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2021.07.28
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テーマ: 読書(9972)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



心は孤独な狩人 [ カーソン・マッカラーズ ]
"THE HEART IS A LONELY HUNTER"
by Carson McCullers,1940

本の目次・あらすじ


1930年代後半、アメリカ南部。
シンガーは、同じく聾唖者である同居人・アントナブーロスが精神病院に入ることになり、下宿を始める。
物静かな彼のもとには、人がやって来ては好き勝手に話し、去って行く。
音楽が頭を占める下宿先の娘。
支離滅裂な白人アナーキスト。
知性と理を重んじる黒人医師。
物思いにふけるカフェの店主。

引用


おれは何を理解しただろう?なんにも。おれはどこに向かっているのだろう?どこにも。おれは何を求めているのだろう?知ることを。いったい何を知りたいのだ?意味を。どうして?それが謎だからだ。


感想


2021年読書:145冊目
おすすめ度:★★★★

タイトルから、勝手に壮年の男性が書いたハードボイルドだと思っていて、表紙の感じもあいまって「なんか手に取りたくない」「読むのに気が重い」となかなか手を付けられず、読み始めてもグイグイ読んでいくことができなかった。
ようやく読了…。2段組で389頁。

で、これは結局、ハードボイルドまったく関係なかった。
ジョージア州(南部だ)生まれの女性が、1940年に23歳で描き上げた(!)のが本書。
それぞれが、それぞれの「内側の世界」を抱えながら生きていく物語。
差別、貧困、暴力。救いのない物語。けれど時折日常はきらめく。

村上春樹訳、という触れ込みがなかったら、まず読まなかったであろう一冊。
冒頭で、当時の差別的な表現のオンパレードに「おおおおう…」と面食らったけれど、読み進めていくごとに「当時の雰囲気・空気感」は確かにこの言葉でないと伝わらないだろうな、と感じた。
黒人差別問題に関する本を何冊か読んでからだと、この過去があるから、この過去から繋がっているのか、と思う。

シンガーさんが、どうしてそんなにアントナブーロスに尽くすのかが分からなくて、「好きなん?」と思っていたら、訳者あとがきで、「同性愛・小児性愛」について描かれているのだと書いてあって、当時はこういう書き方だったんだな…と納得。

村上さんが「もっと力をつけたら訳したい」と温めていたもの、らしい。
なるほど。
こんな作家がいたなんて知らなかった、とあとがきを読んでいたら、カーソンは『結婚式のメンバー』を書いた人だったんですね。
これも村上さんが訳しているということで読んだ。不思議な話だった。
何処にも行けない人たちの物語。
ひとところで、じっとしていられなくて、でも空回りして。
諦念と共に受け入れていく。そうせざるを得ない、その場を。
逃げることは出来ない。その先にはより悲惨な未来しかないから。

『心は孤独な狩人』("THE HEART IS A LONELY HUNTER")って、どういう意味なんだろう?
何かを求め続ける、そういう意味だろうか?
愛を、目的を、意味を?

結局、人は自分の部屋の中で一人遊びをしているだけなのではないか、という気がした。
そこで、自分に向かって喋っているのだ。
皆がシンガーさんに理想を投影し、聖者に祀り上げたように。
シンガーさんが記憶の中のアントナブーロスを、己と一体化するまで昇華したように。
鏡にうつされた自分の向こう側に、誰かを映しながら。
内側にある、それぞれの孤独の部屋。

そこに永遠に安住することができればよいのに、そうはできない。
人間の厄介なところだ。
鏡の向こうの幻影を追い求める。
愛を、理解を、共感を、仲間を、相手を。
それは自分の姿をしているかもしれないのに。
自分の姿を求めているだけなのかもしれないのに。




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最終更新日  2021.07.28 05:53:53
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