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AX 伊坂幸太郎ベストセラーのAX(アックス)が遂に文庫になりました。もう速攻で買いに行きました\(^O^)/「グラスホッパー」「マリアビートル」に次ぐ殺し屋シリーズ(?)です。前回の「マリアビートル」はまれに見る傑作で、スピード感溢れる展開、心から腹が立つ悪役と、最後の胸のすく解決と、超弩弓のエンタテインメントでした。ユーモアも飛びっきりでした。このAXでは再三マリアビートルの登場人物が語られるので、予習してから読んだほうが楽しめそうですね。今回はかなり「変わった」作品。主人公の兜の裏の仕事は殺し屋。表の仕事もありますが、本業は殺し屋です。兜は「業界」でも有名なほど強いのですが、家では妻の言動にビクビクしている恐妻家。兜が気にするのは殺しではなく、奥さんとの関係のほう。四六時中、奥さんとの関係を考えている感じ。殺しはほとんどルーチン化していて、考えなくても遂行してしまうのがオカシイ。兜は思い込んだら、その事しか考えない「くせ」がありそこでかなり笑いを取ります。蜂の話なんかは、伊坂幸太郎ワールド全開でした。今回、殺し屋の場面も多いのですが、そっちはあまり詳細が描かれず、読者の想像にまかせる書き方をしています。そして、最後は謎が解けると同時に、かなり哀愁漂うものでした。せつない、といってもいいかも。兜の奥さんに思わず突っ込みを入れたのは私だけで無いはず・・・(^^;)あと、兜も再三言っていますが、どんな人にも家族や親がいるのですよね。安易な殺人は避けましょう(笑)
2020年03月26日
アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL……。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ! ! 伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテイメント小説! 内容(「BOOK」データベースより)伊坂さんの恋愛小説の連作。伊坂さんの恋愛小説は珍しい。あとがきにその理由が書いてあります。文中に出てくる「斉藤さん」のこともそこで分かります(^^;)短篇集なんですが、ひとつひとつが物凄く練り上げられている上に、その短篇が繋がっている、という楽しいもの。何度も前に戻って読んでしまいます。一度読み終わったらまた読み返したくなります。伊坂ワールドが全開で、キャラもせりふも「伊坂あるある」の嵐。恋愛ものなので、女性が読んでも大丈夫そう。そして伊坂さん初心者にもお勧めできそうです。これは素敵な、宝箱のような短篇週ですね。今度映画化されるんですよね。どんな仕上がりになっているんでしょう?
2018年11月23日
キャプテン・サンダーボルト 阿部和重、伊坂幸太郎内容(「BOOK」データベースより)世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。二人でしか辿りつけなかった到達点。前代未聞の完全合作。 二人の共作という珍しい作品。阿部和重さんの本は読んだことがないのですが、伊坂幸太郎さん色が強い気がしました。というか、伊坂幸太郎さんファンなら、抵抗なく読める本、という感じ。ハラハラドキドキの連続、収束してくる謎、クライマックスの面白さ、伊坂さんファンならお馴染みですね。特に、下巻(文庫を読んだので)になるとページターナーになりました。ただ、阿部さんとの共作のためか、いつもと少し雰囲気が違ったのも事実。どこが?と言われても困るのですが(^^;)主人公二人の名前が相葉と井ノ原っていうのが、面白いですが、解説を読むと、ウイルスの名前もジョークらしいですね。なるほど・・・。怖かったのは、コピー機の話。コンビニのコピー機は使いたくなくなりました(笑)怖いと言えば、銀色の怪人は怖すぎ(^^;)いったい何者なんでしょうね?エンタテインメント小説として気楽に読めて楽しかったです。
2018年11月21日
