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2024年01月04日
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カテゴリ: 読んだ本


ずっと昔、中学生の頃、国語の教科書の最後にはお薦めの本が記載されてあった。その時に見かけ題名だけは知っていたが、今まで読んだことはなかった。妻と愛犬二匹と猫をつれて田園生活を始めた主人公だが、長雨と孤立に次第に精神を病んでいく。なぜ、これが中学生向けの標準的な推薦図書として掲載されていたのかよくわからない。それとも、教科書の最後に紹介されていたと思ったのは記憶違いか…。
ただ、かつては文学と言えばこうしたものが多かった。斬新な表現で繊細な心理を描く純文学とストーリーの面白さや読みやすさに重点を置く大衆文学とは、昔は画然と分けられていた。そしてその頃の純文学の多くのものと同様に、この小説でも、特段の筋書きはなく、主人公は最初のうちこそ田園生活を楽しむのだが、憂鬱になり、幻覚や幻聴に悩み、妻にも辛く当たる。それは庭の片隅にある薔薇が最初は手入れされ息を吹き返すのだが、せっかくに咲いた花も病んでいたということに象徴される。
小説が発表されたのは戦前であるが、主人公は父親から仕送りを受けて暮らしており、それで元女優の妻と家を借りている。小説家志望というのだが、今ならただのニートだろう。文学の主人公には余計者の系譜というのがある。余計者とは、知能と教養はありながら、決まった仕事をしないで社会から距離を置く観察者である。これは日本文学だけでなく、海外の文学にもよくみられる。こうした余計者が主人公になるというのは、作者にもそうした境遇の人が多いということの反映なのかもしれない。日本でも外国でも、かっては働かない富裕層というのがいた。貴族とか地主とか資産家といった階層である。こうした境遇の作家は、あまり「売れる小説」や「大衆受けのする小説」を書く必要もなかったのではないか。
今だったら、こうした神経症的な定職のない知識人を主人公にしたものでなおかつさしたる筋書きのない小説というのはあまりない。





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最終更新日  2024年01月04日 19時53分53秒
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