Born  Free☆ミ

Born Free☆ミ

PR

Calendar

Profile

elsa.

elsa.

Favorite Blog

名古屋市  ホテル… New! トンカツ1188さん

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

2017.07.22
XML
カテゴリ: 自閉症関連




幼児期の行動は遺伝的要因に大きく影響される



以前私のブログで、

幼児に人が話しかけているビデオを見せた時、

正常児は目を注視することが多いのに、

自閉症児では口を見る時間が長く、

この方法を用いると自閉症の早期発見が可能であることを示した

アトランタ自閉症研究センターからの論文 を紹介した。

更に、口により強く惹きつけられる自閉症児の性質が、

実は扁桃体と呼ばれる脳領域の単一神経レベルで記録できるという

ロサンゼルスCedar Medical Centerの仕事も紹介した

これらの研究を合わせると、

自閉症児の行動変化を脳内ネットワークレベルの違いに

落とし込むことができる可能性を示している。

自閉症は遺伝性が強いが、

これは血液凝固因子の遺伝子欠損による血友病が

遺伝するというレベルの話ではなく、

たくさんの遺伝子の違いが集まって

初めて自閉症に共通の症状が現れる状態と考えられている。

したがって、単一の病気というより、

一人一人原因となる遺伝子の組み合わせも違うし、

症状の細部も違った状態の集まりで、

このため自閉症スペクトラムと、

あえて漠然とした名前で呼ばれている。

いってみれば、

多様な性格の延長として捉えようという考え方が主流になっている

(ニューロダイバーシティー(脳の多様性)という考え方)。

しかし自閉症や性格が多くの遺伝子が集まった多様な状態だとすると、

ゲノム構造が複雑すぎて遺伝性を調検証するのは簡単ではない。

そこで登場するのが双生児の研究だ。

一卵性双生児の場合、ゲノムはほぼ同じと考えてよく、

どれだけ複雑な組み合わせでも一卵性双生児ではそれが揃っている。

従って、自閉症は言うに及ばず、

一般的に性格と呼ばれている行動パターンの遺伝性を調べる場合、

まず双生児の研究から始めるのが常道だ。

今日紹介したいのは、

ビデオを利用して自閉症の早期診断を行っている

アトランタ自閉症センターとワシントン大学が共同で発表した論文で、

自閉症診断のために開発されてきた

特定のビデオを見たときの幼児の反応パターンが

遺伝的に強く左右されることを示した画期的な研究で、

Natureオンライン版に掲載された

( Constantino et al, Nature, 547, 340, 2017 )。

この研究では一卵性双生児82人、二卵性双生児84人、

それ以外の幼児84人を集め、

ビデオを見せたときの目の動きをアイトラッカーで追跡し、

特定のビデオを見たときの視線が、

ビデオに登場している人物の目を見ているか、

口を見ているか、あるいはビデオに注目していないのか、

ミリ秒単位で詳細に記録している。

この記録を次に、

ビデオを見た時の幼児の反応として数値化し、

この数値の一致率を一卵性双生児、二卵性双生児、一般児で比べている。

もし行動の一致が一卵性双生児のみで見られると、

遺伝的要因が強く、

一卵性、二卵性を問わず双生児全体で一致率が高い場合は、

家庭環境などの外的要因が高いと結論できる。

結果だが、

一卵性双生児のみがほぼ完璧な一致を示すが、

2卵生双生児と一般児ではペア間の相関がほとんどなくなる

(実際の図を見ると一致の程度に目をみはる)。

さらに、ミリ秒単位で画面に対応する目の動きを比べると、

目の動き(タイミングや方向)が驚くほど一致していることがわかる。

目を急速に動かすサッカードのタイミングにまで一致しており、

他にも、同じ方向から網膜への刺激が入ってくる場合は、

なんと次の瞬間に目の動く方向まで一致することが示されている。

次に、この一致が、刺激に対する反射の一致なのか、

それともそれぞれの幼児の意識を介した

目的に基づく行動としての一致なのかを調べ、

この一致が単純な反射ではなく、

目的に向けた行動パターンに基づく一致(すなわち高次脳機能の一致)

であることを示している。

言い換えると、幼児が外界(社会)の情報を理解して、

自分の志向に合わせた行動を取る過程に関わる脳回路が、

遺伝的に決まっていることを示している。

最後に自閉症児での行動パターンも同じように調べているが、

目や口に対する反応の差というより、

どちらにもほとんど興味を示さないというパターンが特徴のように見える。

いずれにせよ、この検査で正常児と明確に区別できる。

今日紹介した一卵性双生児の研究が示すように、

このテストで調べることができる行動パターンがここまで遺伝的に決まっているなら、

自閉症児の行動パターンも当然同じで、

将来遺伝子に基づいて更に詳しく理解できる可能性を示唆している。

時間はかかるが、

一歩づつ着実な研究が進展していることを実感する論文だと思う。

【yahoo news https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20170721-00073460/

(写真:アフロ)

我が子の幼児期を振り返った時、

目や口よりも、

遠く空中の太陽の翳りから生まれる埃を見ていたような気がします。



🌠













お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.08.07 07:03:23
コメント(14) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: