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人間の脳の進化過程に、
自閉症の起源があるかもしれないことが、
科学者たちの研究によって明らかになった。
「この研究結果は、人間の脳を特異なものにした遺伝的変化が、
人間の神経多様性の増大にも関与していることを示唆している」
と、
研究の筆頭著者アレクサンダー・L・スターは述べた。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、
アメリカでは約3.2%の子どもが
自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されている。
世界保健機関(WHO)によると、ASDは、
世界中でおよそ100人に1人の子どもに
影響を与えている複雑な発達障害だ。
ASDには、
社会的なコミュニケーションにおける持続的な困難、
限定された興味、反復的な行動といった特徴がある。
動物にも見られる他の神経疾患とは異なり、
自閉症や統合失調症は基本的に人間に特有のものと思われる。
これは、発話の生成や理解など、
他の霊長類には見られない
人間特有の高度な能力が関与しているため
と考えられている。
科学者たちは、単一細胞RNA配列解析の進歩により、脳内の細胞の種類に驚くほどの多様性があることを突き止めた。
並行して、大規模な遺伝学的研究によって、
人間の脳における他の哺乳類には見られない
大きな変化も明らかになっている。
こうしたゲノム要素は、
他の哺乳類では長い進化のあいだほとんど変化しなかったのに、人類では急激に進化した。
ホモ・サピエンスと他の異なる
種の脳サンプルを分析したところ、
大脳皮質の外層に最も多く存在する
「L2/3 ITニューロン」
と呼ばれる神経細胞のタイプが、
ホモ・サピエンスは他の類人猿と比較して、
急速に進化していたことがわかった。
この急激な変化は
自閉症と関連する遺伝子の大きな変化
と一致していることから、
自閉症も人類特有の自然選択圧
によって形作られた可能性が高い。
しかし、こうした変化が
人類の祖先にもたらした進化的な利点は、
いまだ明確になっていない。
研究チームによれば、
これら多くの遺伝子は
発達の遅れと関係していることから、
チンパンジーに比べて
人間の脳の出生後の成長が遅いことと
関係している可能性がある。
また、発話と言語理解といった人間特有の能力も
関係していると考えられる。
実際、自閉症に関連する遺伝子の進化が、
初期の脳の発達を遅らせたり、
言語能力を拡張したりすることにより、
幼少期に学習と複雑な思考ができるようになるための
時間的な猶予を広げたという仮説も存在する。
そして、自閉症に起因する発達の遅延が、
より高度な推論能力を育むための時間を確保することこそが、
進化における利点となった可能性もあるのだ。
自閉症は「障害」ではなく、人類の進化から生まれた副産物なのかもしれない。
【参考文献】
Starr, A. L., & Fraser, H. B. (2025). A general principle of neuronal evolution reveals a human-accelerated neuron type potentially underlying the high prevalence of autism in humans
. Molecular Biology and Evolution.
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