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2022.11.06
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本のタイトル・作者



会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション (光文社新書) [ 三木那由他 ]

本の目次・あらすじ


第1章 コミュニケーションとマニピュレーション
第2章 わかり切ったことをそれでも言う
第3章 間違っているとわかっていても
第4章 伝わらないからこそ言えること
第5章 すれ違うコミュニケーション
第6章 本心を潜ませる
第7章 操るための言葉

引用


マニピュレーションに関して責任を求めるときには、別の道筋が必要となります。要するにマニピュレーションの責任を問う場合には、「自分の言ったことは言ったと認めよ」というコミュニケーションのレベルでの責任を問うのではなく、「それによってどのような結果がもたらされるのか」「そのような結果をもたらすということを予見してそうした発言をしているのか」といった、より一般的な行為の善悪の次元で責任を問うべきなのではないでしょうか。
言説的責任と倫理的責任をしっかり区別することが重要です。


感想


2022年286冊目
★★★

前に読んだ
言葉の展望台 [ 三木那由他 ]
がエッセイ的で、この人がやっていること(言語と哲学)をもうちょっと知りたいなと思って読んでみた。

用例紹介の漫画がたくさん。
これは権利関係大変だっただろうなあ。
そしてその内容紹介がまた面白くて(筆者の作品愛が溢れている)、読みたくなった。

用例ではないけれど紹介されていた、世界中のワトソン役が集まる「引き立て役倶楽部の陰謀」(法月綸太郎『ノックス・マシン』収録)はぜひ読みたい。

コミュニケーションについては、「言われてみれば」という内容。
私たちが常日頃行っている対話(言葉)は、「約束」なんだな。
そしてそれは、取り消されるまで効果を発揮する永続的なものである。

継続化や習慣化をする方法のひとつに、「言動一致」の人間の習性を用いたものがある。
たとえば、早起きの習慣を身に付けたいとする。
夜眠る前に、「私は明日の朝、5時に起きる」と自分で言う。これだけでも効果がある。
あるいはSNSなどで「私は明日の朝、5時に起きる」と宣言する。これもまた効果がある。
実質的なペナルティはないにも関わらず、人は口にした以上、それを行動に移そうとする。
言葉と行動を一致させようとする。
言葉にした瞬間、それは「約束」になるからだ。
コミュニケーションの言霊。

そして、話し手は聞き手を都合のいい方向へ誘導しようとする(マニピュレーション)。
マニピュレーション(操作、操縦)は明言化されていないので「暗黙の了解」「黙示の約束」であり、話し手が意図したところがあるにしろ、結局は聞き手の解釈の問題になり、受け手の責任になる(「誤解を与える表現であったことは謝罪する」=「お前が勘違いしたのが問題だ」)。

このくだりでは、「約束は出来ない」(立場上その言葉を発することが出来ない)や、「約束をしたくない」(自分の責任にされたくない、あるいはそういった意図があることを明確にしたくない)という状況が紹介される。
紹介されていた『うる星やつら』の「一生かけていわせてみせるっちゃ」「いまわの際にいってやる」は良いですね。好きって言葉を言わない、言えない。でも言っているのと同じである。
こういう言葉のズレで遊んだり、洒落た会話の齟齬が私は大好物。

同じような話で、映画「マイ・インターン」を見ていて、「あ」と思ったシーン。
浮気していた専業主夫の夫と、起業家の妻が仲直りするシーンで、「もう浮気はしない」というようなことを夫が言うんですよ。
妻としては、浮気したことが許せない。
けれど許さない、とも言えない。まだ愛している。小さな子どももいる。一人で生きていくのは寂しい。
妻は泣きながら、夫に「これからはハンカチを持っていて」と言う。
(これは、妻の方の年配の部下、インターン生のベンが、常にハンカチを持ち歩くのは「レディの涙を拭くためだ」と答えていたことを踏まえている)

これも、結局何かしらの約束はしていない。
許したとも許していないとも言っていない。
ただそのニュアンスは、夫の謝罪を許容したことを伝えている。

婉曲的な伝え方。
そしてそれは相手を支配することにもなる。

私は前に一度、勧誘の人を相手に「わざと誤解を与えるような表現で情報を伝えるとどうなるのか?」と試したことがあって、断片的な情報を伝えると、その隙間を人は「一般常識」と「経験則」で埋めて、こちらは何ら事実に反したことを言っていなくても、情報を制御するだけでひとつの別のストーリーが誘導されて生まれるんだなと感じたことがある。

怖いよね、言葉って。
それこそが、物語の面白さでもあるけれど。

これまでの関連レビュー


言葉の展望台 [ 三木那由他 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:22:17
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