シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2006年12月08日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 前回はノアの箱舟に言及し、この箱舟の高さ、幅、長さの比率の中に、人体の寸法の比が表現されていることを書いた。聖書という宗教的古文献のこの箱舟がどのような意味を持つかを洞察するためには、人間を救出するこの乗り物が人体の寸法を思わせる一定の寸法を取る意味を明らかにするのみでなく、ノアの物語に暗示されている実際の出来事が起こった時代へと沈潜することが必要であるという。

 神秘学について幾らか理解した人が、外界の対象物を見る時はいつも人間の魂にとって特定の目的と意味をもつことを理解していたという。中世初期に成立し西部から中央ヨーロッパに向けて広がった全く独自のゴシック建築の教会と大聖堂をみると、ゴシック建築の教会が確固たる建築様式の理念を持つことがわかるという。

 ゴシック建築は上に向かって先の尖った、2つの部分からなる独自のアーチが、全体に上方を切望する気分として溢れ、支柱が一定の形態をとること等の点で表される様式で、このようなゴシック大聖堂が、単なる外的な用途や必要性、あるいは装飾や芸術を表現し、意味すべき神の家をつくろうという憧れの類から生まれたものと主張するのは全く誤りで、全くの間違いであるという。ゴシック様式の基礎になっているのは、もっとずっと深いもので、世界に、ゴシック建築物の最初の理念を提示したのは、神秘学に精通した人々で、彼らはある程度の秘儀参入者だったという。

 この人類の偉大な指導者たちは、このような建築物、建築様式を生じさせることに、特別な意図をもっていて、ゴシック様式、ゴシック式大聖堂と教会に足を踏み入れる人には、全く特定の魂の印象が呼び起こされるように創意を施したという。そびえ立つ支柱群を備え、高く湾曲したドームの中は、まるで一種の苑に踏み込んだような印象を受けるように、そこに止まることは、魂に対して、例えば普通の家屋やルネサンス式丸屋根やロマネスク様式の丸屋根を備えた建築物の中に入っていく時とは、全く異なった作用を及ぼすようにしたという。

 このような形式から特定の作用が生じるので、通常の人間にはこのことが意識されずに、無意識のうちに行われるので、このような形式に囲まれている時、自分の魂に生じていることを人間はあまり理解しないので、その時、魂で生じることは、その周囲の状況に応じて非常に異なったものとなるという。

 多くの人々は、現代の唯物主義は多くの唯物主義的著作が読まれることに由来すると思っているが、神秘学者はその影響がそれほどではなく、日頃、眼で見る方が遥かに重要であることを知っているという。目で見ることの影響は、多少なりとも無意識糧に進行する魂のプロセスに浸透するからだという。これは実際的な意味があり、いつか真に人間の魂を把握するとき、この実際的な作用が公共の生活において注目されるようになるという。

 中世においては、通りを歩くとき、今日とは全く異なった魂への作用があったという。左右のどの玄関(正面)にも、その家を作り上げた人の銘が刻まれていたという。人々の周囲にあるどの対象物も皆、どの戸錠も、鍵も、その製作者の魂の自らの感情の体現から作り上げられていたという。

 これら一人一人の製作者がいかにどの部分に対して喜びを感じていたか、いかにその中に自分の魂を注いでいたかをはっきり感じとれば、どんな物の中にも、作者の魂の一部が存在したことを感じ取れたという。従って、外界の形式(様式)の中に魂が宿る所では、それを見、観察する人にも、共感を呼び、その魂の力が漲ったという。

 今日の都市と見比べ、今日の事物のうちにまだ魂は宿るかと問うなら、例えば、靴の店、刃物の店、肉屋の店、それにビアホール等のなかの、あるポスターの芸術が、どんな成果を生むか考えてみると、ゾッとするようなポスター芸術の多いのに気がつかされ、老いも若きも、オゾましい制作物、意識下の最悪の力を呼び起こす制作物の海の中を、まるで彷徨うような幻覚を生じることが考えられるという。

 神秘学的な教育術は、目で見るものが人間の奥深く影響を及ぼすということに注意を喚起せずにはいられないという。なぜなら、このような堕落し退廃した社会環境、芸術(形式)は、人間をある一定の方向に導く力、時代を見定める力の流れを人間の魂の中に注ぎ込むことになり、結局、将来の人間の魂は、いま人間がどのような形式の世界に生きているかによることを知る必要があると説く。

