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2007.12.23
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ヒメアカホシテントウ を掲載したが、今日紹介するのは「ヒメ」の付かない只のアカホシテントウである。その幼虫の方はこの春に紹介済みなのだが、成虫の方は出そう出そうと思いながら随分遅れた登場になってしまった。


 テントウムシの生活環には2通りある。1年の間に何回も発生を繰り返すものと、年1回しか発生しないものである。これまでに紹介した ナミテントウ ヒメカメノコテントウ キイロテントウ ムーアシロホシテントウ クモガタテントウ 等は前者、アカホシテントウは後者に属す。ヒメアカホシテントウについては良く分からないが、アカホシテントウと同属なので、後者かも知れない。


仮眠中のアカホシテントウ2
仮眠中のアカホシテントウ.頭と胸の部分が窪んで

独特の形をしている(2007/11/)



 アカホシテントウは6月頃に羽化し、気温が上がると夏眠に入る。下はウメの葉裏で夏眠中のアカホシテントウである。日付は8月24日。此処には3頭しか居なかったが、アカホシテントウは幼虫も成虫も集団を作る習性があり、時に何十頭もの大所帯で夏眠することもあると言う。

仮眠中のアカホシテントウ1
ウメの葉裏で夏眠中のアカホシテントウ(2007/08/24)



 次のは上の写真の部分をもっと近くで撮ったものである。鞘翅が互いに接するほどくっ付けて夏眠している。

仮眠中のアカホシテントウ3
上の写真の部分拡大(2007/08/24)



 夏眠中でも完全に寝ている訳では無く、葉っぱを酷くいじくったりすると動き出す。しかし、何もしないと殆ど動かないこともあるらしい。下の写真は、上と同じ葉裏を約2ヶ月後の10月17日に撮ったものである。2頭のテントウムシの位置は殆ど動いていない。尤も、休むのに良い足がかりか何かがあって、動いてもまた同じ所に戻る、と言う事も考えられなくはない。もう1頭は、確か台風か何かで大雨が降った後に居なくなってしまった。他のウメの葉裏に居たアカホシテントウも、或ものは同じ所に留まり、或るものは居なくなると言う風に様々であった。

 夏眠から覚めるのは秋もかなり遅くなってからの様である。その後、12月から2月にかけて交尾し、カイガラムシの殻の中(カイガラムシの卵がある)に産卵する。卵は4月に孵化し、カイガラムシの幼虫を食べて成長する。

仮眠中のアカホシテントウ4
約2ヶ月後の同じ部分.1頭居なくなったが

残った2頭の位置は殆ど同じ(2007/10/17)



 アカホシテントウはヒメアカホシテントウやミカドテントウ等と共にクチビルテントウ族(Chilocorini)に属す。クチビルテントウと言うのは妙な名前だが、族名或いは亜科名の”chilo”(ラテン語で唇の意)が語源であろう。

 クチビルテントウ族の特徴は、頭楯(上唇の直ぐ上)が目の前で横に拡がることにある。下にアカホシテントウの頭部を示す。真っ黒で分かり難いが、光沢のある複眼の下側に少しザラザラした感じのする部分がある。これが「頭楯の拡がり」である。この為、クチビルテントウ族の複眼は、頭部に嵌め込まれた様な形になる。これに対して、他のテントウムシ、例えば、以前掲載した ナミテントウ の顔を見てみると、複眼の下側には何もなく、複眼が頭部から左右に突出した形になっている。

眼を醒ましたアカホシテントウ
眼を醒ましたアカホシテントウ.頭楯の拡がりが良く分かる(2007/11/11)



 クチビルテントウ族のテントウムシはカイガラムシ類を専門に捕食する。頑丈なカイガラムシの殻の縁をこの横に拡がった頭楯でこじ開けて、中身を食べたり、産卵したりするらしい。

 また、このテントウムシの仲間は鞘翅が横に拡がっており、全体の形が旧独軍の鉄兜の様な形をしている。また、脚の腿節や脛節が平らで、且つ、腹面にそれが収まる窪みがあるのだそうで、休止時には鞘翅で体全体をスッポリ覆う様になっている。これは、カイガラムシの補食のためではなく、「カメ・アルマジロ式外敵防御態勢」だそうである。長い間夏眠する習性と関連しているのであろう。

寝ているアカホシテントウ
寝ているアカホシテントウ.「カメ」になっている(2007/11/11)



 愈々平成19年も終わりが近づいた。しかし、まだコナラには葉が残っているし、昨日はムーアシロホシテントウを2頭も見付けた。それに、この秋に撮った写真も少し残っている。年は暮れても、今年の虫の話はまだ終わらない様である。







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最終更新日  2007.12.26 07:29:16
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