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先日、久々に東京・蔵前にあるリリーの薔薇園さんにお邪魔しました。昨年のオープンから約1年ほどになるんですが、徐々に商品の数が増えてきております。お茶に関しては、直取引をしている雲南の生産メーカーが白茶(月光白)や紅茶も生産しているので、そうしたものが中心に。ここのメーカーさんのお茶は日本のJAS有機も取得しているんですが、丁寧なお茶づくりをしているように感じます。あとは台湾茶と花茶が少しというバランスはそのままに、商品の数が増えてきた感じですね。それからパンダ雑貨なども色々と増えてきて、なかなか賑やかな店内になっておりました。で、お店に置いてあるお茶を見ていたところ、気になるお茶があったので、購入してきました。それがこちら。雲南有機軟枝紅茶この名前を見て、ピンと来た方はなかなかのお茶マニアですねw”軟枝”というのは、台湾の品種の名前です。軟枝烏龍。これを雲南に植えて作った紅茶というわけです。台湾の品種を雲南に植えると、どういう地域香になるのか大変興味がありまして、購入してきました。外観はかなり撚りがしっかりしていて、金芽も見られます。葉はやや大ぶりな印象。早速蓋碗で淹れてみると、こんな感じ。烏龍品種の紅茶らしく、水色の赤味は浅めですね。フルーティーな香りではあるのですが、やや香ばしさを感じますね。べっこう飴系の香りもあります。紅茶の専門の人からは、華やかさに欠けると言われそうなタイプかもと思いますが・・・第一印象は、台湾で見かける烏龍種の紅茶だなーという印象です。ただ、やはり雲南らしさというのがハッキリとあります。このお茶の場合は、余韻ですね。じっくりと飲むと、非常にパワフルなお茶でして、余韻が長く続きます。古樹プーアル茶や有機茶にありがちな、身体の芯に響いてくる感覚もあります。このお茶自体も有機栽培のお茶でもあるので、力強さがストレートに出ている感じです。なかなか良いお値段のするお茶なのですが、余韻の長さを考えると、まあそれも納得できる範囲かな、とも思います。#大抵のお茶の価格は余韻の長さに比例します。ただ、まだまだ軟枝烏龍の特性を完全に掴んでいるわけではないのでしょうね。まだまだ、製茶技術での向上の余地は残されている感じです。現段階では、同じメーカーの雲南大葉種の滇紅の方が完成度が高く、コスパも良いのでお勧めですね。↑上記は同じメーカーの雲南大葉種を使った紅茶しかし、こうした素性のハッキリしたお茶というのは貴重です。品種香や地域香を知りたいという方は、なかなか勉強になるお茶だと思います。一部の条件を変えて、並べて飲み比べてみること以外に品種香や地域香ってのは分かりませんからね。リリーの薔薇園住所:東京都台東区蔵前3-12-9 鈴梅第一ビル1階・2階電話:03-5829-8548営業:10:00~18:00定休:日曜日・祝日http://www.lili-baraen.jp/にほんブログ村条件を揃えて飲み比べるのが大切です♪↓楽天でも売ってます香り豊かで心も体も安らげる中国紅茶です。JAS有機認証。冷え性対策。温活。「新商品」特級有機...価格:1,900円(税込、送料別)
2015.04.09
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先日、京都・伊根にある台湾茶専門店・青竈のオーナーさんに東京でお目にかかりました。天橋立のさらに奥、丹後半島の東端にある伊根町は、伝統的家屋の舟屋が200軒以上も立ち並ぶ「伊根の舟屋」で有名なところです。その舟屋の1つで営業されている台湾茶の専門店(喫茶及び茶葉販売)ということで、「一度は行きたい」と思っているお店でした。ただ、関東に住んでいると大変な移動時間になります。そのため、存在を知ってからなかなか伺えずにいたら、先にオーナーさんが東京に来てしまったというオチです(^^;)舟屋の海に面したところでお茶が飲めるのですが、あまり磯の香りがしない海なのだそうで、気持ちよくお茶が飲めるのだそうです。※写真は青竈さんのFacebookページより。都内某所でオーナーさんがお持ちになったお茶を色々飲ませていただきました。台湾の茶農家さんから直接入れているそうです。まずは高山茶を色々飲ませていただきましたが、発酵が浅めのものが多く、清らかな香りを重視したお茶選びをしているようですね。このへんは好みですが、個人的にはちょっと青いかな~という印象。そんな中、「これはなかなか面白いかも」と思ったのが、こちらの原生烏龍茶。台北の近郊、文山地域の自生茶(おそらく放棄茶園)を原料に作ったお茶です。少し発酵と火入れの程度が強めなので、水色もこんな感じ。このお茶の魅力は、甘い香りですね。発酵度の高さによる香りに加え、ウンカの咬害による独特の蜜香もハッキリと出ている感じです。時期的なものもあるので、あまり煎が効くタイプではありませんが、最初の数煎は発酵度の高い烏龍茶ならではの香りが楽しめます。で、このお茶は夏場のお茶なので、割と強めの渋みも持っています。これを上手く避けつつ、どうやって香りの高さを引き出して淹れるかという点では、淹れ手の腕が試される結構チャレンジングなお茶でもあります。決して優等生タイプのお茶ではありませんが、そのへんが却って面白いと感じる方もいると思います。お店には他にも色々なお茶があるようなので、天橋立方面へ行かれるお茶好きさんは、ちょっと足を伸ばして出かけてみるのも面白いと思います。台湾茶専門店 青竈 chinzao住所:京都府与謝郡伊根町平田69電話:090-8528-3518営業:10:00~19:00定休:不定休http://www.chinzao.com/中国茶情報局の紹介ページにほんブログ村こんなところに台湾茶専門店!
