サンパウロに引き続き今回のシュハスコも十二分に満足して店を出、またタクシーに乗り込む。次はいよいよイパネマの「ビニシウス」というライブハウスでボサノバの生演奏を聞く。ビニシウスとは「Vinicius De Moraes」という「Garota de Ipanema」(イパネマの娘)というあまりにも有名な曲を始め、ボサ・ノバの多くの曲の作詞をした著名人である。この人が亡くなったときに店の向かいにあるGarota de Ipanemaというレストランと並んでいる道が「Rua Vinicius De Moraes」、まさしく「ビニシウス・ジ・モラエス通り」と名づけられた。そういえばボサ・ノバのもう一人の巨匠、作曲家でも知られるアントニオ・カルロス・ジョビン(愛称トム・ジョビン)の場合は、死後国際空港であるガレオン空港の名前に「アントニオ・カルロス・ジョビン空港」という愛称をつけることになったという。ニューヨークにもラガーディアやJFKといった名前が空港につけられているが、全て政治家。ボサ・ノバの巨匠達の名前が空港につけられるというのはいかにもブラジル(いや、リオというべきか)らしくてうれしくなってしまうではないか。 それに、今回の旅行の動機になったのがなんといってもボサ・ノバ。ついに本場の生演奏がこれから聞けるのだ。