ガソリン生活 伊坂幸太郎ガソリン生活 (朝日文庫)[本/雑誌] (文庫) / 伊坂幸太郎/著実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした―。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。内容(「BOOK」データベースより)もう、隅から隅まで伊坂幸太郎さんですっ!憎々しい敵役、頭の回転の速い「正義の味方」。伏線張りまくりで、後からじわじわ回収します。何度前に戻って読み返したか(笑)物語には関係なく、母親と子供と「三人の父親」が出てくるし(^^;)主人公のデミオを始め、車同士の会話が物凄く楽しい。車にも個性があって、デミオは真面目だけど、余り頭が回らないタイプ。デミオのボケに何度も吹き出します・・・。ハイブリッド車が一番偉かったり、二輪車は言葉が違ったりと、車の世界にも色々あるのだなあ、と感心しました(笑)この本を読むと、車全体に愛着が湧きますね。私の車もああいう会話をしているのかなあ?車を買い換えるのにためらいが生じます・・・。最後はどうやってまとめるかと思ったら、感動系で来ましたね。望月家の面々ももちろん、隣の校長先生など、キャラも光っていて、心温まる作品。結構長い作品ですが、あっという間に読んでしまいました。さすが、の一言しかありません。
2016年09月19日
【楽天ブックスならいつでも送料無料】マリアビートル [ 伊坂幸太郎 ]マリアビートル 伊坂幸太郎 これはキンドルで読みました。「グラスホッパー」の続編とも言える作品です。もちろんこれだけ読んでも楽しいですが、「グラスホッパー」を読んでいると、楽しさ倍増です。東北新幹線の中で繰り広げられる、殺し屋たちの話。元殺し屋の木村は息子の復習のため。兄弟のように見えるが、全く他人の「蜜柑」と「檸檬」。これほどツキのない人間はいないだろうという七尾。それぞれ目的があるのですが、この3組が複雑に絡み合って大騒動になります。疾走する東北新幹線。いや、疾走するのは文章か。伊坂幸太郎ワールド全開で、もう楽しくて堪りません。スピーディな展開、しゃれた会話、とぼけたユーモア。そして意外な犯人(?)と、意外な決着。もちろん伊坂幸太郎さんの小説に欠かせない「絶対的な悪」が登場します。これが本当に絶望的になってくるほど憎らしい「悪」。悪い奴は、運も良くて、中々倒されません。何度もチャンスがあるのに・・・。この「悪」が倒されないイライラを抱えながら、殺し屋達の死闘場面はさすがの緊張感。読みだしたら止まらない、超絶面白さです。最後の決着をつけるのは、あまりにも意外な人物。最後までツキのない七尾。あ~、面白かった。それにしても、「・・・首が折れちゃっている人が乗っていますよ、いいんですか?ってな。新幹線の乗車券は、首が折れた人はいくらですか?と訊いてこいよ。」なんて台詞は、私は逆立ちしたって出てこないですねえ・・・。
2014年05月19日
【送料無料】オー!ファーザー [ 伊坂幸太郎 ] オー!ファーザー 伊坂幸太郎4人の父を持つ高校生男子の話。4人も父親がいる不自然さは、伊坂さんのうまい説明で何となく納得してしまいます。「伊坂節」とでも言える軽妙な文章と会話で、前半はかなり笑わせてくれます。公共の場で読んでいて、何度も吹き出してしまい、かなり恥ずかしい思いをしました。後半は事件に巻き込まれていきます。前半の伏線が後半になって繋がってくる、伊坂さんらしい展開。暴力の場面もあり、これも伊坂さんらしい。後半の結末は、ちょっと胸のすくような形で書かれています。犯罪小説、と言ってもよいのですが、軽めに書かれているので、深刻になりすぎず、読書後は爽快です。「陽気なギャングが地球をまわす」タイプの小説ですね。主人公と父親たちのキャラが出来すぎなのが、少々気になりますが、娯楽小説なのでこれくらいがちょうどよいのでしょう。楽しかった~。出来れば続きが読みたいですね。
2014年02月19日
