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《知的障害者更生》再犯防止 支えが大切
▼ 繰り返し窃盗
「悪いことをしました。これからどうなるの」
冬の足音が聞こえてきた2016年11月下旬、
前橋市南町の前橋刑務所の面会室。
窃盗罪で起訴されている40代の男はアクリル板越しにつぶやいた。
「どうしていいか分からない」。
震える指先で頭をかき、鼻水をすすった。
表情や態度からは、
自分の置かれた立場が理解できないもどかしさが伝わってきた。
男には知的障害がある。
高崎市の住宅から女性用のズボンを盗んだとして、
窃盗罪などで前橋地裁から保護観察付きの執行猶予判決を受けたのが同年8月。
9月上旬に前橋市の障害者施設に受け入れられた。
社会の中で更生する機会を与えられたはずだった。
2日後の深夜。同市のコンビニで12冊の雑誌を盗んだ。
帰り道が分からなくなり、県警に保護された。
約1カ月後に犯行が発覚して逮捕、前橋地検に窃盗罪で起訴された。
逮捕されるまで古紙回収や食品販売などに汗を流していた。
作業を通じて社会のルールを学ぶ一歩を踏み出していた。
犯行はそのさなかだった。
「やめたくても、やめられない。どうして盗んじゃうのか分からない…」。
面会中に男はがっくりと肩を落とし、
言葉を詰まらせながら思いを口にした。
幼い頃から万引を繰り返し、そのたびに父親が頭を下げた。
摘発されたこともあったが、ほとんどが不起訴処分(起訴猶予)に。
盗み癖を直す手だてを見つけられないまま、気付けば40歳を過ぎていた。
▼長引くと厳しく
今回の事件を担当している弁護士は
「服役が長引けば、社会規範を直接肌で感じる機会を失う。
かえって再犯の危険性を高めることにもつながる」
と考え、社会の中で更生させることの必要性を訴える。
男を受け入れた施設は、
知的障害などが影響して窃盗や放火に手を染めた人を引き受け
、支援している。
施設を運営する社会福祉法人の理事は
「再犯する知的障害者は、説明しても理解できないケースが多い」
と指摘する。
刑事責任能力が問われる境界線の人たちに
「どうしたら繰り返さないのか、本人に粘り強く伝え、支えていくことが必要だ」
と説明する。
同年12月7日、前橋地裁での初公判。
裁判官から起訴内容の認否を尋ねられると、
ジャージー姿の男ははっきりと答えた。
「間違いありません」。
証人尋問では、
検察官や弁護人と施設関係者とのやりとりをじっと見つめていた。
執行猶予期間中の再犯の重さを
どこまで理解しているかは読み取れなかった。
***
刑法犯認知件数が減り続ける中、
犯罪を繰り返してしまう「岩盤のような層」(司法関係者)がある。
近年は障害者や高齢者に焦点を当て、
支えようとする取り組みも始まっている。
人はなぜ罪を犯し、
社会復帰には何が必要なのか。実情や支援の動きを追う。
【メモ】
刑務所を出た人の再犯を防ぐ取り組みを
国と自治体の責務と明記した議員立法「再犯防止推進法」が、
昨年12月に成立した。
国は刑務所や少年院での職業訓練や教育の充実、
保護観察の体制整備などを定めた推進計画をまとめる。
都道府県や市町村もそれに基づいた計画を立てる努力義務を負う。
【上毛新聞 http://www.jomo-news.co.jp/ns/2414844912056823/news.html 】
加齢とともに見守りも手厚く、
犯罪者でなくとも、社会との繋がりはお願いしたいものです。 🌠
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