売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2023.12.17
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2021年春の寧波阪急開業時


開業時のロジェヴィヴィエの様子

前職の官民投資ファンドで浙江省寧波市の未開発地に新しく阪急百貨店のショッピングセンターを建設するプロジェクトに投資する話があり、2014年に建設予定地を訪問しました。当時はまだ周囲にほとんどビルはなく広大なサラ地、地下に完成予定の地下鉄2線の駅も姿かたちもありませんでした。

寧波は聖徳太子の時代に小野妹子ら遣隋使が辿り着いた港町、その後も日本から遣唐使が何度も寄港、ここから千キロも離れた長安(現在の西安)に歩いて挨拶に行ったそうです。唐招提寺を建立した中国のお坊さん鑑真はこの港から日本に渡りました。なので日本とはとても縁のある古い都市、しかも上海、シンガポールに次ぐ主要港をいまも有する経済拠点でもあります。市内を走るポルシェの台数は当時上海や北京以上だったので、高いポテンシャルをここで予感しました。


寧波阪急百貨店

我々の投資も決まって着工、建物そのものは予定通り完成しました。しかし、出店交渉していたヨーロッパの有力ラグジュアリーブランドから正式な回答がなかなか得られず延期に次ぐ延期、結局構想よりも3年ほど大幅に遅れて開業(このとき私はすでに社長を退任)しました。野党議員の一部から開業の遅れを国会の委員会でさんざん批判されたと聞いています。

そして開業時はコロナウイルスの真っ最中、どうなるのか心配した阪急寧波店はオープン直後から絶好調、初年度と比べて予算比の倍以上を記録しました。

ところが、ラグジュアリーブランドの売上が素晴らしいと伝わってまたもや野党議員の一部から「どこがクールジャパンなんだ」とご批判。おっしゃることは分からないでもないんですが、知名度抜群の有名ブランドをある程度揃えなければ館全体の集客は望めません。まずは集客ありき、そして常連さんを増やし日本の美味しいやカッコイイをゆっくり浸透させていく、これが当初から考えた日本の生活文化を広めるビジネス策でした。現地で知名度のない日本企業が店を構え立って現地の一般住民は見向きもしないでしょうから、我々の考えは絶対に間違っていません。


1階の裏口で記念撮影


1階ヨウジヤマモト


中国で人気の無印良品は大きな売り場


デパ地下にはサントリー山崎はじめ日本のウイスキー


獺祭、梵など日本の吟醸酒もズラリ揃っている



スタジオジブリのキャラクターグッズ店


スーパーマリオ人形がセットされた任天堂コーナー


デパ地下は系列のスーパーイズミヤ

投資には関わりましたが、完成した百貨店を見るのは今回が初めて。噂では初年度は想定したよりも2倍の売上を記録したので社員に臨時ボーナスが支給されたとか、良かったです。我々が訪問したのは平日の午前中だったからか館内は思ったより静かでしたが、デパ地下はそれなりに賑わっていました。デパ地下は現地ですでに実績のあったスーパーイズミヤ(現在は阪急グループの系列企業)が日本の食品などをたくさん扱っていました。


日本の百貨店らしくお客様サービスも

開店が遅れて批判、開店したらまた批判の先生方、視察ツアーを組んで一度は中国の主要百貨店やショッピングセンターにお出かけください。ラグジュアリーブランドをしっかり導入できないと集客はままならないことを肌でお感じいただけるでしょうし、日本の化粧品、ファッション、雑貨や玩具、そして日本食材や料理はまだまだ伸ばせるポテンシャルがあることがお分かりいただけるでしょう。

開業前に心配した点、やはり売り場では少々気になりました。もしもまだ私が投資側のトップのままなら課題の改善を阪急百貨店にお願いしていたでしょうね。課題はどこかはここでは言いませんが、とにかく早い出資の回収を期待です。





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Last updated  2023.12.26 11:04:15
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