【送料無料】あるキング [ 伊坂幸太郎 ]あるキング 伊坂幸太郎山田亮と山田桐子の夫婦に男の子が生まれる。この夫妻は仙醍キングスの大ファンだ。将来、仙醍キングスで活躍することを期待されて、山田王求(やまだおうく)と名前をつけられた。王求は3歳のころからバッターとしての才能の片鱗を見せだし、野球の才能を開花させていく・・・。伊坂幸太郎さんの野球小説です。いや、これは野球小説なのでしょうか?教養が無いので、読み終わってから知ったのですが、これはシェークスピアのマクベスがベースにあるそうです。本の中でもシェークスピアが引用されています。あまりにも才能がありすぎる王求。子供の頃から次元の違う野球をやりつづけ、プロに入ってからも異次元の活躍をする王求。ことあるごとに登場する三人の魔女。突然現れる、獅子とも虎ともつかない姿の獣。淡々と書かれる王求の成長物語に突然挿入されるこれらの不思議な話。スポ根性漫画であれば、超人的な野球人がチームに入ってくると、周りが影響されて、チームの優勝に!・・・となりますが、伊坂幸太郎さんですから、全くそうならない。クライマックスを読み終わって、王求の清々しさに混じって、悲しさとむなしさと寂しさがごちゃごちゃになって、感動して涙ぐんでしまいました。内容は、様々な要素を含んだもので、寓話とも夢物語ともつかぬもの。とても全てを理解したとはいえませんが、今迄の伊坂幸太郎さんの小説とは別な次元で感動しました。アマゾンのレビューを見ると、賛否両論ですね。私は良く分からないけど、何かとても良かった。王求の存在感が圧倒的で印象に残ります。私にとって、伊坂幸太郎さんの中でも上位に来る小説です。何度も読み返したい小説ですね。
2013年12月18日
アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎(創元推理文庫)【送料無料】アヒルと鴨のコインロッカー [ 伊坂幸太郎 ]【内容情報】(「BOOK」データベースより) 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的はーたった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。キンドルで読みました。伊坂幸太郎さんはキンドルでかなり沢山の作品が読めます。いかにも伊坂幸太郎さんっぽい作品です。珍しくボブ・ディランが出てきますけれど。読みやすくて、読みだすと止まりません~。これまた叙述トリックを使ったミステリー。しっかりと騙されます (゜д゜)騙されたことが分かったときは唖然!でも読み返すと微妙に伏線が張ってあるのが分かります。まるっきりハッピーエンドにはならずに、ちょっと結末はしんみりとしてしまいます。でも本当に読んで良かったと思えるし、感銘を受ける台詞も多数有り。伊坂幸太郎さんの作品はどれもそうですが、直接場面を書かずに、音とか言葉とかで場面を想像させます。この作品では動物虐待にその手法を使っていますが、想像しただけで、ゾーっとしますし、嫌な気分になりますね。この小説、映画になっていますが、これ映像化は無理!だと思うのですが、どのように脚色したのでしょうかね?機会があったら見てみたいです。
2013年05月21日
モダンタイムス 伊坂幸太郎(講談社文庫)「魔王」の五十年後を書いた続編。魔王とセットで読むべき作品です。文庫で上下二巻の大作です。「ゴールデンスランバー」系の作品です。【内容情報】(「BOOK」データベースより) 恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。圧倒的なテーマと暴力とユーモア。いろいろなものがぎっしりと詰まっていて、何を書いたらいいやら、分かりませんね。私のこの文章も支離滅裂で、酷いものです。本当に面白かった。ページターナーでした。「魔王」の最後は全く納得のいかないもので、最大の不満は、物語が途中で終わっていることでした。この本はそれの解答が載っています。でも、すべての解答が載っているわけでなく、分からないことも沢山あります。というより、分からないことに対して、主人公が向かっていく、と言う話でした。具体的に「敵」のような人物が出てきますが、その後ろに「誰か」がいるようです。「誰か」は分かりません。国かもしれないし、何かの集団かも知れません。分からないけれど、立ち向かっていく。「考える」ことこそ重要、と言う話でした。