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2024年02月19日
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カテゴリ: 読んだ本


源氏物語にはいろいろな読み方ができるが、一つは母親の面影をもとめる光源氏の恋の遍歴の物語ともいえる。子供の頃に母親にそっくりだといわれる藤壺の女御を慕い、その気持ちはやがて恋に変わっていく。その藤壺に対する許されない恋心は、たまたま見出した藤壺とそっくりな面差しを持つ少女若紫に対する愛に投影され、若紫が成長するとともに、それは女性に対する愛へと変わっていく。
若紫にしてみれば、10歳のときに二条院の屋敷に連れてこられ、光源氏を父のように兄のように思ってなついていたのだが、ある朝のこと、光源氏はさっさと起きてきたのに、若紫は全く起きてこない。布団をかぶったまま怒って泣いているのである。それでも実の父に対面し、裳着の成人の儀式をすませ、ようやく光源氏の想い人としての生活が始まるかと思ったとたん、今度は光源氏は須磨に移ることになる。せっかく名乗りをあげた実の父も嫉妬深い北の方に阻まれてなんの支援もできない中で、紫の上は女房達をまとめ、留守の屋敷をしっかりと守っていく。若紫は美しいだけでなく聡明な女性の紫の上に成長したのである。
光源氏が都に帰還し、これからは光源氏の最愛の思い人としての生活が始まるかと思いきや、光源氏は明石に愛人をもうけ、姫君まで生まれていた。光源氏は姫君の将来のために姫を紫の上の下で養育してほしいという。姫君をひきとってからは姫君のかわいらしさに夢中になり、明石の上に対する嫉妬も和らいでいく。
光源氏が須磨から戻って以降は、新しい女君がでてこない。玉鬘は養女格であるし、女三宮は朱雀院からの懇願である。紫の上は光源氏が最後にたどりついた女性であり、嫉妬に泣いたことはあっても、光源氏の最愛の女性としての地位はゆるがなかった。ただ女三宮の降嫁は衝撃で、子供も後ろ身もない立場の不安定さや今後は衰えていく容色の不安もあって、急に胸の痛みと高熱の出る病気にかかり、一時は生命さえも危うい状況になる。危機は脱したものの、その後は次第に衰えてゆき、出家の願望をもらすようになる。御法では仏事と紫の上の死を、幻では紫の上が去った後の光源氏の悲しみをえがいている。短い巻ではあるが哀切極まる部分でもある。
源氏物語にはこれまでも女君の死が描かれてきたが、御法の紫の上の死は光源氏の出家につながり、ここで源氏物語の光源氏を主役にした部分は終わることになる。最晩年の紫の上は光源氏が朧月夜を訪れてもさほど嫉妬していない。なにか女三宮の降嫁以降、関心が仏道に移っていったようなところがある。御法では紫の上が仏道にも通じている様子がえがかれているが、光源氏の愛を争う世界から清浄な仏道世界への関心の移行は宇治十帖の終幕の浮舟の出家にも通じるように思う。





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最終更新日  2024年02月19日 09時23分27秒
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