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2023年10月05日
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カテゴリ: 読んだ本


今の世の中にまん延する幻想に自己実現真理教のようなものがある。
つまり万人にとって実現すべき自己があって、それに向かってあきらめなければ夢は叶うというアレである。あきらめなければ夢は叶うというのは、あたりまえで夢が叶った人しか発言しないからである。
それがすべてだと思い込んだ人々が実現すべき自己を求めてむなしい努力をしている。そんな現実がけっこうあるのかもしれない。
閑話休題
「謡曲集」を読んでいる。
謡曲は能の詞章であり、脚本のようなものなのだが、能自体は昔見て、あ、こんなものかと思った記憶しかない。謡曲を読んでも、ほとんどは似たような話で、旅の僧などが霊や精霊に出あい、最後は成仏したり夜明けとともに消えていくというストーリーである。これだけをみるとワンパターンそのものなのだが、実はストーリーの本領はそこではない。途中で霊や精霊の由来が語られる場面があり、その物語を頭において舞を眺めることに興趣があるのだろう。
この間の日記でとりあげた謡曲「海士」も房前が志度寺を訪れると、母親の霊が現れ、最後は消えていくというだけの話だ。ただ語りでは、背景に非常に込みいった物語がある。それは、藤原不比等の妹は大変な美人でその評判が海を越えたために唐の高宗皇帝の后となったことに始まる。もちろん史実とは関係ない。その見返りとして唐から興福寺に三つの宝玉が渡される。そのうちの二つは無事に都に着くのだが、一つは途中で竜宮にとられてしまう。珠を取り返すために、不比等は身をやつして讃岐に至り、海女との間に子供をもうけ、その子供が房前である。そして海女がいうには、珠を手に入れたら、我が子を世継ぎにすると約束してください、と。そして不比等はそのとおりの約束をする。すると海女は竜宮に行き、珠を取って、その珠を我が身を切り裂いて肉の間に入れた。綱をひきあげたところ、海女が息絶えていたが、珠は無事に戻り、それはそのまま藤原氏の中で栄えていった藤原北家の始祖の由来となる。
こうした話は舞台の所作にはでてこないが、語りでは十分に時間をとって語られる。その意味で、教養ある人士はともかく、寺社などで能をみる庶民にとっては語りの芸という側面もあったのではないか。
そう思って見ると謡曲の題材の多彩は驚くほどである。
寺社の縁起だけではなく、源氏物語、伊勢物語、平家物語などの日本の物語から邯鄲のような漢籍に由来するものもある。日本神話もあれば伝説もあり、それ以外の桜の精や猟師の霊のでてくる話もある。昔は退屈だと思った謡曲も読んでみると面白い。





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最終更新日  2023年10月05日 12時30分06秒
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