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东宫 Goodbye my princess第55話「最後の願い」…シァォフォン!シァォフォン!私だ、私が戻ったんだ!(はっ!)…うなされていた李承鄞(リショウギン)は突然、目を覚ました。付き添っていた時恩(ジオン)と裴照(ハイショウ)は胸をなでおろし、7日間も昏迷していたと教える。「小楓(ショウフウ)…小楓は?」時恩が口ごもると、裴照が軍から急報だと伝えた。「高顕(コウケン)が西州王と結託し、謀反を…」高顕は父から届いた決死の密書のおかげで、安護府軍を連れて西州に逃げ延びていた。高顕は西州王・曲天澤(キョクテンタク)をそそのかし、丹蚩(タンシ)を引き入れて謀反を企んだ。その矢先、九公主が帰国したと知る。豊朝(レイチョウ)皇帝が重病の今、皇太子の李承鄞が事実上の皇帝だろう。小楓のために趙瑟瑟(チョウシツシツ)を錯乱させたところを見ると、李承鄞の九公主を思う気持ちは本物のはずだ。そこで高顕は九公主を利用して李承鄞をねじ伏せるよう進言する。しかし天澤は妹を巻き込んでまで戦う気はないと退けた。豊朝との戦いはあくまで西州が侵略に屈するような弱い国ではないと天下に知らしめるためだという。高顕はその気骨に感服して機嫌を取ったが、それとなくけしかけた。「なぜ豊朝が国境の安定を図るために和親を用いたと?豊朝の兵力が張子の虎だからです さもなくばとうに西州を征服したはず、今まで待つ必要が? 民や国のためなどと言うのは口実にすぎません、王上、民というの者は勝者に付くのです 君主たるもの対局を見据えねば…王上、未来はあなたのお心ひとつ…」小楓は兄が豊朝との戦を決めたと聞いて幕舎に駆けつけた。「哥哥、中原に戦意はないのに挑発するの?」「挑発ではない」天澤は西州の威信を取り戻したいだけだと話し、逃げ帰って来た小楓の敵を討つという。「お前がまだ太子妃なら私は今も及び腰だっただろう、予感がするのだ、これは天命なのだと…」裴照が懸念した通り、小楓の帰国は戦の口実になっていた。一方、高顕は丹蚩の鎮北侯・趙敬禹(チョウケイウ)を懐柔していた。「ご息女は李承鄞に追い詰められ、正気を失ったのだろう?それでも奴に忠義を尽くすつもりか?」 迷っている暇はないぞ?」趙敬禹は高顕を追い返すため謀反に承諾、丹蚩から3万の精鋭部隊を出すと約束したが、別の思惑があった。丹蚩がどちらに付くかでこの戦の勝敗が変わる。当然、朝廷も好条件で自分を手なずけようとするはずだ。高于明(コウウメイ)が失脚した今、もし自分が功を立てて中原に戻れば朝廷で無敵となるだろう。しかも皇太子妃が西州へ逃げ帰ったのなら、李承鄞が即位すれば娘が皇后になれるはずだ。「病だろうが錯乱しようが、皇后に変わりない…」西州では戦が始まると知った民たちが行く当てもないまま逃げ始めた。小楓は今さらながら自分の身勝手な行動を恥じたが、アドゥは公主が戻る前から西州王は出兵を決めていたとなだめる。しかし兄の背中を押してしまったのは紛れもない事実だった。「これは天罰なのかも…人は死ぬ以外に苦しみから逃れる術はない でも西州へ戻ればやり直せると思っていた…自分を騙していたのよ」「それは違います、国境の関門に立った時、覚悟を決めたのでは?何を考えていましたか?」「…李承鄞への想いを断ちたかった」「飛び降りた瞬間に断ったのです!もう記憶や愛のために苦しんではいけません! 私たちは西州のために生きるべきです!」「その通りね、私は私情にとらわれすぎて自分の務めを忘れていた… 哥哥が戦を選んだのは西州の存続のため、私は西州の安寧のために生きる」小楓とアドゥはたとえ命を落とすことになっても無垢な民を救おうと決意したが、豊朝では李承鄞が趙敬禹を護国大将軍に封じ、反乱平定のため出征していた。開戦前夜、アドゥは眠っている公主に別れを告げた。「公主…アドゥは行きます」そしてアドゥは高顕の天幕に潜入、寝台の下で息をひそめる。やがて天幕に戻って来た高顕は3日ぶりに少し休むことにした。鎧を脱いで剣だけ肌身離さずに横になると、すぐにうつらうつらして来る。その時、突然、下から剣が胸を突き刺した。「ぐふっ!」アドゥは止めを刺すまで必死にこらえていたが、高顕が最後の力を振り絞って剣を寝台に突き刺してから、息絶える。一方、小楓はなぜか胸騒ぎがして目を覚ました。するとアドゥの姿がない。驚いた小楓は兄の天幕に駆けつけると、ちょうど高顕が刺客に殺されたと急報が届いた。アドゥは高顕と刺し違え、絶命していた。小楓は西州と自分のために犠牲になったアドゥを胸に抱き、悲しみに暮れる。そして荒野に陽が昇った。結局、天澤は出兵し、待ち構えていた李承鄞率いる豊朝軍と対峙する。しかしまさに決戦が始まるという時、小楓が馬で駆けて来た。「やめてっ!」「シァォフォン!」李承鄞は愛しい小楓の姿をとらえ、思わず叫んでいた。曲天澤は妹に引き返すよう命じた。しかし小楓は両軍の間に留まり、高顕の首を投げ捨てる。「高顕は死んだ!中原最大の逆臣は当然の報いを受けたのよ! 中原の兵士たちよ!皆は高顕に従っただけで戦うのは不本意なはず!中原人同士なのよ?! 高顕の私心のために命を犠牲にしてまで同胞と戦うつもり?!」「一体、何のつもりだ、妹妹(メイメイ)!」憤慨した天澤は馬を走らせようとしたが、小楓が刀を抜いた。「来ないで!」「シァォフォン!落ち着け!」李承鄞は焦ったが、小楓は李承鄞にも動くなと言った。「動いたら私もアドゥの後を追う!」すると李承鄞も天澤もその場から動けなくなってしまう。「哥哥!戦をやめて!まだ分からないの?!これは高顕の罠なの!全て陰謀よ! あんな男のために幾千万の民の命を犠牲にするつもり?!」公主の言葉を聞いた兵士たちは思わず武器を下ろした。「丹蚩が滅びた時、民は塗炭の苦しみをなめ、今や子孫も絶えたわ! 西州も同じ轍を踏むつもりなの?! どうして繁栄と幸せをつないで行こうとしないの?!帰順と平和を引き換えにして何が悪いの?! 哥哥、西州を思うがゆえに父王がしたことで威信を失ったというの?!違うわ! 王と生まれし者、情に走るべからず! 民の未来のため妥協の苦しみに耐え、自らを犠牲にしてでも民を幸せに導く! それこそが西州王のあるべき姿よ!」小楓は兄を説得すると、今度は向き直って李承鄞を見た。「顧小五(コショウゴ)!こう呼んだら思い出してくれるかしら?! …私はかつて1人の人を深く愛した、他の誰でもない、李承鄞、あなたよ あなたは私を騙し、私を裏切り、親族を殺めた、だけど私はあなたを殺す術がなかった! かつて何度も自分に言い聞かせたわ!あなたを憎まなきゃいけない、憎まなきゃいけないって でも今だに憎むことができない!」小楓は思わず天を仰ぎ、涙をこらえた。記憶を取り戻した李承鄞はいかに小楓を傷つけ、苦しめたのかと思うとやるせない。「でも全て過ぎたことよ…今の私の心にあるのは西州の民の行く末だけ もし私を理解し、償うつもりがあるなら、どうか戦をやめて!」すると小楓は馬を降りた。「西州の九公主として豊朝に嫁いだのは西州と豊朝の末永い和平のためよ もし今日、本当に兵刃を交えるなら、私は阿爹にも明遠(メイエン)娘娘にも太皇太后にも、 何より西州の人々に顔向けできない! それでも今日、開戦するというなら、私はどちらの側についても逆徒になってしまうわ だからこの命を以って哥哥と太子の目を覚まさせ、西州の真の安寧と幸福を取り戻す …後悔はないわ」小楓は自分の首に刀を当てた。「シァォフォン!」「妹妹!」李承鄞と天澤は必死に止めたが、近寄れば小楓をかえって刺激してしまう。「グゥシャオウー!あなたは以前、3つの頼み事を聞いてくると約束した、覚えている?」「覚えているぅぅぅぅっ!」小楓は李承鄞もついに記憶が蘇ったのだと知り、思わず失笑した。ならば丹蚩で顧小五に蛍を集めて欲しいと頼んだことも覚えているだろう。「まだ2つ頼み事ができる、必ず果たしてね!」「はお!言ってくれ!」「ひとつ!あなたが生きている間は中原軍を一歩たりとも西州に踏み込ませないこと!」「はお!約束する!だから刀を置けえぇぇぇ!」しかし小楓は笑みを浮かべたまま、決して首から刀を離なさなかった。「君が死んだら1人では生きていけないっ!」「ふっ、最後のひとつよ!…約束して、しっかり生きると…」小楓はためらうことなく自分の首を斬った。殺風景な荒野に小楓の真っ赤な血が飛び散った。その場でばったり倒れた小楓、その目にはちょうど青空を横切る鳥たちの姿が映る。咄嗟に駆け寄った李承鄞は小楓を腕に抱き、首を抑えてあふれ出す血を必死に止めようとした。「シァォフォン!シァォフォン!」「メイメイ…」側では天澤が泣き崩れ、裴照たちはなす術なく呆然と立ちすくんでいる。「シァォフォン…シァォフォン…頼む、私を置いていかないでくれ…お願いだ…」すると小楓は薄れゆく意識の中で愛しい顧小五の頬に触れた。思い出すのは丹蚩で過ごした幸せな時間、阿翁(アウォン)が婿として認めてくれたあの日、そして顧小五と一緒ならどこへでも行くと誓ったあの夜…。「ゥッ…グゥシャオウー…」李承鄞は小楓を見つめながら愛する人を裏切った自分を恨んだ。記憶を失っても小楓に惹かれたが、小楓の愛を手に入れるどころか憎まれてしまう。…果たすべき任務があったんだ、そのために友さえ欺かねばならない、大切な友をね…だから王子は、任務を果たしたら必ず償うと決めている…その友は王子のことを許してくれるだろうか?もし君なら王子を許せるか?あの時、小楓は自分なら許すと言ってくれた。全てを思い出して涙に暮れる李承鄞、すると小楓が息も絶え絶えに歌を口ずさむ。「結局…あの狐狸は…会えなかった…彼の姑娘と…」その時、小楓の手がだらりと力なく落ちた。「シァォフォン!!!」李承鄞の絶叫が荒野に響き渡った。…リーチョンイン、あなたを許すわ…私たちの蜜月も何もかも水に流しましょう…借りも、過分な望みも、絶望も全てすると天澤が絶望に打ちひしがれる李承鄞を突き飛ばし、小楓を抱えて連れて行ってしまう。「シァォフォン!シァォフォン!シァォフォン!」李承鄞は慌てて小楓を取り戻そうと手を伸ばしたが、裴照と趙敬禹が止めた。「シァォフォン!シァォフォン!シァォフォン!駄目だ!嫌だ!シァォフォン!戻ってくれ!」…白髪頭になった李承鄞は懐かしい東宮に立ち、当時のことを思い出していた。そこへやはりすっかり年老いた裴照が現れる。「太上皇に拝謁いたします」「よくここだと分かったな…」「禅譲式が終わってからお姿が見えないので、宮中は大騒ぎでしたよ きっと東宮におられると思い、見に来たのです」あれから皇帝に即位した李承鄞は朝政に心血を注ぎ、今日、無事にこの豊かで平和な国を三兄の長男に託した。豊朝では初めて血を流すことのない譲位となる。裴照は急に肩の荷を下ろした太上皇の身体を心配したが、李承鄞は大事なことがまだ残っていると言った。「西州へ探しに行かねば…」「まさか…太上皇、小楓が亡くなってずい分と経ちました、もう諦めては?」「ふぁっはははは〜裴照よ…小楓の芝居を真に受けたのか? 分からぬか?小楓は私を懲らしめているのだ、間違いなく今も元気に生きている どこかに隠れて私が苦しむのを眺めているのだ」「太子妃は亡くなったのです、西州の墓にも草が生えた…もう戻られません」「違う!死んではおらぬ!死ぬわけがない…あやつはこの世で一番、賢い女子だぞ? 間違いなく生きている、我らは騙されたのだ… はあ〜情けないな、この記憶を一生、背負うのか…」「お願いです、全て忘れてください」「忘れる?…″忘川の水を飲めば情を忘れる″と言ったな…だが忘川はどこにある?」李承鄞は小楓と交わした約束を果たし、ひとり旅に出た。きっと今でも真紅の薄衣をまとった狐狸が砂丘で誰かを待っているだろう…。完(  ̄꒳ ̄)<だが忘川はどこにある? って(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<知るかーっ!いやあ〜終わってしまいました〜。゚(∩ω∩`)゚。前半の美しい自然や乗馬のシーン、小楓の真っ赤な衣装が特に印象的で、何より演出が素晴らしかった若手の李承鄞と小楓の迫真の演技にも拍手です〜(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチ↓ちなみにこちらは当時、役にハマり過ぎたと評判だった李承鄞の最終話の舞台裏です衝撃が強かった方はこれを見て立ち直ってください(^ꇴ^)
2021.02.17
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东宫 Goodbye my princess第54話「逃亡」永娘(エイジョウ)は何事もなかったかのように皇太子妃・小楓(ショウフウ)の身支度を整えていた。「…永娘の手は好い香りね?阿娘(アーニャン)の手に似ている」「入内した頃は重い病を患っておいででした…婢子はずっとお側に付き添っていたのです あの時、あなた様はまだ中原語をうまく話せなくて、うわごとで何度も″要嬗子(シャンズー)″と… のちに″嬗子″が西州で″阿娘″という意味だと知りました …もう2年も経ちましたね、太子妃も18歳の大人です、身勝手な振る舞いはお控えください」「分かってる…今後は気をつけるわ」すると小楓は名残惜しそうに永娘の手を取り、そっと頰を寄せた。やがて外は雪になった。趙瑟瑟(チョウシツシツ)は殿前に出て青鸞(セイラン)門を見つめていたが、李承鄞(リショウギン)が現れる気配はない。そして日が暮れる頃、小楓は覚悟を決めて東宮へ向かった。すると李承鄞がひとり簫を吹いている。小楓は時恩(ジオン)を下げると、門を閉じて2人きりになった。「何とも感傷的な曲を吹いてるのね…何もかも失ったみたい」李承鄞ははっとして手を止めた。「何を失おうと構わない、君がいてくれるなら…」「あなたに愛を語って欲しくない…趙姑娘(グーニャン)にあんな暴言を吐いたくせに あなたにとって愛は何の価値もない、李承鄞、あなたが欲しいのは権力だけでしょう?」「シァォフォン、私が欲しいのは君だけだ」「ふっ…あなたはもともと趙姑娘を好きだった、彼女のために毎日、私と喧嘩になったわ でも今になってあなたは彼女を利用したという あなたはもともと私を嫌ってた、いつも私を離縁するとわめいたわ でも今になって私が欲しいという…こんな人をまた信じろというの?」「君は分かっていない、色々な事情があった、私にもどうにもならな…」「あなたはそうやって言い訳ばかり、いつも私の質問に答えない もしいつか私があなたの皇位や江山(政権)や社稷(シャショク)を脅かしたら、私を殺すの?」「皇宮より危険な場所が東宮であり、皇帝より危ういのが太子だ 私の苦しみなど君には分からないだろうが…」「答えになっていないわ、いつか私を殺すの?」「シァォフォン、殺すものか!誰にも君を傷つけさせない、生涯、君を大切にする! だからお願いだ、私を嫌いでも構わない、そばにいてくれ」「だったら世継ぎの座を捨てて、私と一緒に死んで欲しい…できる?」←出た!0か100攻撃!w「なぜ死にたがる!私たちは決して死なぬ!もう全て方がついたのだ」「…できないのね?」「どうしたら私を信じる?私が死ねば信じてくれるのか?」「ふっ、あなたは死ななくていい、しっかり生きてね…」「でも君はもう僕とはいられない、そうなんだな?」李承鄞は腰が抜けたようにへたり込んだ。「悔しいんだ、君の心に私以外の人間がいることがたまらなく悔しい…なぜだ?なぜなんだ?」その時、小楓が李承鄞に歩み寄り、そっと肩に手を置いた。「リーチョンイン、実は私の心にはずっとあなたがいたのよ?」李承鄞は驚いて顔を上げると、小楓はいきなり唇を重ねた。「何だって?!もう一度、言ってくれ!頼む!」思わぬ小楓の告白に李承鄞は舞い上がり、慌てて立ち上がった。「悔しいの…あなたが私の心の中にずっといたことが…」「その言葉があれば死んでもいい!本望だよ!」李承鄞は小楓を強く抱きしめたが、なぜか急に頭が朦朧として来た。「実はここに来たのはお別れを言うためなの、さようなら…」しかし李承鄞はそこで気を失い、倒れてしまう。「…私の顧小五(コショウゴ)」小楓は紅に仕込ませてあった迷魂薬を拭い取ると、アドゥと宮殿を出ることにした。小楓とアドゥは黒装束に身を包み、寝殿を出た。すると裏門の前で永娘が警戒している。アドゥは遠回りして背後から永娘に接近すると、いきなり点穴した。そこへ小楓が駆けつけ、動きを封じられた永娘を抱きしめる。「達者でね…」永娘はかろうじて動かせる目で必死に下を見るよう合図した。目配せに気づいた小楓は落ちていた巾着を拾ってみると、中に金葉が詰まっている。「驚いた…止めに来たと思ってたけど、私に路銀を渡そうとしたのね…」永娘の想いに胸を打たれた小楓は誤解していたことを反省し、アドゥに点穴を解くよう頼んだ。しかしアドゥは解けばかえって永娘が疑われてしまうと反対する。そこで小楓はせめてものお詫びに自分の外套をかけることにした。「冷えるわ…許して」小楓は最後にもう一度、永娘に抱きつくと、後ろ髪を引かれる思いで去って行った。小楓とアドゥは宮中を抜け出し、協力者のミロを訪ねた。ミロは2人の無事な姿に安堵したが、どうも小楓の様子がおかしい。「さっき気づいたの…東宮にも私の味方がいたのよ…なのに裏切ってしまった」「永娘なら分かってくれます」アドゥは小楓を励まし、早速、ミロから逃亡計画を聞くことにした。翌朝、李承鄞が目を覚ますと東宮の床にいた。はっとして身体を起こしたが、激しい頭痛に襲われる。どうやら枕と布団を使って寝ていたようだが、小楓が持って来たのだろう。「そうだ小楓…小楓?シァォフォン!」しかし小楓の姿はなかった。李承鄞は胸騒ぎがして承恩殿へ向かった。しかし小楓はもちろん、アドゥも永娘の姿も見当たらない。そこへ裴照(ハイショウ)が永娘を連れてやって来た。永娘が点穴されて動けずにいたところを発見したという。「…太子妃はどこだ?!」「お許しください…」永娘はその場で叩頭した。李承鄞は小楓が逃亡したと確信し、裴照に必ず連れ戻せと厳命した。「警備を固めろ、城門を出る全ての者を徹底的に調べるのだ!」こうして皇太子妃の大捜索が始まった。市中には兵士たちがあふれ、城門の検問は蟻のはい出る隙もない。しかしミロは初めから想定していた。…9つの門のうち西門が一番、厳しい、きっと他の門へ行くと考えるわ…だから裏をかいて西門から出る小楓とアドゥはミロが買収してくれた高麗(コウライ)の商隊に紛れ込み、商人のふりをしてまんまと城門を突破した。その頃、裴照は皇太子妃の捜索でミロの酒楼にやって来た。しかし店内を探すわけでもなく、どこか小楓を見逃そうとしているように見える。ミロはそんな裴照の心を見透かしていた。「確かに来たけれど、もういないわ」「どこへ?!」「それは知らない、ただ将軍は本当に知りたいのかしら?」その夜、小楓とアドゥは高麗の商隊と一緒に大通旅館へ到着した。すると入り口に自分たちの手配書が貼られている。この様子では西域に通じる玉門関(ギョクモンカン)ではかなりの兵士が待ち構えているだろう。そこでアドゥは別の門へ行こうと提案した。「私がどこへ行こうと李承鄞は必ず追って来る、どうなろうと最後まで突き進んでやるわ」「はお!」小楓とアドゥは着替えを済ませると、密告される前に寝静まった聚雲楼(シュウウンロウ)を出た。早朝、小楓を無事に逃したミロは顧剣(コケン)の墓参りにやって来た。「一番好きだったお酒を持って来たわよ、そっちはどう?穏やかに過ごしている? お別れよ、都を離れるわ…ここには何の未練もない 私たちはさすらいの身、また始まるのよ、あてどない旅が…」するとミロは小さな荷物ひとつで馬を駆けて行った。一方、小楓とアドゥは日夜、馬を駆け、国境を目指した。やがて日が昇る頃、2人はいよいよ界門関(カイモンカン)に到着する。しかし界門関で小楓を待っていたのは裴照だった。「太子妃、私と一緒に戻りましょう…仮に西州に戻っても太子は追っ手を差し向けます そうなればもはや一大事、国同士の問題になります」裴照は自分ひとりの幸せではなく、人のために生きることに意義を見い出し、例え苦しくとも愛する人のためなら耐えられるという。すると小楓はならば裴照は誰のために生きているのか聞いた。裴照はまさか小楓のためとも言えず、ともかく帰るべきだと説得するしかない。仕方なく小楓は記憶が戻ったと教えることにした。「…あなたは3年前、顧小五のために忘川に飛び込むなと言ったわ ←( °◊° )え?いつ? 今日は李承鄞のために戻れと言う…本当に忠義に厚いのね」今や小楓にとって東宮も李承鄞も重い足枷、信じていた人も愛していた人も、心を許した友さえも、敵だと思い出したという。「裴照、私は太子妃ではなく、あなたの友人・小楓よ、まだ私の味方なら行かせて」小楓の記憶が戻ったと知った裴照はもはや足止めする理由がなくなった。かつて陰ながら愛する小楓を守ろうと誓った裴照と顧剣、確かにこれ以上、小楓を苦しめるのは本意ではない。裴照は馬の向きを変えると、兵士に門を開けろと命じた。小楓とアドゥは裴照の計らいで関門を通れることになった。しかしその時、激しい蹄の音と共に門を閉めろと叫ぶ声が響き渡る。小楓が驚いて振り返ると、李承鄞が騎馬隊を率いて現れた。焦った小楓は咄嗟に前を行くアドゥの馬を叩き、門が閉まるギリギリのところで脱出させることに成功する。「公主!公主っ!」アドゥは必死に閉じた門を叩くがびくともせず、逃げ遅れた小楓は仕方なく馬を捨て、関門の階段を駆け上がった。李承鄞と裴照が後を追って関門に上がると、小楓はまさに身を投げようと縁に立っていた。「やめろ!…小楓、君の心は冷え切っている、どうして私では暖められないんだ」「あなたの手の方が冷たいのに、どうやって暖められるというの?」「君が私への自分の真心に気づかないわけがない、私を愛したことがないなんて信じないぞ」小楓は確かに顧小五だった李承鄞を愛していたと思うと切なくなった。「小楓、おいで、先に降りるんだ…」しかし李承鄞が近づこうとすると小楓が後ろに下がってしまう。李承鄞は慌てて立ち止まり、仕方なく話を続けた。「はお…なら教えてくれ、君は私を愛していた、そうだろう? …顧小五への愛に比べれば数千分の1、数万分の1かもしれない でも私を愛していたはずだ?教えてくれ!」「ふっ、私が愛したのは顧小五だけ」「奴は死んだ…もう死んだんだ!知っているだろう?!」「私の顧小五ならとっくに死んだわ」しかし李承鄞にその意味が分かるはずもない。「…私を愛したことがないならなぜ恨む? 君とって私など無関係だと言うなら、どうして命がけで逃げようとするんだ? 私が顧小五を殺したせいじゃない、顧小五を殺す前だ 東宮に戻ってきた時に君の私を見る目は変った、私を避けるようになったんだ、なぜだ?」「…本当にあなたがうらやましい、忘れたまま思い出さなくていいんだもの どうして私は忘れたいのに忘れられないの?どうしてあなたを憎みたいのに憎めないの?」李承鄞は小楓の言いたいことが分からず困惑した。「リーチォンイン…私はあなたにとって永遠に忘れられない人かしら?」「小楓?教えてくれ、私は…私は一体、何を忘れているんだ? とにかく降りてから私に教えてくれ、このまま君を失いたくない」「はぁ…本当に忘れたい…だからリーチョンイン、あなたを許す 私たちの蜜月も何もかも水に流しましょう…借りも、過分な望みも、絶望も全て… あなたを解放して私も自分を解放すると決めたわ、これで私たちはもう2度と会うことはない」「だめだ、小楓…私は一体、何を間違えた? 一体、私のどこが悪いんだっ!私の何を許すと言うんだ!」李承鄞は苛立ちを隠せず声を荒げたが、必死に冷静さを装った。「おいで、先に降りるんだ…」その時だった。小楓はうっすら笑みを浮かべ、そのまま後ろに倒れて身を投げてしまう。「シァォフォン!」驚いた李承鄞は思わず身を乗り出し、小楓の後を追おうとした。裴照は咄嗟に皇太子を引き止めたが、興奮した李承鄞に殴られてしまう。しかし裴照は血を流しながらも、今回は皇太子を離さなかった。李承鄞はなす術なく、関門から落ちていく小楓を見つめていた。その時、かつて同じように落下していく小楓を見たことを思い出す。この小さな綻びがきっかけとなり、李承鄞の脳裏に忘れていた全ての記憶が一気に溢れ出した。「うっ…うわあぁぁぁーーーっ!」すると李承鄞は激しい頭痛に襲われ、もがき苦しみながら血を吐いて卒倒してしまう。一方、落下した小楓は危ないところでアドゥが受け止め、そのまま馬を駆けて西州へ向かった。つづく(๑ŏ _ ŏ)<再見…我的顧小五…※後半のセリフは管理人が配信当時、直訳したものです
2021.02.15
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东宫 Goodbye my princess第53話「因果」柴牧(サイボク)と別れた李承鄞(リショウギン)は小楓(ショウフウ)に会いたい一心で馬を駆けた。宮中へ到着した頃にはすっかり暗くなっていたが、居ても立ってもいられず承恩殿へ駆けつける。すると小楓は後ろ手に短剣を隠し持ち、寝所から姿を現した。「シァォフォン!ただいま!」李承鄞は息を弾ませながら嬉しそうに小楓を抱きしめた。「これで全て解決した、芝居ももう終わりだ シァォフォン、君を愛している、心から愛しているよ 君と顧小五(コショウゴ)の件なら忘れてみせる、だから君も忘れると約束してくれ これから2人で…(はっ!)」その時、李承鄞の身体に激痛が走った。李承鄞が小楓を手放すと、左胸に短剣が突き刺さっていた。「なぜだ…なぜそこまで私を憎む?」小楓は急に恐ろしくなって後ずさりしたが、李承鄞がじりじり迫って来る。「顧小五を忘れるのが…ゥッ…そんなに難しいか?!」やがて小楓は寝所の段差につまづいて尻もちをつき、逃げ場を失った。「忘れる?グゥシャオウーを?ふっ…私だって忘れたいわっ!忘れられない自分が恨めしい!」すると李承鄞は自ら短剣を抜き取り、小楓の手に握らせて自分の右胸に突き立てた。「さあ殺せ…ほら、殺せよ!私を殺せばいい!」「キャアーッ!」小楓はいざとなると李承鄞を殺せず、思い切り突き飛ばして泣き崩れてしまう。李承鄞は逃げるように承恩殿をあとにすると、青鸞(セイラン)殿で倒れた。趙瑟瑟(チョウシツシツ)はすぐ太医を呼んだが、到着を待つ間、意識を失った李承鄞がうわごとで小楓の名を呼び続けている。李承鄞が小楓を愛していると確信した瑟瑟は呆然となり、門に腰掛けたまま朝を迎えた。すると意識が戻った李承鄞が寝殿から現れる。2人はしばし見つめ合ったが、結局、李承鄞は一言も声をかけずに麗正(レイショウ)殿へ戻った。一方、小楓はアドゥに李承鄞を殺せなかったと話し、自分の情けなさを憂いた。「こんな調子で東宮を抜け出せるかしら…」その時、突然、瑟瑟が入って来る。「逃げるなら手を貸すわ、あなたたちを宮中から出してあげる」小楓たちの計画は瑟瑟にとって渡りに船だった。「李承鄞を愛してるの…ひと目見た瞬間に恋に落ちたわ 趙家の力なら十分、皇太子妃になれたけど、地位などどうでもよかった ←え?( °◊° ) 私はただ、いつも孤独で憂いの絶えない五皇子に寄り添ってあげたかっただけ …私たちは信じ合っていた、私だけを愛すると誓ったのに、あなたが現れてから変わってしまった 殿下の心が離れてしまったのはあなたのせい…あなたのせいよっ! あんなに思われているのに殿下を刺すなんて…」瑟瑟は李承鄞がずっと小楓の名を呼び続けていたと話した。「教えて、これまで殿下を愛したことはある?」「めいよ~、1度もないわ」小楓が断言すると、瑟瑟はならば李承鄞の元から去るよう告げた。「あなたが殿下を傷つけると、私の心はその倍、痛むのっ!」「…はお」「明日、東角(トウカク)門へ、馬車を用意しておくわ」獄中の高于明(コウウメイ)は宮中に鳴り響く鐘の音を聞いた。今度は一体、誰が亡くなったのか。高于明はため息を漏らしたが、ふと最悪な結末が頭をよぎる。「そんなまさか…」その時、李承鄞がやって来た。「貴妃を弔う鐘です、高貴妃は流産による出血のため死去しました」すると李承鄞が差し入れを持って牢に入って来る。「幼少の頃から面倒を見ましたのに…」明かり窓を見上げていた高于明は涙をこらえながら言葉を詰まらせた。「それゆえ最後のお見送りを…」李承鄞が届けた餞別は2人の思い出深い胡桃菓子だった。高于明はこの菓子が李承鄞の好物だと信じて疑わなかったが、李承鄞は実は好物ではなかったと暴露する。「あなたが望んだから、たとえ砂をかむようでも笑顔で飲み込み、従順な子を演じたのです」高于明は李承鄞がそんな幼い頃から本心を隠して来たと知り、今さらながら恐ろしくなった。「私は年老いてから病を隠れ蓑にする方法を覚えたのに…私より上手(ウワテ)だ」すると李承鄞は最後に教えて欲しいことがあると頼む。「顧家に何の恨みもないのに、なぜ顧如晦(コジョカイ)を陥れたのです?」「…顧如晦も今際に同じことを尋ねました、私は微笑んだだけで何も答えなかった」高于明は答えをはぐらかすと、李承鄞は権力を我が物にするためだと推察した。これには高于明も失笑するしかない。「愚か者め、考えても見ろ、全盛だった顧家を当時の高家が倒せると思うか?」拾翠(シュウスイ)殿に御膳房から菓子が届いた。明月(メイゲツ)は菓子の中から密書を発見、その内容に激しく動揺する。その頃、ひとり旅立った柴牧は太通旅館に到着していた。すると先回りした皇帝が部屋で待ち構えている。柴牧は即座に拝礼し、顧家と陳家の無念を晴らして奸臣を排除するには皇帝の目を欺くしかなかったと謝罪した。しかし皇帝は朝廷にとっては快挙だと褒め、すでに準備していた酒を勧める。「20年ぶりだな…朕も時折、お前を思い出すことがあった、その忠誠心を承知ゆえ出向いたのだ お前と顧如晦はずっと朕が最も信頼する者たちだった ようやく高于明を倒したのだ、陳征の身分を回復してもよかろう」「陳征は20年前、すでに死にました、そして柴牧も永遠に消えるでしょう」「そうか、では柴牧との別れに…乾杯」柴牧は迷わず杯を空けた。明月は諸悪の根源が皇帝だったと知り、その夜、拾翠殿にやって来た皇帝を責めた。「皇上は自らの行いを後悔したことが?」「朕は皇帝の務めを果たしたのみ、悔いなどない」「そのせいで愛する人々を失ってもですか?」しかし皇帝は愛する者を失うことより、愛する者が利用され、己の脅威になる方が恐ろしいという。「さらに恐ろしいのは愛する者に欺かれることだ」「…因がなければ果は生じません 身を守るために周りの者を次々と切り捨てれば、いつか大切な人は誰もいなくなってしまう」すると皇帝はひとり残れば十分だと答え、今は明月を愛していると言った。「…父を許せるのですか?」「もちろんだ」皇帝は即答したが、明月は思わず視線をそらした皇帝の嘘に気づく。もはや元には戻れないと分かっていながら、皇帝への愛との狭間で揺れる明月、そんな明月の未練を見透かした皇帝は、全て水に流して新たに始めようと説得した。その夜、明月と床に入った皇帝は顧玉瑤(コギョクヨウ)の夢を見た。…あなたが憎い…皇帝は顧玉瑤に胸をひと突きされた所で飛び起きる。夢だと安堵し、額の脂汗を拭う皇帝、その時、手のひらが真っ赤になっていることに気づいた。すると横で眠っていた明月が自分の宝剣を胸に突き刺し、すでに息絶えている。「明月…明月っ!」皇帝はあまりの衝撃でそのまま卒倒した。皇帝は四肢の麻痺や言語障害などの症状から中風(チュウフウ)と診断された。太皇太后は見舞いに行こうとしたが、急にやめることにする。「行って何になるの?私の子も孫も曽孫も、皇位に立っては倒れ、倒れてはまた次の者が立つ 玉座の主が替わるだけよ、またもや新たな帝王が誕生するに過ぎない…」その頃、李承鄞は父の枕元で初めて本音を打ち明けていた。「父亲を尊敬していました、ですが父亲はいつも私に冷淡で、愛された記憶はありません ふっ…後に知りました、あなたは高家の勢力を恐れて、皇后に育てられた私を遠ざけたのだと… あれこれ思い巡らすうち、いつしか私が息子だということをお忘れに? そうやって弱々しく横たわる姿は、ただの老人と変わりませんね ですが私には今のあなたの方がずっと父亲らしく思える…誰が想像したでしょう? 結局、最後にあなたを打ち負かしたのは、あなたが恐れていた者たちではなく、 取るに足らぬ女子1人とその腹の子だった 父亲、あなたは情を捨て切れなかった、でも今やあなたは愛する者も愛してくれる者もいない 分かっています、皇位を守るには冷徹であるしかない、今の私もあなたに学び、変わったのです」皇帝は必死に何か訴えようとしたが、もはやどうすることもできなかった。すると李承鄞は父の手を優しく包む。「ご安心ください、必ずやよき皇帝になってみせます、どうかゆっくりお休みください」一方、瑟瑟は皇帝の平癒祈願を口実に宮中を出ることにした。馬車にはお付きの宮女になりすました小楓とアドゥが乗っていたが、無事に検問を突破する。やがて郊外まで出ると、小楓とアドゥは馬車を降りた。瑟瑟は最後まで冷たかったが、小楓は引き返す馬車を見送りながら、そんな瑟瑟が羨ましいという。「あんなにも一途に誰かを愛せるなんて…でももう邪魔者は去るわ、李承鄞もこれで幸せね さあ、私たちの西州に帰りましょう!」良娣(リョウテイ)の馬車が出かけてしばらくすると、別の馬車が東宮にやって来た。裴照は検問のため馬車を停めたが、窓から珞熙(ラクキ)がひょっこり顔を出す。「裴将軍、自宅の馬車も見分けがつかないの?」珞熙は仕事熱心な夫に目を細め、父の平癒祈願の帰りに寄ってみたと言った。「では玉泉(ギョクセン)寺に行ったのか、良娣に会っただろう?」「趙良娣?いいえ、私が出る時にはもう廟門が閉まっていたわ…それじゃ」裴照は珞熙の馬車を見送ったが、その時、はたと気づいた。「まずい…馬をっ!」裴照は皇太子妃と良娣を東宮へ連れ戻し、皇太子に事情を説明して下がった。「君か、彼女たちを連れて行ったのは」「はい…」瑟瑟は素直に認めたが、これも李承鄞のためを思ってしたことだと釈明する。「殿下、この者は殿下が愛するに値しません!」「そなたが決めることではないっ!逃亡の手引きは死罪だぞっ!」李承鄞が激怒すると、小楓は咄嗟に自分が頼んだと瑟瑟をかばった。「罰するなら私を罰すればいいわ…」「黙れっ!当然、君も罪に問う!この宮中で未だにたやすく人を信じるとは!」「…確かに1人の人間を改めて見極めるまでに随分かかったわ」「何の話だ?!」「殿下、彼女はあなたを愛していない、あなたもお分かりのはずです 本人の口から聞きました、あなたを愛したことも、気に留めたこともないと… 彼女にはわずかな情さえない、宮中にいるよりむしろ私に連れ出してもらうことを選んだのです あなたのそばにいるのは不本意なのです」 李承鄞は瑟瑟から小楓の気持ちを知って深く失望したが、それでも手放せなかった。「…彼女の心に私がいなくても、私には小楓だけだっ」すると瑟瑟は呆然となった。「では私は?…私は何なのですか?!」「利用したんだ!…始めからずっと利用していた!これで満足か?!」激情に駆られた李承鄞は思わず本音をぶちまけ、瑟瑟を深く傷つけてしまう。これには小楓も驚愕した。まさか瑟瑟への寵愛が全て演技だったと言うのか…。李承鄞のあまりに残酷な言葉に瑟瑟は立ちくらみを覚えた。「最初から利用していた? 私は相思相愛だと思っていました…全ては利用するためだったなんて 私、趙瑟瑟は初めてお会いした日からあなたが好きでした その日、心を奪われてから私の生活の全てがあなたを中心に回り始めたのです 覚えていますか?あなたを西州へ見送った時、あなたを待つと約束しました でもあなたが戻ってみると全て変わっていた…あなたが娶ったのは別の人 でも私は自分に言い聞かせた、あなたの心にいるのは私だと… それが今になって私の片思いだったなんて…ゥッ… 責めません、あなたを責めたりしない、だって私があなたを愛しただけ、潔く負けを認めます でも太子妃に負けたのではない、あなたに負けたのよ、愛という賭けで…」 すると瑟瑟は絶望に打ちひしがれながら出て行ってしまう。小楓は小さくなる瑟瑟の背中を見送りながら虚しくなった。「…あなたは失ってしまった、最も自分を愛してくれる人をね…本当に哀れだわ」李承鄞も結局、父と同じように愛してくれる人を失い、愛する人にも憎まれ、途方に暮れた。つづく(  ̄꒳ ̄)愛に勝ち負け持ち出してる時点でもうアウトって気がするわ
2021.02.14
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东宫 Goodbye my princess第52話「高家の最後」高于明(コウウメイ)はようやく最大の敵が身近にいたと気づいた。思えば李承鄞(リショウギン)と陳征(チンセイ)は初めから自分に刃を向けていたのだろう。焦った高于明は安護府の高顕(コウケン)に文をしたため、大至急、届けるよう高坤(コウコン)に託した。そこへ突然、皇帝付き太監・曹芨(ソウキュウ)が訪ねて来る。何でも娘の貴妃・高如意(コウニョイ)が重い病を患い、皇帝が高于明を呼んでいるというのだ。高于明は少し時間が欲しいと頼んで高価な玉を差し出したが、曹芨は受け取ってくれない。「直ちにというご命令です、どうか今すぐお着替えください」高于明は身支度を口実に屋敷に入ると覚悟を決めた。そして高坤にすぐ都を離れるよう命じる。「妻子も財産も捨てて逃げるのだ、よいな!」高于明は息子を守るため宮中へ上がり、時間を稼ぐことにした。「父上…ゥッ…」その意味を悟った高坤はその場で泣き崩れてしまう。しかし高于明は息子を立たせて急かした。「生き延びろ、行けっ!」皇帝は華熹(カキ)殿ではなく、書庫である鴻文(コウブン)館で高于明を待っていた。ここはかつて高于明が顧如晦(コジョカイ)や陳征たちと共に皇子たちの勉強相手を務めた懐かしい場所でもある。当時は李賾(リサク)もまだ皇子たちの中の1人に過ぎなかった。すると皇帝は急に鴻文館で学んだ最初の一節を暗唱する。高于明はそれより娘の具合がどうか尋ねたが、皇帝は無視して話を続けた。「如晦は優秀だった、暗記が一番早かったな、だが于明はいつも最後だったろう? だから太傅は罰として10回の書写を命じていたな、皆でそなたを愚か者だと笑ったものだ まさかそなたを宰相として重用する日が来ようとは夢にも思わなかった… 高于明、己の罪を分かっているな?」「分かりませぬ、皇上、お示しください」「…ずっと頭を傾けていて疲れぬか?もうよい、頭を持ち上げよ」「すでに皇上はご存知だったのですね」高于明は久しぶりに皇帝の前で姿勢を正すと、なぜ仮病と知りながら放置したのか聞いた。そこで皇帝はある例え話をする。「若い頃、共に獅子が羊を襲うのを見た、覚えているか? 獅子が気にするのは羊の若さでも病の有無でもない、己が飢えているかどうかだ 掟を決めるのは獅子だ、羊ではない…高于明、己の力に溺れたな」皇帝は高顕が異民族と結託して茶番を繰り広げてきたことを知っていた。すでに証拠もあるという。「で、挙子の件をどう釈明する?」「皇上は釈明を聞きたいのですか?それとも罪を認めさせたいと?」皇帝は思わず失笑した。これまでの高于明なら用意周到に芝居を演じられたが、今日は何の準備もできなかったと見える。すると高于明は芝居などできないと否定し、高家は皇帝と国のために尽くして来たと訴えた。「朕と国のためだと?よくそんなことが言えたものだ! そなたの姪と娘は朕が皇后と貴妃に封じた、息子も大将軍に封じてやった あらゆる地位と名声を与えた、今のそなたがあるのは朕のおかげであろう? だがそなたは皇后や貴妃と結託し、朝廷や後宮で己の勢力を広げた そして息子は辺境で敵と内通していた…朕が何も知らぬと思ったか?! そなたが科挙の不正を指示したと判明し、民から不満の声があがった時もそうだ 朕はどうしたと?…民の不満を抑え、そなたに罰を与えなかった 于明よ、朕の恩に報いようと考えたことはなかったのか?」「天下は皇上のものです、私ははたきのようなもの… 皇上が埃を見つけて手を動かすと、私が代わりにほこりを払ってきました ″芝居″ですか…私は最高の演技ができました、全ては皇上のおかげです」「何だと?」「皇上は自ら舞台を作り、筋書きをお書きになった しかし脇役の1人に過ぎなかった私が主役を奪い、そして最後には顧如晦を倒したのです …私は忠臣を陥れた逆賊となり、皇上に恩を仇で返しました うまく演じられたと満足しています( ・`ω・´)キリッ」その頃、高坤はひとり馬車で城門へ向かっていた。しかしどうしても家族を見捨てることができず、父の忠告に背いて屋敷に戻ってしまう。外は雪になった。高于明はふと顧如晦が死んだあの日も雪だったと思い出す。当時のことは今でも良く覚えていたが、顧如晦を失脚させたのは決して私心からではなかった。「私が初めて鴻文館に足を踏み入れた時、皇上は私など眼中にありませんでした やがて帝位に就かれた時、当然、親しい友を重用すると踏んでいました そんなある日、皇上は私に会いに来られた、そして取り立てると仰せになったのです その日を境に私は変わった、鴻文館で笑い者だった私がついに必要とされる時が来たと! ″皇上のためなら水火も辞せず″ 私はそう誓ったのです」しかし高于明はいつか自分も顧如晦のような目に遭うのではと怯えるようになった。そのため病を装い、何事もなかったかのように振舞ったという。いずれ綻びが出ると分かっていたが、それでも他に手立てはなかった。皇上の信頼を得られたのはほんの一時に過ぎない、高于明自身も重々、分かっていたという。「私は己の立場を利用し、逃げ道を作りたかったのです 朝廷には行き止まりしかない、それとも別の道がありましたか?」当時、顧如晦は実に賢い選択をした。長男ではなく嫡子でもない望みの薄い李賾に付き、皇位に就けるべく奔走する。顧如晦の壮大な志が無欲な李賾の心にも火を付け、顧如晦が行く手を阻むものを燃やし尽くしたのだ。「そしてあなたは玉座に就いた、だが気づいたのです ″顧如晦の心の火は消ていない、その火が再び燃え盛れば大きな災いになる″と…」「見抜いておったか…」「私も同じ轍を踏みました…顧如晦が出世した時、私は晋州のしがない役人だった 野心はなく、勤めに励んでいたのです、まさか皇上に重用される日が来ようとは… 確かに私は徒党を組み、賄賂を受け取っていました だが、どれも私が死罪になる理由にはなりませぬ …いにしえより有能な官吏には黒い噂が付き物です、目に余れば過去を理由に切り捨てる 皇位にも天下にも支障はない、所詮はうわべだけの関係なのです 代わりの人材などいくらでもいる、私は早くからそれに気づいていました、きっと皇上より早く… 私は命運が尽きた、しかし代わりはすぐに出て来ます、次は誰でしょうか?」「うわべの関係と言ったが、否定はせぬ だが顧如晦には申し訳ないと思っている、奴は朕を裏切っておらぬからな しかしそなたは違う、罪は極めて重いぞ」高于明は皇帝が鳴玉坊(メイギョクボウ)での暗殺未遂を示唆していると分かった。しかし陳征の娘である明月を敵視こそすれ、刺客は放っていないと釈明する。「明月の身に起きたことは全て私につながっています、初めから周到に計画されていたのです 誰かが策を練っており、その矛先は全て私に向いていた…」高于明は陳征が皇太子のために策を練り、授けていたと暴露した。皇帝は驚いた様子だったが、仮に真実でも実の息子なら問題ないと取り合わず、この期に及んで手こずらせたと呆れる。すると高于明は最後に知りうる情報を全て明かすことで、皇帝に尽くしたと言った。「お願いがございます、貴妃はお腹に皇上の子を宿しております、命だけはお助けを…」「…はお」高坤は家族を連れて屋敷から出るところだった。しかし裴照(ハイショウ)率いる羽林軍が駆けつけ、連行されてしまう。その頃、高于明は雪が舞い落ちる中、衛兵に担がれて大理寺へ向かっていた。承恩殿では小楓(ショウフウ)が窓から雪を見ていた。「雪ですか?」小楓はアドゥの声に驚いて寝台に駆け寄ると、アドゥの意識が戻っている。「雪ですね?」「そうよ」「もし西州にいたら、とっくに雪が降っているでしょうね…」するとアドゥは顧剣のために弔いの儀を行いたいと頼んだ。「西州ではその年の最初の雪の日に亡魂を弔います 成仏できずに彷徨う魂の汚れが清められ、あの世に行けます」その夜、小楓とアドゥは中庭で顧剣の亡魂を見送った。「幽幽魂…鈴の音に導かれ、輪廻の道に入るのだ…」2人が鳴らす鈴の音が寒空に響き渡ると、ふいに突風が中庭を吹き抜けて行く。まるで小楓たちに別れを告げるかのように…。「顧剣は行ったのですね」「ええ、自分のいるべき場所に…」「公主…西州に帰りましょう」「待って、やることがあるの…李承鄞を殺す」翌日の朝議で高于明と高顕が断罪された。これにより高氏一族は皆殺しに、また高氏一派は官位の高低に関わらず流刑となる。ただし高如意だけは夫婦の情から死罪が免じられ、庶人に降格して冷宮送りと決まった。しかし臨月の如意のもとに皇帝から安胎薬が届く。如意はその意味を悟り、皇帝の非情さを思い知りながら薬を飲んだ。その頃、高顕は再び朔博(サクハク)との小競り合いを演じるため、林の中で待ち構えていた。そこへ都から密書が届く。…息子よ、私は顧家の件で断罪に処されるだろう…もはやこれまで…身を守るため早急に逃げよ、分かったな?父よりいくら待っても朔博軍が来ないはずだ。高顕はもはや安護府に戻っている時間もないと気づき、兵を連れて直ちに国境へ向かうと決める。「皆を集めろ、西州へ行くぞ…早くしろ!」高于明に陥れられた顧家の名誉は回復された。こうして顧家の名もなき埋葬地には墓石が立ち、顧如晦は忠国公に追封、忠孝陵に葬られる。ついに復讐を果たした李承鄞と柴牧(サイボク)、しかし顧剣の墓標を前に2人はその代償の大きさを痛感していた。すると李承鄞が陳征として朝廷に戻り、将来は自分を補佐して欲しいと持ちかける。しかし柴牧は辞退し、隠居すると言った。高于明の失脚という念願を果たしたことも大きいが、もはや務めを果たす自信がないという。かつて顧如晦と共に皇帝のそばにいながら、奸臣に籠絡されるのをただ見ているしかなかった。結局、顧如晦のことも守れず、そして今回も…。「もう沢山です、全て忘れたい…」柴牧は最後に明月(メイゲツ)への伝言を頼んだ。「″お前が進むと決めた道に口を挟む余地はない、ただ警戒を怠るな、達者で″ と…」「分かりました」李承鄞も今回は素直に明月への伝言を引き受けた。つづく(  ̄꒳ ̄)なるほど~実は皇帝の疑心が発端だったというオチ柴牧も李承鄞が皇帝と同じ轍を踏むのを見たくなかったのでしょうか?って、そもそも柴牧が復讐を焚きつけて小楓を利用したせいだろうがっ!( *`ω´)
2021.02.13
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东宫 Goodbye my princess第51話「迫る包囲網」李承鄞(リショウギン)の罠と知りながら東宮にやって来た顧剣(コケン)…。しかし厳戒体制の中、小楓(ショウフウ)が裴照(ハイショウ)に捕まり、李承鄞の元へ連れて行かれてしまう。裴照は最後の情けで顧剣に引き返すよう迫ったが、顧剣は盟友に別れを告げた。顧剣は深手を負ったアドゥと一緒に東宮の広場へ駆けつけた。すると2人はあっという間に羽林軍に取り囲まれ、逃げ場を失ってしまう。その様子を李承鄞は小楓と共に2階の回廊から見下ろしていた。小楓は異様な光景に恐れおののきながら、藁にもすがる思いで李承鄞に命乞いする。「リーチョンイン…何の冗談なの?…早く止めて…止めさせてよっ!」しかし李承鄞は憤然として一瞥もくれない。小楓は咄嗟に裴照に助けを求めたが、主の命令は絶対だった。「刺客の誅殺は私の責務なのです…どうかご容赦を」「…しっ…刺客じゃない…あれは顧剣でしょう?!」小楓が顧剣の名を叫ぶのを聞いた李承鄞は、ついに羽林軍へ号令をかけた。「ファンジィェン(矢を放て)!」「ぶぅぉぉぉぉ(だめぇぇぇ)!」射撃隊が一斉に矢を放った。すると李承鄞は怯える小楓を捕まえ、両手で頭を押さえつける。「来いっ!よく見ろ!愛する男の死をしかと見届けるがいい!」小楓は残酷な現実に耐えられず、目を閉じて絶叫した。「いやあぁぁぁぁーーーっ!」「目を開けろ!目を開けるのだ!しかと見よ!」李承鄞は泣き叫ぶ小楓を突き放すと、修羅の如く矢を放てと叫んだ。やがて広場は静かになった。小楓は這うように欄干へたどり着き、心配そうに下をのぞき込む。すると胸に矢が命中した顧剣の姿があった。顧剣はそのままへたり込んだが、小楓の姿に気づいて優しい笑顔を向ける。しかしそんな2人の見つめ合う様子が李承鄞を更なる凶行に及ばせた。「矢を放て…」小楓と裴照は思わず耳を疑い振り返る。その時、顧剣は倒れているアドゥを守るため、咄嗟に上から覆いかぶさった。小楓はひざまずき、李承鄞にすがった。「早くやめさせて!これ以上、矢を射ては駄目よ!アドゥも一緒にいるのよ?! アドゥが一体、何をしたと言うの?!もうやめてぇぇぇ!嗚呼あぁぁぁーーっ!」鳴り止まぬ弓音、胸が張り裂けんばかりに泣き叫ぶ小楓、その時、ようやく李承鄞が手を挙げる。裴照はすかさず攻撃を止めると、小楓は急いで石段を駆け下りて行った。その時、アドゥの悲痛な叫び声が響き渡る。「顧剣!あああぁぁぁぁ…っ!」アドゥは全身に無数の矢を受けた顧剣を目の当たりにし、血を吐いて卒倒した。小楓が駆けつけた時には顧剣はもはや虫の息だった。「アドゥに…万が一のことがあれば…ゥッ…君は生きて行けぬだろう… 私は…ァ…もう2度と…君を悲しませたくない」「あなたは身を挺してアドゥを守ったのよ…ゥゥゥ…なんて馬鹿なことを…ゥゥゥ…」「君に申し訳なくて…グフ…」悲しみに打ちひしがれる小楓、しかしそんな2人の様子を李承鄞は苦々しい顔で見下ろしていた。顧剣は血だらけの手で元宵節の夜に買ったかんざしを取り出した。小楓はあの時、髪に挿すことができなかったと思い出し、その場でかんざしを挿して見せる。「どう?見える?」喜んだ顧剣は最後の力を振り絞り、愛しい小楓に手を伸ばした。今となっては西州で何の憂いもなく幸せだった頃が懐かしい。しかし図らずも小楓を復讐に巻き込み、一生守ると約束しながら傷つけた。そして小楓は愛する人と出会い、気が付いた時には自分の手の届かないところまで行ってしまう。…暗闇の中でもあなたを探し続けよう 例え私の光が奪われたとしても…大海原をあてどなく彷徨う 流れには抗えず寂しさが募る…追憶の海であなたを探し続ける あなたは私の天国…あなたこそ私の天国なのだから小楓は突然、力なく落ちてきた顧剣の手を受け止めた。「はっ!…師父!目を開けて!一緒に西州へ帰るのよ!」ついに小楓の手をつかむことが叶った顧剣、しかし時すでに遅く、旅立ったあとだった。。゚(∩ω∩`)゚。 あああぁぁぁ…小楓は顧剣から離れることができず、そのまま夜が明けた。心配した裴照は皇太子妃の腕をつかんで立たせようとしたが、小楓に振り払われてしまう。「離してっ!」裴照は仕方なく引き下がると、小楓はようやく李承鄞の姿に気づいた。「そやつが死んでそんなに辛いのか?」 「ええ、とても辛い…満足でしょう?満足なのよね?」「そんなに奴が好きなのか、私を殺したいほど…」「…私の顧小五(コショウゴ)は死んだ、もう生き返らない、あなたが自分で殺したのよ」しかし李承鄞にその意味が分かるはずもない。「私を恨めばいい、恨まれる方が無視されるよりましだ…」すると李承鄞は帰って行った。その頃、鎮北侯・趙敬禹(チョウケイウ)は丹蚩(タンシ)軍の残党を捕縛することに成功していた。残党がイモイェンの部下だったと知った趙敬禹は、当時の丹蚩と高顕(コウケン)の結託について白状すれば楽に死なせてやると条件を出す。一方、明月(メイゲツ)の懐妊で焦りを隠せない高如意(コウニョイ)は父を頼った。しかし高于明(コウウメイ)は寵愛を争わないようなだめる。今や高家は四面楚歌、以前とは事情が違った。「お前は貴妃だ、鷹揚に構えよ、明月に良くすれば皇上も情をかけてくださる」すると高于明は皇帝の気を引きたいなら太皇太后を訪ねるよう助言した。趙敬禹は朔博(サクハク)王・リドゥンを訪ねた。そして古来より敵と組んで茶番を演じるのは常套手段だと、暗に高顕と朔博に密約があることをほのめかす。しかし今や高于明も八方塞がり、皇帝からの信頼も揺らいで身辺調査が始まっていた。そんな高于明にとって朔博王は最後の砦、恐らく朔博を利用して決死の賭けに出るはずだという。「高于明の失脚前に踏み台にされても良いのですか? 私は高顕と丹蚩の結託の証拠を握っています、ご興味はありませんか?」趙敬禹は丹蚩の末路を考えてみれば分かることだと牽制して帰って行った。明月は太皇太后に琵琶を披露した。太皇太后はその姿が亡き顧玉瑤(コギョクヨウ)と重なり、皇帝がなぜ心を惹かれたのか合点が行く。ただし皇帝がいくら寵愛したとしても、身の程をわきまえるよう釘を刺した。すると太皇太后は明月に女誡(ジョカイ)を授け、これを毎日3回ずつ書写するよう命じて下げる。その話を聞いた如意は明月が太皇太后の御眼鏡にかなわなかったと知り、満更でもなかった。そこで早速、寿仁宮へ挨拶に向かったが、太皇太后は休んでいると口実をつけて追い返してしまう。小楓は未だ意識が戻らないアドゥのそばでぼんやり座っていた。「全て私のせいよ、皆が命を落としたのは私が顧小五を愛したから… 分かっていたわ、李承鄞は顧小五じゃない…私の顧小五はとうに死んだ それなのになぜ?…なぜまた思い出したの?…これは私への天罰? あの冷酷非情な男を2度も愛し、周りの罪なき人まで大勢、死に追いやってしまった 罰として私は生き地獄を味わうことになったのね…これは全て天罰よ…私への罰なんだわ」李承鄞は柴牧(サイボク)が顧剣の亡骸を埋葬するのを見守った。そしてその夜、承恩殿を訪ねたが、小楓はまだ血がついた衣も着替えずにいる。「いつからここに?」「アドゥが戻ってからずっとです」永娘(エイジョウ)の話では食事はおろか水も飲んでいないという。仕方なく李承鄞は小楓を寝かせようと腕をつかんだが、小楓は無言でその手を払った。「少し休め、君がいなくてもアドゥは死なぬ、不眠不休で飲まず食わずでは倒れるぞ?」李承鄞は永娘が持っていた粥を差し出したが、小楓は頑なに拒み続けた。そこで仕方なく強硬手段に出る。「さもなくば、アドゥを追い出して2度と会わせぬぞ?」それでも小楓は虚ろな目で一点を見つめたまま黙っていた。「誰か!アドゥを担ぎ出せ!太子妃に邪気が移るからな…」すると内侍たちが慌ただしく入って来た。驚いた小楓は脅しではないことに気づき、粥を一気に口に流し込む。「これでいいでしょう?もう出てって…」「…もしまた食事を拒むようなら、アドゥを追い出す」李承鄞も無理強いするのは不本意だったが、小楓のために心を鬼にするしかなかった。小楓に手を焼く李承鄞だったが、一方で高于明の包囲網は順調に進んでいた。東宮には趙敬禹からの密報が届き、報告を読んだ李承鄞は満足そうに笑う。一方、水面下で動いていた刑部尚書・宗奐(ソウカン)は高于明が7名の挙子の案件に関与した証拠を手に入れていた。しかし并州(ヘイシュウ)の調査は多難を極めるどころか、まるで誰かが手はずを整えてくれたかのようだったという。「矛先が全て高右相に向いていたのだ…」宗奐は明らかに高位の誰かが裏にいると気づき、自分が捨て駒にされることを恐れた。話を聞いた太常寺卿(ジケイ)・奚清卓(ケイセイタク)は自分たち臣下は朝廷の棟木(ムナギ)と梁(ハリ)であり、結束してこそ礎が安定すると説得、崩れれば全員が土に埋まるという。すると宗奐は尻込みしていた自分を恥じ、奚清卓と共に志を貫くと誓うのだった。高于明を弾劾する奏状が次々と届いた。朝議は紛糾、皇帝は高于明への怒りを爆発させる。その頃、高于明は屋敷に閉じこもって動静をうかがっていた。すると挙子の件を探っていた高坤(コウコン)が思わぬ事実を見つける。実は自死した挙子の先導者が并州出身で、しかも30年前に宗奐が師事していた恩師だった。これには高于明も言葉を失い、皇帝が誰を引見したか確認する。しかし高坤は宗奐も奚清卓も呼ばれていないと訝しんだ。「…引見は太子だけです」高如意は政務中の皇帝に夜食を差し入れ、父への寛大な処置を訴えた。しかし皇帝は朝廷のことに口を挟むなと冷たい。「高右相は私の父です、見て見ぬふりはできません 皇上に仕えて数十年、父の忠心はご存知のはず、いまだ処罰しないのは長年の情があるからでは? …皇上、高右相はこの子の祖父ですよ?」如意は皇帝から邪険にされても食い下がり、いよいよひざまずいた。「皇上!私は妻として務めを果たしたつもりです、父は補佐役として尽くして参りました それすらご配慮いただけないと言うなら…お願いします、私とこの子に死をお命じください!」するとようやく皇帝は目を通していた奏状を閉じた。「腹の子を使って朕を脅す気か?」「滅相もない、今やその手を使えるのは明月のみで…(バシッ!)」如意の軽率な言葉は皇帝の逆鱗に触れ、頬を引っ叩かれてしまう。「無礼者!なぜ皇后に子ができなかったと思う?!本人の意思だとでも?! 朕が許さなかったからだ!腹の子を守りたいなら分をわきまえよっ」つづく(꒦ິ⌑꒦ີ)ダーあまりに悲しくて動画だけにしようかと思いましたが書きました〜( ๑≧ꇴ≦)
2021.02.11
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东宫 Goodbye my princess第50話「決別の時」顧剣(コケン)は義父であり師匠でもある柴牧(サイボク)と袂を別つと決め、手合わせに挑んだ。しかしそこに李承鄞(リショウギン)が剣を持って現れ、いきなり顧剣に襲いかかる。「何を企んでいる…なぜ朱雀門へ?!」「小楓(ショウフウ)が私と帰ると望んだからだ」一方、傷心の小楓はひとり、中庭で鬱々としていた。アドゥは心配で駆け寄ろうとしたが、永娘(エイジョウ)に止められてしまう。「1人にしてあげましょう」李承鄞と顧剣は剣を交えながら中庭に飛び出した。血族同士の争いを見かねた柴牧は李承鄞を止め、顧剣を見逃して欲しいと訴える。しかし顧剣が小楓を渡さないと挑発した。李承鄞は烈火の如く怒ったが、その時、顧剣が意外な真実を突き付ける。「お前が憎いのさ…」「小楓がか?」「覚えておけ、必ずや私が小楓を連れて行く」「やれるものならやってみろ!」李承鄞は立ち去る顧剣に怒号を響かせたが、なぜ自分が憎まれるのか分からなかった。その夜、李承鄞は承恩殿に駆けつけた。小楓はまだ庭でぼんやりしていたが、李承鄞の姿に気づいて慌てて逃げようとする。しかし李承鄞は咄嗟に小楓の腕をつかんで引き留めた。「シァォフォン、一体どうしたというのだ?…なぜそんな目で私を見るんだ?どうしてだ?」小楓は黙ったまま寝殿に戻ろうとしたが、李承鄞は納得できずに小楓を押さえつける。「最初から顧剣が刺客だと知っていたのか?!なぜ戻らなかった?!…答えろっ!」李承鄞は苛立ちを隠せず、思わず怒鳴りつけた。「…あなたのもとから離れたかった」「なぜだっ!なぜなんだ!」「あなたが憎いの…」小楓の言葉はまさに顧剣から聞いた言葉と同じだった。李承鄞は激しい嫉妬に駆られ、いきなり小楓を担ぎ上げると、無理やり寝所へ連れて行ってしまう。「離して!リーチョンイン!離してーっ!」翌朝、李承鄞は隣でまだ眠っている小楓の寝顔を眺めていた。その時、小楓が寝言で″グゥシャオウー″と口走る。「…グゥシャオウー!(はっ!)」小楓が目を覚ますと、李承鄞が眉をひそめて自分を見つめていた。「グゥシャオウーとは誰だ?…誰のことだ?!」「この世で一番、私を愛してくれた人よ…」「じゃあ、君も彼を愛していると?…答えてくれ」「ええ、彼を愛してる、私が愛したのは彼ひとり…」「グゥシャオウーは顧剣か?そうなんだな?」「…(ふっ)少なくともあなたじゃない」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾そうだ!お前ではない!LCY!李承鄞は寝所を飛び出し、竹林で顧剣に戦いを挑んだ。2人は互角の戦いを続けたが、やがて剣を下ろして対峙する。「顧小五だと?…お前がその顧小五か?小楓が夢で呼んでいた! 言え、いつから恋仲だった?!西州にいた時か?それとも拉致していた間か?!」「よく聞け、小楓にとってお前と一緒にいることは災難でしかない」「平穏を乱したのはお前の方だ!彼女は私の妻だ、お前が私から奪ったんだ! …ふっ、小楓は私を哀れんでいた、あははは~滑稽だろう?!」「ふははは~私が奪った?馬鹿を言うな!教えてやろう 私と小楓は西州で共に育った幼なじみだ、和睦の話が来た時、駆け落ちの約束をしていた お前さえ現れなければ今頃、私たちは夫婦だったんだ!奪ったのはどちらだろうな?」「信じぬ!小楓は私を想っていた!私を命がけで救おうとしたんだからな! その事実をお前の嘘などで消せるものかっ!」「…そうやって己を欺き続ける気か?小楓は記憶を失っていた 一時は私を忘れてお前に心を寄せたが、今や私が唯一の想い人だと思い出した だから連れて帰る、西州へ…」「できるものか!」「いいか?私は必ず彼女を連れて西州へ戻る」顧剣は李承鄞を挑発し、去って行った。その頃、小楓の寝所にアドゥが駆けつけた。房間の乱雑な様子で李承鄞との間に何があったのか察するアドゥ、思わず力が抜けたように寝台に腰掛け、そっと小楓の腕に手を置いた。すると小楓はようやく重い身体を起こす。「アドゥ…胸が痛い…苦しくてたまらないの…ウッ…」アドゥは小楓の震える肩を抱きしめながら、黙ってその悲しみに寄り添うことしかできなかった。李承鄞は夜更けになってから柴牧を訪ねた。「顧剣を生かしておくことはできぬ」「太子殿下…あなた様と顧剣は同じ顧家の血脈ではありませんか?」「柴牧、何か勘違いしているようだ…私の身体に流れているのは李家の血だ」(((;゚Д゚)))ヒィィィ~!柴牧は呆然となり、自分が知っている李承鄞は情に厚かったと訴える。しかしその情が恋情だけに、李承鄞は断じて捨て置けなかった。「今夜そなたに伝えに来たのは、顧剣への最後の情けだ」「太子殿下…あなた様は皇位に就くお方、顧剣なぞ相手にする必要はありません」「帝王の玉座は氷の如く冷たきもの、さらに冷然とあらねば就くことはできぬ」李承鄞は冷たく突き放して帰って行った。すると柴牧の屋敷を見張っていた男が急いで相府へ報告に向かう。「太子が柴牧の居所に…」明月(メイゲツ)は最近、吐き気に悩まされていた。そんなある日、唯品閣から皇帝の指示で頼まれていたという秘蔵の楽譜が届く。その夜、政務に追われていた皇帝が数日ぶりに拾翠(シュウスイ)殿を訪ねると、ちょうど明月が琵琶を奏でていた。皇帝は疲れも吹き飛ぶようだと喜んだが、明月は急にいとまを願い出る。「皇上、明月は平凡な民にすぎません、皇上のご恩情は明月、生涯この胸に刻みます …すでに一番の贈り物を頂きました」実は明月は懐妊していた。皇帝はたいそう喜んだが、明月は子供が宮中の争いに巻き込まれるのが嫌で出て行きたいという。しかし皇帝は笑って受け流し、相応の身分を与えるので安心して産めばいいとなだめた。李承鄞は自分が顧小五だとも知らず、顧剣への恨みを募らせた。そこで裴照(ハイショウ)に今から3000兵を東宮に配備するよう命じ、各殿の内外に潜ませるよう指示する。「よいか、侵入者があれば決して外に逃がすな…蝿一匹たりともな」貴妃・高如意(コウニョイ)は拾翠殿に忍ばせていた手先の宮女から明月の懐妊を知った。何でも皇帝は明月のためなら宮中の掟も破ると言ったという。その意味を悟った如意は焦った。まさか明月がたった数日で身ごもるとは…。如意はようやく懐妊できた自分と比べ、幸運に恵まれた明月を羨んだ。子供さえいれば皇帝が大切にしてくれる、高家を重んじてくれると信じて来たのに…。明月が承恩殿にやって来た。すると抜け殻のようだった小楓はようやく明月となら話がしたいという。「皇宮はつらい所よ?明月姐姐のように聡明な人まで飲み込まれるなんて… 皇室の人は薄情で、自分の目的のためなら何でも犠牲にする 明月姐姐も私のようになりそうで怖いの…」「小楓…人を愛するには手放すことも必要よ? もし守るべき一線を越えてしまえば、2人の愛は修復しようがなくなる 心は思い通りにならない、太子殿下は普通の方ではないわ 太子の座を守るにはあなたが思うより、ずっと多くを耐えねばならないの、理解してあげて」「もし皇上に家族を殺されても許せる?」明月は復讐が目的で入内したと明かすこともできず、何も言えなかった。顧剣が屋敷に戻ると柴牧が中庭で待っていた。すると柴牧は自分から顧剣と決別する。「今日を最後にこの家の敷居をまたぐことは許さぬ、できるだけ遠くへ去り、2度と都へ戻るな… もうお前は必要ない、使命を汚した以上、信頼できぬ」そして器に入った水を飲めと命じた。「忘川の水だと思って飲み干せ、そして忘れろ、以前、お前に聞かせた話も、私が教えた剣術も、 復讐という2文字も、そして私、柴牧のこともだ!」顧剣は李承鄞が自分を消すつもりだと分かったが、それでも拒んだ。「夢を見るな!小楓は手に入らぬ! 李承鄞は未来の君主、君主が死を命じれば臣下は従うしかないのだ!」「…義父、親不孝をお許しください、かつて固く信じて来たことは鴻毛(コウモウ)のように軽かった 今は命より大事なことがあるのです」顧剣は叩頭して別れの挨拶とすると、器の水を捨てた。「小楓は忘川に飛び込んでも未だに覚えている…忘れるなど不可能です」「自ら死を選ぶ気かっ!」柴牧は必死に引き止めようとしたが、顧剣が振り返ることはなかった。(´-ω-。`)師父…裴照は配備を終えて皇太子に報告したが、戸惑いを隠せなかった。すると李承鄞は言いたいことがあっても口に出さない方が良いと釘を刺す。一方、柴牧の屋敷を密かに探りに来た高于明(コウウメイ)は偶然、門から出て来た柴牧の姿を見かけた。「あれは陳征(チンセイ)…」うかつだった。皇太子は始めから柴牧が陳征だと知っていたのだろう。高于明はなぜ今まで気づかなかったのかと憤った。「対処を急がねばならぬ…」その夜、宮中は静かだったが、東宮内だけは厳戒態勢だった。小楓は相変わらず承恩殿にこもり、李承鄞と会おうとしない。この日もアドゥが立ちふさがり、皇太子を阻止していた。「シァォフォン!いつまですねている気だ!」「すねてなんかいない、ただあなたが憎いだけ」「憎い?なぜ私を憎むんだ?!」「あなたが李承鄞で顧小五ではないからよ!」「また顧小五か…私たちの間には顧小五のこと以外、話すことがないって言うのか?!」「他に何か話すことがあるの?」「…シァォフォン、顧小五だけでなく私のことも考えてくれ…な?君の虚ろな顔を見ているのは辛い 君は私の妻だ、大切に思っている、共に過ごした幸せな日々は全て偽りだったと言うのか?」「ええ、偽りよ、だからあなたももう忘れて」小楓の冷酷な言葉に李承鄞は堪忍袋の尾が切れ、アドゥを突き飛ばして部屋に乗り込んだ。「どうやって忘れろと?教えてくれ」「私に殺されたら忘れられるわ」「ふっ…それは無理だ、私は君と一緒に生きて行きたい、かわりに顧小五が死ぬ様を見せてやろう」すると李承鄞は鳴り矢を取り出した。「なぜあなたがこれを?!」「これが君と奴の連絡手段だと知っているぞ… 今夜は私が君に代わってこの鳴り矢を放ち、奴が来るか見てみよう もしノコノコやって来たら、私の羽林軍が一万の矢で奴の胸を貫く!」「死ぬと分かっていて来るはずないわ」「たいした自信だな?なぜそう言い切れる?」「あの人には私より大事なことがあるもの」( ;∀;)ああああ〜「そうか、では来なければ奴を忘れるんだ、だがもし来たらこの手で殺す!」小楓はまさかと思ったが、ふと不安に駆られた。「顧剣…リーチョンイン!やめてっ!」小楓は慌てて部屋を飛び出したが、その時、李承鄞が目の前で鳴り矢を放ってしまう。(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<バンバン!LCY!顧剣は危険を承知で承恩殿の中庭に降り立った。駆けつけた小楓とアドゥは早く逃げろと追い返すが、顧剣は今度こそ小楓を連れて行くという。「そんなの無理よ…死んでしまう…」「やってみよう」こうして顧剣は小楓とアドゥを連れて承恩殿から逃げ出した。しかし各所に潜んでいた羽林軍が一斉に飛び出し、回廊で追い詰められてしまう。そこで顧剣は小楓とアドゥを先に逃し、羽林軍を足止めした。アドゥは小楓を連れて屋根伝いに逃げた。しかしその途中、羽林軍の矢が胸に命中する。驚いた小楓はアドゥをかばって矢面に出たが、流れ矢が腕をかすめ、その衝撃で屋根から落下した。アドゥは危機一髪のところで小楓の手をかろうじてつかんだが、胸に突き刺さった矢を伝って血が滴り落ちる。「アドゥ!手を離して!あなたも落ちてしまう!離して!」するとアドゥが最後の力を振り絞って小楓を屋根に引き上げ、代わりに自ら落下して行った。「(ドスン!)アドゥーッ!」小楓は何とか屋根の縁につかまったが、いよいよ持ちこたえられず、瓦から手が離れてしまう。その時、駆けつけた顧剣が小楓を抱きとめ、無事に地面に降り立った。「顧剣、私はいいから早くアドゥを助けて!」顧剣は小楓を物陰に残し、倒れていたアドゥを助けに向かった。しかし戻ってみると小楓の姿はなく、裴照が現れる。「ここまでだ、行け!」裴照は顧剣を見逃そうとしたが、顧剣は盟友と剣を交えることも厭わなかった。「主の命には背けぬのだ」「承知だ」「顧剣!」「達者で!」顧剣は裴照を退け、アドゥを連れて小楓の元へ向かう。つづく(  ̄꒳ ̄)<私の身体に流れているのは李家の血だそうなのよね~これが全てなのよ( ;∀;)ぁぁぁ~何だか色々話がおかしいけど、細かいことはもうどうでもいいわ(笑
2021.02.10
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东宫 Goodbye my princess第49話「よみがえる記憶」元宵節(ゲンショウセツ)、今夜は皇帝が貴妃を、皇太子が良娣(リョウテイ)を伴い朱雀楼にお出ましになる。しかし裴照(ハイショウ)は昼間からミロの酒楼で酒を飲んでいた。皇太子妃が失踪して数日、まさか羽林軍が女子ひとり見つけられぬとは…。ミロは初めて小楓(ショウフウ)が行方不明だと知り、なぜ裴照が飲めない酒をあおっているのか分かった。「都はそれほど広くないわ、きっと見つかる」するとミロは裴照から酒を取り上げ、お茶を持って来ると言った。米羅(ミロ)酒楼に突然、小楓たちがやって来た。ミロは裴照がいるとは知らせず、久しぶりの再会を喜ぶ。しかし小楓はもうこの店に来られなくなると言った。「帰るの、西州(セイシュウ)に…今日はお別れを言いに来たの」「確かに都は冷たくて嫌な所だわ、でも陰であなたを見守り、気にかけている人がいるかも…」ミロは少しでも裴照の気持ちを伝えたかったが、小楓はどうでもいいことだと言い捨てた。「西州に戻って自分らしく生きたい、都も東宮もうんざりなの…傷つくのはもう嫌」すると小楓は大切な人を見つけたと言って顧剣(コケン)を見つめる。その意味を悟ったミロは小楓の手を握りしめ、そのまま送り出すことにした。「ミロ、西州に遊びに来てね!」「私は都を離れない、酒楼の女将として一生を過ごすわ、満足してる」ミロにとって愛する人を見守ることが叶う酒楼こそ、安住の地だった。ミロは裴照にお茶を届けた。そこで故郷に杯の下にできた輪染みで″心に想っている人がどう過ごしているか″が分かる占いがあると切り出す。裴照は試しに杯を上げてみると、輪染みは均等に広がっていた。「つまりあなたが想っている人は無事ね、きっと自分に正直に生きようとしている」裴照は自分を励ますためミロの作り話に過ぎないと思いながら、どこか見透かされている気がする。「時折、思っていた…あの人は都を離れたら幸せになれると…」「安心して、その人は幸せよ、きっと誰かが守っているわ」結局、裴照は小楓がすぐそばにいるとも知らず、店をあとにした。李承鄞(リショウギン)は青鸞(セイラン)殿の中庭で趙瑟瑟(チョウシツシツ)を待っていた。すると衝立の薄絹越しに紅い衣が見える。その姿が婚礼の夜の小楓の姿と重なり、李承鄞は思わず目を見張った。しかし瑟瑟が姿を現した途端、現実に引き戻されてしまう。一方、小楓とアドゥは祝賀で賑わう市中で大道芸を見ていた。顧剣は露店で買い物をして戻ると、アドゥに飴細工を贈る。そして小楓を連れて群衆から離れ、懐からかんざしを取り出した。錦児(キンジ)は皇太子にかんざしを差し出し、良娣の髪に挿して欲しいと頼んだ。李承鄞は不本意ながらも瑟瑟の結い髪にかんざしを挿したが、その表情は暗い。実は元宵節では夫婦がいつまでも仲睦まじくいられるよう、夫が妻にかんざしを挿す風習があった。奇しくも同じ時、顧剣も小楓の髪にかんざしを挿そうとしていた。すると小楓が突然、顧剣の腕をつかんで止める。「男装をしているのにおかしいわ、もらっておく」その様子を遠目からアドゥが見ていた。アドゥは顧剣の心にいるのは小楓だけだと思い知らされ、人知れず落胆する。しかし顧剣からもらった飴をなめながら、この気持ちだけで十分だと自分を納得させた。皇族たちを一目見ようと朱雀門へ向かう群衆にまぎれ、小楓たちは城門へと近づいていた。するとちょうど朱雀楼に皇族たちが現れ、天下泰平の世を祝って銭を配り始める。人々は一斉に銭を拾い始めると、その時、夜空に花火が上がった。小楓は朱雀楼に立つ李承鄞から目が離せなくなり、思わず足が止まってしまう。鳴玉坊(メイギョクボウ)で2人だけで見た美しい花火、そして刺客にさらわれた時、李承鄞は妻を傷つけるなと激怒した。しかし今は隣に自分の婚礼衣装をまとった瑟瑟がいる。小楓はようやく素直な自分の気持ちに気づき、李承鄞へ未練があると認めた。「…私は都という虚構の中に生きていたのね、そこで私を騙したひとりの男を愛した 顧小五(コショウゴ)、ごめんなさい、ここまで来たのに迷っていたら駄目よね…」「ならもう一度だけ聞くよ、私と西州へ帰るか?」「うん、連れて行って、一刻も早く」小楓たちは城門に向かって再び歩き出した。すると皇帝からの恩恵に感謝した人々が次々に平伏してしまう。そのせいで小楓たちの姿がかえって目立つことになり、朱雀楼にいた李承鄞の目に留まった。李承鄞はすかさず皇帝に報告、城門を閉めて刺客を捕えたいと嘆願する。しかし元宵節で賑わう市中を混乱に陥れることはできず、皇帝は退けた。「父皇、ここで刺客を逃せば2度と捕まえられませぬ!」李承鄞は父の腕をつかんで必死に訴えたが、皇帝はその手を振り払ってしまう。小楓をどうしても諦められない李承鄞はひとりで追いかけることにした。すると階段を降りている途中で偶然、祝賀用の爆竿(バクカン)を発見する。その時、小楓たちは朱雀門を目指し、走り出していた。しかし朱雀楼から白い煙が上がったせいで付近が騒然となる。李承鄞は再び父の元へ戻ると、危険なので急いで帰るよう促した。朱雀楼の煙を見た人々は逃げ惑い、大騒動となった。顧剣ははぐれないよう小楓の手を握りしめて走ったが、あと少しというところで無情にも門が閉まってしまう。その頃、瑟瑟は大街に飛び出そうとする李承鄞を必死に引き止めていた。「殿下、一緒に帰りましょう!」「離せっ!」瑟瑟は李承鄞に振り払われ、そのまま転んでしまう。一方、混乱に巻き込まれた小楓は顧剣からもらったかんざしを落とた。気がついた顧剣が急いでかんざしを拾ったが、その時、うっかり小楓の手を離してしまう。小楓はあっという間に人の波に押され、気がつけば3人は離れ離れになっていた。皇族たちは無事に避難し、馬車に乗って宮中へ戻った。その頃、流れに逆らって進もうとしていた小楓は、もみくちゃにされて転んでしまう。すると露店の火事に巻き込まれて泣いている小さな女の子の姿を見つけた。驚いた小楓は少女のもとに駆けつけ抱きしめたが、その時、焼け落ちた木材が頭を直撃する。小楓を探して市中を必死に駆け回る李承鄞、顧剣、アドゥ…。遠のく意識の中で小楓は3人が走って来る姿を見たが、そのまま気を失った。顧剣はようやく小楓を発見するも、あと一歩のところで柴牧(サイボク)に捕まってしまう。承恩殿に運ばれた小楓はひどくうなされていた。…シァォフォン!…あなたは誰?…顧小五だ…頭を強打した小楓は封じ込められていた記憶を取り戻し、ついに顧小五の正体が顧剣ではなく李承鄞だと思い出した。それはあまりに辛く悲しい記憶…。すると皇室の狩場で偶然、李承鄞と鉢合わせになった時の光景がよみがえる。『私は豊朝(レイチョウ)の第五皇子・李承鄞だ』「ワアーッ!」小楓は顧小五との再会に驚愕し、あまりの衝撃で飛び起きた。皇太子妃の悲鳴を聞いた永娘(エイジョウ)が急いで駆けつけた。しかし皇太子妃は一点を見つめたまま、放心状態で反応がない。そこへちょうど様子を見に来た李承鄞が飛び込んで来た。「シァォフォン!シァォフォン?…」李承鄞は小楓の無事な姿に安堵したが、小楓は李承鄞に気づくなり悲鳴を上げて寝台の奥へと逃げてしまう。まるで知らない人を見るような冷たい目で李承鄞を拒絶する小楓、困惑した李承鄞は小楓を引き戻そうと手を伸ばした。「小楓…どうしたんだ?…私だ、チョンインだ…忘れたのか?」「…出ていって」「一体どうしたんだ?小楓?私だ、チョンインだ」「ウワアアアァァーーッ!」すると小楓は恐怖のあまり絶叫し、再び卒倒してしまう。翌朝、皇帝は承恩殿に見舞いに訪れ、皇太子妃に刺客のことを聞いた。しかし小楓は曖昧な記憶しかないとうまくはぐらかす。皇帝はそれ以上、追求しなかったが、書房に戻ると李承鄞に疑心を明かした。「朱雀門の警備が厳しいことは誰もが分かっているはず、刺客はなぜ危険を冒したのか…」「鳴玉坊に忍び込むような肝の据わった奴です、己の力を誇示するためだったのでは?」「謎が深まるが仕方がない しかし高于明(コウウメイ)が明月(メイゲツ)を殺したければいくらでも機会はあったはず なぜ私がいる時を選んだのだろうか? もし刺客の狙いが私だったら、まさに千載一遇の機会であった、なぜ殺さなかった?」皇帝は何か裏があると気づき、とにかく刺客を捕らえて黒幕を突き止めようと考えた。顧剣を連れ戻した柴牧は、小楓のことを諦めるよう説得していた。「太子妃はお前のものではない!」「太子妃は誰のものでもありません!西州に帰り、元の暮らしに戻るべきだ …私は務めを果たしました、ここでお別れです」顧剣は自分たちの復讐に小楓を巻き込み、家族と記憶を失うという苦しみを味わわせてしまったと後悔した。しかし柴牧はこれが宿命だと言い聞かせ、いずれにせよ丹蚩(タンシ)は滅亡し、小楓は皇太子妃になったという。「なら顧家が滅びたのも宿命だと?!」柴牧はかっとなって思わず手を挙げたが、顧剣の心は決まっていた。「…私は小楓の英雄だと思っていました、だが違ったのです、私は嘘にまみれたろくでなしだった 罪なき人々を殺めた悪逆の徒です、もう耐えられない」小楓は何も喉を通らなくなった。心配した永娘は粥を作って勧めてみたが、小楓は背を向けて嗚咽を漏らす。「…要らない…ゥッ…下がって…」そして寝所はアドゥだけになった。するとようやく小楓は全てを思い出したと告白する。「何もかも思い出したの…アドゥは知っていたのね?師父のことも白眼狼(ハクガンロウ)のことも… 丹蚩での戦、阿爹(アディエ)が流した涙や、飛び散った阿翁(アウォン)の血… 忘川の冷たい水のことも…全て知っていたはずよっ!」「はい、公主…」アドゥは正直に認めた。「アドゥ、あなた話せたの?!…そんな…私を騙していたのね?」小楓は信じて疑わなかったアドゥの裏切りに愕然となった。しかしアドゥは小楓をそばで見守るためには黙っているしかなかったと訴える。「アドゥは公主に残酷な出来事を思い出して苦しんで欲しくなかった!」「今の方が余計に苦しくなった!前より自分を責めてる!だって敵のそばで暮らしていたのよ? それなのに私はあの人にどんどん惹かれて行った…苦しむ私を黙って見ていたのね?! …なぜ思い出してしまったの、忘川の水で忘れたはずなのに!」小楓は何を信じて良いのか分からず、泣きじゃくった。実はその話を回廊で控えていた永娘も聞いてしまう。皇太子妃の残酷な運命、永娘は心が締め付けられる思いだったが、今はそっとしておくことしかできなかった。柴牧は顧剣に手合わせを持ちかけた。もし自分に勝てば出て行っても良いという。かつて幼い顧剣はいつか義父に勝ってみせると口癖のように言ったものだ。こうして2人は剣を交え、やがて顧剣は柴牧の背後を捉えた。「義父、お許しを…」つづく。゚( ゚இωஇ゚)゚。うわあー!記憶戻ったぁぁぁーっ!
