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「まあ、よくぞここまで、好みのド真ん中にボールが来るものだ!」 と感嘆しました。
「夜のリレー」 こんなふうに遊ぶのは ジャームッシュ にも 谷川俊太郎 にも失礼かとは思うのですが、でも、まあ、二人の間につながるものを感じるのです。それは、うまくは言えませんが、人間という 「宇宙人」 に対する 「愛」 のようなものですね。
ロサンゼルスの少女が
修理工の夢を見ているとき、
ニューヨークの移民の老人は
ピエロだった思い出に遊んでいる
パリのやさ男が
盲目の女と連れ添っているとき、
イタリア女たらしが
神父の死に立ち会い、
ヘルシンキの運転手は
飲んだくれに手を焼いている
この地球で
いつもどこかで夜が闇に沈んでいる
ぼくらは闇をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠りの最中、ふと耳をすますと
どこか遠くでタクシーの警笛が鳴ってる
それはあなたが眠りこけている闇を
誰かがしっかりと受けとめている証拠なのだ
夜はやがて明けようとしている
「朝のリレー」 もちろん、 谷川俊太郎 の詩の良さについては言うまでもありません。お叱りを受けるのを覚悟して 「戯画」化 しましたが、原詩の価値を貶める意図は毛頭ないことを言い添えておきます。
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
(谷川俊太郎「谷川俊太郎詩集 続」思潮社)
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