このガラの存在は、昨年の世界バレエフェスティバルの直後、開催まで約1週間という頃に知り、その時は、是非もう一度ダニール・シムキンの「パリの炎」と「海賊」(昨年の演目、台湾ではNYCBのアシュレイ・ボーダーがパートナーでした)を観たくて調べたのですが、チケットはまだあった様なのに、飛行機が直前だったのもあり満席で取れずに断念。 集められたメンバーも良いし、また公式ページやfacebookに載っている写真がとても綺麗(以前にこのガラで撮られた写真は、今年刊行されたダニール・シムキンのフォトブックにも結構な枚数が採用されています)で、今年こそは、という想いもあり、早くから予定を立てて行ってきました。 会場の國家戲劇院は、台湾の国家的モニュメントである中正紀念堂を含む広大な敷地の中にあり、中正紀念堂の前の大きな広場をはさんで、國家音樂廳(音楽用ホール)と双子の様に向かい合わせに並んでいます。建物は、中国伝統宮殿様式にのっとっているとのことで、外観も立派で、観客席も観やすかったです。 なお、来年2011年の第五回IBSG in Taipeiは、4月9日-10日と、今年とはだいぶ違う時期の開催になるそうです。
(第一幕) 1.Sleeping Beauty, Nao Sakuma(佐久間 奈緒)/ Chi Cao (曹馳) (二人ともバーミンガム・ロイヤルバレエ) 佐久間さんはもちろん日本の方、そして曹馳さんは、先頃封切られた映画「MAO'S LAST DANCER」の主役リー・ツンシンを演じた時の人、でもあります。 佐久間さんの踊りは、とてもポジションが正確、丁寧で、特に軸がまったくブレがなく綺麗。ルックスもチャーミング。吉田都さんの背中を見て来たんだろうな、と思わせる、踊りのタイプもとても近い印象を持ちました。曹馳さんは、そうですね、普通に良かった、かな。どちらかというと佐久間さん中心に観て、また他に魅力的なmale dancerが大勢いたので、格別な印象は、正直残っていません。
2.The Little Mermaid, Silvia Azzoni/ Alexandre Ryabko(ハンブルクバレエ団) つい先頃、エトワールガラでも見たのですが、今回の方がはるかに観やすい良席(オーチャードに良席なんてないですし!)だったせいか、はるかにのめり込みました。何の背景もない、照明とダンサーだけなのに、本当に海の中の世界を観ている様で、その表現力に、ただただ脱帽です。
3.Giselle pas de deux Mizuka Ueno(東京バレエ団)/ Friedemann Vogel(シュツットガルトバレエ団) 踊りを遠目に観ている分には良いかと思うのですが、私はどうも上野さんの表情が苦手で…。フォーゲルは、王子様でした。
4.Tryst(振付:christopher Wheeldon) Sarah Lamb/ Rupert Pennefather(いずれも英国ロイヤルバレエ) Sarah Lambの長くて綺麗な肢体が印象に残ったWheeldonのコンテ作品。でも、2回目観た時は、ちょっと飽きました。すみません。
(第二幕) 1.Raymonda Solo Mizuka Ueno(上野水香) 生ピアノとの共演でした(この作品と、この後のThais pas de deuxのみ。他は皆音楽は録音)。上野水香さんに関して言えば、初日はちょっとしたミスがあったものの、私はこちらの方が断然良かったです。たぶん媚びる様な表情になりえない作品だったから良かったのではないか、と。足の甲はよく出て美しいのですが、足首は意外と弱いのでは、と気になりました。
2.Illusions like Swan Lake Silvia Azzoni/ Alexandre Ryabko こちらも先日のエトワールガラに引き続いての鑑賞でしたが、ノイマイヤーの美の世界で、素敵でした。
3.Romeo and Juliet Nao Sakuma(佐久間 奈緒)/ Chi Cao (曹馳) 英国ーアシュトンの演劇バレエの伝統健在。