2021.02.08
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东宫 Goodbye my princess第48話「釜中の魚」皇帝は朝議が散会したあとも血書を前にしばし動けなかった。かつて李承稷(リショウショク)は科挙で高于明(コウウメイ)が不正を働いたと弾劾、奸臣をかばうのかと父に食い掛かっている。…いずれ高氏の天下となれば分かってくださるはず…あの時の息子の戒めは、今になって皇帝の心に暗い影を落とすことになった。一方、屋敷に戻った高于明は危機感を募らせていた。朝議で朝臣たちが一斉に懇願したことでかえって自分の権勢を誇示する結果となり、警戒した皇帝が再調査を決めてしまう。そこで高于明は調査を任された刑部尚書・宗奐(ソウカン)に直筆の書軸を届けることにした。宗奐は潔癖すぎて朝廷でも衝突が多く、高于明の推挙なしでは出世できなかっただろう。しかしその気骨は今も健在、金品を渡すのは逆効果だった。「掛け軸を届けて忠告する、″今のお前があるのは誰のおかげか忘れるな″とな 金は自死した挙子の遺族に渡せば良い」 すると高于明は肝心なのは血書の出所だと言った。宗奐は高右相から書軸を受け取った。自分が金品を受け取らないと分かっていて、″知遇の恩を忘れるな″と書軸を送ってきたとはさすが高于明だ。「だが高于明…″并州″の2文字を記すべきではなかったな…」宗奐は書軸を倉庫にしまっておけと命じた。一方、小楓(ショウフウ)は顧剣(コケン)こそ愛する顧小五(コショウゴ)だと誤解したまま、旧情を温めていた。しかしどこか顧小五との距離を縮められずにいる小楓、そんな2人の様子を眺めながら、真実を知るアドゥは複雑な心境になる。その夜、小楓はアドゥと2人で暖をとりながら、自分は幸せ者だと言った。「中原で身内はあなただけだった、でも今は顧小五がいる 老天爺に感謝しているわ、私たちを再びめぐり合わせてくれて…他には何もいらない」すると小楓は星を見上げた。「リーチョンイン、私は西州へ帰るわ」(」゚ロ゚)」<顧小五!グゥシャオウー!グゥシャオウーグゥシャオウーグゥシャオウーグゥシャオウゥゥゥゥ!小楓がなぜか川辺で顧小五の名を連呼している頃、李承鄞(リショウギン)は裴照(ハイショウ)と酒を飲んでいた。「阿照…やはり小楓は自ら望んで去ったのだろうか?」「考え過ぎです、太子妃なりにお考えがあるのでしょう」「小楓はいつも思慮が足りぬ、ものすごく意地っ張りだし… 突飛なことを思いついては騒ぎを起こす」「太子妃の行動が功を奏し、助けとなることも多かったはずです」「小楓を巻き込みたくない、思慮分別がなくてもいい… 毎日、私に突っかかり、口喧嘩ばかりでも構わぬ ただ…東宮で私の帰りを待っていて欲しいのだ…はっ! 阿照、小楓は都が嫌で帰りたくなったのだろうか?」確か鳴玉坊(メイギョクボウ)で花火を見た時、小楓は西州が恋しいと言っていた。しかしあの時、″今は楽しい″と笑ってくれたのに…。小楓は眠れず、川岸に立って物思いにふけっていた。すると顧剣が早く休むよう声をかけ、明日には都を発つという。しかし小楓は元宵節が終わってからにしたいと頼んだ。祭りで市中は賑やかになるが、人混みの方がかえって見つからないという。「ミロの店にも行きたいし…」「やはり李承鄞に未練が?」「いいえ、私には顧小五がいる、他の人を想ったりしないわ」「…私が顧小五じゃなかったら?」「そんなわけない、夢で見た人とそっくりだもの… 小五、こんな風に去るのは嫌なの、きちんとお別れを言っていきましょう?」顧剣は仕方なく了承すると、小楓は思わず抱きついた。「小五、私を信じて、ずっとそばにいる…永遠に一緒よ?誓うわ」高坤(コウコン)は血書の出所をめぐり父が探していた前皇太子の太傅を見つけた。しかしすでに首を吊ったあとだっと父に報告する。遺体から見て死んでから間もないことから、恐らく自分たちが来ると察したのだろう。「そう単純ではない…裏にいるのは太子か?陛下か?」高于明はすでに自分たちが釜中(フチュウ)の魚かもしれないと気づき、安護府にいる長子・高顕(コウケン)を頼ることにした。安護府に早馬が到着した。父からの文を読んだ高顕はすぐ袁通(エンツウ)を呼び、準備を始めることにする。「丹蚩(タンシ)が滅んでから芝居はご無沙汰だった~」そこですぐ金を用意して朔博(サクハク)王に密書を送るよう命じた。すると程なくして安護符から鎮北侯・趙敬禹(チョウケイウ)に急報が届く。実は壊辺(カイヘン)・西渚(セイショ)・尤山(ユウサン)が1日で朔博に落とされたというのだ。安護符は応戦したものの敗退したという。驚いた趙敬禹は全軍を警戒に当たらせるよう命じ、都からの指示を待つことにした。高于明は朔博に反乱を起こさせ、辺境の危機を利用して時局を打開しようと画策した。そこで朝議で愚息の失態を謝罪、指揮権を剥奪して厳罰を嘆願する。また自らも父としての責任を痛感していると訴え、宰相としても西北の軍備状況の把握を怠ったとして厳罰を請うた。高家なしに辺境を平定できるはずもなく、皇帝は高于明をなだめるために高顕を鎮遠(チンエン)大将軍に封じ、兵糧と武器の追加を決める。こうして朝議は散会、皇帝は拾翠(シュウスイ)殿で怒りを爆発させ、皇帝とは名ばかりだと嘆いた。「明月(メイゲツ)…朕はまことに天子と言えようか?」「もちろんです」明月は天子が天子たるゆえんは民意のみならず、天意に沿うものだと言った。その地位は何人たりとも脅かせないという。西北の危機で朝廷の状況が一変、宗奐は高家頼りの皇帝をおもんばかって調査を中止した。すると太常寺卿(ジケイ)・奚清卓(ケイセイタク)が怒り心頭で屋敷に乗り込んで来る。「7名の挙子のうち最年長者を覚えているか?何度も科挙に落ち、并州で無念の死を遂げた おまえの啓蒙(ケイモウ)の師である穆(ボク)先生だ」「なぜそれを?!」実は李承鄞は血書の中に一枚の紙を挟んでおいた。そこには7名の来歴と知人の名が記されており、穆先生の欄には宗奐の名前があったという。朝議で皇太子が宗奐を指名した時、誰もが高于明側の人間を選んだと思ったはずだ。しかし奚清卓だけは宗奐なら必ずや師を尊び、道を重んじて仁義を貫くはずだと一縷の望みを抱いたという。「残念ながら読書人とは名ばかり、刑部尚書の地位にしがみつくとは…」一方的に罵られた宗奐は奚清卓こそ考えなしの老人だと言い返し、やみくもに騒ぎ立てるとは軽率すぎると咎めた。奚清卓はようやく自分の早合点だったと気づき、憤慨する宗奐に謝罪する。すると宗奐は高家に見張られているため、わざと怒っていると説明した。「奚大人、帰ったらすぐ名簿を書き写し、うちに届けてくれ それを手がかりに并州で調査を行わせる」奚清卓が宗奐を訪ねたことは高于明の耳にもすぐ届いた。高坤の報告では、無下に追い返された奚清卓が門前で半刻も罵っていたとか。一方、李承鄞は柴牧(サイボク)を訪ねていた。「顧剣は元宵節の混雑に紛れて城門を抜けるつもりだろう、各門に軍を配備した 都を出るなら向かう先は西州、必ずや承天(ショウテン)門を通るはず、柴先生はそこへ… 一行が現れたら顧剣は任せます、必ず抑えてください、小楓は私が連れ帰ります 顧剣は先生の弟子であり息子も同然、顧家の者ゆえ今回は大目に見ましょう ですが悔い改めず、また勝手な真似をすれば、さすがの私も腹に据えかねるやも…」すると李承鄞は東宮へ戻ると言って席を立った。「殿下!…殿下は明月にお会いできましたか?伝言をお願いしたいのですが…」柴牧は危険を重々承知していたが、元宵節は一家団欒の日、父親として明月に何かしてやりたい。そんな柴牧に李承鄞は冷たく言い放った。「…復讐はいまだ果たせず、悪党がのさばっているのに団欒? 我々にとって元宵節は普段と変わらぬ1日だ」丹蚩の趙敬禹は皇太子から密書を受け取った。…朔博と高顕が結託…すると趙敬禹はすぐ朔博と高顕の関係を調べるよう命じた。「高顕や高顕…敵と茶番を演じるのもこれまでだ」良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)は李承鄞の身支度を手伝った。「この数日で随分とお痩せに…帯が一寸、余っています、昨夜は眠れなかったのですか?」「いや、よく眠った…着替えなど侍女に任せればよいのに」「今日は元宵節です… 戌の刻(19~21)には陛下たちと城楼に上りますし、着せて差し上げたいのです」「すまぬ」しかし李承鄞は心ここに在らずだった。「殿下は日に日によそよそしくなる… まるで見知らぬ仲のようです、祝日で都は喜びにあふれているのに… 太子妃の行方が知れず心配でなりません、本来なら殿下と楼上に立つはずなのに…」瑟瑟は心にもないことを言って関心を引きながら李承鄞の腰に手を回そうとした。すると李承鄞がその腕をつかみ、瑟瑟を突き放す。「民の敬慕を受けられぬのも太子妃の業だろう」李承鄞は明らかに憤慨して出て行った。一方、野宿していた小楓たちは荷物をまとめ、いよいよ都を去ることになった。顧剣は当分こんな日々が続くと小楓を心配したが、本人はどこ吹く風、長く宮中にいても西州の九公主に変わりはないと自信を見せる。すると珍しくアドゥが顧剣の味方をした。「私を裏切るなんて~ん?まさか私に隠れて仲良くしているの?」驚いたアドゥは必死に首を横に振ると、顧剣はからかうなと止めた。「アドゥが短刀を抜けば君は終わりだ」「そんなこと絶対に有り得ないわ、アドゥは私を騙したりしない、一番、信頼しているの」無邪気に笑う小楓にアドゥは胸が痛い。そんなアドゥの辛さを知る顧剣は話を切り上げ、心残りがないよう小楓の行きたい所に全て寄って行こうと言った。皇帝は明月の励ましもあり、天子としての自信を深めた。そこで刺客の捜索を進めるべく、李承鄞に収監された重罪人を再度、取り調べると伝える。「父皇、それでは朝政に影響するのでは?」「皇室の権威は決して犯せぬと天下に知らしめるのだ、権力を握って離さぬ輩どもにな」李承鄞は父の決意にほくそ笑み、実はもう1つ指示を仰ぎたいことがあると切り出した。「太子妃が不在ですが、今夜は誰を連れて行けば?」「趙良娣を…西北が不安定な今、趙家により丹蚩の勢力を抑えることが重要だ」永娘(エイジョウ)は皇太子の命令で小楓が今夜、着るはずだった衣装を青鸞殿に届けた。すると錦児(キンジ)が受け取ろうとした時、分別ある永娘が珍しく諫言する。「良娣、これは太子妃が婚礼でお召しになった物、太子妃に合わせて作られた衣です 青鸞殿にお持ちしましたが、使用後は承恩殿にご返却ください」「承恩殿の物は東宮の物、返すも何もないのでは?たかが衣でしょう?」「良娣のおっしゃる通りです、たかが衣ゆえお返しください」永娘はようやく衣を錦児に渡したが、瑟瑟は怒りが収まらない。「あなたの太子妃への忠誠心は立派だけど、忠誠を尽くすのは主が戻ってからでも遅くはないわ」「太子妃への忠誠は私の本分、宮中の掟の教育が私の務めです ″立場をわきまえて出過ぎぬことが肝要かと″…」「ふん!下がりなさい、宮中の掟とやらは無作法な西域の者に聞かせるといいわ!」永娘に諌められた瑟瑟は袂を払って怒りをあらわにした。つづく( *´꒳`*)<ととろ、私を信じて!( ̄꒳ ̄)<誰がトトロやねんそれにしてもここで″つづく″?!引っ張るなあ~(笑ところでアドゥは顧剣が好きなの?イマイチ自信がなくて書いていませんが…
2021.02.07
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东宫 Goodbye my princess第47話「兄の遺志」今日も良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)はひとり寂しい夜を過ごしていた。そこへ錦児(キンジ)が慌てて駆けつけ、これから皇太子が青鸞(セイラン)殿に来てくれると知らせる。喜んだ瑟瑟は錦児に李承鄞(リショウギン)の好きな胡桃菓子を準備するよう頼み、待ち切れずに外の様子を見た。その頃、李承鄞は青鸞門の手前で立ち止まっていた。すると急にきびすを返し、寿仁宮の太皇太后を訪ねることにする。太皇太后は久しぶりに皇太子の顔を見て喜び、ちょうど桜喬(オウキョウ)が剥いたという胡桃を勧めた。「太奶奶、私が胡桃を嫌いなことをお忘れですか?」そこで桜喬はすぐ別の蒸し菓子を持って来た。一方、山奥に潜伏していた小楓(ショウフウ)と顧剣(コケン)は、月を肴に葡萄酒を飲んでいた。小楓はしみじみ真心で接すれば心が通じると思っていた自分を浅はかだったと笑う。「でもいい人もいたわ…そうねえ~永寧(エイネイ)、ミロ、珞熙(ラクキ)…明月(メイゲツ)! それに裴照(ハイショウ)や永娘(エイジョウ)も…そう考えると私は幸せ者よね」太皇太后はふと皇太子妃が蒸し菓子を作って届けてくれたことを思い出した。「味は?」「苦かったわ」李承鄞は味見もせず届けるとは、いかにも考えが足りない小楓らしいと呆れる。しかし太皇太后は小楓の手作りが嬉しかったと笑った。「確かに口に入れた時は苦かったけれど、噛むほどに甘味を感じたわ」「まったく~小楓に甘いんですから~」李承鄞はがさつ者に後宮の主は務まらないと小楓を卑下したが、ふと本音が漏れた。「できれば無邪気なままでいて欲しい、政争に巻き込みたくないのです」「あんな賢い子が己の責任や使命を自覚していないとでも? 太奶奶には1つだけ心強く思うことがあるの…それは小楓があなたを愛しているってこと あなたの王位をではなく、心の底から愛している、″李承鄞″をね…」すると眠れない日々を過ごしていた李承鄞は、やがて太皇太后の膝枕で寝息を立て始めた。顧剣は西州に帰ろうと言ったが、小楓はどこか迷っていた。「未練があるのか?」「そうじゃない、気づいたの、都に来てからの事しか覚えていないんだってことに… 時々、分からなくなる、私は西州の公主だったのか、最初から太子妃なのか あなたもよ?いつもそばにいて親しみを感じるけど、見知らぬ人にも思える …ここに私の居場所はないのかもね、目を覚まして身を引く時なんだわ」「これからは私がそばにいる」翌日、李承鄞は次の一手に出るため、ある人物を訪ねた。それは亡き長兄・李承稷(リショウショク)に懇願されて都から脱出させた当時の太傅で、今は小さな農村で私塾を開いている。すると太傅は恩人である李承鄞との再会に感激し、自ら作った菊花の茶でもてなした。一方、柴牧(サイボク)は娘を心配し、太医になりすまして拾翠(シュウスイ)殿に潜り込んだ。明月は父だと気づいて人払いすると、柴牧は回復したら宮中を離れるよう説得する。後宮の闇は明月が思っているよりも深く、皇帝もいつ心変わりするか分からないからだ。柴牧はこの20年、忠誠を誓った君主を忘れたことはなく、奸臣を取り除くことが配下としての最後の務めだという。「危険を冒すのは私1人で十分だ、お前はまだ若い」「私をまた捨てるの?今度こそ父上について行きます」柴牧は娘の決意に胸が熱くなり、ともかく後宮に深入りしないよう釘を刺して退散する。しかし運悪くそこへ皇帝が現れた。驚いた柴牧はその場に平伏し、顔を隠すしかない。すると太医に気づいた皇帝から明月の容体を聞かれてしまう。明月は咄嗟に薬が良く効いており、太医から心配ないと言われたと答えた。「誠か?」「はい、皇上…皇上は聖徳なり、明月姑娘と同様に必ずや豊朝の民をお守りくださるでしょう」柴牧は無事に下がったが、皇帝はなぜ太医がそんな言葉を残したのか分からなかった。李承鄞の話はかつて科挙で不合格となった挙子7名が自害した事件のことだった。確かに科挙では大勢の不合格者が出るが、この7名は申し合わせたように同時に縊死(イシ)している。太傅はすでに結審した案件だと言ったが、李承鄞はある者が大金を使って挙子の遺族を丸め込んだと教えた。しかし血書の存在までは気づいていないという。実は挙子たちはなぜ理由なく落第し、死に追いやられたか、血書で詳細に記していた。この血書には不正を働いた者の名簿もあったが、驚いたことに名を連ねていた高官は当時の試験官だった高于明(コウウメイ)の一派だったという。李承鄞は長兄から全て聞いていた。あの時、廃太子の知らせを聞いた太傅が長兄を守るため、血書を隠して高家への攻勢を思い留まらせてくれたことも知っている。太傅は皇太子の後ろ盾が高家のはずだと困惑したが、李承鄞は生母が顧氏であり、高家を倒すのは顧家と正義のためだと訴えた。「大哥(ダーグァ)は最愛の哥哥、遺志を告げるのは私だけです!」太傅は李承鄞の熱意にほだされ、ついにこれまでひた隠しにして来た血書を差し出した。その夜、李承鄞は血書を持って柴牧を訪ねた。柴牧は確かに当時の皇太子暗殺と挙子の事件がつながれば、皇帝の高于明への信頼も地に落ちると納得する。しかし李承鄞は高于明のこと、保身のために新たな陰謀を巡らすはずだと指摘した。「油断は禁物です」これまで諌める役目だった柴牧、それがいつの間にか皇太子に諭されようとは…。柴牧は気を取り直し、あとは諫官(カンカン)が必要だと言った。「それなら太常寺卿(ジケイ)の奚清卓(ケイセイタク)に…」その夜、奚寺卿府に怪しい人影が現れた。するといつの間にか書斎に血書が入った箱が置かれている。一方、瑟瑟は李承鄞の動向を探ろうと承恩殿にやって来た。しかし主が不在のせいか宮女たちの姿はなく、諦めて帰ることにする。その時、突然、アドゥが現れた。瑟瑟はアドゥを菓子で懐柔、矢継ぎ早に質問したが、アドゥに追い返されてしまう。翌朝、小楓はアドゥを迎えに行きたいと言い出した。顧剣は警固が厳しい東宮に戻れば2度と出られないと反対したが、小楓からいつも忍び込んでいたはずだと揚げ足を取られてしまう。まさかこれまで裴照(ハイショウ)が見逃してくれたとも言えず、顧剣は小楓を連れて暗くなってから承恩殿に忍び込んだ。小楓と顧剣が湯殿から回って寝所に近づくと、永娘の声が聞こえた。「アドゥ、太子妃が恋しいの?太子殿下も食事が喉を通らないそうよ?きっと心配なのね…」永娘は念のため元宵節で小楓が着る予定の婚礼衣装を出して来たところだった。そこへ今夜も李承鄞が現れる。「下がってくれ…1人でいたい」すると永娘は衣装を置いてアドゥと出て行った。李承鄞は小楓が使っていた寝所でしばし2人の思い出に浸った。初めてこの寝台で共寝した時、布団を奪われて烈火のごとく怒った小楓…。李承鄞はふと我に返ると、小楓の婚礼衣装に気がついた。一番上の帯を手にした李承鄞は小楓の御厠(オカワ)事件で鴛鴦の腰帯(ヨウタイ)を贈ったことを思い出す。2人でアドゥの短剣をめぐり揉み合い、思わず小楓を押し倒して口づけしてしまった李承鄞…。その時、小楓は窓紗の向こうにかすかに映る李承鄞の影に釘付けになっていた。顧剣はかつての苦い経験を思い出し、複雑な心境になる。あれは李承鄞との婚礼前夜、西州へ帰ろうと差し出したこの手を小楓は取らなかった。思えばあの時、すでに小楓の結論は出ていたのかもしれない。すると李承鄞はまさか戸を隔てたすぐそこに愛しい小楓がいるとも知らず、寂しそうに出て行った。回廊にいたアドゥは小楓の姿を見つけ、抱きついて喜んだ。「一緒に来て、西州へ帰るのよ、もう1ついい知らせがあるの、顧小五を見つけたわ」顧小五の正体が李承鄞だと知っているアドゥは困惑した。するとそこへ顧剣が現れる。アドゥは顧剣が顧小五になりすましたと知って愕然としたが、ともかく今は宮中を出ることが先決だった。東宮に簫の音が響き渡った。瑟瑟は李承鄞が吹いていると気づき、回廊に出てしばし耳を傾ける。「何て悲しげな音色なの…」その簫の音は小楓の耳にも届いていた。小楓は胸が締め付けられ、まるで何かに引き止められるように立ち止まる。しかし顧剣に促され、後ろ髪を引かれる思いで宮中をあとにした。小楓が眠りにつくと、アドゥは顧小五を利用した顧剣を非難した。「卑怯な男だと言いたいのだろう? ←(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク 私もそう思う、小楓に″顧小五″と呼ばせるなんて… ←自覚あるんか~い( ̄。 ̄ノ)ノ 時には本当に自分が顧小五になった気がする ←(ヾノ・∀・`)イヤイヤイヤ~ 小楓は心を偽っているが、私は本心だと思いたい…」←弱みにつけ込むかっ( ̄▽ ̄;)「あなたは自分にも嘘をついているのよ?」←( ๑≧ꇴ≦)そうだそうだ!言ったれ!「あと半年…私の余命だ、五臓を痛めた」←(O_O)あ、そうだった…顧剣は顧家と共に死ぬはずが今まで生き長らえ、小楓のそばにいられたと言った。たとえ一瞬でも小楓が愛してくれたら死んでも後悔はないという。「一度だけ許してくれ…」←(´-ω-。` )うむ、しゃぁないな…アドゥは顧剣の思いを知り、それ以上、何も言えなかった。奚寺卿は朝議で無念の死を遂げた挙子たちの血書と万人の嘆願署名を公表した。不正の疑惑をかけられた高于明は潔白を訴え、科挙では毎年のように落第者の自死があるという。まさかそれを防ぐために全員を合格させろというのか。しかもこの案件は前皇太子の時代に結審し、調書には遺族の署名もあった。「奚寺卿は何の魂胆があって事件を蒸し返すのです?」「結審したのは証拠がなかったゆえ、遺族が買収されたのではないと言い切れますか?!」奚寺卿は捜査をやり直すべきだと上奏したが、高于明は血書の出所はどこかと迫った。仕方なく奚寺卿は書写をしている時、突然、ともし火が消えて暗闇になり、再び火をつけてみると血書があったと正直に説明する。これに朝堂はざわめいた。血書の出所があやふやでは、確かに偽造と疑われても仕方がない。すると朝臣たちが一斉にひざまずき、不忠の徒に惑わされて忠臣を排除しないよう嘆願した。李承鄞の狙いは的中した。朝臣たちが高于明をかばったことで皇帝は高家の権勢を目の当たりにする。「高右相が臣下の手本だと申すなら、この件は徹底的に調べて高右相の疑いを晴らさねばな」皇帝は皇太子に一任することにしたが、李承鄞は刺客と皇太子妃の捜索があるため辞退、代わりに刑部尚書・宗奐(ソウカン)を推挙した。朝議が散会した。宗奐を尚書に抜擢したのが高于明であることは周知の事実、朝臣たちは皇太子の推薦が明らかにその場しのぎだと気づく。どうやら元宵節の挨拶は高家に行った方が良さそうだ。つづく|ω・`)師父…ごめんw
2021.02.04
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东宫 Goodbye my princess第46話「最愛の人」鳴玉坊(メイギョクボウ)を出る日は愛する人について行く時…。明月(メイゲツ)は夢を叶え、皇帝の愛に包まれていた。すると早速、拾翠(シュウスイ)殿に貴妃・高如意(コウニョイ)が現れる。如意は皇帝を守ってくれた明月を労い、血を補う薬湯を差し入れた。「妹妹(メイメイ)、具合はどう?何でも言ってね?使用人の態度が悪ければ私が罰してあげるわ」「もうよい、明月は休まねばならぬ」皇帝は如意にも身体に気をつけるよう優しい言葉をかけ、下がらせた。皇帝は念のため如意の薬を明月に飲ませなかった。そして今後は自分と太医が用意した物しか口にしないよう釘を刺す。明月には高貴妃が自分を害するようには見えなかったが、皇帝はほどほどに付き合えば良いと教えた。アドゥはその日も市中に出て小楓(ショウフウ)を探し回っていた。すると露店で食事をしていた時、偶然、店から出て来た顧剣(コケン)を見かける。驚いたアドゥはすぐ後を追いかけたが、途中で馬に阻まれ、見失った。李承鄞は顧剣への不信感を募らせながらも、着々と計画を進めていた。皇帝に実は父が鳴玉坊に通い始めてから孫二(ソンジ)という男が明月について探っていると報告、しかも驚いたことに孫二が高家の執事の遠縁だと分かったという。皇帝は孫二を探し出して尋問するよう命じ、今のところ刺客と孫二の関係は不明だと言った。「だがあの刺客はただ者ではない、私を殺す気なら死を覚悟していたはず 太子妃の言葉で翻意したとは思えぬ 何か裏があるに違いない…もしくは太子妃と刺客に関係があるやもしれぬ」李承鄞は皇太子妃に限ってそれはないと否定したが、やはり皇帝の洞察力はあなどれなかった。顧剣が買い物を済ませて山小屋へ戻ると、小楓が消えていた。その頃、逃げ出した小楓は山をさまよっていたが、高熱のため途中で倒れてしまう。すると小楓は朦朧とした意識の中、誰かが自分の名を呼ぶ声を聞いた…『シァォフォン!私だ、顧小五(コショウゴ)だ!』『グゥシャォウー?』小楓はどこかで聞いた名前だと分かったが、男の顔がはっきり見えない『私たちは知り合いなの?』『もちろん、私は君の顧小五だ』『ぐぅ…しゃぉ…うー?』その時、男の背後に狼が現れた『顧小五、小心!』…小楓はそこで夢から覚めると、顧剣が薬湯を持ったまま呆然としていた。「小楓…今、誰の名を呼んだ?顧小五と言ったな?」「知っているの?私の知り合い?」小楓は驚いて起き上がったが、顧剣は話をそらして薬湯を飲むよう勧めた。しかし小楓は飲まないと拒み、器を払い飛ばしてしまう。顧剣は山小屋を飛び出したまま戻って来なかった。そこで小楓は外に出てみたが、ちょうど顧剣が戻って来る。「シァォフォン、見てごらん」顧剣の手の中には蛍が入っていた。「君は蛍が好きだったろう?西州にいた頃は夜の外出を禁じられていた ある夜、宮殿を抜け出し、連れ戻された時には手に蛍を持っていたね 道に迷った時、蛍が一緒にいてくれたと言っていた」「なぜそれを?」「以前、私たちはいつも一緒にいた… 暗闇の真の恐ろしさを知るまでは恐れたことはなかった、その暗闇に君を置きたくない」すると小楓はようやく顧剣を信じると言った。顧剣は真心が伝わったと喜んだが、小楓から病が治ったら皇宮に送って欲しいと言われてしまう。捕らわれた孫二はあっさり白状した。高于明(コウウメイ)の指示で鳴玉坊へ出かけ、女将から明月の幼い頃の衣を手に入れたという。その衣には血で詩が書かれており、それを見た高于明が″陳征(チンセイ)の娘か″と驚いたとか…。「陳征?」裴照(ハイショウ)から懐かしい盟友の名を聞いた皇帝は、ふと若かりし頃に想いを馳せた。そこで李承鄞は陳征とは誰か聞いてみる。陳征は先の皇帝の神武軍大将・陳士謙(チンシケン)の一人息子だった。陳士謙が戦死して幼くして父を失った陳征は、親同士の付き合いがあった顧家に預けられたという。「顧如晦(コウジョカイ)とは実の兄弟のようだった、武勇に誉れ高く、忠義に厚い男であった 私と顧如晦のそばに常に控えていた、そして顧家の謀反に巻き込まれたのだ…死んで20年になる」「高右相は陳征の娘を始末するつもりでしょうか?顧家の事件には何か裏が?」「つまり高右相の狙いは明月だった? ところが運悪く私が一緒にいた、ゆえに私を暗殺する芝居をしたと…」皇帝は確信を持てなかったが、ひとまず孫二の処分を李承鄞に任せ、高于明も調べるよう命じた。拝命した李承鄞は下がることにしたが、皇帝がふと声をかける。「太子、あの日、お前も鳴玉坊にいたな?刺客の本当の狙いは誰だったと思う?」皇帝の見透かしたような問いに、李承鄞は思わず口ごもった。高于明は属下から孫二が消えたと報告を受けた。皇太子にも怪しい動きはなく、相変わらず刺客と皇太子妃を探しているという。高坤(コウコン)は高家と孫二の関係に李承鄞は気づいていないと断言したが、高于明は妙だと怪しんだ。「見つけ次第、直ちに消せ」裴照は確かな証拠を手に入れるため、孫二を眠らせて家に戻した。するとその夜、早速、刺客が忍び込み、孫二を滅多刺しにする。その様子を棚の裏に隠れていた裴照の部下が見ていた。翌朝、高坤は父に孫二を始末したと報告した。これで父の気も晴れると期待したが、高于明はやはりどう考えても腑に落ちないことばかりだと首をかしげる。明月が己の素性を知らないとは思えないが、今だに皇帝に明かした様子はない。突然、刺客が現れたかと思えばすぐに消えたり、皇太子の動きが静かなのも変だ。「一波乱あるやもしれぬ…」勘の鋭い高于明は嵐の前の静けさほど不気味なものはないと警戒したが、そこへ家職がやって来た。「大人(ダーレン)、太子殿下がお見えです」李承鄞は刺客の手がかりがつかめず、行き詰まって高于明を頼った。すると高于明は皇太子妃のことで気になることがあるという。「刺客の狙いが他の誰でもなく、太子妃だったら? つまり心の底から中原を恨んでおり、太子妃を連れ去るのはどんな人物だと?」「刺客は西州か丹蚩(タンシ)の者ですか?」高于明はその線を追えば収穫があるかもしれないと助言した。「…さすがは舅公です!」そこで高于明は李承鄞が好んだ胡桃(クルミ)菓子を勧めた。「幼い頃、ここに来ると良く食べていた…あの頃は私の膝の上に座り、食べたものだ」「覚えています、味はあの頃と変わっていませんね」「ああ、そうだ」高于明は身内の情に訴えかけながら、李承鄞の笑顔の裏を探っていた。その夜、皇帝は明月に直接、出自のことを尋ねた。「幼くして妓楼に入ったが、本当は名家の出なのだろう?どういう事情で妓楼へ?」「…幼い頃、事件に巻き込まれたのです、その時に両親を亡くしました」明月はおぼろげな記憶しかないないが、大勢の男たちに屋敷が襲われたという。両親は娘だけ何とか棚に隠し、刺殺された。すると母が死に際、父を恨む者の仕業だと言ったという。しかし復讐には終わりがないと悟り、明月は全て忘れようと決めたのだった。顧剣が小楓の好物を買って山小屋に戻って来た。すると顧剣が用意してくれた新しい衣をまとった小楓が外へ出てくる。2人は早速、庭の東屋で食事をすることにしたが、小楓は食べ終わったら皇宮へ帰ると言った。「約束したでしょう?治ったら送ってくれるって」しかし顧剣は不機嫌になり、約束していないと否定して話を終わらせてしまう。「肉を食べると良い…」「鴛鴦の肉は愛する人と食べるのよ?…あなたと私はもう何の関係もない、無理強いしないで 過去に縛られず、今の私を尊重してよ!」「駄目だ、言うことを聞け…」顧剣は小楓も本心では李承鄞を疑っていると指摘した。こうして自分から逃げずに留まったのも、実は李承鄞に会いたくないからだという。本当は疑問や恐怖を抱きながら、守るべき立場があって自分を偽って来たのだ。「私は君を守りたいんだ…君と西州に帰る、東宮も李承鄞も君にはふさわしくない」「あなたのことなんて信じないっ!」「だったら早く帰れ!」小楓は居たたまれなくなり、席を立った。しかしこらえきれず、しゃがみ込んで泣き出してしまう。これまで決して口に出せなかった自分の本心を唐突に顧剣にぶちまけられ、もはや小楓の心の中はぐちゃぐちゃだった。顧剣は言い過ぎたと反省して小楓をなだめようとしたが、小楓から激しく拒絶されてしまう。「私のことは放っておいて!どこかへ行って!」山小屋についに羽林軍が現れた。小楓は外へ出ようとしたが、ふと顧剣の言葉が頭をよぎり、思い留まる。一方、小楓を傷つけてしまった顧剣は竹林でひとり剣を振り回していた。小楓は自ら山小屋を出た。羽林軍は皇太子妃に気づいて安堵し、付近に刺客がいないか捜索を始める。「太子妃、お戻りを…」しかし小楓は黙って鳴り矢を放った。鳴り矢の音に気づいた顧剣は山小屋に駆けつけ、颯爽と小楓を助け出した。無事に山奥まで逃げ延びた2人、すると小楓は顧剣こそ夢に現れた顧小五だと勘違いする。「あなたが顧小五なのね?なぜ黙っていたの?!私は何を忘れているの?何があったか教えて!」「丹蚩での戦で大勢が亡くなり、私たちもはぐれた、君は重傷を負った 探し出した時にはもう宮中に上がっていて、太子妃になってしまった…」「愛し合っていたと言うのは本当だったのね…」「友だちでいい、君のそばにいたかったんだ、でも結局、遠くへ行ってしまった …無理に思い出す必要はないさ」「私は嫌、大切な思い出を忘れたままにしたくない」「丹蚩での戦で君は辛い目に遭った 守るべき時に私はそばにいなかった、信頼を失っても仕方がない…忘れても構わないさ」「丹蚩は滅びて阿翁も亡くなったわ、多くの犠牲を出したのに私は何も覚えていない 最愛の人すら忘れて他の男の元に嫁いだなんて…私を責めた?」「フル(・_・ ))(( ・_・)フル…自分を責めたよ、なぜ君の手を離したのかとね」小楓は思わず顧剣に身体を預け、2度と忘れないと誓った。「顧小五は私の最愛の人よ、私にも愛してくれる人がいた…」その頃、知らせを聞いた李承鄞が山小屋に到着した。しかし皇太子妃は自ら刺客と逃げたという。もはや2人関係に疑う余地がなくなり、李承鄞は深く失望した。「次にあらがえば首に縄をつけてでも連れ戻せ!」一方、顧剣は顧小五の身代わりに甘んじながら、小楓がそばにいる幸せを感じていた。その夜、主のいない承恩殿を訪ねた李承鄞は、悶々としながら帰ることにした。すると時恩(ジオン)が駆けつけ、趙瑟瑟(チョウシツシツ)が何度も訪ねて来たという。「青鸞(セイラン)殿に足を運ばれては?」つづく(  ̄꒳ ̄)なぜだろう〜LCYへの嫌悪感より顧剣にモニョるわ…あ、最後のマントに同情したせいかな〜w
2021.02.03
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东宫 Goodbye my princess第45話「さらわれた皇太子妃」鳴玉坊(メイギョクボウ)で思いがけず皇帝とかち合ってしまった曲小楓(キョクショウフウ)。まさかそれが李承鄞(リショウギン)の計画だと知らず、2人は裏庭で言い争いとなった。憤慨した李承鄞は小楓を肩にかついで追い返すことにしたが、その時、急に爆発音が聞こえる。すると小楓が花火だと気づいて大喜び、早く下ろせとせがんだ。李承鄞と小楓はしばし夜空に咲く大輪の花を楽しんだ。「あと3日で元宵節だ、都では毎年、花火が打ち上げられる、初めて見るのか?」「音だけなら聞いたことがあるわ、永娘(エイジョウ)がとても美しいと言ってた、本当ねえ~」「実は私も初めてだ…」「またまた~」「…君と見るのはな」「ぁぁ…いつも趙姑娘と見ていたのね?」「花火がこんなにも美しいとは… 以前は騒々しいだけで血税の無駄だと思っていたが、時にはつかの間の贅沢も必要なのだな 満開の花火を見ていると辛さも忘れられる…心の底から喜びが湧き上がるようだ」その頃、皇帝と明月(メイゲツ)も仲睦まじく回廊で空を見上げていた。小楓は遠く離れた父と母にもこの花火を見せたいと願った。「家族が恋しいか?」「恋しいわ、楽しい時も辛い時も恋しくなる… ここでは喜びを分かち合えないし、辛く悲しい時に肩にもたれて泣くこともできない」「今の気持ちはどっちだ?」「楽しいわ、ふふっ♪」思わず微笑み合う李承鄞と小楓、そんな2人の幸せそうな様子を楼閣の屋根にいた顧剣(コケン)が複雑な思いで見下ろしていた。顧剣がついに動いた。刺客の影に気づいた李承鄞は慌てて引き返して行く。すると寄り添って花火を見ていた皇帝と明月の前に突如、覆面の刺客が現れた。「皇上!」明月は顧剣が皇帝に向かって来たため、咄嗟に前に飛び出し、胸を刺されてしまう。そこへ李承鄞と小楓が駆けつけた。李承鄞は刺客と応戦、その間に神武軍も到着し、裏庭を包囲する。しかし追い詰められた刺客が明月を介抱していた皇帝を人質に取り、その場に緊張が走った。皇帝は自分に構わず刺客を討つよう命じた。そこで計画通り李承鄞が皇帝の身代わりになると刺客に持ちかける。「逃げ果せたら解放してくれ」しかし突然、明月に付き添っていた小楓が刺客の元へ歩み寄り、自分を身代わりにしてくれと言い出した。「刺客なら私の重要性は承知でしょう?私は太子妃であり西州の九公主、和親のため嫁いできたの もし私が死んだら西州と戦になるでしょうね?…私を人質にすれば安心よ?」「黙れ!下がっていろ!」李承鄞は予想外の展開に激しく動揺した。すると顧剣が皇帝を突き放し、筋書きを無視して小楓を連れて屋根に飛び移ってしまう。「残念だったわね~私が重要だなんて嘘っぱちよ!今よ!射って!」小楓は策を講じたつもりだったが、李承鄞が意外な反応を見せる。「よく聞け!小楓を離せば見逃すっ!私の妻を傷つけたら命はないと思えーっ!」激昂した李承鄞は矢を真っ二つに折り、同じようにその首をへし折ると叫んだ。にらみ合う李承鄞と顧剣、すると顧剣は李承鄞を挑発するかのように小楓を連れて逃げてしまう。皇帝は九門を閉じて刺客と一味を捕らえるよう命じた。そして自分を守って深手を負った明月を連れて宮中へ戻る。後宮はこの噂でもちきり、報告を聞いた高如意(コウニョイ)は激しく嫉妬した。「焦ることはない…宮中に上がったのなら時間はたっぷりあるわ…」明月は傷が深く、出血多量で危険な状態だった。皇帝は太医を全て集め、治さなければ全員、処刑すると息巻いて寝殿をあとにする。すると拾翠(シュウスイ)殿の前に李承鄞が現れ、罰を請うた。しかし皇帝は李承鄞の対応を褒め、小楓の孝心に感銘する。「お前を思う気持ちにも感動した、自ら人質を買って出るとは勇敢な女子だ あのような者を伴侶にできてお前は幸せ者だな、大事にしろ」皇帝は誰の心が真実で偽りなのか、自分には一目瞭然だと言った。人の心は把握しづらく、対処が難しいが、最も重要なことは真心をもって向き合うことだという。「都には殺意が満ちている、己の身を守り抜く方法は敵に対してわずかな隙も見せぬことだ」そこへ慌てて高于明(コウウメイ)が駆けつけた。「皇上!皇上!参上が遅れて申し訳ありません!皇上が襲われたと聞いて肝を冷やしました ご無事で何よりです、早速、刺客の捜索を命じました!」「…高相、刺客の件は太子に任せよう」李承鄞は父が高于明ではなく自分を指名したことに驚いたが、これも皇帝が高于明を疑っている証しだと気づいてほくそ笑んだ。柴牧(サイボク)の屋敷に李承鄞がすごい剣幕でやって来た。顧剣が指示を無視し、李承鄞ではなく小楓を連れ去ってしまったという。「狙ったのは明月ではなく父皇だったのでは?指示に従わぬ者をどう信じろと?!」何も知らなかった柴牧は困惑したが、顧剣なら必ず戻ってくると安心させ、明月の容体を心配した。「太医が診ているゆえ心配無用だ… 顧剣に最後の機会を…1日のうちに小楓を連れて戻らねば、敵と見なす」その頃、顧剣は覆面で正体を隠したまま、小楓を連れて郊外まで逃げていた。小楓は刺客が顧剣だと夢にも思わず、義父の皇帝を怒らせれば血の雨が降ると牽制し、皇太子にいたっては性格が最悪だという。←ちょっ…ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)「自分のものを取られるのが大嫌いなんだから、私に触れたら八つ裂きにされるわよ?」しかし李承鄞を持ち出された顧剣は不愉快になり、思わず剣を突きつけて脅かした。「あ~待った待った!最後にひとつだけお願いがあるの…」小楓は夫のことだけが心残りだと切り出した。もし自分が死んだら次から次へと妻を娶るはず、大好きな人に忘れて欲しくないので宝物を届けてくれないかという。小楓は懐に手を入れたが、その時、嫉妬に駆られた顧剣は思わず小楓の口をふさいだ。すると白粉を取り出した小楓が咄嗟に刺客の目に粉を浴びせかける。驚いた顧剣は小楓が逃げないよう帯をつかんで川に投げ飛ばしたが、小楓は溺れて気を失った。李承鄞は眠れぬ夜を過ごしていた。『…私が重要だなんて嘘っぱちよ!』小楓は人質になった時、自分が本当に小楓を見捨てると思ったのだろうか…。そこへ時恩(ジオン)が止めるのも聞かず、アドゥが入って来た。「…必ず小楓を取り戻す、お前と同様に小楓が大切だからだ」アドゥは李承鄞を信じて黙って帰ることにしたが、李承鄞が引き留めた。「待った…教えてくれ、小楓と顧剣はどういう関係だ?」一方、高于明も密かに刺客を捜索させていた。しかし進展はなく、老二・高坤(コウコン)が探ってみたところ、皇太子側もやはり何の手がかりもないという。「まあ〜太子が隠すわけありませんが…」「決めつけるな」「なぜです?隠していると?」高于明は李承鄞を見くびっている高坤に呆れ、先が思いやられた。「太子妃がいなくなって内心喜んでいるのでは?心置き無く瑟瑟(シツシツ)と過ごせますからね?」「太子妃は西州との和平の要、私情に流され手放すわけにはいかぬ だが何の収穫もないとはどうも腑に落ちん 我々が動く前に刺客が現れ、明月を刺して太子妃を拉致した…実に妙だ」ともかく高于明は皇太子にそのまま捜索させ、様子を見ることにする。また如意に皇帝と明月を見張らせ、動きがあれば知らせるよう頼んだ。裴照(ハイショウ)は一日中、皇太子妃の捜索に奔走した。消息が分からず落胆して屋敷に戻ったが、夜も更けたというのに珞熙(ラクキ)が出迎える。実は珞熙は裴照の秘めた思いを見透かしていた。「珞熙、私は…」しかし珞煕は夫の言葉を遮り、汁物を用意して来るという。「いや必要ない、疲れただろう?もう休め」宮中では永娘が手を合わせて皇太子妃の無事を祈っていた。一方、瑟瑟は李承鄞への差し入れを持って内殿にやって来たが、回廊で偶然、アドゥとすれ違う。拝礼もしないアドゥに呆れる瑟瑟と錦児(キンジ)、すると殿前で控えていた時恩(ジオン)に足止めされた。「殿下はもうお休みです、誰も通すなと…殿下のご命令です」「目の前にいるのは良娣(リョウテイ)よ!」憤慨した錦児が思わず声を荒げると、瑟瑟が制止した。「やめなさい…でもアドゥが出て来るのを見たわ?」「アドゥ?まさか、私が止めました」「時恩…私が麗正(レイショウ)殿に入るのを阻めば、どんな結果になると?」「恐れながら、私は殿下のご命令に従うのみでございます」瑟瑟は食事を差し入れるだけだと食い下がったが、どうしても時恩を懐柔できない。仕方なく皇太子妃の消息を尋ねると、時恩は皇太子妃についても口外も禁じられていると言った。翌朝、小楓が見知らぬ山小屋で目を覚ますと、刺客が親切にも生姜湯をくれた。小楓はありがたく飲み始めたが、激しくむせてしまう。驚いた顧剣は咄嗟に小楓の背中をさすってやったが、その隙に覆面をはがされた。「あなた…あなたが刺客だったの?!溺れ死ぬところだったのよ!」「何か思い出したか?」しかし小楓は皇帝を暗殺するため自分に近づいたと誤解し、友だと信じていた顧剣に裏切られたと激怒した。顧剣は利用していないと否定したが、ふと思い出して口ごもる。「確かに…利用したことも…」「そんな人だったなんて…」小楓は憤慨して山小屋を出た。焦った顧剣は小楓を引き留め、詳しくは話せないが深い事情があると訴える。「小楓、戻る必要はない、あいつから離れろ、君のためだ、巻き込みたくない」「一体、何のこと?!」「なぜ君を傷つける奴を信じるんだ?!」「傷つけるって?李承鄞が?…どういうこと?本当のことを話して!」一方、約束の時間を過ぎても小楓が戻らず、李承鄞は苛立って柴牧の屋敷に駆けつけた。しかし顧剣はまだ戻っていないという。柴牧は感情的になっている李承鄞をなだめ、今は慎重を期して頻繁な来訪は控えるよう諌めた。「慎重だと?!奴が小楓を連れ去ったんだぞ?!一体、どういうつもりだ!」 …教えてくれ、あの2人の関係は?…何を隠しているんだ?」柴牧を睨みつける李承鄞の顔はかつての純粋な少年の面影が消え、その目の奥には東宮という底知れぬ闇が広がっていた。「殿下…考え過ぎです、何も隠していません」「いずれにせよ、顧剣は信用に値しない」李承鄞は顧剣と小楓の関係に疑念を抱き、顧剣への不信感をいっそう募らせた。小楓に問い詰められた顧剣は正直にかつて小楓を騙したことがあったと認めた。ただその代価はすでに払ったと訴え、今もこれからも騙すことはないという。「李承鄞は君が命を懸ける価値などない男だ、私が本物の刺客ならやすやすと君を渡すと思うか?」「刺客じゃないの?…李承鄞とどんな関係が?教えて!」「それは言えない、君が思うほど単純な話じゃないんだ」ともかく陰謀渦巻く皇宮で育った李承鄞は皇位のためなら誰でも利用すると教えた。小楓は自分から人質になったため、李承鄞には予測できなかったと反論したが、顧剣は李承鄞の肩を持つ小楓に苛立ちを隠せない。「君にとって私はただの刺客で悪人か?全て忘れてしまったと?」そこで顧剣は鳴り矢を差し出し、自分を思い出させようとした。「都ではない、西州でのことだ、君はいつもこの鳴り矢を持っていた 危険が迫った時は空に矢を放ち、私が守りに駆けつけた…覚えているか?」小楓は鳴り矢を見つめているうちに断片的に記憶が蘇って来たが、それが何かまで分からず、かえって混乱して卒倒してしまう。皇帝が明月の様子を見に来ると、ちょうど明月が目を覚ました。明月は願いが叶って愛する人がそばにいることにいささか驚き、全てが幻のようで怖いという。しかし皇帝は幻ではないとなだめ、宮中に入れたのは治療だけでなく妃にするためだと教えた。「朕がついているゆえ、恐れずともよい」高坤は孫二(ソンジ)を呼んで直接、父に証言させた。「私は女将に金を渡し、包みを入手しました、明月について尋ねたところ買ったのは4歳 入浴後に着替えさせて衣を預かり、あとは何も知らぬと…」すると高于明はこれまでに包みを開けた者がいるか聞いた。「大人、女将が言うには、明月の見受けの際に高値をつけようと倉にしまったきり 長年、誰も触れていないそうです」 高于明は明月が己の出自を知らないと考えた。皇帝と逢瀬を重ねてもう長く、意図があるとすれば早々に動いても不思議はない。高于明は緊急性がないと判断し、皇帝もじきに妓女に飽きると高をくくった。「明月が捨てられた時に方をつければ良い…孫二とやらは災いとならぬよう始末しろ それから如意には釘を刺しておけ、くれぐれも明月を甘く見て手を出さぬようにとな 何か思惑があって皇帝に接近したとも限らぬ…」つづく
2021.02.02
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东宫 Goodbye my princess第44話「宮中からの脱出」全快した李承鄞(リショウギン)がアドゥの見舞いにやって来た。すると皇帝から賜ったという霊芝(レイシ)を授ける。「私にとってお前は命の恩人だ」アドゥは親指を曲げて合図を送ると、小楓(ショウフウ)はアドゥが礼を伝えていると教えた。小楓は中庭まで李承鄞を見送りに出た。「アドゥは許してくれた、君はどうだ?」「…良娣(リョウテイ)の幽閉が解かれたわ、会いに行ったの?あなたのことをずっと案じていたわよ?」「他人を気遣うより、私たちのことが先だ」「…珞熙(ラクキ)と裴照(ハイショウ)の婚儀も延期になっている、もう皇后がいないでしょう? だから太奶奶(タイナイナイ)が婚儀の件は恵(ケイ)貴妃と進めるようにって… そろそろ太奶奶のとこへ行かなくちゃ」小楓は話をそらして引き返そうとしたが、李承鄞が腕をつかんで止めた。「君が私の耳元で言ったことを全て覚えている 回復したら突き放すっていうのか?なぜ私を避ける?」「リーチョンイン、何か勘違いしているわ… 私に好意を抱いたのは共に危機を乗り越えたからよ、吊り橋効果って言うの でもそれは愛じゃない、私は太子妃であなたの正妻だけど愛されていないもの これから側妃がもっと増えるわね…私が欲しいのは唯一無二の愛、あなたには無理よ」すると小楓は逃げるように去って行った。小楓は趙瑟瑟(チョウシツシツ)を連れて寿仁宮にやって来た。太皇太后は復位した趙良娣に金歩揺(ホヨウ)を授け、今後は2人が助け合って皇太子が政に専念できるよう支えて欲しいと告げる。また来月9日の珞熙の婚礼は恵貴妃が取りしきるよう命じ、小楓に補佐を任せた。婚礼の夜、小楓と永寧(エイネイ)は城楼から花嫁の輿を見送った。これで自分以外の公主たちが全て嫁ぎ、永寧はついに独りぼっちになったと実感する。確かに愛する人に嫁げた珞熙が羨ましかったが、果たして2人は幸せになれるのだろうか。永寧は裴照がそれほど妹を愛していない気がしていた。しかし小楓は念願が叶っただけで十分だという。「だって愛しい人と毎日、過ごせるんだもの…きっと幸せになる」幼い頃から何でも思いのままの公主たちでも、婚姻だけは自由にできなかった。永寧は自分もいずれ豊朝(レイチョウ)のために異国に嫁ぐことになるかもしれないと分かっている。「戦になったら決めていることがあるの、豊朝とは決別するって…夫に従うわ」一方、ミロは誰もいない店内でひとり、やるせない思いを抱えながら舞っていた。皇宮という自由のない高い塀の中へ閉じ込められた裴照、しかし引き留めることもできず、ミロは約束通り静かに見送るしかなかった。そんなある日、小楓は菓子を持って清思(セイシ)殿を訪ねた。皇太子妃の来訪に宝林(ホウリン)・緒娘(ショジョウ)は警戒していたが、小楓は自ら菓子の毒味をして安心させ、策略や駆け引きは苦手だと笑う。「これからは姉妹として仲良くしましょう?信じられないなら来るのをやめるわ」「滅相もない」事情を知らない小楓は流産した緒娘を励まし、皇太子と仲睦まじくすればまた身ごもれると言った。すると緒娘が何やら話しがありそうだと察し、小楓は人払いする。「太子妃…殿下は私のことなど眼中にありません、私は皇后の駒だったのです」「でも今は違う、誰を愛しても構わないのよ?一途に殿下を愛せばきっと心が通う日が来るわ」「私の心はもう宮中にありません」瑟瑟は小楓が緒宝林を訪ねたと知った。侍女・錦児(キンジ)の報告では2人が楽しそうに話していたという。面白くない瑟瑟は自分をのけ者にするつもりだとひがみ、ある策を思いつく。一方、緒娘は皇太子妃の差し入れを宮女たちと一緒に食べていた。そこへ突然、皇太子が現れる。すると李承鄞は人払いし、張参(チョウサン)なら死んだので心配ないと伝えた。「折を見て宮中から逃がしてやろう」李承鄞は用件だけ伝えて帰ることにしたが、緒娘が思わず引き止めた。「殿下!」「…まだ何か?」「太子妃はとても良い方です」「知っている」翌朝、気持ちよく眠っていた小楓はいきなり永娘(エイジョウ)に起こされた。「太子妃、緒宝林が桃木符(トウボクフ)を隠していました、趙良娣を呪詛していたようです 良娣が宝林をとらえ、太子妃を待っています!」「アイヨ~大げさねえ~たかが木片でしょう?ったく…そんな物で良娣が呪い殺されるものですか~」しかし宮中で呪詛はご法度、皇帝の耳に入れば誰かの首が落ちるという。永娘は皇后が不在の今、ここは皇太子に裁きを委ねるべきだと進言した。知らせを聞いた李承鄞は承恩殿に駆けつけ、外部に漏れないよう東宮内で解決すると決めた。小楓は調査して全貌を明らかにすべきだと嘆願したが、李承鄞は釈明もさせずに緒娘の仕業だと断定する。「宝林の身分を廃し、庶人に降格する、何人(ナンビト)も仕えてはならぬ」「ひどいわ!」すると李承鄞は口答えした小楓にも半月の禁足を命じ、瑟瑟を連れて帰ってしまう。「分かり合えたと思ったのに…とんだ勘違いだったわ!」小楓は怒り心頭だったが、その裏で李承鄞の計画が動き出していた。裴照は小楓を心配し、皇太子に呪詛の件を調べなくていいのか確認した。「何だ?太子妃が気の毒か?…ふっ、新婚なのに浮かぬ顔だな? 瑟瑟は私に尽くしてくれた、だから過ちを犯しても罰することができなかった まさかその結果、瑟瑟を増長させることになろうとは… こんな陰険な手を使い、無辜な相手を傷つけるとは許せん 小楓は純粋だ、こうでもしないと瑟瑟の餌食になってしまう」「全てご存知で…」「瑟瑟への愛はないが夫として責任がある…はあ~こんな小芝居はやめさせなければ…」一方、高于明(コウウメイ)は娘から皇帝が足繁く鳴玉坊(メイギョクボウ)に通っていると報告を受けていた。そこで皇帝が執心の明月(メイゲツ)という妓女の身辺を嗅ぎ回っていたが、これに気づいた柴牧(サイボク)が女将に金をつかませ、先手を打つ。すると孫二(ソンジ)という男が女将に接触、女将は柴牧の指示通り包みを渡した。包みの中には明月の幼い頃の衣が入っていた。すると衣に″正月十八 鵝毛(ガモウ)飛ぶ 人人正 寒霜(カンソウ)剣に中る″という血書が縫い付けられている。明月が鳴玉坊に来たのは4歳で現在は24歳…。高于明は正月18日と言えば顧如晦(コジョカイ)の命日だと気づき、″人人正″から″征″を導き、陳征(チンセイ)にたどり着いた。「そうか、陳征の娘が生きていたら、そのくらいの年だ… どうやら明月は故意に陛下に近づいたようだな」高于明が明月の正体に気づいた頃、李承鄞は柴牧の屋敷を訪ねていた。李承鄞は慎重な高于明なら明月を消そうとするはずだと考え、皇帝が鳴玉坊にいる時、暗殺の芝居をしてはどうかと提案する。大事な如意(ニョイ)のために邪魔者を消し、陳家の事件の真相を隠す、柴牧は確かにこの2つが重なれば皇帝は信じるだろうと納得した。その夜、錦児が慌てて寝殿に駆け込んできた。実は緒娘が自害したという。瑟瑟は呆然となり、緒娘をそこまで追い詰めるつもりはなかったと困惑した。一方、小楓は李承鄞の一方的な裁きに未だ怒りが治まらない。そこへ何食わぬ顔で李承鄞が現れ、緒娘が自害したと教えた。激情に駆られた小楓はいきなり李承鄞を引っ叩いたが、李承鄞は怒るどころか一笑に伏して帰ってしまう。「笑った…我が子を身ごもった側妃が死んだのに笑ったわ?!なんて冷たいの!」翌朝、緒娘は皇太子の手はずで無事に宮中を脱出した。時恩(ジオン)は城門まで緒娘を送ると、路銀を渡して故郷で静かに暮らすよう告げる。すると緒娘は別れ際、皇太子妃に渡して欲しいと手巾を託した。実は小楓は中原の女子が友の証しとして手巾を交換すると知り、緒娘に渡したという。緒娘はその時、刺繍が得意なので花を刺繍して返すと約束していた。「太子妃がこの手巾をご覧になれば、殿下のお話を信じてくださるでしょう」高家への復讐も大詰め、そこで柴牧は顧剣(コケン)と一緒に顧如晦の墓参りに来た。「どうか私と剣児に任せてくれ、奸臣の高于明を必ず成敗し、お前の冤罪を晴らす 約束しよう、豊朝の忠烈祠(チュウレツシ)に位牌を祭るとな…」柴牧は暗殺計画の任務を遂行できるのは顧剣しかいないと腹をくくった。手加減すれば皇帝を欺くことができず、しかし傷が深ければ明月の命はない。しかし顧剣は娘の命を賭けてまで復讐するのかと辛辣だった。「…私に父親の資格はないな」李承鄞が承恩殿を訪ねると、小楓はまだふて寝していた。そこで小楓の顔に緒娘から受け取った手巾をかぶせてみる。何事かと飛び起きた小楓は花の刺繍が入った手巾を見てすぐ緒娘だと分かった。「なぜ持っているの?!」「出て行く時に預かった」李承鄞は呪詛の騒ぎに乗じ、以前から宮中を出たがっていた緒娘を逃がしていた。実は緒娘は皇太子を信じて薬を飲み、仮死状態になって宮中を脱出したという。「私の頬を叩いた時、なぜ気づかなかった?」「…つまり瑟瑟の仕業だと気づいていたのね?」「その件については私に任せてくれ」「どうせかばうんでしょう?」「にぃ(你)…嫉妬しているのか?くすっ」「誰がよ!太子殿下、用がなければお帰りください」すると李承鄞は約束通り鳴玉坊へ連れて行くよう要求した。しかし小楓は今回、騙されたので帳消しだと断る。「はお、断ったことを後悔するなよ?」李承鄞は小楓の目の前に狼の牙の首飾りを出し、連れて行くなら返してやると言った。「いつ行く?!」「今すぐだ!」その夜、小楓はいつものように男装し、李承鄞を連れて鳴玉坊へやって来た。小楓は明月に会いに行くことにしたが、女将から明月なら馴染みの客ができたと止められてしまう。仕方なく個室に落ち着いた小楓と李承鄞、しかし小楓は明月の意中の相手が気になり、こっそり明月の居所がある裏庭へ忍び込んだ。小楓と李承鄞が前触れもなく明月の居所に現れた。しかしそこで思いがけず皇帝と出くわしてしまう。男装の小楓は咄嗟に背を向けたが、皇帝にはすぐ皇太子妃だとばれた。そこへ琴を弾く手を止めた明月がやって来る。「小楓は太子妃だったの?」「明月姐姐(ジェジェ)、騙していてごめんなさい、打ち明けようと思ったけど言えなくて… でも姐姐なら身分など気にしないと思ったの…怒ってる?」「明月にとって小楓は今でも妹妹(メイメイ)よ」小楓は自分にとって明月は大切な存在だと皇帝に訴えた。西州では兄弟姉妹が多くて賑やかだったが、今はアドゥだけで寂しいという。「…で、太子も姉や妹に会いに来たと?」「あ、うぉ(我)…」「太子殿下はその〜先日、札遊びで私が負けたら絶世の美女に会わせるとお約束したのです」「そうなんです(汗)父皇、興味があって来ただけです」「ふっ、お前たち夫婦は一心同体か?仲睦まじいことだ」「皇上?明月は鳴玉坊で育ち、身近に心を許せる人はいませんでした 太子妃はこの通り社交的で、すぐ打ち解けたので身分の差を感じなかったのです こうして情の深い方と姉妹になれました、明月は幸せ者です」すると小楓は明月と2人で話をしたいと頼んだ。小楓は明月の恋の相手が皇帝だと知って驚いたと言った。実は明月もあとで知ったのだという。「陛下だと分かった今も気持ちは変わらないの?」「うん…悔いはないわ」しかし2人のひそひそ話は皇帝や李承鄞に筒抜けだった。李承鄞は小楓を強引に連れ出した。「何するの!離して!」「陛下の前で失礼だぞ?!なぜあんな質問したんだ?!」考えるだけでも恐ろしくなる李承鄞、しかし小楓は悪びれる様子もなく、裏庭で言い争いとなる。「だって陛下の愛は独り占めできないでしょう?明月姐姐が幸せか知りたかったのよ!」小楓は西州では自分の気持ちを何より大切にすると反発し、肝心なのは愛し合っているかどうかだと訴えた。しかしここは都、李承鄞は父への無礼を叱り、罰として女誡(ジョカイ)を書写しろと命じる。「父皇の前でかばってあげたでしょう?品行方正という虚像を守ってあげたのに… いいわ、なぜ鳴玉坊に来たか父皇にバラすから!」「ちょっと待て!」焦った李承鄞は小楓を肩に担ぎ、帰ることにした。つづく
