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131 )広場には大勢の人たちが集まっていたが彼らの表情には不安の色が浮かんでいた。そこで一計を案じた私は仲間のドイツ人たちと一緒に広場に乗りこんで彼らを落ち着かせようとした。身軽なドイツ人の若者は音楽に合わせてマイケル・ジャクソンを凌駕する完璧な幽体移動の必殺技を繰りだすと次第に暗欝な雰囲気が崩れて笑顔が戻って来た。
132 )そこではいままさにアジア、いな世界最大の万博が開催されており、広大な会場には自然館と商品館の 2 つの球形のパビリオンが並んでいた。自然館はそのまま地球の 7 つの大陸がそっくり内蔵されており、商品間で買い物をした大勢の客たちはレジを終えるまでに数時間も待たされていた。
133 )久しぶりに細君と旅行に出かけたが同じ車両の中に彼女に会わせたくない女性が2人も乗り合わせていることが分かったので、私はもはや旅行気分どころか戦々恐々として目を泳がせているのだった。
134 )会社の図書室に配属された私がその狭い部屋に行くと、山口君の姿が見えない。きょろきょろ探していると、彼と事務の女性の2人が狭い部屋に山積みされた雑誌類の上に机を置いて執務していた。「ここは図書室なのだろう。誰か借りに来るのかい」と尋ねたが誰も一度も来ないという。
135 )国家教育局に続いて国家映画局の統制がはじまった。どんな映画も 1940 年代よりもハンパなく検閲されている。本編のみならず予告編や広告の映像やキャッチフレーズについても官憲の気狂いじみたきびしい統制が繰り返されるので、私は映画界から逃走することにした。
136 )客の要望に応えてクラシック音楽を流している純喫茶を訪ね、私はフルトヴェングラーが指揮する「トリスタンとイゾルデ」をリクエストするのだが、どの店に行っても第 3 幕第 3 場でイゾルデが歌う「愛の死」の箇所のレコードが無い。もうすぐ朝がやってくるので私は焦った。
137 )中国本土を侵略中の皇軍兵士を慰安すべく、私たちはサーカスのキャラバンを組んであちこちを巡業していた。そのとき突然敵が来襲し、銃弾が飛んできた。私はとっさに私がひそかに好いている女性のほうを見ると、彼女は巧みな宙返りで敵弾を避けていた。
138 )そろそろ死期が近づいてきたことが分かったので、私はそのためにあらかじめ準備していた眺めの良い場所にやってきた。ところが緊急時に使用するための人工臓器が無くなっているので、きょろきょろ周囲を見回すと悪戯そうな若い女と目が合った。
139 )電車から降りて無人の改札口を出たところで、前を行く白いチョゴリを着た若い女が幼女と共に道端の渓流に飛び込むのを目撃した。私は一瞬躊躇したがザブリと川に飛び込み、まず少女を救い、次いでぐったりとなった女を胸に抱いて水から引きあげた。
140 )蒼白の女は、眉が細く美しい容貌をしていた。私が「しっかりせよ」と声を掛けても目を開かず、一言も発しないので盲目かつ聾であることが分かった。娘とも妹ともおぼしき少女の泣き声だけが白昼の荒野に響いていた。
141 )「ほら、ほら、ほら」と言いながらみんなは吉田君からもらった異様に大きな林檎を私に見せつけた。きっと私の分は無いのだろう。悲しい気持ちに沈む私の傍を、思いがけず昔の思い人が通り過ぎていった。なにも言わないで。
142 )私の両側には2人の女が横たわっていた。これって前に読んだ村上春樹の小説とおなじシチュエーションだなあと思ったのだがそれ以上なにも起こらず、朝になると誰もいなかった。
143 )追い詰められた私たちは階段を登ろうとしたが、その階段は途中で終わっていたので、階段のたもとまで下って階段の左の脇道を進もうとしたのだが、そこでにっちもさっちもいかなくなってしまった。私の顔の前に彼女の顔があったので、金曜日の朝、渡辺派がいよいよ私を粛清しようとしている気配を察知した私は、大聖堂めざして急な坂道を駆けのぼった。
144 )無人の大聖堂をいっさんに駆け抜け、私はその裏道を急いだが、どうも誰かが私の跡をつけているようだ。真っ暗な小道をひた走りに走ると、いつのまにか異人街に辿りついた。教会では大柄な人々がクリスマス・キャロルを歌っている。
145 )明日は大学試験の初日だというのに僕たちは夜遅くまで夢中になって話しこんでいた。色々な地方からやって来た受験生の中には女性体験の豊富な若者もいて、僕らは目を輝かせていつまでも彼のレポートに耳を傾けたのだった。
146 )市役所の広報課長はわけがわからぬ男だった。市に有利な情報だけをマスコミに流そうとして経済、社会、健康、人口、衛生、文化、教育などにかんするありとあらゆるデータのおのれに有利な部分だけを取り出して、それをごった煮にして公表するのだった。 4/30
なにゆえに「おもてなし」でなく「オ・モ・テ・ナ・シ」でにっこり笑って合掌するのか 蝶人
夢は第2の人生である 第13回 2014年06月01日
夢の続き 2014年04月26日
夢は第2の人生である 第11回 2014年04月26日