2015.02.11
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突然ですが、残念なお知らせです。「青茶」という言葉は、中国茶の世界では存在しなくなりました何を言っているのか分からないと思いますが、中国政府がそう言っております。では、いわゆる半発酵茶は何と呼ぶのだ?ということになりますが、今後は「烏龍茶」になります。よく出てくる六大分類は、今後は以下のようになります。・緑茶(Green Tea)・紅茶(Black Tea)・黄茶(Yellow Tea)・白茶(White Tea)・烏龍茶(Oolong Tea)・黒茶(Dark Tea)そして、・再加工茶(Reprocessing Tea)以上が、今後の正しい中国茶の分類(六大分類+1)になります。六色並んでいた頃の方が美しかったのですが、これが国の定める正しい定義になってしまいました。仕方ありません。その根拠は、今年の10月27日より施行された、こちらの国家標準。茶葉分類(Classification of Tea)という国家標準です。#興味のある方は、中国の検索エンジンに「GB/T 30766-2014」と検索してみれば、全文がどこかから出てくると思います。中身をザックリと紹介しますと、この標準の中には、お茶に関する基礎的な用語の「定義」がされています。もっとも、書かれている定義は一文で簡潔そのものです。こういうのが今まで無かったというのが不思議な気もしますが、その辺が中国茶の曖昧さを生んでいた気がします。今回の標準で規定されているのは、具体的には、・鮮葉(生葉)・茶葉・萎凋・殺青・做青・悶黄・発酵・渥堆といった製造上の技法に関する用語。それから、お茶の分類と定義です。掲載されている分類を整理して書いておきます。○緑茶 ・炒青緑茶 ・烘青緑茶 ・晒青緑茶 ・蒸青緑茶○紅茶 ・紅砕茶 ・工夫紅茶 ・小種紅茶○黄茶 ・芽型 ・芽葉型 ・多葉型○白茶 ・芽型 ・芽葉型 ・多葉型○烏龍茶 ・閩南烏龍茶 ・閩北烏龍茶 ・広東烏龍茶 ・台式(湾)烏龍茶 ・その他の烏龍茶○黒茶 ・湖南黒茶 ・四川黒茶 ・湖北黒茶 ・広西黒茶 ・雲南黒茶 ・その他の黒茶○再加工茶 ・花茶 ・緊圧茶 ・袋泡茶(ティーバッグ) ・粉茶上記の用語とお茶についての定義がチョロッと書いてあるという、実にシンプルな標準です。数年前から、現地の先生方は「青茶」という表現を使わず「烏龍茶」という表現をされていました。その時は、「どちらでも良いのかな」と思っていたのですが、今回の標準を見ると、併記もされずに烏龍茶のみの記述になっているとは意外でしたね。ざっと全体を見たところですが、緑茶は乾燥方法(蒸青のみ殺青方法)、紅茶は発酵方法(+小種の燻煙)、黄茶と白茶は芽と葉のバランス、烏龍茶と黒茶は産地で分かれています。産地に関しては、生葉がどこで採れたものなのか?が重視されているようです。生葉をある省で摘んで、越境して別の省の工場に持ち込むとなった場合は、生葉を摘んだ省が優先されるみたいです。また、烏龍茶の場合は産地に加えて、「形状」の縛りがありまして、閩南は丸い形、閩北・広東は条形、台式は丸い形となっています。個人的には、台式が”丸い形オンリー”になっているのが気になりますね。中国で台湾烏龍茶を名乗るためには、丸くないとダメということになりますから、文山包種茶とか東方美人はどうなるんだ?という懸念が(^^;)#丸めた文山とか東方美人が出てくる気がする・・・ちなみに国家標準というのは、数年ごとに定期的に見直されるので、今回の標準も数年のうちに変わる可能性があります。中国茶はとにかく急激に生産量が増え、移り変わりが激しい業界なので、10年前に勉強したとかだと既に浦島太郎になっている可能性もあります。中国茶を扱う&伝える方は、こうした情報をきちんとキャッチアップしていかないとですね。にほんブログ村中国茶はサボれないんです(^^;)
2014.12.12
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本日は清明節。今年も獅峰龍井を飲みました。ここ数年ほど、同じ畑の龍井茶を飲んでいます。これは3月21日に作られたもの。今年の西湖龍井の正式な茶摘み日は3月20日だった(※)ので、その翌日のお茶ですね。正真正銘の一番茶です。飲んでみて、例年と違う傾向を感じました。甘みが強めに出ている上、非常にボディが強いな、という印象に。甘みの方はおそらく今年の春先の天候によるものだと思うのですが、ボディの強さはちょっと意外。非常に芯の通ったお茶になっていました。このお茶を持ち帰ってきてくれた簡さんの話によれば、この茶樹は植えられてから、ちょうど20歳だとのこと。言うなれば、成人式を迎えたお茶です。昨年の夏、杭州はひどい干ばつに見舞われました(※)。それが一種の成人に向けての通過儀礼だったのか?厳しい夏を越した茶樹はしっかりと成人(茶?)したようです。龍井43号の龍井茶は、在来種の龍井茶と比べるとどうも平板なイメージがあったのですが、その印象は樹齢によるものだったのかも、とも思いました。やはり、お茶は長年飲み続けないと分かりませんねぇ。。。にほんブログ村見直したぞ43号ちなみにお店で飲ませてもらったときは、こんな比較もしてみました。昨年のお茶(19歳)とこのお茶(20歳)、そして在来種(50歳)の比較。19歳は、確かに美味しいんですが、少し線の細さを感じました。20歳になると、その点が無くなってどっしりした感じに。1年でこうも違いますかね、と思います。で、在来種はさすがの風格でした。口に含んだときの華やかさは、さほどでも無いですが、喉ごしと余韻が別物です。※19歳と在来種は、ヤヌザイとギグスぐらい違います(マンチェスター・ユナイテッド的に喩えると)