2021.02.01
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东宫 Goodbye my princess第43話「母との決別」アドゥは顧剣(コケン)のおかげで峠を越し、翌朝には目を覚ました。小楓(ショウフウ)は安堵したが、そこへ大理寺の汪束(オウソク)が現れ、刺客と戦ったアドゥから話を聞きたいという。刺客の顔を見たアドゥは皇后の側近侍女・容霜(ヨウソウ)だったと証言、こうして容霜は収監された。一方、李承鄞(リショウギン)は未だ意識が戻らず、小楓は焦っていた。実は王太医は皇太子妃から西域の劇薬を受け取ったものの、薬効が強すぎるため使用できなかったという。小楓はこのまま手をこまねいていられず、万一の時は自分が責任を取ると約束して李承鄞に自ら薬を飲ませた。容霜は大理寺で尋問されたが、身に覚えがないとしらばくれた。憤慨した汪寺卿(ジケイ)は正直に答えなければ拷問にかけると脅す。その頃、皇后・張玫娘(チョウバイジョウ)も皇帝に容霜の無実を訴えていた。そもそも息子の李承鄞を殺める理由がない。しかし皇帝は李承鄞の目が覚めればはっきりすると告げ、結論が出るまで謹慎を申し渡した。高坤(コウコン)は皇太子暗殺未遂事件を父・高于明(コウウメイ)に報告した。しかし箝口令が敷かれているため詳しく探れず、身重の妹・如意(ニョイ)に余計な心配もかけたくないという。「我々が皇后を守らなくて良いのでしょうか?」「もはや我らは一枚岩ではない、太子暗殺は死罪だ、関わらぬのが賢明だろう それに如意が皇帝の子を宿している、不要な駒は捨てれば良い」小楓が飲ませた薬は弱っていた李承鄞にはやはり強すぎた。李承鄞は薬を吐き出し、熱も下がらず、王太医はもはやなす術ないと報告する。落胆した小楓は覚悟を決め、死ぬ時は自分も一緒だと李承鄞に声をかけた。「今、一番会いたい人はあの人でしょう?…もう少し耐えてね、呼んで来てあげる」小楓は青鸞(セイラン)殿にやって来た。すると固く閉ざされた門の向こうから、趙瑟瑟(チョウシツシツ)の悲痛な叫び声が聞こえて来る。「ここから出して!お願いだから殿下に会わせて!…お願いよ…一目だけでいいの…皇太子が重傷だと知った瑟瑟は、李承鄞に万一のことがあれば生きていけないと泣き叫んだ。その時、急に門が開き、皇太子妃が現れる。「殿下に会って…」小楓は瑟瑟の乱れた髪を直し、李承鄞が会いたがっていると伝えた。裴照(ハイショウ)が寝殿の前で控えていると、小楓が瑟瑟を連れて戻って来た。「入って…でも泣いては駄目よ」瑟瑟は気が急いていたが、ふと門前で立ち止まり、皇太子妃に感謝してから寝殿へ入って行く。すると小楓はそのまま石段に腰掛け、瑟瑟がいれば李承鄞も元気になるだろうと安堵した。裴照は寒空の下で李承鄞の無事を祈る小楓を見守りながら、愛する人に側にいてもらえない皇太子を思うとやるせない。その頃、瑟瑟は意識のない李承鄞に涙ながらに声をかけていた。「どうしたのですか?目を開けてください…殿下が必要なのです、瑟瑟はどうすれば…」小楓が手を合わせて天に祈りを捧げていると、やがて永娘(エイジョウ)が寝殿から出て来た。「太子妃、そろそろ趙庶人にお帰りいただいてはどうですか?」「…今行くわ」小楓が立ち上がると、裴照も下がることにした。「では私はこれで…」すると急に突風が東宮を吹き抜けて行く。その風はまるで小楓と裴照に西域の砂漠を思い出させるような強い風だった。瑟瑟が帰ると、小楓は再び李承鄞に付き添った。李承鄞の命は今や風前の灯となり、太皇太后や皇帝が最後に顔を見にやって来る。やがて寝所には小楓と李承鄞だけになった。「リーチョンイン…人って不思議なものね、前は顔を合わせれば喧嘩ばかり、あなたに腹を立ててた でも今となっては良い思い出しか浮かばない」小楓は意識のない李承鄞の手を握りしめ、本音を語り始めた。「最初から嫌っていたわけじゃない よく覚えているわ、あなたが太子になると聞いてすごく嬉しかった あなたの意中の人は趙姑娘(グーニャン)だと知っていたのにね…ぐすん しばらくしてあなたが丹蚩(タンシ)を滅ぼしたと聞いた、本気で殺そうと思ったわ…(はあ~)」小楓は李承鄞の手に息を吹きかけて温めながら、両手で大事そうに包み込んだ。「新婚初夜のこと覚えている? 目の前にいるあなたを見ながら考えたのよ?ひと思いに殺すべきか あなたを恨んだわ、でも自分も恨めしかった 手を下せないばかりか、あなたを好きになっていたんだもの…ぐすん 早く目を覚まして、ね?…あなたの言う通り寡婦になるのが怖い だって西州では夫に先立たれた女は義弟に嫁ぐのよ? もしあなたが死んだら、私は誰に嫁げばいいの?他の人なんて嫌よ… ふっ、なら一生、私は寡婦なのかしら? 実はあなたに隠していたことがあるの 小さい頃に明遠(メイエン)娘娘に中原の字を教わったけど、未だに覚えられない 手本を真似て一筆ずつ書いているだけなの… 例えばあなたの名前、李承鄞の″鄞″を最初は″勤″だと思ってた 中原の名には全て意味があるそうね?あなたの″鄞″はどういう意味なの?」<″鄞州″だ… (-ω-。` )<鄞州ねえ…「…太祖皇帝が鄞州の領主だった…中州の東…梁州(リョウシュウ)の南…豊朝(レイチョウ)発祥の地… だから…私の名は承鄞…」(´-ω-。` )<へえ~…って(≧ꇴ≦`ノ)ノ<ええーっ!李承鄞は息を吹き返した。翌朝、李承鄞が再び目を覚ますと、側にいたのは瑟瑟だった。「…なせここに?」「太子妃が殿下に付き添うようにと…」すると知らせを受けた皇帝が駆けつけた。人払いした皇帝はアドゥの証言で李承鄞を襲ったのが皇后の侍女・容霜だと教えたが、なぜか李承鄞は驚く様子がない。そこで李承鄞は生母の形見である玉佩を差し出した。「明遠姑姑(グーグー)が死に際に言われたのです、私の生母を殺めたのは皇后だと…」皇帝は大理寺で自ら容霜を審問することにした。御前に引っ立てられた容霜は濡れ衣だと訴え、実は殺したかったのは皇太子ではなく小楓だったとごまかす。「朕を欺かぬと?ならば1つ聞く…皇后の差し金なのか?」「皇后娘娘は関係ありません!長年、連れ添った皇后娘娘を信じて差し上げてください!」「…太子が目を覚ましたぞ?」容霜は動揺を隠せず、目を泳がせた。清寧宮に皇帝が現れた。張玫娘は容霜の無実が証明されたと期待したが、皇帝の口から思わぬ言葉が飛び出す。「答えてくれ、淑妃が命を落としたのは猛毒が原因だと判明した…そなたが毒を盛ったのか?」「違います!信じてください!」「そなたは玉瑶(ギョクヨウ)と姉妹同然で承鄞を立派に育て上げた 朕もそなたは国母にふさわしいと思っていた、だが明遠が承鄞に真相を告げていた 今ようやく気づいたのだ、朕が傍で毒蛇を飼っていたことに… 玉瑶を殺め、承鄞まで手に掛けるとは!何と恐ろしい女だっ!」皇帝の逆鱗に触れた張玫娘は恐怖のあまりその場にへたり込んだ。皇帝は張玫娘が自衛のために数々の策を弄していることなど知っていた。しかし李承鄞がそれに対処できぬようでは皇帝の器ではないと考えて来たという。「夢にも思わなかった…かくもおぞましい女だったとは…己の息子すら亡き者にしようとした!」「陛下!事実無根です!私が承鄞を殺めるはずありません!誰よりも愛しています!」張玫娘は徹底的に調べて冤罪を晴らしたいと嘆願したが、皇帝から一蹴されてしまう。「芝居はたくさんだ!…三十余年の夫婦の情に免じて命だけは助けてやる すでに廃妃の勅書を書いた、明日の朝議の場で公布する」追い詰められた張玫娘は高于明が黙っていないと反発したが、皇帝はまだ叔父を当てにしているのかと呆れた。高婕妤(ショウヨ)が懐妊し、まもなく貴妃に封じられる。皇子を産んでいない姪と皇帝の子を身ごもった娘、高于明がどちらを選ぶか一目瞭然だ。追い詰められた張玫娘は皇帝を一途に思って来たと情に訴えたが、皇帝に足蹴にされてしまう。今や叔父も身内も離れ、後宮で慕う者もなく、寝宮の宮女も皆、処刑されていた。皇帝は妻であることを考慮して選択肢を与えることにしたが、張玫娘が急に高笑いして話を遮り、姿勢を正す。「私は幼い頃、陛下の許嫁となりました…初めてお会いした時から私の心の中には陛下だけだった 顧淑妃を愛しておられたのは知っています、でも時には陛下もこの私に優しくしてくださった 玫娘に1つだけ教えてください、陛下のお心に私はいましたか?」「…己の胸に聞いてみればよい、朕に聞くな!」すると皇帝は憤慨して清寧宮を出て行ってしまう。「びーしゃあぁぁぁぁーっ!」廃皇后の勅書が下された。皇后張氏は恨みを抱いて後宮を乱し、掟に背いて異腹の子を教え諭せず、短気にして凶暴であり、妻の徳に欠け、母国としてもふさわしくないという。そして皇后の印は収奪され、長年の伺候(シコウ)により死罪は免じられたが、生涯、清寧宮にて禁足となった。その夜、李承鄞は閑散とした清寧宮にやって来た。しかし寝殿は門も窓も全て開かないように板を打ちつけられている。 その時、薄暗い殿内にいた張玫娘が物音に気付き、急いで門へ駆けつけた。「チョンイン…あなたなの?」「そうです、私です」すると張玫娘は正直に嫉妬心から李承鄞の生母の命を奪ったと認め、しかし李承鄞を我が子同然に育てて来たと訴えた。これまで李承鄞に心血を注ぎ、将来は天下に君臨する明君になって欲しかったという。「その通り、あなたには育ててもらった恩がある…でもそれは本来、生母から受けるべきものだった あなたは母の命を奪い、私の幸せさえも奪ったんです… 黒幕は他にいると信じたかった、本当の母子になりたかった…でも甘かった、大間違いでした あの一刺しで目が覚めたのです、私は皇后の座を守るための駒に過ぎなかった… 父皇の心をつなぎ止めるだけの道具でしかなかったんだ!この命もあなたには何の価値もない! 結局、私は一度もあなたの″息子″にはなれなかった…」李承鄞は門の前で叩頭し、これまでの養育の恩に感謝を伝えた。…あの一刺しで育ての恩は帳消し、貸し借りなしだ…これで我らの母子の縁は切れた張玫娘は門のわずかな隙間から李承鄞が去って行く姿を見た。「チョンイン!私の息子よ!戻って来て!私の息子よ!」皇帝は清寧宮で張玫娘が自害したと聞いた。そこで玉瑶が使っていた当時のまま保存してある拾翠(シュウスイ)殿を訪ねる。一方、生母の敵を討った李承鄞は東宮にこもり、玉佩を握りしめたまま泣いていた。時恩(ジオン)は承恩(ショウオン)殿に駆けつけ皇太子妃に助けを求めたが、小楓は今は誰が行っても無駄だと諭す。「独りにしてあげましょう…あの人なら心配ないわ、思い切り泣けば気も晴れるはずよ」李承鄞は瑟瑟の幽閉を解き、良娣(リョウテイ)に復位させた。喜んだ瑟瑟は早朝から内殿に駆けつけ、愛する李承鄞の胸に飛び込む。「殿下が心配で夜も眠れませんでした!これからは死ぬまでおそばにいます、決して離れません!」しかし李承鄞の心はもはや別のところにあった。つづく※門というのは寝殿の入り口のことです
2021.01.31
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东宫 Goodbye my princess第42話「刺客」太皇太后から内殿に軟禁された李承鄞(リショウギン)と曲小楓(キョクショウフウ)。2人は外衣まで取り上げられてしまい、一緒に布団に入って暖を取るしかなかった。そして翌朝…。(」゚ロ゚)」<一国の太子妃が鳴玉坊(ライギョクボウ)だってーっ?!(๑≧ꇴ≦)<アイヤー!静かにして!壁に耳あり、大声を出さないで!小楓は慌てて李承鄞の口をふさぎ、あくまで視野を広めるために行っただけだと言い訳する。すると李承鄞は次に行く時には自分も誘って欲しいと頼んだ。(」゚ロ゚)」<一国の太子が鳴玉坊なんてぇぇぇ~!今度は小楓が声を荒げ、李承鄞が慌てて口をふさぐ。「視野を広げるために行くだけだ!」「ん〜それならまずここを出ないとね~」そこで小楓は李承鄞に仮病を使えと強要した。「え?」「らいれんな(来人哪)~!太子殿下が倒れたわ~!」李承鄞はやめろと止めたが、すぐ時恩(ジオン)たちが駆けつけ、仕方なく目を閉じて寝たふりをするしかなかった。太医は皇太子が一時的に脈が乱れてめまいを起こしただけだと見立てた。安堵した太皇太后は明日の祭祀までに滋養をつけさせるよう命じ、これを機に皇太子妃も解放すると決める。小楓は喜んで太皇太后を見送ると、寝たふりをしている李承鄞の足をわざと踏んで寝台から降りた。(#>ω
2021.01.24
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东宫 Goodbye my princess第41話「子作り騒動」皇帝は李承鄞(リショウギン)と談笑中、皇太子と仲が良い裴照(ハイショウ)に話が及んだ。「妻はいるのか?」「いません…が実は珞熙(ラクキ)が幼い頃から裴照を慕っています」「おお?!」太皇太后の誕生日、祝宴では皇太子と皇太子妃が揃って祝辞を述べた。小楓が痩せていると気づいた太皇太后は皇太子にいじめられたのかとからかうと、李承鄞はいじめられているのは自分だと茶化す。( ー̀ωー́ )<原因は私じゃないわ(ボソッ何とも不満げな様子の小楓、しかも皇后の話では良娣(リョウテイ)だった趙瑟瑟(チョウシツシツ)が掟を破って庶人に降格されていた。どうやら太皇太后が祭祀で留守にしていた間に宮中で色々な事件があったらしい。すると挨拶を終えた李承鄞と小楓が早速、またもめていた。「おい!どこに行くんだ?」李承鄞は思わず小楓の腕をつかんで制止する。「永寧(エイネイ)と珞熙と座る、あなたもその方がいいでしょう?」小楓は李承鄞の手を振り払い、さっさと李承鄞の向かいの席に行ってしまう。皇帝が婕妤(ショウヨ)・高如意(コウニョイ)を同行して祝宴に現れた。2人で並んで座る姿に内心、穏やかではない皇后だったが、冷静を装うしかない。すると皇帝が太皇太后に八公主のため縁談を用意したと切り出した。「珞熙、裴照、前に…」太皇太后は目の前に並んだ2人を見ると、確かにお似合いだと祝福した。しかし小楓は何とも複雑そうな顔でうつむいてしまう。その表現を見た李承鄞は眉を吊り上げて睨んでいた。祝宴の散会後、李承鄞は東宮への道すがら縁談が決まった裴照を祝福した。しかし裴照はしかめっ面で黙っている。「まさか駙馬(フバ)が不満なのか?」「滅相もないことです」裴照は母が平南(ヘイナン)公主である以上、いつかはこんな日が来ると分かっていた。「この婚姻は陛下の命です、妻を大切にして暮らします…ご安心を」「私が太子妃に冷たいと言いたいのか? 私と太子妃の諍いは皇后に見せるための芝居だ 皇后は…ふっ、皇后か…これからは敬うことはできんな、だが愛情深く接することにする」李承鄞はこうして裴照と小楓を引き離すことに成功した。その夜、裴照がミロの酒楼に現れた。顧剣(コケン)は夜番ではないのかと聞いたが、裴照は珍しくミロに強い酒を注文する。すると裴照は酒瓶から浴びるように飲んだかと思うと、皇帝の命で妻を娶ることになったと話した。裴照のやるせない気持ちを察した顧剣は黙って酒に付き合うことにしたが、急にミロが顧剣に店を任せ、裴照を連れて出て行ってしまう。「都で一番、高い場所はどこ?」「朱雀楼だ」裴照はミロを連れて朱雀楼に上った。するとミロは皇宮の方角を眺め、あの高い塀の中には自由でない人たちがいると同情する。「西域にいた時は都が夢のようなところだと思ってた あなたの勧めに従って都へ来たけれど、現実は違ったわ、窮屈な所よね? 繁栄の裏には数え切れない嘆きと悲しみが隠れている、小楓の気持ちが分かったわ 私は静かに見送る、塀の向こうに行くあなたのことを…」その時、小雪がちらつき始めた。「雪だ、帰るぞ…」2人は階段を降りることにしたが、ミロがうっかり足を滑らせてしまう。しかし裴照が咄嗟にミロを抱き留めた。「酒を飲んだのは私なのに、なぜ君が酔う?」「あなたの代わりよ、酔わせて…」同じ頃、小楓は承恩殿で永寧と珞熙と祝杯をあげていた。想い人と結ばれることになった珞熙、しかし小楓は黙っていられず、裴照の気持ちを聞いたかと横槍を入れてしまう。驚いた永寧は珞熙なら裴照を深く愛していると口を挟んだが、小楓はだからこそ裴照の本心を知るべきだと説得した。「珞煕、分かるでしょう?愛のない婚姻は本当に苦しいわ」「分からないわ、だって私たちは父皇の命で婚姻するのよ?本心がどうあれ拒む権利はない」「陛下の話じゃない、2人の気持ちのことを言ってるの 本心を知らないまま嫁いでも構わないの?」「小楓、やめて、自分が不仲だからって珞煕も同じ道をたどるわけじゃないわ」永寧は裴照と五兄は違うと言ったが、小楓は李承鄞のように本音を口に出さない裴照だからこそ心配だと訴えた。「裴将軍は何でも胸に秘める人よ?穏やかな一生を送れると思う でも本心を知らないままでいいの?あなたには自分を欺いて生きて欲しくない」「…裴照が私を好きにならないとでも言いたいの?」珞煕は小楓の一方的な道理に傷つき、帰ってしまう。その夜、李承鄞は承恩殿に泊まることにした。そこで小楓にひとしきり嫌味を言う。「夫のある身だと忘れるな、あぁ~西州の女子は外聞を気にしないのか? だが君は皇太子妃だ、裴照と一緒に外出するのはやめろ」「リーチョンイン!私と裴将軍は何でもないわ!」「だろうな~裴照はそんな男ではない、つきまとっているのは君だろう?!」「あなたが誰といても口を出したことはない、なぜ外出しただけでとがめるの?!」小楓に痛いところを突かれた李承鄞は思わず口ごもる。「我ら西州の女子を悪く言うなんて…そもそも和親を迫ったのはあなたの父上でしょう? 私は豊朝(レイチョウ)に嫁ぐしかなかった! だいたい西州の男はあなたよりも強い、私だって好きで太子妃になったわけじゃないわ! 私の好みはあなたの数万倍も強い男よ!」これに李承鄞は激昂、二度と承恩殿には来ないと言い放ち、帰ってしまう。「永娘!李承鄞の服も引き上げて!」↓ギーギーギャーギャーそんなある日、小楓は太皇太后への挨拶で寿仁宮を訪ねた。太皇太后は特別に養生粥を作らせたが、口にした小楓が急に吐き気を催してしまう。懐妊だと早合点した太皇太后は慌てて太医を呼んだが、脾胃が冷えた小楓が単に相性の悪い粥を食べただけだと分かった。落胆した太皇太后は危機感を募らせ、ふいに妙策を思いつく。そこで小楓を連れ、すぐ東宮へ行くことにした。祭祀のため斎宮(サイグウ)で身を清めた李承鄞が東宮へ戻って来た。すると待ち構えていた太皇太后が皇太子と皇太子妃を内殿に閉じ込めるよう命じ、自分の許しを得ない限り外へ出してはならないと伝令する。訳も分からず、いきなり軟禁される李承鄞と小楓、しかし知らせを聞いた皇后が駆けつけ、祭祀に皇太子が欠席しては掟に反すると訴えた。しかし太皇太后は祭祀より世継ぎの方が大事だと取り合ってくれない。皇后は皇帝の手前、太皇太后に逆らうことができず、黙って従うしかなかった。内殿の戸が開いた。小楓はやっと出られると思ったが、侍女は夕食の重箱を置いて逃げるように帰ってしまう。名残惜しそうに門に張り付く小楓、一方、空腹だった李承鄞はひとりで早速、粥を食べ始めた。すっかり夜も更けた頃、李承鄞の様子がおかしくなった。李承鄞は太皇太后が粥に媚薬を仕込んでいたと気づき、小楓に離れるよう訴える。しかし耐えられなくなった李承鄞は小楓に襲い掛かり、激しい攻防が繰り広げられた。やがて李承鄞は小楓を寝台に連れ込むと、小楓は最後の手段とばかりに李承鄞の良心に訴えかける。「あなたには瑟瑟がいる!好きなのは趙良娣よ!良娣を裏切ってはダメ~!」「妻と事に及ぶんだ、裏切りじゃない!」いよいよ追い詰められた小楓、そこでちょうど近くにあった玉の枕をつかみ、李承鄞の頭を殴ってしまう。すると李承鄞は意識を失い、小楓に覆いかぶさるように倒れた。翌朝、小楓は正気に戻った李承鄞を解放するため、手首を縛っていた紐を解いていた。しかし運悪くちょうどそこへ太皇太后が入って来る。天幕の向こうで重なる2人の影、それを見た太皇太后は誤解し、何も見ていないと笑って引き返した。「太奶奶(タイナイナイ)!違うんです!ってあーっ!」すると宮女たちが散らかった衣まで回収し、出て行ってしまう。李承鄞と小楓は外衣まで奪われ、仕方なく一緒に寝台で布団にくるまり暖を取った。相変わらず差し入れは媚薬入りの粥で、さすがに2日目ともなると気力も失せて来る。一方、瑟瑟は侍女の錦児(キンジ)から太皇太后が皇太子と皇太子妃を内殿に閉じ込めたと聞いた。何でも粥に媚薬を仕込んでおり、これでは事に及んでも皇太子を責められないという。「もしあの2人に皇子が生まれたらどうしましょう?!」「…錦児、殿下は私に一途だと思っていた、何も心配していなかったの でも今さらながら気がついたわ、結局、私は側妃でしかないのよ もし皇子を生んだとしてもその子は庶子になる… 東宮の正当な主になりたい、そうすれば悩まずに済むわ」李承鄞と小楓は寝台でぐったりしていた。「君と親しい友同士の婚姻が決まったんだ 普通は喜ぶはずなのに、君は父皇の言葉を聞いた時、嬉しくなさそうだった なぜ喜ばなかったんだ?」「はあ~…普通に出会って惹かれ合ったのなら違ったわ、きっと私も喜んだ でも陛下の命で一緒にならねばならないのよ? 添い遂げる相手を選ぶ権利がないなんて…きっと後悔するわ」「だからと言って不幸になるとは限らない」「それなら私たちは幸せだと言えるの?!」「一緒にするな」「そうね、一緒にはできない、私たちは悲惨だもの、私は和親で豊朝へ来た だから婚姻を拒む権利はなかった、夫婦の鑑でいることも求められる…ヤレヤレ~」すると急に李承鄞は押し黙り、やがて何かを言おうとした。「実は私は…その、私はだな…その~」「何よ?!やだ!まさか!」小楓はまた薬の効果が出たのかと驚いて距離を置く。結局、李承鄞はまだ志半ばだと思い直し、本当の気持ちは伝えられなかった。皇后は我がままな太皇太后に振り回され、お手上げだった。しかし皇帝が太皇太后の意に沿おうとするため、誰も太皇太后に逆らえない。すると侍女・容霜(ヨウソウ)は孫ができれば皇后も楽しみが増え、何より皇太子の地位が磐石になるとなだめた。確かに皇后にも悪い話ではない。「承鄞は腕白だけど、私に礼を尽くす子だった その度に私は実の母親ではないと痛感したの、今になって思えば厳し過ぎたのかもしれない 子供だもの、好きなように遊ばせてやればよかったわ」「娘娘(ニャンニャン)、今夜は感慨にふけっておいでですね?」皇后は年を取ったせいか、幼い頃の李承鄞を良く思い出すと言った。「東宮へ行くわ」 内殿の前では永娘と太皇太后の女官・桜喬(オウキョウ)が控えていた。そこへ皇后がやって来る。すると2人のそばに皇太子の衣が畳んで置いてあった。何でも太皇太后が取り上げるよう命じたという。驚いた皇后は門を開けるよう要求したが、桜喬は太皇太后の許可なく開けられないと報告した。そこで容霜は戻った方が良いと進言し、皇太子もすでに休んでいるだろうと諌める。皇后はあきらめて引き返すことにしたが、その時、皇太子の玉佩に目を留めた。それは確かに李承鄞が身につけている玉佩だったが、いつのまにか対になっている。「太子の衣服は預かるわ、太子は綺麗好きなので洗っておかなくては… あとで取りに来るよう伝えてちょうだい」つづく( ̄▽ ̄;)いよいよ瑟瑟はブラック化それにしても錦児ってグッサグッサ刺して来るよね~
2021.01.18
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东宫 Goodbye my princess第40話「接吻」皇后の企みにより趙瑟瑟(チョウシツシツ)は庶人に降格され、青鸞(セイラン)殿に幽閉となった。そのため使用人たち全員が引き上げ、残ったのは貼身侍女の錦児(キンジ)ひとりになってしまう。寝耳に水だった瑟瑟は呆然としていたが、無情にも門が固く閉じられるのを見て卒倒した。これに激怒した李承鄞(リショウギン)は清寧宮に怒鳴り込み、母を激しく非難する。「母后(ムーホウ)!幽閉を解いて下さるまでここを動きません!」「勝手にしなさい!」皇后は憤慨し、雨の中で嘆願を始めた李承鄞を置き去りにして殿内に戻ってしまう。やがて李承鄞は脚の古傷が痛み始め、急に覚えのない記憶の断片がよみがえって来た。…すねに負った酷い裂傷…誰かが傷を縫っている…李承鄞はまるでその時の激痛を体感しているように顔を歪め、そのまま気を失ってしまう。女官・永娘(エイジョウ)は皇太子が高熱で倒れたと知り、慌てて皇太子妃に報告した。しかし経緯を聞いた曲小楓(キョクショウフウ)は放っておけと冷たい。一方、床に就いた李承鄞は太医の脈診を受けていた。するとふいに李承鄞が記憶喪失について質問し、控えていた裴照(ハイショウ)は困惑する。太医の話では頭部を強打した時に一時的に記憶を失ったり、あるいは耐え難い衝撃で心に傷を負い、失魂症となって過去を忘れることもあるという。「一時的?…では時が経てばそのうち記憶は戻るのか?」「恐らく…」李承鄞は太医を下げると、裴照に小楓が宮中を出ないよう目を配って欲しいと頼んでおいた。李承鄞は狼王と戦う夢を見てうなされていた。すると時恩(ジオン)が薬湯の時間だと声をかけて起こす。「殿下?」「…思い出さねばならぬ…何としても思い出さなければ…」「思い出すとは?」時恩は皇太子の額に手を当てると、さらに熱が高くなっている。しかし李承鄞はこのまま記憶を取り戻そうと薬を断り、皆を下がらせて誰も中に入れるなと命じた。永娘は皇太子の熱が一向に下がらず、内侍まで追い出したと報告した。恐らく趙庶人を皇后から守るために病を隠したいのだろう。しかし所詮は母子の諍い、小楓は自分が行っても意味がないと冷静だった。「そうだ~もしこのまま李承鄞が死んだら、私は晴れて寡婦に…」「太子妃(タイズフェイ)!何と恐ろしいことを!」「ハイハイハイ…分かったわ、行きます行きます~」小楓は永娘に泣きつかれ、渋々、李承鄞の見舞いにやって来た。そこで額に手を当ててみたが、確かに熱が高い。その時、うなされていた李承鄞が急に小楓の手を握りしめて離さなくなった。「娘(ニャン)…」「(ヾノ・∀・`)イヤイヤ…私よ?」小楓はともかく李承鄞に薬湯を飲ませると、仕方なくそのままそばで見守った。永娘が夜食を届けに来た。うとうとしていた小楓は喜んで起き上がったが、李承鄞の手が離れない。仕方なく水だけ飲ませてもらい、結局、李承鄞の横で一夜を過ごした。そして翌朝、用を足したくなった小楓はふと目を覚ましたが、相変わらず李承鄞が手をつかんで離してくれない。そこで慌てて永娘を呼び、御厠(オカワ)を頼んだ。小楓は李承鄞に手を引っ張られながら、永娘が盾となって御厠を使っていた。しかしちょうど用を足していた時、李承鄞が目を覚ましてしまう。驚いた小楓は悲鳴をあげると、李承鄞は大笑い、そこへアドゥが駆けつけ李承鄞の首に短刀を突きつけた。(#˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<リーチョンイン!笑うな!!!( ๑≧ꇴ≦)<あははは~はぁ~はぁ~ハライテ~小楓は宮女からも失笑を買い、面目を潰され激昂した。小楓はアドゥの短剣を奪い取り、笑いが止まらない李承鄞を叩き始めた。慌てて永娘は止めに入ったが、小楓がアドゥに連れ出せと命じる。アドゥは永娘と宮女をまとめて寝殿から追い出し、戸の前に立ちはだかった。しかし短刀を李承鄞に奪われた小楓が今度はアドゥに助けを求める。アドゥが心配して戸を開けると、皇太子と皇太子妃が寝台で戯れている姿が見えた。すると永娘が中へ入ろうとしたアドゥを阻止する。「アドゥ!夫婦がすべきことを邪魔しちゃダメよ!」そこで永娘は宮女たちと一緒に戸の前にひざまずいた。<どうしても入るなら私を殺してちょうだい!その頃、寝台の上では小楓が李承鄞に短刀を奪い取られていた。2人は短刀をめぐってもつれ合っていたが、やがて李承鄞が御厠の件を秘密にして欲しければ口づけしてくれと迫る。小楓はこれも両国の平穏のためだと覚悟し、自ら李承鄞に口づけした。すると李承鄞の脳裏に覚えのない真紅の衣をまとった娘との記憶が蘇り、再び頭痛に襲われてしまう。「どうしたの?」「ゥッ…もう行け」「行っていいの?!」小楓は履物を手に逃げるように寝殿を飛び出した。「永娘~もう生きていけない~うわーん!」「太子妃~!お待ちください~!」小楓は素足のまま走って承恩殿に戻った。そこで永娘が足湯を準備していると、時恩が皇太子からの贈り物を届けにやって来る。「太子殿下のお言葉です… ″先ほどは焦って衣を裂いてしまい悪かった、そこで特別にこの鴛鴦(オシドリ)の腰帯を贈る 本来なら自らの手で付けてやるべきだが、いかんせん疲れた 病の悪化を避けるため、行かぬことにする、また今日のことは誰にも言わぬゆえ、安心せよ″ と仰せでした…」しかし東宮での騒ぎはすでに宮中に知れ渡っていた。また皇太子の贈り物があらぬ憶測を呼び、承恩殿の宮女たちは皇太子は白昼堂々、皇太子妃を寵愛していたと誤解する。小楓は耐えられず自ら否定したが、この噂は皇后の耳にも入った。小楓は清寧殿に呼び出され、皇后から叱責された。「東宮の正室として皆の手本になる身よ?太子の戯れを諌めるどころか一緒に騒ぐとは… 太子は病なのに拒みもしないなんて…無理をして大病を患ったら大変だわ」「イヤイヤイヤ…違います、私たちは違いますって~」しかし皇后は罰として毎日10回ずつ女誡(ジョカイ)を書写するよう命じ、東宮への見舞いを禁止した。「え~またですか?何か新しいことは?」「物足りないの?なら20回」小楓はこれも李承鄞の罠だと疑い、怒り心頭だった。しかし永娘は病の皇太子が罠など仕掛けるはずがないとなだめ、早速、筆と紙を準備する。一方、錦児から噂を聞いた瑟瑟は皇太子が自分を忘れてしまったと深く傷ついていた。小楓への嫉妬と憎悪を募らせる瑟瑟、そんな中、皇太子から差し入れの食事が届く。瑟瑟は病の皇太子を心配して見舞いに行きたいと訴えたが、内侍から身分をわきまえて罰を受けるよう諌められてしまう。その夜、小楓は鬱憤ばらしにアドゥと市中へ出かけることにした。しかし宮道に出たところで裴照に見つかってしまう。小楓は散歩だとごまかしたが、裴照には通用しなかった。「一日中、書写ばかりで気が変になりそうなの、息抜きしなくちゃ、ちょとだけ行かせて?ね?」「太子妃…しかし太子からの命で…」「病だもん気づかないって!心配なら一緒に来てよ」裴照は小楓が昼食も食べていないと知り、さすがに同情して同行することにした。激しい雨の中、ミロの酒楼に小楓たちがやって来た。顧剣(コケン)はこの数日、姿を見せず、ミロもどこにいるのか分からないという。すると小楓は料理が来るまで竹笛を吹いてミロの踊りに興を添えた。本来の笑顔を取り戻した小楓、そんな小楓の姿にアドゥも裴照も自然と顔をほころばせる。その時、小楓の前を肉料理が運ばれて行った。喜んだ小楓は咄嗟に裴照に笛を渡して代わりを頼んだが、ふと吹けないと気づいて楽団の男に渡すよう頼む。しかし驚いたことに裴照が竹笛を吹き始めた。裴照の竹笛は見事だった。小楓もアドゥもミロもその笛の音の向こうに西域の風景を思い出し、思わず息をのむ。一方、東宮では李承鄞が目を覚ましていた。「今、何時頃だ?」「卯の刻(5~7時)になります」「太子妃に会いに行くぞ…」小楓は裴照が竹笛を吹けることに驚いた。裴照の話では幼い頃に父親が竹笛を西域から持ち帰り、暇さえあれば吹いていたという。小楓は裴照の父親が驍騎(キョウキ)将軍・裴況(ハイキョウ)だと知っていたが、かつて裴照に竹笛を教えると約束したことは記憶から消えていた。そこへミロがやって来る。ミロも裴照の竹笛を絶賛、その時、ちょうど楽団の波斯(ハシ)人たちがまた演奏を始めた。それは波斯の思郷曲で、中原のある詩と似ているという。…湯湯(ショウショウ)たる月の下 我が故郷を離れる 月 満ちては欠けども故郷は見えず…熠燿(ユウヨウ)たる星の下 我が故郷を離れる 天河 輝けども 郷土には戻れず…和和たる風 我が郷地を吹き渡り 麗麗たる日 我が故園を照らす…月のみぞ知る 我が祖国が滅びるを 星のみぞ知る 我が身をいずこに葬るを胸に迫る望郷の念、それはやむなく故郷を離れるしかなかった者だけが抱える憂いだった。小楓は帰りの道すがら、雨にかすむ都を見て一枚の絵のようだと言った。「天上にあると言われる神が慈しむ仙城のようだわ…この都に万国が訪れ、万民は敬い慕う でも心は晴れない、どんなに素晴らしくても西州ではないもの」すると小楓はふいに裴照に好きな人がいるか聞いた。まさか目の前にいるとも言えず、裴照はうつむいてしまう。「もし妻を娶るなら必ず好きな人にしてね、でないとあなたも相手も傷つくわ はあ~…愛のない婚姻は果てしない暗闇よ、あなたにはそんな日々を送って欲しくないの」「…私は皇室の子弟、自由な婚姻は望めません」裴照は今まで庶民には手の届かぬ贅沢と栄誉を享受してきたと話し、その代価だと言った。裴照は皇太子妃を承恩殿の前まで送り届けた。すると小楓が石段の途中で振り返り、もう帰るよう合図する。裴照は名残惜しそうに太子妃の姿が見えなくなるまで見守ると、戻って行った。しかしその様子をちょうど小楓に会いに来た李承鄞が見てしまう。憤慨した李承鄞は結局、承恩殿には行かず、引き返した。つづく(  ̄꒳ ̄)裴照、さすがだわ~というか普通、小楓が王族教育で学ぶことだろうに@代価
2021.01.17
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东宫 Goodbye my princess第39話「冷宮送り」華熹(カキ)殿では高于明(コウウメイ)の一人娘・如意(ニョイ)が亡き三兄・高震(コウシン)の位牌に手を合わせていた。そこへ突然、皇帝がやって来る。如意は位牌を隠す間もなく、そのまま拝礼するしかなかった。「陛下、お許しを…宮中で位牌を祀るのは大罪だと承知しております でも一番仲の良かった三哥の最期を看取れず、悔やまれてなりません…シクシク」しかし皇帝は見逃し、今回の件で高家に偏見を抱くことはないと安心させた。如意はそこで実家に数日ほど戻り、病の父を看病したいと嘆願する。すると皇帝はその孝行心に免じて許すことにした。相府に戻った如意は二兄・高坤(コウコン)に皇帝の様子がおかしいと相談した。最近は妃嬪を訪ねておらず、宦官の話では深夜に良く外出しているという。そこで如意が早速、尾行させてみたところ、驚いたことに皇帝の行き先は妓楼・鳴玉坊(メイギョクボウ)だった。李承鄞(リショウギン)は清寧宮に母を訪ねた。高震の死について調査したが、確かに山道で獣に襲われていたという。趙士玄(チョウシゲン)にも疑わしい点はあるが、確固たる証拠がなかった。「しかし母后の言う通り奴とは距離を置きます」すると皇后は趙士玄の妹である良娣(リョウテイ)・超瑟瑟(チョウシツシツ)はどうするのかと迫る。李承鄞は瑟瑟には関係ないと訴えたが、皇后は我慢の限界だった。「なぜ良娣ばかりかばうの?!緒娘(ショジョウ)と我が子には身分すら与えないし! 今や高家と趙家は犬猿の仲なのよ?!己の立場をわきまえて良娣の処遇を決めなさい!」「母后、東宮に嫁いだ以上、瑟瑟は私の女です、高家と不仲だろうと大事にします」「後宮と朝廷は一蓮托生だと分からないの?!父皇を見習って博愛に努めなさい!」皇后の言葉を聞いた李承鄞は思いがけず感情的になった。「父皇は愛する女を守れず、一生、悔やんでいます!それでも見習えと?! 母后、今日こそはっきり申し上げます、私の女を傷つける者は誰であろうと許さない!」張玫娘(チョウバイジョウ)は動揺を隠せなかった。まさか李承鄞は真相を知っているのだろうか。確かに今、″皇帝は愛する女を守れなかった″とはっきり言った。張玫娘は最近の李承鄞の言動に違和感を覚え、確実に自分から李承鄞の心が離れていると気づく。今回の高震の件で高于明にも見放されれば、もはや皇后の座は守れないだろう。その夜、皇后は密かに相府を訪ねた。ようやく叔父との面会が叶った皇后は高震を殺めたのは自分ではないと釈明、如意の婕妤(ショウヨ)への昇格を手土産にする。高于明はふいに皇后と高家の間に軋轢が生じたせいで、他人につけ入る隙を与えてしまったのだと気づいた。すると皇后は自分が愚かだったと謝罪し、叔父に助言を求める。高于明は皇太子が皇太子妃と手を結んで西州の後ろ盾を得ることを恐れ、また孤立させるためにも趙家に近づけてはならないと言った。しかし皇后は李承鄞の心にいるのは瑟瑟だけ、2人を引き離すのは難しいという。そこで高于明は緒娘を利用して瑟瑟を排除するよう提案した。驚いた皇后は李承鄞が酔いに任せて宮女に手を出してしまったとごまかしたが、高于明は緒娘の腹の子が皇太子の子でないことなど承知している。「皇后は本当に産ませるおつもりか?」「…お察しの通りです、早急に方をつけます」緒娘はひとりで夕餉を取っていた。すると急に激しい腹痛に襲われ、倒れてしまう。知らせを聞いた李承鄞と小楓は清寧宮へ駆けつけたが、容霜(ヨウソウ)から子供が流れたと聞いた。「太医によると、産気づく物を口にされたようです 皇后娘娘は侍女を全員、取り押さえ、あらゆる飲食物を掖庭令(エキテイレイ)に調べさせました すると栗飯の中に堕胎薬が混入していたと分かったのです 宮女を厳しく追及したところ、1人が自白しました…」その時、皇后が如意と一緒に奥殿から現れた。皇后は皇太子と皇太子妃に供述書を読んで聞かせた。すると驚いたことに自白した宮女は以前、攬月(ランゲツ)閣で小楓に仕えていた侍女で、緒娘が懐妊2ヶ月目に皇太子妃に呼ばれて粒金1包と怪しい薬を受け取ったという。身に覚えのない小楓は濡れ衣だと否定し、訴えるような目で隣の李承鄞を見た。しかし李承鄞は全て母に任せると突き放してしまう。如意は冷たい態度の皇太子に驚き、妻に対して恩愛の情がないのかと聞いた。「国には国法、家には家法がある、私情は挟めません」「まさにその通りよ~」皇后は李承鄞のその言葉を待っていた。「伝令せよ、趙良娣は庶人に降格、東宮から追放する!」自白した宮女は直後に舌をかんで自害、幕引きを図っていた。しかし引き続き掖庭令が捜査したところ、その宮女は趙家に恩があると分かったという。「家から銀子100錠も出て来たわ、家人の話では趙良娣の使いが家に来たそうよ?」緒娘の子を害して皇太子妃に罪を着せたのは瑟瑟だった。李承鄞は慌てて捜査の継続を嘆願し、ひざまずいて瑟瑟の無実を訴える。その態度の変化に皇后と小楓は激しい憤りを覚えた。それでも小楓は必死に愛する人を守ろうとする李承鄞の姿に感銘し、思わず一緒にひざまずいて極刑だけは免じて欲しいと懇願する。「母后、殿下は良娣を心から思っています、もし瑟瑟が死罪になれば一生、立ち直れないでしょう 殿下には正妻である私より、良娣が必要なのです!もし失えば私はもっと恨まれてしまいます!」李承鄞は純粋な小楓の嘆願に良心が傷んだが、これも愛する人を守るためだと耐えるしかなかった。皇后は瑟瑟の死罪だけは免じた。ただし庶人に降格し東宮を追放、3ヶ月の幽閉を命じる。また傷ついた緒娘を慰めるため宝林(ホウリン)に封じ、皇太子妃の補佐をさせると決めた。「太子…結婚して1年よ?なぜ未だに吉報がないのかしら? もっと太子妃のそばにいなさい、女狐から離れるのよ!」「…はい」永娘と裴照が待っていると、皇太子と皇太子妃が清寧宮から出て来た。李承鄞はふと立ち止まって小楓をいたわろうと思ったが、物陰からこちらの様子をうかがう容霜の姿に気づく。そこで断腸の思いで小楓の頰を引っ叩いた。「お前の仕業だな?!緒娘を流産させ、その罪を瑟瑟に着せたんだ!」すると激昂した小楓に叩き返されてしまう。「邪推しないで!」「お前は嫉妬心から瑟瑟を陥れた!毒蛇より恐ろしい女だ! これで満足か?瑟瑟を追放し、私から引き離したんだからな! 覚えておけ!瑟瑟に何かあれば容赦しない!」「…だったら私を廃したら?!」李承鄞は小楓の言葉に唖然となった。「私が望んで嫁いだとでも思ってるの?! 西州にいる哥哥たちは皆、英雄ばかり、こんな小心者などいない! リーチョンイン、詩を詠む以外あなたに一体、何ができるの?騎馬すら私より劣るくせに! 西州だったらあなたなんて誰にも相手にされないんだから!」小楓に罵倒された李承鄞は釈明しようにも叶わず、その場を急いで去るしかなかった。小楓はさすがに心外だと嘆いた。すると永娘が皇太子は頭に血が上っているだけだとなだめる。しかし小楓は確かに瑟瑟が羨ましいと吐露した。「だって良娣にはどんな時も信じて守ってくれる人がいる…だからって憎んだことなんてないわ!」「分かっています、良娣が太子妃を利用している気がして用心していましたが… まさか緒宝林とお子を害するとは思いもしませんでした」小楓は恐らく緒娘も自分と同じように李承鄞に疎まれることになると同情し、改めて見舞いに行くことにした。宮中は一寸先が闇だ。皇太子が寵愛した瑟瑟が冷宮送りとなり、もはや命も危うい。そう考えると皇太子妃が皇太子と仲違いしたことはむしろ幸いだろう。裴照は理解を示してくれたが、李承鄞はがさつな小楓が察してくれるとは到底、思えなかった。「そうだ、瑟瑟は私を一途に想ってくれている、何としても守ってやらねば… 阿照、薬湯や食材を届け、事情を話して慰めてやってくれ、なあ?」「…良娣にはお優しいですね_」「皮肉はやめてくれ…はあ~私は実に情けない太子だ 愛する女どころか、愛してくれる人も守ってやれぬ…」その頃、李承鄞の予想通り、容霜が皇后に皇太子と皇太子妃が仲違いしていたと報告していた。すると同席していた如意はまさに一石二鳥の良計だったと称賛する。皇后は皇太子から西州も趙家も遠ざけることに成功、これで叔父への面目が立った。翌朝、小楓は流産した緒娘を見舞った。しかし何か欲しい物がないか聞いても、緒娘は首を横に振るだけで元気がない。小楓は困惑し、永娘に合図した。そこで永娘は皇后が宝林に封じたと報告、また懐妊できると励ましたが、緒娘は激しく泣きじゃくってしまう。事情を知らない小楓は緒娘が子供を失って深く傷ついているのだと同情し、胸が痛んだ。そんな中、ほとぼりが冷めた柴牧(サイボク)が突然、都に戻って来た。顧剣(コケン)の活躍を喜ぶ柴牧だったが、思いがけず明月(メイゲツ)が復讐計画に協力していると知る。驚いた柴牧はその夜、鳴玉坊に明月を訪ね、すぐ都から連れ出すと言った。しかし明月は高家を倒してこそ敵が討てると訴え、そこでやっと陳嫣(チンエン)に戻れるという。「時を戻せるとしたら顧家を救いに行く?それとも家に帰って来る?」「…もし天が機会をくれたら命がけでお前たちを救い出し、その後、顧一族と共に死ぬ」柴牧は家で待っているので良く考えるよう伝えた。すると明月は一緒に母の墓へ行かないかという。明月は郊外にある母の衣冠塚(イカンヅカ)に父を案内した。当時、明月はまだ幼く、母の亡骸を運ぶことができなかったという。「あの日、私は街でお前の母にかんざしを買った…この手で挿すつもりだったが…叶わなかった」柴牧は肌身離さず持っていたかんざしを懐から取り出すと、明月はこらえきれず涙した。「娘(ニャン)…ゥッ…にゃんが言っていた通りだった…爹(ディェ)は帰って来てくれたのよ…」明月はようやくわだかまりが解け、父に抱きついて涙に暮れた。その夜、小楓は寝殿を抜け出し、夜風に当たろうと屋根に上った。すると偶然、屋根に顧剣がいる。顧剣は宮殿で騒動があったと聞いて心配で見に来たと言った。「奴にぶたれたのか?」「なぜそれを?…大丈夫よ、やり返してやったから、手がしびれるほど力一杯ね」「シァォフォン、宮殿を出たいか? …君が幸せなら東宮にいてもいいと思っていた、そばで守れるからな だが幸せじゃないなら、早めに出たほうがいい」「誰が幸せじゃないと?」「…シァォフォン、見てごらん 東宮は高い壁で囲まれている、日の当たらぬ牢獄のようだ、このままでいいのか?」小楓は何でも師匠に従うと思ったら大間違いだと言った。もし今、皇太子妃を連れ去ろうとすれば、師匠が羽林軍の矢でハリネズミにされてしまうと笑う。顧剣は羽林軍でも捕まらないと自信を見せると、小楓は誰にも負けたことがないのかと聞いた。「覚えていないのか?私が剣術で君に負けたこと…あれは生涯を賭けた勝負だった 私が負けたら君の夫となり、生涯、君を愛し、そばで守り続ける 君が負けてももちろん、私に嫁ぐのさ、生涯、私を君のそばに置いて守らせる …勝ちを譲ったんじゃない、君が剣を奪った」「私が剣を奪った?絶対、嘘よ!ふふふ~」小楓はどちらにしても記憶がなく、信用しないと笑い飛ばした。すると顧剣は将来を誓い合ったのは7月15日の満月の日で、国境の砂丘で落ち合い、2人で遠くへ行くはずだったと教える。「私たちが駆け落ちの約束を?ならなぜ果たさなかったの?」「…私が約束を破った、あの日は急用で行けなかったんだ 私が砂丘に着いた時には約束の日を過ぎていて、君は去ったあとだった」小楓はどうせ嘘だろうと呆れたが、顧剣はもし嘘だったら一生、許さなくて良いという。師匠のいつになく真剣な眼差しに小楓は何とも居たたまれなくなり、そこで話を切り上げた。「…もう寝るわ」顧剣はあっさり小楓に振られた。結局、小楓は記憶を失ってもまた李承鄞を愛してしまったのだろうか。つづく(  ̄꒳ ̄)うーん…管理人にも師父の話が分からんw
2021.01.10
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东宫 Goodbye my princess第38話「離間策」七夕の夜、李承鄞(リショウギン)は曲小楓(キョクショウフウ)を舟遊びに連れ出し、ひと時の幸せを過ごした。しかし舟を漕いでいた小楓が勢い余って倒れてしまい、櫓(ロ)を離してしまう。「あ~流されちゃった~もう届かないわ~」「バカだな!調子に乗るからだぞ?!どうやって岸に戻る気だ!」「…ふふ♪櫓がなくても舟は漕げるわ?」2人は力を合わせて手で水を掻き、何とか早朝に宮中に戻った。承恩(ショウオン)殿に皇太子妃が大あくびをしながら現れた。心配で眠れずに待っていた女官・永娘(エイジョウ)は驚いて駆け寄り、裴照(ハイショウ)に捜索してもらっていたと訴える。「心配かけたわね~永娘、裴将軍、大丈夫だから~」「私と一緒だった」そこへ皇太子が現れた。「永娘、太子妃は昨夜、一睡もしていないんだ、ゆっくり休ませてやってくれ…ファ…ファ… …ハックション!」「ハックション!」皇太子と皇太子妃は同時にくしゃみをした。永娘は昨夜は2人が一緒だったと気づき、思わず笑みがこぼれる。「永娘、生姜汁を作って太医も呼んでやれ…では裴照、戻ろう」李承鄞が東宮へ到着すると、裴照は念のため皇太子にも太医を呼んだ。李承鄞は趙士玄(チョウシゲン)のその後の捜査について聞いた。裴照の話ではすでに証拠集めが終わり、大理寺の汪(オウ)寺卿(ジケイ)と刑部の宗(ソウ)尚書と密かに協議しているという。趙士玄は皇太子が高于明(コウウメイ)の一派だと思い込んでいることから、李承鄞は自分に報告して来ないと織り込み済みだった。すると早朝にも関わらず、趙瑟瑟(チョウシツシツ)が菓子の差し入れにやって来る。しかし李承鄞がふいに激しく咳き込んだ。「殿下どうしました?お風邪ですか?昨夜はお出かけに?」「昨夜?…あ、昨夜は君の兄上と大理寺で調査したんだ、軽い風邪だろう、すぐ治る」瑟瑟は皇太子が嘘をついたと分かった。実は昨日、兄から捜査で都を出るため、戻るのは明日になると聞いたばかり、大理寺で兄と会えるはずがない。しかし侍女・錦児(キンジ)は皇太子という立場上、秘密もあると理解を示し、深く追求すべきでないと諌めた。瑟瑟はともかく風邪気味の李承鄞のため、生姜汁を届けることにする。すると御膳房で厨娘の瓷(シ)がちょうど生姜汁を作っていた。聞いてみれば皇太子殿下の指示で皇太子妃に作って届けるところだという。瑟瑟は昨夜、2人が一緒だったと気づいて顔色が一変、憤慨して帰って行った。一方、張参(チョウサン)を殺した高震(コウシン)は狩りと称して霊州(レイシュウ)に身を潜めていた。しかしある夜、乗り込んできた羽林軍に捕らえられ、都へ連れ戻されてしまう。急報を受けた兄の高坤(コウコン)は朝議にぎりぎり滑り込み、いきなり皇帝に弟が投獄されたと訴えた。「大理寺卿と刑部尚書に聞きたい!弟の罪名は何です?!」すると汪寺卿と宗尚書が御前に出て皇帝に調書を提出、張参の殺人が高震の犯行だと上奏した。高震は非合法で賭場を開き、大金を儲けていた。しかし張参が役所に密告、高震は報復で張参を殺害し、遺体を川に捨てたという。寝耳に水だった高于明と高坤は呆然となった。すると趙士玄が勝ち誇ったように御前に立ち、高震が張参を呼び出して殴るのを見た者がいると報告する。ここで李承鄞はなぜ自分に報告しなかったのかと叱責したが、趙士玄は涼しい顔で事態が切迫していたと了解を求めた。皇帝は追い込まれた高于明に意見を求めた。すると高于明は高震が法を犯したのなら罪に問われても当然だとしながら、重用される高家が恨みを買って陥れられた可能性も捨てきれないと訴える。「陛下にお願いが…高家の財産を調べるようお命じください 愚息の誤ちは親の責任、一族の問題でもあります、どうか徹底的にお調べください」「…責任は本人が負えば良いこと、高右相、そなたは国の支柱であり、朕の右腕だ 今回の件で連座はさせぬ、天下の忠臣を失望させるわけがない」 高于明はついに皇帝の前にひれ伏した。朝議が散会すると、李承鄞は慌てて高于明を引き止めた。「私は知りませんでした、趙士玄は何も報告せず、勝手に動いていたのです 分かっていれば止めていました…お詫びいたします」高于明は口では謝罪の必要などないと言ってくれたが、明らかに憤慨していた。屋敷に戻った高于明は、これまで高震の賭場を見逃して来たことを後悔した。遊んでいるよりはよほど良いと思っていたが、まさかこんな想定外のことに巻き込まれるとは…。しかし今は打つ手がなかった。皇帝は朝廷を掌握する自分がしくじるのを待っている。「情けなど乞うものかっ!…だが譲歩する」そこでまず賭場の帳簿を調べて儲けた額を確認し、金が残っていれば国庫に収め、不足があれば高家の財産から補うよう指示した。顧剣(コケン)の離間策は上手く行った。しかしさすがは老獪(ロウカイ)、高于明は財産の調査を申し出て高家の潔白を示し、この件とは無関係だと広く知らしめることに成功する。これでもし高震が罰せられても、一族に影響はでないはずだ。ただこれで高于明と皇后の間に間違いなく亀裂が入る。顧剣は明月(メイゲツ)に計画が順調に進んでいると報告し、危険を冒す必要はなくなったと説得した。「それは父の養子としての言葉?それとも…1人の男としてなの?」「君のためだ、鳴玉坊(メイギョクボウ)は安住の地ではない、それにあの方は雲の上の方だ」すると明月は本当に鳴玉坊を出られる日が来たら、その時は愛する人について行くと言った。皇后はのこのこ挨拶にやって来た李承鄞に怒り心頭だった。「私と高右相に伝えていれば、すぐ策を練ったのに!」「母后、私も知らなかったのです、趙士玄が勝手に動いて捕らえていました ただ加害者と被害者ともに母上の身内、この件には関わらないでください、私にお任せを…」「任せたからこんなことに!高震と趙士玄の因縁を知っていたはずよ!」「母后、高震が関係しているとは想定外でした…どうか挽回の機会をください」皇后は焦っていた。恐らく高于明は自分と皇太子への怒りで心中、穏やかではないだろう。皇后は皇太子に任せておけず、自ら叔父に会うと決めた。そこでその夜、女官・容霜(ヨウソウ)を相府に使いに出したが、追い返されてしまう。仕方なく王宮へ戻った容霜は高震と面会しようと大理寺へ向かった。しかし賂で懐柔しても皇帝の命令で誰も通せないと断られてしまう。するとちょうど大理寺に李承鄞がやって来た。李承鄞は責任者の自分なら出入りできると話し、母が伝えたいことなら分かっていると安心させる。「内容をご存知なのですか?」「息子だからな」高震の牢に最初に現れたのは驚いたことに皇太子だった。何か良い知らせかと期待したが、李承鄞はどうやって皇太子の座に就いたか知っている高震なら、母に従うだけで自分が何もできないと分かっているはずだという。焦った高震は父に頼れと食い下がり、皇后もその意見に従うはずだと言った。しかし高于明と皇后は疑われるのを避けて会わずにいるという。「でもご安心を、私が説得しましょう、母后が頼めば刑も軽くなります」高震は李承鄞の嘘を信じ、賭場の件と張参殺害を認めた。そこで高坤は病に倒れた父に代わり、表向き大罪を犯した弟への死罪を乞う。皇帝は朝廷への影響を考えて死罪を免じたものの、杖打ち40回の後、崖(ガイ)州へ流刑を命じた。報告を聞いた高于明は命さえあれば良いと安堵し、頃合いを見計らって呼び戻そうと決める。すると高坤はつまらぬ事件だったにも関わらず、皇后が皇帝の前で騒ぎ立てたに違いないと不満を募らせた。皇后は高家を捨てて自ら皇太子を操るつもりなのだろう。「この敵は必ず取るっ!」しかし高于明は皇后ならいつでも代えられるが、高家は永遠に続くと諭した。兄に見送られた高震は、首枷をはめられた哀れな姿で都を出ることになった。すると城門を出た所で宿敵の趙士玄が待ち構えている。高震は自分が流刑になるよう仕向けたのは趙士玄だったと気づき、激怒した。「覚悟しろよ?我が父は高右相だ、皆がひれ伏す存在だぞ? 私はすぐ戻ってくる、趙家がどうなるか見ものだな?」「ふん、その言葉は崖州に着いてから言うんだな…」高震の護送車を見送った趙士玄は早速、刺客を放った。「崖州付近の山道は険しい、獣も出没し、不慮の事故が起きやすい」「承知しました」李承鄞は小楓が薬を飲まないと聞いて承恩殿にやって来た。「なぜ薬を飲まないのだ?」「アイヤーもう回復したから必要ないわ~何しろ不味くて~」すると時恩(ジオン)が2人分の薬を持っていると気づく。「一緒に薬を飲もうと思ってな…太医が君の体内の寒気を払わねば子ができぬと言うんだ」「子供なんていらないわ!」驚いた永娘は咄嗟に口を慎むよう皇太子妃を諌めた。「ともかく…なんで一緒に飲むの?」「私も寒気がある」「本当に?」そこで李承鄞は最初に薬湯を飲み干し、小楓にも飲むよう促した。(Ŏ艸Ŏ)oO(オエップ「飲ませてやろうか?」「ムリムリムリ~飲めばいいんでしょう?」小楓は仕方なく鼻をつまんで薬湯を流し込んだが、あまりの不味さに顔を歪めた。そこで李承鄞は小楓が口を開いた隙に口直しの飴を放り込んでやる。「では行くよ、これからは毎日、付き合う」「あ?」皇太子を見送った永娘は思わず、2人が夫婦らしくなってきたと笑った。その夜は激しい雨となった。高于明はちょうど馬車で出かける所だったが、そこへ将軍が慌てて駆けつける。「高右相!三公子が崖州への道中、獣に襲われ…」将軍が高震の腰佩を見せると、高于明は衝撃のあまり卒倒してしまう。翌朝、高震の事故の知らせが宮中を駆け巡った。李承鄞は趙士玄の仕業だと気づいたが、まだこの件がどう転ぶか分からない。ただ高于明と皇后の間に亀裂が生じることだけは確かだ。「我々は趙士玄に対して知らぬ振りをせねばならん、表向きは趙家の功績を認める 趙家に褒美を届けさせよ…いや青鸞(セイラン)殿だ、瑟瑟は気付くはず」皇后は慌てて相府へ出向いた。当然、高于明から追い返されたが、皇后は会えるまで待つと譲らない。しかし容霜に日を改めようとなだめられ、その日は帰って行った。つづく(  ̄꒳ ̄)チョンイン、急にシャオフォンに優しくなって来た復習計画が順調に進んでいるから余裕なの?
