宿舎の自室から、この笛の音と威嚇射撃が一時間に一度ぐらいは聞こえる
自室から10メートルも離れていない場所である
これにもそのうちに慣れてしまう
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この交差点の向こう側にはパゴダ(仏塔)を持つ仏教寺院があった
ふだんは小乗仏教特有のオレンジ色の衣を羽織った僧侶が出入りする小さな寺院である
この当時、反政府運動に立った仏教界と南ベトナム政府とは、敵対的関係にあった
ある夜、完全武装の部隊がこの寺院を囲んだ
寺院側となんらかのトラブルがあったらしい
夕暮れ近くになるとパゴダに向けて機銃掃射を始めた
数発に一発入っている曳光弾(えいこうだん)が赤いアイスキャンデーのように輝きながらパゴダの中に吸い込まれてゆく
この曳光弾は夜間の射撃の弾道を確認、弾道の修正をはかる機能がある
私は宿舎の前に出て、一連の騒動を興味本位に見物していた
多分それが気にくわなかったのだろう
その部隊の二・三人の兵隊が突然こちらに銃口を向けて撃ち出した
銃弾が路上のコンクリートに当たり、着弾点がパッパッと土煙を上げて直線的に伸びて来た
きわどいところで、私の足下をかすめて宿舎の鉄の門扉に当たった
私もただちに第三者としての立場を反省して、門扉の中に緊急避難した
それでもまだ覗き穴から観戦?した
この戦闘で死者が出たのかどうか?
新聞にも何も報道されなかったから、それはわからないままだった
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開高健のベトナム体験を描いた小説「輝ける闇」
今まで読んでいなかったのだが、取り寄せてみた
なかなか面白そうである
当時のベトナムの臨場感がある
それに開高健と思われる主人公にベトナム人の愛人がいる設定らしい
フィクションかもしれないが、開高健の女性体験を絶えて読んだことがない
興味津々である
サイゴン ノスタルジー 2024.05.16
【復刻〉大昔の海外での話だが、「ひょっ… 2023.11.09
Susie Q - Creedence ( lyrics) 2023.11.07
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