2014.04.05
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いつの間にやら、11月になっていました。今年中にやらねばならぬプロジェクトがあと2つ残っているのですが、1つは今月中にスタートできそうです。年内一杯で、だいぶ充実するのではないかと。もう1つは・・・尖閣の問題が落ち着かないと、って感じでしょうか。あれがなければ、今ごろ告知できていたのですがねぇ。。。さて、本日11月1日は紅茶の日だそうなので、早速乗っかってみました。あ、もちろん中国紅茶ですがw人形町の小梅茶荘さんで購入しました、雲南省の紅茶・鳳慶です。鳳慶は地名です。鳳慶県という雲南省の西の方の紅茶です。中国茶専門店で雲南紅茶というと大葉種でガサっとしたタイプだったり、妙に金芽が多いものを見かけます。が、こちらは外観がやや華奢に見えるぐらいのお茶です。お湯を差すとやや雲南っぽい、柑橘系の香りから変化した独特の香りがありますが、比較的控えめです。味はあっさり目ですが、ほのかな甘さとのバランスがなかなかイイ感じです(^^)驚くような旨みや香りがあるお茶ではなく、安心して飲める感じの紅茶です。金駿眉のような金芽バリバリの紅茶も悪くないんですが、どうも疲れるんですよね(^^;)にほんブログ村真っ当なお茶屋さんです☆
2012.11.01
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ここ1週間ほど、なんだか頭がもやーっとした状態でした。風邪でしょうか。あるきちです。さて、連日、今年の新茶をあれこれ飲んでおります。今日は金萱茶。金萱茶というと、「ミルクの香り」「バニラの香り」というような香りばかりがクローズアップされがち。が、こちらのお茶は、そうした印象からすると香りは控えめです。蓋碗の蓋の裏に、ほのかに、しかしハッキリとしたミルク感がある感じです。品種香ですね。その一方で、台湾烏龍らしいフラワリーな香りもします。こちらは発酵の香です。これが金萱の適正な香りの状態ではないかと思います。あくまで烏龍茶な香りに、奥ゆかしいミルクな香りが隠れている感じでしょうか。もう1つ、金萱というと味が軽やかと言います。ややもすると、余韻がないというような表現をされたりします。が、このお茶を飲んでみると、軽快なトーンの余韻があるように感じます。青心烏龍種の余韻がドドドーンという感じなら、金萱種はタタターンという感じです。分かりやすくはないけれど、きちんと余韻は感じます。茶殻を見ても、発酵は適正。良いお茶の仕上げだと思います(^^)こういうのを飲むと金萱というお茶も、きちんと評価し直さないといけないお茶だと思います。「金萱=ミルクの香り」「金萱=量産品種」「金萱=味が薄い」のような方程式は、そろそろ取っ払いたいものです。にほんブログ村まう茶5番デス
2012.05.29
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今年の明前龍井シリーズ、とりあえずの最終回です。西湖龍井の中での梅家塢&獅峰の飲み比べをしてみました。まずは、梅家塢龍井。明前の一番茶です。続いて、獅峰龍井。こちらも明前の一番茶です。両者を比べると、ちょっとだけ獅峰の方が黄みがかった色に見えます。産地の違いですねぇ。#写真&ディスプレイで表現できているかどうか・・・さて、飲んでみた比較ですが・・・まず、両者とも新昌龍井より、味と香りの濃密度が段違いです。感覚的には、「2枚か3枚ぐらい格が違う」という印象です。お茶の甘み、旨味の強さ・余韻の長さといい、香りの豊かさなど、さすがはトップランクに位置するお茶だと思います。新昌龍井が悪いわけではなくて、この2つが飛び抜けすぎているんです。ある意味、バケモノ。その上での比較ですが、まずは梅家塢。こちらは、とにかく甘さと旨さが印象的でした。まさに甘露なお茶で、これは歯が痛くなるんじゃないかと思うぐらい(笑)、甘くて旨いのです。香りももちろんあるんですが、味の甘さと旨さの印象に引っ張られて、印象が薄くなってしまうほどです。さらに飲んでからの余韻も本当に長く続くので、「味の深み」とか「余韻の長さ」というのを知りたい方は、このお茶と烏牛早や新昌龍井を飲み比べると、その差がハッキリと分かるのでは、と思いました。文句無しに美味しいお茶です。続いて、獅峰龍井。こちらは、お湯を注いだ時の香りの良さにかけては梅家塢を凌駕しています。非常に香りも豊富なお茶で、それでいて甘みや旨味も十分あり、余韻も大変長く続きます。とても高い次元で香りと味をバランスさせたお茶だと思いました。私の好みどんぴしゃりなので、ヤバイお茶です(笑)ハッキリ言って、この2つのお茶は仕事中に飲むお茶ではありません。美味しさのあまり、仕事の手が止まってしまいます(^^;)時間をかけて、ゆっくりと味わえる時のお茶だと思います。