残念ながらこの曲は7インチシングルでしか出ておらず、人気、レア度、値段も高い(それでも相場は5千円程度だと思う)。SOUL FROM THE VAULTという怪しげなコンピに一応収録されてはいる。驚いたことに先日、山下達郎のサンデーソングブックでオンエアされた。(次の週にはなんと THOMAS BAILEY / WISH I WAS BACK までもが!)何故か複数リクエストが来ていたそうな。実は私も昔この曲をリクエストして葉書が読まれたことがある。その時、山下達郎はお皿を持っておらず、知人に借りようとしたらケチなことに貸してくれなかったとか。
REFLECTION / JUST REALIZED (WAND 11237)
SがついてないけどこのグループもU.S.BDG 318、甘茶ソウル百科事典P.104,P.249で取り上げられているREFLECTIONSだ。このグループはLPも悪くないが何と言ってもシングルオンリーのこのお皿と後述する、やはりシングルオンリーのI'M GONNA LET YOU GO THIS TIMEに尽きる。この「JUST REALIZED」は、きれいに響きわたるエレピの音色からあれよあれよと甘茶ソウルでは珍しい甘美なミディアムテンポの世界へと突入していく。かすれた、けれど味わい深いリードをメリハリのあるコーラスがたたみかけるように盛り上げていくところなんて甘いうえにスリリングで最高!胸をえぐるように甘いバックのストリングスなんかもグレートです。途中幾通りかへと展開していくメロディも全てのパートが美しく、全く無駄の無い完璧な曲。2分50秒と短かすぎるのがチトはかないね。ロングバージョンが聴ける12"、、、なんて出てないのかなあ。ソフトタッチがオンエアされた今、山下達郎さんがオンエアすべき伝説の甘茶ソウルNO.1となった、、、気がする。
TOMORROW'S PROMISE / HE DON'T LOVE YOU LIKE I DO (CAPITOL 3566)'73
TOMORROW'S PROMISEのお皿はどれもさほど値は張らない。LP「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE」へは収録されておらず、CD「SOUL VOCAL GROUP DELIGHTS - Volume 15」にかろうじて収録されている(もちろんどちらもブート)。
GASLIGHT / I'M GONNA GET YOU (GRAND JUNCTION 1100)'73
70年代初頭に4枚のシングルを残して儚く消えた伝説の甘茶グループ。アルバムを残しておらず、残した数少ないシングル皿がどれも高品質という意味においてTOMORROW'S PROMISEと双璧を成す甘茶者にはとても評価の高いグループです。BUTCH AND THE NEWPORTSという前身グループを経て、後にソロアルバムも出すOLIVER CHEATHAMが率いていたデトロイトのグループです。甘茶偏差値74のDRIFTING AWAYなど既に当ブログでは複数紹介済みですが、今回はいよいよ大本命盤の73年の3rdシングル。
アレンジはPaul Riserで淡く寂しげなピアノから始まるイントロなど繊細なサウンドを作り上げている。特筆すべきはその後いきなり来るサビのフレーズで、甘く優しくなだらかな「I'M GOING TO GET YOU」というコーラスと儚くか弱いリードの掛け合いが絶妙に美味。切ない想いを全放出するかのような甘い雄たけびも魅力に満ちています。バックも郷愁を誘う大泣きのサウンドでそれらが凝縮され一体となったこのサビは甘茶ソウル史上に燦然と輝くサビの頂点と言えるでしょう。当然ですが、それらは決して万人受けする内容ではなくソウルミュージックの持つ甘さという要素を容赦なく極限にまで突き詰めた所業の瞬間で、だからこそマニアにだけは絶大な支持を受けるのだと思います。なお、私の推す他の偏差値70越えの超優良甘茶ソウルと比べるとサビ以外の出来がいまいちですが、このサビの存在だけで最高の甘茶ソウルと格付けしてしかるべきかと思います。
JAMES PERRY / LOTTERY OF LOVE 12"(ULTRA-SONG 1000)