2021.01.09
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东宫 Goodbye my princess第37話「賭場での殺人事件」皇太子妃の寝殿・承恩(ショウオン)殿、曲小楓(キョクショウフウ)と良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)は札遊びで交流を深めていた。「殿下が昨夜は承恩殿で過ごされたとか…」「あぁ?ああ~そのことが気になって訪ねて来たのね?」「いえいえ…お二人が仲睦まじいのは良いことです」小楓は他意はないと断り、東宮で皇太子に仕える者同士、今後は仲良くしようと言った。すると寛大さを見せたい瑟瑟はさらに緒娘(ショジョウ)をいつ東宮に迎えるのかと尋ねる。困惑した小楓は皇太子に直接、聞いたらどうかと答えたが、咄嗟に女官・永娘(エイジョウ)が補足した。「緒娘は今、皇后娘娘のもとにいます、太子妃が勝手に迎えることはできません」「ぁ…そうなの…」潜龍使(センリュウシ)の若頭となった顧剣(コケン)は郊外の竹林で胡嘯(コショウ)と接触した。実は配下を高家の三男・高震(コウシン)の賭場に潜り込ませるよう命じてある。すると胡嘯はすでに陶倹(トウケン)が潜入したと報告した。永娘は皇太子妃に良娣に用心するよう警告した。実は小楓も瑟瑟の様子がおかしいと気づいたという。緒娘の懐妊であれほど絶望したように慟哭していた瑟瑟が、なぜ急に寛大になったのか。「前に東宮は複雑だと李承鄞(リショウギン)が言っていたわ、陰謀だらけだって」一方、李承鄞も瑟瑟が承恩殿を訪ねたと聞いて驚いていた。時恩(ジオン)が永娘から聞いた話では、半日ほど皇太子妃と過ごし、札遊びをして帰ったという。何でも良娣は緒娘の東宮入りについても尋ねていたとか。李承鄞はひとまず時恩を下げると、今度は裴照(ハイショウ)があの晩の曲者は瑩児(エイジ)という侍女だったと報告した。どうやら清寧宮から金銭を受け取って探っているらしい。「皇太子妃を陰で守っていると勘づかれたのでは?」「だとしても我々はそしらぬふりを通す…そうだ、明月(メイゲツ)の方は?」「陛下は足繁く会いに通われています」以前は深夜には帰っていた皇帝だったが、近頃は夜が明けるまで過ごしていた。その夜、顧剣は鳴玉坊(メイギョクボウ)に明月を訪ねた。しかし顧剣の言いたいことを察したのか、明月は話を聞こうとしない。「何も言わないで…″あの人″は安全なところに?」「都を出たんだ、しばらく危険はないだろう 明月、何より大切なのは命だ、生きていてこそ、やり直す機会もある」顧剣は義父が長年、名誉回復を目指してきたのは、正義のみならず失った家族のためだと訴えた。もしも再び同じ選択を迫られたら、義父は迷わず母娘を助けるだろう。顧剣は当時、家族の安否も知れぬ状況だったと義父をかばったが、その時、小楓の声が聞こえた。「明月姐姐(ジェジェ)!」すると顧剣は小楓が現れる前に姿を消してしまう。「明月姐姐!遊びに来たわ!ずっと顔を見せないから心配になって…」「…実は、良くしてくださるお客様ができたの」「恋してるのね~ふふふっ!どんな人なの?」「仙人みたいな人よ、機会があれば紹介するわ」「はお、私がこの目で確かめるわ!明月姐姐にふさわしい人かをね~」賭場に潜入した陶倹は、この数ヶ月で店に来た客の名簿を若頭に届けた。その場で確認した顧剣は、奇しくも張参(チョウサン)に目を留める。陶倹は張参なら羽林軍の者で、調べたところ皇后の再従弟(ハトコ)だと報告した。「では皇后が高家を見張るために送り込んだのか?」「まさか!賭けに溺れ、借金を重ねる愚か者ですよ?品行も悪い あんな男を使うはずがありません」顧剣は高震が張参の素性に気づいていないと知り、これが利用できると思いついた。小楓が男装でちょうど出かけようとしていた時、瑟瑟が寝殿にやって来た。「姐姐…宮外へお出かけですか?」「ぁ…いいえ、試しに着てみただけよ?」「殿方にも引けを取らぬ凛々しいお姿ですね~羨ましいです」「なら李承鄞に頼むといいわ」「もしや殿下からの贈り物ですか?」「あぁ」すると瑟瑟は腰から香袋を外し、小楓に贈った。「新しい衣は工房の匂いがしますから…私が昔から使っている香です、太子殿下もお好きですよ?」しかし怒ったアドゥが公主から香袋を取り上げ、瑟瑟に投げ返してしまう。驚いた永娘は代わりに謝罪したが、実は瑟瑟の行動を怪しんでいた。そこへ急に李承鄞が現れる。「瑟瑟、青鸞(セイラン)殿を訪ねたら君はここにいると聞いてな…何もされていないか?」「ちょっと!どういう意味よ?!」小楓が憤慨すると、李承鄞は瑟瑟が持っている香袋に気がついた。「香袋なら私にくれないか、太子妃に香りなど分からぬ、瑟瑟、行くぞ」李承鄞は野蛮な者など放っておけと捨て台詞を吐いて瑟瑟を連れて行ってしまう。李承鄞は瑟瑟を迎えに来たと見せかけて承恩殿から引き離し、結局、青鸞殿へ行かずに東宮へ戻った。すると時恩に香袋を渡し、中身を調べるよう命じる。一方、冷遇された小楓は李承鄞が実は自分を守っているとも知らず、孤独に苛まれた。「美人で優しい良娣を李承鄞は愛している… 相思相愛なのに、太子になったことで仕方なく私を娶った 私はあの2人の間に割り込んだただの邪魔者ね…李承鄞が私を疎むのも当然よ 良娣が羨ましい…あんなに想ってくれる人がいて羨ましいわ」小楓は西州での幸せだった日々に想いを馳せ、冷え冷えとした東宮での生活に嫌気が差すと嘆いた。夜が更けた頃、顧剣が東宮へ報告にやって来た。李承鄞はようやく緒娘のお腹にいる子の父親が張参だと知る。実は張参は皇后の再従弟で、羽林軍に配属後、その地位を利用して悪行の限りを尽くしていた。賭博に殺人、緒娘も力ずくで乱暴されたという。そこで顧剣は趙参を利用し、高家と皇后の離間を図ることにした。賭場に潜入させた陶倹はすでに高震の信用を得ており、内情を熟知していた。実は張参は数日前、賭場で多額の借金をしたという。そこで張参が返済に窮した頃を狙い、胡嘯を使って借金の解決策を持ちかけることにした。胡嘯は高家の賭場が非合法だと教え、密告すれば調査が入って借金も帳消しになると吹き込む。すると早速、役人が乗り込んだが、表向き茶楼を営んでいるため、何事もなく引き上げた。実は高震には官府に内通者がいた。あらかじめ調査が入ると聞いた高震は先手を打って難を逃れたものの、誰が密告したのかと恨みを募らせる。陶倹はすかさず必ず密告者を捕えると約束し、高震の前に張参を突き出した。激昂した高震は一心不乱に張参を棒打ちしたが、やがて張参の意識がなくなってしまう。ふと我に帰った高震は恐ろしくなって陶倹に助けを求め、張参が生きているか確かめるよう頼んだ。張参はまだ息があったが、陶倹は脈を確認するふりをして息の根を止めてしまう。高震もさすがに殺人を犯したとあって激しく動揺した。陶倹は怯える高震に代わって張参の後始末を引き受け、張参の亡骸を川に捨てるが、官府に手を回して欲しいと頼む。「酔って足を滑らせたことにすれば追求されません 公子、今すぐお発ちに、公子は狩りに出ており都にはいなかった、いいですね? たとえ捜査されても客同士の揉め事で公子とは無関係です」その朝、李承鄞は皇帝を待ち伏せし、偶然を装い清寧宮へ誘った。皇后は皇帝と皇太子の急な来訪を知ると、中庭まで2人を迎えに出る。「陛下、突然、どうしてこちらに?」「皇祖母を訪問後に太子と出くわしてな、太子が言うには清寧宮の茶が美味いとか それで味見に来たと言うわけだ」喜んだ皇后は早速、用意させると言ったが、その時、慌てた様子で太監が駆けつけた。「沛国(ハイコク)夫人が訪ねて参りました」皇后の母・沛国夫人は亡き夫の親類筋に当たる張夫人を連れていた。思いがけず皇帝に謁見した張夫人は泣き崩れ、実は息子の張参が不審な死を遂げたと訴える。川から上がった遺体は傷だらけで明らかに他殺にも関わらず、官府は″酔って溺死″だと断定していた。張夫人は頼る当てもなく、沛国夫人のつてで皇后に嘆願に来たという。「皇上!息子は殺されたのです!賭場の男が遺体を捨てるのを見た者もいます!」困惑した皇后は法で解決すべき問題だと退けたが、張夫人は皇后のために働いて来た張参を見捨てるのかと号泣する。すると李承鄞が自分が真相を突き止めると皇帝に申し出た。張参を羽林軍に入れたのは皇后だった。皇太子の監視役として叔父の高于明(コウウメイ)にも内緒だったことから、皇后も無下にはできない。しかし漠然とこの件には何か裏があると感じていた。皇帝は張参の件を李承鄞に任せて戻ったが、どこか釈然としなかった。すると太監・曹芨(ソウキュウ)もずい分と間が良かったと首をかしげる。「あ、陛下がお茶を飲みに皇后をお訪ねにならなければ、何も知らぬままでした」「…一体、誰がこの芝居を用意したのか、見てみることにしよう」高于明は高震が姿を消したせいで詳しい事情が分からなかった。高坤(コウコン)の話では3日前に霊州へ狩りに出たという。「死んだ張参の身元を調べたところ、皇后娘娘の親戚で下女が生んだ庶子でした 張家では公にできぬ存在だったようです 素行の悪いろくでなしで、皇后娘娘は親戚だと名乗ることを禁じていました 伯母上が突然、押しかけたのも、やむなく調査を請うためかと…」「ならば高家は動かぬ方が良いな…落ち着くまで戻るなと震に伝えろ」「それからもう1つ、例の緒娘は張参と関係があったようです」その夜、青鸞殿で夕餉を取っていた李承鄞は食が進まなかった。実は張参の事件で協力者が見つからず、行き詰まっているという。瑟瑟はならば兄の趙士玄(チョウシゲン)はどうかと推薦、李承鄞は確かに瑟瑟の兄なら安心して任せられると喜んだ。李承鄞の目論見通り、趙士玄は宿敵である高震を追い詰めるには最適の人物だった。早速、調査を始めた趙士玄は高震が事件の夜、密かに都を離れたと知る。そこで配下に調査を命じたが、大理寺に全ての証拠を提出するまで皇太子にも伏せるよう指示した。高家は皇太子の後ろ盾、もし李承鄞に知られれば高震の罪はもみ消されてしまうだろう。「高家が皆の前でどうやって高震をかばうのか、見ものだな」瑟瑟は刺繍に没頭していた。もうすぐ七夕、李承鄞に贈る香袋だという。錦児は皇太子もきっと喜ぶと話し、何より皇太子は張家を頼りにしていると言った。その証拠に最近は趙士玄に会うため、皇太子は毎日、侯府を訪れているという。しかし七夕当日、李承鄞は瑟瑟の目を盗んで承恩殿に向かった。李承鄞は小楓が七夕で賑わう市中に必ず出かけると踏んで待ち伏せした。すると思った通り、小楓とアドゥが中庭に現れる。李承鄞は自分と一緒に出かけなければ皇后に告げ口すると脅し、小楓は仕方なくアドゥを残して付いて行くしかなかった。李承鄞は小楓が以前、舟に乗りたいと言っていたことを覚えていた。そこで船頭に銀子を渡して舟を借り、2人で川に出る。「おい、織姫に七夕の願い事はしたのか?」「はっ!( ̄人 ̄)どうかこの人を遠ざけてください…鬱陶しくて仕方ないのです」「こっちの台詞だよ、愚かでまぬけな君にはうんざりだ」「なら美人で優しい良娣と来ればいいでしょう?!」「君は私の正妻なんだ、好きなようにするさ」小楓は思いがけない李承鄞の言葉に頰を赤らめた。急に恥ずかしくなった小楓は手持ち無沙汰で川の水をもてあそび始める。するとふと思い立って李承鄞に水を浴びせかけた。驚いた李承鄞だったが咄嗟に水をすくってやり返し、2人は自然と笑い合う。「何か歌を聴かせてくれよ」「なぜ私が歌わなきゃならないの?」「舟を漕いでやってるだろう?」小楓はまさかこれが2回目だとも知らず、狐狸の歌を聴かせた。「♪一匹の狐狸が砂丘にポツリと座ってる~中天にかかる月を眺めている~ ♪でも本当は月を眺めているわけじゃない~放牧に出た姑娘の帰りを待っているだけ~」「あ~他の歌にしてくれないか?早く」「だってこれしか知らないもん」李承鄞は記憶を失くしてもやはり″他の歌にしろ″と言った。小楓は櫓(ロ)を見ているうち、自分が漕ぎたいと言い出した。2人は場所を交代、小楓は初めて舟を動かして喜ぶ。こうして2人は今までのわだかまりが全て嘘だったように楽しい夜を過ごした。つづく|ω-`)<一体、誰がこの芝居を用意したのか…ってLCYしかいないんですけどw
2021.01.07
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东宫 Goodbye my princess第36話「偽りの初夜」皇后・張玫娘(チョウバイジョウ)は頭痛持ちの皇帝のため、今朝も香を準備した。すると皇帝は入宮して1ヶ月になる高如意(コウニョイ)にそろそろ会いに行くという。皇后は咄嗟に高美人はまだ若く病弱なため、もう少し療養してから仕えさせると時間を稼いだ。しかしその夜、如意が沐浴していると、突然、皇帝が現れる。何も知らずに皇后は皇帝の政務が終わるのを待っていたが、女官・容霜(ヨウソウ)が駆けつけ、皇帝が華熹(カキ)殿に向かったと報告した。皇太子・李承鄞(リショウギン)の誕生日、皇后はわざわざ東宮へ贅沢な贈り物を届けにやって来た。良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)も見事な百花図の刺繍を贈ったが、皇太子妃・曲小楓(キョクショウフウ)は盆にずらりと並んだ金子(キンス)を渡して失笑を買う。「だってこれなら換金しなくても使える、便利でしょう?」皇后は目先が変わっていて面白いと喜び、今度は皇太子に2人へ返礼品を渡すよう促した。するとそこへ4人の宦官が品物を持って入って来る。李承鄞はまず皇太子妃へ贈り物を1つ渡し、女官・永娘(エイジョウ)が受け取った。「ありがとうございます~殿下」小楓はつまらなそうに感謝を述べたが、永娘がそっと声をかける。「太子妃、唯品閣であつらえた衣装ですよ」「ん?(ゴソゴソ…)これ、狩装束?」( ゚д゚)oO(まさか私のために作らせたの?あの時、李承鄞は瑟瑟のためだと言って寸法を測ったが、実は小楓のためだった。李承鄞は目を丸くする小楓を見て満足すると、残りの3つは全て瑟瑟への返礼だと告げる。こうして一見、良娣を厚遇しているように見せた李承鄞、しかし瑟瑟は皇太子妃への贈り物が気がかりだった。皇后は最後にもう1つ特別な贈り物があると教えた。そこへ容霜が美しく着飾った緒娘(ショジョウ)を連れて来る。「夢にも思わなかったわ~私の初孫が緒娘という宮女の腹から生まれるなんて~」戸惑う李承鄞をよそに、皇后は緒娘をいつ東宮へ迎えるのか急かし、身分まで決めようとした。その時、あまりの衝撃にこらえきれず、瑟瑟は号泣してしまう。「何を泣いているの?!縁起でもない!これは慶事なのよ!」皇后に叱責された瑟瑟がその場にひざまずくと、永娘がこっそり皇太子妃の袂を引っ張って合図した。「あ、皇后娘娘、私たちはもちろん、よっ喜んでおります、たっただ突然のことで驚いただけです」「さすがは太子妃ね、度量が大きいわ~でも趙良娣には厳しい躾が必要ね!」慌てた李承鄞は母がまた罰する前に瑟瑟に下がるよう命じた。瑟瑟は緒娘をにらみつけながら東宮を出ると、居たたまれなくなった小楓も下がることにする。しかし李承鄞からせっかく母后が来ているのだと止められた。「母后、確かに慶事ですが、しかし急に昇格させては東宮の混乱を招きます 私も政務がおろそかになり、陛下の不興を買うやも…」「まあいいわ~東宮に入っても良娣に何をされるか分からない、ひとまず清寧宮で預かっておく」李承鄞は母后の計らいに感謝すると小楓に目配せする。すると小楓も李承鄞にならい、心にもない感謝を告げた。李承鄞は良娣が自害を図ったと聞いて急いで青鸞(セイラン)殿に駆けつけた。結局、侍女・錦児(ギンジ)の嘘だと分かったが、瑟瑟はひどく暴れたのか、部屋がめちゃくちゃになっている。李承鄞はともかく事情を説明し、母のお膳立てでは従うしかなかったと嘘をついた。しかし信じていた李承鄞の裏切りに耐えられず、瑟瑟の怒りが爆発する。「まさか殿下が私との約束を忘れるなんて…私の心には殿下だけ、でも殿下のお心は?! 身分は低くとも想いを踏みにじられるのは許せない!」瑟瑟は李承鄞がくれた玉佩を本人の目の前で投げ捨てた。これには李承鄞も呆然となり、また出直すと言って逃げるように帰ってしまう。その頃、承恩殿に戻った小楓は李承鄞の思わぬ行動に驚いていた。瑟瑟に一途だと思っていたが、まさか侍女に手を出すとは…。すると急に皇后から呼び出され、皇太子妃としての東宮に気を配れと叱られてしまう。「嫉妬で錯乱した良娣を放っておくとは、何たる体たらく! 緒娘が太子の子を宿したとは言え、所詮は身分が低い、子が生まれたらそなたが母となるのよ?」「え?私が子供を育てる?ぁ…でも母子を引き離すなんて残酷では?」皇太子妃の言葉はすねに傷がある皇后を凍りつかせた。「言葉を慎みなさい!残酷とは何事です?!」皇后は永娘が付いていながら未だに皇太子妃の礼儀がなっていないと憤慨し、次は只では済まないと釘を刺す。一方、皇后が侍女の緒娘を皇太子に与えたとことは高于明(コウウメイ)の耳にも届いていた。「実に怪しい…もし皇后の差し金なら見過ごせぬ」そんなある日、時恩(ジオン)は珍しく皇太子の前で茶をこぼした。李承鄞は粗相した時恩を訝しみ、何かあったのか聞いてみる。「それが最近、東宮で妙な噂が…殿下?どんな噂かご存知ですか?」「ふん、知る必要はない」「でも殿下に関係があるのです、太子妃が悪いかと…」小楓の噂だと知った李承鄞は顔色が一変、皇太子妃の何が悪いのかと迫る。実は時恩は偶然、侍女たちの噂話を耳にしていた。侍女の話では皇太子妃と裴照(ハイショウ)は西州からの知り合いで仲が良く、皇太子妃は裴照に腕輪を贈ったという。『しばしば夜中にこっそり会ってるとか…』時恩は侍女たちを叱って立ち去ったものの、耳を疑うような噂に動揺を隠せなかった。李承鄞は小楓の名節を守るため、その夜、承恩殿に泊まることにした。突然の皇太子の来訪に永娘は大忙し、まずアドゥを強引に連れ出し、皇太子妃を沐浴させる。こうして夜伽の準備ができた小楓が寝所に入ると、李承鄞は寝台に腰掛けて待っていた。すると李承鄞は緒娘の子をどう思うかと聞く。小楓は皇后から呼び出され、その子を育てるよう言われたと伝えた。「何て身勝手なんだ!他人の子を横取りしてまで自分の地位を守ろうとは!」「あなたの気持ちは分かる、あなたも皇后娘娘の養子なんでしょう? 赤子の頃に生母と引き離されたとか…」そこで小楓は李承鄞の隣に座り、心配しなくても緒娘の子を奪ったりしないと言った。「でもあなたこそ酒の勢いで緒娘を孕ませておきながら、身分が低いと入宮を拒んだわ あなたが悪いのよ?」「そうじゃない…」「なら本当に緒娘が好きだから子をもうけたの?」「…私に聞きたいのはそれだけか?」「( ゚д゚)他に何かある?」李承鄞は思わず向き直って小楓の手を握った。「夫が別の女と子を作ったのに、腹が立たないのか?!」「中原(チュウゲン)では一夫多妻が普通でしょう?…西州の阿爹(アーディエ)にも妻が何人もいたわ あなたが誰を娶ろうと私は口を挟む立場にないもん」「…私は緒娘が嫌いだ」「(ハイハイ…)瑟瑟が好きなのよね?ここに来るより瑟瑟を慰めに行ったらどう?」李承鄞は本心を明かせず、東宮の主(アルジ)がどこで寝ようと勝手だと声を荒げてしまう。むっとした小楓は好きにしろと言い放ち、アドゥのところで寝ることにした。しかし李承鄞は小楓の腕をつかんで引き止め、ここで寝るよう強要する。「指図しないで!アドゥ~!ア…」焦った李承鄞は小楓を寝台に押し倒し、口をふさいだ。「今、アドゥが乱入して母后か太皇太后に罰せられても私は助けてやれぬ 従ったほうが身のためだぞ?」李承鄞は意味ありげに小楓の身体を見つめると、小楓は李承鄞を突き飛ばし、ふてくされながら布団にくるまって背を向けた。夜も更けた頃、李承鄞は誰かが寝所を探っていることに気づいた。そこで隣で寝ている小楓を蹴飛ばし、布団を奪ってわざと喧嘩を吹っかける。小楓は寒さで眼が覚めると、李承鄞に布団を返せと迫った。「来てもらえただけでありがたいと思え」「頼んだ覚えはないわ!」「瑟瑟に頼まれたのだ」すると2人がもめているのを確認した曲者は帰って行った。そうとは知らず、李承鄞が瑟瑟に言われて来たと聞いた小楓は深く傷つき、すぐ帰れと迫る。李承鄞は夜が明けたら帰ると答えたが、小楓は憤慨して寝台から出て行った。小楓は隣の部屋に移動し、窓を開けて月を見た。すると月明かりの下、大木の枝に立って承恩殿を見守っている顧剣(コケン)の姿に気づく。|ω・`)oO(あ…トトr… 寝ないのか?>( ̄꒳ ̄|小楓は李承鄞の声を聞いて慌てて窓を閉めた。「何を見ていた?」「…何も」「早く寝ろ、布団は返す」李承鄞は窓の外が気になったが、そのまま寝所へ引き返した。一方、承恩殿の前に移動していた顧剣は裴照から酒に誘われた。「気遣いに感謝するよ…」顧剣は毎日、小楓を陰ながら見守っていたが、裴照のおかげで衛兵と大捕物を繰り広げずに済んでいると知っていた。すると裴照は顧剣に過去を手放して楽になるよう助言する。しかし顧剣は裴照も密かに小楓を守っていると分かっていた。「我らにとって小楓はただの太子妃ではない」「…あの方さえ無事なら、他のことはどうでもいい」「ふっ、その通りだ」顧剣と裴照、2人は小楓の幸せを願う同志だった。翌朝、李承鄞は小楓を起こさないようそっと寝所を抜け出し、永娘に皇太子妃がまだ寝ていると教えて帰って行った。すると承恩殿の長い石段を降りたところで裴照と出くわす。「夜番だったのか?」「いいえ…」「実は寝所の外に曲者がいた、足音からして侍女だろう、承恩殿内を調べてくれ」李承鄞は久しぶりにゆっくり眠れたと大きく伸びをして見せると、書房に向かった。容霜は早速、皇后に皇太子が初めて承恩殿に泊まったと報告した。2人は喧嘩していたが、結局、李承鄞は朝まで過ごしたという。「瑩児(エイジ)に承恩殿を見張らせて、何かあれば報告を…」一方、瑟瑟も錦児から李承鄞が承恩殿に泊まったと聞いていた。「本気で怒っているのね、玉佩を壊した私に…きっと嫌気が差したんだわ…」そこで錦児は良娣の寛大さを皇太子に知らしめるため、皇太子妃を訪ねるよう進言した。趙良娣が承恩殿にやって来た。「太子妃、堂々と…」永娘は名実ともに皇太子妃となった小楓に威厳を見せるよう囁いたが、小楓は殿内から出る時、うっかり敷居につまづいて転んでしまう。「姐姐!大丈夫ですか?!」「…だっ大丈夫よ(꒦ິ⌑꒦ີ)」出鼻をくじかれた小楓、しかし腹心の永娘のおかげでかろうじて皇太子妃としての面目は保った。すると瑟瑟が退屈しのぎに遊戯でもしないかと誘う。(^ꇴ^)b<いいわよ、札遊びでもどう?つづく( ๑≧ꇴ≦)シャオフォン、転び方が上手いわw
2021.01.06
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东宫 Goodbye my princess第35話「皇后の企み」李承鄞(リショウギン)は唯品閣で店主に服の仕立てを頼んだ。しかし寸法が分からず、巻尺を借りて小楓(ショウフウ)を奥の部屋に呼ぶ。「瑟瑟(シツシツ)の代わりに君の寸法を測る」「なぜそなたが?店主に頼め」「…では女子だと知られてもいいのか?それに夫婦だから構わないだろう?」「ゥッ…早くしてくれ」すると李承鄞はこの機会を利用して愛しい小楓に密着しながら、無事に採寸を終えた。李承鄞と小楓が唯品閣を出ると、偶然、露店で買い物している顧剣(コケン)とミロがいた。咄嗟に引き返そうとする小楓、すると李承鄞はわざと小楓の手を握りしめ、顧剣に見せびらかすように引っ張って行く。ミロは小楓に気づいて声をかけようとしたが、なぜか小楓は気まずそうに通り過ぎた。「顧剣?小楓と一緒にいたのは誰?なぜ知らん顔して行ってしまったのかしら?」しかし顧剣はむすっとして帰ってしまう。李承鄞は小楓の手を握りしめたまま宮殿に戻った。一体、どういう風の吹き回しなのか…。小楓は困惑しながらふと立ち止まり、もう着いたと声をかけた。すると李承鄞は急に態度を一変させ、小楓の手を放して先に行ってしまう。(´⊙ω⊙)<何あれ?訳わからんわアドゥは一足先に酒楼についた。しかしまだ小楓が来ていないと知り、顧剣を訪ねる。すると酒楼の裏庭で薪割りをしている顧剣が急に喀血する姿を目撃した。驚いたアドゥは顧剣が何か隠していると気づき、白状しないと公主に話すと脅す。仕方なく顧剣は崖から落ちた時に深手を負ったと教え、身体は万全ではないが大丈夫だと嘘をついた。アドゥは自分が刺したせいだと責任を感じたが、顧剣は小楓の心の傷に比べれば何でもないという。「恐れているのは小楓の記憶が戻ることだ…私を恨むに違いない、そして己を責めるだろう アドゥ、分かっている、君も辛いだろう…忘れたくても忘れられないんだからな…存分に泣け」アドゥが顧剣の胸を借りて泣いていると、小楓の声が聞こえた。咄嗟に涙をふいたアドゥだったが、駆けつけた小楓はアドゥの目が赤いことに気づく。「どうしたの?顧剣がいじめたの?」「んなわけないだろう?」顧剣は否定したが、小楓は店内に戻っても疑っていた。「私はいじめていないぞ?君こそ友人を放って男と会うなんて酷すぎる」「師父がそんなこと弟子に言うか?」「師父?これからは知らん顔するのかと思ったよ」顧剣は自分を無視した小楓に嫌味を言ったが、そこへミロがやって来た。「小楓、さっき殿方と一緒にいたわね?あの人が夫君(フクン)なの?」「…ぅん」小楓がしぶしぶ認めると、ミロはお似合いだと褒めた。しかし今日は側室の衣装選びに付き合っただけ、小楓は夫と仲良くないと打ち明ける。ただ不思議なことに以前、側室と一緒に湖に落ちた時、夫がなぜか自分を助けたと首を傾げた。ここの葡萄酒を側室に届けた時も、滑って倒れそうになった自分を助け、結局、側室が手に傷を負ったという。「私のことが嫌いなのに、なぜ助けるのかな?」一方、皇后から夕餉に誘われていた李承鄞は清寧宮を訪ねた。そこで勧められるまま梨花(リカ)酒を飲み、やがて酔いつぶれてしまう。女官・容霜(ヨウソウ)は太監と一緒に皇太子を寝所へ運び込むと、そこにはすでに緒娘(ショウジョウ)が待っていた。「分かっているわね?…そなたの赤子は富と名誉を手にできる、お勤めをしっかり果たすのよ?」その頃、承恩殿では小楓がミロの言葉を思い出していた。…話を聞く限り、夫君はあなたを嫌っていない…人は驚くと本心が出る、最初の反応が真実なのよ…あなたを先に助けた、つまり夫君はあなたを気にしているってこと小楓は李承鄞の気持ちが分からず、ひとり悶々としていた。…殿方って不思議なものよ?…好いた女子との接し方が分からないの、だから悪態をつく、好意を胸の奥に隠しているだけよ「でもあの人が好きなのは瑟瑟…私なんて眼中にないはずだわ」今夜も皇太子は青鸞(セイラン)殿に来なかった。瑟瑟は刺繍をしながら待ち続けていたが、もしや自分に飽きてしまったのではと不安がよぎる。「殿下は私に一途だと思っていた、でも太子妃への眼差しが…」皇太子を失うのではと怯える瑟瑟、まさか李承鄞が他の女子と共寝しているとは夢にも思うまい。その時、李承鄞の隣にはあられもない姿の緒娘がいた。緒娘は恐る恐る皇太子の胸に手を伸ばしたが、その時、突然、李承鄞に手をつかまれてしまう。瑟瑟はふと思い出し、錦児(キンジ)に李承鄞との出会を聞かせていた。「初めて宮中に上がった時よ、永寧や他の公主にいじめられてね… 山に置き去りにされて転んで怪我をしたの、いくら泣き叫んでも誰も来なかった… 寒いし、暗くて怖かったわ〜そこに現れたのか殿下だったの」李承鄞は怪我をした瑟瑟を背負い、橋を渡って宮中へ戻ってくれたという。その背中はなぜかとても安心できた。瑟瑟はその時、李承鄞こそ自分が嫁ぐべき相手だと確信したという。「殿下は私を幸せにするとおっしゃった…私ったらバカね」瑟瑟は皇太子を少しでも疑ったことを後悔し、錦児に東宮へ夜食を届けるよう命じた。小楓は寝付けず、寝殿を出て月を眺めていた。そこへ偶然、夜番の裴照が通りかかる。「裴照が太子妃にご挨拶を…」「今夜は星がきれいね…でも都で見る星は遠すぎるの、遠くて手が届かないわ でも西州の草原は違う、見上げれば満天の星空、手を伸ばせば届きそうなの…」「太子妃、家が恋しいのですね?」すると小楓は悩み事があると教え、思わず李承鄞のことが分からないと訴えた。皇太子の側近である裴照には李承鄞の自分への気持ちがどう見えるのだろうか。しかし裴照は家事のことに口を挟む資格はないという。小楓は皇太子妃としてではなく朋友として意見を求めたと言ったが、あきらめて空を見上げた。孤独な小楓、そんな寂しそうな皇太子妃の背中を見た裴照は励まさずにいられなくなる。「太子も太子妃に関心をお持ちかと… ただ良き夫君になるために模索しておいでなのです、時間を差し上げてください」そんな2人の様子を錦児が見ていた。翌朝、清寧宮の離れに泊まった李承鄞は皇后と朝食をとっていた。そこへ容霜が血相を変えて駆けつけたが、皇太子の顔色をうかがうって口ごもってしまう。李承鄞は仕方なく自ら緒娘を見たのかと聞いた。「離れに片付けに行ったら…殿下の寝台で緒娘が寝ていました…」皇后はわざとらしく驚いて見せると、気に入ったのなら側に置くよう勧める。しかし李承鄞は酔っていたせいだと言い訳し、瑟瑟一筋だと訴えた。そこで瑟瑟の機嫌が直るまで東宮に迎えるのは待って欲しいという。皇后はそこまで良娣を気遣う息子に呆れたが、李承鄞は自分の要求を拒むなら母に従わないと口答えして帰ってしまう。東宮に戻った李承鄞は裴照を呼んだ。そこで昨夜、緒娘という侍女が寝所に送り込まれたと教える。実は李承鄞と緒娘の間には何も起きなかった。緒娘は皇太子が間違いを犯すよう手を伸ばしてみたが、李承鄞がその手をつかんで止める。すると李承鄞は今夜の件を決して口外するなと命じ、水の入った桶に顔をつけて酔いを覚ました。「皇后の狙いは何だ?瑟瑟以外にも側妃を持てと言うのは分からなくもない… だが、なぜ緒娘なんだ?」李承鄞は裴照に緒娘を調べるよう頼んだ。一方、皇帝は身分を隠したまま鳴玉坊(メイギョクボウ)の明月(メイゲツ)を訪ねた。すると明月のもてなしが、かつて寵愛した顧淑妃の姿を思い出させる。実は李承鄞は亡き生母・顧玉瑤(コギョクヨウ)に仕えていた侍女を探し出し、母の習慣を聞き出して明月に伝えていた。「(はっ)もしや明月、心の傷に触れてしまいましたか?」気がつくと皇帝の頰を一筋の涙が流れた。「いや、思い出しただけだ、昔の楽しかった日々をな…」皇帝はこれ以上、明月を欺きたくないと話し、自ら身分を明かした。裴照は皇太子に緒娘について報告した。緒娘は宮中に使えて5年、真面目に働いていたが、最近は羽林軍の張参(チョウサン)と親しいという。良い噂は聞かないが、張参は皇后の再従弟だった。唯品閣から衣が届いた。李承鄞はすぐ青鸞殿に届けると、喜んだ瑟瑟は早速、着替えて披露する。こうして機嫌を取ったところで、李承鄞は″狼の牙″を返してもらうことにした。「あれは小楓の物だった、拾った物なので知らなかったのだ」「太子妃の物でしたか…」「…小楓の祖父がしとめた狼王の牙らしい そう言うことなら返そうと思ってな、それに君には不吉だ」瑟瑟は皇太子妃の物なら返すのは当然だと、物分かり良く箱に入った狼の牙を持ってきた。すると李承鄞は中を確認するでもなく瑟瑟の手からさっさと取り返し、その代わり玉佩(ギョクハイ)を授ける。瑟瑟は感謝したが、明らかに不満そうだった。高于明(コウウメイ)は皇太子の思惑がつかめず、苛立ちを募らせていた。世継ぎがいない皇后は恐るるに足らず、最後は高家を頼るしかない。しかし皇太子はある程度、力を蓄えたら高家と距離を置くような気がしていた。そこで愛娘の如意(ニョイ)を宮中に上げ、もし皇子を授かれば高家は今後、一切の憂いがなくなると期待する。すると高坤(コウコン)は皇后から知らせがあり、この数日中にも如意が夜伽に呼ばれると教えた。つづく|ω・`)で、狼王って何匹いるの?w
2021.01.05
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东宫 Goodbye my princess第34話「危険な一手」裴照(ハイショウ)は万年県で皇太子妃・曲小楓(キョクショウフウ)とアドゥを助け、承恩(ショウオン)殿まで送り届けた。「裴将軍、謝謝!」しかし急に寝殿の扉が開き、待ち構えていた皇太子・李承鄞(リショウギン)が睨みつける。「待ちくたびれたぞ?こんな夜更けまでどこへ行っていた?」李承鄞は女官・永娘(エイジョウ)たちを下げてから小楓を叱った。「また市中で騒ぎを起こしたのか?! 裴将軍は東宮を守る統領だ、君の尻拭いをする付き人ではない!」「毎回、見張らせているのはあなたでしょう?」「君が抜け出すからだ!」「私と喧嘩をしに来たの?」すると李承鄞はふと用件を思い出し、冷静になった。「″狼の牙″の件を説明すべきだと思ったのだ、あれは西域から戻る際に拾った品だ …君の物だったのなら折を見て返そう」そんなある日、戸部尚書・高坤(コウコン)が安護(アンゴ)府から届いた長兄・高顕(コウケン)の上奏を朝議で報告した。実は丹蚩(タンシ)の残党が未だ朔博(サクハク)の西南に潜伏して民を脅かしており、討伐のため兵糧50万石および軍資金100万銀が必要だという。すると早速、趙士玄(チョウシゲン)がかみついた。討伐なら鎮北侯(チンホクコウ)として丹蚩を治める趙家の役目、軍資を出すなら趙家に出すべきだという。そもそも少数の残党を討つにはあまりに高額な要求であり、軍資を名目に兄弟で示し合わせて国庫の金をせしめるつもりだと追及した。しかし高于明(コウウメイ)が武力で鎮圧する高将軍と懐柔策でなだめる趙将軍、皇帝への忠誠心は同じでも各職責により重視する点が異なると説明する。「恩威並行、飴と鞭を用いてこそ丹蚩を従わせ、平安を保てましょう」そこで皇帝は腹が減っては軍ができぬと話し、国庫の備蓄を切らさぬことを条件に安護府に軍資を送ることを認めた。趙士玄は納得がいかず、東宮で李承鄞に警鐘を鳴らした。丹蚩はすでに滅び、逃げ延びたのは老女と幼子ばかり、大軍など必要ないはずだという。しかし高家と対抗していた忠(チュウ)王一派が凋落した今、高于明に逆らうことは難しかった。「そなたが高右相の企みを証明できれば話は別だがな…」李承鄞は趙士玄をけしかけて高家を探らせることにした。顧剣(コケン)は陳嫣(チンエン)こと明月(メイゲツ)を密かに李承鄞と引き合わせた。すると明月は顧家と陳家のため、高家打倒に協力したいと申し出る。「私は陛下に2度お目にかかり、多少の信頼は得ました 陛下の助力があれば両家の汚名もそそげます」明月は一族を皆殺しにした高家への深い恨みがあった。もし皇太子に断られても、皇帝に近づいてひとりで復讐するまでだという。顧剣はもちろん李承鄞も柴牧(サイボク)不在の今、その娘に何かあってはならないと反対した。しかし明月の決意は揺らがない。「殿下、高の悪事は両家の虐殺にとどまりません… 今や朝廷は高の手中にあり、噂では科挙の不正まで行っていたとか? このまま見過ごせば災いは民にまで及びます」科挙の件で長兄の死を思い出したのか、李承鄞は結局、明月の協力を受け入れた。顧剣は明月を先に帰し、東宮にやって来た。李承鄞は従兄が自分の身勝手さを責めていると気づき、確かに1日も早く高于明を倒したくて承諾したと認める。高于明が自分を疑い始めた今、柴牧の正体が暴かれる前に手を打たねばならない。顧剣は李承鄞に記憶がないと分かっていても苛立ちを隠せず、不満をあらわにして出て行った。かつて愛する小楓を利用して深く傷つけた李承鄞、また同じ過ちを繰り返すつもりだろうか。しかし当の李承鄞は何も覚えておらず、ただ従兄の態度に困惑するばかりだった。良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)は皇后からの罰で1日の半分もひざまづいて経を唱える毎日だった。しかし皇后からどんなに冷遇されようとも皇太子さえ信じてくれれば良い。実際、李承鄞も瑟瑟の顔を見られなくても、朝晩、青鸞(セイラン)殿を訪ねていた。一方、小楓は今も熱心に故郷へ文を書いていた。嫁いで1年になるが時折、故郷の品が届くものの、父からの返事は1通だけ、母からは音沙汰なく、兄の来訪もない。…機会があれば西州に帰れるか頼んでみます…阿爹、阿娘、会いたくてたまりませんアドゥは公主の手紙を預かると、今日もまた居所にある化粧箱に入れて大切に保管した。永寧(エイネイ)と珞熙(ラクキ)が承恩殿にやって来た。今夜は皇后主催の宴が開かれ、親族の婦女子も集まり、事実上のお見合いの場所だという。小楓は李承鄞と顔を合わせるのかと思うと憂鬱だった。しかし永寧と珞熙は五兄と小楓がお似合いだと褒め、五兄は小楓のことを想っているという。「五哥哥はあなたと結婚して何だか変わったわ、前よりずっと生き生きしているもの」「趙姑娘を娶ったからよ、私は関係ない!」宴で艶やかな舞が始まった。小楓は皇太子と良娣と並んで座っていたが、つまらないので永寧と珞熙の席へ行こうと立ち上がる。すると李承鄞が咄嗟に小楓の手をつかんで止めた。「太子妃が勝手に動くな、分かったか?おとなしく食べていろ!」小楓は仕方なく腰を下ろすと、各膳に茹でた蟹が出された。しかし山育ちで蟹を見たことがない小楓は巨大な虫かと驚き、食べ方も分からない。そこで李承鄞は綺麗に蟹の身をほぐして見せると、当然のように瑟瑟に勧めた。「(はっ!)そうだ、先日の麺で体調を崩したし、蟹は良くないな…君が忘れてどうする? だがせっかくの蟹だ、捨てるのは惜しいな~時恩(ジオン)、太子妃に…」小楓は珍しそうに蟹を一口食べると、これがなかなかの美味だった。李承鄞は小楓が脇目も振らず蟹を食べている姿を見て、思わず笑みがこぼれる。その皇太子の満足げな表情を瑟瑟は見逃さなかった。小楓が蟹に夢中になっている頃、演壇にひとりの舞姫が現れた。皇帝は美しく優雅に舞う娘を一目で気に入ると、皇后が高于明のひとり娘・如意(ニョイ)だと紹介する。こうして皇帝の目に留まった如意は後宮に迎えられることになった。宴が散会すると小楓は慌てて寝殿に戻り、アドゥと永娘に隠し持っていた蟹を一杯ずつ渡した。驚いた永娘は畏れ多いと断ったが、小楓は蟹の足を永娘の口に放り込んでしまう。「皇室の品を拒むなんてかえって不敬よ?私まで蟹泥棒で罰を受けちゃうわ~どう?美味しい?」「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン」永娘とアドゥはありがたくご相伴にあずかった。「太子妃、今日、恥をかかずに済んだのは殿下のおかげです 助けてくださったのですから、もっと優しく接してはいかがでしょうか?」「私を助けた?んなわけない、嫌われているんだから」高坤は皇后に謁見し、長兄から届いた子宝観音を献上した。「実は大哥は如意の件で気を揉んでおります 如意が宮中に入ってはや数日、どうか早々に床入りの日をお取り計らいください …父も娘娘のお力添えを願っております 如意が寵愛を得れば高家は娘娘のご恩を決して忘れません」皇后は尽力すると約束して高坤を帰したが、途端に観音像を放り投げた。しかし女官・容霜(ヨウソウ)が飛び出し、見事な軽功で観音像を受け止める。皇后は無礼にも自分に催促してきたと怒り心頭だったが、この苛立ちは思い通りにならない皇太子への不満でもあった。「近頃、太子とは日増しに距離が離れていくわ、従順なのはうわべだけよ! もし如意が子を授かれば高右相はその子を支持する、そうなれば皇后の地位さえ危うくなる…」「娘娘、でしたら一刻も早く手を打たなければ…」皇后は確かに意のままになる皇子が必要だと気づき、ついに危険な一手に出ると決めた。皇后は李承鄞を夕餉に招くことにした。時恩から報告を聞いた李承鄞は了承すると、それより女子を喜ばせるにはどうすればいいのかと聞く。すると侍女たちと仲が良い時恩は女子とは自らの装いに心血を注ぐものだと話し、美しい衣や珍しい飾り、紅やおしろいを好むと教えた。「殿下、なんと言っても唯品閣が一番です!」小楓とアドゥは気晴らしに市中へ出た。しかし李承鄞が尾行していることに気づき、アドゥを酒楼へ先に行かせて待ち伏せする。李承鄞は小楓を見失って水路沿いを歩いていたが、急に小楓が姿を現した。「ちょっと、何のつもり?」「前回は役所で騒動になったとか?今日は何をしでかすかと思ってな」「私はただ悪人を懲らしめただけよ?! 私とアドゥで詐欺師を3回、小悪党を2回、泥棒を4回?…5回はやっつけた それくらいかしら?」「それくらいって…で、なぜ太子妃の身分を隠すのだ?」「あなたのためよ?太子妃が街で喧嘩していると公になれば、太子の面目が丸潰れでしょう?」「ぷっ、ならば君に礼を言わねばな…付いて来い」李承鄞は小楓を連れて唯品閣にやって来た。そこで小楓が商品を見ている間に店主の小唯を呼び、こっそり手付金を渡して服の仕立てを頼む。「あ、それからこれと水色の花柄の衣も頼む」「分かりました、公子、ぁ…でも寸法は?」「寸法か…」つづく
2021.01.04
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东宫 Goodbye my princess第33話「狼の牙」米羅(ミロ)酒楼で第八公主・珞熙(ラクキ)の誕生祝いが開かれることになった。ミロは酒を飲んだことがないという珞熙に驚き、せっかくの誕生日なのでおごるという。しかし付き添いの裴照(ハイショウ)が慌ててミロの腕をつかんだ。「ミロ、ダメだ!」裴照は珞熙が下戸だと止めたが、珞熙はミロに触れた裴照に内心、穏やかでない。「いいの、飲むわ」「そうこなくっちゃ!行きましょう~♪」第七公主・永寧(エイネイ)は強い酒を飲んで泥酔し、うさぎや鳥になって暴れ始めた。小楓(ショウフウ)とアドゥは永寧を押さえつけて静かにさせたが、今度はおとなしく飲んでいた珞熙が突然、詩を詠み始める。「挙杯邀明月 杯を挙げて明月を邀(ムカ)へ 対影成三人 影に対して三人となる~@李白の″月下独酌″より 人生得意須尽歓 人生 意を得ば すべからく尽くすべし 莫使金樽空対月 金樽(キンソン)をして空しく月に対せしむるなかれ~@李白の″将進酒″より …永寧?!続きは何だったかしら?」すると珞熙はふと目の前に愛しい裴照がいることに気づく。「裴将軍~詩を詠むわね~ 紅豆生南国 紅豆(コウトウ)南国に生じ 春来発幾枝 春来 幾枝を発(ヒラ)く 願君多采擷 願わくば君 多く采擷(サイケツ)せよ 此物最相思 此の物 最も相い思ふ~@王維の″相思″より …もう一編、聴いて~ 海上生明月 海上に明月生じ 天涯共此時 天涯 此の時を共にす 情人怨遙夜 情人 遙夜(ヨウヤ)を怨み 竟夕起相思 竟夕(キョウセキ)起きて相い思う~@張九齢の″望月懷遠″より」小楓はいつも控え目な珞熙の大胆な告白に困惑し、思わず目をシバシバさせた。小楓たちは無事に宮殿へ戻った。裴照は珞熙を抱きかかえて寝宮へ送り届けることにしたが、酔っ払った珞熙はまた詩を詠んで自分の熱い想いを訴える。「酔ってないわ~信じてないの?」「…分かりました」「ひどいわ~何も分かってない!さっきのミロさんは本当に美しい方だったわ~すごく羨ましい」「飲み過ぎですよ」翌朝、小楓はなかなか起きることができなかった。するとすごい剣幕で皇太子・李承鄞(リショウギン)が現れ、小楓の寝所で何かを探し始める。「これは何だ?!中身は薬か?!」「はあ?!瑠璃玉よ!返して!」小楓は取り上げられまいと、うっかりこの瑠璃玉で腕輪を作り、ある人に贈ると口を滑らせてしまう。思わぬ言葉に李承鄞は一瞬、呆然となり、その隙をついて小楓は化粧箱を取り戻した。「よく寝ていられるな?趙良娣(リョウテイ)が麺を食べて体調を崩したっていうのに! 君の仕業なんだろう?!」「何の話?私は麺なんて届けてないけど?」「しらを切る気か?!」「西州の女子は卑怯な真似なんてしないわ!」小楓はまず趙瑟瑟(チョウシツシツ)を見舞いに行って事情を聞くべきだと訴えた。そこで李承鄞は場合によっては廃妃もあると脅す。慌てた女官・永娘(エイジョウ)は皇太子妃なら無関係だと口を挟み、自分の独断で良娣に麺を届けさせたと報告した。「今日は趙良娣の誕生日、贈り物を届けねば太子妃の面目が立ちません そこで誠に勝手ながら私が長寿麺を届けるよう命じたのです、でも誓って何もしていません!」李承鄞は小楓の冷たい視線を感じながら、ともかく調べてみると言い訳して慌てて立ち去った。趙瑟瑟に麺を届けたのは永娘だった。永娘が小細工するとは考えられず、そうなると信じたくはないが瑟瑟の自作自演の可能性が高い。この一件はすぐ皇后の耳に入った。女官・容霜(ヨウソウ)は良娣の小芝居だったが、真に受けた皇太子が皇太子妃と言い争いになったと報告する。「″廃妃にする″とまで言ったそうです …趙良娣に心を奪われ、周りが見えていないのでしょう このまま放っておけば殿下は従わなくなるかもしれません 娘娘?早めに手を打つべきかと存じます」そこで皇后は身重の侍女・緒娘(ショジョウ)を利用し、ある策を講じることにした。青鸞(セイラン)殿に皇太子妃が見舞いにやって来た。侍女・錦児(キンジ)は慌てて良娣に知らせに向かうと、皇太子妃が証拠を見つけて追求に来たのかもしれないと焦る。しかし瑟瑟は相手の出方を見ようとなだめて客間へ向かった。すると意外にも皇太子妃は誕生祝いを届けに来ただけだと分かる。「…変な物を食べたかもしれません、太子妃とは無関係だと信じています」「ありがとう、私のせいにした李承鄞とは違うわね」小楓は安心して帰ることにしたが、瑟瑟が急に″狼の牙″を見てみないかと言い出した。そこで錦児に首飾りを持ってくるよう命じ、小楓に渡す。「ご自分の物か良く見てみてください」「はっ!私の物だわ、なぜあなたが持っているの?」「太子殿下に頂いた婚姻の約束の印なのです」小楓はなぜ李承鄞のもとに狼の牙があったのか訝しんだが、自分が取り上げるわけにもいかず、瑟瑟に返した。「いいわ、このまま持っていて」皇太子妃はおとなしく帰って行った。錦児はなぜ良娣がわざわざ狼の牙を皇太子妃に見せたのか分からない。すると瑟瑟は、二人の以前の関係を知る必要があると漏らした。小楓は瑠璃玉で腕輪を作った。そこへちょうど永娘が粥を運んで来る。「太子妃、お手製ですか?手先が器用ですね?宮中の女官も敵いません」「瑠璃玉を編むのは得意なの、西州で一番上手いのよ? …西州では女子が腰帯(ヨウタイ)を作り、許嫁に贈る だからみんな必死になって瑠璃玉の編み方を学ぶわ」「なるほど~太子殿下もさぞお喜びになるでしょう~」「李承鄞になんてあげないわ、私を助けてくれた恩人にあげるの」小楓は市中で危ないところを助けてくれた裴照にお守りの腕輪を贈った。驚いた裴照は職務を遂行しただけだと辞退、その様子を偶然にも李承鄞が目撃する。すると小楓が裴照に無理やり何かを渡し、奇しくも二人の手が触れ合うことになった。その時、急に咳払いが聞こえて来る。小楓は李承鄞に気づいて慌てて手を離すと、裴照も咄嗟に腕輪を握りしめて隠した。「一体、何をしているんだ?」「何をしようが私の勝手でしょう?」李承鄞は裴照が贈り物をもらったことには触れず、少傅が待っているので行こうと急かした。「待って!聞きたいことがあるの…趙瑟瑟に狼の牙を贈った?」「それが何だ?聞いてどうする?関係ないだろう?」「あれは私のよ!阿翁からの贈り物なの!ずっと身につけていたのに間違えるはずない!」「ぁ…西域から帰った時、荷の中に入っていた、瑟瑟が気に入ったんだ」「だから何?なぜ勝手にあげたりするの?!」「持ち主不明だった、もういいだろう?…裴照、行くぞ」結局、李承鄞は話を切り上げて行ってしまう。(」゚ロ゚)」<ねえ!返してくれるの〜?!ちょっと〜!その夜、裴照はミロの酒楼に顧剣(コケン)を訪ねた。顧剣は裴照の腕輪に気づき、思わず腕をつかんで確認する。「お前に贈るために作ったのか…で腕輪の自慢に来たのか?」「…狼の牙で問題が起きた、殿下は誰の物か知らずに趙良娣に贈った それを知った太子妃が殿下を問い詰めたのだ」裴照は二人が何か思い出しやしないかと心配していた。すると顧剣はふと最近の小楓が少し変だと気づく。「私を避けている気がする、医館に行ったのも記憶を取り戻すためだろう もしや何か思い出したのか?」顧剣は確かに二人がこれ以上、勘ぐるのは危険だと考え、李承鄞が納得するような答えを用意すると言った。翌日、裴照は東宮を訪ね、狼の牙の事情を説明した。「西域から戻る際、軍営の外で拾いました、てっきり殿下の戦利品だと思って荷に入れたのですが… 太子妃との諍いの元となり申し訳なく思います、私から話しましょうか?」「…必要ない、自分で伝えるから大丈夫だ」裴照は後ろめたさを感じながら任務に戻った。すると万年県で2名の兵士が訴えられたと報告が来る。部下は兵士の名前が配下の中にないため、羽林軍を騙る不届き者だろうと言った。「1人は…えっと、周西(シュウセイ)です」裴照は″周西″という名を聞くとすぐ万年県衙(ガ)へ駆けつけた。すると予想通り親民堂には男装した小楓とアドゥがいる。聞けば2人は川で溺れた少年を助けたにも関わらず、なぜか少年の両親から息子を川に突き落とされたと訴えられていた。県令も両親の訴えを信じて小楓たちを厳しく追求、すると裴照が当事者である兄妹を別々に尋問したいという。そこでまず妹を裏庭へ連れて行くよう頼んだ。「…で、この人に突き落とされたんだな?背後からか?」「そうです!」「では君の背中には目がついているのか?なぜこの人が押したと断言できる?」「間違えた!前から押されて仰向けに落ちたんです」兄の証言を聞いた裴照は今度は妹を呼び、兄を裏庭へ出した。「お嬢ちゃん、あの人は背中と胸のどちらを押したんだ?」「背中よ(ドン!)こうやって押したの」県令は兄を呼び戻し、嘘をついたことを叱った。両親から目配せされた兄は本当だと訴えたが、県令は正直に言わないと百叩きの刑だと脅す。驚いた兄は父に命令されたと白状し、実は自分も妹も泳ぎが得意だと言った。「よく溺れたふりをして助けを呼び、押されたと言い張るんです!それで父さんが銭を巻き上げて…」父親は観念したのか、役所へ行こうと言えば普通は嫌がり、最終的に銭を出してくれると暴露した。「公子のように役所で解決するという人に初めて会いました…トホホ〜」すると県令は態度を一変させ、何事もなかったかのように小楓とアドゥを解放した。しかし小楓は一方的に自分を責め立てた県令に憤慨し、こんな裁き方では正義が報われないと戒める。「善人を失望させるな!」裴照はそんな正義感あふれる皇太子妃の姿に思わず笑みがこぼれた。小楓とアドゥは再び裴照に救われた。「平服姿を初めて見たぞ?いつも鎧姿ばかりだからな〜とても男前だ」すると小楓は腕輪だけではなく、他にもお礼の品を渡さねばならないという。裴照は慌てて辞退し、本当にやめて欲しいと訴えた。「贈り物が気に入らなかったのか?」「いえ、それは違います、ただ畏れ多くて受け取れないだけです」「フ〜朋友なのに他人行儀だな?」「皆が朋友にはなれませぬ…」「誰がそんなことを?永寧や珞熙と同じ、そなたも朋友だ!さあ行こう!」裴照は皇太子妃の分け隔てない態度に何とも清々しい気分になった。皇帝は柴牧(サイボク)の行方を追っていたが、何の痕跡も見つからなかった。そこでお忍びで鳴玉坊(メイギョクボウ)を訪ね、明月(メイゲツ)に例の2人の賊のことを問いただす。「その後、あの2人の賊は来たか?」「フルフル…」「金錠(キンジョウ)を渡されたと言ったな?見せてくれ、手がかりになるやもしれぬ」明月は黙って金錠が入った化粧箱を出した。「今日いらしたのは私を追求するためですか? 私は鳴玉坊で育ちました、私のことは女将に聞いてください 私と女将をお疑いなら役所で取り調べては?こんなの時間の無駄です …私は身分の低い女ですが、見下されるのは耐えられません 琵琶を聴くためにお越しになったとばかり、まさか公務だったとは…早く取り調べてください」「一度しか会っていない私をなぜ信用するのだ?」「ミンユエ、お顔を拝見できずとも声を聞いて下心のある男たちとは違うと感じました 安心できる声でしたわ…穏和で優雅な方に違いないと想像し、期待が膨らみました でも後悔しています、一瞬でも知音だと思ったことを…」「″知音″だと?」皇帝は不快な思いをさせてしまったようだと謝り、罰杯3杯だと言った。すると明月も機嫌を直して共に杯を傾ける。こうして久しぶりに酔った皇帝は明月の見送りで帰って行った。酒楼にいた顧剣は明月が皇帝を馬車まで送る姿を見ていた。そこで居所に先回りして戻って来た明月から事情を聞く。「陛下は君を疑っていたのか?」「ええ、太子殿下に会わせてもらえない?」つづく(^ꇴ^)お酒の漢詩と言えばやはり″月下独酌″、私も大好きな漢詩のひとつですこの詩は孤独という解釈が多いですが、管理人はむしろ喧騒を離れて独り静かに飲んでいる粋な詩だと感じましたね〜さて皆さんはいかがでしょうか?…ってなんの話?!(笑
2021.01.04
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东宫 Goodbye my princess第32話「誕生日の宴」灌仏会(カンブツエ)の縁日で大乱闘を繰り広げた曲小楓(キョクショウフウ)とアドゥ。裴照(ハイショウ)は皇太子妃が縁日で壊したものを弁償すると安心させ、宮殿へ連れ帰った。すると小楓は回廊で皇太子・李承鄞(リショウギン)と良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)に出くわす。李承鄞は小楓にこっそり皇后には自分の一存だったと言えと助言、何食わぬ顔で瑟瑟と手を繋いで清寧宮に入った。李承鄞は母后に小楓が仮病を使ったと訴え、口論を吹っかけた。そこで小楓は自分が行けば灌仏会の場で醜態を晒し、皇室の名折れになってしまうという。「にっ(你)!まるで私の指図のように聞こえる、仮病で欠席してわざと朱雀楼に現れたんだろう? 初夜に瑟瑟を訪ねたから嫉妬しているのか?!ずい分と手の込んだ仕返しだな?!」「邪推しないでよ!私の寝殿で騒いでいたのは誰よ?!私は野蛮で皇族の面汚しだって! 良娣のために灌仏会の衣も持ち去ったくせに!」「そうとも!そなたを行かせたら皇室の恥になる!」皇后は2人の口げんかを制し、これが公になれば君主を欺いた罪に問われると呆れた。すると皇后はまた瑟瑟が皇太子を惑わせ、皇太子妃に取って代わろうと企んだと罪をかぶせる。「初犯であること鑑み、罰として3日間、ひざまついて経を唱えよ」「皇后娘娘(ニャンニャン)、なぜ私が罰せられるのですか?!」「私に逆らうの?!…己の罪が分からなぬなら罰をひと月に延ばしましょう 毎日6刻(12時間)、経を唱えよ、過ちに気づくまで青鸞殿を出てはならぬ!」驚いた李承鄞と小楓は思わず瑟瑟なら無関係だと訴えたが、皇后はまだ罪が軽いのかと脅した。青鸞殿に戻った瑟瑟は怒りに任せて衣を脱ぎ捨てた。一方、皇后は李承鄞に瑟瑟ばかりを寵愛するなと釘を刺していたが、李承鄞は生返事で不満そうに帰ってしまう。そんな李承鄞の姿に皇后は困惑していた。「太子は以前と人が変わったような気がするわ、冷淡なところはあれど私には優しく接してくれた でも今は溝を感じるの…特に良娣が入宮してからは私に楯突くことが多くなった 趙家と高家は犬猿の仲、良娣への寵愛を高右相が知ったら二心を疑うやも…」何とか皇太子を手なずけたい皇后、しかし小楓のあの性分では自分が助けやっても恩に報いるとは限らない。すると女官・容霜(ヨウソウ)が他に手足となってくれる者を東宮に送り込むほうが早いと進言した。李承鄞は自分が責めを負うつもりだったが、思いがけず瑟瑟が罰せられることになった。さすがに申し訳なくなった李承鄞は青鸞殿に駆けつけたが、面会できないと止められてしまう。すると直接、会えない瑟瑟は衝立越しに嫁いだことを後悔していないと伝えた。「一生、添い遂げる覚悟です」青鸞殿をあとにした李承鄞は自分の身勝手さを痛感していた。しかし悩んでいる間もなく、これから承恩殿で一芝居打つと裴照に教える。「私が太子妃を虐げる薄情者だと広めてくれ それなら小楓が何をしようと責められることもなかろう」寝支度を終えた小楓、そこへ突然、李承鄞が現れ、すごい剣幕で朱雀楼での一件を批難した。「でもあなたの不手際でしょう?私を承恩殿に監禁すればよかったじゃない?」「やはり故意だな?!母后が瑟瑟を責めるよう仕向けたのだ!」「はっ、リーチョンイン? さっきからずっと1人で怒鳴っているけど、私はあなたに嫌われてもへ~気 いっそあなたたちが私から離れてよ!」「ギギギ…その言葉、忘れるなよ!」すると李承鄞は時恩(ジオン)に今後、皇太子妃と口を利いてはならないと伝達するよう命じて帰ってしまう。思わぬ騒ぎに永娘(エイジョウ)も時恩もどうしたらよいのか分からず、ただ困惑するばかりだった。灌仏会から戻った高坤(コウコン)は早速、父に今夜の騒ぎを報告していた。皇太子が正妃を置き去りにして良娣を同行したところを見ると、趙家を抱き込む気ではないかという。高于明(コウウメイ)は皇太子と正妃が本当に仲が悪いと知り、恐れるべきは趙家ではなく背後で暗躍する柴牧(サイボク)だと警戒した。「太子と正妃に不仲を装わせ西州に懐柔を持ちかければ、私の手に負えなくなる」そこへ一人娘の如意(ニョイ)が汁物の差し入れにやって来た。末っ子の如意は父や兄たちから溺愛されているのはもちろん、若く美しくて賢い。高于明はそんな娘に見合う相手は天下の覇者しかいないと考えていた。永寧(エイネイ)と珞熙(ラクキ)は五兄の酷い仕打ちを聞いて承恩殿に駆けつけた。小楓が退屈だろうと心配し、会いに来たという。実は今日は珞熙の誕生日だった。珞熙が宴を断ったと聞いた小楓は友人が酒楼を開いていると教え、外出しないかと誘う。「亥の1刻(21時)に東門の衛兵が交代するの、そこで会いましょう」すると珞熙はふと瑟瑟の誕生日が明日だと思い出した。「私の誕生日と近いから覚えていたの」一方、皇后も激怒した李承鄞が皇太子妃と口を利くなと伝達したことを聞いた。これも全て瑟瑟が元凶だと憤慨する皇后、するとその時、侍女が急にえずいてしまう。「申し訳ありません、薬湯の匂いで吐き気がして…」容霜は侍女を平手打ちにして仕置棒を手にしたが、皇后が止めた。「奥殿へ連れて行き、生娘かどうか調べなさい」皇后が見抜いた通り、緒娘(ショジョウ)は身重だった。しかし父親は皇帝ではなく、実は羽林軍の張参(チョウサン)だという。李承鄞は小楓の外出を見逃してやった。すると裴照はなぜ皇太子妃と口を利くのを禁じたのか訝しむ。李承鄞は皇后が小楓を利用して瑟瑟を抑えるつもりだと話した。「口は災いの元になる、尾行をつけて太子妃を守るのだ」小楓は露店で買い物していたが、アドゥが誰かに付けられていると教えた。そこで医館で待ち合わせしようと約束してふた手に分かれる。監視たちはアドゥを裏道で追い詰めたが、顧剣(コケン)がつぶてを投げて監視たちの気を失わせた。「小楓は?」「医館で待ってる」「先に行ってくれ、ミロの店で会おう」小楓はアドゥを待つ間、医館で記憶喪失について相談していた。しかし太傅は頭に傷痕がなく、何かにぶつけた痕もないという。「だが奇妙なことに体内に寒気がこもっておる」「頭は怪我していない、かぁ~…」小楓は皇后から聞いた話と違うことをいぶかしみ医館を出ると、ちょうどアドゥが待っていた。すると二人がミロの店に向かったのを確認し、顧剣が医館にやって来る。「さっき訪れた者は何の病でしたか?」小楓は酒楼で顧剣を待ちながら悶々としていた。「何か心に引っかかるの、でもそれが何かが分からない…」するとミロは流れに任せればいいと助言し、無理に思い出す必要はないという。「何事も縁に任せるのよ」小楓はミロと話しているうちに気が晴れると、実は今夜、酒楼を借り切って友人の誕生日祝いを開きたいと頼んだ。その時、店に突然、横暴な役人たちが現れ、先客を追い出して席を奪い、小楓が頼んだ歌を勝手に止めてしまう。「こんないい店に下品な蝦蟇(ガマ)が来るとはな~」若僧の嫌味に役人たちは憤慨して立ち上がったが、上役の男がなだめた。上役の男が小楓の席にやって来た。「お前はあの歌い手より端正な顔立ちだな?一杯、付き合え」「この私が軽蔑する人間は、弱い者いじめをする奴と身の程知らずだ…お前はその両方だな?」すると小楓は男の顔にいきなり酒を浴びせかけてしまう。男は激怒して立ち上がろうとしたが、危険を察したアドゥが咄嗟に箸で男の手を突き刺し、その隙に小楓を連れて逃げ出した。ミロが店の中で右往左往していると、ようやく顧剣が戻って来た。小楓たちの一件を聞いた顧剣は慌てふためき飛び出して行く。一方、小楓とアドゥは逃げ切れないと覚悟し、役人たちを待ち構えた。そこへ運良く裴照が配下を引き連れ現れる。「裴将軍!奴らを捕まえて!」小楓たちを追いかけて来た役人たちは裴照を見て慌てて挨拶した。「ペペッペイ将軍!」「所属は?」「左羽林軍の張参と申します」裴照は街で騒ぐとは何事かと叱責し、すぐ戻って罰を受けろと命じた。顧剣が駆けつけた時には全て解決していた。そこで小楓は東宮羽林軍の統領・裴照と師匠・顧剣を引き合わせ、裴照にあることを頼んでまたどこかへ行ってしまう。顧剣は思わず皇太子妃の外出を触れ回るつもりかと呆れた。すると裴照は顧剣が自分の部下を倒したせいだという。「てっきり街のゴロツキかと…悪かった」小楓は唯品閣で珞熙と瑟瑟への贈り物を選ぶことにした。そこで店主に勧められた西州でも希少な極上品だという孔雀石を選ぶ。すると小楓は瑠璃玉を見つけて喜んだ。「これも包んでくれ!腕輪づくりは私の特技だ」顧剣は自分にも作ってくれたら信じると言ったが、小楓は何度も命を救ってくれた友人に贈るという。「私も再三、そなたを助けたぞ?」「それが師父の務めだろう?ふっ」永寧と珞熙は約束の時間に東門に駆けつけた。するとなぜか馬車を用意した裴照が待っている。「太子妃の命でお迎えに…あ、お待ちを 太子妃は自由奔放ですが、お二人は宮中の掟を熟知しておられる、外出はお控えください」珞熙はこれも将軍としての務めだと理解を示したが、実は今日は自分の誕生日だと話した。「普段は参拝に行く以外、宮殿を出ることはないわ…自分らしく誕生日を過ごすのが夢だったの 行かせてくれない?心配なら一緒にどう?約束する、子の刻(23時)までには戻るから」その頃、酒楼では顧剣やアドゥも駆り出されて祝宴の準備が整った。今か今かと二人の到着を待つ小楓、そこへ裴照の案内で永寧と珞熙が現れる。小楓は早速、珞熙に誕生祝いを渡し、永寧にも櫛を贈った。そこへミロが駆けつけ二人を歓迎する。永寧と珞熙は噂どおり朗らかで素敵な人だとミロを絶賛、喜んだミロは二人に店にある酒を紹介し始めた。すると話が長くなると分かっている小楓は永寧を連れて先に奥へ逃げ出してしまう。そんな中、珞熙だけは真面目にミロの説明を聞いていた。しかし珞熙は酒を飲んだことがないと話し、ミロを驚かせる。「じゃあ誕生日だからとことん飲みましょう!」ミロは珞熙を連れて奥の部屋に案内しようとしたが、裴照がミロの腕をつかんだ。「ミロ!ダメだ!」つづく(  ̄꒳ ̄)あ~なるほど、ようやく李承鄞が瑟瑟を寵愛して小楓を虐げてる理由が分かって来ましたでも瑟瑟への感情がイマイチ分からないわ〜男女の情はないけど、幼なじみ?
