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その激しい動悸、不安感はパニック障害かも
発作をくり返すうちに不安や恐怖が高まり、行動が制限されるこ
とも。
早めの治療で悪化させないことが大切
特別な理由も何の前触れもなく、突然激しい動悸(どうき)や息苦
しさに襲われ、死ぬかと思うような恐怖を感じる……。
そんな症状をくり返すなら、それはパニック障害(パニック症)か
も知れません。
車にひかれそうになった、高いところから落ちそうになったという
ようなとき、誰でも心臓がドキドキしたり、体がガクガクして一時
的な「パニック状態」に陥ります。
これは身に迫った危険に対応しようとする自然な反応ですが、パニ
ック障害では明らかに危険のない状況で突然「パニック発作」を起
こします。
発作は、部屋でリラックスしているときや、睡眠中にも起こること
があります。
ただし、これらの症状は体の病気やほかの精神疾患によって起こる
こともあるため、まずそれらによるものではないことを確認した上
で診断が行われます。
パニック発作を放っておくと、悪化して外出できなくなることも
パニック障害は不安障害(不安症;異常なほど不安を感じてしまう
病気)の一つで、100人に2~4人の割合で見られる、決して珍しい
病気ではありません。
患者さんは女性が男性の2~3倍と圧倒的に多く、特に20代と30代に
ピークがあります。
まだまだ男性優位の社会で、仕事に家事、育児、介護など女性の負
担は重くなりがちです。
それに加えて、月経、妊娠、出産などによるホルモンバランスの変
動なども影響していると考えられています。
直接の原因ではありませんが、ストレスや過労、睡眠不足などが病
気の引き金になることが知られています。
感受性が強い、完璧主義など、ストレスをためやすい人は要注意で
す。
初めてパニック発作を起こしたとき、患者さんの多くは心臓発作な
どを疑って救急車で病院にかけつけますが、病院に着くころには症
状はほとんど治まっていて、検査しても発作の原因となる問題は見
つかりません。
しかし、体の異常がないからと放っておくと、パニック発作をくり
返し、また発作が起きるのではないかという不安が生じ、不安は発
作を起こすたびに高まっていきます(予期不安)。
やがて「広場恐怖」といって、人ごみ、エレベーターや電車の中な
ど、パニック発作を起こしたとき「逃げることができない」、「誰
にも助けてもらえない」、「逃げたら恥をかいてしまう」ような場
所や状況を恐れ、そういう場所や状況を避けるようになります。
重症になると広場恐怖の対象は徐々に増えていき、やがて外出もま
まならなくなってしまいます。
このように、パニック障害が自然に治ることはなく、放っておけば
悪化してしまいます。
パニック発作自体は何もしなくても短時間で収まりますし、薬で早
く抑えることもできますが、予期不安や広場恐怖は短期間では治せ
ず、重症化するとうつ病やほかの不安障害を伴うリスクが高まりま
す。
パニック発作を起こしたら早めに精神科の専門医を受診し、予期不
安や広場恐怖まで悪化させないうちに治療を行うことが大切です。
パニック障害は、脳内の神経伝達物質の働きに異常が出るため起こ
ると考えられ、危険が迫っていないのに、脳内の「危険」や「不安」
を知らせる部位が活発になるためではないかと推測されています。
治療には脳内物質のバランスを整える薬(抗うつ薬や抗不安薬)な
どを用います。
発作が抑えられても、予期不安や広場恐怖が長引く場合は、精神療
法を併用することがあります。
精神療法では、誤った認知(思い込み)を正しい認知に修正するこ
とで不安や恐怖を感じさせなくする「認知行動療法」、気持ちをリ
ラックスさせる「自律訓練法」などが行われます。
適切な治療とともに、日常生活では十分な睡眠・休養をとって過労
を避け、積極的に気分転換を図るなどしてストレスをためないこと
が大切です。
【監修】 山田 和男先生 東京女子医科大学医学部教授
東京女子医科大学東医療センター精神科部長
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