甘茶ソウル百科事典P.25で紹介されているKaleidoscope。暗めの甘茶ソウル「THANK YOU '75(TSOP 4770)」、やはり暗めのフィリーダンサー「WE'RE NOT GETTING ANY YOUNGER '75(TSOP 4765)」で有名。それらは共に「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE」で紹介されているぐらいだから、いかに当時マニアに人気が高かったのかが分かります。ムーニー氏によると共に裏付き7"は激レアだそうで、どんな内容か気になります。ご存知の方教えて下さい。
「CHOSEN FEW / YOU MEAN EVERYTHING TO ME」のような分かりやすい大味な曲ではないので、一聴しただけではその魅力に気づきにくいかもしれませんが、薄味甘茶ソウルの究極の姿がここにはあると思います。お皿の相場は1万から2万ぐらいとチト高いのですが、この辺の音がお好きな方になら全く問題にならないお安い買い物だろうと思わせる至極の名曲です。
その後頂いた情報によりますと、KALEIDOSCOPEの二枚の7インチの裏面は、 (TSOP 4765) '75 WE`RE NOT GETTING ANY YOUNGER / I WANNA LIVE FOR YOU (ミディアムアップの曲) (TSOP 4770) '75 THANK YOU / I'M A CHANGED PERSON (ミディアムアップのとても爽やかなフィリーアップ) とのことでした。どうも有難うございました。
更に、山下達郎氏によるとそのカレイドスコウプの前身はやはり甘茶ソウル「SUGAR FROSTED LOVE」で有名なFIRST OF JANUARYで、本作は「SPINNERS / Could It Be I'm Falling In Love」を作ったMERVIN STEALSなどによるフィリー制作とのことでした。
SOUL GENERATION / IN YOUR WAY LP(EBONY SOUND 2000)'72
スウィートソウル名盤として間違いなくその5指に入るであろう歴史的名盤「BEYOND BODY AND SOUL」収録曲。U.S.BDG #289,甘茶ソウル百科事典P.48,MOONY'S SELLECT #087の彼ら唯一のこのアルバムは、味わい深い銘甘茶がたっぷりと注がれているのに内容も判り易いので、将に初心者から上級者まで万人向けの超お勧め盤となっています。
SKIP MAHOANEY & THE CASUALS / WHEREVER YOU GO (A-BET 9465)'76
彼等のセカンド・アルバム「LAND OF LOVE」収録曲。ストリングス、鉄琴(グロッケン?)、ハイハットの出だしの気品あるゆったりとした優雅なアンサンブルの濃厚な甘さは超特級品。この部分だけでも甘茶ソウル史上に燦然と輝く名曲と言えるのに、この後、更にこってりと濃厚なファルセットが美メロを切々と歌い上げてくれちゃうんですから堪りませんネ。優しくソフトで夢心地なムードなのでメイク・ラブ用ミュージックとしてもすこぶる役に立ちそう。70年代ソウルの美味しい「甘い」部分をこれでもか!とばかりに肩に力を入れまくり、力みまくりで過剰に演出した甘茶ソウル代表曲。私が黒人音楽に求めているのは、まさにこういう部分なんです。
因みに詳細不明ですが「INTERLUDE / WHEREVER YOU GO (STAR VISION INTERNATIONAL 1107)'82」(PROD&ARR BY JIMMY DOCKETT)というカバーがあって、スキップ・マホニー版より更に長い6分44秒ものバージョン(12インチ版?)。内容は忠実なカバーで特に独自解釈は無く、長い分は単に間延びしただけという感じ。更に80年代臭が加味された分魅力が失せていますね。悪い内容ではないのですが。
そして4THアルバム「Tell Me This Is Dream(PHILLY GROOVE 1154)'72」では、更にインスト色を増したバージョンが収録されています。(表記は「HOW COULD YOU」部分が無い「DELFONICS' THEME」です。)このインスト版ではヴォーカル&コーラス抜きなので、フィリーの豪華&流麗なサウンドがたっぷりと堪能できます。コーラスの代わりに情感深さを感じさせるシタールが主旋律を奏でるのも、これはこれで違った魅力を味わえてイイのです。いやむしろ、ヴォーカル&コーラスを自分の都合のいいように脳内補完でき、飽きが来にくい分インスト版の方がイイという説、、、を私が唱えています。そして忘れた頃にコーラスが入るという演出に涙がホロリ。
