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2017.12.12
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掃除をすることや、ご飯を作ること、洗濯その他、さまざまな 家事。
しんどいな、なんか今日はやりたくないな、と感じる日が、わたしにも、時々あります。 

基本的には家事はとても好きですが、生きていれば、いろんな日があるものです。

そんなときに わたしが思い出す、遠い記憶。   これ思いだすと、頑張れること。


それは、「つわり」のこと。

息子がおなかにいた時の・・・「つわり」の日々を 思い出してみる。

家の事をしたくても いっさいできなかった 苦しかった あの日々を 思い出す。








強いつわりは、7カ月を過ぎるところまで 延々と続きました。
水を受け付けない時期も長く、そんな時は助産婦さんの言う通り 少しずつ 氷を舐めていました。
始めのうちは、病気ではないのだから、と なんとか頑張って、お弁当作りやご飯の支度をしていましたが、徐々に立てなくなり、断念。  
炊飯器のお米の匂いなんてもちろんのこと、お風呂の「お湯の匂い」も地獄となり・・・
やがては入浴もままならないことに。 無臭のはずのお湯の匂いがツラくて、入れないのです。

1日中、強い吐き気に襲われながら、ベッドに横たわり、毎日、ただ天井を見つめていました。
ああ、天井のあそこから ホコリがぶら下がってるなあ・・・って。
そのホコリを、だからといってどうしようという気も全く起こらず、うつろな意識のなかで、
来る日も来る日も ふわふわ揺れるホコリを ただただ ぼんやりと眺めていたっけ。


つわりのキツかった方は、きっと たくさんいらっしゃると思うのですが、
わたしの身近には何故かあまりいらっしゃらなく、当時はそれが たいそう孤独でした。
支え合える、分かり合える人が、一緒に乗り越えることのできる「つわり仲間」が欲しかった。

青白い顔をしてよろよろと妊婦検診にいくと・・・みんなキラキラ妊婦さんに見えて。
ふっくらとしたお腹や少しぽっちゃりとされた様子も、可愛らしくて。みなさん元気そうで。

「体重が増え過ぎだよ、って先生から怒られちゃったー!」なんていう明るい会話を、遠くにかすかに聞きながら・・・
約1カ月で9kg痩せ ガリガリの化け物のような妊婦だったすずひは・・・ タッパーに入れて持参してきた氷を舐めながら、ああ、わたしはいつになったらそんなふうになれるんだろう、と。
検診も、合間の受診も、必ず入院室へ連れていかれ、4時間くらいの点滴を受けていました。

泣きたいような気持ちでしたが、涙もでなくなるんですね、脱水症状が進み過ぎると。





よく「4~5ヵ月くらい?」と訊かれましたが、これで臨月です。出産間近なのに薄っぺら妊婦。



そんな時 いつも焦がれるように思い出すのは 普通に家事ができた頃の自分の姿でした。
あんなことも、こんなことも 軽々とやれてたなあ。 信じられないや。
それなのに、せっかく元気に動けるのに、嫌々やっていた日の なんと多かったことだろう。


それでいま、こうしてバチが当たっているのかなあ・・・ なんて。


楽しい記憶というのは 意外とすぐに薄れしまうものです。 
人を成長させるのは、どちらかといえば「ツラかった記憶」や「しんどかったこと」。

学生時代のことを振り返っても、クラスの友達よりも 部活の友達の記憶の方が やはり、濃い。
ツラい練習を一緒に乗り越えた仲間の名前は、今でも全員フルネームで言えるし、言えるだけじゃなくて 漢字でだって書ける。 多分(笑)





テーブル21年前の姿。もう まじモノだらけで、こわい! ごめんなさい!





末期のガンを患われた患者さんの緩和治療のためのホスピスでの 
ある女性患者さんへのインタビューの話の中に、わたしにとって 忘れられないものがあります。


今、一番 何がしたいですか? という 問いに返された 彼女の答え。


元気になりたい、とか 美味しいモノを食べたい、とかじゃなくって・・・


家族に手料理を作ってあげたい  と。 (「白いご飯とお味噌汁」って言っていたかなあ)


え!? ・・・ 食べたいんじゃなくて、 「作ってあげたい」  なんだ。
ああ、そうなんだなあ。  そういう気持ちになるんだなあ。

役に立ちたい。 施したい。 大切な人のお腹を いっぱいにしてあげたい。 
そこへ辿り着くんだなあ。 尊いなあ、と。  胸がぎゅっと締め付けられました。


ミニマリストお父さんの「お母さん」は、お父さんが小学3年生の時に脳梗塞で倒れられ・・・
その後も入退院を長年繰り返されながら  若くしてこの世を去られました。


お父さんは 男ばかりの3兄弟の末っ子。 笑った顔が全員同じの、可愛い3人の男の子。

お義母さんは、どんなにか 面倒を見たかっただろうに。 ご飯を作ってあげたかったろうに。



それとはまったく違うし、遠く及ばない状況なのだけれど・・・
「つわり」でずっと動けなかったとき、そういえば、わたしも 確かにそう思った。

コンビニ弁当が苦手で受けつけない お父さん。  なのに、今日もお弁当、作れなかった。
ああ、お父さんに お弁当を作ってあげたかったなあ・・・って。



真っ暗で寒い冬の朝のお弁当作りは・・・そりゃあそんなこともあったけれど、それはそれです。
今は 頼む、このまま寝させて欲しいっ! ってなる、超・ダメダメなすずひですが・・・


家事が普通にできる幸せって、決して普通じゃあないんだ。  とても有り難いことなんだ。

重いつわりが わたしに教えてくれたこと。





21年間 ずっとここにある テーブルは・・・ そんなわたし 全部を、 知っている。











ツラかった記憶なんて、早く忘れたほうがいいのかもしれない。

けれど、それがわたしを成長させ 生きる指針になるのなら・・・ずっと憶えていたいと 思う。

あの日 寝室の天井で ふわふわ揺れていた「ホコリ」の記憶ごと、 丸ごとひっくるめて。








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最終更新日  2017.12.12 16:55:36
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