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2023.05.20
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チウ・ション「郊外の鳥たち」シネ・リーブル神戸
​​​​​​​​​​​  現代中国 の若い 映画監督 に興味があります。 ビー・ガン という人の 「凱里ブルース」 とか 「ロングデイズ・ジャーニー」 グー・シャオガン という人の 「春江水暖」 とか、ここのところ、興味深く見た作品が目白押しなのですが、中でも、若くして亡くなってしまったらしい フー・ボー という監督の 「象は静かに座っている」 に強く惹かれました。まあ、そのあたりから 中国の若い才能 からは目が離せないという気分です。​​​​​​​​​​
​​ で、今回見たのは チウ・ション という若い(?)監督の 「郊外の鳥たち」 という作品です。​​
​​ 上のチラシの写真もそうですが、 望遠鏡のレンズ ごしの視野に映っている 向うの世界 の風景から映画は始まりました。​​
​​​  望遠鏡 といっても天体観測に使われるあれではなくて、 トランシット といいますが、土地の上下を観測する測量用の機器に取り付けられている 小型の望遠鏡 です。​​​
​​​​​​​​​​​​ 具体的にどこの都市の話なのかは分かりませんが、遠景に高層ビルが立ち並び、近景には再開発の取り壊しが進んでいる瓦礫の山や立ち退きが指示されてている中層の古いアパートが映し出されますが、この構図は 最近の中国映画 の定型の一つだと思います。
現代中国 の映画監督たちには、 1940年代 から30年続いた 毛沢東の中国 1980年 以降、20世紀末に至る 鄧小平の中国 、そして 現代 習近平の中国 という、 三つの社会 が、まあ、 毛沢東以前 を入れると 四つの社会 が意識されているようで、それが、映画に映し出される風景の描写として 定型的に構図化 されていると思います。この作品も、そういう背景の上に描かれていたと思いました。​​​​​​​​​​​​

​​​​​​ もっとも、ボクが、この映画の冒頭で、一気に惹き寄せられた理由は トランシットと箱尺 にの登場によってです。理由は個人的なことです。 実は、まあ、もう40年以上も昔のの学生時代のことなのですが、 箱尺 を担いで 測量の助手 をやるという アルバイト でのりくち、イヤ、糊口をしのいでいたことがあるのです。この映画で主人公の ハオくん ​アリくん​ が交代でやっていたあの役です。​​​​​​
​​​​ で、ちょっと関係ないような話なのですが、この映画を見ていて気になったのが 箱尺 を置く位置についてでした。外部から区切られた工事現場なら問題ないのでしょうが、普通の土地の高低や距離を確認する作業で大切なのは 基準になるポイント ですね。40年前に驚いたことですが、 国土地理院 によって標準地図として描かれている土地には、まあ、だから、列島全土ですね、何百メートル刻みだか忘れましたが、コンクリートの杭の頭に金属のボタンのようなものがついている 測量の基準点 が地面に埋め込んであるのですね。​​​​
​ アルバイトの初日、地図を広げて
「これ、さがせ!」
って言われた時の困惑と、指示された藪の中を歩き回ってそのボタンを見つけたときの驚きというか喜びというかは忘れられませんね。​​
​​​​​​​​​ で、この映画にもどると、 トランシットの望遠鏡 によって 時間を超える という着想は、まあ、ありきたりではあるのですが面白いのです。 双眼鏡 を小道具にして、過去と未来を双方向化したアイディアも冴えていました。で、 時間 をテーマにした結果、当然、 「変化」 ということが浮かび上がってくるわけですが、この映画では 「陥没」 という現象を 「変化」 の象徴として描こうとしているようにボクには見えました。
​「世界が沈み始めている!」​​
​  というわけです。で、それは主人公であるらしい ハオ君 の記憶の中にある、 不可解 と結びついて映画の物語を構成します。​​​​​​​​​​
​​ ​あの時、消えていった友達=鳥たちは、大きな穴に落ち込んでしまったのだ。​
​​  ​​​​​​​まあ、そんな感じでしょうか。しかし、問題は 「穴」 、あるいは 「陥没」 の正体なのじゃないかと見ているボクは思うのです。 「陥没」 を確かめるのに トランシットの水平 をいうのはわかります。でもね、 箱尺 を置く 基準点 があいまい​ だと 変化の実相 は解らないんじゃないでしょうか。​​​​ボクは、そこのところに この監督 の、まあ、ちょっとエラそうに言いますが、未熟さのようなものを感じました。​​​
​​​​​​​​​​ 80年代 アメリカ映画 が繰り返し回想の少年時代を撮りました。 1970年代初頭のアメリカ社会 が被写体でした。この映画にも、名画 「スタンド・バイ・ミー」 を彷彿とさせる少年たちの姿が映し出されています。同じようなスタイルを踏襲して回想するには、回想する理由が​​​​ 監督チウ・ションには ​あるはずなのです。しかし、 80年代のアメリカ映画 には必ずあった、少年たちの、その後の 10年 、端的に言って、 アメリカ映画 のそれは、 ベトナムの泥沼の10年 だったわけですが、その現実を語るクレジットがこの映画にはありません。 主人公 が追う不可解な謎は、野原で昼寝をしている夢の世界へと回収されているだけです。 ​​
​​ 「逃げたな?!」 ​​
​​ ​​​​​​観ているボクはそう思いました。うがちすぎかもしれませんが、 郊外の鳥たち が消えていった この10年 に、映画が描いている 中国社会 陥没 が始まり、その 陥没 の始まりの原因と穴の正体、 鳥たちの行方 をこそをこの映画は撮りたかったのではないでしょうか。​​​​​​ この10年 とは、 習近平の中国 10年 です。 香港の映画制作者 の多くが政治的亡命を余儀なくされ、直近では、 2022年 、甘粛省の貧しい夫婦の姿を 「小さき麦の花 」という作品で描いた リー・ルイジュン監督 が映画を撮ることを禁じんられた 10年 です。もしも、 チウ・ション監督 基準点 を明らかにし、 陥没していく世界 の実相を思うままに描き出す作品としてこの映画を完成させていたら、ボクはまちがいなく 拍手 するでしょうが、その結果、一人の ​​​​映画作家が未来を閉ざされる可能性も感じます。
藪の中で夢に落ちていく主人公 を映し出すラストシーンは、今という時代の困難を暗示して、文字通り、 現代的 な作品の結末だとボクは思いました。
チウ・ション ​という若い監督のあふれる才能には目を瞠る思いでしたが、作品には納得しきれませんでした。しかし、彼は、いつか、どこかで、すごい作品を期待させてくれたことは確かです。拍手はその時までおいておきたいと思います(笑)。​​

監督 チウ・ション
脚本 チウ・ション  ウー・シンシア
撮影 シュー・ランジュン
美術 ユー・ズーヤン
編集 ジン・ディー  リアオ・チンスン
音楽 シアン・ホー
キャスト
メイソン・リー(ハオ)
ゴン・ズーハン(ハオ子供時代)
ホアン・ルー(ツバメ)
チエン・シュエンイー(キツネ)
シュー・シュオ(ティン)
チェン・イーハオ(黒炭)
チェン・イーハオ(太っちょ)
シュー・チョンフイ(じいさん)
シアオ・シアオ(ハン)
ドン・ジン(アリ)
ワン・シンユー(課長)
2018年・114分・PG12・中国
原題「郊区的鳥」「Suburban Birds」
2023・05・01-no057・シネ・リーブル神戸no192 ​​​​​

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最終更新日  2023.07.31 22:28:34
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