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100人に0.9人前後で発症する「自閉症」の生き方を問う言葉
2015年の世界自閉症啓発デーで、
米国のオバマ大統領は
「アメリカでは68人に1人の子どもが自閉症スペクトラム障害
(アスペルガー症候群なども含む、
わずかに自閉症の特性が見られる状態から
典型的な自閉症までを幅広く含めたグループの名称)
を持つ」
と述べました。
68人に1人とは驚きですが、
日本自閉症協会のホームページによると、
日本でも自閉症は100人に0.9人程の発症率で、
生まれつき脳の機能に
なんらかの障害を持つ発達障害のひとつだといわれています。
人や物との変わった関わり方をしたり、
大人や同年代の子どもとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、
興味や関心が非常に偏っており、
同じことを繰り返したがることが特徴。
自閉症者だからといって知能に障害があるわけではありませんが、
少し奇妙にみえる行動から、自閉症の内面は誤解されることが多いようです。
今回、ご紹介する一冊は、
自身が自閉症者である作家の東田直樹さんと、
精神科医の山登敬之さんとの往復書簡のやりとりをまとめた
『社会の中で居場所をつくる 自閉症の僕が生きていく風景〈対話篇〉』
(ビッグイシュー日本)です。
東田さんは、自閉症者であると同時に、すでに世界的な作家でもあります。
彼の著書
『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール)は、
20ヶ国以上で翻訳され、世界的なベストセラーになっています。
一般的な会話ができない東田さんが、
社会のなかで居場所をつくっていけたのは、
小さいころから言葉や文字に対する興味があった東田さんを、
それを活かすかたちで導いていったご家族のおかげかもしれません。
しかしそれを差し引いても、
本書のなかの東田さんの言葉は名言だらけです。
東田さんの瑞々しい言葉を中心に、本書をご紹介していきたいと思います。
■1:「自分のことを好きだと言える人は幸せです」
いまの時代、障害があってもなくても、
自分のことをちゃんと「好き」といえる人が少ないように感じます。
また、特に恵まれない生い立ちでなくても、
自己肯定感をうまく持てずに大人になってしまう人も多いですよね。
東田さんは子どものころ、人と違う自分がいやでたまらなかったそうです。
ですが、
「自分の人生の主人公は僕でも、この世界の主人公ではない」
ことを両親から学び、知識によって、
世界にはたくさんの人たちが暮らしていて、
それぞれ困難に向き合いながら生きていることを知りました。
そして、成長していくにつれて、
他人のなかにいるときに感じていた疎外感はなくなっていったそうです。
その理由を、
「社会の一員として僕らしく生きていこうという気持ちになれたから」
だと語っています。
「誰からも、そう言ってもらえなくても
、自分で自分を好きになれれば、人は生きる意味を見失わないからです」
「自分を好きになるためには、
自分自身と向き合う気持ちも必要になってくるのではないでしょうか」
まだ二十代前半の彼の言葉を、どう受け止めますか?
■2:「強くなくても生きられる」
東田さんは、自閉症者ということで、
よく他人から励まされることがあるそうです。
ところが、励ましてくれている人の意見に耳を傾けていると
、だんだんと自分自身の話にすり替わっていくのがわかり、
「人というのは自分のことをわかってもらいたい動物なのだと、
つくづく感じる」
といっています。
東田さんを励ます人は、
東田さんのことを弱い立場だと思って励ますのでしょうが、
当の東田さんは、冷静に自分を励ます人の内面をみているということですね。
少し滑稽ですが、こうなると、
なにが強くてなにが弱いのかわからなくなってきます。
「弱いから生きていけないのではなく、
心が満たされないから生きづらいのではないでしょうか」
という彼の問いかけに、はっとする人も多いのではないでしょうか。
■3:「自分らしさとは、手を伸ばせば届く心地いい芝生のようなもの」
「自分らしく」という言葉は、
ヒットソングなどでもよく聞かれる、
悪くいえば手垢のついた言葉ですが、
そもそもなぜ、人は自分らしく生きたいと願うのか、
東田さんは問いかけます。
「自分らしさに条件や基準はいらない」と東田さんはいいます。
「こんな自分ではだめだと思うのであれば、
その人が追い求めているものは、自分らしさではなく目標ではないでしょうか」
なるほど。
外へ、外へと自分らしさを求めていっても、
もしそれが手に入らなければ、つらくなってしまいそうです。
「僕が考える自分らしさとは、
はるかかなたの山の頂上に咲いている珍しい花ではなく、
手を伸せばすぐ届く、心地いい芝生みたいなもの」
という言葉に、安らぎを覚えるのは筆者だけではないはずです。
*
本書は10回ごとに先攻後攻が入れ替わるかたちで、
東田さんと山登さんのやりとりが進みます。
もともと東田さんの本のファンだったという山登さんの名キャッチャーぶりもさすがです。
自閉症のイメージにとらわれることなく、
生き方を模索していて砂漠で
オアシスにたどりつくような東田さんの言葉に、
ぜひ触れてみてください。
(文/Kinkiii)
【参考】
※ 一般社団法人 日本自閉症協会
※ Presidential Proclamation — World Autism Awareness Day, 2015-whitehouse.gov
※ 東田直樹・山登敬之(2016)『社会の中で居場所をつくる 自閉症の僕が生きていく風景〈対話篇〉』ビッグイシュー日本
【T-Site http://top.tsite.jp/news/lifetrend/o/27212635/ 】
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やりとりの書簡は今までの書物とは違って、
キャッチボールが追えることが興味深い一冊ですね。 🌠
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