それは前作の「魔王」でも安藤兄が散々言っていましたよね。何やら異様な雰囲気が全編を貫きます。渡辺拓海の奥さんが最初から異様な雰囲気で圧倒します。上巻はゆるりと話が進みますが、下巻は怒濤の展開です。暴力が全編を支配しますが、ユーモアたっぷりで登場人物はとぼけた人が多いです。余裕があります。おかげで殺伐とした雰囲気を免れています。それにしても渡辺拓海の奥さんが最高のキャラクターです。一体何者なのでしょう?強すぎるし、嫉妬心も異常です。拷問のシーンも直接は書かれていませんが、読んでいるだけで、痛そうです。最後の静かな場面がなんとも印象的でした。伊坂幸太郎さんの代表作のひとつと言って良いでしょうね。渡辺拓海 主人公渡辺佳代子 拓海の妻岡本猛 髭の男大石倉之助 渡辺拓海の後輩五反田正臣 渡辺拓海の先輩桜井ゆかり 渡辺拓海の同僚加藤課長 渡辺拓海の上司永嶋丈 国会議員井坂好太郎 小説家・渡辺拓海の友人安藤潤也 安藤商会安藤詩織 安藤潤也の妻愛原キラリ 管理人【送料無料】モダンタイムス(上) [ 伊坂幸太郎 ]【送料無料】モダンタイムス(下) [ 伊坂幸太郎 ]
2013年02月15日
【送料無料】陽気なギャングの日常と襲撃 [ 伊坂幸太郎 ]陽気なギャングの日常と襲撃 伊坂幸太郎 内容(「BOOK」データベースより)嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇―天才強盗四人組が巻き込まれた四つの奇妙な事件。しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!文庫化記念ボーナス短編付き。 「陽気なギャングが地球を回す」の続編です。最初はタイトル通り、ギャング達の日常がひとりひとり描かれます。それがおなじみの銀行強盗をきっかけに次第に結びついていきます。あとがきの解説によると、前半はそれぞれ短編として書かれたものらしいです。それを後半ちゃんと結びつけるところは、伊坂幸太郎さんの真骨頂ですね。相変わらず犯罪ものにもかかわらず、語り口は軽~く、明るいです。銀行強盗の四人組なのに、銀行強盗はあっさりと書かれています(笑)雪子が派遣で働いていたり、成瀬が真面目に仕事をしていたりと、前作より四人について詳しく書かれているので、前作を読んでいる人間にはうれしい内容になっています。とても気楽に読める伊坂幸太郎でした。
2012年12月19日
【送料無料】陽気なギャングが地球を回す [ 伊坂幸太郎 ]陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎 祥伝社文庫市役所で働く成瀬、喫茶店主の響野、20歳の青年久遠、シングルマザーの雪子たちの正体は銀行強盗。現金輸送車などの襲撃には「ロマンがない」とうそぶく彼らの手口は、窓口カウンターまで最小限の変装で近づき「警報装置を使わせず、金を出させて、逃げる」というシンプルなものだ。しかしある時、横浜の銀行を襲撃した彼らは、まんまと4千万円をせしめたものの、逃走中に他の車と接触事故を起こしてしまう。しかも、その車には、同じ日に現金輸送車を襲撃した別の強盗団が乗っていた。(アマゾンの商品説明を転載しました)いやー、面白かったです。銀行強盗が主役ですが、明るく読みやすい犯罪小説です。「グラスホッパー」の闇夜のような印象と全く異なり、真昼の明るいイメージです。四人のキャラはとても魅力的で、役割分担もばっちり。伊坂幸太郎さんらしく小気味よく進む話。最後の鮮やかさ、小ネタが最後に繋がる快感。なるほど、長編三作目にして人気が出たのがよく分かります。主役四人もいいですが、成瀬の息子タダシが非常に印象に残りますね。本当に90分の映画を見ているようでした。
2012年12月18日
