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世界はさまざまだ=中村秀明
彼の言葉を聞きわけようとした。
だが、「すちぃふぁー」とか「せっしばぁー」としか聞こえない。
そんな言葉に乗って、
舞台中央に大きく映し出されたパソコンの画面に彼の思いが次々とあふれた。
「僕は、他の人のような普通の会話をすることはできませんが、
みんなの言っていることは聞いています」
「自分のすごしている世界が、
この世のすべてだという思い込みが、
物の見方を狭くしているのだと知りました。
世界は広いという事実に、
僕は励まされています」
東田直樹さん24歳。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」で世界的に知られた作家だ。
「普通の」会話はできないが、
パソコンや文字盤を使って自らの考えや感情を伝える。
さいたま市で10日、
「僕の七転び八起き」
と題して講演した。
彼の可能性に気づき、
道をひらいた母親の美紀さんもマイクを握った。
身近に同じ境遇の子や兄弟、知人がいて、
そのだれかの言葉にできない思いを感じ取ったのだろう。
画面を見つめ、目頭を押さえる人をあちこちで見かけた。
27ページ分の話を終えた後、彼は突然演壇から飛び降り、
客席の最上部近くまでかけあがった。
気持ちが高ぶり、じっとしていられなかったようだ。
うれしかったのかもしれない。
美紀さんが笑顔で追いかけ連れて戻った。
子育ての体験を語った美紀さんは、
締めくくりに直樹さんの詩を紹介している。
「希望というのは、
将来の夢や目標だと思っている人がいるけれど、
それだけではない。
明日の自分を待っていてくれる人がいる。
そう思えることが希望のない人の『希望』になる」
美紀さんを支えてきたものであり、
多くの人にもヒントになるだろうという願いが込められていた。
ところで彼は4歳3カ月の時、筆談を通じてある思いを伝えている。
それが作家としての原点と言える。
彼は書いた。
「こわい、あんまりぼくのことをしらないくせに
しっているみたいにいうから いや」
だれかについて、何かについて、
知っているかのように語り、わかったふうに決めつける。
私を含め、大人と呼ばれる人はそうしがちである。
だが、それは4歳の子にも見透かされ、
「いや」と拒絶されることなのだ。
自分のすごしている世界が、この世のすべてだという思い込みは怖い。
世界は広く、知らないことも多く、さまざまである。(論説委員)
http://mainichi.jp/articles/20161214/ddm/003/070/086000c#csidxf1121d169fb7d279996110a715480cb

毎日新聞
東田さんの言葉には、
気付かされる部分が多いですね。 🌠
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