そして、どちらが上とか下というのは、ここまで来ると無いですね。味わい重視なら梅家塢、香りも重視するなら獅峰だと思います。個人的には、飲みつけていることもあり、獅峰の方が好みです。というわけで、ここまでの龍井茶飲み比べを消費者目線で整理しますと、烏牛早 → 手頃に新茶のフレッシュさを楽しみたい 仕事の手を止めない程度に美味しいお茶を飲みたい新昌龍井 → 手頃に龍井茶の美味しさをたっぷりと味わいたい 気分転換になるような美味しいお茶を飲みたい梅家塢 → 味と甘さを追求した、とびきり美味しいお茶を味わいたい 至福のリラックスタイムを持ちたい獅峰龍井 → 味も香りをバランスさせた、とびきり美味しいお茶を味わいたい 至福のリラックスタイムを持ちたい という感じでしょうか。烏牛早か新昌龍井をベースにして、とっておきのお茶をより上位のランク、とするとお手頃価格でいろいろ堪能できると思います。中国の緑茶の相場が全般的に上がってますから、西湖龍井を基準にしてしまうと、かなり大変です(^^;)もっとも、最近は浙江龍井のレベルが随分上がってきているので、この組み合わせでも、あまり不満はないかと。個人的には、新昌龍井&獅峰龍井のペアが好きです(^^)にほんブログ村今年の龍井選びのヒントになれば♪
2012.04.25
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烏牛早に引き続き、新昌のお茶。今度は新昌龍井です。大佛龍井という別名も最近ではブランドとして通ってきています。こちら、烏牛早とは品種が違い、龍井43号です。3月28日摘みだとか。<龍井43号>龍井43号というのは、龍井に元々あった在来種(中国では地方群体種といいます)の中から、茶葉研究所が良いものを「選抜」して、育成している新品種です。同じようなものに龍井長葉とか龍井108号なんてのもあります。ちなみに新品種には「選抜品種」と「改良品種」がありますが、これは由来が全然違います。改良品種というのは、研究所で掛け合わせ(交配)をしたもの。つまり、品種改良とは今までに無かった品種を作る作業です。一方の選抜品種は、実生で増えた雑多な在来種の一群の中から、文字通り「選抜」したもの。既に存在していた茶樹の中から、好ましい個性を持っている茶樹(品種)を選んだものです。いずれにしても、その生まれた(選ばれた)品種の持っている個性は、たまたま土壌や気候が良かったからなのか、それとも品種本来が持っている特徴なのか、ということを見極めます。あちこちに植えて、茶摘みができるまで3年。その後、数年に渡って様子を見たりします。1年限りの特徴、とかでは困るので。そうしたプロセスを経て、「これは品種特性で間違いない」となったら、国あるいは省が認定品種として発表されます。ここまで早くても10年以上かかります。そんなわけで龍井43号は、龍井の中にそもそもあった1本の樹が選抜され、一気に増やされたものということになります。新品種ではありますが、改良品種ではありません。43号のいちばんの特徴は在来種に比較すると発芽が早いこと。在来種より1週間から10日ほど早いとか。西湖龍井の産地は、味へのこだわりが強く保守的な方なのですが、早摘みの魅力はやはり大きいらしく、徐々に43号への切り替えも進んでいるようです。(参考)中国茶ニュース「西湖龍井の茶摘みが本格化」 中国茶ニュース「龍井で進む新品種導入の動き」おっと、品種の話題になると思わず熱くなってしまいます(汗)肝心のお茶はこちら。烏牛早との比較ですが、香りはこちらの方がハッキリとした豆香がでています。少し青っぽい感じの香りです。味の方は、さすがに旨味の詰まり方の「密度」が違いますね。甘さ+旨さが複層になっている感じで、こちらを飲んでしまうと、烏牛早は平板のように感じてしまいます。飲む順番を間違えてはいけませんね(^^;)飲んだ後の余韻の残り方も、全然違っていて、龍井の方は長く美味しい余韻が残ります。いわゆる、深みのあるお茶ってヤツです。うーむ、かなり違います。分かりやすく言うと、烏牛早は「甘い、旨い」。新昌龍井は「あまーい、うまーい、ほわわわーん」です。↑「ほわわわーん」で余韻を表現しておりますw浙江龍井と言うと、どうしても西湖龍井の下という印象が強くあります。が、中国緑茶の相場が高騰する中、「何が何でも西湖龍井」という思い込み・刷り込みは、そろそろ捨てても良い頃ではないかと個人的には思います。早い時期の浙江龍井も悪くないですよ(^^♪#実際、富陽や新昌、紹興の龍井がかなり西湖龍井として流通しているという話もあります。「浙江龍井が西湖龍井に化ける裏側」 現地相場より下のお茶は、ほとんどこれでしょうねぇ。。。にほんブログ村真面目なのかそうじゃないのか、よく分からないブログですw
2012.04.22