WILLIAM HART / FOLLOW EVERY DREAM (LORIMAR 8007)'79
この曲を初めて聴いたのは山下達郎のサウンドストリートのスウィートソウル特集だった。当時受信の状態が悪く、雑音で雨が降っているように聴こえたものだが、まさに曲全体が雨でしっぽり濡れそぼっているかのような甘く切なく美しい曲だ。まず、イントロのなんとも静かで淡白な不思議なグルーブだ。この世のものとは思えない別世界、そう、まるで酸性雨が降りしきる未来のロス市街、ブレードランナーの世界だな、そんな場所にいるかのような錯覚に陥る甘茶ソウルきっての素晴らしいグルーブだ。静かで淡白なバックにあわせるかのようにウィリアムハートのあまーい歌声も淡白で繊細に夢の世界を歌い上げる。有名なデルフォニックスのヒット曲などのように大味ではないから全く飽きが来ない。残念ながらこのお皿はかなりレアで値段も高いようだ。山下達郎は当時この曲をおそらくほとんど新譜に近い状態でオンエアしたのではないかと思うのだが、ろくにヒットもしなかったであろうこのマイナー甘茶ソウル、20年以上経過した今聴いても全く輝きを失わない究極の甘茶ソウルを、しっかりとオンエアした功績は絶賛に値する。私にとっての山下達郎のオンエアNO.1曲だ。 (T.BELL - L.M.BELL - C.JAMES)(ARRANGED,CONDUCTED AND PRODUCED BY THOM BELL) (画像2はこの曲が収録されている映画サントラ「The Fish That Saved Pittsburgh」)
延々コーラススタイルオンリーのこの曲は、脊髄を直に刺激するようなというか、私という個体を超えたところで DNA が直接反応してしまうというか、なんかよく表現できないけど、そんな妙に懐かしい感覚を体験させてくれる素敵なメロディーを持った曲です。かなり私の嗜好のツボ(ノスタルジック&胸キュンメロディー)を押さえている大推薦曲ですが、甘茶ソウル百科事典、U.S.BDG、ともにこの曲に対するコメントがないのは、ちょっと寂しいところです。
REFLECTIONS / I'M GONNA LET YOU GO THIS TIME 12"(RCA 11409)'78
U.S.BLACK DISK GUIDE #318で唯一のアルバム「LOVE ON DELIVERY (CAPITOL 11460)'75」が取り上げられているリフレクションズのシングル・オンリー曲。同じくNOT ON LPな 「REFLECTION / JUST REALIZED (WAND 11237)」
ともども彼らはアルバムよりもこの二枚のシングルの方こそが抜群の出来なのです。U.S.BDGでも書かれていますが、リードは甘茶ソウルとしては珍しい「かすれ気味のテナー」。最初に聴いた時は一瞬とまどいましたが、曲の良さも手伝ってか直ぐに慣れました。っていうかコレこそが味なのだと感じましたね。
MERRY GO ROUNDは“非日常”を表す甘茶なキーワードの最たるものです。かつて山下達郎がオンエアしたISLEY BROTHERS / LOVE MERRY GO ROUND というめくるめく甘い曲がありますが、マイナーなところでは MONDAY AFTER / MERRY GO ROUNDも軽快なアップ曲。SMOKEY ROBINSON / MERRY-GO-RIDEはフワフワ感が格別な傑作甘茶子守り歌ですね。PERFECT TOUCH / MERRY GO ROUNDも甘ーいファルセットが魅力の甘茶ソウル。そしてなんといっても、このJONESESのスポロロ甘茶、MERRY GO ROUNDまであるのですから相当甘茶度が濃いキーワードです。それにしてもなんとこの曲のコーラスの明快にして独創的なことよ!バリエーションに富んだ構成であるにもかかわらず、ポピュラリティの高いことよ!でもって甘くて、明るくて、ノスタルジックで、胸キュンメロで、しかもミディアムなんだよなー。究極のポップ甘茶とでも名づけてしまいましょう。