2020.12.30
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东宫 Goodbye my princess第31話「灌仏会での騒ぎ」顧剣(コケン)は負傷した義父・柴牧(サイボク)を手当てしていた。すると胡嘯(コショウ)が駆けつけ、明月(メイゲツ)が無事に放免されたと報告する。柴牧は安堵したが、このまま都に留まれば皆に危険が及ぶと考え、しばらく身を隠すと決めた。顧剣は義父から明月と潜龍使(センリュウシ)を任された。そこで鳴玉坊(メイギョクボウ)を訪ね、明月に柴牧が都を離れたと報告する。「君を連行したのは神武軍の曽献(ソウケン)だ」「なら私を審問したのは役人ではなく陛下だったの?」明月は驚き、目隠しをされていたので声しか分からなかったと説明した。永娘(エイジョウ)は皇太子妃の身支度を整え、今日は良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)を訪ねるよう勧めた。「同じ東宮の者です、禁足の件もありますし、誠意を見せねば陰口を言われます 殿下にも誤解されたままですし、仲直りの機会になればと…」しかし曲小楓(キョクショウフウ)は拒否した。「永娘、私のためなのは分かるけど、李承鄞(リショウギン)と想い人のご機嫌取りなんてゴメンよ!」すると永娘はひざまずき、至らない自分を死罪にしてくれと嘆願する。小楓は仕方なく永娘の顔を立て、青鸞(セイラン)殿に向かった。小楓は瑟瑟に贈り物を持って来た。しかし突然、李承鄞が現れ、汚らしい品を贈るなと難癖をつける。小楓は無視して西州の王宮で熟成させた最高級の葡萄酒だと教え、香りが飛ばないよう泥で密封してあると説明した。すると李承鄞が妙な物でも入れたのではないかと疑う。「以前は瑟瑟を湖に落とし、先日は禁足にしたしな」憤慨した小楓はとにかく酒瓶を瑟瑟に渡したが、李承鄞が取り上げて小楓に返した。「持って帰れ!」「あなたには関係ないでしょう?!」呆れた小楓はまた瑟瑟に酒瓶を渡した。「人を傷つけるなっ!」「そっちこそ人殺しのくせにっ!」「戦と一緒にするんじゃないっ!」「ぁ…あの〜…殿下?太子妃もご厚意で…」( ๑≧ꇴ≦)๑≧ꇴ≦)<你閉嘴(ニービーズェイ)! (((・_・`)ぁ…「嫌ならいいわ!自分で飲むから!」小楓は怒って瑟瑟から酒瓶を奪おうとしたが、李承鄞も咄嗟に手を出し、思いがけず酒瓶を取り合う形となった。3人はそのままもみ合いとなり、うっかり酒瓶を落して割ってしまう。ガシャーン!小楓と瑟瑟は反動で同時に後ろに倒れそうになった。すると李承鄞は反射的に小楓を助ける。瑟瑟はそのまま倒れ、皇太子が小楓を抱き留める姿に衝撃を受けた。ともかく立ち上がろうとしたが、うっかり破片に手をついて怪我を負ってしまう。「あ!小姐(シァォジェ)!」錦児(キンジ)の悲鳴を聞いた李承鄞はふと冷静になり、小楓をアドゥに渡して瑟瑟の元へ駆け寄った。小楓も心配して様子を見ようとしたが、李承鄞は小楓のせいだと激怒して二度と青鸞(セイラン)殿に来るなと命じる。こうして小楓を追い出した李承鄞は自ら瑟瑟の手の傷を手当てした。「殿下、今夜はお越しくださいますか?」「…太傅に政を学べと言われている、怠ければ母后の怒りが君に向くからな」李承鄞は母を口実に断って帰って行った。ふと一抹の不安がよぎる瑟瑟、李承鄞は湖に続き、なぜ今回も自分ではなく小楓を先に助けたのだろうか。米羅(ミロ)酒楼に裴照(ハイショウ)が現れた。ミロは裴照に抱きついて馴れ馴れしくするが、裴照は面倒臭そうに顧剣(コケン)に会いに来たと告げる。実は顧剣は最近、一滴も飲まず、付けの代わりに仕事を手伝っていた。顧剣はちょうど裏庭で薪割りをしていた。「最近、宮殿に来ないな?…実は太子夫妻の仲が良くない、殿下の芝居なんだ 内心では太子妃を気遣っている」するとミロが2人の様子を探りに来る。「心の中で気遣うだけでは何の意味もない、実際は小楓のことを傷つけたんだから」「過去のことだ、2人は全てを忘れて再出発したのだ、夫婦のことに我々が口を挟むべきではない」「…太子妃の話になると口数が増えるな?」「私とて太子妃には面目ない、幸せを願っている…」初めて見る饒舌な裴照の姿にミロは何か感づいたようだった。そんなある日、皇后は清寧(セイネイ)宮に東宮の3人を呼び出した。先の酒瓶の件で険悪な雰囲気の李承鄞と小楓、しかし突然、皇帝が現れる。実はもうすぐ灌仏会(カンブツエ)だった。皇帝はこの日が皇太子と皇太子妃のお披露目によい機会だと思いつき、2人に使臣たちの接待を任せたいという。すると皇后はちょうど2人の衣装が届き、試着させるために呼んだところだったと説明した。皇帝は喜び、小楓に早速、衣装を見てみるよう促す。「やはり宮中で仕立てた品は精巧ですね~」それは皇太子妃のためにあつらえた灌仏会用の衣装で、掟により通常は着れないものだった。瑟瑟は皇后がわざと自分まで呼んだと気づき、厚遇される小楓への嫉妬に顔が歪んでしまう。承恩殿に李承鄞が現れた。喜んだ永娘は夕食をここで食べるか確認する。「ぁぁ…」「食べないわ」李承鄞は食べるつもりだったが小楓に断られ、仕方なくすぐ帰ると伝えて永娘を下げた。李承鄞は母から命じられ、小楓に灌仏会の説明に来た。「灌仏会は釈迦の誕生を祝う行事だ 早朝に万佛(マンフツ)寺に参拝し、僧たちに食事を施した後、仏像を洗い清める その後、水の掛け合いや爆竹、龍舟…」「あ~もうお腹いっぱい、何が仏様よ?大勢の命を奪っておいて…へそで茶を沸かすわ~」「太子妃として口を慎まないか?!私にはともかく、外でそんな話をするな!」「指図しないでよ!言っとくけど、アウォンを祀ったからって許したわけじゃないわ!」「私は丹蚩(タンシ)王に敬意を払っただけだ!君のためじゃない!」「ギギギ…出て行って!灌仏会なんてお断り!ひとでなしと行くなんてまっぴらゴメンよ!」「こっちこそ!誰が連れて行くもんか!私と一緒に行きたい者など大勢いるは!」「…瑟瑟のことね?あ~、灌仏会の衣装が欲しくて来たのね?!」小楓は皇后から賜った衣装を李承鄞に渡し、灌仏会には行かないと断言した。憤慨した李承鄞はまた母后に言いつけて瑟瑟を罰するつもりかと迫る。「心配しなくたって病だと言うわ!」「…ゥッ…勝手にしろ!」李承鄞は売り言葉に買い言葉で小楓と大げんかになり、承恩殿を飛び出した。せっかく小楓と揃って出かけられる機会だったが、仕方なく瑟瑟に衣を贈って喜ばせる。一方、永娘は皇太子妃が灌仏会を欠席すると聞いて落胆した。しかし小楓は行きたい人が行く方が良いと話し、どこ吹く風…。「永娘?話は終わりよ」灌仏会当日、瑟瑟は皇太子妃が着るはずだった衣をまとい、小楓の代理として李承鄞に同行した。皇帝は良娣の姿に困惑すると、皇后が皇太子妃は病で行くことができず、やむなく良娣が代理だと説明する。「快癒していなかったのか…太子妃は側室とは違う、目をかけてやれ」皇帝はあからさまに嫌悪感を示し、皇后も怒りに満ちた目で瑟瑟を一瞥してから馬車へ向かう。何ともいたたまれない瑟瑟だったが、李承鄞は心配するなと声をかけた。皇帝一行が灌仏会に出発し、宮中はひっそりしていた。小楓はアドゥと2人で過ごしていたが、実は近頃、妙な記憶が浮かんでくると相談する。太医は夢だと言うが現実のようで、一方、皇后から聞いた盗賊の話は全く覚えていなかった。「きっとすごく大切な記憶なんだわ…取り戻したい」アドゥは何とも反応できずにいると、そこへ突然、顧剣が現れた。実は小楓は李承鄞と瑟瑟のため、仮病を使って儀式に出なかったという。すると顧剣は、灌仏会の縁日が面白いと教えた。「いろいろあるぞ、獅子舞や火吹きの大道芸…そうだ波斯(ハシ)の巫女の神通力はすごいらしい 前世と現世を見抜くとか…」小楓は興味津々、それなら行くしかないと喜んだ。小楓たちは縁日の露店で飴細工を頼んだ。飴ができるのを待っていた小楓だったが、近くに波斯の巫女の天幕を発見、先にひとりで占ってもらうことにする。ふと心配になった顧剣は飴をアドゥに頼んで様子を見に来たが、巫女は顧剣の顔を見るなり激しく動揺した。すると2人には2度の縁があるがどちらも悪い結末だと告げる。「早く別れた方が良い」「何を言うの?!この人は私の師父よ?」小楓はただの詐欺師だと怒って帰ろうと言った。しかし顧剣はなぜか話を聞きたいと頼み、願かけの池で合流しようという。小楓は仕方なく出て行くと顧剣は占いの続きを聞いた。「お前が生きるのは贖罪のためか…罪を抱えて辛うじて生き長らえている その罪をあがない、魂が解き放たれた時、お前の肉体は滅びるだろう 幾万の矢に貫かれるような苦痛と共にな…」小楓とアドゥは願かけの池で顧剣を待っていた。すると偶然、暗がりで男が何やらこそこそ亀を捕まえている様子を目撃する。一方、儀式を終えた皇帝一行は今年も朱雀楼へ登り、賑やかな市中を見下ろした。皇帝は高坤(コウコン)が戸部尚書となってから国庫が潤っていると喜んで褒美を与えると言ったが、高坤は辞退し、皇帝の徳政にこそ民は感謝していると持ち上げる。その頃、小楓は亀で詐欺を働く男をとっちめていた。「亀を売って客が池に離したらまた捕まえて売ってるでしょう? どうりで一晩中、売り切れないはずよね?」「妙なことを言うねえ~俺たちが亀を使い回している証拠でも?」「みんな~見て!」小楓はたらいから自分の亀を取り出した。実は池に離す前、亀の足に目印となる白い布をしばっておいたという。客たちは騙されたと知って金を返せと迫ったが、そこへ詐欺師の仲間が駆けつけた。アドゥは小楓の手を引っ張り、その場から逃げ出した。ちょうど川の向こう岸にいた顧剣は男たちに追われる2人の姿に気づき、慌てて助けに向かう。市中を駆け回った小楓とアドゥはやがて詐欺師の男たちに追いつかれた。「みんな!詐欺師に騙されないで!この悪党!」露店の品物を投げつけ対抗する小楓とアドゥ、すると裴照が衛兵を連れてやって来る。「太子妃、ご無事ですか?」「裴将軍?!どうしてここに?」裴照は黙って朱雀楼を見上げると、小楓はようやく事の重大さに気づいた。大乱闘を繰り広げて日頃の鬱憤も晴れた小楓、しかし朱雀楼から皇族と朝臣たちが見下ろしていた。憤慨した皇帝は早々に引き上げ、皇后も思わぬ失態に頭が痛い。「太子、太子妃と良娣を連れてすぐ清寧宮へ来なさい!」その頃、顧剣はようやく現場に到着したが、すでに裴照が現場を収拾したあとだった。つづく
2020.12.29
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东宫 Goodbye my princess第30話「思わぬ出会い」裴照(ハイショウ)は庭園で密かに永娘(エイジョウ)と接触、西州からの贈り物と一緒に西州王からの文を渡した。「今日、私と会ったことは忘れてくれ、誰にも知られてはならぬ」「永娘、心得ました、で太子殿下は…」「詮索無用だ」永娘はすぐ皇太子妃・曲小楓(キョクショウフウ)に贈り物と文を届けた。父からの文を読んだ小楓は気持ちが晴れたと笑顔を見せ、贈り物を握りしめて故郷へ想いを馳せる。一方、皇太子・李承鄞(リショウギン)は生母の敵である高于明(コウウメイ)と皇后をあざむくため、新たな一手に出た。その日は太師・屈綸(クツリン)を筆頭に少師・李士卿(リシケイ)、少傅・房世清(ボウセイセイ)、家令・陸庸(リクヨウ)、少詹事(ショウセンジ)・鐘義(ショウギ)、清道率(セイドウソツ)・劉山(リュウザン)、旅賁(リョホン)中郎将・馬炎(バエン)、そして太子率(タイシソツ)である裴照が勢揃い、東宮で皇太子教育が始まる。しかし李承鄞はわざと居眠りをして無能な皇太子を演じた。そんな皇太子を李少師が何度か諌めたが、李承鄞は煙たがって高于明が送り込んだ房少傅を重用する。相府を訪ねた房世清は自慢げに報告した。実は皇太子が皇帝の考試の前に自分に問題を予想させ、用意した答えを暗記して行ったという。運良く予想が全て的中、全問正解した皇太子は褒美を賜り上機嫌だったとか。高坤(コウコン)は李承鄞の賢さは見せかけだったと笑ったが、高于明はやはり皇太子の背後には知恵者がいると確信した。「正体を突き止めねば不安で仕方がない」そんなある日、裴照は密かに皇太子妃とアドゥを郊外へ連れ出した。やがて祠堂に案内された小楓たちは思いがけず亡き祖父の外套と宝物のように大事にしていた兜と対面する。「太子妃、これは西域から帰国後、殿下が安置しました、英雄・ティダールに敬意を払ったのです」「アウォン…小楓が来ました、アウォン…ゥッ…」小楓は祖父の死を受け入れ泣き崩れたが、本当は丹蚩で祖父と辛い別れがあったことを覚えていなかった。。゚(∩ω∩`)゚。ユパ様…実は小楓を祠堂に連れて行くよう頼んだのは李承鄞だった。「病が治るやもしれぬ、ただし私の指示だと明かすなよ?」裴照は回廊で九公主とアドゥが叩頭する様子を眺めながら、皇太子の辛い気持ちをおもんばかった。裴照は自分の独断で太子妃を連れて来たと嘘をついた。「豊朝(レイチョウ)と丹蚩は長年、争っていました、開戦は時間の問題でした、戦はこの世の常です 常に犠牲を伴います、どちらの国の兵士も生きて帰れぬと覚悟しています」豊朝の戦死者の多くは遺骨が戻っておらず、家族もまた悲しみをこらえていた。そこで裴照は皇太子妃にも恨みを水に流して欲しいと懇願する。しかし仮に許せたところで、小楓の行き場のないやるせなさは拭えなかった。よりによって祖父を殺して丹蚩を滅ぼしたのが自分の夫だとは…。「皮肉な運命ね…李承鄞の妻になるなんて」良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)の禁足が解けた。李承鄞は待ち構えていたように青鸞(セイラン)殿へ駆けつけると、そのせいで小楓は侍女たちの心ない噂を耳にする。|ω・)<太子妃が病を患って1ヶ月になるけど、殿下が来たのは一度きりよ〜(ヒソヒソ|ω・)<太子から嫌われているのね〜(ヒソヒソ永娘は憤慨してすぐ罰してくると言ったが、小楓は放っておくようなだめた。「太子には想い人がいた、仕方ないわ、私も太子も不本意なの」「太子妃は殿下を好きだから苦しんでいるのでは?!」「それは違うわ、西州に帰れぬ上に望まぬ人に嫁いだからよ でも吹っ切れたの、どうせ帰れない、ならば余計なことは考えず、都で楽しく暮らすわ 永娘?ダメかしら?そう考えると気が楽になるの…」小楓とアドゥは久しぶりに街へ出ることにした。すると裏門の陰で待ち構えていた顧剣が現れ、一緒に米羅(ミロ)酒楼へ向かう。小楓は久しぶりに酔っ払うと、ミロに急に証人になって欲しいと頼んだ。実はこの数日、親身になって面倒を見てくれた顧剣に心を開き、義兄妹の契りを結びたいという。「これからは実の兄のように接したいの、どう思う?」「…嫁ぎたいと言うのかと思ったよ〜人妻を誘惑した罪に問われずに済んだ(汗」ミロは小楓が嫁いだと知って驚いたが、なぜか小楓は話したがらない。そこで顧剣は血縁関係のない兄妹では誤解を招きやすいと話し、師弟関係はどうかと提案した。「師父というのはこの世で両親を除き、君にとって一番近い存在だ 君を傷つける奴らから守ってやろう、皆を敵に回しても、私は君の味方であり続ける」「…本当に?」小楓は半信半疑だったが、ミロとアドゥが目配せして促した。そこで小楓は顧剣に杯を献上して弟子入りの挨拶を済ませる。「師父?師父…私に師父ができたわ!ふふふっ!」顧剣は再び小楓から師父と呼ばれ、ようやくひとつ思い出を取り戻した気がした。皇帝と高于明はちょうど同じ頃、皇太子が柴牧(サイボク)という男と頻繁に接触していることを突き止めた。柴牧の正体を知る者はほとんどなく、″潜龍使(センリュウシ)″という組織の頭目だという。潜龍使とはいわゆる闇組織で、最近になって西域から都へ拠点を移していた。なぜ都へ潜入したか理由は分からなかったが、ただ柴牧は明遠(メイエン)と面識があったという。そんなある夜、柴牧は妻の命日を前に鳴玉坊(メイギョクボウ)の明月(メイゲツ)を訪ねた。「お前とともに墓を建てたい、これからも供養ができるようにな」「…母上の墓なら私が建てたわ、余計なことをしないで」「少し時間をくれないか?全てを終えたらお前をここから連れ出す」しかし明月は二度と会いたくないと追い返してしまう。柴牧は落胆して店を出た。するといきなり神武軍に囲まれてしまう。その様子を偶然、妓楼に通い詰めている高震(コウシン)が見ていた。柴牧はたった1人で応戦した。武功なら負けることはない柴牧だったが、高楼から弓兵が放った矢が肩を切り裂く。その時、酒楼にいた顧剣が駆けつけた。顧剣は兵士を退け、義父を連れて逃げ出したが、すぐに援軍が到着する。すると一帯をしらみつぶしに調べていた将軍・曽献(ソウケン)が鳴玉坊の裏庭で血痕を発見した。明月の居所にいきなり神武軍が乗り込んできた。裏庭から続く血痕をたどって行くと、開け放たれた窓枠に血のりがついている。その頃、顧剣と柴牧は屋根の上に隠れていた。すると明月が神武軍に連行されて行くのが見える。顧剣は出て行けばかえって明月に迷惑をかけると考え、賢い明月なら乗り切れると信じた。皇帝の前に目隠しをされた明月が引っ立てられた。そこで皇帝は都の長官だと嘘をつき、部下が賊を追っているため質問に答えるよう命じる。「そなたは鳴玉坊の稼ぎ頭だそうだな?毎日ひとりだけ相手をするのか?」「コクリ」「今夜の客は常連か?」「今夜は体調が悪く、誰も通していません」「本当か?…賊を追っていた部下がそなたの部屋で血痕を発見した、一体、誰の血だ?」「部屋で琵琶を弾いていたら2人の見知らぬ男が入ってきました 金錠(キンジョウ)10個を出し、脅してきたのです、何があっても琵琶を弾き続けろと… その男が賊だったのですね、お役人様に感謝します 部下の方が来なければ殺されていたかもしれません」明月は幼い頃から鳴玉坊で育ったと話し、賊とは関係ないと訴えた。また1人は頭巾をかぶり、1人は面をつけていたため、賊の容姿も見ていないという。「ただ1人は中年だと思われます、西域の口調でした」「西域?豊朝の者ではないのだな?」「そう思います」明月の真実を織り交ぜた証言は疑り深い皇帝を納得させた。その頃、高震は父から棒打ちの罰を受けていた。「妓楼通いだと?!親不孝者め!馬鹿者!」「でぃえ(爹)!知らなかったのです!なぜ神武軍が男たちを追うのかなんて~! 神武軍に連行されたのは明月でした!」皇帝は尋問を終えると、琵琶の名手と名高い明月に1曲、演奏して欲しいと頼んだ。そこで明月は″六幺(ロクヨウ)″を披露、すると皇帝はその姿にかつて寵愛していた妃の姿を重ねてしまう。李承鄞の生母・顧玉瑤(コギョクヨウ)もまた琵琶の名手だった。「はお、強弱がついた実に美しい音色だ、姑娘(グゥニャン)、素晴らしい演奏であった」皇帝は明月に褒美として金錠を渡すことにしたが、明月は拒否する。「″未だ己が知音に逢えず 人生 相知るを貴ぶ 何ぞ金と銭を用いん″… 明月、身分は低くとも金のために媚びたりしません またお聴きになりたければ鳴玉坊へお越しください」「うむ、いつか鳴玉坊へ行こう、また琵琶が聴きたい」こうして明月は無事に解放された。つづく
2020.12.27
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东宫 Goodbye my princess第29話「東宮の花嫁」天通24年の晩春、豊朝(レイチョウ)の皇太子・李承鄞(リショウギン)と西州の九公主・曲小楓(キョクショウフウ)の婚儀が盛大に執り行われた。小楓は自らの使命を果たすため、ついに皇太子妃となる。その頃、寿仁宮の裏手では何も知らずに小楓を迎えに来た顧剣が待っていた。李承鄞は太極殿の前で小楓を出迎えた。そして2人は長い石段を登り、皇帝や朝臣らに見守れながら拝礼の儀に臨む。しかし李承鄞の内に秘めた真心とは裏腹に、小楓は決して李承鄞と目を合わせようとしなかった。まさかかつて丹蚩(タンシ)の荒野で同じように李承鄞と拝礼し、夫婦の誓いを立てたとも知らず…。一方、待ちぼうけを食らわされた顧剣は、宮中から漏れ聞こえる様子で小楓が李承鄞に嫁いでしまったと気づいた。そしてちょうど同じ頃、東宮にもう1台の花嫁の輿が到着する。輿から降りて来たのは良娣(リョウテイ)に封じられた趙瑟瑟(チョウシツシツ)だった。侍女・錦児(キンジ)は寝宮となる青鸞(セイラン)殿にも祝いの灯籠があると喜んだが、瑟瑟は全て皇太子妃の光だとわきまえている。わざわざ今日を輿入れの日を選んだのは皇后だった。そのおかげで良娣に気を留める者などいなかったが、瑟瑟にとって大した問題ではない。「太子殿下のお心には私だけ…太子妃の座など重要ではないわ」李承鄞は床入りの儀に臨んだ。紅い絨毯の上を歩いて行くと、一番奥にある寝所で愛しい小楓が座って待っている。女官・永娘(エイジョウ)は皇太子が寝所に入ったところで、侍女たちを連れて出て行った。李承鄞は小楓の面紗(メンシャ)を取るため近付こうとしたが、小楓はその瞬間に短剣を抜いて暗に拒む。小楓が自分を受け入れてくれないと分かった李承鄞は無理強いすることもできず、そのまま黙って引き返した。李承鄞が承恩(ショウオン)殿を出ると、裴照(ハイショウ)が控えていた。「阿照…酒を飲む」「殿下、新婚初夜ですし、お控えになった方が…」「酔わねばこの長い夜をやり過ごせぬ…」一方、米羅(ミロ)酒楼に戻った顧剣は、夜空を仰ぎながら自分の選択を後悔していた。ミロは飲み過ぎだと止めたが、酒だと思っていた瓶の中身が水だと分かる。「どうせ今夜は酔えぬし、飲むだけ無駄だ…」小楓が李承鄞といれば、いずれ過去を思い出す。このまま黙って小楓が苦しむのを見たくはないが、かと言って自分が連れ去っても幸せにはできないだろう。顧剣は今になってようやく悟った。人生で選択できる機会は一度きり、選び損ねたら二度と元には戻れない。そしてひとたび道を誤れば、一生、誤った道を進み続けなければならなくなると…。ミロは何と声をかけて良いのか分からなかったが、生きてさえいれば何とかなると励ました。小楓に拒まれた李承鄞は酒をあおり、泥酔してから青鸞殿を訪ねた。結局、そのまま酔いつぶれて眠ってしまったが、瑟瑟はそれでも自分の元に来てくれたことが嬉しい。やはり皇太子の心にいるのは自分だけ、瑟瑟はそう信じて疑わなかった。その頃、小楓は複雑な思いを抱えたまま当てもなく東宮をさまよっていた。永娘やアドゥたちは初夜だとういうのに姿を消した皇太子妃を心配していたが、やがて身体がすっかり冷え切った小楓が戻って来る。遠くから見守っていた裴照は九公主の慰めになればと回廊で丹蚩の竹笛を吹き、小楓が寝息をたて始めた頃には引き上げた。翌朝、永娘とアドゥは皇太子妃を起こしに来た。しかしすでに小楓は浅い眠りから覚めている。「永娘…祝いの飾りは全部、片付けさせて… 赤い色を見ると丹蚩の血に思えるの、めでたくなんかない」一方、幸せな夜を迎えた瑟瑟だったが、目を覚ますとすでに皇太子の姿はなかった。錦児から寅の刻に出て行ったと聞いた瑟瑟は落胆し、今頃は皇太子と皇太子妃がご機嫌伺いに行った頃だと気づく。その頃、李承鄞と小楓は夫婦となって最初の朝を迎え、清寧(セイネイ)宮へ挨拶に来ていた。小楓は慣例通り義叔母たちに茶を献上していたが、そこで突然、倒れてしまう。驚いた皇后はすぐ太医を呼んだ。太医は皇太子妃の身体が寒気に侵されていると診断、恐らく長時間、寒さに凍えていたせいだという。しかし昨夜は新婚初夜で皇太子と一緒だったはず、皇后はどういうことか聞いた。李承鄞は小楓に累が及ばぬよう、昨夜は瑟瑟のところにいたので何も知らないとわざと開き直ってみせる。「どこで過ごそうと私の勝手でしょう?」これに皇后は激怒、瑟瑟が皇太子を惑わせたと言いがかりをつけ、罰として半月の禁足を命じた。李承鄞は承恩殿に戻った小楓を見舞った。アドゥは怒り心頭だったが、永娘は強引にアドゥを連れ出して2人きりにする。李承鄞は高熱を出している小楓が寒くないよう布団を直してやったが、その時、偶然、小楓が目を覚ました。驚いた小楓は李承鄞を突き飛ばすと、咄嗟に枕元に隠してあった短剣を抜いて振り回してしまう。李承鄞は手を斬られたが、その時、物音に驚いたアドゥたちが飛び込んできた。そこで李承鄞は小楓の短剣を取り上げ、咄嗟に袂に隠す。「仮病だと分かっていた、瑟瑟が罰せられて満足か?! 尚薬局(ショウヤクキョク)による太子妃の治療は許さぬ、太医に診せたらただでは置かぬぞ?!」李承鄞は手の痛みなどおくびにも出さず帰って行った。その時、アドゥも李承鄞が手をかばっていることに気づいたが、理由は分からない。実は李承鄞は東宮に高于明(コウウメイ)や皇后が送り込んだ間者がいると知っていた。禁足を命じられた瑟瑟だったが、皇后から目の敵にされていることは百も承知だった。しかし皇后に虐げられるほど皇太子の心が自分に傾くと分かっている。「殿下さえ私を想ってくださるなら十分よ…ふふ」一方、李承鄞は裴照から小楓の具合が悪く、安静が必要だと報告を受けた。禁足の刑となった瑟瑟をなだめるため小楓を怒って見せたが、このまま放っておくことはできない。「東宮の品は全て記録されている、そこでお前の家から薬を調達してくれぬか? そうだ、永娘は太奶奶の者で信用できる、薬は永娘に渡せ…誰にも知られるな この機会に東宮内をよく調べてくれ、高右相と皇后側の者がどれほどいるか」宮外に出た裴照は柴牧(サイボク)と接触した。「太子を傀儡として朝廷を掌握するのが高右相の狙いだと殿下はお考えです 東宮を見張る高側の目を欺き、油断させつつ密かに態勢を整えます」「太子に伝えてくれ、すでに顧剣が都周辺の洗龍使(センリュウシ)を集め、高家にも忍び込ませたと…」「東宮の衛兵も皆、入れ替えました、ただ内侍や侍女の一掃は難しいかと…」柴牧は確かにやり過ぎては怪しまれると言った。ただし太子少傅の房世清(ボウセイセイ)が高側のはずだと心配する。しかし裴照は李承鄞が一芝居、打つつもりらしいと教えた。「裴将軍、良く目を配ってくれ、太子の九公主への態度は以前と違うようだ 足元を固めたばかりで何かあってはまずい、異変があればすぐ私に知らせてくれ」柴牧は李承鄞の唯一の欠点である情のもろさを警戒していた。一方、永娘は裴照から受け取った薬を皇太子妃に飲ませていた。ようやく起き上がれるようになった小楓だったが、永娘が食事を勧めても一口も食べない。するとそんな小楓のために顧剣がこっそり差し入れを持ってやって来た。「羊肉?!…葡萄酒が飲みたいわ」「だと思って持って来た」小楓は喜んで喉を潤すと、父が文の返事をくれないと嘆いた。「いつ会いに来るのかな?」「…往復に3ヶ月はかかるし、もう少し待て」顧剣は何も知らずに両親を懐かしむ小楓に心を痛めた。そこで密かに李承鄞を訪ね、小楓へ文を渡すよう頼む。「先日の婚礼の際、西州の使節団は貢物を?いくつか小楓に見繕ってくれませんか?(ゴソゴソ…)この父王からの文を一緒に渡して欲しい」「なぜだ?」李承鄞は従兄がなぜそこまで小楓を気にかけるのか怪しむ。「小楓は母親が死んだことを知らず、文を書き続けています、宮中には配慮する者もいない 信じられるのは夫である殿下だけです、頼みます」顧剣は文を置いてすぐ姿を消した。つづく|ω・`)師匠の紅い衣が虚しい…そして婚礼の儀がまた涙を誘いますな〜丹蚩では幸せだったのに〜(꒦ິ⌑꒦ີ)
2020.12.26
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东宫 Goodbye my princess第28話「暴かれた真実」天通24年の晩春、皇帝は第五王子・李承鄞(リショウギン)を皇太子に立てた。立太子の儀で冠と玉印を授かった李承鄞は東宮の主(アルジ)となり、居を移すことになる。そして李士卿(リシケイ)・趙敬禹(チョウケイウ)・房世清(ボウセイセイ)の3名が東宮三師に任命された。また翊(ヨク)王府の都尉(トイ)は詹事(センジ)として東宮を主管し、裴照(ハイショウ)は太子率(タイシソツ)として東宮の護衛に当たることになる。他には事務方である太子司議郎(シギロウ)や給事中らが東宮内で皇太子に仕えることになった。※都尉…軍事を司る役職 ※詹事…家事を司る役職 ※太子率…東宮衛兵の長西州の九公主・曲小楓(キョクショウフウ)は李承鄞に嫁ぐことになった。その夜、攬月(ランゲツ)閣でぼんやりしていると、ふいに戸を叩く小石の音に気づく。誰かと思えば顧剣(コケン)が中庭に立っていた。「どうしたの?」「今日は君にとって大事な日だから…彼に嫁ぐのだろう?本当にいいのか?」小楓はため息を漏らして回廊の石段に座ると、顧剣が手を差し伸べた。「もし望まぬのなら、今夜、西州(セイシュウ)へ帰ろう」しかし小楓は決心がつかず、その手を取らなかった。顧剣は仕方なく手を引っ込め、小楓が残りたいなら付き合うという。肩を落として欖月閣を出た顧剣、すると宮道でアドゥが待っていた。アドゥは李承鄞同様、顧剣も忘れ去られた人に過ぎないと責めたが、顧剣は小楓を守りたいという。しかしアドゥは九公主が辛い過去を忘れて幸せに暮らせるならどこでもいいと訴え、自分が公主を守ると言って戻った。翌朝、李承鄞が皇太子として小楓に会いにやって来た。すると小楓が複雑なのは嫌いだと言って返した″孔明鎖(コウミンソウ)″を持っている。「泥酔して言ってたな、″家が恋しい、ここの人は皆、冷たい、全てが複雑で手に負えない″と…」「じゃあ、私を連れて帰ったのは裴将軍ではなく、あなただったの?」李承鄞は手際よくバラした孔明鎖を箱に戻し、小楓に差し出した。「今後、複雑なことは全て私が引き受ける…」「あなた…私を引き止めてるの?」「そうだ」小楓は永寧(エイネイ)から聞いた鴻鸕寺(コウロジ)に西州の使節団を訪ねた。門衛から符節(フセツ)がなければ入れないと追い返されるも、偶然、警備に来ていた裴照が現れ、案内してくれる。西州の使臣たちは初めて見る顔ばかりだったが、父も母も元気だと聞いて小楓は安心した。「あら?丹蚩(タンシ)の使臣は?ハーシは来ないの?」何も知らない小楓が無邪気に尋ねると、ラハモンは遠方なので遅れているかもしれないと言葉を濁す。しかし小楓はいつも行動を共にしていたはずだと訝しんだ。するとラハモンは口ごもり、小楓に怪しまれてしまう。「歯切れが悪いのね?…阿翁(アウォン)は元気なの?丹蚩に変わりはないのよね?」「公主…どうか聞かないでください、本当に知らないのです」居たたまれなくなったラハモンはそこで出て行ってしまう。李承鄞は皇后と大叔父・高于明(コウウメイ)を招き、これまでの恩に感謝した。「皇太子となるまで苦労をかけました」2人に深々と拝礼した李承鄞だったが、実は母から褒美が欲しいという。皇后は趙瑟瑟(チョウシツシツ)の件だと察し、皇太子妃は西州の九公主で決まっていると釘を刺した。しかし李承鄞はひざまずき、瑟瑟との婚姻を認めて欲しいと嘆願する。皇后は首を縦に振らなかったが、その時、高于明が皇太子を立たせて妙案を授けた。「ここは一歩退くのが得策では?どちらも娶るのです」高于明は婚礼さえ済めば瑟瑟を寵愛しても誰も文句は言わないと入れ知恵した。すると皇后も仕方なく側妃としてなら瑟瑟を娶ることを許してくれる。李承鄞は母に感謝して拝礼したが、まさか頭を下げたその裏で息子がほくそ笑んでいるとは知る由もなかった。裴照は念のためラハモンに決して余計なことを言わないよう口止めしておいた。( ー̀ωー́ )<そなたは賢く口が堅い…くまモン(๑≧ꇴ≦)<ラハモンだよっ一方、客舎を出ようとしていた小楓は偶然、荷物を運び出している兵士たちの話を耳にした。「全て鎮北侯(チンホクコウ)が丹蚩から運ばせたものだ、今日中に侯府へ届けねばお叱りを受けるぞ」丹蚩のことが気になる小楓は荷物の跡をつけることにした。やがて鎮北侯府に到着、小楓は荷物を迎えた男に鎮北侯に会わせて欲しいと頼む。しかし男は鎮北侯なら丹蚩に駐屯中だと教えた。「あり得ないわ!アウォンが豊朝(レイチョウ)軍を丹蚩に駐屯させるはずない!」「九公主?」その時、屋敷から偶然、趙瑟瑟が侍女を連れて現れた。鎮北侯府は趙瑟瑟の家だった。聞けば鎮北侯は瑟瑟の父親、そこで小楓はなぜ丹蚩に駐屯しているのか聞いてみる。「丹蚩が滅びたゆえ、勅命により父が治めることに… 鎮北侯はかつての丹蚩王に当たり、軍を率いて領地を守ります」「何ですって…丹蚩が滅んだ?」「公主、ご存知ないのですか? 半年前、太子殿下と李承鄴(リショウギョウ)が攻め入り、丹蚩が豊朝の領地となったこと…」「丹蚩王は…?」「丹蚩王?…戦死したのでは?」小楓はあまりの衝撃で言葉を失い、一目散に帰って行った。すると侍女の錦児(キンジ)が宮中では九公主に丹蚩のことを話すのは厳禁だと教える。何でも九公主の母親が丹蚩の公主だったとか。瑟瑟は和親のために来た西州の公主がなぜ丹蚩の滅亡を知らされていないのか腑に落ちない。しかし自分たちは宮人でないため、罰を受けることはないと気にしなかった。宮中に戻った小楓は東宮へ乗り込んだ。そして怒りに任せ、政務中の李承鄞に燭台ごと放り投げてしまう。驚いた李承鄞は火の粉を払い、慌ててロウソクの炎を消した。「何をする?!」「豊朝が丹蚩を滅ぼしたって本当?」李承鄞は皆がひた隠しにしていた事実を小楓が知ってしまったことに愕然とした。しかしもはや取り繕うこともできない。「そうだ」「あなたが軍を率いたの?…アウォンは死んだのね?…あなたが殺した」小楓は祖父の敵を討とうと李承鄞に殴りかかったが、両腕をつかまれてしまう。「シァォフォン!」「丹蚩に何の恨みが?アウォンが何をしたと言うの?!」「恨みなどない!ティダールは豊朝の宿敵、丹蚩の王だった、国同士の戦いに私情は挟めぬ!」「知っているのよ!あなたは丹蚩を討ち、手柄を立てたかった… 李承鄴を蹴落とし、太子になるためにね!卑怯者っ!」「私は戦場で使命を果たしただけだ!」「すぐ西州へ戻り、阿爹に破談にしてもらうっ!敵に嫁ぐものですか!」「シァォフォン!聞くんだ!破談を許すくらいならわざわざ君を遠い豊朝へ送ると思うか?! 西州王が丹蚩の滅亡を知らないとでも?」「…放っておいて!どちらにせよあなたには嫁がない!」すると李承鄞は暴れる小楓を長椅子に押し倒し、西州が和親に応じたのは豊朝の庇護を得るためだと教えた。今も西州が安寧を保っていられるのは豊朝の後ろ盾があるからに他ならない。これは単に自分たちの婚姻ではなく、西州と豊朝の縁組みなのだ。「よく考えるんだ…」李承鄞は呆然となった小楓の涙をそっと拭った。攬月閣へ戻った小楓はアドゥを問いただした。「知ってたの?丹蚩が滅ぼされたことを…知ってたのね!」まさか父もアドゥも承知の上で自分を敵に嫁がせるとは…。どうりで父から返信がないはずだ。「和親に出した時から私は娘ではなくなった…豊朝への貢ぎ物に過ぎないのよ!」そして何より信頼していたアドゥの裏切りに小楓は耐えられなかった。「なぜ騙したの?…敵に嫁がせて一生、苦しめる気だったと?!…もう行って!顔も見たくない!」するとアドゥは小楓と離れるくらいなら死ぬと、短剣を首に当てた。驚いた小楓は短剣を取り上げて投げ捨てると、アドゥを抱きしめて号泣する。「アドゥ、ごめんなさい…私が悪かった、許して」小楓は丹蚩が滅びて一番辛いのはアドゥだと気がつき、疑ったことを詫びた。「私が道連れにしたせいであなたも家に帰れない…しかも口が利けなくなった…ゥッ… 私よりもっと苦しんだはずなのに…ごめんね、アドゥ、どうか許して…」2人は抱き合い、ひとしきり泣いていた。しかしそんな2人の話をちょうど回廊にいた女官・永娘(エイジョウ)が聞いてしまう。「李承鄞には嫁ぎたくない!敵とは一緒になれないわ!」李承鄞は小楓がなぜ瑟瑟から丹蚩の件を聞くに至ったのか知った。裴照の話では恐らくどこかで丹蚩王の噂を聞き、鎮北侯府へ確かめに行ったのではないかという。思えば誰も瑟瑟には口止めしていなかった。「結婚を控えているのに、小楓に真実を知られてしまった…どうすればいい?」一方、アドゥは顧剣を呼び出し、小楓が丹蚩滅亡を知ってしまったと伝えた。「九公主は決して敵に嫁がないと言ってる、私は公主の信頼を裏切り一生、苦しめるところだった」しかし今の西州にとって和親だけが命綱、顧剣は軽々しく破談にできないという。アドゥは小楓に生き地獄を味わわせても構わないのかと食い下がり、小楓を逃して欲しいと頼んだ。「顧剣、最後にもう一度だけ聞く…本当に公主があの男に嫁いでもいいの?」その夜、アドゥは小楓にこっそり顧剣からの密書を渡した。…婚儀当日、迎えに行く、顧剣…アドゥはすぐ密書を燃やしたが、永娘がその様子を見逃さなかった。そこで永娘は急いで太皇太后を訪ね、助言を求める。すると太皇太后は決して九公主から目を離すなと命じ、永娘を帰した。婚儀当日、顧剣は紅い衣で宮中へ急いだ。一方、逃げ出す準備が整った小楓とアドゥは、侍女たちの目が離れた一瞬の隙を見て窓から脱出する。しかし運悪く太皇太后が現れた。万事休すとなった小楓は力なくひざまずき、見逃して欲しいと涙ながらに訴える。「太奶奶(タイナイナイ)…李承鄞には嫁げません!…憎いのです…あの人が憎い!」すると太皇太后は小楓を連れて宗廟へ向かった。宗廟には多くの位牌が並んでいた。すると太皇太后はある位牌の前に止まり、西州に嫁いだ明遠(メイエン)が優しかったかと聞く。小楓は自分を実の娘のように可愛がってくれたと答えた。実は目の前にある位牌は国のために戦った明遠の大祖父・李仁牧(リジンボク)のものだという。「明遠の大祖父を殺めたのは他でもない、あなたの大祖父よ」太皇太后は明遠こそ自分が一番、可愛がっていた孫娘で、当時はちょうど小楓と同じくらいの年頃だったという。「あの子は父皇に和親のため遠く西州へ嫁がされたの…」しかし明遠は恨みを手放すことで、もっと大事なものを得ていた。それは国の大義だ。「あなたは己のことしか頭にない、自らの使命を忘れ、父王の期待を裏切るつもり? しかも明遠公主の西州での苦労が無駄になる、あの子の善意や努力も台なしに…」宗廟では多くのろうそくが常に火を灯し、英雄たちを供養していた。小楓はろうそくがこうして長明灯(チョウメイトウ)のように永遠に燃え続けるも世の中の安寧のためだと気づく。「辛いのも分かる、でも太子を恨まないでやって、恨むなら豊朝の皇帝を… 皇帝が太子を丹蚩に送った、西州と丹蚩の責めはこの老婆が引き受ける なぜなら私は皇上の祖母、太子の太奶奶、豊朝の太皇太后だからよ」「太奶奶…でも家が恋しい、家に帰りたいのです…」太皇太后は悲しみに暮れる小楓を抱きしめ、ここが小楓の家だと言い聞かせた。その頃、顧剣は小楓が現れるのを今か今かと待っていた。今度こそ小楓を連れて逃げるために…。つづく。゚(∩ω∩`)゚。オイオイオイ…瑟瑟、イラつくわ〜って、そう言えば二兄が大兄を暗殺したから丹蚩は濡れ衣って大事な情報はどうなるの〜
2020.12.25
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东宫 Goodbye my princess第27話「元宵節の夜」皇后から脅された魏修儀(ギシュウギ)は息子の命を守るため、皇太子の座を諦めさせることにした。納得できない栄(エイ)王・李承玟(リショウブン)だったが、母から皇后と高家には敵わないと泣きつかれる。「今は太子選びの重要な時期よ、皇后も下手に動けない…今こそ逃げ出す絶好の機会なの 陛下にお願いして領地を頂きなさい!2人で静かに都を離れましょう? 母の言うことを聞いてちょうだい!」こうして第三皇子・李承玟は皇太子選びから脱落、蜀(ショク)の地を治めることになった。西州の九公主・曲小楓(キョクショウフウ)は次の皇太子より、趙瑟瑟(チョウシツシツ)の首飾りが気になっていた。その日、小楓はアドゥと宮中を抜け出し、ちょうど市中で買い物している瑟瑟を見つけると、後を付け回す。しかし運悪く瑟瑟と待ち合わせしていた翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)に見つかった。「九公主?私に会いたくて瑟瑟の尾行を?」「違うに決まってるでしょう?」すると2人の言い争いに気づいた瑟瑟がやって来た。どうしても首飾りを確認したい小楓、そこで咄嗟に瑟瑟に一緒に服を選んで欲しいと頼む。「構いませんよ、公主」「よかった!じゃあ…」「男は邪魔だな、私は帰るよ」李承鄞は小楓と瑟瑟の背中を見送りながら、目を細めていた。唯品閣には真紅の美しい衣・百花飛蝶(ヒャッカヒチョウ)が飾られていた。小楓は色白の瑟瑟に似合うと勧めたが、瑟瑟はふと翊王の言葉を思い出す。…スゥァスゥァは桃色の服がよく似合うな、赤い服よりも映える…なぜか赤は胸が苦しくなるんだそこで瑟瑟は赤が苦手だと断ったが、小楓は試着だけでもするよう強引に勧めた。小楓は瑟瑟と2人で試着室に入り、着替えを手伝うと申し出て首飾りを見ようとした。しかし無理やり脱がされそうになった瑟瑟が驚き、試着をやめて飛び出してしまう。小楓は思わず狼の牙を見せて欲しいと頼んだ。「なぜそんなに気になさるのです?」「だってそれは阿翁(アウォン)の故郷で神聖な物とされているの…お願い、見せて」すると瑟瑟は狼の牙の首飾りなど持っていないと断り、慌てて帰ってしまう。昼寝をしていた小楓は夢の中で狼の牙の首飾りをしていた。その首飾りに手を伸ばしているのは誰なのか?丹蚩(タンシ)の温泉で一緒にいるのは誰?″私を裏切ったら忘川(ボウセン)の水を飲んであなたを忘れるから″「誰を忘れるの?あなたは誰?」小楓の寝言を聞いた第七公主・永寧(エイネイ)は思わず耳元でささやいた。「誰のことを忘れたの?」「え?うわーっ!」驚いた小楓が飛び起きると、永寧と第八公主・珞熙(ラクキ)がくすくす笑っている。何事かと思えば今日は元宵節(ゲンショウセツ)、太皇太后のお許しが出て灯籠祭りへ行けることになった。「翊王殿下と裴照(ハイショウ)大将軍が連れて行ってくれるの」実は永寧と珞熙は五兄が皇太子になると見越し、李承鄞と親しくなれるよう小楓を誘ったという。一方、顧剣(コケン)は父と決別した明月(メイゲツ)を灯籠祭りに誘っていた。「何があっても私たちは朋友(ホウユウ)だろう?暗い顔の君を見たくない、今日は楽しもう」永寧は五兄と小楓を2人きりにするため、裴将軍に護衛を頼んで珞熙と唯品閣に向かった。李承鄞と小楓は照れ臭そうに2人で歩き始めたが、不思議とすぐに打ち解ける。「それは瑟瑟と出かけた時に買った服かい?」「うん…どうかしら?」「…以前は赤が苦手だったが、君には似合う」すると小楓は露店の飴細工に目を留めた。「食べるかい?」「うん!」しかし小楓は持ち合わせがなく、李承鄞も銭袋を忘れたと気づく。2人は仕方なく飴細工の露店を通り過ぎ、灯籠祭りを楽しんだ。至る所で見かける大道芸に手を叩いて喜ぶ小楓、その時、李承鄞は妙策を思いつく。その頃、唯品閣では珞熙が心配していた。「焦り過ぎたかしら?まだ太子は決まっていないのに…」「大丈夫よ、五哥哥と小楓はお似合いだわ」永寧は頬紅が小楓の故郷である西州に咲く紅花を使っていると知り、小楓のために買った。李承鄞は露店で剣を借り、剣舞を披露して飴代を稼ぐことにした。見事な剣舞にあっという間に人だかりができると、小楓が観客たちから銅銭を集める。「…これで飴が買えるわ!」剣舞を終えた李承鄞は剣を返し、稼いだ中から店主に銭を渡した。李承鄞は無意識に腕を伸ばして小楓の手を取り、歩き始めた。2人はまるでずっと以前からこうして歩いていたように手を繋ぎ、やがて飴細工の露店に到着する。「老板、飴を2つちょうだい!…ねえ、離して」李承鄞は小楓から代金を払うと言われ、ハッとして手を離した。「近くで待っているよ…」すると偶然、瑟瑟と出くわしてしまう。小楓は飴を買ったが、通行人とぶつかって落とした。仕方なく割れてしまった飴細工を拾って李承鄞を探したが、そこで瑟瑟と楽しそうに立ち話をしている様子を目撃する。小楓は2人の親しげな姿に呆然となり、身体が勝手に後ろを向いて人混みに消えて行った。小楓が灯籠を眺めながら歩いていると、顧剣と明月に会った。「小楓?なぜ1人で?」「それが…」しかし運良く永寧たちが小楓を見つけてくれる。「シァォフォン!」「ぁ…友だちと一緒に来てるの、じゃあ行くわね!」顧剣は小楓の困惑した表情に気づいたが、明月もそんな顧剣の様子を見て小楓への気持ちを察するのだった。一方、李承鄞は瑟瑟と一緒に小楓を探していた。瑟瑟は珍しく李承鄞が動揺している姿に不安を感じ、人が減ればいずれ自然と見つかるとなだめる。「殿下、悲願である太子の座に間もなく就くのですね、そして九公主が太子妃になられる… 殿下の夢が叶い嬉しく思います、お立場上、身勝手な真似は許されないでしょう 殿下には何も求めません、ただどうか私のことを忘れないでください」「瑟瑟…」「五哥!」その時、水路の向こうから永寧が声が聞こえた。李承鄞は小楓の姿を見つけて思わず顔がほころんだが、小楓は寂しそうにうつむいてしまう。李承鄞は小楓たちと合流し、帰路についた。瑟瑟と先頭を歩きながら、後ろにいる小楓が気になる李承鄞、すると永寧が珞熙の背中を押して前を歩いていた裴照の隣に行かせる。すると永寧は元気がない小楓に瑟瑟など気にするなと励ました。しかし李承鄞が娶りたいのは瑟瑟、小楓は何だか申し訳ないという。「太子妃~自信を持って、もう鴻鸕寺(コウロジ)の客舎は各国の使臣で埋まっているわ あなたを祝いに来てるのよ?趙瑟瑟のためじゃない」小楓はならば西州の使臣にも会えると気づき、日を改めて訪ねようと決めた。その夜、顧剣が攬月(ランゲツ)閣に現れた。「さっきは動揺していたな?…誤解するな、明月は妹も同然だ」「誤解なんてしてないわ…動揺は別の理由よ、それに親しい2人が恋仲になれば嬉しい」顧剣は失笑し、以前の小楓なら怒ったと教えた。かつて西州でディーモと一緒にいた顧剣を見た小楓は怒って3日間も口をきいてくれなかったという。「あの時、実は君への贈り物を選んでもらっていたんだ」顧剣は今夜も小楓を怒らせてしまったと心配して来てみたが、小楓は何も覚えていなかった。皇太子と九公主の婚儀が10日後に迫る中、その座を賭けた李承鄞と第四皇子の允(イン)王・李承沅(リショウゲン)の戦いも佳境に入った。柴牧(サイボク)は焦れば焦るほど馬脚が露われやすくなることから、第四皇子にこちらから仕掛けるよう助言する。そこで李承鄞は允王府を訪ね、兄弟の思い出の品である手作りの弓を手土産にした。「四哥、射術を学ぶ前に弓の作り方を学びましたね? 背は大哥が、弓腹(ユハラ)は二哥が磨き、弓弦(ユズル)を選んだのは三哥でした… 幼い四哥はこの弓を1人で使い、傷を負われた…結局、私が拝領し、大切に保管していたのです」李承鄞は弓を愛おしそうに眺めながら、長兄が亡くなり、二兄は死を賜り、三兄も蜀へ行ってしまったと話した。そして弓を李承沅に贈り、暗にこのままでは四兄が傷を負うと牽制する。脅しだと分かった李承沅は結局、体調が優れないので江南で静養したいと父に嘆願、後継者争いから脱落した。皇帝は李承鄞を茶に誘った。「チョンイン、茶の中に何が入っているか当ててみよ」「ぐびっ…仏桑花(ブッソウゲ)?」「そうだ、身体を冷やし、火照りを取る作用がある」皇帝は頭に血が上ったらこの茶を入れて飲むと教えた。すると李承鄞は温める方が効果的な場合もあると告げる。驚いた皇帝は、もし奸臣がいるとして何か企んでいたらどうするかと聞いた。「薬を用いて取り除くべきではないか?まさか手を打たぬと?」「父皇、奸臣のせいで国は弱体化しています、焦ってはなりません 奸臣を刺激せず力を削ぐことが肝要かと…薬の使い過ぎは危険です」皇帝は李承鄞の答えに感心し、心を決めた。李承鄞は立太子の儀に臨んだ。そして皇太子に封じられ、ついに東宮の主となる。つづく(  ̄꒳ ̄)チョンイン、小楓と一緒にいると良い人なんだよね〜って騙されてる?!w
2020.12.22
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东宫 Goodbye my princess第26話「東宮の主」翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)は趙瑟瑟(チョウシツシツ)との待ち合わせ場所に急いでいた。すると偶然、夜の街で裴照(ハイショウ)と出くわす。「どうした?具合でも悪いのか?」「何でもありません」裴照は酒を飲んだことを隠し、実はまた九公主が宮中を抜け出し、女官・永娘(エイジョウ)に頼まれて探していると報告した。明朝までに戻らず、皇后に知られたら大変なことになる。「またか…本当に困った奴だ」時恩(ジオン)は約束に遅れてしまうと心配したが、翊王は九公主の捜索を優先した。やがて李承鄞は酔いつぶれた小楓を背負って歩いている顧剣(コケン)を見つけた。「表哥?!…公主が世話になった、私が送り届けよう」顧剣は仕方なく小楓を降ろそうとしたが、小楓が離れようとしない。「嫌っ!宮殿には帰らない…もっと飲みたいの~ムニャムニャ…」「表哥?公主と知り合いなのか?」「…西州の知人です」「将来の皇太子妃だし、今後は自重してくれ、あとは私が…」李承鄞は顧剣の首にしがみつく小楓の腕を無理やり引き離し、抱きかかえて連れて行ってしまう。その時、顧剣の脳裏にふとあの時の光景が蘇った。小楓を背負って軍営から連れ去ろうとした顧剣、しかし李承鄞が立ちはだかる…『どこへ行く?』『遠くへ』『連れ去ってはならぬ!』『殿下の望みは叶い、小楓もここを出たいと言っている』『そうはさせぬ!』あの時、李承鄞は剣に手をかけたが、結局、顧剣と小楓を見逃した…しかし今の李承鄞にその記憶はない。李承鄞は小楓を攬月(ランゲツ)閣の寝台まで運んだ。「リーチョンイン!お水ちょうだい!」仕方なく李承鄞は小楓を抱き起こして水を飲ませてやる。「女子なのだ、外で酔い潰れたりするな」「家が恋しいんだもん!」「家はここだろう?」「ここは私の家じゃない!ゥッ…私の家は西州よ…ここでは私はただのお飾り 何ひとつ自由にならない、毎日きれいに着飾って…こんな地位、誰が立とうと同じじゃない! 私を心から気にかける人もいない、心配してくれる人なんて誰もいないもん!うわ~ん!」小楓は思わず本音を打ち明け、泣きじゃくった。「私が…君のそばにいて守ってやる」李承鄞は小楓の頰に触れようと手を伸ばしたが、小楓の言葉で急に冷静になった。「…あなたは李承鄞でしょ?趙瑟瑟のものよ」すると小楓は寝台に倒れ込んで眠ってしまう。翌朝、目が覚めた小楓は昨夜、どうやって帰って来たのか記憶がなかった。永娘の話では裴照が泥酔している公主を御膳房で見つけ、おぶって戻ったという。「他には誰もいなかった?」「いませんでしたが何か?」「いいの、もう行って」するとアドゥが自分を置いて1人で出かけては駄目だと訴えた。一方、時恩は翊王に命じられ、西州から持ち帰った荷物を出した。翊王が九公主の郷愁の慰めになるような物を探したいという。「九公主?」時恩は最近の翊王が九公主を心にかけていることに驚きながら、仕事に戻った。すると李承鄞は荷物の中から狼の牙がついた首飾りを見つける。しかし牙を見た瞬間、なぜか巨大な狼と戦っている身に覚えのない記憶が頭をよぎった。驚いた李承鄞は思わず首飾りを放り投げると、そこへ偶然、瑟瑟がやって来る。「殿下?昨夜の約束を覚えていますか?お越しにならなかったので病かと心配になって…」「ぁ…昨日は母后に呼ばれて…すまなかった、瑟瑟」その時、瑟瑟は床に落ちている首飾りを見つけた。李承鄞は返してもらおうとしたが、なぜか瑟瑟はこれが欲しいと譲らない。仕方なく李承鄞は瑟瑟の願いを聞き入れ、首にかけてやった。まさかこの首飾りが小楓との大切な思い出の品だとも知らず…。その夜、米羅(ミロ)酒楼に突然、柴牧(サイボク)が訪ねて来た。柴牧は顧剣に九公主とあまり近づかないよう釘を刺し、うっかり口を滑らせでもしたら取り返しがつかないという。しかし運悪く店に明月(メイゲツ)が現れた。顧剣は慌てて明月のもとへ馳けつけると、明月は顧剣の酒代を払いに来たと笑う。「もうすぐ閉店だし、また明日にしよう」「せっかく来たんだし、一杯つきあうわ」明月は顧剣が止めるのも聞かず店に入ると、見覚えのある男の姿に目を留めた。もはや逃げ場のない柴牧は覚悟を決めて立ち上がり、生き別れていた娘と対面を果たす。「…嫣児(エンジ)」「ディエ(爹)!」明月は父が生きていたと知り、思わず抱きついて再会を喜んだ。一方、皇宮では未だ東宮の主が決まらずにいた。そんなある日、第三皇子・栄(エイ)王・李承玟(リショウブン)が皇帝に謁見、太学の講義を聞いて書いた策論を上奏する。すると表紙に″外戚による朝政干渉論″と表題があった。「外戚の政治介入は古来より難題、解決するには外戚の起用を絶つべきです」栄王はこの国の安泰は父皇の手腕によるものだとしながら、東宮の座が空いた今、外臣たちはこぞって私利を図り、大いなる憂患となっているという。そこで栄王は決して私欲に走らず、父皇に尽くすと誓った。しかし皇帝は外戚とは帝王を支える助力者に過ぎず、天下の力をまとめ上げるのが肝要だと教え、均衡なくしてこの座は維持できないと戒める。「優れた老師を何人かつけてやろう、物事を大局的に捉えられるようにな お前はまだまだ多くを学ばねばならぬ」皇后は栄王が昨日、外戚の朝政干渉について皇帝の前で論じたと聞いた。皇太子の座を狙う栄王が暗に自分と高于明(コウウメイ)を批判したつもりだろう。皇后は母親の入れ知恵だと察し、女官・容霜(ヨウソウ)にある指示を出した。明月は甲斐甲斐しく父の世話を焼き、そんな娘の姿に柴牧は顔を綻ばせた。しかし明月から顧剣と再会したのはいつかと聞かれ、正直に20年前だと答えてしまう。「20年前?!」「…あの時、捕らわれの身だった私は高于明が顧家を襲撃したと知った 私は部下に救出され顧家に駆けつけたが、生きていたのは顧剣だけだった」明月は脱出した父が自分たち母娘を見捨てたと知り、愕然となった。あの日、一族は生き埋めにされ、母は娘を守りながら息も絶え絶えにこう言ったという。…ヤンァー、怖くない、怖くない、ディエはきっと助けに来てくれる…「あの時、どこにいたの?!」明月は涙ながらに父を責めたが、そこで諦めて帰ることにした。「柴先生、父・陳征(チンセイ)は20年前に死にました、今まで通り1人で生きていきます 家族なんていらない…あなたのように」小楓の宮中での気晴らしは第七公主・永寧(エイネイ)と第八公主・珞熙(ラクキ)とのたわいないおしゃべりだった。今日は正月の7日、永寧は毎年、宴を開いて群臣を労う日だと教え、詩を詠んだり、切り絵もするという。実は珞熙は切り絵が得意で、毎年、切り絵で1等を取っていた。すると永寧が切り絵の腕を磨いているのはあの人のためかとからかう。3人はじゃれあいながら宮道へ出ると、偶然、裴照とぶつかった。「裴将軍、先日は酔った私を送ってくれたそうね?ありがとう! あ…私の代わりに熙公主がお礼をするわ」小楓は珞熙の手巾を奪い、勝手に裴照に渡した。小楓はミロからもらった新酒を梅の木の下に埋めることにした。すると庭園で李承鄞がなぜか橋の上に立ちはだかっている。小楓は無視して通り過ぎようとしたが、いきなり李承鄞に呼び止められた。「ちょっと待った…それは何だ?」「その~このお酒を梅の木の下に埋めたくて…(ダジャレじゃないです)」「九公主、この間、御膳房で酔いつぶれたばかりなのにまた酒を?」「はあ?知ってたの?!」「ったく、宮廷中に醜態をさらしたな」「あなたも見たの?」「いいや」「ならなぜ醜態だと?」「私なら恥ずかしいと思ってな」「…変ね、あの夜、あなたの顔を見たような?」「まさか私の夢でも見たのか?」驚いた小楓は恥ずかしくなり、慌てて駆け出した。「夢でよかったわ~でもなぜあの人の夢なんか見たのかしら?」小楓は庭園の梅の木の下に酒甕を埋めた。その帰り道、偶然、瑟瑟の姿を見つける。「趙姑娘!」瑟瑟は首飾りをまじまじと見つめていたが、慌てて胸元に隠した。「ねえ、その首飾りをちょっと見せてもらえない?」「申し訳ありません、大切なものなので」「取ったりしないわ」「本当に困ります、私はこれで…」小楓は夜になっても瑟瑟が持っていた首飾りのことが頭から離れなかった。そこでアドゥに瑟瑟が狼の牙を持っていたと話し、なぜか自分の物に思えたという。「以前、知り合いだったとか?…まさかね?」アドゥは手振りで勘違いだろうと伝えたが、小楓は確かに遠くから見ただけだと言った。「一度、会って聞いてみようっと」皇后は栄王の母である魏修儀(ギシュウギ)を呼び出した。そこで容霜から冊子を受け取り、魏修儀の弱みを暴露する。実は知府だった魏修儀の父は破格の抜擢で吏部侍郎になっていた。その上、官位の売買によって私腹を増やし、瞬く間に都で豪邸を手に入れている。しかも魏修儀の弟は地元で悪名高く、村娘を殺しても何の罪にも問われていなかった。そればかりかこの1年で校尉になっている。「チッチッチッチッ、何のための国法だか分からないわね~」さらに都で酒楼を営む魏修儀の従兄は賃料も払わず、周囲の店を潰して民に不当な売買を強要、しかし皇帝の外戚ゆえ官吏が動けずにいた。焦った魏修儀は実家を出た身なので何も知らなかったと訴えたが、皇后は栄王の関与も指摘する。「栄王自ら地方官に融通を利かせたこともあるようね? そなたの実家の巨財も地方官への賄賂として用いていたとか まさかそれを知らなかったとでも?皇上の耳に入ったらどうなるかしらねえ?」追い詰められた魏修儀は廃太子の二の舞を恐れ、叩頭して命乞いした。つづく(  ̄꒳ ̄)柴先生、同情しませんよ
2020.12.20