角川文庫 い59-1【1000円以上送料無料】グラスホッパー/伊坂幸太郎グラスホッパー 伊坂幸太郎読みました。妻を殺された元教師の「鈴木」は復讐のため、寺原の会社に入社。試用期間が終わり、正社員になるための試験が行われそうな時、寺原の長男が交通事故にあう。それを目撃する、相手を不思議な力で自殺させる「鯨」。ナイフを使って依頼された殺人を行う「蝉」。この三人が、寺原長男の事故をきっかけに、複雑に絡み合う話です。三人のそれぞれの視点から描かれていて、毎回「はんこ」が押してあるのが、いかにも伊坂幸太郎さんらしい。もちろん、「神様のレシピ」「ジャック・クリスピン」「ジャズ」といつものモチーフは当然盛り込まれています。ただ、舞台は珍しく東京。もっとも殺人と誘拐と拷問が頻繁に行われるので、仙台にはふさわしくないのかも知れないです。今回は非常に殺伐とした世界を描いたもので、かなり暗く重い小説になっています。面白いのは、殺人者たちが、殺人という行為を除けば、意外と「常識人」というか、まともな考え方をしていることですね。特に、殺人を何とも思っていないようにみえる「蝉」も殺人以外ではすごく「まとも」です。「しじみ」のエピソードなんか感動してしまいました。「鯨」の不思議な能力は、ほとんど超能力者のようですね。「鯨」が見る亡霊は、彼の「心の叫び」なのですが、心の負担をこのように表現するところがいかにもですね。話は、三人の男が次第に絡み合い、最後は収束していくという、伊坂さんお得意のものです。半分くらいから後はもうページターナーで、一気に読んでしまいました。もちろん、最後にいくに従って、こちらの思惑を裏切りっぱなしです。「えっ?そうなの!」の連続で、騙される快感が全身を突き抜けます。最後の章も伊坂さんらしく、「生きる」ことへの希望を書いてすばらしい終わり方でした。面白い、というのとは違いますが、引き込まれる作品であるのは間違いないです。
2012年12月17日
【送料無料】フィッシュストーリー [ 伊坂幸太郎 ]フィッシュストーリー 伊坂幸太郎を読みました。短編集です。「動物園のエンジン」先輩の河原崎さんと行った夜の動物園に「動物園のエンジン」と言われる永沢さんが檻の前で寝そべっていて・・・。という話です。伊坂ワールドらしく変わった話なのですが、ちょっと技巧に走りすぎていて、なんだかピンと来なかったです。デビュー作の次の作品とかで、まだ若書きだった?「サクリファイス」副業が私立探偵の黒澤が活躍する話。人を探しに行った山奥の村で、黒澤は村の奇妙な風習が気になって・・・。と言う話です。村のからくりが驚きで、黒澤の仕事もきっちり片付くというものですが、うまいなー、と思いますが、それほど感激はしなかったです。「伊坂ワールド」というより「黒澤ワールド」と言った感じです。「フィッシュストーリー」表題作の短篇。飛行機の中で横に座った男から話しかけられて、ナンパかと思ったら、「正義の味方になりたかった」などと言う男だった。しかし、その飛行機がハイジャックにあって・・・。と言う話。これはまさしく一番「伊坂幸太郎ワールド」です。奇想天外で、あちこちの話が繋がっていくという、いかにも、の話です。時代が次々と変わっていき、驚きの展開で嬉しくなってきます。最後のオチも決まっていて、うなってしまいました。「ポテチ」「ラッシュライフ」に出てくるドロボウの今村が主役の話。今村は「ラッシュライフ」では万有引力を発見していましたが、今回はピタゴラスの定理を発見してしまいます(笑)。忍び込んだ野球選手・尾崎の家で電話がかかってきて、そこから女性と関わり合いになって・・・と言う話です。どちらかというと「重力ピエロ」系統の話。最後にあっと言わせるオチが待っています。そうきたか!という感じです。嬉しいような、悲しいような、暖かい結末が綴られています。心が温まるような作品でした。書く時期によって、かなり色合いが違いますね。以前の小説の登場人物がかなり沢山出てくるので、初期の頃の作品を読んでいないと楽しみが半減してしまいますね。
2012年11月09日
