/01七芸・シアター7no3

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最終更新日  2023.07.16 20:53:39
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