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东宫 Goodbye my princess第25話「皇子の宿命」ついに挙兵した皇太子・李承鄴(リショウギョウ)、しかし父の権力を前に力尽きようとしていた。翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)は自棄になって暴れる二兄の哀れな姿に胸が痛い。すると傷だらけになった李承鄴が石段をはい上がり、李承鄞のもとまでやって来た。「ニ哥(アーグァ)、おやめください…これは謀反です」「謀反だと?ふっ、これは宿命だ、生き残るためのな…」そう言って李承鄴はその場で倒れた。…雌雄空中鳴(雌雄、空中に鳴き)…声尽呼不帰(声尽きるまで呼べど帰らず)…却入空巣裏(しりぞきて空巣のうちに入り)…啁啾終夜悲(啁啾して終夜、悲しむ)※白居易の燕詩より(雌雄の親鳥が空中で鳴いて子を呼んだが帰ってこない、仕方なく子のいなくなった巣に戻って夜通し悲しむ)親の心子知らず皇太子の謀反は失敗、皇帝は大理寺に捕らわれた李承鄴を訪ねた。身勝手な息子の行動に呆れる皇帝だったが、李承鄴は父も通ってきた道だと反発する。「兄弟が手を取り合うなど幻想でしかない…何もかもあなたのせいだ!」李承鄴はこれまでの鬱憤をぶちまけた。「大哥のような愚人を太子にしたから、私には闘う道しか残されていなかった! 太子になっても五弟と九公主に周囲を嗅ぎ回られるとは、これほどの屈辱があるか!」すると皇帝は、先太子の死に関与していたと知っていながら李承鄴を皇太子にしたと暴露した。「なぜだか分かるか?お前に目をかけていたからだ! 特別な存在だった、私は承稷(ショウショク)に続いてお前まで失うのか…」「五弟は私よりもずっと腹黒い!奴には高家が付いている!信用できるはずがない! 気をつけろ、奴が太子の座に就けば天下は高家の意のままになる!」「…残念でならぬ、皇帝の座を継ぐのはお前のはずだった、私は期待していたのだぞ?」皇太子のために目をつぶってきた皇帝は全てを台無しにした李承鄴に憤慨し、帰ってしまう。「父皇!」初めて父皇の本音を知った李承鄴は愕然となったが、もはや取り返しはつかなかった。忠(チュウ)王は息子・李釅(リゲン)を失いながらも一族を守るため、寿仁宮で太皇太后に嘆願した。「お願いです!お助けを!我が一族をお救いください!どうか陛下にお口添え願います!」一方、皇帝は大理寺からの調査書を受け取っていた。先太子暗殺と銅の横流し、九公主の毒殺未遂について詮議が終わり、諸悪の根源は皇太子と李釅だと判明する。すると奚清卓(ケイセイタク)が皇太子は李釅にそそのかされたのだとかばった。「李釅はすでに死亡し、一族は処刑されます」その時、太皇太后が罪人となって拘束具をはめられた忠王を連れてやって来る。太皇太后は皇帝が裁く前に、忠王の特権の剥奪と家財の没収、また忠王一族は今後3代に渡り任官を禁じてはどうかと提案した。外でもない太皇太后からの頼み、皇帝は祖母の顔を立て、処分に手心を加えると約束する。しかし自分の命を狙った李承鄴を見逃すわけにいかず、我が豊朝(レイチョウ)は薄汚い野心を持つ皇太子を容赦しないと断罪した。「…親の情けだ、自害を許す、毒酒を与える、遺体は宗廟の外に葬るのだ」李釅が犯した罪は九族皆殺しに値した。一見、太皇太后の提案は厳罰に思えるが、官位と俸禄を奪っただけで死罪になった者はいない。太皇太后は皇帝が極刑を下す前に自ら忠王に厳しい罰を与え、皇帝を引き下がらせたのだ。兄から話を聞いた高震(コウシン)は、ふと父が自分を罰するのも同じ理由だと気づく。しかし高于明(コウウメイ)は皇帝の真意が分からなかった。「なぜ忠王の命を救い、実の息子を助けてやらぬのだ?」太皇太后が体調を崩し、皇帝は寿仁宮に見舞いにやってきた。すると太皇太后は皇帝の身内への冷酷な仕打ちに深く傷つき、沈んでいる。皇帝は息子が父親の命を狙うなど以ての外、厳罰に処さねば示しがつかないと訴えた。しかし太皇太后は皇帝が強さを見極めるため、息子たちの争いを黙認していたと腹を立てる。どの御代においても権力争いは残酷なもの、生き残れるのは強い者だけだと皇帝は分かっていたのだ。「むごすぎるわ!助けて欲しかった!…承鄴は生き残ろうとしただけ、全ては陛下の責任だわ」「私には何の落ち度もありません!奴は邪心を抱いていました!」やはり皇帝は李承鄴が邪心を抱いていると知りながら皇太子にしていた。太皇太后はならばなぜ権力を与えたのかと責め、強い者を世継ぎにする法則を諦め、穏やかで優しい者を皇太子にするべきだったと嘆く。「間違っている?」「…皇祖母、後宮と朝堂は全く違うのです」皇帝はゆっくり休むよう告げ、帰って行った。李承鄞は柴牧(サイボク)の屋敷にいた。確かに李承鄴一派の排除に成功したが、どうしても二兄の最後の言葉が頭から離れない。…これは宿命だ、生き残るためのな…まさか二兄が謀反を起こし、命まで落とすとは想定外だった。西州へ赴く時には皇太子の地位など興味がなかった李承鄞、しかし結局、大勢の血が流れることになってしまう。「柴先生、私の行動が正しいか否か、自信がありません」「…謀反はあの男が自ら決めたこと、気になさいますな」「では小楓(ショウフウ)は?兄弟の権力争いに巻き込まれたんだ! 私たちのせいで命を落とすところだった!」李承鄞は思わず声を荒げたが、柴牧はその原因が翊王にあると指摘した。「九公主と一緒に銅銭の調査をしたからです、事件に深入りしたことで九公主は毒を盛られた 全ての原因は殿下のお気持ちにあります、情に流されやすく、弱点を簡単に見抜かれた …殿下、今後も敵に遭遇するでしょう、李承鄴よりも手強いはずです、常に冷静でいてください! さもなくば大切なものを失います、被害を最小限にしたいとお考えですか? ならば心を鬼にするのです、強い意志を持たねばなりませぬ そうすれば殿下の大切な方を守れます」李承鄞は柴牧の助言に返す言葉もなかった。穏やかだと思っていた宮中で突然、謀反が起こり、皇太子が死を賜った。小楓は恐ろしい人に嫁ぐところだったと肝を冷やし、皇太子の座は血で血を洗わねばつかめないのかと困惑する。女官・永娘(エイジョウ)は次の皇太子は徳の高い人だと言っていたが、小楓はただの気休めに過ぎないと分かっていた。すると小楓は皇太子がいなくり、嫁ぐ必要もなくなったと気づき、父に文を出して迎えに来てもらおうと決める。アドゥは無駄だと知っていたが、九公主を止めるわけにもいかなかった。皇帝は3人の皇子たちと一局、手合わせした。すると最後に相手をした李承鄞が皇帝の勝ちを告げてお開きとなる。皇帝は控えていた太監に皇子たちをどう思ったか聞いた。曹芨(ソウキュウ)の見たところ、第四皇子・允(イン)王・李承沅(リショウゲン)は思慮深く慎重を期していたが、その反面、優柔不断、また第三皇子・栄(エイ)王・李承玟(リショウブン)はこうと決めたら全力で突き進むが、ただ視野が狭いという。「翊王はなかなかの策士です、まだ勝負はついておらず、劣勢を覆すことも可能でした ふっ…しかし″手はない″と仰せられました」「やはり見抜いておったか…」李承鄞は起死回生を狙えながら放棄していた。「実に賢い、引き際をわきまえている、大役を任せるのにふさわしい力がある」皇帝は李承鄞の実力を認めたが、ただ覇気にかけているように見えるのが残念だと吐露した。李承鄞は急に小楓に会いたくなって寿仁宮を訪ねた。するとちょうど小楓が露台に出て退屈そうに書物を暗唱している。そんな小楓の姿に目を細める李承鄞、しかし小楓がふと振り返った。驚いた李承鄞は慌てて立ち去ろうとしたが、小楓に呼び止められてしまう。「リーチョ…あ、翊王殿下!」李承鄞は仕方なく丁重に挨拶し、鴻文館から帰る途中に寄ったとごまかした。「鴻文館はあっちでしょう?」「あ…ぁぁ…今後はあまり宮中に来られない」「じゃあこれからは頻繁に会えないのね?」そこで小楓は李承鄞からもらった″孔明鎖(コウミンソウ)″を返すことにした。「難しくてばらせなかった…複雑なものは苦手なの」「…東宮と″孔明鎖″は実はよく似ている、単純そうで複雑だ 己をしっかりと守り、たやすく他人を信じるなよ?いいな?」「…翊王のことは?」2人はしばし見つめあったが、李承鄞は何も答えられず、帰ってしまう。そんなある日、小楓は清寧(セイネイ)宮に皇后を訪ねた。小楓は挨拶がわりに毛皮を贈り、西州へ帰りたいと切り出そうと思ったが、皇后から皇太子が誰かに関わらず、婚礼の日を待つよう命じられる。つまり李承鄴が廃太子になっても、自分は次の皇太子に嫁がねばならないと知った。その夜、小楓は1人で王宮を抜け出し、米羅(ミロ)酒楼で酒をあおった。「ミロ?まるで私は毛皮の襟巻きみたい…持ち主が幾度も変わり、拒むことも許されないの あっちに送られ、こっちに送られる…ふっ、あははは~ ミロ、もう家に帰りたい!西州に帰りたいわ!」小楓はミロに抱きつき、号泣した。顧剣(コケン)は西州で天真爛漫だった頃の小楓を思い出し、何ともやるせない。ちょうど同じ頃、李承鄞は趙瑟瑟(チョウシツシツ)との待ち合わせ場所へ急いでいた。裴照(ハイショウ)がミロの酒楼にやって来た。「小楓はいるか?」←なぜ急に呼び捨てなのか?「お酒を飲まない人は客じゃない、答える義理もないわ」すると裴照は店に入るなり酒瓶からがぶ飲みしてしまう。「答えろ」「来てないわ」裴照は仕方なく帰ることにしたが、強い酒を一気に飲んだせいで腰を抜かした。「安心して、小楓なら無事よ、顧剣が安全なところにかくまってる」「…分かってないな!」驚いた裴照は重い身体を引きずって行ってしまう。「ちょ…″分かっていない″?…ふっ、お酒が足りなかったの?」つづく (´•̥̥̥ω•̥̥̥`)シァォフォン…
2020.12.20
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东宫 Goodbye my princess第24話「最後の一手」皇帝は東宮を訪ね、皇太子・李承鄴(リショウギョウ)にそれとなく探りを入れた。「今日の朝議で先太子について李釅(リゲン)に指摘され、冷水を浴びせられた気分だった お前はどう思う?」「その件なら丹蚩(タンシ)の仕業、父皇に物申すなど無礼千万 ですが李釅も罰を与えられ反省しているでしょう」「お前は本当に翊王と無関係だと思うか?」「父皇、それにはお答えしかねます だが僭越ながら、もし皇兄が生きていたら、我らの骨肉の争いを望まぬかと…」その夜、皇帝は再び大理寺の牢へ向かった。報告では侍女・嬋児(ゼンジ)の家族が姓を変え、2ヶ月前に郊外の屋敷に移り住んだという。そこで皇帝はたった1人で張り付けにされている嬋児に尋問することにした。皇帝は嬋児の供述に全く綻びがなく、3日間も大理寺の拷問に耐えたことをむしろ怪しんだ。白状したのはきっちり3日後、果たして主からどんな見返りがあったのか。「お前の家族は両親と齢(ヨワイ)80の祖母、10代の弟が2人、あとは4歳の妹だな? 残念だな~家族は皆殺しにされ、荒野に捨てられたぞ?…太子はお前との約束を反故にした」皇帝に鎌をかけられた嬋児は呆然とし、うっかり皇太子が家族を守ってくれると約束したことを白状してしまう。やはり毒の件は皇太子が翊(ヨク)王を陥れようと仕組んだことだった。しかし皇帝は口封じのため、自らの手で嬋児を葬ってしまう。皇帝は嬋児の自供が全て事実だったと話し、翊王が皇太子の毒殺を謀ったと断定した。ただし死罪は免じ、黔州(ケンシュウ)へ永久追放とする。釈放された李承鄞(リショウギン)は皇后に別れの挨拶にやって来た。皇后は涙ながらに必ず助けると励ましたが、李承鄞は父が二兄の味方である以上、挽回の余地はないと肩を落とす。しかし皇后はあきらめきれず、叔父の高于明(コウウメイ)に助けを求めた。高于明は今回、恩を売っておけば翊王を意のままにできると考えた。奇しくも今朝の朝議で李釅が再び暗殺された李承稷(リショウショク)の話を持ち出したが、これが思わぬ突破口となる。二子・高坤(コウコン)は当時、自分たち以外で李承稷の死を望んでいたのは李承鄴だと気づいた。もしや今回の毒の件に乗じて翊王に濡れ衣を着せ、潔白を装えると考えたのやもしれない。「だとしたら連中がまずやるべきはバトゥールの調書を消すことだ」「すぐ大理寺へ行き、調書を移します」李釅が慌てて東宮へ駆けつけた。大理寺へ行ったところ、一足先に高坤がバトゥールの調書を持ち去ってしまったという。驚いた皇太子は高家を見張り、動きがあれば報告するよう命じた。李承鄞は皇后に言われて相府に駆けつけた。もし都に残れたら、今後は全て大叔父に従うと誓う。すると高于明がバトゥールの人相書きを渡した。高坤の話では大理寺に残されていたのはわずかな調書とこの人相書きのみだったという。「なるほど、兄の死は私に関係があると父皇が言った、これで謎が解けた」李承鄞は皇帝が長兄の死に関して疑心があったのだと気づいた。暗殺が丹蚩(タンシ)の仕業とするにはバトゥールの自白に頼らざるを得ない。そのバトゥールを都に護送したのは李釅だった。高坤は李釅なら道中で偽物とすり替えることも可能だと怪しむ。しかし李承鄞は安護府でバトゥールと面識がなかった。その時、ふと高顕(コウケン)が安護府での尋問に加わっていたことを思い出す。「安護府にも調書がある、それを取り寄せれば糸口が見つかるやも…」皇太子は高顕が安護府を出立して都へ向かったと報告を受けた。李釅の話では兵たちが皆、同じ格好をして覆面で顔を隠し、幾手にも別れて向かっているという。皇太子は珍しく動揺したが、忠(チュウ)王は精兵に城門を守らせ、何人たりとも都には入れないと安心させた。「それに辺将は勅命なしに都へは入れません、もし城門を破れば謀反の罪で処刑しましょう」忠王は直ちに出かけて行ったが、皇太子はなぜか胸騒ぎがした。「もし阻止できねば、残された道はただひとつ …私鋳銭(シチュウセン)を作り、多くの死士を養ったのはこの日のためだ」裴照(ハイショウ)は翊王を救うため、丹蚩人のアドゥに協力を求めた。しかしアドゥに拒否されてしまう。そこで顧剣(コケン)を頼り、高家側の証拠だけでは皇帝を納得させられず、アドゥのような中立の者の証言が必要だと訴えた。顧剣はその夜、攬月(ランゲツ)閣の屋根の上にいるアドゥを説得にやって来た。「お前も肩の荷を下せばもっと楽になる…いいのか?翊王を救わねば小楓(ショウフウ)は太子に嫁ぐ 太子が小楓を守れるか?小楓が相次ぐ罠から逃れられるか?今回は毒だったが、この次は?」「顧剣、翊王の肩を持つなら、二度と公主に会わせないから」「毒を盛ったのが翊王で、小楓を守ったのが太子なら、頼みには来ない」皇太子が放った刺客は次々に安護府からの使者を襲った。しかし奪った調書はどれも偽物、李承鄴は焦りを隠せない。そんな中、ついに郊外で待つ李承鄞と裴照のもとに高顕が到着した。「高家の恩は決して忘れません」「はお、太子となってもお忘れなく」高顕はすぐ引き返し、李承鄞たちも都へ戻ることにした。その時、皇太子の刺客が放った矢が李承鄞に向かって飛んで来る。すると駆けつけた顧剣が飛び出し、危ないところで矢を弾き飛ばした。李承鄞、裴照、顧剣は協力して刺客に立ち向かい、目処がついたところで顧剣が李承鄞たちを先に逃がす。こうして李承鄞は皇帝に安護府の調書を献上することに成功した。バトゥールを知るアドゥが証人として皇帝に謁見した。するとアドゥは多くの肖像画の中からある人相書きを指差す。皇帝は自分が尋問したバトゥールが偽物だったという動かない証拠を前に言葉を失った。一方、東宮では李承鄴が覚悟を決めていた。李釅はバトゥールを護送した自分が責任を取ると申し出たが、李承鄴は自分の腹心が罪を被っても責任は免れないと知っている。どちらにせよ皇太子の座は守れない、しかし皇位なら…。李承鄴は退路を断ち、謀反を起こした。皇帝はすでに羽林軍を配備させていた。死士を連れて王宮に乗り込んだ李承鄴と李釅だったが、太極殿の前で包囲されてしまう。すると将軍・曾献(ソウケン)が号令をかけた。「太子は生け捕りに!他の者は皆殺しだ!」「…お前らごときが私を捕らえられるとでも?!」李承鄴は剣を抜き、雄叫びを上げた。城楼から弓兵が一斉に矢を放った。死士たちは次々と矢に射抜かれ、李釅も皇太子をかばって矢を受けてしまう。その場に崩れ落ちるように膝をついた李釅、その姿を見た李承鄴はふと冷静になった。気がつけば辺り一面に死士たちの亡骸が転がっている。「…李釅、我が人生に負けはない」李承鄴は自分の首に剣を当てた。驚いた李釅は思わず立ち上がって皇太子の剣を奪い、自分の腹を突き刺してしまう。「殿下…私は他人の剣で死にたくない…来世は皇族ではなく…民の家に生まれましょう…」李承鄴は李釅を失い、たった1人で兵士に対抗した。しかし兵士たちは生け捕りにするため、皇太子にとどめを刺すことはできない。「父皇!あなたから″勝者こそ正義、手段を選ぶな″と教わった! 野心を植え付けておきながら、なぜ止めるのです?!なぜ私を潰そうとするのか?! 私は権力争いの駒に過ぎない、そうでしょう?! これまで私を息子だと思ったことがありますか?! 父皇!ご覧ください!あなたの天下は変わらない、だがあなたの息子は敵に変わったのです!」結局、皇帝は最後まで顔を見せなかった。その時、李承鄞は太極殿の前の石段に立っていた。兵士たちに退けられる二兄の惨めな姿を見下ろしながら、李承鄞は何とも言えない虚しさに襲われる。つづく(  ̄꒳ ̄)あれ?第7話で高顕が似顔絵を受け取ってパパに手紙を書いてなかった?てっきりパパに送ったと思ってた〜え?大理寺に送ったの?よく分からないけど次に行くよ〜(笑
2020.12.19
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东宫 Goodbye my princess第23話「濡れ衣」皇太子妃に決まっている西州の九公主・曲小風(キョクショウフウ)が毒を盛られて倒れた。これを重く見た皇帝はすぐ捜査を開始、料理を運んだ李承鄞(リショウギン)の侍女・嬋児(ゼンジ)が引っ立てられる。実は嬋児はこっそり小袋を池に投げ捨てようとしていたところを捕まった。早速、太医はその場で袋の中を確かめてみると、銀針の色が黒く変化し、毒だと判明する。皇帝は侍女に動機を問いただしたが、その時、離宮の内侍長が思いがけない証言をした。「恐れながら九公主が口にした汁物は本来、太子の物でした 太子は九公主が汁物を気に入ったので、ご自分の分もお与えになったのです」李釅(リゲン)はさも今、気づいたように、ならば皇太子を狙っての所業なのかと驚いた。そこで嬋児に皇太子の毒殺を命じたのは翊(ヨク)王なのかと迫る。すると李承鄴(リショウギョウ)は弟想いの兄を演じ、五弟が毒殺など企てるはずがないと訴えた。しかし皇帝は李承鄞の関与を疑って直ちに翊王府の封鎖を決め、一切の出入りを禁じるよう命じる。一報を聞いた皇后は動揺を隠せず、侍女・容霜(ヨウソウ)にすぐ叔父の高于明(コウウメイ)に知らせるよう指示した。大理寺では収監された嬋児が全て自分の一存でやったことだと訴えていた。「太子に罰せられたのを恨んでしたこと…命令など受けていません」実は皇太子は嬋児の好意を利用し、間者として都合よく利用していた。『一度、大理寺に入れば拷問は免れぬ、だたすぐさま自白しても疑いを招くだけだろう しかし拷問は過酷で屈強な者でも3日と持たぬ』『3日、耐えて信用を得られるなら、自白は3日後に…』『苦労をかけるな…』…李承鄴は優しく嬋児の頰をなでた『殿下のために働けて光栄です、殿下の恩情を決して忘れません』『お前の家族のことは心配するな…』その夜、翊王の一大事を知った趙瑟瑟(チョウシツシツ)はいても立っていられず、李承鄞に会いに行こうと決めた。しかし兄・趙士玄(チョウシゲン)が現れ、捕まってしまう。「一歩、間違えれば趙家も終わりなのだぞ!行かせるわけにはいかぬ!」趙士玄は妹を部屋に閉じ込め、私兵に見張りを命じた。小楓が倒れて3日目、太医の診断では今夜までに解毒しなければ命が危ないという。思いつめたアドゥはあれほど頑なに拒んでいた宮中の服に着替え、東宮を訪ねた。皇太子と李釅は中庭の騒ぎに気付いて様子を見に行くと、九公主の侍女がひざまずき、手のひらを差し出している。見れば手のひらには″解薬″と書いてあった。実はアドゥは偶然、皇太子と嬋児が密会しているところを目撃していた。皇太子の策略だと見抜き、アドゥは皇太子が解毒薬を持っていると確信する。しかし李承鄴は毒を盛ったのは翊王だと追い返した。アドゥは殿内に戻ろうとした皇太子にすがりついたが、憤慨した李釅に突き飛ばされてしまう。アドゥはしばらく嘆願を続けていたが、いよいよ日が暮れて来た。これ以上待っていては時間がない。アドゥは皇太子から解毒薬をもらうことをあきらめ、顧剣(コケン)を頼ることにした。アドゥは顧剣を連れて攬月(ランゲツ)閣に戻った。顧剣は付き添っていた永娘(エイジョウ)を点穴して気を失わせ、小楓の容体を診る。「これは血荊(チイバラ)の毒だ…薬の調合は間に合わぬ」そこで顧剣は自分の気を使って小楓の身体から毒を抜くことにした。顧剣は無事に小楓の毒を抜き切った。アドゥは宮道まで見送りに出たが、顧剣が激しく咳き込み、急に喀血する。「グージィェン!(Ŏ艸Ŏ)あ!」「アドゥ…声が出るのか?」実はアドゥは口が利けた。しかし誰かに命じられたわけではなく、小楓の秘密を伏せ、そばで守るために口を閉ざす決意をしたという。「今や私にとって公主は唯一の身内、公主が笑顔でいることこそ、私の生きる意味なのです」「アドゥ、苦労したのだな…話し相手が欲しくなった時には訪ねて来い」「(*゚▽゚)*。_。)ウン」アドゥは顧剣へのわだかまりが解け、小楓の元へ戻った。顧剣はアドゥに少し休めば平気だと言って別れたが、1人になると再び激しく血を吐いた。崖から転落しながら命拾いした顧剣、しかし恩人の老人から完治させることは不可能だと言われてしまう。…心の臓を刺された上、崖から落ちて五臓六腑が傷ついておる…命を保たせるだけで精一杯だ十分、休養を取って気力を温存すれば多少は長生きできる。しかし老人は無理をして気を損なえば保証はできないと釘を刺していた。嬋児が毒の一件を自白、翊王に命じられて皇太子の毒殺を試みたと証言した。しかし手違いで九公主が倒れてしまったという。翊王府からも書斎で毒物が発見され証拠が揃い、皇帝に裁きが委ねられた。皇帝は朝議で翊王を大理寺に捕らえるよう命じ、自ら尋問すると告げる。すると右相・高于明が侍女の証言で翊王を有罪とするには不十分だと上奏した。その時、息子の高坤(コウコン)が真っ先に立ち上がり再考を嘆願すると、多くの朝臣が賛同する。これがかえって皇帝を意固地にさせた。そこですかさず李釅は証拠なら揃っていると反発、先太子と西域へ赴いた時も翊王が1人だけ生還したと訴え、暗に皇太子暗殺の黒幕だと匂わせる。皇太子は李釅を叱責すると、五弟が長兄を手にかけるなどあり得ないとかばった。結局、皇帝は李釅に罰として3ヶ月の減俸と1ヶ月の謹慎を命じ、そこで朝議は終わってしまう。小楓がようやく目を覚ました。そばではアドゥが手を握りしめ、涙を流している。一方、皇帝は大理寺に赴き、李承鄞を審問した。李承鄞は濡れ衣だと否定し、そもそも皇太子を毒殺するなら、自分の侍女を使ったりしないという。「全ての証拠が私を指している、妙だと思いませんか?!」「太子の毒殺が成功していれば不自然ではない」「証拠を信じるなら何も申しません」「ふん!なら聞こう、承稷(ショウショク)の死はどう釈明を?…なぜお前1人だけ生きて戻ったのだ?」李承鄞は父が長兄の死に自分が関わっていると疑っていることに愕然となった。すると皇帝は言葉を失った李承鄞を見て審問を終わらせてしまう。「父皇!この件で得する者が誰か、本当に分からぬのですか?!」しかし皇帝はそのまま帰って行った。…なるほど、大哥(ダ-グァ)、こういうことでしたか@東宮の闇( ー̀ωー́ )皇帝は九公主の意識が戻ったと聞いて攬月閣に駆けつけた。太医の話では、まるで霊薬でも飲んだかのように急に解毒されたという。しかし皇帝は無事なら良いと安堵して寿仁宮を出た。その時、太監・曹芨(ソウキュウ)が思わぬ噂を耳に入れる。「聞くところによれば九公主の侍女が昨晩、東宮でひざまずき、今朝、九公主が目覚めたとか…」すると皇后が追いかけて来た。皇帝は皇后が翊王の養母であるため、公正を期すために距離を置いている。「案ずるな、今朝、大臣たちにも再考を請われた、何より朕の大切な息子だ、悪いようにはせぬ」「感謝したします」一方、柴牧(サイボク)はついに私鋳銭(シチュウセン)の鋳造場所を突き止めていた。胡嘯(コショウ)の報告では同昌(ドウショウ)宿衛軍の練習場近くだという。同昌宿衛軍と言えば忠(チュウ)王の軍、なるほどいくら探しても見つからないわけだ。そこで街に噂を広め、皇帝の耳に入れようと企む。すると予想通り、妙な噂を聞いた大理寺の汪束(オウソク)が皇帝に上奏した。「最近、多くの銅銭が同昌宿衛軍の練習場近くで掘り出されたとか 官吏に調べさせた結果、これらの銅銭が国で発行される官銭とはわずかに相違が…」皇帝は忠王の軍だと気づき、他言無用だと命じた。床を離れた小楓は収監された翊王との面会を求めたが、皇帝の命により断られた。その夜、考えた末に小楓は顧剣からもらった鳴り矢を放ってみる。すると本当に顧剣がすぐ現れた。「私が頼めば必ず助けてくれると言ったわよね?実は牢に忍び込みたいの」「翊王のためか?君に毒を盛ったのに…」「彼が盛るはずない、だから会ってどういうことか確かめたいの」仕方なく顧剣は大理寺の番人をあっさり眠らせ、小楓が面会している間、見張ることにした。李承鄞がうなだれていると、突然、九公主が現れた。「リーチョンイン?」「なぜここに?身体は大丈夫か?!」「日頃の行いがいいから数日で治ったわ」小楓は袂から袋を出し、柵の間から菓子を差し入れた。「私を信じてくれるのか?」「もちろん無実に決まってる、太子と李釅を探っていた矢先だもの、少し考えれば変だと気づくわ」「…だが父皇は疑っている」「私から話してみる!」「いいんだ、回復したばかりだし今は身体を休めろ」李承鄞は自分が軽率だったせいで小楓を巻き込んでしまったと反省した。皇太子の弱みを握ろうと焦り過ぎたせいだろう。すると李承鄞は小楓を利用して私鋳銭の件を進言したと認め、謝罪した。しかし小楓はもともと悪事を見過ごせない質(タチ)だと許し、自分の方が浅はかだったという。「あなたの言う通りにすべきだったわ」「はっ!いいか?太子はまた君の命を狙うかも…私も守ってやれぬし用心してくれ、いいかい?」「あなたは?このまま冤罪を受け入れるの?」「うぉ?!はぁ~皇族の宿命だ、負ければ賊…」李承鄞はそろそろ帰るよう促した。そこで小楓は自分の外套を脱いで李承鄞に渡す。「寒いからこれを使って(ギュウギュウ)身体を大切に、行くわね」「うん、君も…」皇帝が東宮に現れた。思えば今回の毒の件で皇太子の意見を聞いていなかったという。「太子、翊王が狙ったのは外でもないお前なのに、なぜかばうのだ?」「父皇、たとえ五弟の仕業でも咎められません、兄としての配慮が足りず、私を恨むのも当然です どうか寛大なご処置を…」「実に心の広いやつだ、お前の懐の深さを知って朕も一安心だ」皇太子の応対は隙がなかった。つづく (´•̥̥̥ω•̥̥̥`)アドゥ…
2020.12.18
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东宫 Goodbye my princess第22話「皇太子の罠」その夜、寝殿を出ようとしていた曲小楓(キョクショウフウ)は、女官・永娘(エイジョウ)に見つかった。永娘はしっかり療養するよう九公主を寝かせると、アドゥを居所まで引っ張って行く。放っておけばアドゥはまた寝殿の屋根で寝てしまうからだ。しかし小楓はその隙に男装し、ひとりで寿仁宮から抜け出してしまう。すると馬を連れた顧剣(コケン)が宮道を歩いてやって来た。「なぜここだと分かったの?」「うさぎが飛び出してくるのをずっと待っていた…馬が必要だろう?君にあげよう」小楓は久しぶりに馬に触れ、自然と笑顔になる。「西州にいる愛馬に似ているわ」「今後は私も君のものだ、用心棒としていつでも呼び出してくれ」顧剣はかつて小楓に贈ったように鳴り矢を差し出し、自分の助けが必要な時はこれを放てば必ず駆けつけると約束した。「もらっておくわ、使うことはないと思うけど…あ、実は急ぎの用があるの」小楓はミロに皇室の菩提寺(ボダイジ)である万佛(マンフツ)寺を調べてもらいたいという。そこで顧剣は早速、用心棒である自分が協力すると申し出た。小楓は顧剣と2人、闇夜に紛れて万佛寺に潜入、屋根から中をのぞいた。すると男たちが仏像にせっせと銅粉を塗る現場を目撃する。こうして動かぬ証拠を得た小楓、しかし翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)はいつまで経っても皇帝に上奏する様子がなかった。業を煮やした小楓は李承鄞との約束を破り、太皇太后に不満を漏らしてしまう。一方、皇后・張玫娘(チョウバイジョウ)ものん気な翊王に苛立っていた。皇太子の座を奪われたと言うのに、いつまで史書改訂のような地味な仕事に甘んじるつもりだろうか。李承鄞は急に皇帝から呼び出された。何事かと思えば小楓が現れ、戸部の帳簿に手がかりを見つけたと報告、土製の大仏に銅粉を塗っていたと訴える。李承鄞は小楓が勝手に外出したと気づいて呆れたが、皇帝は早速、管轄の李釅(リゲン)を召喚し、一緒に皇太子も呼ぶよう命じた。李承鄴(リショウギョウ)と李釅がやって来た。「こっこの人です!万佛寺で会いました!運んでいた大仏を私が叩いたら顔色が変わったわ! 土製の大仏だから焦ったのでしょう?」しかし李釅は責任者として仏像の心配をするのは当然だという。そこで小楓は豊朝(レイチョウ)の銅の産出量が年間30万斤で、そのうち10万斤で銅銭を造るが、市中には20万斤の私鋳銭(シチュウセン)が流通していると説明した。「つまり銅銭だけで30万斤を使っている、一体、仏像の銅はどこから出ているのかしら?」小楓が戸部の帳簿まで調べていると知った李釅は焦り、濡れ衣だと訴えた。皇太子も李釅が仏像の件に心血を注いでいるとかばったが、小楓はならば仏像を壊して確かめようと提案する。驚いた李釅は奉納した仏像を壊せば天の怒りを買うと反対した。信仰深い皇帝もさすがに壊せと命じることができなかったが、小楓に名案が浮かぶ。「陛下、壊さずに調べる方法があります、使用した銅の目方が帳簿に載っていました 大仏の目方を量りましょう」皇帝は直ちに万佛寺を封鎖した。そして翌朝、寺から仏像を運び出して船を使って目方を図ったが、大仏の重量は帳簿の目方と同じだと分かる。思わぬ結果に小楓は愕然とし、誰かが仏像をすり替えたと嘆願した。しかし封鎖された万佛寺に誰かが入れるはずもなく、皇帝は黙って玉座を立ってしまう。すると李承鄞が御前に飛び出し、もう1体だけ調べて欲しいと九公主に追従した。「馬鹿め、いい加減にしろ」皇帝は朝堂をあとにし、皇太子と李釅は咎めを受けるどころか、李承鄞が失態を演じることになった。柴牧(サイボク)は李承鄞が朝堂で九公主をかばったと知り、困惑した。今日の言動で高于明(コウウメイ)の不興を買うのは必至、関係を悪化させては皇太子への道が閉ざされてしまう。そこでその夜、李承鄞は相府を訪ね、大叔父のせっかくのお膳立てを台無しにしたと謝罪した。「咄嗟に九公主をかばって差し上げねばと思ったのです、浅はかでした… 今後は大叔父に従い、勝手な真似は慎みます」高于明は反省しきりの翊王を許し、この失敗を忘れないよう釘を刺した。一方、東宮では皇太子が仏像をすり替えてくれた忠(チュウ)王に感謝していた。「高家など恐れるに足りませぬ!」李釅はすっかり酔っ払って軽口を叩くと、父から叱られてしまう。「黙れ!…小娘に手を焼きおって」すると皇太子は問題なのは九公主より五弟だと言った。どうやら李承鄞は帳簿の内容を全て把握しており、放っておけば自分たちに危険が及ぶだろう。しかし皇太子の顔を見た忠王は、すでに妙案を思いついたと分かった。李承鄞が翊王府に戻ると、門前で趙瑟瑟(チョウシツシツ)が待っていた。宮中での件を聞いて不安になり、慌てて来たという。「私は殿下の味方です…ただ殿下と九公主はどんな関係なのですか?」「父皇の命で共に調査をしただけだ」「太子妃になる方です、お気をつけください、悪い噂がたてば互いに困るのです」「私と君を知る人は誰も信じないさ」李承鄞は瑟瑟を安心させた。激しい雪の中、攬月(ランゲツ)閣に第七公主・永寧(エイネイ)と第八公主・珞熙(ラクキ)がやって来た。実は珞熙が想い人の裴照(ハイショウ)がいる離宮に行きたがっているという。永寧は温泉につかりながら雪を愛で、お茶を飲むのも一興だと話し、今から向かえば夕方に離宮に到着できると言った。離宮に到着した小楓は珞熙と一緒に早速、温泉へ向かった。すると湯気の中にうっすら人影が見える。小楓はてっきり永寧だと思い、後ろから目をふさいで驚かせた。「だ~れだ?!」すると驚いた李承鄞が反射的に腕を引っ張って小楓を温泉に落としてしまう。実は温泉に入っていたのは李承鄞と裴照だった。裴照は危うく落ちそうになった珞熙の腕をつかんで支えている。「外してくれ」翊王から命じられた裴照は珞熙を自分の外套で包み、そのまま殿内に送って行った。慌てた小楓も温泉を出たかったが、李承鄞が捕まえた手を離してくれない。「あっちに行ってよ!」「勝手に入ったくせによく言うよ~君が残りたいなら構わない」李承鄞が手を離すと、小楓は急いで離れた。「私をどうする気?!」すると李承鄞は小楓の姿を見ているうち、また急に頭痛に襲われてしまう。「私はきっとあなたの天敵なのね?」「はあ~許嫁なら悲惨だったな」「はいはい、美しく賢い趙姑娘とならお似合いですよ~」小楓は居たたまれなくなり、温泉を出て行った。ひとりで温泉に残った李承鄞、すると突然、侍女の悲鳴を聞いた。そこで裴照と合流して駆けつけたところ、皇太子の寝殿で李釅が嬋児(ゼンジ)を鞭打ちしている。李釅の話では嬋児が皇太子の馬を驚かせたと言うのだ。横暴な李釅に憤慨した李承鄞は、どんな罰を与えるかは主である自分が決めると反発、すぐ連れて帰ることにする。しかし皇太子が自分のやり方に不満があるのかと難癖をつけた。李承鄞は怒り心頭だったが、皇太子に楯突けば揚げ足を取られるのは必至、ここは引くしかない。「皇兄、侍女のために争いたくありません、承知しました、寛大な処分をお願いします」翊王と裴照が急に離宮を発った。永寧と珞熙は小楓の寝殿に駆けつけ、李承鄞が李釅と争って帰ってしまったと告げる。そこで2人をすぐ追いかけようと決めたが、ちょうど廊下で皇太子と出くわした。皇太子は今、出立すると夕食を食べ損ねてしまうと告げ、皆で食べようという。皇太子の誘いを無下に断ることもできず、3人は結局、食事をしてから皇城に送ってもらうことになった。小楓は木耳と梨の汁物が気に入った。すると皇太子が自分の分の汁物も飲むよう勧める。「私の妻になるのだ、遠慮するな、欲しいものは何でもあげよう」しかし皇太子からもらった汁物を食べた小楓は急に気分が悪くなり、血を吐いて倒れてしまう。小楓はすぐ皇城に運ばれ、太医が診察した。どうやら多量の毒物を摂取し、ひとまず鍼を刺して解毒を促しているという。ただし3日以内に解毒薬の服用が必須だと報告した。皇帝は直ちに犯人を突き止めるよう命じ、報告を聞いた。九公主の料理を詳しく調べてみたところ、毒が混入していたのは木耳と梨の汁物だけだったという。厨房の者も全て調べたが、不審者はおらず、毒物も見つからなかった。内侍長の話では離宮には皇太子、翊王、永寧公主、珞熙公主、九公主、李釅がいたという。「翊王は昨日の午後に到着されました 本日のお昼の御膳を召し上がるはずが、昨日の酉の刻(17~19時)に裴将軍と出立されました 永寧公主、珞熙公主、九公主は申の刻(15~17時)に到着、 太子殿下と李釅殿はその少し後に到着、お付きの者が数名、来ておりました」皇帝はなぜ翊王が早く帰ったのか聞いたが、内侍長は口をつぐんだ。そこで李釅自ら侍女の件で翊王と諍いが起こりそうになったと報告する。「翊王の侍女が太子に無礼を働き、そこで侍女を叱ろうとしたのです すると翊王が現れ、私を止めました 頭に血が上っていたようで、太子殿下が懸命に諭して拳を下ろしたのです 翊王と裴将軍は理性を失っており、殿下を殴りかねない勢いでした!」すると夕食を運んだ侍女が諍いの原因となった嬋児だと分かった。嬋児はすぐ皇帝の前に引っ立てられた。しかも嬋児が池に投げ捨てようとしたという小袋が証拠として差し出される。太医はその場で袋の中を確かめたが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)チョンインがスネ夫w近年、急増した謎のリーゼント型かつらって身長を稼ぐためなかな?(←どうでもいい?w
2020.12.17
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东宫 Goodbye my princess第21話「三生の縁」柴牧(サイボク)は翊(ヨク)王から銅銭について相談を受けた。私鋳銭(シチュウセン)だと気づいた柴牧は、皇帝自ら調査を命じるよう仕向ける必要があると助言する。そこで李承鄞(リショウギン)は皇帝が寿仁宮に挨拶に来た時を狙った。豊朝(レイチョウ)皇帝・李賾(リサク)は祖母の体調を心配した。しかし太皇太后は九公主がいつも遊びに来てくれるため、毎日にぎやかで若返ったようだという。皇帝は安堵し、確かに九公主は裏表のない面白い娘だと言った。太皇太后は一緒に西域志を考証している2人はとても仲が良いと教えたが、そこへ何やらもめながら李承鄞と曲小楓(キョクショウフウ)が現れる。「お二人に仲裁をお願いします!」小楓は西域志の記載が間違いだらけのため訂正するよう頼んだが、翊王が応じないと訴えた。李承鄞は勝気な小楓の性格を利用し、口論を吹っかけて銅銭の話題を持ち出そうと企んだ。「なぜ西州を蛮国と決めつけるの?!」「豊朝には優れた詩人や名工が数多いる、鋳造でも西州は100年かかっても追いつけまい!」「あははは~片腹痛いわ!銅銭なんて大小まちまちのくせに!西州の銀貨より劣るわ!」すると皇帝は興奮する小楓をなだめ、そこまで向きになるなと諭した。太皇太后も意見を戦わせるのは面白いが、喧嘩は良くないという。「太奶奶(タイナイナイ)~本当に銅銭が不揃いなんです、この目で見ました!」そこで小楓は銅銭を持って来ると断り、飛び出して行った。しかし攬月(ランゲツ)閣の侍女たちはなぜか銅銭を貸してくれない。先の投銭遊びで大目玉を食った侍女たちは、罰を恐れて二度と九公主に関わらないことにしていた。寿仁宮に小楓が戻って来た。実は誰も銅銭を持っていないので借りられなかったという。内心焦った李承鄞、そこでわざと嫌みを言って小楓を煽った。「単に出任せを言っただけでしょう」「ゥッ…陛下!太奶奶!2日だけください、必ず証拠を見つけます!」李承鄞の作戦は上手く行った。皇太子・李承鄴(リショウギョウ)から攬月閣に足の踏み場もないほど贈り物が届いた。小楓は興味がなかったが、ふと妙案が浮かぶ。「永娘(エイジョウ)~悪いけど数を改めて倉庫にしまってくれる?散歩して来るわ~ 忘れないでね、必ず自分で1つずつ確認して書き留めておくの、他の者では駄目よ?」すると小楓は純金の杯をひとつ袂に隠し、出て行った。小楓は永娘に仕事を任せている間にアドゥを連れて街に出た。そこで早速、質屋で金杯を銅銭に換金しようとしたが、店主から皇帝からの下賜品を銅銭に換える者などいないと断られてしまう。落胆して店を出た小楓とアドゥ 、すると偶然、顧剣(コケン)と出くわし、ミロに換金してもらおうと思いついた。しかし今日に限って米羅(ミロ)酒楼は休み、実は顧剣も付けが溜まって店を避けていたという。「バカにもほどがある、それが換金できると思うか?」「ならどうすればいいの?」顧剣はいきなり剣を抜くと、金杯を切り刻んだ。「これならもう皇室の金杯ではない、金の破片になった」 小楓は早速、唯品閣で買い物、そしてお釣りでたくさんの銅銭を手に入れた。店を出た小楓は顧剣にひとつ借りができたと話し、次は自分が助けるという。顧剣は助けなど不要だと言ったが、小楓はその意味を誤解し、金の破片を渡した。「これなら私も気が楽だわ、今後は謝礼を渡す」困惑した顧剣だったが有り難く受け取り、これまでの付けと今後の酒代としてミロに支払った。小楓は寿仁宮に1000枚の銅銭を持って来た。そのせいで勝手に街へ出たことがばれてしまったが、ともかくこのうち400枚はとても精巧な官銭で、残りの600枚は似せて造っていても、よく見ると違いが分かるという。銅銭を見た李承鄞は、普通の工房ではここまでそっくりな私鋳銭を作れないはずだと訝しんだ。皇帝は調査が必要だが表立ってはできないため、翊王に内密に調べて単独で報告するよう命じる。上手く事が運んだ李承鄞、しかし小楓が言い出した自分も調査に加わりたいと嘆願し、思いがけず2人で行動することになった。李承鄞と小楓は早速、2人で街に出た。「ふふっ!堂々と正門から出たのは初めてよ!」「ちょうどいい機会だ、街を散策しよう」すると李承鄞は露店の装飾品を手に取った。「あ、趙姑娘(グーニャン)に贈るの?」「…いいや、見ていただけだ」「趙姑娘は美人で品があって素敵な人よね?」しかし李承鄞は黙って行ってしまう。「あなたたちが羨ましいわ~皇室では相思相愛なんてないと思ってたから」「二兄は完璧だ、君も好きになるよ…太子だから厳しそうに見えるが、そのうち慣れるさ」「そりゃ自分の兄弟の肩を持つわな〜 ねえ、私があなたの友か妹だとしても、あの人に嫁がせる?」驚いた李承鄞は言葉に詰まってしまう。「もういいわ、豊朝の皇太子に嫁ぐことが私の使命だもの…」李承鄞は小楓を連れて万佛(マンフツ)寺にやって来た。しかし理由は教えず、ただ仏にすがれば導きを得られるかもしれないという。小楓は訳が分からないまま一緒に参拝し、帰りにおみくじを引いた。…昔日、玉の如く名高く自らを誇る…近来、糸を紡ぐも家ならず…大教立て、三千を望むも、薄命にして黄砂に埋もる小楓は意味が分からず和尚に解釈を頼んだが、和尚はおかしな助言をした。「拙僧よりお二人に一言、贈ります お二人には″三生の縁″が…ただ全てに因果がある 良縁にせよ、悪縁にせよ、無理強いはいけません、全てを縁に任せるのです」「私は男だ!こやつと縁などあるものか!」男装していた小楓は怒って先に行ってしまう。李承鄞は手を合わせてから帰ることにしたが、急に和尚に呼び止められた。「お待ちを、決してお忘れなきよう、因果応報です、無理強いはいけません」小楓がちょうど寺に搬入される仏像を眺めていると、李承鄞が追いついた。「仏像は普通、銅から作るのよね?」「そうだ、戸部の公文書によると豊朝の銅の産出量は年30万斤(キン) 用途や銅銭の鋳造量も記録を取っている 万沸寺の建立以来、毎年、約10万斤の銅で銅銭を鋳造し、残りで仏像を作っている」「銅の産出量が30万斤だとして、うち10万斤が官銭に使われるのね? でも流通する私鋳銭は官銭の倍もある、つまり私鋳銭は20万斤?なら仏像の銅はどこから?」まさか民営鉱山のほうが官営の鉱山より産出量が多いのか。しかし個人が鉱山を開くのは死罪のはずだ。すると仏像鋳造の責任者である李釅(リゲン)が2人の姿に気づいて駆けつけた。「なぜお二人で万佛寺へ?」李承鄞は九公主の観光だとごまかしたが、李釅はなぜ皇太子に頼まないのかと訝しんだ。憤慨した小楓は誰と来ようが関係ないと言い放ち、その場から離れてしまう。李承鄞は九公主が外出を願い出た時、たまたま自分も寿仁宮にいたため、太皇太后に頼まれただけだと取り繕った。その時、独りでまじまじと仏像を見ていた小楓は思わず仏像を叩いてしまう。(* ゚ェ゚)ノ″ポカッ!👤____(゚ロ゚(゚ロ゚(゚ロ゚ )ハッ!李釅は一瞬、凍りついたが、何事もなかったかのように早く運べと命じた。李承鄞と小楓は境内を出た。「あんなに大きな仏像なら中は空洞のはず、でも叩くと鈍い音がした、空洞じゃないんだわ 材料を偽って銅粉を塗っただけよ」「意外と鋭いな」しかし音だけでは証拠にならず、李承鄞は仏像用の銅を銅銭に流通した者がいると指摘した。私鋳銭の出所を探れば李釅の関与を裏付けられるという。「勝手に報告しないと約束してくれよ?」李釅は東宮に駆けつけ、万佛寺に李承鄞と九公主が来たと報告した。李承鄞はしぶしぶ同行したようだが、九公主が仏像に興味津々で、自分たちの仏像を叩いたという。驚いた皇太子は九公主が誰と会って何をしているのか調べるよう命じ、念のため李承鄞の見張りも頼んだ。「それから同昌(ドウショウ)を片付けよ、情報が漏れぬよう痕跡を消すのだ」小楓はその後の調査が気になって鴻文館を訪ねた。しかし時恩(ジオン)が門の前に立ちふさがり入れてくれない。何でも寒さが厳しいため翊王は本日の作業を休み、早朝だと言うのに王府へ戻ったという。追い返された小楓だったが、どうも様子がおかしかった。そこで塀をよじ登って潜入を試みたが、いきなり落下してしまう。すると物音に気付いた李承鄞が裏庭にやって来た。「こんなバカを見たことがないよ…」「いいから起こして!」李承鄞は足をひねった小楓をおぶって館内へ運び、冷えた手に手炉を持たせた。「どうして私を避けるの?…参拝から3日も経ったのに、なぜ陛下に報告しないの?」李承鄞は何も答えず小楓の履物を脱がせると、足首が真っ赤に腫れている。すると李承鄞は黙って外に出て行った。その間、嘘がバレた時恩は小楓ににらまれ、立つ瀬がない。しかし有難いことに李承鄞が雪をひとつかみ持ってすぐ戻って来た。小楓はまた雪玉をぶつけるつもりかと驚いたが、李承鄞はその場にしゃがんで小楓の足を冷やしてくれる。そこで李承鄞はそのうちに時恩に例の公文書をこっそり戻せと命じた。小楓は戸部の帳簿だと気づいて皇帝に見せると騒ぎ出したが、李承鄞はただの憶測など意味はないと言い聞かせる。「李釅は皇族だ、証拠もなく告発するのは誣告(フコク)になる…確たる証拠がなければ」「…なら私が言う!」「待った!宮中では一言が命取りになる、まず己の身を守れ、分かったな?!」李承鄞は小楓を諌めると、今度は足首を優しくあん摩した。黙って介抱してくれる李承鄞、小楓はその姿をながめながら、不思議と心がときめくのを感じる。…中原の女子は命のように脚を大切にする、夫以外には決して見せない…見たらどうするの?かつて丹蚩(タンシ)の温泉で小楓は李承鄞の前で無邪気に素足を出したことがあった。…グゥシァォウー?私のために白眼狼を狩れる?…脚を見たからな…ふふっその夜、裴照(ハイショウ)が米羅(ミロ)酒楼にやって来た。しかし顧剣はすでに酔いつぶれて眠っている。ミロは将軍に気づき、顧剣を部屋まで運んでくれと声をかけた。「この人、起きている時は身軽だけど、酔うと梃子でも動かないの 以前はこうじゃなかったんでしょう?」裴照は顧剣の辛い胸の内を知っていたが、何も言わず黙っていた。そんな寡黙な将軍の顔をミロはじっと見つめている。「むっつり将軍さんはいつ笑うのかしら?クスッ」つづく
2020.12.13
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东宫 Goodbye my princess第20話「銅銭の謎」皇太子・李承鄴(リショウギョウ)の推挙により、輔国将軍・趙敬禹(チョウケイウ)が鎮北侯(チンホクコウ)に抜擢された。一見、中立に見える趙家、しかし趙敬禹が将軍になれたのは右相・高于明(コウウメイ)に取り入って西南出征の機会を得たのち、手柄を立てたおかげだった。中書省では皇太子がなぜ政敵の高右相の″手の者″を推挙したのか話題になっていたが、そこへちょうど皇弟・忠(チュウ)王が現れる。「誰の手の者だと?」実は高右相は長い間、趙敬禹を西南に留め置いていた。治安の回復を成し遂げてようやく都に戻って来られたものの趙敬禹に実権はなく、現在では皇城の警備を司るのが関の山だという。「太子が推挙した、つまりそれが答えだ」忠王は暗に趙敬禹が皇太子派だと吹き込んだが…。一方、西域志の改訂を手伝う許可をもらった曲小楓(キョクショウフウ)は鴻文館で暇を持て余していた。翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)は皇太子が許したのは故郷を懐かしめという配慮に過ぎず、国事に女子は関われないという。すると小楓は豊朝の掟にへき易し、自由で楽しかった西州とは大違いだと嘆いた。しかし李承鄞は九公主と話しているうちまた頭が重くなり、気分転換に風に当たって来ると言って席を立ってしまう。「え?どこへ行くの?ちょっと待ちなさい!チョンイン!」翊王を追いかけて外へ出た小楓、しかし李承鄞に無視され、思わず積もっていた雪を丸めて翊王の背中に投げつけた。李承鄞は子供じみた真似をする小楓に呆れながらも、雪をつかんでやり返してしまう。こうして雪合戦が始まり、気がつくと2人は笑い合いながら戯れ合っていた。相府では父の逆鱗に触れた三子・高震(コウシン)が二兄の高坤(コウコン)に厳しく打たれていた。「お前のせいで趙家が太子に取られた!」高于明は蹴鞠(シュウキク)大会や妓楼で問題を起こした息子に怒りが治らない。「悪いのは皇后です! 翊王と趙瑟瑟(チョウシツシツ)の仲を認めていれば、太子は趙敬禹を鎮北侯に推挙しなかった!」「黙れーっ!死ぬまで打て!」しかし高坤は三弟を痛めつけても状況は変わらないと説得、それより新たな策を練ろうと提案した。皇太子は趙家を手に入れ上機嫌だった。これで九公主を娶れば西州も手中に収まり、高家も楯突くことはないだろう。すると李釅(リゲン)は言いにくそうに趙敬禹が怪しい動きを見せていると伝えた。「本日、丹蚩(タンシ)へ発ちましたが…李承鄞が見送りに…」しかも趙瑟瑟と一緒だという。李承鄞は郊外まで趙敬禹を見送りに出た。そして川沿いの露台で瑟瑟も同席し、3人で杯を交わす。実は李承鄞はとうに瑟瑟と将来を誓い合っていた。しかし当時、翊王自ら瑟瑟との仲を認めて欲しいと懇願しても、趙敬禹は首を縦に振らない。「太子に嫁がせたいのですね?今は無力ですが約束します、必ずや瑟瑟を幸せにすると… 私が将軍の願いを叶えます、これから一芝居打つのでお力添え願えませんか?」李承鄞は皇太子に瑟瑟と別れたと思わせるため、蹴鞠大会で仲違いを演出した。それだけでは用心深い皇太子が趙家を信用するとは思えず、李承鄞は瑟瑟に文を書いてもらう。瑟瑟は指示通り皇太子の外套を返すという名目で文を渡した。さらに皇太子の疑念を払拭するため、李承鄞は輔国将軍府に通い詰める。間者の侍女・嬋児(ゼンジ)は皇太子に密書をしたため、門前払いされた翊王は諦めたのか足が遠のいたと報告していた。ここまで来れば皇太子も趙家を信用するはず、すると思った通り皇太子が輔国将軍府に現れる。李承鄞は恐らく皇太子がうまい話を持ちかけ、趙敬禹の出方を見るだろうと予測していた。こうして趙敬禹は皇太子を利用して高位と兵権を手に入れ、李承鄞も大きな後ろ盾を得た。瑟瑟は父との別れを惜しみながら見送っていたが、そんな2人の姿を高台から皇太子と李釅が眺めている。そうとは知らない李承鄞と瑟瑟は手を握って見つめ合い、計画を後から知った趙士玄(チョウシゲン)を心配していた。「私は父と兄を危険にさらした、趙家の命運は殿下にかかっています… 瑟瑟に飽きる日が来るかもしれません、その時は父や兄の献身をどうか思い出してください」「君を大切にすると約束した、失敗したらその玉を持って東宮へ行ってくれ」「はっ!瑟瑟は殿下だけを思うと誓います!」李承鄞は皇太子が瑟瑟に贈った玉を揶揄して笑う。「なるほど…一杯食わされたな」皇太子は李承鄞にしてやられたと知り、怒り心頭だった。皇后は皇太子と趙家の結託に李承鄞が絡んでいると疑っていた。李承鄞を本気で想っていた瑟瑟がこうも簡単に心変わりするのはおかしい。すると叔父の高于明が訪ねて来た。叔父が来たことで皇后は李承鄞の仕業だと確信したが、何も知らないふりをする。実は高于明が間者に探らせたところ、丹蚩に赴く趙敬禹を翊王と娘が一緒に見送っていた。「まさに寝耳に水だ、翊王は趙家を巻き込み芝居を打ったのだ」高于明は翊王が数ヶ月前と比べ、人が変わったようだと舌を巻く。「腑に落ちんな、翊王に助言を与える者に心当たりはないか?」「私は舅舅しか浮かびません、おそらく趙家の娘に誘惑され、術中にはまったのです」「だとしたら趙家は大したものだ…翊王が皇后の目を盗み策を巡らすとはな、実に気がかりだ」そこで皇后は目を光らせると約束して叔父を安心させた。一方、顧剣(コケン)は米羅(ミロ)酒楼でのんだくれていた。ミロは顧剣の身体を心配し、酒に溺れるのは辛い過去のせいだろうと指摘する。「小楓のことが大切なんでしょう?…私の目は欺けないわよ? 小楓にとってもあなたは大切な存在なのね?」「ふっ、それはどうかな?昔のことだ…もう忘れたよ」ミロは自分と小楓が身内のように親しくしているのは、お互いに故郷へ帰れないからだと言った。小楓にとって顧剣が大切な人なら、自分にとっても顧剣は朋友だという。しかし顧剣はただの客で良いと答えた。「私は本当に情けない男なのだ、身近な人ほど失望させてしまう…」そこへ明月(メイゲツ)がやって来た。ミロは明月に顧剣を任せて仕事に戻った。すると明月は顧剣にあれからどう生きて来たのか尋ねる。顧剣はある人から武術を教わり、西州の明遠(メイエン)公主のもとに身を寄せたと教えた。まさか2人の様子を外から柴牧(サイボク)がうかがっているとは知らずに…。「公主が亡くなり都に戻ったんだ、君は?どうして鳴玉坊(メイギョクボウ)に?」「捕まった私と母は父の助けを待ったわ、でも父が現れず、生き埋めにされた 私は必死に地中から逃げたの、その後、商人に拾われて歌舞を覚えたわ そして都に戻り、鳴玉坊の妓女に…運が良かった、私は身を売らずに済んだんだもの」「苦労したんだな…」しかし明月は復讐できないことが悔しいだけだと言った。顧剣はなぜ柴牧が名乗り出ないのか分からなかった。すると柴牧は明月の穏やかな日々を守りたいと吐露し、血なまぐさい復讐に巻き込みたくないという。顧剣は自分を救うために家族を犠牲にしたのだろうと言おうとしたが、柴牧が遮った。「後悔はしていない、大義のために生きる者もこの世には必要だ 剣児よ、済まなかった、お前に重荷を背負わせて…だが忘れるな、私たちは生かされている 数百人の犠牲の上に今があるのだ」顧剣は義父へのわだかまりが解け、敵を討つために今後も指示に従うと約束した。李承鄞は戸部と兵部の資料を集め、調査を進めていた。すると小楓が懲りずに手伝いにやって来る。そこで李承鄞は九公主に地図を確認して欲しいと頼んだが、方向音痴の小楓は見ても分からなかった。しかし役立たずだと思われるのが嫌で、とりあえず知っている事でごまかすことにする。「ここが間違ってる! 丹蚩は氷原だけじゃないの、この谷には温泉が湧いているわ、夏は本当に美しいのよ? 辺り一面が蛍の光で照らされてね~」その時、小楓はふと自分たちは前に会ったことがないかと聞いた。「私たち、以前からの知り合いじゃない?」李承鄞はまさか自分が温泉で蛍を小楓に贈ったなど夢にも思わず、無視して資料を手に取った。寿仁宮に戻った小楓は楽しそうな侍女たちの声を聞いて部屋をのぞいた。すると侍女たちが銅銭を使って何やら盛り上がっている。小楓は興味津々で中に入ると、侍女たちは″銭投(セントウ)″で遊んでいた。銭投とは参加者が同じ枚数の銅銭を出し合い、銅銭を投げて表が出た数だけ取ることができる。裏が出た銅銭はそのまま残し、次の人が投げて表の銅銭だけ取る、これを繰り返して銅銭を一番多く取った者が勝ちだ。小楓は早速、参加することにしたが銅銭がなく、耳飾りで許してもらう。すると驚いたことに小楓は一人勝ちした。しかし突然、女官・永娘(エイジョウ)が現れ、侍女と賭け事など立場に関わると叱られてしまう。小楓はかろうじて2枚の銅銭を持ち帰ったが、ある疑問が湧いた。「永娘?豊朝(レイチョウ)の官銭の規格は同じなの?」「はい」「おかしいわね~同じ作り方なのに大きさや厚みに差が出るかしら?」「職人が失敗したのでは?」翌日、納得がいかない小楓は鴻文館でこっそり銅銭を調べ始めた。すると李承鄞が何やらコソコソしている小楓を見つけてのぞいてみる。「何だ、遊んでいたのか?」( ・ノェ・)コショッ<…重大な発見をしたの「何だ?」「見て、不揃いの銅銭が流通しているの、変でしょう?」李承鄞は小楓が調べていた銅銭を手に取り、確認してみた。確かに小楓がいう通り大きさや厚みが違う。しかし李承鄞はそのまま黙って小楓の銅銭を取り上げた。「返してよ!」「嫌だ!…もっと良い物をやるよ!これはもらう!」「ダメよ!ダメ!」宮中を抜け出せない李承鄞は裴照(ハイショウ)に銅銭を預けた。そこで早速、裴照は柴牧に届けて事情を説明する。「厚い方は銅が古い、薄い方は銅が新しい、私鋳銭(シチュウセン)だろう」豊朝は銅を使って毎年、銅銭を発行、残りの銅は仏像鋳造に使われていた。信仰心が厚い皇帝は即位後、万沸寺を建立し、毎年、仏像を寄進している。「今年も作った、仏像鋳造の責任者は忠王の嫡子・李釅だ」「私鋳銭を作った可能性がありますね、背後には太子が?大金を何に使うのでしょうか?」「だが問題がある、仮に翊王が陛下に動かぬ証拠を示しても体面を重んじて握りつぶすやもしれぬ」柴牧は皇帝が自ら調査を命じるよう仕向ける必要があると助言した。攬月(ランゲツ)閣に翊王の侍女・嬋児がやって来た。翊王から手慰みにと贈り物があるという。箱の中から出て来たのは″孔明鎖(コウミンソウ)″という玩具で、何でも辛抱強く木片をバラすものだとか…。つづく(^ꇴ^)水の掛け合いが雪合戦に~楽しかったシーズン1を思い起こさせる演出が上手いわ
2020.12.10
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东宫 Goodbye my princess第19話「仕掛けた罠」曲小楓(キョクショウフウ)と顧剣(コケン)は鳴玉坊(メイギョクボウ)の妓女・明月(メイゲツ)を連れてミロの酒楼に戻って来た。今か今かと待っていたアドゥは公主の無事を確認して安堵したが、顧剣を睨みつける。ミロはとにかく皆で飲もうと提案、小楓とアドゥはその前に約束の薬酒を取りに行くことにした。顧剣と明月は思いがけず2人だけになった。「顧剣哥哥…まさか生きていたなんて」「嫣児(エンジ)…」「今は鳴玉坊の明月よ、陳嫣(チンエン)ではない、その名は捨てたわ…」しかし話の途中で小楓たちが戻って来た。小楓は涙ぐむ明月を見ると、妓楼でもめていた男たちのことなど気にやむなと励ます。とは言え高家と趙家は朝廷の名だたる重臣、まして高震(コウシン)は札付きの悪党だった。ミロの話では皆が高公子を恐れ、誰も懲らしめられないという。「明月姐姐(ジェジェ)、鳴玉坊を辞めたらどうだ?」「小楓の言う通りだ…明月姑娘(グゥニャン)、鳴玉坊を辞めるべきだ」顧剣はそれとなく助言したが、明月は行く当てなどないと言った。その夜、柴牧(サイボク)の屋敷に突然、顧剣が現れた。感動の再会とはならなかったが、柴牧はそれより衝撃的な話を聞くことになる。「嫣児に会いました」「…嫣児だと?生きていたのか?今どこに?!」「鳴玉坊です」柴牧は愕然となったが、ともかく顧剣に帰って来いという。しかし顧剣は″米羅(ミロ)酒楼″にいるとだけ伝え、再び出て行った。翌朝、翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)は裴照(ハイショウ)を連れ、まず戸部を調べることにした。すると鴻文館(コウブンカン)に小楓が酒甕を抱えてやって来る。小楓は翊王が自分のせいで風邪を引いたことから、西州(セイシュウ)の葡萄酒を使って薬酒を作ったと説明した。しかし李承鄞は快癒したので必要ないと断る。そこで裴照か時恩(ジオン)に預けようとしたが、翊王が受け取らない以上、2人ももらうことはできなかった。「2度も救ってくれて感謝してる!あなたと朋友になりたいだけよ!」「君が私に感謝している?」「当たり前よ、お礼に願いを叶えてあげる!」「どうやら感謝の気持ちは本物らしいな、願いはもう少し考えてみる」その時、九公主を探す女官・永娘(エイジョウ)の声が聞こえて来た。驚いた小楓は咄嗟に酒甕を李承鄞に押し付け、願い事を決めるよう告げて慌てて帰って行く。天真爛漫な九公主の後ろ姿を見送る李承鄞、しかし再び激しい頭痛に襲われた。一方、顧剣はミロの酒楼で泥酔していた。ミロは店の者に家まで送らせると声をかけたが、顧剣は家などないという。「…私も君と似たようなもの、さすらいの身だ」ミロは思わぬ指摘に、ふと安護府で裴将軍に見逃してもらった時のことを思い出していた。その頃、柴牧は鳴玉坊に忍び込んでいた。やがてひとりの美しい妓女が居所へ戻って来る。物陰から明月を見ていた柴牧は、確かに生き別れとなった娘だと分かった。小楓は第七公主・永寧(エイネイ)、第八公主・珞熙(ラクキ)と一緒に寿仁宮を訪ねた。すると太皇太后が退屈する小楓に出かけても良いと認めてくれる。そこで珞熙は明日、蹴鞠(シュウキク)の試合があると教えた。蹴鞠なら得意だと喜ぶ小楓だったが、ただ観戦するだけだと知る。「何だ~つまらない」しかし太皇太后は3人で見に行くよう促し、女官・桜喬(オウキョウ)に世話を任せた。翌日、観覧席に現れた小楓は永寧に勧められ、上座にいる皇太子に近い席に座った。すると対戦する紅の翊王組と白の李釅(リゲン)組が入場する。珞熙のお目当てはもちろん裴照、翊王の紅組に入っていた。その時、小楓は鳴玉坊で明月を取り合っていた2人の公子がいることに気づく。「ああ~あちらは右相・高于明(コウウメイ)の三子・高震 こちらは輔国将軍・趙敬禹(チョウケイウ)の息子で趙士玄(チョウシゲン)、瑟瑟(シツシツ)の哥哥よ」永寧から説明を聞いた小楓は、試合が始まると嫌な予感がした。「まずいまずい~高震が趙士玄に手を出すかも~」小楓が思わず不安を口にすると、皇太子はなぜそう思うのかと聞いた。慌てた小楓はただの勘だとごまかしたが、明らかに高震が趙士玄を狙っている。「趙士玄が危ないわ~高震に逆恨みされているのよ…」「何かあったの?」「アイヤー!鳴玉坊で妓女を巡り争ったの、高震は趙士玄に恨みを抱いてるわ」永寧に聞かれた小楓はうっかり口を滑らせ、皇太子は偶然にも面白い情報を手に入れた。小楓の心配が的中し、高震は故意に趙士玄の足を蹴って怪我をさせた。観戦していた瑟瑟は倒れた兄の元へ駆けつけ、皇太子に高震がわざと蹴ったと訴える。しかし李承鄞は同じ組の高震が大叔父の息子ということもあり、試合に怪我はつきものだと庇った。瑟瑟は翊王の態度に幻滅、趙士玄に手を貸そうとした翊王を突き飛ばすと、兄に付き添って行ってしまう。東宮に李釅が駆けつけた。高震と趙士玄は確かに明月を巡り何度も争っており、都では有名な話だという。また昨日の一件が原因で李承鄞は病と称し、昭仁(ショウジン)殿に閉じこもっているという噂もあった。すると皇太子は翊王の真意がいまひとつ分からないと首を傾げる。しかし趙家は高家と裴家には劣るが、西南一帯に影響力があると思い出した。趙家と高家が翊王の後ろ盾になればかなり危険だろう。李釅は李承鄞の趙瑟瑟への気持ちに裏があったと気づき、計算高いと驚いた。「私は見誤っていた…縁談を再考せねば」意外にも趙家に力があることを知った皇太子、ただ趙瑟瑟の翊王への想いが強ければ、かえって面倒なことになる。その時、思いがけず趙瑟瑟から贈り物が届いた。それは湖に落ちた時に借りた外套だったが、一緒に文が入っている。…太子殿下のお心遣いに感謝します、いずれ恩に報います…そんなある日、小楓は皇后の前でこれまで学んだ成果を披露することになった。しかし小楓は拝礼もぎこちなく、″女誡(ジョカイ)″の暗唱も失敗してしまう。皇后は方(ホウ)尚儀の怠慢だとし、罰として毎月の俸禄から銀4両を減らすと命じた。驚いた小楓は方尚儀を庇おうとしたが、永娘が口答えしないよう止める。すると今度は永娘まで皇后から叱られ始めた。小楓は咄嗟に立ちくらみを起こして咳き込むと、皇后は話を切り上げ、すぐ静養させるよう命じる。そこへ太監が駆けつけた。翊王は体調が悪いので挨拶に来られないという。報告を聞いた女官・容霜(ヨウソウ)は、実は宮中で翊王が恋の病だと噂されていると耳に入れ、蹴鞠大会で趙瑟瑟と仲たがいしたことが原因らしいと教えた。清寧(セイネイ)宮を出た小楓は自分のせいで罰を受けた方尚儀に謝った。「心を入れ替えて、これからはしっかり勉強するわ!」その言葉を聞いた方尚儀と永娘は大人になった九公主の言葉に笑みがこぼれる。すると方尚儀が初めて本音を漏らした。「宮中は掟が厳しく、辛い日もありました、公主がいらしてから光が差したように思います 公主は自由気ままで真面目とは言えませんが、一緒に過ごすと、とても楽しいです」小楓は急いで鴻文館へ駆けつけた。そこで李承鄞に皇后が瑟瑟を宮中に呼び出したと教える。小楓は朋友として報告に来たと説明したが、李承鄞は信じないと怒って出て行ってしまう。李承鄞は小楓の話が気がかりで清寧宮へ向かった。するとちょうど瑟瑟が門を出て石段を降りてくるのが見える。瑟瑟は皇后から本分を守れと叱責され、翊王につきまとうなと釘を刺されていた。何とか翊王との仲を認めて欲しいと懇願したが、皇后は翊王の妃なら魏(ギ)国公の孫娘になったと告げる。「翊王を思うなら二度と近寄らぬことね!」瑟瑟は深く傷ついて宮殿を出ると、李承鄞が駆けつけた。「母上に何か言われたのか?」「どうか自重を…殿下に嫁ぎたいなどと身の程、知らずでした、もう二度とお目にかかりません」その様子を皇太子の間者が見ていた。皇太子は嬋児(ゼンジ)から翊王と趙瑟瑟が別れたと報告を受けた。そこでこれを好機とばかりに深夜、密かに輔国将軍府を訪ねる。皇太子は娘の想い人が翊王なのか確認すると、趙敬禹は一時の気の迷いだったと答え、娘も苦い経験を通して皇太子こそ頼れる人だと気づくはずだと安心させた。「気持ちに応えねばな…娘に渡してくれ」皇太子は必ず娶るという証しに玉を贈ると、怪我を負わされた趙士玄の敵も討ってやると約束した。皇帝は朝議で再び鎮北侯(チンホクコウ)の人選について協議した。すると皇太子は大方の予想を裏切り、輔国将軍を推挙する。丹蚩を滅ぼした高顕(コウケン)では民心をつかめず、本当なら李釅を推したいが、重傷を負った身体では丹蚩の寒さに耐えられないからだ。皇帝は納得し、皇太子の進言通り趙敬禹を鎮北侯に封じると決める。つづく(^ꇴ^)今度は小楓が願い事を叶えてあげる番とは…チョンインも蛍を捕まえろと頼むかな?