4.Thais pas de deux Sarah Lamb/ Rupert Pennefather 生ピアノ、生ヴァイオリンにて。 6月にABTでも同じ作品を観ました。タイスの瞑想曲にアシュトンが振り付けたとても美しい作品です。なびかせる薄絹(?)の布が、ABTの時より短い?と思ったのですが、実際そうなのか気のせいなのかは、よくわかりません。そのせいか或いは照明などの効果のせいかも知れませんが、ABTの時より瞑想的な感じが薄く感じられたような…。
5.Radio and Juliet(音楽:Radiohead、振付:Edward Clug) Anastasia&Denis Matvienko この作品、作品として今回のgalaで一番気に入ったかも知れません。いろいろ教えて貰ったのですが、ロミオとジュリエットのストーリーを元に、Radioheadの音楽を使い、Edward ClugがスロヴェニアのBallet Mariborと作った作品ということです。Full-lengthはもっと大人数で、長いようです。なので、このピースはさしずめバルコニーのPDD辺りに相当する(←振付の印象から想像)のでしょうか。タイトルはもちろんRadiohead×ロミオとジュリエットのもじりとのこと。バレエというより、マイケル・ジャクソンがでも踊りそうな振付で、身体を柔らかくかつシャープに使い、とてもクール。この二人の技術の高さもやはりありますね。(後で別記事でyoutube動画貼るつもりです)
7.Tchaikovsky pas de deux Iana Salenko/Daniil Simkin ヤーナ・サレンコとダニール・シムキンのペア。ヤーナ・サレンコもかなり小柄なんですね。体格のバランスも、踊りの質、テクニック、重力を感じさせない軽やかさなど、いろんな面において、とてもよくマッチしていて、私が予想していたより以上に、お似合いのカップルでした。サレンコは5月にマラーホフガラで観た時は、踊りというよりは表情や見せ方の加減なのか、もう一つパッとしない印象だったんだけれど、今回二人ニコニコして輝いていて、本当に良かったよ~。しかしサポートに関しては…、正直危なげアリ(^^;;でした。初日、アダージョのラストのポーズにて、結構危なげあり、翌日は、はじめから安全策を取った様子。うむ~ここら辺は、今後頑張って欲しいものだ。 二人ともパステルカラーの衣装が似合っていて、ダニールはただでさえ可愛いのに、一層可愛い。年末「くるみ割り人形」のようなお伽噺には、似合いそうな感じでGoodです。
8.Don Quixote Act 3 Grand pas de deux Lorena Feijoo/Vitor Luiz え~と、女性(Lorena Feijoo)の方、身長も高いのですが、かなり体格よろしくて、推定60kgあるんじゃないか(違ってたらすみません)と思いました。まだIn the Middleなら良いんですけれど、チュチュは…う~ん。で、第一幕で予想出来た通り、勢いで挙げてもキープできなくてアラベスク、アティテュード低いし、キープ決まらないし、グランフェッテはダブル入れたりして凄い勢いでやるけれど、頭がぐるんぐるんしてなんだか全然綺麗じゃない。 男性の方(Vitor Luiz)は、ブラジル出身の方で、顔立ちもなんとなくそんな雰囲気でしたが、踊りもエレガントで良く、でもなんと言っても驚いたのは、この重そうな女性を頭上に軽々と、しかもパッと放ったこと。そう、いきなりアダージョの冒頭から、頭上の宙に浮いたんですよ(女性はパッと横開脚ポーズ)。こりゃ凄い@@)。なんかキューバっぽいノリだなぁ、と思ったら、女性の方はキューバご出身でした。関係あるかわかりませんが。まあ、男性(Vitor Luiz)は凄い(そのサポート力、3割位ダニールに分けてあげても(^^;,まだ余裕あると思いますっ)し、良いダンサーだったと思うのですが、重くてごついバレリーナの方はあまり観たくないです(毒舌すみません)。