2016年08月11日
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カテゴリ: 英語本
The Far Side of the Dollar
(邦題:ドルの向こう側)ロス・マクドナルド

1964年の作品。
問題のある子供を収容している施設から、
トム・ヒルマンという少年が脱走した。
施設長から少年を探すように依頼されたリュウ・アーチャー。

トム・ヒルマンというのは、大金持ちのラルフ・ヒルマンの
息子なのだが、そもそも何故施設に送られたかわからない。

父親のラルフ・ヒルマンにその理由を聞いても、
肝心なことは言わずに、怒鳴り出す始末。
事件の背景がわからないまま、
とにかくトムを探しにいくアーチャー。

様々な人々に聞き込みをすると、かなり年上の女性と
連れ立っていたという・・・。
その女性を追っていくと、なんと殺された女性を発見。
しかし、その女性は偽名を使っていて、
正体が不明だった!・・・。


といった形で、失踪人を探し出す、
いつものパターンで始まる小説。
例によってプロットが複雑で、犯人はさっぱりわかりません。
そして、最後の最後に明かされる犯人に呆然とします・・・。

「さむけ」「ウィーチャリー家の女」「縞模様の霊柩車」と
比べると、話の展開が少しダルいですが、
意外な犯人と、犯行の裏側の事情にうならされました。

意外と言えば、
アーチャーの個人的な女性関係が出てきてビックリです。
アーチャーはどちらかというと傍観者なのですが、
今回はアーチャーも事件の関係者になる、という点が面白かったです。
いつもは冷静なアーチャーが怒鳴ったりするし・・・(^^;)

「父親」と「夫」という観点からは、あまり褒められない
ラルフ・ヒルマンという男。
悲しい結末に、色々考えさせられました・・・。

この当時、ロス・マクドナルドのアーチャーシリーズは
ミステリーではなく、純文学の扱いだったらしいです。

この「父親」を描いた作品は、ホント純文学に近い気がしました。
特にラストの犯人の告白シーンからは、
格調高い会話が交わされて、味わい深い余韻を残しました。











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最終更新日  2016年08月11日 21時24分51秒
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