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ほぼ日で注文していた、龍井セットが届きました。今回は、獅峰、梅家塢、新昌龍井、新昌の烏牛早(※龍井と書いてあるヤツです)の4点セットです。産地&品種の違いを比べられる、なかなか面白いセットです。それぞれ、5gとか2gとかの分量なので、一般人からすると高い印象なのかもしれませんが、現地の値段をウオッチしている人からしたら、破格の安さです。多分、こんな値段ではもう買えないでしょうね・・・まずは烏牛早から飲んでみます。烏牛早(うぎゅうそう)は、温州市の下にある永嘉県の烏牛鎮というところが原産地の品種です。が、「あきたこまち」が今では秋田県だけで栽培されているのではないように、烏牛早もあちこちで生産されています。こちらは紹興市の少し内陸にある新昌県で栽培されているものです。烏牛早の多くは龍井と同じ製茶法で製茶され、場合によっては「龍井茶」として販売されています。見た目も、ほぼそっくりさんです。この品種の生産者にとっての魅力は、何と言っても芽吹きが早いこと。例年、西湖の龍井在来種(地方群体種)は3月下旬~4月上旬頃の茶摘みなのですが、温州あたりの烏牛早は温暖な気候のおかげもあり、3月上旬には茶摘みができます。というわけで、いわゆる”走りのお茶”として、欠かせない品種になっています。「1日早ければ宝、1日遅ければ草」この言葉が、春の明前茶商戦の様子を物語っています。清明節に向かって盛り上がる明前茶商戦に間に合えば、悪く言うなら”普通の新茶”でも価格を上乗せして販売できます。なので、西湖龍井ほどのブランド力のない浙江龍井の農家にとっては、とにかく早く市場に出すこと。これが収入に直結します。そんなわけで、こうした早摘みのできる品種が重宝されるわけです。#といっても、今年は低温&長雨の影響で10日ぐらい遅れたようですが。さて、肝心のお茶です。簡さんのお茶は、結構力の強いお茶が多いので、普通なら1gで十分です。↑評茶員の友。0.1gまで量れるはかり1gって、こんな感じですね。これをグラスに入れて、ゆるゆると飲みます。大変、甘みが出ていて美味しいお茶です。”甘いお湯”という感覚なので、飲み慣れない方には、お茶かどうか分からない可能性はありますが(^^;)新茶ならではのフレッシュさが茶水に詰まっていて、新茶の醍醐味を味わえるお茶です。「ふぅ~」と肩の力が下りる感じの美味しさです。なごみますねぇ。もっとも、やはり龍井種と比べると、良く言えば軽快、悪く言うと深みが足りないという感じはあります。このへんが品種の差で、価格の差にも繋がっています。というわけで、烏牛早は中国緑茶の高騰が著しい中、フレッシュな新茶をお手頃価格で楽しみたい、というニーズにきちんと応えてくれるお茶だと思います(^^)にほんブログ村↑OPENちゃんを少し意識してみましたw
2012.04.21
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昨日、雲南の晒青緑茶を飲みましたが、今日は国産の晒青緑茶を飲んでみました。こちら、和歌山県の田辺市龍神村で作られている晒青緑茶です。実はこのお茶を知る前、龍神村に行ってました。ちょうど2年前のいま頃です。こんな雰囲気のところです。こちらの温泉、日本三大美人の湯だそうです。#この温泉に浸かりに行ったのです。こうした場所で、地元のおばあちゃんたちがお茶を作っているのだそうです。うーむ、雰囲気だけで美味しそうです。で、肝心のお茶です。香りが驚くべきことに若いプーアル生茶のような香りがします。ただ、味は傾向が違います。若い生茶のような強さ(舌がキュッとするような渋み・収斂味)はなく、それでいて口の中がスッキリ、さっぱりとするお茶です。これは、おそらく品種の違いによるものではないかと。さらに肥料の散布や農薬の利用などもしない、ある意味オーガニックなお茶だからか、透明感があります。なかなか美味しいお茶だと思います(^^)さて、「なんかこの味、初めて飲んだ気がしないのよね。。。」と思っていたら、これでした。龍神村の食堂で食べた、和歌山名物”茶粥”です。このお茶、ちょっと変わった風味だな~、と思っていたのですが、どうやらこのお茶を使っていたようです。一度、口にした味って、結構覚えているものですね(^^;)このお茶についての詳しいことは、こちらで。→日本黒茶研究所にほんブログ村日本にも未知のお茶があります♪
2012.04.19
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先日、今古茶藉さんにお邪魔しました。茶摘みシーズンの合間に帰国されていた簡さんに現地の様子をあれこれ聞いてきました。最初は龍井を買おうと思って行ったのですが、「ほぼ日のセットがおトク」とのことだったので、店内でスマホを操りほぼ日で購入(笑)で、代わりに買ってきたのが乾燥方法の違う2種類の雲南毛峰です。絶好の教材だと思ったもので(^^;)1つは[火共]青緑茶。焙籠や乾燥機に入れ、輻射熱で乾燥させる方法です。黄山毛峰などさまざまな緑茶で使われており、炒青と並んで中国緑茶ではよく使われる方法です。上海などに緑茶として出荷する場合、こちらにすることが多いとか。外観も結構整っています。もう1つは雲南独特の晒青緑茶。お天道様に当てて乾かしたものです。プーアル茶の材料に使われるのは、主にこちらです。外観はややばらけた感じです。細かい理屈はさておき、乾燥方法で味や香りにどういう違いがあるのかを飲み比べて確かめてみます。まずは、[火共]青緑茶。浸潤の段階で香りが少し違うかも、と思いました。雲南毛峰独特の柑橘系の香りが少し弱く、むしろ[火共]青の独特な香りの方が強く感じます。ただ、味はクリアになりますね。キレが出ます。続いて、晒青緑茶。香りはこちらの方が柑橘系に出ています。