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December 27, 2005

「死者と影」by ポーラ・ゴズリング（山本俊子訳）

カテゴリ：読書

これは、ブラックウォーター湾ミステリの第４弾。装幀は、勝呂忠。
図書館から借りてきたポーラ･ゴズリングの本は、これが最後になる。

死者と影

「理学療法士のローラ・ブランドンの友人ジュリーが、ブラックウォーター・ベイ郊外の森で惨殺死体となって発見された。彼女は、ローラの叔父ロジャー・フォレスターが経営するマウントビュー病院で働いていたのだった。親友の死の真相を探るべく、ローラはマウントビュー病院で働くことを決意する。しかし、病院内の誰もがジュリーの事件に関して触れるのを避けているようなのだ。一方、ブラック･ウォーター･ベイの町では、暗い森を徘徊する、不気味なシャドーマンの噂が流れ始めていた。果たして、犯人は病院内部の人間なのか、それとも伝説のシャドーマンなのか？第二の殺人が起こり、ローラの身に危険が迫る中、入院患者の元刑事トム・ギリアムの協力を得て、マット･ゲイブリエル保安官が難事件解決に挑む！！」

今回は、ローラが主役のお話です。もちろん、マット保安官も登場しますが、どちらかというと脇役的な扱いとなっています。そして、もう一人の主役といっていいのが、元刑事のトム・ギリアム。彼は、グランサム警察に所属していたのですが、犯人を追跡中に高いところから落ちて、腰と両足の骨を折って、マウントビュー病院に入院しているのです。そう、グランサムといえば、ジャック･ストライカー警部補。実は、トムの上司なのです。というわけで、ストライカー警部補も、ちょこっと電話で登場しますよ！

さて、物語を読み進んでいくと、このマウントビュー病院に勤務している医者も看護婦も、みんな怪しく思えてくる。ロジャーの秘書ミリー、婦長のシャーリー、看護婦のクラリッサは、何故かローラに敵意を抱いているように見える。住み込み医のハンサムなデイヴィッドと真面目なオウエンも、一癖ありそうな感じ。雑用係のマイケルは、かなり嫌なやつ。もしかしたら、ロジャー叔父さんも怪しいかもしれない。

一方で、気味の悪いシャドーマンの噂が町中に広がっていきます。広めているのは、図書館に勤務しているシャーリーのお兄さん。一体、シャドーマンは実在するのでしょうか？こんな状況の中、ローラは孤軍奮闘していきます。というのも、彼女はマット保安官をあまり評価していないからです。何しろ、親友のジュリーが殺害されてから1ヶ月もたつのに、事件が解決していないのですから無理もありません。そこで、元刑事のトムが安楽椅子探偵的な活躍を見せることになります。

この作者の特徴といっても良いと思うのだけれど、ジュリー殺害事件の裏で進行していた、別の事件も最後の方で明らかにされます。なるほど、だから、あの人物はあのような態度をしていたのだね！！そして、ラストシーンで、ローラの飼い猫ソロモンが見たものは、一体？！

いうなれば、ブラックウォーター･ベイ･シリーズの番外編ともいえる本書。なので、今までのシリーズを読んだことのない人でも大丈夫ですよ。