 中世の半ば頃、ライン河沿いにドイツ神秘主義と呼ばれ、注目すべき宗教的運動が発生し、法外な深まりと内面化が、キリスト教神秘主義の指導的精神たち、マイスター・エックハルト、タウラー、ズーゾー、ロイスブルーク他、「坊さん」と呼ばれた人物たちから発したという。13世紀、14世紀においては、「坊さん」という呼称は、今日とは異なり、まだ幾分尊敬の意味合いを持っていたという。当時ラインは、「ヨーロッパの偉大なる坊さん横町」と呼ばれていたという。

 この人間心情の偉大な深まりと内面化、神的で、本質的な諸力との親密な一体化を求めるこの敬虔な感情こそが、尖塔迫持、支柱と円柱群を備えたゴシック大聖堂の中から、人間の魂のなかに引き出されてきたものだという。この聖堂がこれらの魂を引き出したという。ゴシック建築を見ることはそれほど強力に作用したという。人間が見るもの、人間の周囲からその魂に注ぎ込まれたもの、これが人間のなかで1つの力となり、この力に従って、人間は、次の受肉に至るまで、自分自身を形づくるという。

 神秘学によると、建築様式は、ある時代に秘儀参入者たちの偉大な思考から生み出さたもので、彼らが建築様式を世界へ流入させ、建築物が建てられ、人間に作用したという。人間の魂は、この建築形式の中に生きる霊力を、自らの内に幾らか受け入れるという。

 建築の形式、例えばゴシック様式を見ることによって魂が受容したものは、魂の気分の中に現れて、高みを見上げる情熱的な魂として表現されるという。数世紀前に人々はゴシック様式の中に生きるものを自らの内に受容し、そして今度は、このゴシック建築の形式の力を魂の中に受容した人々の数世紀後、つまり次の受肉を追求してみると、その人相や顔貌に、この内的な心情の顕現を示しているという。

 このように人間の魂が顔を作り上げたという。このような事実から、このような芸術がなぜ用いられるのかがわかるという。人類の未来のずっと先まで、秘儀参入者たちは見ている(預言している)という。そのため彼らはある特定の時代に、外的な芸術形式、広くは外的な建築様式を形成するという。このように、人間の魂の中に、未来の人類の時代のための胚珠が蒔かれるという。

 秘儀参入者の理念の提示
 →建築物等の形式
 →魂への受容
 →内的な心情の顕現
 →次の受肉での人相や顔貌形成

 このようなことを正しく眼前に置いてみると、アトランティス時代末期に生じたこと、その没落が起こった時代に目を転じてみれば、この時代にはまだ今日のような空気がなく、空気の分布も水の分布も、現在とは全く異なったもので、濃い霧がアトランティス大陸を取り巻いていて、霧が雲に凝縮し、流れ落ちる雨となって大洪水が陸地に溢れたというように、このアトランティス大陸の沈没は、一瞬の出来事のように生じたのではなく、徐々に段階的に起こったことがわかるという。

 アトランティス大陸の沈没は、短期間のうちに起こったのではなく、何千年も続く1つのプロセスであったという。

 外界(環境)の生活状況の変化に伴って人間そのものも変わり、それ以前のアトランティス時代では、人々は一種の霊視により知覚していたが、末期において、雨が降り始めたとき、人々は次第次第に全く新しい生活の仕方、新たな見方、新しい種類の知覚に慣れる必要性が生じ、人間の肉体も変化を免れなかったという。

 実際、アトランティスの人々は、今日の人間と驚くほどあまりに異なっていたという。けれども、このような変化は一度に起こったのではなく、少しずつ形成されてきたという。人間の魂の力が長期間に渡って人間の身体に働きかけ、まず人間は、建築様式を見、それが心情に作用し、更にまた、この心情が後世において、人間の顔相、顔貌に作用するようになるというプロセスにおいて進化してきたという。

 アトランティス時代から後アトランティス時代(我々の時代)に移行する時期になって初めて、人間の魂は自らの形を変え、それに続いて肉体も作り変えられたという。





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Last updated  2006年12月11日 22時00分05秒
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