小説すばる 2012年11月号小さな兵隊 伊坂幸太郎僕のお父さんには、秘密の任務があるらしい。学校でおきた謎の出来事も、お父さんにはお見通しで・・・。(小説すばるより転載)小説すばる11月号は創刊25周年記念号とかで、作家陣がやけに豪華です。伊坂幸太郎さん、奥田英朗さん、道尾秀介さん、小池真理子さん・・・。葉室燐さん、朝井リョウさんは連載開始ですし。巻頭は伊坂幸太郎さん。伊坂幸太郎さんらしく、タイトルの「小さな兵隊」はゴダールの映画から。私はその映画を見たことが無いので詳しくは分かりません。文中に簡単に紹介されていますけどね。小学生が見た大人の世界を描いています。小学生の世界は狭いので、大人の世界を全部見ることは出来ません。その辺の微妙な関係をうまく描いてあります。大人の世界は色々あるのですが、子供も垣間見ることが出来ます。子供なりに理解しようとしているところがかわいいし、健気でもあります。途中で関わり合いになる、アルバイトのお兄さんがいい味出しています。「問題児」のくだりがいかにも伊坂幸太郎さんらしくて、笑ってしまいました。それにしてもこのインタビュアーは誰なんだろう?【送料無料】小説すばる 2012年 11月号 [雑誌]
2012年10月18日
伊坂幸太郎さんの第二作「ラッシュライフ」読みました。【内容情報】(「BOOK」データベースより)泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場ー。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。五つの話が平行して描かれます。もちろん舞台は仙台。流れる音楽はジャズ。しゃべるカカシのエピソード。ビートルズのエピソード。伊坂幸太郎ワールドですよね。前半は話が見えず、少し退屈気味です。しかし、五つの話が後半一気に繋がっていきます。意外な繋がりが判明して、ええっ!そうだったの?と思い、もう一度読み直してしまいます。読み直すと、前半に沢山話を「ふって」いますね。技巧を凝らした話で、最後は全て納得してすっきり。が、ちょっとずるい書き方をしています。ま、テクニックと言えばテクニックですけどね。黒澤に相当思い入れがあるのか、結構しゃべらせています。黒澤は重力ピエロにも出てきていますよね。やっぱり順番通りに読んでいかないと、こういうのが楽しめないですね。このエッシャーの絵が象徴的に描かれています。私もこの絵は大好きです。【送料無料】ラッシュライフ [ 伊坂幸太郎 ]
2012年10月17日
伊坂幸太郎マイブームがまだまだ続きます。目に付いた伊坂幸太郎作品をちょいちょい買っていましたが、やっぱり最初から読んだ方がいいだろう、と思ってデビュー作、「オーデュボンの祈り」 伊坂幸太郎を読んでみました。【内容情報】(「BOOK」データベースより)コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。さすがに所々ぎこちないところがありますが、とてもデビュー作とは思えない完成度。伊坂幸太郎さんは最初から完成されている作家でした。人語を話すカカシ・・・。島に伝わる伝説の謎・・・。ジャズ、短い会話文。いろいろ前半で出てきた伏線が最後に全部繋がる、おなじみの構成。伊坂幸太郎ワールド全ての要素が入っている気がします。人の生死についての考えも、いかにも伊坂幸太郎さんらしいものでした。ラストに向けた後半は、もうページをめくる手がもどかしいほど。余韻を残したラストはすばらしいものでした。主人公の伊藤はこの後のラッシュライフにも重力ピエロにも登場しています。「神様のレシピ」は伊坂幸太郎さんの原点なのかも知れないですね。【送料無料】オーデュボンの祈り [ 伊坂幸太郎 ]価格:704円(税込、送料別)
2012年10月16日
【送料無料】魔王 [ 伊坂幸太郎 ]魔王 伊坂幸太郎著読みました。【内容情報】(「BOOK」データベースより) 会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。文庫の最後に載っている解説によると、書かれたのは前半の「魔王」が2004年12月、後半の「呼吸」は2005年7月だそうです。しかし、今現在読んでいると、まるで今のことを書いているかのようです。中国、韓国と領土問題をめぐって対立が激しい現在と全く同じ状況の話です。全体主義、国、責任・・・。決断を迫られた時、どうする?舞台は珍しく東京。しかし別に東京でなくともよい感じですが。主役は安藤というサラリーマンと弟の潤也。兄弟が主役というのは「重力ピエロ」もそうでした。そういう設定が好きなのかも知れませんね。