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「うーん、どうしよう。あっそうだ、あれにしよう。」 結構すぐに決まっていたのです。でも、棚をさがしても出てこないので、結局、注文して、到着して、読み直して、と、ぼくらしくもなく律義にやっていて、今日になりました。
「少年や少女たちの物語」 で、 DEGUTIさん の本の舞台は ポーランド なので少しずれますが、 「舞台がドイツ」 だから、まあ、許容範囲かなということですが、まあ、個人的には小学生の頃に、 「二人のロッテ」 という 「少女の物語」 で出会った(ここははっきり覚えています)、この作家の、この 「少年たちの物語」 は、どこかで読んだはずなのに、内容の記憶が、全くないのは何故だろうという疑問を解きたいという、勝手な理由もあって、 65日目 として紹介することにしたのはこの本です。
今度こそ、正真正銘のクリスマス物語を描く。本来なら二年前、とっくにできていたはずなのだ。遅くとも昨年の内に書き終えていた。だが、世の常のことだが、いつも何かしら邪魔が入る。とうとうおふくろに言われた。「今年も書かないようなら、クリスマスプレゼントはあきらめてもらいます」 ハイ、これが、 「第一の前書き」 の冒頭です。
これできまった。私は大いそぎで荷造りにかかった。テニスのラケット、水着、緑の鉛筆、山のような原稿用紙、それをトランクに詰め、母ともども大汗をかいて、息もたえだえに駅に来て、ハタと考えた。
「さて、どこへ行く?」
おわかりだろうが、夏の真っ盛りにクリスマス物語を書くのは、至難のワザなのだ。いったいどこに腰を据えて書けばいい?
「身を切るように寒かった、雪が降りしきっていた。窓から外をながめたとき、ドクター・アイゼンマイアー氏の両の耳たぼが凍りついた」
果たしてこんなことを、人々が焼肉状にプールのほとりに寝そべり、熱射病寸前といったなかで、たとえペンに集中しようとも、書けるものかどうか。書けようはずがない!そうだろうが。
女性はとかく現実的である。母は奥の手を心得ていた。つかつかとキップ売り場へ行くなり、駅員にやさしくうなずきかけた。
「おたずねします、どこへ行けば八月に雪がありましょうか?」
「北極に行くんだね。」
駅員はつい言いそうになったが、私の母だと気が付いて、からかい口調は飲みこみ、丁寧に答えた。
「ツークシュピッツェの峰でしょうね、ケストナーさん」
立派なおとなが自分の幼いころのことを、こんなにもきれいさっぱり忘れられるものだろうか?子供がおりおり、いかに深い悲しみと不幸を味わっているものか、ある日を境に忘れはてる。(だからこの機会に、きみたちに心の底からおねがいしたい。幼いころのことを、けっして忘れないこと!約束してくれるかな?ほんとだね?) ね、 エーリッヒ・ケストナー(Erich Kästner、 1899年~1974年) という作家の 「ユーモアと誠実」 、信用できそうでしょ。ちなみに 「飛ぶ教室」 が書かれたのは 1933年 、 ヒトラー が独裁を始めたその年です。彼の作品は大衆的に支持されていましたが、 ヒトラー 政権下では 発禁処分 になりました。ただ、当時の社会主義的な反ナチ陣営からも 「プチブル的」 という批判を浴びたそうです。
追記
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