グレープフルーツの皮の白いところのような香りがします。味の方は、[火共]青と比較すると、ちょっとモタッとした印象があります。というわけで、両者の違いをまとめてみると、香りを楽しむなら、個人的には晒青に軍配を上げたいです。味の方は、好みでしょうねぇ。晒青のモタッとしたというのは、余韻が切れることなく続くということでもあります。もちろん、江南の緑茶に比べると田舎くさいといえば、その通り。そのへんが雲南緑茶の評価が伸びない理由でもあるのですが、これも「個性」と考えると悪くない。一方、[火共]青のキレの良さも捨てがたいものがあります。キレるから余韻がないというわけではなく、一旦スパッと味わいは切れるのですが、その後ジワジワと余韻が来ます。このへんは、雲南の茶葉の力強さを感じます。とくにこちらの方が、茶摘みの時期が早いそうなので、その差が味の深みに出ています。悩みますねぇ。。。でも、一つ確実に言えることは「どちらもかなり美味しい」ということです(笑)にほんブログ村やっぱり飲まなきゃ♪
2012.04.18
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いよいよ、お茶好きの心躍る、新茶シーズンが始まりました。ここ数年は大陸の緑茶が飲み初めになることが多かったのですが、今年は意外な産地の新茶がやってきました。杉林渓烏龍茶3月30日のものだとか。大陸は遅れ気味だったのですが、台湾は産地によってまだら模様のようです。早速飲んでみました☆時期も時期だけに大変フレッシュなお茶です。発酵も軽く、緑茶に近い感覚の烏龍茶に仕上がっています。香りよりも旨味追求型と言いますか。甘み&旨味が強いです。茶水の口当たりは柔らかで、とろみも感じます。このへんは高山茶ならではでしょうか。なかなか良いお茶です(^^)ただ、走味は早そうなので「早めに飲まないと!」な、お茶だと思います。まさにヌーボーですな。茶殻を見ると、まさに早い時期のお茶の特徴が出ていますね。台湾の茶摘みは、これから徐々に高山に進んで行くと思います。さて、今年のお茶はどんな出来になるでしょうか。にほんブログ村ちょしさん、荷花さんの下を秘かに狙ってます♪
2012.04.10
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ひょんなことから、古い郵便貯金の通帳が出てきました。「郵政省」って書いてありました。#ATOKはご丁寧に 名称変更「→総務省/日本郵政グループ」 と教えてくれます。中を見ると、12年前に記帳したのが最後。このままだと政府に勝手に使われてしまいそうなので、急いで解約してきましたwさて、通帳すら突然発見される我が家。当然ながら、素性の分からなくなってしまったお茶も良く発掘されます(苦笑)この手のお茶は、頂いたお茶か、小分けにしたのにアルミガゼットに名前書き忘れ、というパターンがほとんどです。こちらも、そんなお茶のうちの1つ。多分、蜜香烏龍だなーというのは分かります。はて、いつのお茶でしょう?意外とお茶の味は、舌が覚えているものなので、淹れてみました。非常にあまーい香りが漂います。かなり良いお茶の予感。むう、蓋碗の蓋の裏に残る香りは、完全にプルーンの香りです。信じられないかもしれませんが、ドライフルーツのプルーンのような、濃密な甘い香りがします。茶葉だけなのに、こういう香りが出てくるんですから、いやはや大したものです。時期的には夏に近いお茶のようなので、味はさっぱりしているんですが、この香りのおかげでとても甘いお茶です。香りというのに味は随分左右されますなぁ。さて、正体探しですが、これ、おそらく意翔村で買ってきたスペシャル蜜香烏龍茶です。当初の印象よりも、落ち着いたからなのか、甘みが上手く出ていて飲み頃になってる気がしました。放置されていて、正解だったかもしれませんw
2012.03.15
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一部の中国茶ブロガーさんの間で注目を集めている”まうラボ”に初突撃してきました。声をかけていただいたのは、第6回の地球にやさしい中国茶交流会だったのですが、なかなか伺えず、ようやく初潜入であります。こちら、正式名称は craze4"T"Lab.場所や由来などはサイトをご参照下さい。台湾茶を追いかけて早○年のまうぞうさんのお茶の秘密基地です。お茶好きが高じて、自宅とは別にアパートを借り、その一室をコレクションルーム兼研究室にしてしまったのだそうです。そのまうぞうさんですが、別にお茶屋さんではありませんで、生粋の台湾茶好きであります。台湾各地のお茶屋さんを回るだけではなく、実際に現地を見ようということで、台湾各地の茶農家さんのところへ突撃しつづけています。山巡りとなると”現地の足”が問題になるものですが、バイクで走り回っているそうです。こちらでは、主に台湾茶の”品茶”が楽しめます。いわゆる飲み比べですね。といっても、サロンというような営業形式ではなく、お友達の家に上がり込んで、あれこれ飲んでみるという感覚です。伺った時に品茶したのは、まず、今、”来ている”という奇莱山のお茶。霧社あたりと同じで、やや荒っぽい感じのお茶だという印象を持っていましたが、なかなか力があるものでした。次に、今、流行りになっている感のある紅水烏龍。