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Sergent Peppers Lonely Hearts Club Band / The Beatles

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テーマ：好きなアーティストは誰？？(2274)

カテゴリ：音楽

2.With a Little Help from My Friends
3.Lucy in the Sky With Diamonds
4.Getting Better
5.Fixing a Hole
6.She's Leaving Home
7.Being for the Benefit of Mr. Kite!
8.Within You Without You
9.When I'm Sixty-Four
10.Lovely Rita
11.Good Morning Good Morning
12.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
13.A Day in the Life

■あれはたしか中学２年の時だったと思う。音楽の先生が授業で何かレコードをかけたいと思うので、誰か次の時間に自分の気に入ったものを持ってきなさいと言った。そして私は当時買ったばかりのこのサージェントペッパーズを持っていったわけだ。そしてクラス全員で冒頭の３曲ほどを聞くことになった。

■そこで針をあげた先生がしたり顔でこういうわけだ。「じゃあ、君はこの音楽のどこが良いと思うの？」そんなこと言えるわけがない。いや少なくとも説明できるわけがない。ノリがいいも陳腐で、美しいなんて語彙はなくて、ましてや統一感があるなんて、クラシック音楽を聞いた後に言えるわけがないじゃないか。そう、せいぜい言えたところでベートーベンよりはかっこいいと思う、その程度だ。

■大人は嫌な感じだな、すぐに試すようなことを言う。所詮あの時私がどんなことを言おうが、見下ろされてたんだと思う。君が感じていることなんて私にはお見通し、そんな言葉でしか表現できないの、もっと気の利いた感想を言いなさいよ。そんな内心は見てとれたし、悔しいけれど、当時の中学生には使える言葉は限られていたし、他のものに例えるストックすら持ち合わせていなかった。

■今、その音楽教師と同じくらいの年齢になって、私も若い人に同じようなことを言っているように思える。「だから、それのどんなところに君は感動しちゃったりするわけ？」理屈じゃないんですよ、ほら、こんな感じ、このコード進行がなんかヤバイんだよね。ギターを抱えてその若い人はそう答えた。人は２種類に分けられる。一生ブツブツ言っている人と、一生ギターを弾き続ける人と。

■あの時表現できなかったこのアルバムについての感想を３５年ぶりに書くとすれば、まず、ジャケットだ。そこにはアインシュタインもエドガー・アラン・ポーもカシアス・クレイもディランもプレスリーも毛沢東も彼らの背後に立っている。つまり科学も文学も武闘も文化も政治も、全部ひっくるめてその時代が詰まっているということ。そんな時代を俺たちが引っ張っているんだぜ、っていう傲慢なまでの自信、そんなものが漲ったアルバムである。

■タイトルがいい。ペッパー軍曹の寂しき楽団。たとえばＬＰはできた曲の寄せ集めで、１０曲集まったら作品にしました、しかも順番は曲ができた順。そんなスタイルから完全に脱却、まるで物語を語るかのように、オープニングがあり、曲の切れ間もなく次の曲に繋がる。A面とB面の間にコマーシャルが入るだけの３０分もののテレビ番組のような音楽。今では当たり前のことだけどね。

■この１曲という目玉になるような曲がないアルバム。この曲は次の曲にこのように連鎖していくという感覚。楽しげなムードで始まって、なにやら内省的な気分にさせられ、美しい時間が来たと思ったら、前衛的な詞が流れる。１３曲が１枚のアルバムの各パーツなんだな。と言って、たいしたことないかと言われれば、どれをとっても独立した名曲たり得る。「Getting Better」しかり「Fixing A Hole」しかり。もちろん、あれもあの曲も。

■純化されたものを意識的に遠ざける方法。たとえばあまり歌が上手くないドラマーにメインを張らせ、かくも美しき旋律を途中で分断して無理矢理、２つの曲を繋ぎ合わせる。いくらでも美しくすることができるのにあえて汚すことで印象づける効果。そして曲の余韻もまた曲の一部だという聞かせ方。

■Beatlesを書くことの難しさは様々な比喩の源泉がここにあるということだと思う。あのバンドのあの曲を表す時にまるで○○のようだという表現が全部ここにつまっている。それはメロディに限らずある思想的なニュアンスにおいてもね。１３才だった男の子があの嫌らしい教師の前で立ちつくしてしまったのも当然と言えば当然の話だ。

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