伊坂幸太郎さんらしく、超能力という題材で現実を書いています。超能力が実際に存在している世界・・・。ちょっとスティーブン・キングのような感じです。前半の「魔王」と後半の「呼吸」は書かれている年も違い、少し味わいの異なる話です。伊坂幸太郎節で淡々と書かれる話が、後半に一気につながってくるのもおなじみの展開です。うまいです。しかし他の小説と違うのは、結末が無いことです。まるで連載小説のように、次に続く、と言う感じで終わっています。少しだけ解決する部分もありますが、肝心な部分は全く謎のまま。読者にも「考えろ」と言っているようです。「魔王」とは誰なのか?続編と言われている「モダンタイムス」を読んでみたいです。というか、絶対に読みます。
2012年10月15日
【送料無料】重力ピエロ [ 伊坂幸太郎 ]最近のマイブーム、伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」読みました。兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィックアートの出現。そしてそのグラフィックアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは・・・。(新潮文庫カバー裏より転載)伊坂幸太郎節全開の小説です。もちろん舞台は仙台。短い章で区切られて、テンポ良く話が進みますが、ほとんど最後の方まで、何の話だかよく分かりません。遺伝子のウンチクばかり聞かされている感じです。(遺伝子のウンチクはおもしろいですけどね。)そして最後の方になって、それまでの話が一気に収束します。この辺は全く以てうまいものです。ああ、そうなのか、そういうことだったのか、と思いながら最後まで読んで、又最初から見てしまいました。もともと辛い話が根底にあるので、さっぱりすっきりという話ではないですが、最後は妙に明るいです。とにもかくにも家族の物語です。出てくる人物が全員言葉が少なく、独特のテンポで会話が進みます。特に面白いのが探偵の黒澤。探偵は副業だという。では本業は?伊坂さんお得意の、現在と過去を行ったり来たりする構成ですが、読みやすい文章なので、混乱することもなくサクサク読めました。それにしても引用の嵐です。文学、映画、偉人の言葉、ありとあらゆる引用が出てきます。弟の春はガンジー信奉者。ガンジーの言葉も沢山出てきます。兄弟が好きなジャン・リュック・ゴダール。散々引用されます。悲しいことにゴダールの映画を一つも見ていない私はさっぱり分かりません。ネアンデルタール人とクロマニョン人の話も頻繁に出てきてこちらの混乱をよりいっそう深めます。リアルなのに、現実離れをした不思議な話でした。映画もあるので見てみたいですね。[Blu-ray] 重力ピエロ Blu-ray スペシャル・エディション
2012年09月14日
ゴールデンスランバー (新潮文庫) (文庫) / 伊坂幸太郎【内容情報】(「BOOK」データベースより) 衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていないー。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎読みました。書き下ろし千枚の大作だそうです。いやー、面白かった!最初に事件の概要をテレビの報道という形で読ませ、その後青柳の視点で事件を明かしていくという構成。本を読んでいく中、そのテレビ報道の視点を何度も読み返しました。巧妙にミスディレクションが書かれています。首相暗殺で追われる緊迫感と、青春時代の思い出を複雑にかみ合わせ、全く中だるみしません。千枚の長さを感じさせませんでしたね。最後のクライマックスはまさにページターナーです。謎が全て解決しないし、疑問に思う行動もありますが、頭を空っぽにして没頭できる、まさにエンタテインメントと呼べる作品です。やっぱり伊坂幸太郎さんの作品を全部読みたいなあ、と思わせましたね。
2012年01月16日
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