奇莱山で試験的に作られたお茶と凍頂の秋茶で作ったものを比べてみました。うーむ、これが大違いでした。紅水烏龍は流行りになっている感があるのですが、どうも発酵が引っかかっている印象のものが多かったのでした。が、飲ませていただいた凍頂のものは、滑らかな口当たり。茶殻をみても、発酵が均一であることが一目で分かり、「おお、これがホントの紅水」と納得でした。続いて梨山飲み比べ。標高や発酵度だけではなく、ちょっとマニアックな飲み比べでした。#何が違うお茶だったのかは、ここでは内緒にしておきます。続いて、龍眼焙煎のお茶。同じお茶を茶器の違いで飲み比べたり、とこれまた面白い飲み比べ。・・・ということをしていたら、あっという間に5時間あまりが経過。いやー、品茶は時間を忘れますねwそれにしても、これだけのお茶が揃い、なおかつ特徴ごとに色々なお茶を飲ませてもらえるというのは、本当に貴重な場所だと思います。台湾茶は、中国茶と比較すると範囲が狭い分、製法や産地の違いというところを細かく見る傾向があります。台湾茶の専門店ほど、発信されている情報が細やかですよね。その違いというのは頭で理解するだけでは全く不十分で、実際に飲み・比較して”体験”してみないと意味がありません。その経験値を積んでいくと、自分の好きなお茶を選びやすくなると思います。そのために必要なものは、「素性のハッキリしたタイプの違うお茶」「お茶の味の違いの枠組みを知っていてガイドしてくれる人」「一緒に感想を言い合ってくれる人」なのですが、まうラボにはそれらが揃っています。こういうところで舌を鍛えて、良いお茶をしっかりと評価できる飲み手が増えると良いなあと思いました。まうぞうさん、商売ではなく、厚意でやって下さっているラボなので。台湾茶を詳しく知りたい方には、まうラボ。是非行ってみて下さい。 craze4"T"lab. 追伸>私の知っている方で行く勇気が出ない方。ご一緒しますので、ご一報を(笑)
2012.02.28
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GWが始まりましたが、私は今年も例によって6月に台湾に行こうと思っています。ここ2年ほど恒例となった、東方美人の産地には今年も行くことになりそうですが、何だか最近、突撃感が無くて、マンネリ化しているんですよねぇ。。。そこで、どこかへ新規開拓しに行こうと検討中です。せっかくなので、南や東の方に行きたいですねぇ。公園もオープンするようなので、烏山頭水庫に行きたいんですけど(少しマニアックですかね・・・)。さて、先日、某所のお茶会に持ち込んだところ、なかなか好評だったのが王徳傳の安尚烏龍。これ、きちんと紹介していなかったので紹介しておきましょう。いわゆる伝統製法で作られた烏龍茶です。昔ながらの凍頂烏龍茶と言いますか。茎もちょっと多めに入っていたりして、全般的にがさっとした作りではあります。#でも、茎って美味しいんですよ 中国茶ニュース(ひそかに更新中・・・)肝心の香りと味ですが、青っぽさとは全く無縁。発酵による甘い香りが口の中から喉にかけて良く残ります。なお、このお茶、淹れ方によって随分表情が変わります。お値段は割とお手頃なんですが、淹れ手の腕によって化けるタイプの茶葉です。個人的には、茶葉を少し多めにして、サラッと淹れた方が美味しく入るような気がします。 王徳傳は派手な展開をしているふうなので、マニアな方は敬遠しがちかもしれません。が、安尚烏龍茶ではない、ベーシックな凍頂烏龍茶もクリアな味で結構美味しかったりするので、案外侮れません。高山烏龍や他のお茶はどうか分かりませんが、なかなか手堅いお店ではないかと思います。王徳傳 http://www.dechuantea.com/
2011.04.29
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どうも落ち着きませんが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?お茶好きさんには、感受性の強い方が多いので、今回の一件で相当の重圧を受けてしまっているのではないかと、そちらの方が心配になってきました。長期化するようですので、自粛ばかりではなく、きちんと息抜きすることも必要かと思います。自分への御褒美に?良い茶器を買ったり、良いお茶を飲んだり。あるいは定期的にお茶を飲めるよう、中国茶教室に通ってみたりするなども、一つの手かと思います。支える側が参ってしまっては、どうしようもありませんからねぇ。。。 さて、今日は清明節。お茶好きにとって、清明節といえば、やはりこれでしょう。明前獅峰龍井3月24日摘みの今年の新茶です!今古茶籍の百大先生より、「新茶届いてるよ~」とのお電話をいただいたので、昨日取りに行ってきました。簡さんは、杭州、鳳凰山、蘇州、黄山と中国の茶産地を飛び回っているそうです。さて、早速淹れてみましょう♪ガラスコップに少しお湯を入れて馴染ませます。この瞬間に上がってくる、ちょっと香ばしい香り。たまりません。そしてお湯を注ぐと、小さな茶葉がコップの中で踊ります。口に含むと、まず甘みがドーンと来て、次に旨味がグワーッと来ます。その後、スーッとするすっきり感が来て、口の中にホワワワーンと余韻が続きます。