2020.12.06
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东宫 Goodbye my princess第18話「水に落ちた2人」幼い頃から礼儀正し過ぎるあまり皇后と距離があった翊(ヨク)王・李承鄞(リショウギン)。しかし西域から戻ってからというもの、まるで実の親子のように遠慮なく接するようになっていた。この日も参内した折に皇后を訪ね、実は明日から宮中に戻ると伝える。実は高于明(コウウメイ)から朝議で丹蚩(タンシ)の駐屯について協議があるが、必ず都に残れと言われていた。予想通り李釅(リゲン)が自分を推挙したが、西域志の改訂を願い出て鴻文(コウブン)館裏の昭仁(ショウジン)殿に住むことになったという。宮中の沁香園(シンコウエン)で園遊会が開催された。曲小楓(キョクショウフウ)は第七公主・永寧(エイネイ)と第八公主・珞熙(ラクキ)と一緒に殿内にいたが、窓から皇子たちの姿が見える。「あ、見て!二哥たちが″曲水の宴″をしてるわ!」曲水の宴とは豊朝(レイチョウ)に伝わる風習で、毎年、禊(ミソ)ぎの後に皆で順番に詩歌を詠む遊びだ。上流から酒杯を流し、自分の前に酒杯が来たら、それを手に取って詩歌を詠む。小楓は朗読すらできないので無理だと断ったが、お酒が飲めると聞いて急に興味が湧いた。永寧たちが現れ、詠み人の人数が揃った。小楓は詩歌が詠めないと訴えたが、皇太子・李承鄴(リショウギョウ)は自分たちのように七言詩(シチゴンシ)でなくても構わないという。すると李承鄞が一巡目の上の句は天気と風景を詠み、下の句は草木と獣でと題目を決めた。一番最後の小楓は皆が順番に詠む句を聞きていたが、何のことやらちんぷんかんぷん、当然、まともに詩が詠めるはずもなく、大恥をかいてしまう。曲水の宴がお開きになった。永寧と珞熙はただの遊びだと小楓を慰めていたが、そこへ趙瑟瑟(チョウシツシツ)がやって来る。瑟瑟は自分も6歳で七言詩を始め、習得に1ヶ月もかかったと話し、九公主も自然と身につくと励ました。しかし瑟瑟を嫌う永寧は、6歳で習得したという自慢話かと嫌味をいう。気まずくなった瑟瑟は下がったが、永寧はたかが将軍の娘のくせに目障りだとぼやいた。皇太子は五弟と散策していた。そこで朝議で西域志の改訂を願い出たが、進んでいるか聞いてみる。李承鄞はどれも不完全で細部は洗い直しが必要なため、難航していると説明した。すると偶然、小楓たちが現れる。「何のお話ですか?」皇太子は五弟が鴻文館で西域志を改訂していると教えた。鴻文館に故郷の西域の地図や史書があると知った小楓は目を輝かせ、手伝いたいと申し出る。しかし未来の皇太子妃に仕事など頼めるわけもなく、李承鄞は皇太子にお伺いを立てた。「公主、史書改訂は国事だ、公主の身分で携わるのは適切ではない」「邪魔はしないわ~西州に関する書物を読みたいだけなの~ それに西域志の改訂は両国の悲願よ?私も協力したい! 史書が不完全なんでしょう?私は西州で育ったから詳しいわ!どうかしら?」皇太子は仕方なく折れ、皇帝に聞いてみると話した。その頃、アドゥの居所に永娘(エイジョウ)がやって来た。永娘は衛兵に取り上げられていた短刀を返し、豊朝の衣を渡す。すると永娘は侍女の不用意な行動が九公主に累を及ぼすと指摘し、どうすべきか分かるはずだと言い聞かせた。永寧は射的遊びなら得意なはずだと小楓を連れて湖に出た。参加者は湖に浮かんでいる鴨人形に弓を当て、太監が当てた本数を数えてくれる。そして最下位は罰として湖に入って矢を拾うことになっていた。小楓は名誉挽回とばかりに永寧と参加し、見事に優勝する。<黄矢の勝ち~!矢を拾う者は赤矢~! (*≧∀≦)人(≧∀≦*)yay♪すると最下位の赤矢は瑟瑟だった。瑟瑟は罰として小舟に乗り、矢を拾うことになった。「へえ~あれが舟なのね?初めて見たわ!ふふふ!」小楓は楽しそうな舟に乗ってみたくなり、ちょうど涼亭の前を通り過ぎようとしていた舟の後ろに飛び乗ってしまう。そのはずみで舟は大きく揺れ、小楓と瑟瑟は一緒に湖に落下した。湖での騒ぎに皇太子や李承鄞たちが気がついた。李承鄞は瑟瑟が溺れていると知って咄嗟に飛び込んだが、なぜか無意識に小楓を助けてしまう。「目を開けろ!しっかり!」そこへ太監たちに助けられた瑟瑟が現れた。気まずい李承鄞は自分の外套を貸そうとしたが、その前に皇太子が自分の外套を脱いで瑟瑟に掛けてしまう。「五弟、出かしたぞ、おかげで九公主が助かった」しかし瑟瑟の李承鄞を見る目は冷たかった。小楓が湖に落ちたと聞いて慌ててアドゥが寝所に駆けつけた。公主たちの話では舟に飛び乗ろうとして湖に落ちたが、幸いにも翊王が引き上げてくれたという。李承鄞が公主を助けたと耳にしたアドゥはまさかと驚いたが、記憶が戻るはずもなかった。アドゥは夜通し公主に付き添った。すると翌朝、小楓が目を覚ます。「アドゥ…私は前に翊王と会ったことがある?なぜ翊王は私を助けたんだろう?」しかしアドゥはただ首を横に振ることしかできなかった。湖に飛び込んだ李承鄞は風邪を引いた。すると太医は幼少から身体を鍛えているため回復も早いはずだと訝しむ。「殿下、極寒に襲われたり、五臓を痛めたことがありますか?」仕方なく裴照(ハイショウ)は北の凍原で丹蚩兵を追撃中に負傷したと説明した。太医は納得し、その時の傷が根治しておらず、ぶり返して微熱が続いているのだという。しかし太医が帰ると、李承鄞はどうしても解せないことがあると切り出した。「私は瑟瑟を救おうとした、なのに…救ったのは瑟瑟ではなく九公主だった」「…水が濁っていたゆえ、見間違えたのです」「んなこたあない、はっきり見たんだ…」なぜか九公主に会うと胸が苦しくなって頭痛がする李承鄞、その時、時恩(ジオン)がやって来た。「趙小姐(シァオジェ)がお見えです」瑟瑟は翊王が風邪を引いたと聞いて薬を届けに来た。李承鄞は湖での失態を謝ろうとしたが、瑟瑟は自分の名節を汚さぬよう2人の仲を隠すためだったと理解を示す。「将来の皇太子妃を先に救うのは当然です」「ありがとう、瑟瑟」鴻文館に小楓がやって来た。時恩は九公主を翊王の元へ案内したが、李承鄞は小楓の顔を見た途端、胸を押さえて苦しみ始める。驚いた小楓は慌てて駆け寄ったが、李承鄞は近寄るなと止めた。小楓はよく分からなかったが、ともかく帰ることにする。「…おつらそうなので、これで失礼します」李承鄞は小楓の背中を見つめながら、動揺を隠せなかった。…どういうことだ?なぜ急に胸が締め付けられる?…その夜、湯浴みしていた小楓は湖の中を泳いで来る李承鄞の姿を思い出していた。なぜ李承鄞は自分を助けたのか。どこかで同じような光景を見たような気もする。しかし思い出そうとするとなぜか頭が痛くなった。小楓は風邪を引いた李承鄞のため、極上の葡萄酒で熱冷ましの薬を作ることにした。そこでアドゥと王宮を抜け出し、ミロの店に行くことにする。裴照はすぐ配下に九公主の後をつけさせると、胡嘯(コショウ)も早速、柴牧(サイボク)に報告した。「先生、九公主を新入りに尾行させました、高右相を恨む者たちです、二心はありません」柴牧が部屋に戻ると、李承鄞が待っていた。李承鄞は全官署の通行令牌を差し出し、史書改訂を願い出たのはこれを手に入れるためだったという。今はまだ鴻文館で作業しているが、後日、刑部・戸部・吏部で皇太子の文書を調べる予定だ。二兄は勢力を伸ばすため大金を使ったはず、まずはそこから調べることにする。いくら隙のない皇太子でも、手下からならボロが出るかもしれない。「まずは李釅(リゲン)からだ、なぜ兵部侍郎の座を捨て、畑違いの戸部主事になったのか…」すると柴牧は早速、配下に李釅を探らせることにした。「必ず尻尾をつかみます」「ところで先生、表哥の消息は?」柴牧は首を横に振ったが、強者の顧剣(コケン)なら無事だろうと安心させた。その頃、街へ出た小楓は目立たないよう横道に入った。しかしふと気がつくとアドゥの姿がない。驚いた小楓は引き返したが、その時、見知らぬ侠客が現れた。「あなた…」「思い出したか?」小楓はあの時の賊だと気づいて逃げ出そうとしたが、顧剣に点穴されてしまう。「シァォフォン、数ヶ月ぶりだが相変わらずだな~騒がぬと約束するなら唖穴(アケツ)を解こう」顧剣が小楓の首元を突くと、小楓はようやく声が出た。「なぜ私の名前を?あなた誰?!」「私を忘れたのか?」「もしかしてあなた…爹(ディェ)の配下?それとも阿翁(アウォン)の配下?」「いいや、顧剣だ、半年近く君を探したんだ」「どうして?知り合いなの?」「恋人同士だった、誓いの物も交わし、駆け落ちの約束も… だが仲たがいして君は逃げた、そして盗賊に遭い、頭に傷を負って私を忘れた 私を忘れてもいい、もう一度、愛させるから」「頭おかしいんじゃない?最近のことは忘れたけど、昔のことは覚えているわ 駆け落ちの約束をしたなら付き合いは長いはず、なぜ覚えていないの? …とにかく大事な用があるの!早く解いて!」「どんな用だ?手伝ってやる」「…お酒を買うの」「はお!付き合おう、酒を買ったらアドゥを返すよ」小楓は顧剣を連れてミロの酒楼にやって来た。そこで風邪を引いた友人のために西州の冷えを取る薬酒が欲しいと頼む。ミロはちょうど取り寄せたところだと教えたが、そこへ鳴玉坊(メイギョクボウ)の妓女が駆け込んできた。「高公子が酒が欲しいと騒いでいます」すると小楓が忙しいミロに代わり届けるという。驚いた顧剣は小楓が行く所ではないと止めたが、小楓は酒甕を受け取って妓女と出て行った。鳴玉坊では高于明の三子・高震(コウシン)と瑟瑟の兄・趙士玄(チョウシゲン)が妓女・明月(メイゲツ)の身請けを巡って争っていた。酒を持って来た小楓は2人の正体を知らないまま仲裁に入り、そもそも明月から身請けの承諾を得たのかと聞く。憤慨した高震は生意気な若造に殴りかかろうとしたが、駆けつけた顧剣が高震を突き飛ばした。「皆ここへ遊興に来ているんだ、騒ぎを起こすな、明日、出直して来い」その時、めったに顔を出すことがない明月が現れた。明月は体調を崩しているため相手ができないと断り、自分のために争わないよう訴える。高震と趙士玄は明月に嫌われたくない一心で帰って行ったが、顧剣は明月の顔を見てぼう然と立ちすくんだ。つづく( ๑≧ꇴ≦)師父…
2020.12.06
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东宫 Goodbye my princess第17話「立太子の詔」退屈な宮中を抜け出して街に飛び出した曲小楓(キョクショウフウ)とアドゥ。偶然にも西州出身の女将・ミロの酒楼に入り、同郷同士で話がはずむ。小楓は咄嗟に周西(シュウセイ)だと偽名を使い、まだ都に来たばかりだと言った。「私たちが都へ来たのは~その~つまり~叔父に会うためさ!」ミロは気の合う2人との出会いを喜び、いつでも遊びに来て欲しいと歓迎した。「そうだ、都には3つのお宝があると言ってたな?で、鳴玉(メイギョク)坊とはどんなところだ?」鳴玉坊は酒楼の正面の店だが、小楓は妓楼が何か分からず聞いた。ミロは美女がいるところだと説明し、料理や酒はこの酒楼から届けているという。「重要なのは料理の味じゃなくて…妓女の美しさや芸の腕だから」「ああ~…そういう店か」何でも鳴玉坊には明玉(メイギョク)という売れっ子がいて、″芸は売れども身は売らず″が信条だという。会うだけでも数ヶ月、待っている客もいるのだとか。「本当に?!会いに行こう!」「あはは~女子が行っても門前払いされるわ」ミロには全て見透かされていた。その時、鳴玉坊の女将がミロに酒を持って来てくれと叫ぶ声が聞こえる。ミロは慌てて酒甕を手に飛び出して行くと、高(コウ)という公子と女将がもめていた。どうやら今夜も明月に会えず、高公子はひとしきり暴れて帰ってしまう。小楓とアドゥは店の前で心配そうに見ていたが、ミロはいつものことだと笑った。「そろそろ帰るよ、また来る…ミロ、私は小楓だ」ミロは明るく素直な小楓を笑顔で見送ると、2人を密かに警固していた裴照(ハイショウ)が現れた。「まだ西州の間者を?」「もう和親が成立したわ、私みたいな小物はお役御免よ」ミロはせっかく再会したので酒でも飲もうと誘ったが、裴照は安護(アンゴ)府の時と同様、黙って行ってしまう。一方、偶然にも西域の老人に助けられた顧剣(コケン)は回復し、恩人に別れを告げていた。皇弟・忠(チュウ)王と重臣たちは皇帝に世継ぎ選びを急かしていた。皇帝はまるで自分の健康状態が不安とでも言いたげだと機嫌を損ねたが、確かに忠王の言い分にも一理ある。丹蚩(タンシ)滅亡で西域諸国に不安が広がぬよう西州と和親を結んでおきながら、九公主が来てから数ヶ月過ぎても皇太子は決まらず、婚儀は先延ばしになっていた。そこで忠王は皇后に嫡子がないなら″長幼の序″だと進言、年齢で考えれば二皇子の宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)が妥当だという。また丹蚩との戦で大きな手柄を立て、誰よりも人望が厚いのも事実だった。悩んだ皇帝は右相・高于明(コウウメイ)に世継ぎについて相談した。すると驚いたことに高于明は皇子の中で一番の年かさである宣徳王を推挙する。そこで皇帝は丹蚩で戦功を挙げた翊王も悪くないと牽制した。高于明は大叔父として翊王を推したいのは山々だが、世継ぎは国の大事、若く経験の浅い翊王には荷が重いという。これで皇帝の心は決まり、李承鄴は念願叶って立太子の詔を賜った。その頃、方(ホウ)尚儀は覚えの悪い九公主に手こずっていた。すると女官・永娘(エイジョウ)が駆けつけ、宣徳王が皇太子となり、100日後に婚礼の儀だと報告する。一方、皇太子の座を逃した李承鄞(リショウギン)は独り、がらんとした東宮を眺めていた。ちょうど通りかかった裴照が気づき、そろそろ要人たちが祝辞を述べに来ると声をかける。「明日、二哥が東宮に入られる、新しい主としてな… 裴照、西州から戻って以来、お前と話しがしたかった だが何をどう話すべきなのか、よく分からなくてな」「ご安心を…幼い頃、心に固く誓いました、私の主はあなた独りだと… 野望を抱いていても構いません、豊朝(レイチョウ)のために動けばよいのです 私は殿下のおそばにいます」高坤(コウコン)はさすが父だと称賛した。皇帝の懸念を晴らし、その意向に添いつつ、宣徳王をあえて矢面に立たせるとは…。高于明は″出る杭は打たれる″と話し、忠王が焦って宣徳王を皇太子にしたことが裏目に出ると踏んでいた。「他の皇子たちはかなり焦っているはずだ、宣徳王の弱みを探しているだろう」立太子も廃太子も皇帝の一存で決まるもの、まだどうなるか分からない。すると高坤は李釅(リゲン)が戸部へ配属になったと報告した。寝支度をしていた小楓はふと2度しか会ったことがない宣徳王に嫁ぐのかとぼやいた。確かに人柄も良く、品のある素敵な人だと分かっているが、一緒にいると息が詰まりそうになる。あの堅苦しい性格の相手と一生を共にするのだろうか。「西州に帰りたい…でもダメなの、家族や西州の民を守らなくちゃ」アドゥは記憶を失った公主が愛してもいない男に嫁がねばならないと思うと胸が痛んだ。「アドゥ~また泣いてる!いいのいいの、心配させてごめん、ミロの店に行こうか?」2人は攬月(ランゲツ)閣を抜け出そうとしたが、運悪く永娘たちが現れ、慌てて引き返した。永娘は太皇太后から夜食の差し入れが届いたと伝えた。女官の話では宮中に賊が現れたため、警備が強化されているという。どうやらしばらく宮中を抜け出すことは無理らしい。その夜、寝付けない小楓は窓を開けて月を眺めていた。しかしふと月明かりの下、木の枝に白い影を見つける。「はっ!賊だわ!」驚いた小楓は慌てて窓を閉めることにした。するとその時、賊が部屋に飛び込んで来る。ヾ( ๑≧ꇴ≦)ノ<うわあーっ!顧剣は咄嗟に小楓の口を手で抑え、もう一度だけ信じて欲しいと訴えた。「シァォフォン、愛していない男に嫁いではダメだ!」その時、小楓の悲鳴に気づいたアドゥが駆けつける。顧剣とアドゥは互いに驚いて一瞬、立ちすくむと、その隙に小楓は窓から逃げ出した。「誰か!誰か来て!刺客に襲われたの!」小楓は衛兵を連れて戻って来たが、すでに刺客もアドゥもいなかった。すぐに裴照が寿仁宮の部屋をしらみつぶしに探し始めると、永娘はアドゥの居所なら必要ないと見逃してくれる。実は顧剣はアドゥの居所の梁(ハリ)に隠れていた。顧剣は梁から飛び降りると、小楓が自分を覚えていなかったと訴え、なぜ和親に承諾したのか尋ねる。しかしアドゥは声が出ないと教え、ただ泣くことしかできなかった。李承鄞は柴牧の屋敷で将棋を打っていた。すると柴牧が高于明が皇帝の意向に沿ったと見せかけて皇太子を矢面に立たせたと指摘する。李承鄞には意味が分からなかったが、柴牧は他人の駒になるのが嫌なら自ら打って出るべきだと助言した。「高右相と組めと?」「太子一派の勢力拡大を望まない高右相は、殿下を切り札として使いたいはずです 高右相は殿下の大きな力となりましょう、味方につけて太子の座を奪うのです」そこへ裴照が訪ねて来た。実は先ほど宮中に男が侵入、顧剣ではないかという。しかし記憶のない李承鄞はなぜ柴牧を訪ねず、顧剣が王宮に現れたのか分からなかった。裴照は門前で王府に戻る翊王を見送った。すると思った通り物陰に潜んでいた顧剣が現れる。「一体、何があったのか教えてくれないか?」「九公主が忘川に飛び込んだ、翊王もその後を追ったのだ 九公主と翊王は愛した人の記憶が消えている、アドゥは自ら毒を飲んだ」「だから私を忘れていたのか…何ということだ」顧剣は自分がここに来たことは他言無用だと釘を刺し、再び闇に紛れた。李承鄞は早速、相府を訪ね、高于明に接触した。そこで丹蚩で大功を立てられたのも高顕(コウケン)のおかげだと感謝する。現在、丹蚩の残党が国境で暴れているが、ちょうど父皇が丹蚩を治める将軍を探しているため、高顕を推挙すると話した。しかし高于明は誰が丹蚩を治めようと構わないという。「ただあなたは絶対に都に残らねばなりません 太子は宣徳王に決まりましたが、備えを怠らなければ大切な時に力を発揮できます」すると高坤が先日、李釅が仏像を作るという理由で多額の金を申請したと報告した。仏像の管理といえば戸部の仕事だが、実は忠王から息子に仏像の管理を任せて欲しいと頼まれ、李釅も先日から戸部で働いているという。「私は戸部尚書ですが、疑いがあっても内部の者は調べにくいのです…」高坤は翊王に李釅が何を企んでいるのか調べてもらえないかと頼んだ。皇帝は朝議で西域を熟知した者を選び、鎮北侯(チンホクコウ)に封じて丹蚩を治めさせると決めた。そこで翊王は高顕を推薦したが、李釅が身内を推すのかと揶揄する。すると高于明が予想していた通り、李釅は丹蚩で勝利できたのも翊王のおかげだという理由で李承鄞を推挙した。李承鄞は荷が重すぎると辞退したが、確かに西域に半年ほど暮らして理解を深めたと認め、この機に西域の地方志を改訂したいという。皇帝は李承鄞の堂々とした上奏に感心し、改訂を認めて人選については改めて話し合うことにした。李承鄴は東宮へ戻った。すると李釅は李承鄞が女子のために高い地位と軍の指揮権を蹴ったと呆れる。しかし李承鄴は五弟が一度でも都から離れたら権力中枢に戻れないと分かっているからだと否定した。李承鄞が引き受けてくれれば安心できたが、拒否した以上は用心する必要がある。「何か企んでいるはずだ、翊王府を見張れ」つづく(^ꇴ^)師父wwwいちいち笑かすのやめて~(←違うけどw
2020.12.05
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东宫 Goodbye my princess第16話「あなたは誰?」豊朝(レイチョウ)の第七公主・永寧(エイネイ)は宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)に狩りに行きたいと懇願した。実は永寧は二兄が皇太子に有力だと予想し、この機に皇太子妃に決まっている曲小楓(キョクショウフウ)と引き合わせようと考えたのだ。すると李承鄴は退屈だという九公主のため、明日の狩りに同行できるよう口利きすると約束した。その頃、趙瑟瑟(チョウシツシツ)は明日の装いを選んで父と兄に披露していた。趙士玄(チョウシゲン)は美貌の妹を褒め、あの高潔な翊(ヨク)王さえ妹に心を動かされているとからかう。すると輔国(ホコク)将軍・趙敬禹(チョウケイウ)が翊王と距離を置くよう釘を刺した。東宮の主にふさわしいのは宣徳王、娘が宣徳王に嫁げはいずれ貴妃になれると期待する。「翊王は皇后の嫡子ではない、背後には皇上の恐れる右相・高于明(コウウメイ)がいる 皇上は高氏が朝政を牛耳ることを決して許さぬ 翊王に嫁いでも東宮の座を逃せば辺境に送られるのが落ちだ」しかし瑟瑟は翊王が好きだと宣言し、愛する人と添い遂げることを願った。アドゥは狩装束を着たくないと拒んだ。筆頭女官・永娘(エイジョウ)は太皇太后に寵愛されていても、さすがに皇帝の前で丹蚩の装いでは不敬だという。そこで小楓は今回だけアドゥを留守番させ、永寧たちと狩り場へ出発した。宣徳王は三弟の栄(エイ)王・李承玟(リショウブン)と四弟の允(イン)王・李承沅(リショウゲン)に九公主を紹介した。五弟の姿はなかったが、どうやら将軍の娘と会っているらしい。すると永寧は二兄と小楓を組ませるため、早々に珞熙(ラクキ)を連れて消えた。しかし小楓は宣徳王の誘いをあっさり断り、永寧と組むと行って馬で駆けて行ってしまう。これには李釅(リゲン)も呆気にとられた。「誠に無礼だ…」一方、永寧は珞煕を想い人の裴照(ハイショウ)のもとまで引っ張って行った。「裴将軍、珞煕は騎射ができないの、妹の指導をお願いしたいんだけど?」「分かりました」公主の頼みごとでは裴照も断るわけにいかなかった。その頃、李承鄞(リショウギン)はようやく宮中で瑟瑟を見つけた。てっきり自分と組んで狩りに参加すると思っていたが、瑟瑟は騎射ができないと困惑する。そこで李承鄞は瑟瑟のために兎を捕まえて来ると約束し、急いで狩場に向かった。騎射が得意な小楓は久しぶりに山の中を駆けて楽しんだ。小楓と永寧はなかなか獲物を見つけられなかったが、やがて永寧が何か思いつき、1人でどこかへ行ってしまう。仕方なく小楓は森の中を進んで行くと、ようやく鹿を見つけた。矢をつがえて弓を構える小楓、しかし別の方向から物音が聞こえ、何かがこちらに向かって来る。そこで小楓は咄嗟に向きを変えて矢を放ったが、飛び出してきたのは青年だった。「あなた誰?」「君は誰?」李承鄞は仕留めた鹿を抱えて馬に戻って来たところ、いきなり小楓の矢がかすめた。「ここは皇室の狩場だ、民は入れぬ」「私は西州の九公主よ」「ああ~そなたが九公主か、将来の皇太子妃」「分かればいいわ、私への無礼は太皇太后が許さないから」「ふっ、随分と失礼な物言いのお嬢さんだ、私を誰だと?父は豊朝の皇帝、そして母は皇后…」それはかつて西州で初めて小楓と顧小五(コショウゴ)が交わしたやり取りとよく似ていた。「…私は豊朝の第五皇子・李承鄞だ」すると小楓は急に胸が苦しくなり、卒倒して落馬してしまう。李承鄞は慌てて九公主を抱き起こしたが、九公主の顔を見ているとなぜか激しい頭痛に襲われた。宣徳王や永寧たちが狩りを終えて戻ってきた。趙敬禹は娘を宣徳王と引き合わせるべく、早速、挨拶に向かう。するとそこへ李承鄞が九公主を抱きかかえて走って来た。「太医!太医!」太医の見立てでは九公主は驚きのあまり卒倒しただけだった。目を覚ました小楓は第五皇子を心配したが、付き添っていた永寧が無事だと安心させる。すると永寧は太皇太后から許しがあり、小楓は宴に出席せず、休むよう告げた。継徳(ケイトク)殿で酒宴が開かれた。狩りは獲物の数で第二皇子の勝利で幕を閉じたが、珞煕は思わず小楓を助けなければ五兄が勝っていたと漏らす。すると皇帝は今日の獲物をここにいる誰かに贈るよう命じた。第三皇子は母へ、第四皇子は太皇太后へ贈ると答えたが、第二皇子は政敵であるはずの皇后に贈るという。「皇后娘娘は母たる者の模範であり、天下の民の母であります 民を代表して皇后娘娘の恩に感謝いたします」李承鄞は二兄に先手を打たれた。しかしそこで思いがけない相手を選ぶ。「私は亡き兄上に代わって兄上の母である恵(ケイ)貴妃に贈ります」宴席は水を打ったように静まったが、太皇太后が本当に優しい子だと李承鄞を褒め、恵貴妃も涙を浮かべて感激した。その時、永寧が父皇に自分の獲物の百霊(ヒャクレイ)鳥1羽を献上すると申し出る。「私の獲物は天を舞う鳥、珍しいものです、しかも動きが早く、捕獲に苦労しました」皇帝は永寧の贈り物を気に入ったと失笑し、褒美を授けた。その夜、皇帝はまた持病の頭痛に苛まれていた。すると皇后が香を焚いてくれる。太医の薬はその場しのぎで根治できず、痛みが和らぐのは皇后の香だけだった。そこで皇后は今日の李承鄞の言葉を持ち出し、本当に情け深い子だと喜んでみせる。皇帝も第五皇子が西域から戻ってから大きく成長したと感心し、皇后が我が子のように慈しんで育てたのだと理解を示した。方(ホウ)尚儀の皇太子妃教育は続いた。小楓は頭に水を入れた器を乗せて静かに歩く練習をしては器を落とし、″空首(クウシュ)の礼″ではつんのめって手をついてしまう。何より小楓が困惑したのは、豊朝では男尊女卑ということだった。皇太子妃は必ず皇太子の後ろを歩き、婚礼での拝礼も皇太子より先に、より深く頭を下げなければならない。「どうして?!西域では大方、女尊男卑なのに~男は女に従うものよ?」「ここは豊朝です!公主も豊朝の掟に従ってください!」皇太子役の方尚儀は小楓にもっと頭を下げろと指示、やがて頭を上げるよう合図すると、急に身体を起こした小楓の頭が顔に激突してしまう。「あ~ごめんなさい!だって頭を上げてって言ったから…わざとじゃないの~(´◔౪◔)プッ」小楓は必死に謝ったが、方尚儀は鼻血を出した。焦った永娘は少し休憩しようと提案し、その間は公主に習字を学ばせるという。小楓は堅苦しい作法にへき易した。その時、永娘はうっかり西州の自由な暮らしが恋しいからだろうと口を滑らせる。小楓は急に寂しそうな顔になり、永娘は慌てて習字を始めようと言った。「今、何をお考えに?」「今は…家よ」そこで永娘は″家″という漢語を教える。小楓はお手本を見ながら漢語を書いてみたが、しみじみ家が恋しいと漏らした。すると墨をすっていたアドゥが急にポロポロと泣き始めてしまう。第五皇子に滅ぼされた丹蚩、勇士だった兄の姿、しかし九公主は覚えていない。小楓はアドゥも故郷が懐かしいのだと思い、思わずアドゥを抱きしめた。「アドゥ 、泣かないで、私まで悲しくなっちゃう…ゥッ…」その頃、西域の人里離れた荒野の古家で顧剣(コケン)が目を覚ました。「私はなぜここに…」「崖から落ちて2ヶ月も眠っていたのだ、常人の身体ではここまで持たなかった」「2ヶ月も…」李承鄞は寝つきが悪いという太皇太后のため、西域の安眠香を届けた。ひ孫の気遣いに喜ぶ太皇太后だったが、ここ数日は毎晩のように明遠(メイエン)が夢に出て来ると涙する。李承鄞は叔母の墓なら天亘(テンコウ)山にあり、豊朝の方角を見渡せると話して曽祖母を慰めた。そこへ時恩(ジオン)が主を迎えにやって来る。李承鄞はそこで急ぎの用があると断り、名残惜しそうな太皇太后に別れを告げた。小楓とアドゥは男装し、今日こそ宮中を抜け出すことにした。その機会を探っていると、ちょうど屋敷に戻る第五皇子を見かける。「あ、王爺(ワンイェ)、令牌を寿仁宮に忘れて来ました…」「構わぬ、実は令牌なしで出られる門がある」小楓は良い話を聞いた。李承鄞は自分の車の後ろに2人が座っていると分かっていた。しかしそのまま見逃してやる。小楓とアドゥは街の中心街で車から飛び降りると、西州の曲が聞こえて来る″米羅(ミロ)酒楼″という店に飛び込んだ。李承鄞の急ぎの用とは瑟瑟との待ち合わせだった。瑟瑟の手を取る李承鄞、すると瑟瑟は手のひらが豆だらけになっている。実は李承鄞の狩りにお供できなかったことを悔やみ、瑟瑟は兄から騎射を習っていた。すると李承鄞は先日の狩りで獲物を貴妃に捧げてしまい、瑟瑟に贈るという約束を破ったと詫びる。しかし瑟瑟は翊王の優しい心に胸がいっぱいになったと伝えた。小楓は西州の音楽を楽しみ、アドゥと酒を飲み始めた。そこへ女将が挨拶に現れ、ミロという名前で西州人だと教える。小楓は自分たちも西州人だと喜んだが、咄嗟に周西(シュウセイ)だと名乗った。「周公子ねえ?…都にはお宝が3つあるのをご存じ? 万佛(マンブツ)寺の灯明に鳴玉(メイギョク)坊の美女、そしてこの米羅酒楼の美酒よ」ミロは都へ来て1年なるにが、見ない顔だと2人を訝しむ。「私たちは来たばかりなんだ、私たちが都へ来たのは~その~…」つづく( ๑≧ꇴ≦)しふーっ!生きてたー!でも分かってた(笑で、そのモサモサは何?wミロって丹蚩の間者だと思っていました…訂正します┏○゛
2020.11.30
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东宫 Goodbye my princess第15話「忘却の彼方に」顧剣(コケン)は天亘(テンコウ)山の崖から転落した。呆然としていた曲小楓(キョクショウフウ)だったが、アドゥは公主の手を引いて先を急ぐ。すると2人は洞窟を見つけ、そこへ逃げ込んだ。しばらくすると、小楓を追っていた李承鄞(リショウギン)と裴照(ハイショウ)たちが同じ洞窟にたどり着く。「シァォフォン!シァォフォン!」小楓は洞窟にこだまする顧小五(コショウゴ)の声を聞いて焦った。2人は咄嗟に走り出したが、霧で視界が悪い上、迷路のような洞窟ではぐれてしまう。アドゥは小楓を探していたが運悪く李承鄞たちとかち合い、裴照と手合わせになった。李承鄞はアドゥを裴照に任せて小楓を探し始めた。すると偶然、小楓が落とした薄絹を発見、さらに先へ進むとやがて外に出る。その時、小楓はちょうど大きく曲がって崖から突き出した木の上に立ち、下の川を眺めていた。「シァォフォン!」「ほら、本当にあったわよ、忘川…」洞窟の奥には伝説の通り、石林に大きな滝があり、美しい花畑が広がっている。「シャオフォン…こっちへおいで!早く、こっちへ!」「グゥシャオウ、また蛍を100匹捕まえてよ、そうしたら戻るわ」「シァォフォン、分かるだろう?無理だ…でも中原に行けば蛍がいる! 一緒に行こう!私と一緒に…」李承鄞は小楓をなだめながら木の上に乗った。しかし小楓はじりじり後ろへ下がってしまう。「はお!望みは何でも叶える!だから戻って来い!」「…忘川に飛び込んで水を飲めば、本当に愛も苦しみも全て忘れられるのかしら?」「シァォフォン!川に飛び込んだら西州を滅ぼすぞっ!いいのか?!」「あなたには無理よ、確かに西州は小さな国だわ でも西州を滅ぼせば豊朝(テイチョウ)の国境は治安が不安定になる、ふっ …グゥシャォウー、私はあなたを見誤った 寄る辺を失って苦しんでいるのは天神からの罰なのね 生生世世(ショウジョウセゼ)、あなたのことを忘れてしまいたい…」その時、ついに小楓は木から飛び降りた。( ∩≧ꇴ≦∩<シャオフォォォォォォ~ン@珍しい横飛びタイプw李承鄞は咄嗟に飛び出し、かろうじて小楓の片手をつかんだ。「つかまれ!両手でつかまるんだ!」しかし小楓は自分の手首を握っている顧小五の指を無理やり外し始める。「…シァォフォン?!何をしている!やめろーっ!」李承鄞の説得も虚しく、小楓は自ら落ちて行った。その時、ようやく裴照が洞窟を抜けて駆けつけたが、第五皇子が木から飛び降りる瞬間を目撃する。「五皇子ーっ!!!」李承鄞は落下して行く小楓を必死に捕まえようと手を伸ばした。すると小楓の首飾りに手が届く。それは丹蚩(タンシ)で2人だけの婚儀を行った時、顧小五が小楓に渡した思い出の首飾りだった。…これを君に、掌中の珠のように君を慈しむよ…しかし首飾りだけが外れ、小楓を捉えることができない。(((( ๑≧ꇴ≦)_。<シァォフォォォォォォォォォォォン! ((((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃しかしついに李承鄞は小楓の腕をつかみ、抱きしめることに成功した。「私も行こう…共に忘れるんだ…」こうして小楓と顧小五は忘川に落ち、水中に沈んで行く。忘川の水を飲んだ2人は意識が遠のく中で記憶をさかのぼり、出会う前に戻って愛する人を忘れて行った。湯浴みを終えた小楓は漢服に身を包んだ。あれから1ヶ月、小楓は未来の皇太子妃としてアドゥと共に豊朝の宮中で暮らしている。すると豊朝の第七公主・永寧(エイネイ)が小楓の寝殿にやって来た。永寧は地方から戻って来た妹の第八公主・珞熙(ラクキ)を紹介し、早速、札遊びをしようと誘う。しかし中原の遊びに疎い小楓は相変わらず負けてばかりだった。すると永寧と珞熙が兄のうち誰が小楓にふさわしいか話し始める。小楓は2人の噂話を聞きながら、ふと宮中に来た時のことを思い出していた…豊朝に到着した小楓はアドゥと一緒に清寧(セイネイ)宮で皇后・張玫娘(チョウバイジョウ)に拝謁した実は豊朝への道中で使者・安国公の一行が賊に襲われ、皆は殺されたという小楓とアドゥは第五皇子に救われたが、アドゥは毒を盛られて声を失い、小楓は記憶を失っていた太医によれば記憶喪失は一時的なもので、体調が回復すれば記憶が戻るかもしれないという…忌まわしい記憶なら思い出せなくても構わないわ…太皇太后は愛らしい小楓を気に入った九公主には信頼できる女官・永娘(エイジョウ)を付け、すでに居所は寿仁(ジュジン)宮にある攬月(ランゲツ)閣に決めたというするとちょうど永寧が曽祖母へ挨拶にやって来た太皇太后は溺愛する永寧に小楓を紹介、同じ年頃同士、姉妹のように助け合えると喜ぶ…その夜も小楓は西州に手紙を書いた。…阿爹(アーディエ)、阿娘(アーニャン)、宮中はとても良い所です、皆様が私を大切にしてくださいます…どうかご心配なく、誰に嫁ごうと両国のために務めを果たします…身勝手な真似はしません、宿命を受け入れ、都でおとなしく暮らします…阿爹、阿娘、お返事を待っています小楓は手紙を丸めて最後に封印を押すと、アドゥに届けるよう頼んだ。しかし記憶があるアドゥにとって、これは何よりも辛い務めとなる。アドゥは居所に戻るとこらえていた涙が溢れ出し、公主が書いた手紙をいつものように箱にしまった。(꒦ິ⌑꒦ີ)ブワッ…アドゥ…一方、翊(ヨク)王・李承鄞は自分の帰還を待っていてくれた趙瑟瑟(チョウシツシツ)と再会を果たし、交流を深めていた。ある日、街で出会った2人は今度の宮中の狩りで会う約束をする。しかし皇后は瑟瑟との付き合いを快く思っていなかった。李承鄞は瑟瑟と別れ、宮中の母に挨拶にやって来た。翊王に封じられてから李承鄞が朗らかになり喜んでいた皇后だが、皇太子になるためには九公主を娶る必要がある。「鄞兒、あなたの噂を聞いたわ、趙敬禹(チョウケイウ)の娘と親しくしているとか… 趙敬禹は輔国(ホコク)将軍だけど何の権力も持っていない 娘と恋仲になっても得することはないわ」すると李承鄞は噂を信じないよう訴え、彼女はただの幼なじみだと釈明した。太皇太后は方(ホウ)尚儀に小楓の教育を任せた。小楓は退屈で飽きてしまうが、自分の代わりに侍女のアドゥが罰を受けると知る。仕方なく小楓は未来の皇太子妃として堅苦しい宮中の礼儀作法やしきたりを学び始めた。そんなある日、食事の作法で事件が起こる。好物のゆで卵を見つけて大喜びの小楓、しかし食べるためではなく、実は脇の下にはさむと知った。すると方尚儀が両脇にゆで卵を挟んで上手に食べて見せると、次に小楓に食事を勧める。小楓は箸を持つ手が小刻みに震えていたが、ようやく料理をつかむことに成功した。その時、脇に挟んでいたゆで卵が落ちてしまう。慌てた小楓は思わず寝転がってゆで卵を捕まえたが、方尚儀は呆れて行儀が悪いと叱った。ついに我慢の限界に来た小楓はゆで卵で机を叩いて殻を割ると、方尚儀に反抗して手づかみで料理を食べ始めてしまう。方尚儀は太皇太后に九公主の教育係を辞退したいと申し出た。しかし太皇太后から方尚儀以上の適任者はいないと言われ、じゃじゃ馬の九公主をしっかり教育してくれるだろうとなだめられてしまう。「でも厳しすぎては駄目よ?あの子は本当に気の毒なの あの若さで故郷を離れ、賊に襲われた上に記憶まで失った」太皇太后は九公主が不憫でならないと話し、方尚儀を先に下げてから永娘に釘を刺した。「九公主のそばを片時も離れては駄目よ?丹蚩の滅亡と西州王妃の死が公主の耳に入らぬように…」李承鄞が翊王府に戻ると、柴牧(サイボク)が待っていた。側近の時恩(ジオン)の話では庭師と裏門から入ったため安全だという。すると柴牧は右相・高于明(コウウメイ)が李承鄞を支持していると教えた。しかし皇帝は高于明の勢力がさらに巨大化することを警戒し、権力の均衡を保つためにも李承鄞を簡単に皇太子にはしないという。片や第二皇子の宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)には皇帝の弟・忠(チュウ)王や重臣たちがついていた。その上、宣徳王は言動に隙がなく、皇帝の信任も厚い。李承鄞は兄弟の争いには否定的だったが、柴牧は争わずに成し遂げるのだと助言した。「で先生、表哥の行方は分かりましたか?」柴牧は黙って首を横に振った。攬月閣に永寧と珞熙がやって来た。実は明日、皇帝が皇子や招待客たちを連れて狩りに出かけるという。永寧は退屈する小楓のため、ちょうど参内している二兄に頼んで同行させてもらおうと提案した。その頃、宣徳王は曽祖母への挨拶を済ませて忠王や李釅(リゲン)と一緒に寿仁宮を出た。李釅は立太子の話が出なかったと不満を漏らし、皇帝が李承鄞を皇太子にするべく王に封じたのではと心配する。しかし忠王は成人した皇子が王に封じられるのは慣例だと否定した。そもそも皇帝に立太子の意志があれば、丹蚩との戦で著しい戦功あげた翊王の帰国後、すぐ決めたはずだという。立太子の件では焦りは禁物、どちらにせよ4人の皇子の中で全ての面で抜きん出ているのは宣徳王だ。するとそこへ妹の永寧と珞熙が西州の九公主を連れてやって来る。つづく(^ꇴ^)盛り上がったシーズン1が終わり、舞台も豊朝に変わってシーズン2へ!
2020.11.29
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东宫 Goodbye my princess第14話「小楓の決意」曲小楓(キョクショウフウ)とアドゥは焉支城(エンシジョウ)へ戻ったが、王宮はすでに高顕(コウケン)率いる安護府が制圧していた。西州(セイシュウ)王・曲文成(キョクブンセイ)は娘だけでも守ろうと高顕たちに立ち向かったが、小楓は尋常ではない父の姿に驚き、慌てて止める。父を抱きしめ泣き崩れる小楓、すると高顕は公主から国王を説得するよう頼んだ。「西州王は王后が世を去ってからよく錯乱状態に陥るんでね… 和親に応じるなら″王は正気を失い、誤って使者を傷つけた″と報告しよう そうすれば西州王は王座に留まり、豊朝(レイチョウ)の恩恵を受けられる」もはや小楓に選択肢などなく、明日の出立まで寝殿に監禁されてしまう。侍女たちが九公主の夕食を運んで来た。小楓は自分に仕えていた侍女ではないと気づいたが、母のことが気にかかる。「…母上の葬儀は?ゥッ…」「大妃は九公主のお戻りを待っていました…ですが中原の大臣が葬儀を急かし、王上の命で陵墓に…」「父王はいつからあのように?」「王上は大妃が亡くなってからすっかり変わられました… 叫んで暴れることもあれば、ぼんやりお過ごしの時もあります」「ぼんやり?…その方が幸せね」小楓が両親の悲劇に泣き崩れると、侍女はアドゥに何やら目配せしてから下がった。侍女は食事の卓に密かに大王からの手巾を忍ばせていた。アドゥは公主の食事まで見張るなと怒って見張りを追い出し、公主に手巾を渡す。「公主、先ほどの侍女は大妃に仕えていました、これをご覧に…」驚いた小楓は手巾を広げると、父の筆跡だと分かった。…高顕は偽の使者だ、腹に一物ある、用心しろ、安(アン)国公に会いに行け、身を守れる…しかし小楓はまだ決心がつかなかった。小楓は考え抜いた末、豊朝の皇太子に嫁ぐと決めた。第五皇子は自分を探し当て、家族を盾に脅すに違いない。何より朔博(サクハク)と手を組んで丹蚩(タンシ)を滅ぼした不倶戴天の敵だ。小楓はしみじみ今なら明遠(メイエン)がどんなに恋しくても都へ戻らず、異国で亡くなったのか分かると漏らす。そこでアドゥは服従したと見せかけて敵を油断させ、安国公のもとへ急いだ。実はその頃、安国公も高顕に怒り心頭だった。九公主が戻ったと言うのに、なぜか西州王と会うのを阻止されている。しかし配下の話では高顕が王妃を死に追いやり、そのせいで西州王は正気を失ってしまったという。そこへ突然、九公主の使いだという娘が飛び込んで来た。小楓の寝殿に湯浴み用のお湯が運ばれて来た。小楓は侍女の1人と入れ替わり、何食わぬ顔で寝殿を出て行く。アドゥは後のことをディーモに任せ、公主を連れて王宮を脱出、身柄は安国公が保護してくれた。安国公は高顕に気づかれる前に焉支城を出立した。すると道中、小楓を探していた高顕たちが追いつき、王宮の宝物が盗まれたので荷物を調べるという。安国公は朝廷の使者に盗賊の汚名を着せるのかと激怒したが、高顕は西州王が中原人を疑っているため、国の体面に関わると理解を求めた。しかし荷物の中はもちろん、馬車の中にも九公主の姿はない。「高顕、ただで済むと思うなよ…」安国公は弾劾すると脅して馬車を出したが、目ざとい高顕は帯同する兵士の中に小楓がいることに気づいた。高顕は一行を止め、小楓の兜を取った。仕方なく安国公は馬車を降り、九公主が皇太子に嫁ぐと承諾したので都へ連れて戻ると教える。「行く手を阻むとは何事か?勅命に背いて許されると思うのか?!」すると高顕は公主の輿入れなら自分と王宮に戻り、支度を整えてから再度、出立してはどうかと提案した。安国公は憤慨し、九公主を連れ去りたければ先に自分を殺せと脅す。「…袁通(エンツウ)、直ちに都へ向かい上奏するのだ 和親の使者一行が道中、賊に襲われ、皆殺しにされたとな!」高顕はいきなり安国公の首を切り裂くと、配下が一斉に剣を抜いて一行をその場で粛清した。一方、安護府に戻った李承鄞(リショウギン)は安国公が都へ戻ったと聞いた。裴照(ハイショウ)は恐らく九公主も一緒だと話したが、使者がいるのに高顕はなぜ西州に赴いたのか。そこへ配下が駆けつけ、皇帝から回宮の勅命だと報告した。すでに高顕が準備を始めているという。李承鄞が勅書を受け取ると、裴照は朗報だと期待して笑みを見せた。…″翊(ヨク)王″承鄞、直ちに都へ戻れ…日が暮れると草原は雪になった。すると捨て置かれた安国公一行の亡骸の下から1人の兵士が起き上がる。それは亡骸の下敷きになり助かったアドゥだった。。゚( ゚இωஇ゚)゚。アドゥ~生ぎでだぁ~!その夜、李承鄞の野営に高顕が現れた。わざわざ見送りかと驚いたが、高顕は出立に際し第五皇子へ贈り物があるという。李承鄞は何事かと天幕に入ってみると、驚いたことに寝台に縛られた小楓がいた。慌てた李承鄞は再び外に出ると、怒り心頭で高顕に問いただす。すると高顕は父と皇后が第五皇子と九公主の婚姻を強く望んでいると説明した。「世継ぎの座を得るのに有利かと…」李承鄞は生母の敵を欺くため急に態度を軟化させ、高顕に感謝して天幕に戻った。李承鄞はすぐ小楓の縄を解いた。「卑怯者!」小楓に蔑まれても言い訳できない李承鄞、愛しい妻の顔に触れようとそっと手を伸ばすが、小楓はそれを許さなかった。「…こんなことまでして私をあなたに嫁がせたいの? 阿翁を殺し、母上を死に追いやり、父上の正気を失わせ、私を拉致させるなんて…」「…そうだっ!私は君と結婚したい!君はもう和親に同意した、なら嫁ぐのは誰でもいいだろう?」「あなた以外の男だったらね!あなたを殺せるなら奴隷とだって結婚する!」「それ以上言ったらっ…ぅ…」「何?私を殺す?それがいいわ、豊朝に着くまで待っていたら私は太子妃になってしまうものね? 私はあなたを絶対に許さない、あなたは終りよ…丹蚩を滅ぼした代償は高くつくわ」しかしそこに顧剣(コケン)が駆けつけ、小楓は思わぬ事実を知った。「シァォフォン…太子はもう死んだんだ、全ては五皇子を太子にするために動いていたんだよ 君が和親を受け入れたら恐らく彼の妃になる、残念だが復讐の望みはなくなるんだ」小楓は2人が初めから綿密な計画を練っていたのだと分かった。結局、何も知らない自分だけがひとり踊らされていたとは、とんだお笑い種だ。「ふっ、私を苦しめていて楽しかった?」すると李承鄞と顧剣は思わず小楓に許しを請い、奪い合いの様相となる。「シァォフォン、シァォフォン、私が憎いことは分かっている 一生、私を憎んでくれ、私を責めても苦しめてもいい、でも私から離れることだけは絶対にだめだ」「シァォフォン、私をもう一度だけ信じてくれ、君を連れて逃げる、二度と豊朝に関わることはない」「冗談じゃないわ!」小楓は都合の良い話に呆れ、思い切り2人の手を振り払った。そもそも顧小五(コショウゴ)に引き合わせ、丹蚩へ連れて行くよう誘導したのは顧剣なのに…。「…グゥシャォウー、″3つの願い″はまだ有効かしら?」「もちろん!もちろんだよ!」「はお、ならあなたが顧剣を殺して」小楓は考えた。顧小五が第五皇子なら誰も手を出せない。ならばその手で身内を殺させ、自分のように一生、自責の念に苛まれればいい。しかし李承鄞は無理だと分かっているはずだと訴えた。「顧剣は君を守ろうとしていた、悪いのは私だ、私を責めてくれ」「身内をかばうのね?!…麗しい家族愛だこと…ふっ…消えて!出て行け!」李承鄞と顧剣は天幕を出た。外は激しい雪になっている。「大哥…私たちは道を誤ったのでしょうか?」「やり直したい、どこまで戻れば正しい道を選べるのか…」(  ̄꒳ ̄)母さん…僕のあの帽子…w小楓は眠れず、寝台で膝を抱えて座っていた。すると突然、アドゥが現れ、再会の喜びもそこそこに公主を連れて逃亡する。高顕はすでに眠っていたが、外が慌ただしくなり目を覚ました。九公主が逃げたと聞いた高顕は早く追えと命じ、殺害を容認してしまう。一方、李承鄞は裴照に高顕より必ず早く小楓を見つけ、連れ戻すよう厳命した。やがて日が昇る頃、小楓とアドゥは馬を捨て、天亘(テンコウ)山へ入った。すると顧剣が現れ、追っ手を足止めして小楓を逃がしてくれる。小楓はひとり奮闘する師匠の姿を見たが、そのまま先を急いだ。小楓たちは必死に山を登っていた。そこへ追っ手を片付けた顧剣が現れる。アドゥは小楓を先に行かせ、丹蚩の恨みを晴らすべく顧剣に襲いかかった。しかし小楓は止める様子もなく、ふらふらと近くの岩壁に立つ。顧剣は軽々とアドゥの斧をかわしながら、小楓の行方を目で追った。すると小楓は肌身離さず持っていた最後の鳴り矢を取り出し、見つめている。…どこにいてもこの鳴り矢を射れば、すぐ師父が駆けつける…顧剣はそう言って小楓に鳴り矢を贈った。それ以来、小楓は助けが必要な時には必ずこの鳴り矢を射って師匠を呼んで来たが、それも今日で終わる。小楓は顧剣との絆であり、2人の思い出が詰まった鳴り矢を崖から捨てた。その意味を悟った顧剣は呆然となり、もはや生きる意味を失う。その時、アドゥが斧を振りかざして顧剣に襲いかかった。顧剣はあえて避けず、そのまま刺されて崖から転落してしまう。( ๑≧ꇴ≦)師父ーっ!ああああ~!でも謝って済むなら警察はいらないからね〜つづく(^ꇴ^)そして今や崖落ちしても誰も心配しなくなったのだった…
2020.11.28
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东宫 Goodbye my princess第13話「裏切り」丹蚩(タンシ)本営に豊朝(レイチョウ)が突入した。その時、曲小楓(キョクショウフウ)とアドゥは天幕に監禁されていたが、激しい剣戟(ケンゲキ)の音だけでも外で何が起こっているかは想像がつく。愛する顧小五(コショウゴ)と祖父の身を案じる小楓、しかしその時、王の幕舎に1人残っていたティダールはついに裏切り者の正体を知った。王の幕舎に入って来たのは豊朝の甲冑を身につけた孫婿の顧小五だった。「ふっ、顧小五…やはりお前か」すると李承鄞(リショウギン)は投降すれば命だけは助けると告げる。しかし誇り高きティダール王は投降を拒み、ただし丹蚩の民たちの命と引き換えに自らの命を差し出すと言った。ティダールは幕舎を出ると、壇上に上がって天神に祈りを捧げた。すると祭司4人が大王の周りに立ち、大王のために死の旅の安全を願う。ダーワン!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ダーワン!丹蚩の民たちは壇上を囲み、その場でひざまずいた。小楓とアドゥはただならぬ気配を感じ、必死で縄を解こうともがく。その時、2人を見張っている胡嘯(コショウ)と仲間たちは帳(トバリ)の隙間から外の様子に釘付けになっていた。大司祭たちの祈りが終わると李承鄞はついに剣を振り上げた。小楓の祖父であり草原の王だったティダール、しかし李承鄞は兄の復讐を果たすため、覚悟を決めて剣を振り下ろす。その様子を駆けつけた顧剣(コケン)が高台から見守っていた。しかしその時、縄を解いた小楓が天幕から飛び出してしまう。「アウォォォォォォォン!」ティダールを処刑した李承鄞は思わず振り返り、小楓に見られたと気づいた。すると小楓はあまりの衝撃でそのまま倒れてしまう。小楓は豊朝の軍営で目を覚ました。すると愛しい顧小五が手を握って心配そうに見つめている。「シァォウー…もう2度と会えないかと思った…ウッ…」小楓は思わず顧小五に抱きつくと、堰を切ったように泣き出した。しばし抱き合いながら号泣する2人、しかし顧小五の涙の意味を小楓は知らない。その時、小楓は顧小五の肩越しに豊朝の甲冑を見つけた。あれは確かに祖父を殺した男が着ていた甲冑…。小楓は天幕から飛び出した時の光景が鮮明に蘇り、悲鳴をあげて思わず顧小五を突き飛ばした。「シァォフォン…うぉ(我)…」「やめて…来ないで!うわああーっ!」小楓は息が止まるほど泣き叫んだが、次第に怒りが込み上げて来た。「グゥシャォウー…あなたが…あなただったの?」小楓はじりじりと顧小五に迫った。李承鄞は丹蚩が豊朝の民を拉致したり皇太子を殺したと訴え、涙ながらに苦渋の決断だったことを伝える。しかし騙されたと知った小楓は怒りが爆発、顧小五の頰を思い切り引っ叩いた。「あなたは阿翁を殺し、丹蚩を陥れた…よくも私を利用したわね」「確かに私は君を騙した…でも君への想いは本当なんだ!本当なんだよ!」「聞きたくないっ!」小楓は悲しみに耐え切れず急に暴れ出すと、李承鄞は慌てて小楓を抱きしめた。「小楓!君を傷つける気はなかったんだ!…私も不本意だったが…」その時、小楓は壁に飾ってある剣に目を留め、咄嗟に顧小五の手にかみついた。驚いた李承鄞は思わず手を離すと、その隙に小楓は剣を抜いて祖父の敵に襲いかかる。「殺してやる!」小楓は剣を振り回しているうち、偶然にも剣先が顧小五の胸をとらえた。しかしどうしても愛する人の胸に剣を刺すことができない。「顧小五…死んでちょうだい!」小楓はわんわん泣き始めた。自責の念に駆られた李承鄞は思わず自ら剣先をつかみ、自分の胸に突き刺そうとする。そこへ柴牧(サイボク)が駆けつけ、咄嗟に小楓の剣を払い飛ばし、その衝撃で倒れた小楓を点穴して眠らせた。李承鄞は小楓に顔向けできないと落胆した。しかし柴牧は第五皇子の傷の手当てをしながら、自分の落ち度だという。「九公主に処刑を見られてしまった」「先生には関係ない…私の過ちです」すると柴牧はため息を漏らし、第五皇子と丹蚩の関係は外に漏れないと安心させた。幸いにもあの場にいたのは皆、裴照の配下だという。ともかくここまで来たら後戻りはできなかった。翌朝、小楓はひとり天幕で目を覚ましたが、身体が動かなかった。そこへ軍営に侵入した顧剣が現れる。「シァォフォン!」「師…父…ウウウ…」驚いた顧剣が枕元に駆けつけると、小楓はしびれ薬を飲まされ、拘束されていた。「一緒に行こう」「アドゥ…」顧剣は納屋に監禁されていたアドゥを先に逃し、山で落ち合うことになっていると安心させる。すると顧剣は寝台の幕を引っ剥がし、小楓を背負ってその幕で縛り付けた。顧剣は右手に剣を握りしめ、小楓を背負って堂々と軍営を歩いた。驚いた兵士たちが包囲したが、小楓がいるため手を出せない。そこへ李承鄞が柴牧と裴照を連れてやって来た。「私たちはまだ終わっていない、連れ去ってはならぬ」「もう終わった、殿下の望みは叶い、小楓もここを出たいと言っている」「そうはさせぬ!」「出てみせる!」対峙する従兄弟、柴牧は思わず剣を置くよう命じた。しかし顧剣はたとえ義父でも止められないと突っぱね、意を決して歩き出す。李承鄞は剣に手をかけたが、憔悴した小楓を見ると心が揺れた。結局、李承鄞は顧剣が小楓を連れて行くのを黙って見逃す。すると裴照が密かに配下に尾行するよう命じた。顧剣は小楓を連れて山中でアドゥと合流した。ようやく薬の効果が切れた小楓、すると顧剣は顧小五が自分たちを解放したとは言え、大事な公主を目の届くところに置くはずだという。西域は広く小国が林立していた。豊朝は小国同士を互いに牽制させ、支配している。中でも西州(セイシュウ)は中原への交通の要衝、九公主を娶った者が主導権を得られるというわけだ。「顧剣…教えてちょうだい、あなたも顧小五に騙されていたの?それとも知ってたの?」「…顧小五の本当の名は李承鄞、豊朝皇帝の5番目の皇子だ 顧姓を語ったのは生母が顧氏だから、私の叔母だ」「つまり丹蚩を攻めることをとっくに知っていたのね?小楓はあまりの情けなさに怒りよりも笑いが漏れた。「つまり私を救ったのは皇帝から褒美をもらうため?そうでしょう?!」「それは違ぅ…」「私を騙したくせに!…最初から仕組んでいたのね、何年もの間、私を騙し続けた いつまで嘘を重ねるつもりよっ?!…父はあなたを信頼し、私は師と敬ったのに…」(꒦ິ⌑꒦ີ)アウアウ…小楓は師匠の裏切りに絶望し、アドゥと去ることにした。すると顧剣は出会ってから騙したことなどないと訴え、李承鄞が現れてからだと釈明する。「私にも果たすべき使命がある!傷つける気はなかったんだ! ←何だそのフォロー? 私以上にそなたを大切に想い、守る者はいない! ←いや何だその自信w お願いだ…私を見捨てないでくれ… ←えええーっwww そなたのそばに居させて欲しい、シァォフォン…すまなかった」(ヾノ・∀・`)遅い遅い「十数万もの丹蚩人の血が流れたのよ?謝るなら私にじゃなく、無辜の民に謝って! ←ど正論! これまでいくら恩義があろうと、今日限りで…終わりにしましょう」\(( °ω° ))/ yeah!顧剣は小楓の腕をつかんで引き止めたが、小楓は振り払って行ってしまう。一方、李承鄞と柴牧は朔博(サクハク)を訪ねた。王位の件を話し合うつもりだったが、リドゥンが早々に国王を処刑したことを知る。リドゥンは第五皇子が皇太子になるまで待っていられず、自ら手を下したと言った。「中原に帰ったら皇帝に伝えてくれ、″残念ながら朔博王は丹蚩との戦いで命を落とした″と…」柴牧は仕方なく目配せし、李承鄞はリドゥンと祝杯をあげた。宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)は重症の李釅(リゲン)をすぐ都に連れて帰るため、撤兵を決めた。その前に五弟と裴照を呼び、なぜ安護(アンゴ)府を守っているはずの五弟が丹蚩王の首を取ったのか訝しむ。李承鄞はちょうど天亘(テンコウ)山で盗賊の掃討に当たっており、出兵を知らなかったと話した。偶然にも中原軍の来襲を見て裴照と合流、急を要したため裴照が騎兵で突破し、報告する間もなく本営に突入したという。李承鄴はともかく2人をこのまま安護府に残し、高顕(コウケン)を手伝うよう命じた。小楓とアドゥは西州を目指し、険しい道を進んだ。やがて2人は豊朝軍の尾行をまくため途中で馬を乗り捨て、道無き道を行く。そんな2人を顧剣は距離を取りながら見守っていた。2人が眠れば、こっそり焚き火が消えないよう火をくべてやる。 ←師父wその頃、高顕のもとに父から密書が届いた。高于明(コウウメイ)は息子に第五皇子と九公主の和親をまとめるよう命じている。第五皇子が先手を打って九公主を娶ることができれば皇太子の座を得るのに有利になるからだ。食料を探していたアドゥが兎と木の実を持って帰って来た。しかし小楓はこの寒い時期に兎がいたことを訝しむ。「どちらも林にあったの?」「うん」小楓は顧剣の仕業だと気づき、元の場所に戻して来いと言った。辛く悲しい旅もようやく終わりを告げた。その夜、小楓とアドゥはついに焉支城(エンシジョウ)に到着する。宮殿は明かりもなく静まり返っていたが、小楓は久しぶりに自分の寝殿に戻った。2人は早速、着替えてから正殿に向かう。しかしそこには見る影も無い父の姿が…。「阿爹?…小楓が帰って来ました!阿爹?阿娘は?」「娘よ…逃げろ…今すぐ逃げるのだ…」すると高顕が兵を引き連れ乗り込んで来た。「和親の件を進めてもらわんとな…ニヤリ」西州王・曲文成(キョクブンセイ)は母を死に追いやった奴らの顔をよく覚えておけと言った。小楓の母・阿史那雲(アシナウン)は高顕に人質になるよう迫られ、屈辱に耐えられず自分の前で自害したという。「こやつらは皆、敵だ…娘よ、早く逃げろ!」曲文成はたった1人で高顕たちに襲いかかったが…。つづく。゚( ゚இωஇ゚)゚。 アウォン…カット版では顧剣の未練タラタラシーンはなく、ここではまだ西域の安寧のためにも皇太子に嫁ぐよう説得していました→で小楓は怒って去るという流れ
2020.11.25
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东宫 Goodbye my princess第12話「血塗られた宴」安護(アンゴ)府では出兵を目前に宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)が作戦の最終確認を行っていた。しかしなぜか第五皇子・李承鄞(リショウギン)の姿がない。裴照(ハイショウ)は盗賊を一掃するため天亘(テンコウ)山へ行ったとごまかし、自分が作戦を報告をしておくと言った。裴照は密かに柴牧(サイボク)と接触、宣徳王の作戦を教えた。そこで柴牧は第五皇子から預かった王の幕舎までの近道を描いた地図を渡し、計画を伝える。その頃、丹蚩(タンシ)では婚儀の準備が整っていた。婚礼衣装に身を包んだ曲小楓(キョクショウフウ)と顧小五(コショウゴ)は祭場に入り、皆に祝福されながら壇上まで歩いて行く。すると顧小五は自分たちのすぐ後ろからついてくる侍女たちに気づいた。「なぜ掃除を?」「過去ばかり見てはいけない、前に進めという意味なの」やがて大小さまざまな小石が敷き詰められた道が現れる。「この石は何だい?」「人生の起伏を表しているのよ」顧小五は思わず小楓の手を握りしめると、2人で石の上を仲良く歩いて行った。一方、宣徳王の作戦はすでに動いていた。丹蚩の東軍営も本営の祭事に浮かれていたが、そこに朔博(サクハク)兵が不意打ちをかける。しかし丹蚩の将軍たちは婚礼の宴に参列しているため、すぐには主力部隊を動かせないはずだ。ティダール王はまず西軍営から援軍を送るはず、そこで手薄になった西から裴照(ハイショウ)と朔博軍が包囲、李承鄴が本隊を率いて攻撃する手はずになっていた。顧小五と小楓が壇上に上がった。そこでティダールが大祭司に婚礼の儀式を任せようとしたまさにその時、急報が飛び込んで来る。「大王!朔博が東から攻め込み、本営に迫っています!」しかしティダールは本営に10万の主力部隊、西軍営にも数万の兵がいるため、大して問題にしなかった。「東軍営の3万の兵で相手をしてやれ」大祭司は天神に祈りを捧げ、新郎新婦の婚姻の許可をもらった。次に顧小五と小楓は雁(ガン)を天に向けて放ち、2人が末長く共にいられるよう願う。しかし再び急報が届いた。西から東へ援軍を出した隙に西軍営が襲撃を受け朔博軍が突破、本営に向かっているという。李承鄞は予定より早い動きに戸惑い、ふと付近を見回した。すると丹蚩人になりすまして紛れ込んだ胡嘯(コショウ)を見つける。実は柴牧は顧剣(コケン)に非情になりきれない所があると危惧し、密かに胡嘯に大役を任せていた。『速やかに出立し丹蚩に潜入せよ、皇子に戦の件を伝えるのだ』ティダールはイモイェンとハーシに出兵させることにした。すると顧小五がいきなり先鋒を務めたいと志願し、駄目ならせめて得意の射術で援護したいという。ハーシは確かに顧小五は機転が利くと太鼓判を押し、連れて行こうと訴えた。「よかろう!朔博王の首を取り、婚礼の儀式の捧げ物とせよ!」小楓はひとり壇上にポツンと取り残されたが、顧小五は一度、振り返っただけで、そのまま準備に行ってしまう。戦いは機先を制することが肝心だ。胡嘯と仲間たちは柴牧の指示通り、婚礼の儀式のうちに密かに馬に毒入りの餌を与え、先手を打っておく。そして壇上にいた第5皇子に目配せし、李承鄞が天幕に戻ったところで接触した。「出兵は半年後のはずだろう?」「宣徳王が早めたのです、裴将軍がもうすぐ丹蚩に着きます、合流してください」しかしこのままでは小楓を連れて逃げ出せない。そこで李承鄞は胡嘯に九公主を連れて逃げるよう頼んだ。小楓はちょうど出立しようとしていた顧小五を呼び止めた。驚いた顧小五は馬を降りて急いで駆けつけると、小楓は自分の腰帯を外して顧小五の腰に結ぶ。イモイェンとハーシはそんな2人の様子に目を細めた。「妹妹、心配するな、この哥哥がついている、すぐ帰るから羊を焼いて待っていろ!」「皆が戻るまでお酒は我慢するわ!」すると顧小五は愛しい小楓の顔を両手で包み込んだ。「行って来る!」顧小五は馬で駆け出したが、小楓はまだ顧小五から腰帯をもらっていないと気づく。「シァォウー、あなたの腰帯は?!」しかし顧小五にはもうその声は届かなかった。荒野に出た丹蚩軍はリドゥン率いる朔博軍と対峙した。しかしそこに裴照率いる豊朝兵が現れ、包囲されてしまう。すると李承鄞は勝手に1人で飛び出し、豊朝軍に合流した。ハーシとイモイェンは何が起こっているのか分からず呆然としていると、顧小五が豊朝の兜と鎧をまとう様子を目の当たりにする。「グゥシァォウゥゥゥ!」ハーシとイモイェンはようやく顧小五が豊朝の間者だったと気づいたが、すでに遅かった。( ꒪Д꒪)<リーチョンイン💢💢💢小楓は祖父と寄り添い、ひたすら吉報を待った。しかしそこへ朔博と豊朝が結託していたという予想外の戦況が舞い込む。先鋒の朔博軍の裏から30万の大軍が現れ、なぜか丹蚩軍の馬も口から泡を吹いて全滅していた。馬を失った丹蚩の勇士たちは敵の騎兵に踏み潰され、撤退しようにも間に合わず、犠牲者は増えるばかりだという。「イモイェンは?!@アウォン」「グゥシァォウーは?@シァォフォン」「前方は混乱に陥っており、イモイェン将軍の戦旗は見えませんでした!」するとティダールは全ての兵士たちに支度するよう命じた。幕舎に急報が飛び込んできた。「東軍営を守るため援軍が向かいました、敵は丹蚩を熟知しています、間者の仕業かと…」ティダールはのろしを上げろと命じ、幕舎内の人間を調べるという。黙って祖父の支度を手伝う小楓、そこへ再び急報が届いた。しかしティダールはこらえきれずに涙を流す孫娘を気遣い、報告を止める。「小楓、泣くな…アウォンがついている」「うん…」するとティダールはアドゥに小楓を任せ、2人が外へ出てから報告を聞いた。「東西の軍営、共に失いました…」(இдஇ )ユパ様…荒野は丹蚩兵の屍で埋め尽くされ、残ったのはハーシとイモイェンだけとなった。2人は一矢を報いるため駆け出し、敵将に気づいたイモイェンが思い切り斧をぶん投げる。(っ'-')╮ウリャ〜 =͟͟͞͞🔪ビュン!しかし真っ先に気づいた李釅(リゲン)が飛び出し、身を挺して斧を止めた。深手を負って倒れた李釅の姿に宣徳王は激怒し、矢を放てと号令する。するとハーシはイモイェンの盾となって全身に矢を受け、バッタリ倒れた。「来世で…酒を…酌み交わそう…」(இдஇ )ぁぁぁ…ハーシ…ハーシの最期の言葉を聞いたイモイェンは雄叫びをあげ、再び走り出した。矢を受けながらも宣徳王の目前までたどり着いたイモイェン、最後の力を振り絞って斧を振り下ろすもあと一歩、届かず、絶命してしまう。(இдஇ )表哥…激しい戦いの末、丹蚩軍は全滅、ティダールはハーシとイモイェンも戦死したと知り呆然となった。第二皇子を出し抜いた李承鄞と裴照たちが刻々と本営に迫る中、小楓の天幕に丹蚩兵が現れる。「小公主、大王の命でお迎えに来ました」しかしアドゥは兵士の剣が丹蚩の武器でないと気づき、見たことのない顔だと怪しんだ。焦った胡嘯は小楓を無理やり連れ出そうとしたが、アドゥの邪魔が入り失敗する。「小公主、しばしのご辛抱です」機を逃した胡嘯たちは仕方なく小楓とアドゥを縛って監禁、全てが終わるのを待つことにした。山が暗闇に包まれる頃、松明を掲げた豊朝軍が本営に突入、抵抗した丹蚩兵は次々と殺された。やがて大王の幕舎を守っていた兵士も殺され、ティダールは覚悟を決める。そこに現れたのは…。つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<やっぱり裏切れねえぇぇぇー!って展開でしょう?と思ったら…工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工!確かに宣徳王が悪い…でもなぜかLCYへの怒りが爆発する(笑ユパ様…なんてこと…(꒦ິ⌑꒦ີ)あああ…そしてシャオフォンの運命は!( ๑≧ꇴ≦)キャアー!
2020.11.23
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东宫 Goodbye my princess第11話「2人だけの婚礼」ティダール王は顧小五(コショウゴ)の身分を疑い、ハーシとの手合わせを目論んだ。そこで李承鄞(リショウギン)は怪我を理由に得意の射術で競いたいと希望する。アドゥは思わず兄と射術の腕を競うのかと聞き返した。実はハーシは丹蚩(タンシ)でも名高い勇士、射術ではその右に出る者はいない。するとティダールは英雄同士の対決ゆえ盛大に開くと決め、早速、大祭司に祭礼の準備を命じた。いよいよ射術対決、するとイモイェンは的の代わりに奴隷を連れて来た。驚いた曲小楓(キョクショウフウ)は残酷すぎると反対したが、イモイェンは豊朝の奴隷など気にするなという。顧小五は屈辱に耐えながら、咄嗟に競い方を提案した。「この辺りは蝙蝠(コウモリ)が多い、夕刻に100本ずつ矢を射て、落とした蝙蝠の数を競っては?」こうして奴隷たちの命は救われた。ティダールは自分の弓を持たない顧小五にわざと鉄弓を貸した。鉄弓は構えるのも難しいほど重く、しならないので弦もあまり伸びない。しかし顧小五は文句も言わず、ハーシとの対戦に臨んだ。顧小五は一度に3本の矢をつがえ、蝙蝠を次々と射抜いた。気がつけばハーシが遅れをとり、最後の一本を慌てて放つ。こうして2人は100本の矢すべてを命中させ、2人とも100匹落としたと結果が出た。しかしハーシは正直に自分の負けを認め、落胆してしまう。顧小五は鉄弓のおかげで連環箭(レンカンセン)を放てたと話し、これで自分が勝ったというのはあまりに不公平だと笑った。すると小楓もハーシが丹蚩一の勇士なのは変わらないと励まし、2人の対決は丸く収まる。その時、ティダールは顧小五の腕前を認め、褒美は何がいいか聞いた。「王上!この世に小公主より尊いものはありません!」顧小五は小楓との縁談を希望したが、ティダールは急に顧小五だけを連れて幕舎に戻ってしまう。幕舎に入ったティダールはいきなり剣をつかんで顧小五に襲いかかった。外で待つ小楓は心配でたまらないが、ハーシとイモイェンが決して中に入れてくれない。その頃、顧小五はティダール王に追い詰められていた。「ふっ、顧家は私の宿敵、五珠連環箭(ゴシュレンカンセン)は熟知している 顧如晦(コジョカイ)との関係は?!」李承鄞は咄嗟に五珠連環箭が使えるからと言って顧家だとは早計だと訴える。しかしティダールは五珠連環箭が顧家秘伝の技で門外不出だと指摘、顧家でないなら技を盗んだ罪で成敗すると剣を振り上げた。仕方なく李承鄞は顧家の者だと認めたが、ティダールは顧家といえば公正明大、祖先すら認めぬ子孫が出るとは顧家の断絶も近いと呆れる。すると顧小五が思わぬ事実を明かした。「実は20年前、顧家は奸臣に陥れられ、一族皆殺しの憂き目に…私は家臣に守られ都を離れました 姓だけは変えず、他の身分は全て隠し、茶葉商人となったのです 王上、お察しの通り私は顧家の生き残り、もし豊朝に知られたら丹蚩に累が及びます …今日、丹蚩を出て行きます」その時、ティダールが顧小五を引き止めた。「白眼狼を仕留めた者に孫をやると言った、覆すことはできぬ」実はティダールと顧如晦は仇敵でありながら、生死を共にした盟友でもあったという。そこでどのみち中原に戻れないなら丹蚩に残って共に戦うよう勧め、自分たちが顧家の恨みを晴らしてやると約束した。「シァォウー、王上に従います!」「ん?何と呼んだ?」「ああ?(はっ!)アウォン!」ティダールは顧小五を連れてようやく幕舎から出た。何がどうなったのか気が気でない小楓、すると祖父が顧小五の手を挙げ、今日から孫娘の婿になると宣言する。小楓は狐につままれたような顔をしていたが、祖父が本当に顧小五を認めてくれたと知り、皆から祝福を受けた。その夜、丹蚩は祝宴となった。顧小五は天幕でイモイェンやハーシと飲んでいたが、急に小楓が現れる。すると小楓はちょうど酒を飲もうとしていた顧小五の器を取り上げた。イモイェンは男の付き合いに口を出すなと呆れたが、小楓は怪我をしている顧小五に無理やり飲ませては駄目だと叱って連れて帰ってしまう。「ハーシよ、中原の男は妻を怖がる…情けない!」 (*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)フムフム@ハーシ小楓は千鳥足の顧小五に肩を貸して寝床まで送った。すると顧小五はそのまま小楓を押し倒し、口づけしようとする。しかし小楓は思わず顔を背けた。「シァォウー…まだ婚礼前なのよ?」急に酔いが覚めた顧小五はふと思い立ち、小楓を連れて祝宴を抜け出してしまう。顧小五は星空の下、2人だけで婚礼を挙げることにした。「丹蚩の婚礼の風習は?」「新郎新婦が天神の下で腰帯(ヨウタイ)を交わすだけよ」「じゃあ今、交そう!」顧小五はいきなり腰帯を外そうとしたが、小楓はまだ腰帯を選んでいないと止めた。そこで中原式の婚礼をしようと誘う。「どうするの?」「右手を左手の上に重ねて…」小楓は見よう見まねで拝礼の姿勢をとった。「最初は天に拝礼!(ペコリ)次は高堂(コウドウ)に拝礼!」「高堂って?」「両親さ、君の親は西州、私の親は豊朝だから南東に拝礼しよう(ペコリ)」そして最後は2人で向き合い、夫婦同士で拝礼した。「これでもう夫婦だ、互いの呼び方を変えないと… 君は娘子(ニャンヅゥ)、私のことは″夫君(フージュン)″と」「ふーじゅん?」「はい、にゃんづぅ」顧小五と小楓はそのまま寝っ転がった。「良い所だな…」「ここは祭祀の時しか人が来ないから…すごく静かなの」「いっそここに隠れないか?…世と隔絶すれば悩みもなくなる」「どんな悩みがあるの?」顧小五は咄嗟に茶葉が売れなければ夫人を養えないと笑った。しかし小楓はさらりと好きな人と一緒なら平気だという。顧小五は急に起き上がると、真面目な顔で自分と一緒ならどこへでも行くかと聞いた。「どこへ行くの?」「夫婦になったんだ、もう和親を迫られることもない、いっそ西域を巡ろう! 冬になったら豊朝の江南へ行くんだ、あそこは常春で水郷の街だし、心が休まる!」「いいわね!どこへでもついて行く!明日、阿翁にお別れを言うわ…ふふっ」すると顧小五は小楓に首飾りを返した。「白眼狼と戦った時、これが私を守ってくれた、だから君のことも守ってくれるはず…」「あなたはもう守ってくれないの?」「まさか!掌中の珠のように君を慈しむよ」「阿翁が言っているみたい、あなたと阿翁はこの世で一番、私に優しいわ」「…阿翁よりもっと君を大事にするよ」「裏切らないでよね」「…まさか、もし裏切ったら罰を受ける」「ん~私を裏切ったら…忘川の水を飲んであなたを忘れるから」「はお、行くことはないから大丈夫」李承鄞は愛する小楓を丹蚩から連れ出せる口実ができた。しかし翌朝、ティダール王へ挨拶に行くと、すでに各国に7日後が婚礼だと招待状を出してしまったという。「旅に出るのはいいが、婚礼の後にしろ」李承鄞と小楓は祖父の顔を立て、出発は7日後にすると了承したが…。小楓が婚礼で顧小五と交わす腰帯を選んでいると、アドゥが駆けつけた。師匠の顧剣(コケン)が丹蚩の入り口まで会いに来ているという。喜んだ小楓は飛び出して行ったが、再会した顧剣がいきなり西州に帰ろうと言った。顧小五を自分で紹介しておきながら出会ったばかりの男に嫁ぐのかと怒り出し、師匠として軽率な真似は許さないという。困惑した小楓は帰らないと拒んだが、顧剣は小楓を担いで馬に乗せようとした。そこへハーシから小楓の居場所を聞いた李承鄞が駆けつける。顧剣は仕方なく顧小五と2人で話すことにした。・ㅅ・)ポツン (((((( ー̀ωー́) ー̀ωー́)テクテク…「殿下はなぜまだ小楓を逃がさないんだ?殿下ができないなら私がやろう」「私には計画がある、心配無用だ」「私たちの任務は丹蚩軍営を見つけること、すでに完了した どうせ去るのになぜ小楓にちょっかいを出す? 殿下が丹蚩に長居すれば、それだけ小楓を傷付けることになるんだぞ」「結婚すれば正式に彼女を連れ出すことができるんだ」「なら考えたのか?今、小楓と結婚したら、彼女の将来はどうなる?」「小楓との結婚は本気だ、彼女にもうこんな逃亡生活をさせたくない」「あの時、小楓を連れ出したのは私だ、今度も私が小楓を連れ戻す」「小楓は物じゃないんだ、あんたの好きに連れ出したり、連れ帰ったりできない 彼女は私の妻だ、誰も彼女を連れ去ることなどできないぞ!」(´・_・)、師父…@中文意訳ver李承鄞と顧剣は小楓の元に戻った。顧剣は愛しい小楓に心配をかけまいと笑顔を見せ、必要な時は必ず駆けつけると告げる。すると李承鄞は困惑する小楓の手を引っ張り、帰って行った。(꒦ິ⌑꒦ີ)ひとり涙する師父…一方、焉支城(エンシジョウ)にも丹蚩から九公主の婚礼の招待状が届いていた。西州王・曲文成(キョクブンセイ)は憤慨したが、そこへ豊朝の安国公(アンコクコウ)が乗り込んで来る。安国公は皇帝の命を受けて縁談を持ち込んだが、数ヶ月も待ったあげくに九公主の婚礼、これでは自分だけでなく皇帝まで欺いたことになると痛烈に批難した。慌てた国王は自分も知らなかったと釈明し、年頃の公主が2人いるため中原へ嫁がせるという。しかし安国公は皇帝が望んでいるのは九公主だと突っぱね、沙汰を待つよう告げた。( ๑≧ꇴ≦)国王のやっつけ感がw帰りの道すがら、顧小五は機嫌が悪かった。小楓は笑い話をして機嫌をとったが、顧小五はいつまでも怒っている。仕方なく小楓は師匠を敬っているだけだと釈明し、次に会う時は顧小五にも言うと約束した。「私の心にいるのはあなただけよ…」顧小五は思わず小楓を抱きしめると、話の落ちを聞いてみる。しかし小楓の笑い話は結局、つまらなかった。李釅(リゲン)は宣戦の詔を持って安護府へ戻った。すでに10日前のことだと知った皇后は、宣徳王がこのまま戦功を独り占めしてしまうと焦りを隠せない。しかし叔父の右相・高于明(コウウメイ)はそれより大事があると教えた。実は高顕(コウケン)から第5皇子が行方をくらましたと報告があったという。高于明は李承鄞に野心がないと知っていたが、決して無能ではないと分かっていた。どうやら叔父に何か策があると期待が高まる皇后だが…。李釅が安護府へ到着した。早速、宣徳王に宣戦の詔を持って来たと報告、これで丹蚩を討てるという。「ちょうど良い時に届いたな…」李承鄴(リショウギョウ)は丹蚩王が孫娘の婿に白眼狼を殺した男を選び、婚礼が2日後だと教えた。婚礼当日は丹蚩人が一堂に会し、無防備になる絶好の機会となる。李承鄴は当初の予定を早め、婚礼当日に出兵すると決めていた。つづく( ゚ェ゚)師父が剣で彫った字は何?で、シャオウーが返した首飾りだけど、いつもらったの?カット版は確か白眼狼の牙だった気が…
2020.11.22
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东宫 Goodbye my princess第10話「命がけの狩り」丹蚩(タンシ)を出た李承鄞(リショウギン)は柴牧(シボク)と合流、朔博(サクハク)王と謁見することにした。将軍・ユエンカーは死の谷で見かけた丹蚩の間者だと警告したが、実はその男が豊朝(レイチョウ)の第5皇子だと知る。するとリドゥンが縁談の件で西州へ行った時、確かに城内で見かけたと証言した。李承鄞は父皇が丹蚩を滅ぼすつもりだと切り出し、朔博に協力して欲しいと持ちかけた。戦に勝利した暁には丹蚩を両国で分割し、氷原は朔博に譲るという。実は病で亡くなった朔博王妃は丹蚩王の長女、娘が殺されたと疑う丹蚩王は報復として国境で略奪を繰り返していた。李承鄞は今こそ丹蚩への恨みを晴らせると煽る。臣下たちもこの機に豊朝と同盟を結ぶよう進言したが、リドゥンが水を差した。「朔博と丹蚩は地理的にかなり近い、丹蚩は先に我が国を攻めるでしょう 持ちこたえられますか?」結局、交渉は決裂し、李承鄞と柴牧は帰路に着いた。しかしリドゥンが配下を連れて追いかけてくる。リドゥンは叔父との交渉は終わったが、自分とはまだだと意味ありげに笑った。するとリドゥンは10万の私兵を出すと約束し、無事に丹蚩を滅ぼせたら自分を王位につけて欲しいという。その頃、曲小楓(キョクショウフウ)は丹蚩で顧小五(コショウゴ)の帰りを今か今かと待っていた。アドゥは九公主の恋する相手はてっきり師匠の顧剣(コケン)だと思っていたが、顧小五だと知る。「公主~太子との縁談を断って茶葉商人に嫁ぐと?釣り合いません! 遠方に嫁ぐのは嫌だと言っていたのに…」二皇子の宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)は五弟が無事に戻って来たと知り驚いた。すでに第五皇子は丹蚩までの地図を絵師に書かせているという。李承鄴が様子を見に行ってみると、李承鄞は目を閉じ、記憶を頼りに道のりを説明していた。「…馬に乗り西に6里…線香が1本燃え尽きる時間だ…太陽は…左側にあった… 線香が2本燃え尽きる時間進む…沼を越えると葦(アシ)原が広がっていた… さらに進み10里だ…草むらを通った…さらに5里…山があった…砂の音が聞こえた…」李承鄞は机を指でコツコツ叩きながら時間を計り、距離を導き出している。「…谷間を通った…風が強かった…丹蚩に到着、山に囲まれ、川が流れていた」李承鄞が目を開けると、絵師は宣徳王に地図を献上して出て行った。高顕(コウケン)は目隠しでの記憶は正確さを欠くと懸念したが、李承鄞は帰り道で曖昧だった部分も確認してあると自信を見せる。さらに丹蚩の地形や兵力をざっと把握、容易には勝てないと判断し、朔博へ出向いてリドゥンの協力を取り付けたと報告した。「次は二哥が戦全体の指揮を執る番です!」李承鄴は五弟の手腕に驚きを隠せなかったが、苛立つ気持ちをおくびにも出さず、称賛する。しかし李承鄞の軍への参加は認めず、戦が始まったら安護府を守るよう命じた。その夜、顧剣(コケン)は密かに李承鄞、裴照(ハイショウ)と合流した。李承鄞は二兄が自分を戦地に行かせたくないらしいと落胆したが、裴照が自分の部隊と一緒に丹蚩へ向かえばいいと提案する。剣「1ヶ月後に大戦か…九公主はどうなさるおつもりで?」5「…私が小楓を連れて丹蚩を離れます」裴「五皇子、すぐ大戦になりますので安護府にお留まりを」剣「…私が殿下の代わりに行こう」5「…小楓は私の帰りを待っているんです」剣「(ピキッ)私は小楓の師父だ、私となら彼女もついて来る(ニヤリ)」5「(ピキピキッ)表哥ご心配なく、絶対に小楓を傷つけたりしません」剣「もう傷つけているけどな…」( ๑≧ꇴ≦)師父w本国配信時の意訳verでお届けしました(笑小楓は矢倉に登り、朝から晩まで顧小五を待った。そんなある日、ついに白眼狼を仕留めたという丹蚩の勇者が現れる。確かに仕留めた狼は巨大で白い毛で覆われていたが、小楓が狼に水をかけると白い色が剥げた。李承鄴は五弟の性格上、おとなしく安護府に残るとは思っていなかった。しかし戦地に赴けば命の保証はないとほくそ笑む。一方、李承鄞は裴照と酒楼にいた。そこで裴照に安護府を留守にすると伝え、軍の視察に出ていることにして欲しいという。ちょうどその時、白眼狼の売買でもめている客の声が聞こえて来た。「偽物にしても質が悪すぎる!毛を触ったら色が落ちたぞ!」交渉が決裂した客は怒って帰って行くと、裴照は急いで後を追い、店先で呼び止めた。実は丹蚩でティダール王が白眼狼を仕留めた者に小公主を嫁がせると宣言したため、あちらこちらで白眼狼の偽物が売られているという。この時、李承鄞は小楓を丹蚩から連れ出す方法を思いついた。「裴照、猟師と兵士たちを連れてこれから山に入るぞ、白眼狼を仕留める!」そんなある日、小楓はまた白眼狼の件で祖父に呼ばれた。「もう~これで何匹目かしら?今度は何で毛を染めたのか見てやるわ!」しかし今度の白眼狼は本物だった。顧小五が白眼狼をしとめて丹蚩に戻って来た。「グゥシャォウー…」「待ってたかい?」「どうしてあなたを待つ必要が?ふふ」「もちろん私に嫁ぐためだ」小楓はつい見栄を張って待ちわびていたとは言わなかった。そこへティダールとイモイェンが駆けつける。誰もが白と聞いて狼の毛のことだと勘違いしていたが、実はその名が示す通り白いのは目だった。「本物の白眼狼だ!」ティダールが確認すると、集まった兵士たちにどよめきが起こる。しかし顧小五は足に重傷を負っていた。小楓は顧小五をすぐ医者に見せることにした。イモイェンは天幕に戻った祖父を追いかけ、小楓を中原の男に嫁がせるのかと心配する。しかしティダールは約束を守らねばならないと言った。「素性の知れないやつですよ?」イモイェンは茶葉商人ごときが白眼狼を仕留められるかと疑い、目の前で腕を試してはどうかと助言した。顧小五の足の傷を見たハーシは、命がけの狩りだったと分かった。その傷の深さに小楓は思わず涙し、アドゥも言葉を失う。実は山に入った李承鄞は狼の群れに追われ、得意の射術で見事に仕留めていた。すると仲間を殺された白眼狼がついに姿を見せる。李承鄞は驚いた馬から振り落とされると、素早い白眼狼を何度も狙うが外した。そしてついに白眼狼が目の前に現れる。その時、李承鄞は背負っている矢筒が空だと気づいた。白眼狼は李承鄞に体当たり、倒れた李承鄞は足を噛まれ、引きずり回されてしまう。しかし李承鄞は隙を突いて後ろに回り込み、弓で狼の首を絞め上げることに成功した。こうして激闘を制した李承鄞だったが、医者が傷口を縫い始めると思わずうめき声が出る。小楓は激痛に耐える顧小五の手を握りしめ、そばから離れようとしなかった。ティダールは顧小五のために酒席を設けた。そこでイモイェンが白眼狼を仕留めたその腕前を見たいと切り出し、ハーシと手合わせして欲しいという。顧小五は足を負傷したので武術で競えないが、興を削ぎたくないと言った。「射術で競うのはどうだ?」「本気なの?哥哥と射術の腕を競うつもり?!」アドゥは驚いた。つづく
2020.11.22
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东宫 Goodbye my princess第9話「丹蚩潜入」顧小五(コショウゴ)こと李承鄞(リショウギン)は中原の物語だと嘘をつき、曲小楓(キョクショウフウ)に自分の苦しい胸の内を明かした。「…かつて王子の兄は言った、″東宮は血まみれの宮殿なのだ″と…」「王子は復讐するの?他に道はないの?」「世継ぎになり、果たすべき任務があるのだ…そのために友さえ欺かねばならない、大切な友をね だから王子は、任務を果たしたら必ず償うと決めている その友は王子のことを許してくれるだろうか?もし君なら王子を許せるか?」「もちろん!」「じぇんだ?」「じぇんだ!優しい王子が気の毒で、私ならきっと許すと思うわ…続きを聞かせて」李承鄞は小楓から許しをもらったような錯覚になり、少し気が楽になった。「続きはないよ」「ないって…中途半端すぎる!」「終わりだから話しようがない…おやすみ」その夜、小楓はおかしな夢を見た。森の中に1人たたずむ小楓、目の前には落とし穴がある。中を見てみると、狐狸が怯えて鳴いていた。小楓は狐狸を助けようと手を伸ばしたが、その狐狸が急に顧小五に変わってしまう。「シァォフォン?シァォフォン?!」「は?」目を覚ますと顧小五がいた。「出発だ」豊朝(レイチョウ)では皇帝・李賾(リサク)によるバトゥールの尋問が始まった。「″ティダールの指示で仲間と共に動いた、6月5日、海州城に向かう途中で太子を暗殺した 狙いは豊朝と西州の和親を阻むことだった″…これらは全て事実なのだな?」「…そっそうだ、俺が奴を殺した」バトゥールに成り済ました冷昆(レイコン)は皇帝の威厳に恐れおののき、うつむいていた。すると皇帝は最後にバトゥールの顔を確認、早々に死罪を言い渡して結審する。皇弟・忠(チュウ)王と息子・李釅(リゲン)は皇帝がろくな詮議もせず裁きを下し、いささか拍子抜けした。ともかく李釅(リゲン)は宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)に報告するため、再び安護府に戻るという。翌朝、相府では皇帝の思惑に気づかない高坤(コウコン)が父に教えを請うていた。すると右相・高于明(コウウメイ)は刺客の件には初めから答えがあったと教える。「戦が始まる」一方、皇后も皇帝に探りを入れていた。「なぜ刺客をすぐ死罪にしたのです?」「何もかも分かっておる、詮議など必要ない…真犯人は他にいる」香を準備していた皇后は思わず手が止まった。確かに皇帝が言う通り、死にたがっている刺客が皇帝を恐れる理由はない。皇帝はバトゥールが偽物だと気づきながら、目障りな丹蚩を討伐するための口実に利用したのだ。小楓たちは裴照(ハイショウ)たちの護衛で無事に丹蚩(タンシ)の入り口まで到着した。裴照はそこで引き返すことになり、小楓は別れ際、次に会ったら竹笛を教えると約束して見送る。しかしハーシは顧小五と顧剣(コケン)を連れて行くわけにはいかないと断った。顧剣は素直に帰ることにしたが、盗賊に襲われた顧小五は仲間とはぐれて行くあてがないと告げる。そこで小楓は顧小五ならただの茶葉商人だと安心させ、困っている恩人を助けたいと説得した。ハーシは困惑したが、王も孫の九公主の頼みでは罰しないはずだと気づく。ただし幕舎の場所が漏れないよう、顧小五には目隠しをしてもらうことにした。顧小五はついに丹蚩の本拠地に到着した。自然の要塞に守られた王の幕舎、すると小楓は先に戻っていたアドゥと抱き合い、無事を喜び合う。その時、偶然、捕縛された朔博(サクハク)兵を見かけた。小楓はここまで追って来たのかと驚いたが、叔父・イモイェンが侵入してきた朔博兵を追い出すだけだと安心させる。すると小楓は早速、祖父・ティダール王に顧小五を紹介することにした。しかしなぜ中原の者がここにいるのか。イモイェンは首を傾げたが、ハーシは盟友だと笑った。ティダール王はちょうど腕くらべの真っ最中だった。「私と勝負するのだ!勝者にはこの兜を贈るぞ!」すると4人の勇者が壇上に上がり、ティダール王に襲いかかる。しかしティダール王はたった1人でまだ若い勇者4人をまとめて投げ飛ばした。「次は誰だ!」その時、可愛い孫娘が飛び込んでくる。「阿翁ーーーっ!」「小楓!」( ๑≧ꇴ≦)ユパさま~!ティダールはすっかり大人になった小楓に目を細めた。すると小楓は遠くには嫁ぎたくないと訴え、恩人の顧小五を紹介する。「丹蚩までの道中、私たちを守ってくれたの」小楓は祖父にどれだけ顧小五に世話になったか訴えたが、ティダールは露骨に顧小五を無視した。「阿翁、シァォウーに何か褒美をあげてよ」「おう、イモイェン、他部族からの貢物・瑠璃珠(ルリジュ)を与えてやれ」イモイェンは小楓が褒美をねだったのは初めてだと驚き、もしやこの男に惚れているのかとからかう。「(〃ω〃)テレ~って表哥!妙なこと言わないで!」そこでティダールは中原の男は肝が小さく小物が多いため、小楓とは釣り合わないと釘を刺した。しかし小楓は顧小五なら丹蚩の武人に劣らないと褒め、何気なく祖父の兜をかぶってみる。驚いたイモイェンはその兜が祖父のお守りだと教え、遊び道具ではないと叱った。「おぅ」小楓は素直に脱ぐことにしたが、ティダールが許してくれる。「小楓は我が丹蚩の誇り高き小公主だ、この兜は小楓によく似合っている すでに宣言したが、小楓の伴侶になれる男は勇敢な英雄だけだ 白眼狼(ハクガンロウ)を仕留めた者に小楓を娶らせよう」「えっ?でも白眼狼を仕留めたのが嫌いな男だったら困るわ!」「わははは~!実際は誰も白眼狼を仕留められん!嫌いな男に嫁がせる気もない」小楓は喜んで祖父に抱きついたが、警戒心が強いティダールは明らかに中原の青年を嫌っていた。その夜、李承鄞は丹蚩まで来た道のりの記憶を呼び覚ましていた。すると急に小楓が天幕にやって来る。「行きたいところがあるの」それは寒い丹蚩にある美しい温泉地だった。ここだけはとても暖かく、一年中、花が咲くという。蛍を見つけて嬉しそうな小楓、そこで顧小五は小楓の祖父に嫌われているようだと漏らした。「心配しないで、中原の人は嫌いでも、あなたのことは好きになるわ」小楓は思わず口を滑らせて顔を赤らめると、3つの願い事を覚えているか聞いてみる。「もちろん、何にするか決まったのか?」「…1つ目よ!蛍を100匹捕まえてきて!」「お安い御用だ!」顧小五は軽功で木々の間を行き来しながら、蛍を捕まえて戻って来た。「ほら、数えて!」「うわ~!いーあーさんーすーうー…」小楓は外衣の中に捕らわれた蛍を数えていたが、驚いた蛍が逃げ出してしまう。すると飛び出した蛍が2人の周りを飛び回り、何とも幻想的な美しさとなった。顧小五は蛍を見つめながら無邪気に笑う小楓に心を奪われ、思わず口づけしてしまう。驚いた小楓だったが、自然と顧小五を受け入れていた。いつしか惹かれ合っていた小楓と顧小五、2人はついに互いの気持ちを確認し合ったが…。翌日、李承鄞は密かに丹蚩の軍営を探っていた。しかし急にティダール王に呼び止められてしまう。「中原の客人よ、迷子か?」「違います、独特の地形に魅せられ、眺めておりました~」李承鄞は満面の笑みで取り繕った。「…長居は無用だ、そろそろ中原に帰るがよい、ここで茶葉は売れぬ」ティダール王はそう言って戻って行った。李承鄞は偶然、捕虜となった中原の農民たちが監禁されている牢を見つけた。農民たちは同じ中原の公子に気づき、助けて欲しいと訴える。しかし李承鄞はまだ何もできず、涙をのんでその場を離れた。小楓がハーシに顧小五を知らないか聞いていると、ちょうど顧小五がやって来た。するとハーシにバトゥールを知っているか尋ねる。ハーシはバトゥールが豊朝の恨みを買い、数日前に安護府に捕まったと言った。「恨みというのは?」「知る必要はない」話が終わると、小楓は顧小五を連れて温泉に向かった。小楓は温泉に足をつけて温めた。「この籠の中身は何だい?」「見てみて」それは顧小五の服だった。「ここは寒い、中原の人は弱いから病気になったら困るでしょう?」「…中原の女子は命のように脚を大切にする、夫以外には決して見せないぞ?」「見られたらどうするの?」「娶るんだ」「ふふっ!でも私を娶れるのは白眼狼を仕留めた者だけよ」「教えてくれないか、白眼狼を仕留めたらどんな男にも嫁ぐのかい?」「もちろんよ、阿翁の言葉は絶対なの、逆らえないわ …グゥシァォウー?私のために白眼狼を狩れる?」「…脚を見ちゃったからな~待っていてくれ」すると小楓は服の下に入れておいた朝食代わりのゆで卵を出した。↓ウル◯ラマン!小楓と顧小五が軍営に戻ると、中原の捕虜が痛めつけられていた。驚いた小楓は従兄に奴隷も人間だと抗議したが、イモイェンはアドゥが探していたと話をそらす。「アドゥが?すぐ戻るから待っていて」小楓は顧小五にそう言って走って行った。「…どうやらそろそろ帰る時が来たようですね」そこで顧小五はイモイェンに小楓への贈り物を託した。アドゥは小楓に良いお酒が手に入ったと言った。早速、味見した小楓は美味しいと喜び、顧小五を呼んで来るという。しかしそこにハーシがやって来た。「顧小五は帰りました」するとハーシが顧小五からの贈り物を渡す。それは木片に彫った白眼狼の顔だった。つづく( *´꒳`* )ふふふ〜シャオウーの″せずにはいられなかった″感が上手く表現されていますね♡
2020.11.19
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东宫 Goodbye my princess第8話「皇子の本意」顧剣(コケン)は倒れていた曲小楓(キョクショウフウ)を救出し、介抱した。やがて日も暮れると、焚き火を準備して小楓をそばに寝かせてやる。しかし小楓は毛布を掛けてやっても寒そうに震えていた。顧剣は横になって寄り添い、小楓を温めてやる。そして朝になった。小楓がようやく目を覚ますと、顧小五(コショウゴ)こと李承鄞(リショウギン)が岩の上にいる。顧剣の目論見通り小楓は顧小五が助けてくれたと信じ、素直に謝った。「ごめんなさい、黙って弓月(キュウゲツ)城を出たりして…シァォウー、また会えてよかった」顧小五はいつになくしおらしい小楓に拍子抜けし、手を差し伸べて起こしてやった。「シャォウー、早く行かなくちゃ!援軍を頼むの」( ๑≧ꇴ≦)一晩も放っといたんか〜い!小楓と顧小五は川沿いを馬で駆けた。事情を知った顧小五は300里も離れた丹蚩(タンシ)の幕舎ではなく、50里先の国境の軍営にいる裴照(ハイショウ)を頼った方が良いと助言する。「″普天の下 王土に非(アラ)ざる莫(ナ)し″だ、中原が関わって当然だよ!」そんな2人の姿を顧剣が遠目から見ていた。計画ではここで離れるはずだったが、やはり小楓が気にかかる。そこで顧剣は胡嘯(コショウ)に2人の無事を義父に伝えるよう頼み、小楓たちを追うことにした。小楓と顧小五は裴照の軍営を見つけられず、炎天下の中、砂漠をさまようことになった。一方、別行動の顧剣は一足先に軍営に到着、裴照に先に事情を説明して丹蚩軍を救って欲しいと頼む。「はお、だが五皇子はこの場所を知っているのか?」「ご存知ない、私も偶然、たどり着いた」「実は雨季で砂地が浸水し、流砂が広がったゆえ先日、軍営を移した…皇子が心配だ」顧小五は川で水を汲み、砂丘で待っている小楓の元へ急いだ。「水だ!シァォフォン!」「やったー!」大喜びの小楓だったが、顧小五は砂丘へ登ろうとした矢先、急に砂に足を取られてしまう。「動かないで!流砂よ!」小楓は咄嗟に縄を投げて顧小五につかませ、自分の手首に縄をグルグル巻きにして手綱をつかんだ。「後ろに下がって!」馬も協力して必死に小楓を引っ張るが、流砂の勢いは凄まじい。「シァォフォン!手を離せ!引き込まれるぞ!」「嫌よ!一緒にここを出るのよ!…シァォウー!つかまって!」小楓は腕がもぎ取られそうな痛みに耐えながら懸命に救出を試みるが、顧小五の身体はどんどん砂にめり込んで行く。すると顧小五は小楓だけでも救おうと決意し、握っていた縄を放した。「ダメぇぇぇぇぇっ!」「…すまない」小楓は反動で後ろへ飛ばされ、すり抜けた縄で手のひらを切った。砂漠に小楓の悲痛な叫び声が虚しく響いた。力尽きた李承鄞は砂に埋もれながら、名残惜しそうに小楓の顔を見つめる。…シァォフォン、許してくれ、君を利用していた短くも美しい小楓との思い出、水中で交わした口づけの感触が今も残る。しかしその時、ふいに流砂へ盾が投げ込まれた。そこに颯爽と顧剣が現れ、李承鄞の救出に成功する。アレ〜(((≡( ⌒ε:)ノ\( `•ω•)و ̑̑ビュン!一方、都に戻った李釅(リゲン)は朝議で宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)が皇太子の暗殺犯を捕らえたと報告した。すでに暗殺犯は刑部に引き渡したという。朝廷がにわかに殺気立つ中、右相・高于明(コウウメイ)は先に使者を送って交渉すべきと冷静だった。すると宣徳王派の忠(チュウ)王が泣き寝入りすれば国の威信が失落すると声を荒げる。そこで父を援護すべく高坤(コウコン)はこの戦に勝算が見えないと進言した。しかし派兵に反対するのは丹蚩と結託して謀反を目論んでいるからだと難癖をつけられてしまう。朝廷は紛糾、その時、高于明が杖で床を叩いて一喝、立ち上がった。「国の対面のみならず民にも関わる事案です…陛下がお決めください」顧剣のおかげで小楓と李承鄞は無事に裴照の天幕へ到着した。李承鄞は顧小五として裴照に九公主を紹介しようとしたが、小楓は咄嗟にハーシの妹・アドゥだと名乗り、兄が朔博(サクハク)兵に包囲されたので助けて欲しいと頼む。裴照も知っていながら小楓に話を合わせ、もちろん助けると快諾して準備に向かった。すると小楓はふと気になっていたことを思い出す。「そうだ、さっきどうして″すまない″って言ったの?」「それは…天下一の美女と名高き九公主が私を救うために命を落とすところだったろ? 君の父王に申し訳なく思ってな」「冗談ばっかり~うふふ」顧剣は小楓の手のひらの傷を手当てすることにした。そこで道中は大変だったろうと労ったが、小楓はあっさり顧小五がいたから平気だったと笑う。「この旅で分かったの、人の想いは時に流砂のように、もがくほど抜け出せなくなる 以前、私は師父に頼り、優しさを求めた…師父にとって私はまとわりつく流砂ね …ふっ、私の言葉とは思えないでしょう?成長したのかしら? 今も師父が好きよ?でも気にしないで、人として好きなだけ、永遠に私の師父よ」(TㅅT)師父…切な~い!李承鄞は裴照から皇太子暗殺について進展がないか聞いた。するとバトゥールという刺客を捕らえたところ、宣徳王に自白したという。「やはり暗殺は丹蚩の仕業でした」李承鄞は丹蚩への恨みを募らせ、千倍にしてやり返してやると奮起した。豊朝(テイチョウ)皇帝・李賾(リサク)は供述書と高顕(コウケン)がまとめた事件の経緯に目を通したが、自ら刺客の尋問をすると決めた。叔父から話を聞いた皇后は驚き、皇帝が刺客の真偽を疑っていると気づく。しかし高于明はもはや刺客の正体など問題ではないと言った。「問題なのは陛下が丹蚩と戦う気があるかどうかだ 開戦を望まぬなら刺客は偽者、逆に開戦を望むなら刺客は本物となる…」一方、忠王は息子に手抜かりがないか確認していた。皇帝の目は簡単にはごまかせない。すると李釅はあの刺客は宣徳王の死士、二心はないと安心させた。九公主を逃したハーシら丹蚩兵はユエンカー率いる朔博兵に追い詰められ、退路を失った。しかしそこへ小楓が裴校尉率いる安護府の兵を連れて駆けつける。驚いたユエンカーは西域の争いに豊朝が関わるのは掟破りだと非難したが、裴照は天亘(テンコウ)山一帯が安護府の管轄、無関係ではないと突っぱねた。「国境の安定を守ることが我らの役目、勝手な蛮行を繰り返すのはもしや豊朝への宣戦布告か?」ユエンカーはさすがに豊朝を敵に回す勇気はなく、撤収して行った。小楓はハーシに抱きつき、無事を喜んだ。そして祖父の幕舎まで裴照に案内を頼んだと教え、こっそり自分はアドゥだと教えておく。ハーシは裴照に感謝すると、小楓は顧剣と顧小五を紹介した。「ハーシ、私の師父よ!」「″妹妹″の長年の指導、感謝する」「もう1人恩人が…顧小五よ!盟友で師父の従弟なの! ただの茶葉商人で、顔も今ひとつだし、品格もない…だけど勇敢だし頭がいいの!」「″妹妹″が人を褒めるのを初めて聞いた!わははは~!」すると顧小五は手負いのハーシたちを心配し、再び朔博兵が戻ってくるかもしれないので丹蚩まで送ってやってはどうかと裴照に提案した。小楓たち一行は野営で一晩、過ごすことになった。しかし李承鄞は兄を暗殺した丹蚩兵への嫌悪から、居たたまれなくなってその場を離れてしまう。ちょうど笛の音が気になって天幕を出た裴照は第五皇子の後ろ姿を見送ったが、そこへ小楓がやって来た。「裴将軍!師父と顧小五を知らない?」「行軍の疲れで休んでいるのでしょう」「おぅ…そうだ、哥哥を救ってくれてありがとう!族長に褒美を出してもらうわ!」裴照は思わず失笑し、これが務めだと辞退する。すると小楓は裴将軍でも笑うのかと驚いた。「ふふっ、ずっと同じ表情で押し黙っているから、顔が氷みたいに固まっているのかと思ってた! 笑顔も素敵よ!(^ꇴ^)」裴照は小楓の言葉がこそばゆくなって無表情に戻ると、ハーシが持っている楽器に興味を持った。何とも郷愁を誘う音だという。小楓は西州(セイシュウ)の竹笛だと教え、早速、ハーシから笛を借りて吹き方を教えた。天真爛漫で純粋な小楓に目を細める裴照、その一方で顧剣はひとり、大人の階段を上った小楓に寂しさを感じていた。(TㅅT)師父〜!日が沈んだ。小楓はようやく李承鄞がひとりで丘の上にある木の根元にいるのを見つける。すると小楓が顧小五の隣でゴロンと横になった。「姑娘が男の前でそんな格好して…礼儀を知らないのか?」「草原では普通よ、大地は天の賜物で、私たちは皆、天の子だもの、煩わしい慣習はないの」その時、小楓は流れ星を見つけた。慌てて腰紐を結び直してから願掛けしようと手を合わせたが、時すでに遅く星は消えている。「願い事をする時、腰紐を結ぶといいんだけど、いつも結ぶのを忘れちゃうの〜」悶々としてた李承鄞はのんきな小楓に苛立ったが、一方でその無邪気さに救われた。「何か歌ってくれないか?…私は歌えぬ」「歌えない人なんているの?そうだ!子供の頃、母上に教わった歌は?」「…母はいない」「おぅ…なら歌うわ ♪一匹の狐狸が砂丘にポツリと座ってる~ ♪中天にかかる月を眺めている~ ♪でも本当は月を眺めているわけじゃない~ ♪放牧に出た姑娘の帰りを待っているだけ~」「そこまでそこまで~他の歌にしてくれ」「これしか知らないもん」一方、眼下ではハーシたちの丹蚩の歌と踊りが始まった。すると裴照が顧剣に気づき、酒を差し入れる。顧剣は酒を飲むと後ろを振り返り、小楓と李承鄞が仲良く2人でいる姿を見た。(TㅅT)師父〜!小楓はハーシたちが披露しているのは丹蚩の出征の歌だと教えた。「有名な美女のことを歌ってるの、彼女の恋人が戦に行ったきり戻らず、馬だけが戻って来た 美女は馬の鞍を撫でて残った矢筒を見つめながら、これを歌ったのよ」「″憐れむべし無定川辺の骨、これなお春閨(シュンケイ)夢裏の人″ この中原の詩も同じ意味だ」「ねえ、明遠(メイエン)娘娘が中原の詩には物語があるって言ってたわ…聞かせて!」「忘れた…でも別の物語なら知っている、聞きたいかい?」 (*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン「昔々、子虚(シキョ)という国があった そこに1人の王子がいたが、その母親は王子が幼い頃に世を去ったんだ でも王妃には子がいなかった そこで王子を養子にして我が子同然に育てた、だから王子も王妃を母と慕っていた ところが驚いたことに生母を殺めたのは王妃だった 大人になってから真相を知った王子は、生母の敵を討つと心に誓う しかし王妃の勢力は絶大、王子に勝ち目はない… 王妃を倒す方法はただ1つ、″世継ぎになること″だった 王子は権力争いを嫌悪していた、実は子虚には30歳まで生き延びた世継ぎはいない 暗殺される者、父王に幽閉されて命を落とす者、ある世継ぎは機先を制すべく父王の殺害を謀った かつて王子の兄は言った、″東宮は血まみれの宮殿なのだ″と…」「王子は復讐するの?他に道はないの?」つづく ※陳陶「隴西行」より「可憐無定河辺骨 猶是春閨夢裏人」(戦死した)無定河あたりに散らばる骨を見て哀れに思うきっとこの骨は新婚の部屋で夢の中に現れる人(妻の夢に出てくる夫の骨)なのだ(^ꇴ^)出ました~吊り橋効果w
2020.11.18
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东宫 Goodbye my princess第7話「仕掛けられた罠」顧剣(コケン)は死の谷から曲小楓(キョクショウフウ)と顧小五(コショウゴ)こと李承鄞(リショウギン)を逃した。これで心置きなく戦えるようになった顧剣は、朔博(サクハク)の将軍・ユエンカーたちを迎へ撃つ。一方、顧小五は水場を見つけ、ひとまずそこで顧剣たちを待つことにした。すると小楓が急に地面に耳をつけ、蹄の音が近づいていると気づく。「30騎ね…」しかしそれは顧剣たちではなく、大勢の朔博兵だった。顧小五は敵を攪乱させるため馬だけ逃したが、付近に身を隠せる場所はない。仕方なく顧小五は泳げない小楓を引っ張り、湖へ飛び込んだ。水の中に潜って身を隠した顧小五と小楓、しかし小楓は息が続かず苦しみ出した。顧小五はこのままでは小楓が水面に出てしまうと焦り、咄嗟に小楓を抱きしめ、口移しで空気を分けてやる。やがて敵の気配が消えると、2人はようやく陸へ上がった。口づけされた小楓は激怒、顧小五のような男に唇を奪われたと喚き始める。顧小五は小楓を助けるためだったと弁解し、好きで口づけしたわけではないと反論した。ともかく今は口論している暇などない。顧小五と小楓はいがみ合いながら馬を追いかけ、弓月(キュウゲツ)城を目指した。一方、娘を逃したことがばれた阿史那雲(アシナウン)は西州王・曲文成(キョクブンセイ)から責められていた。「まさか丹蚩(タンシ)か?!丹蚩と豊朝(レイチョウ)の諍いが始まれば西州は苦境に立たされる! そなたは娘を死地に追いやったのだぞ?!」西州王は金塊100個の褒賞金を付け、必ず九公主を探し出して連れ戻せと配下に厳命した。 夜も更けた頃、小楓と顧小五は無事に弓月城へ到着した。しかしすでに城内にはお尋ね者の小楓の似顔絵が貼られている。「九公主を見つけた者には金塊100個…?」小楓と顧小五は宿に泊まるのを断念し、人目につかない郊外の廃寺に身を隠した。小楓は最愛の娘を探すのに金塊100個しか出さないのかと怒りが収まらない。暖を取っていた顧小五はそんな小楓に失笑したが、ふと大事な玉がないと気づいた。「玉佩?服の飾りなんてまた買えばいいじゃない?」「何でも金で買えると思うな!とても大切な物なんだぞ!君を助けたから落としたんだ!」2人は気まずくなって黙り込んだが、小楓はふと思い出した。急に口づけされ、水中で顧小五を何度も叩きながら暴れたことを…。確かにあの時に玉佩を落としたのかもしれない。翌朝、顧小五が目を覚ますと小楓の姿がなかった。驚いて中庭に飛び出したが、繋いでいた馬も消えている。実はその頃、責任を感じた小楓は顧小五の玉佩を探しに湖へ戻っていた。命綱を頼りに湖に潜った小楓は、やがて岩陰に落ちている玉佩を発見する。あとは水面へ上がるだけ、しかしあと少しと言うところで小楓は失神し、再び沈んでしまう。するとそこへ顧小五が現れ、危機一髪のところで小楓を救出した。小楓は水を吐き出して目を覚ました。すると顧小五の腕の中にいると知る。「シァォウー…あなたの玉佩を見つけたわ…」顧小五は思わず玉佩を持つ小楓の手を握りしめた。小楓と顧小五は外衣を干して乾くのを待った。顧小五はふと泳げないのに危険だと思わなかったのかと聞く。しかし小楓は自分のせいで玉佩を落としたなら探すのは当然だと答えた。「…身勝手だったよ」「身勝手なのは私も同じよ~今頃、父上や母上がきっと心配しているわ …明遠(メイエン)娘娘は偉大な方よね、国と民のために異国に嫁ぎ、長い年月、孤独に耐えたんだもの 昔は幸せだと思ってた、公主として皆に愛され、楽しい一生を送れるって… 今は公主なんてうんざりよ、知らない人に嫁ぐのは嫌なの 私が公主でなければ好きな人に嫁げるのに…」「なあ?…表哥のことが好きなのか?」「師父とは幼い頃から一緒にいたの、助けが必要な時はすぐ来てくれた 私の中の師父は正直で優しくて情に厚い人よ、どんな困難にも負けない英雄なの …でもこの想いはかなわない(はあ~)忘川に飛び込んで全て忘れられるといいのに~」小楓の話では天亘(テンコウ)山の奥に谷底があり川が流れているという。美しく澄んだ水は枯れることがなく、石林に大きな滝、美しい花畑もあった。明け方と夕暮れに見える景色は″日月同輝(ジツゲツドウキ)″と呼ばれ、太陽と月が同時に空に出る。「皆が言っていたわ、忘川の水を飲むと全て忘れることができると… 愛する人と一緒にいられないのなら、飛び込んで全て忘れろとね」顧小五は小楓を元気づけようと、天下一の男が目の前にいると笑った。釣られて小楓も失笑したが、ふと師匠の無事が気にかかる。しかし顧小五は腕利きの顧剣が負けることなどないと安心させた。一方、安護府では裴照(ハイショウ)が高顕(コウケン)に呼ばれていた。実は明日、裴照が捕縛したバトゥールを李釅(リゲン)が都に護送することになったという。すると高顕は砂漠に最近、盗賊が出るため、裴照に2千の兵を率いて巡視するよう頼み、体良く追い払った。そして配下に書かせておいたバトゥールの似顔絵を手に受け取ると、取り急ぎ都にいる父・高于明(コウウメイ)に密書をしたためる。高顕は宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)と李釅が何か企んでいると気づいていた。李釅は護送中、人目のない林でバトゥールを殺した。そして兵士の鎧を着せて砂漠に捨て置き、帯同していた兵士の冷昆(レイコン)がバトゥールになりすます。すると李釅は冷昆の家族の面倒を見ると約束し、他に望みがあれば聞くと言った。小楓と顧小五は廃寺に戻った。すると顧小五は安全のため1人で城内へ行き、顧剣たちを連れて戻ると言って出かけてしまう。小楓はなかなか戻らない顧小五を心配したが、その時、鳴り矢の音を耳にした。「師父!」小楓は顧剣からの合図だと思い、急いで馬を連れて出かけて行ったが…。その頃、顧小五はようやく顧剣たちと合流していた。早速、郊外の廃寺へ案内したが、小楓の姿がない。「動くなと言ったのに…どこへ行ったんだ?」すると顧小五は城内で鳴り矢の音を聞いたことを思い出した。「それで探しに出たのでは?」「…いや矢は放っていない」「何だって?」その瞬間、2人は鳴り矢が朔博の罠だと分かった。小楓は木にぶら下がった鳴り矢入れを見つけて取り戻した。すると待ち伏せしていたユエンカーたち朔博兵が現れる。罠だと気づいた小楓は慌てて馬を駆けると、やがて祖父の側近・ハーシの一行を見つけた。ハーシーが警告の矢を放つと、ユエンカーたちは停止した。「丹蚩の領内で宣戦布告もなく戦をする気か?!」しかしユエンカーは逃げ出した奴隷を追ってきたという。そもそも天亘山は朔博・丹蚩・西州の国境、正確に言えば丹蚩の領土ではないはずだ。そこでユエンカーは小楓を返せば撤収すると言った。「だが断ると言うなら一戦交えるしかない!」ハーシは一見して数では不利だと分かった。そこで九公主に幕舎へ行って援軍を頼んで欲しいという。驚いた小楓は巻き込んだ以上、自分も戦うと言ったが、ハーシはこの状況で公主を守ることができないと訴えた。「北に300里行くと河があり、東側に王の幕舎があります、早く!」「嫌よ残るわ!」するとハーシは公主を抱き上げて馬に乗せ、馬の尻を叩いた。宣徳王が丹蚩の刺客を捕まえた。報告を聞いた皇后と叔父の高于明は思わぬ大手柄に動揺を隠せない。皇后はこれで李承鄞は不利になったと落胆した。しかし高于明はそうとは限らないという。皇帝は西州との和親に大きな関心を寄せていた。もし九公主を娶ると決まれば、第五皇子の形勢が有利になるだろう。小楓は必死に馬を駆けた。心細い中、激しいにわか雨を岩陰でやり過ごし、再び炎天下の中を行く。次第に喉が渇き、体力を消耗する小楓、何とか水辺を見つけたが、意識を失って落馬してしまう。すると小楓を探していた顧剣が倒れている小楓を発見した。そこで胡嘯(コショウ)に第五皇子に連絡するよう頼み、小楓を介抱しながら待つことにする。つづく( ๑≧ꇴ≦)次第に打ち解けて行く小五と小楓…キャアー!(←何がw
2020.11.16
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东宫 Goodbye my princess第6話「口に出せぬ想い」縁談が嫌で王宮を飛び出した西州(セイシュウ)の九公主・曲小楓(キョクショウフウ)。結局、アドゥと一緒に王宮へ戻ったが、まさか師匠・顧剣(コケン)が紹介してくれた″天下一の男″が、砂丘で助けたあの青年だったとは。アドゥは顧小五(コショウゴ)が協力してくれたとしても、西州王が公主を茶葉商人に嫁がせるとは思えなかった。「誰があいつに嫁ぐって?…恩知らずなヤツ!顔も見たくない!」しかし和親の返答期限を翌日に控え、小楓には何の手立てもなかった。すると母・阿史那雲(アシナウン)が現れ、父のティダールが協力してくれると教える。確かに西州王も丹蚩の王には手出しできないはず、阿史那雲はすでに手を整えたと話し、丹蚩で隠れているよう助言した。そこで先にアドゥを丹蚩に向かわせ、ハーシに迎えを頼む。すると小楓は顧剣に同行を頼みたいと懇願し、難色を示した母を拝み倒した。翌日、和親の使者として安護(アンゴ)府の高顕(コウケン)と朔博(サクハク)のリドゥンが西州王・曲文成(キョクブンセイ)に謁見した。しかし西州王が答えを出す前に、側妃・明遠(メイエン)の重体の知らせが届く。西州王は使節を放ったらかして駆けつけたが、明遠の命のともし火は消えかかっていた。「私が死んだら天亘(テンコウ)山に埋葬してください… 王上の妻となりわずか7年ですが、もう悔いはありません」遠い西域に嫁ぎ、民の安寧を見守ってきた明遠、そしてそれがいつまでも続くことを願っていた。一足先に焉支城(エンシジョウ)から脱出した小楓は、丘の上で師匠や護衛たちを待っていた。そこへ顧剣と胡嘯(コショウ)がやって来たが、なぜか顧小五がいる。実は顧小五は師匠の従弟で、西域に詳しいことから同行を頼まれたという。その時、城から鐘の音が聞こえて来た。「きっと明遠娘娘(ニャンニャン)だわ…」小楓や顧剣たちは城に向かって拝礼し、哀悼の意を示した。しかし身分を偽っている李承鄞(リショウギン)は叔母の死を悼むこともできず、背を向けて涙をこらえるしかない。こうして小楓は顧小五と一緒に一路丹蚩を目指すことになった。明遠永眠により焉支城は喪に服すことになった。喪中の婚礼はご法度、九公主の和親については四十九日後に延期される。柴牧(サイボク)は生前に頼まれた通り、明遠から授かったかんざしと衣を箱に入れて天亘山に埋めた。…公主、この場所はいかがですか?目の前は豊朝(レイチョウ)です…今後はここから郷里を眺められます、もう寂しくありません一方、西州王は葬儀を欠席した小楓に怒り心頭だった。正妃の関与を疑ったが、阿史那雲はきっと気晴らしに出かけただけだろうとごまかす。「明遠の死を知れば飛んで帰ってくるはずです、それより妹妹(メイメイ)の葬儀の方が大事ですよ」小楓は休憩中、自分を可愛がってくれた明遠を思い出していた。すると顧剣が隣に腰掛け、明遠が自分の人生と引き換えに戦から民を救い、平和を守ったのだとそれとなく小楓を諭す。「確かにそうね… でも遠い異国に嫁いで1人寂しく暮らしていた、いつも故郷からの便りを待ちわびていたわ 師父、私はそんなの嫌、好きな人と一緒に自由に生きたいの」小楓の切実な願いに何も言い返せない顧剣、その頃、李承鄞は一行から離れて1人、生母の玉を握りしめていた。中原豊朝にも明遠公主の訃報が届いた。朝臣たちは明遠公主の功績を称えて諡号(シゴウ)を授けてはどうかと提案したが、皇帝・李賾(リサク)は無視して和親の話題に変えてしまう。そこで高坤(コウコン)が上奏しようとしたが、父の高于明(コウウメイ)が目配せして止めた。仕方なく皇弟・忠(チュウ)王は朔博王からも縁談が持ち込まれ、西州王は喪中を理由に和親の返答を引き延ばしていると報告する。すると皇帝は安護府にいる第二皇子と第五皇子に必ず和親を成し遂げるよう直ちに書状を送れと命じ、散会した。高坤は父に皇帝が非情過ぎないかと訴えた。しかし高于明は非情でなければ帝王は務まらないと諭す。「陛下ももはやかつての李賾ではない、坤兒よ、よく覚えておけ 臣下が君主より目立ってはいかん、臣下は君主より危うい 将来、高家が誰に仕えようと、この天下は豊朝のものだ、それだけは変わらぬ」再び広大な草原を移動し始めた小楓一行、すると顧小五は九公主が先頭にいる顧剣を見つめていることに気づいた。「表哥のことが好きなら言えばいいだろう?男は凧のようなものだ しっかり糸を握らないと飛んで行ってしまう」「…でもあの人の気持ちが分からないの」「知りたいなら私が探ってみよう…あ、だが条件がある 丹蚩王の幕舎はお宝の山だとか?私に1つ2つ選ばせてくれないか?」「って、悪徳商人か!…あなたは入れない、でも私が欲しい物を取って来てあげてもいいわ」その夜、皇帝は明遠の急逝に心を痛めた祖母を見舞った。すると太皇太后は現在、東宮の主がいないことを懸念し、一刻も早く世継ぎを選んで新たな皇太子に九公主を娶らせるよう助言、それで内憂外患を乗り切れるという。しかしどうやら皇帝の頭の中にはすでに目星がついているようだった。「承沅(ショウゲン)は愚鈍ゆえ帝王の器ではありません 承玟(ショウブン)は意志が弱いため、立太子すれば母親の言いなりになるでしょう 承鄞に至っては純粋で裏表がない 知恵や策略に関しては他の皇子には負けませんが、最大の欠点は軽率なことです」皇帝はやはり冷静で度量が広い第二皇子の宣徳王・李承鄴(リショウギョウ)が適任だと結論づけた。休憩中、顧小五は小楓の元へ駆けつけ、自分に餅(ビン)を食べさせてくれと言った。ちょうど後ろに顧剣が座っているため、2人の親しい様子を見せつけて試そうという。案の定、顧剣は2人の仲睦まじい姿に嫉妬したが、小楓が確認した時にはすでに顧剣は憤慨して目をそらしていた。小楓は調子の良い顧小五にからかわれたと勘違い、怒って行ってしまう。顧剣は李承鄞を呼び出し、小楓をむやみに煽らないよう苦言を呈した。第五皇子が念頭におくべきは自らの使命だという。しかし李承鄞は小楓の信頼を得ることが必要だと訴え、明遠の死で沈んでいる小楓を元気づければ自分に心を開くはずだと説明した。すると面白くない顧剣は深入りしないよう釘を刺し、行ってしまう。顧小五は小楓にどうやら従兄に気はないと教え、諦めるよう説得した。しかし小楓は師匠の様子が変わったのは顧小五が来てからだと疑い、自ら気持ちを確かめに行く。その時、顧剣はちょうど1人で川に水汲みに行っていた。そこで小楓は顧小五から中原の女子より劣ると言われたと嘘をつく。「でも彼の言う通りよ、だから誰にも好かれないのね」「卑下し過ぎだ…馬鹿な子だな~皆、君が好きに決まってる」「じゃあ師父は?!」顧剣は小楓の言いたいことが分かったが、優しく頭を撫でた。「師父だってもちろん好きだ、だから弟子にしたんだ」ただし自分の″好き″は男女の情ではないと断言する。小楓は深く傷つきながらも、師匠をからかっただけだと笑顔を見せ、その場から逃げるように走り出した。一方、国境を巡回中だった安護府の裴照(ハイショウ)は、偵察のため潜んでいた丹蚩人に襲われた。しかし暗器を見事にかわし、丹蚩人の捕縛に成功する。連行されたバトゥールは海州(カイシュウ)城の襲撃は認めたが、同日に起きた皇太子暗殺は知らないと訴えた。「中原の太子など見たこともない!」傷心の小楓は小川で馬を洗いながら、顧剣を目で追っていた。顧小五はそんな小楓に気づき、川の水を手ですくっていきなり顔にひっかける。怒った小楓は桶に水を汲み、顧小五に浴びせかけてやり返した。これを機に2人は川に入って水の掛け合いとなり、気がつくと小楓は久しぶりに笑顔を見せる。顧剣は小楓のコロコロとした笑い声に気づき、思わず無邪気な小楓の姿に見とれた。するとふいに小楓が振り向き、目が合ってしまう。顧剣は慌てて目をそらしたが、小楓は師匠の一瞬の眼差しを見逃さなかった。…思い過ごしじゃないわよね小楓一行は死の谷にさしかかった。ここは危険な場所のため日暮れ前に抜けなくてはならない。すると一足先に偵察に向かった胡嘯が朔博兵を発見、口笛で合図を送ったが間に合わなかった。朔博軍に囲まれた小楓たち、その時、高台に将軍・ユエンカーが現れる。「よう、我らの大王が奴隷を見失った、大人しく差し出せば危害は加えぬ」朔博王の奴隷とは小楓のことだった。ユエンカーは配下に小楓だけ生け捕りにしろと命じた。顧剣たちは懸命に応戦したが多勢に無勢、そこで小楓を李承鄞に託して先に逃がすことにする。「弓月(キュウゲツ)城で会おう!」すると李承鄞は小楓を引っ張って馬に乗せ、死の谷から走り去って行った。ユエンカーは焦ったが、小楓の馬が落として行った鳴り矢に気づく。つづく(  ̄꒳ ̄)いや~ロケはいいねえ、やっぱりそれからちゃんと馬に乗ってるの高ポイントだよね~うんうん
2020.11.15
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