えー、擬音語ばかりの、何言ってるかさっぱり分からない感想ですみません(^^;)簡単に言うと、旨いということです。繊細な上品さの中に新芽の力強さが見え隠れしていて、飲んでいると何だか元気な気分になります。これが新茶の魅力ですよね~。緑茶には、リラックス効果のあるテアニンが含まれています。一連の報道等のストレスで、なんとなく眠りが浅くなってしまったという方。テアニン、熟睡感を増す効果もあります。#寝る直前に飲んじゃうとカフェインの効果で帳消しになってしまいますが、昼間に飲んでおけば問題なし。新芽の力強さをいただけるのも、新茶だけの特権。お茶から元気をもらいましょう♪ 新茶で元気に!<販売情報>今古茶籍さんネットショップでは新昌龍井とともに既に販売中。http://kokonchaseki.shop-pro.jp/ほぼ日でも4月7日から販売するそうです。http://www.1101.com/store/cha/index.html
2011.04.05
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あれから、早くも1週間が過ぎました。関東地方も震災の直接的な被害は少なかったとはいえ、計画停電の影響でデパートや駅ビルが夕方5時には閉まってしまったり突然電車が運休になったりスーパーから品物が消える etc...まだまだ日常に戻ったとは言えない状態が続いています。もちろん、被災地の方の苦労に比べれば・・・という思いはありますが、やはりストレスが掛かっているからか、道行く人の表情も曇りがちです。しかし、 これではいけません やはり、被害の少なかった地域が早く立ち直って、被災地の復興をサポートしていくだけの経済を回していかなければなりません。それこそが、一般人の私たちにできること。どんよりしている場合ではありません。そのためには、気分をきちんと切り替える必要があります。気分転換には、やはりお茶が最適でしょう! ・・・という、華麗(強引?)な三段論法で、自粛続きの空気を読まずに、お茶ネタを復活させることにしますw* * * * * *本日のお茶は、こちら。蜜香烏龍茶台湾の烏龍茶です。蜜のような香りのするお茶ということで、蜜香烏龍茶という名前がついています。地域によっては、貴妃茶とか貴妃美人茶という商品名がついていることもありますが、基本的には同じものです。このお茶、一般的には害虫と見なされているウンカに咬まれた葉を原料として作った烏龍茶です。害虫と見なされているというのは、ウンカに咬まれると主に1.葉が縮んでしまい収穫量が激減する2.色が変わってしまう3.苦みが出やすいお茶になってしまうという悪影響が出るためです。色あいを重視する緑茶においては、このような茶葉は原料として不適格・・・なので害虫扱いされてしまいます。ウンカの発生を抑えるために農薬が使用されたりもします。逆に言うとウンカの力を活かしたお茶ということは、農薬の使用が限りなく少ないと考えられます。さらに周りにウンカが生息できるような自然環境があることも条件となります。その意味では自然にも優しいお茶だと言えると思います。さて、ウンカに咬まれたお茶というと東方美人が有名ですが、蜜香烏龍茶は凍頂烏龍茶のように丸まっている茶葉です。東方美人とは茶葉を摘むタイミングも違いますし、作り方もちょっと違うんです。発酵の作業と揉捻(揉み込み)の作業が違うのです。* * * * * *前置きはこのぐらいにして、お茶をいれましょう。蜜香烏龍茶は、ややもすると渋みが出てしまうこともあるので、ちょっとお湯の温度を下げた方が良いと思います。沸騰して一呼吸置いたぐらいの温度、数字で言うと90度ぐらいでしょうか、で淹れた方が美味しく入るのではないかと思います。いつも通り蓋碗で淹れたのが、こちら。発酵が少し重く、焙煎もかけてあるので、色は少し濃いめですね。飲んでみますと発酵度が高く、焙煎も効いているので、しっかりとした味です。茶摘みの時期的に遅いお茶なので余韻という点では、さほどでもありませんが、喉元に残る甘さは、ウンカによる独特の香りを有したものが感じられます。熱々の時よりも、少し冷ましてから飲むと甘みがより一層際立つようです。そして、このお茶、何と言っても香りが良いですね。飲み切った茶杯の底に残る香りが、とても甘いです。聞香杯を使うともっと楽しめるかもしれません。うーん、なかなか良いのではないでしょうか(^^)それにしても、このお茶は、随分丁寧な仕事で作られているお茶だと感じます。根拠はこちら。茶葉の形が整っており、茶摘みもしっかりと手を抜かずにやっていることが感じられますし、発酵の作業も丁寧です。焙煎も上手にかけられていて、雑味を上手く飛ばしているように感じます。さらに味わいから見ると、茶園の管理もきちんとやっていると思います。お値段を出せば、これより美味しいお茶はあると思いますが、非常に丁寧な仕事ぶりに好感の持てるお茶です。このお茶に携わってきた人は、みんなすごく真面目な人たちなんだろうと思います。* * * * * *・・・さて、このお茶を取りあげたのには、実は理由があります。このお茶が生まれるきっかけとなったのは、1999年、台湾で起こった921大地震の時のことなのです。台湾中部で起きたマグニチュード7.6の地震で、2000名以上の犠牲者が出ました。この地震で特に大きな被害を受けたのは、内陸部の南投縣。凍頂烏龍茶など、台湾の茶処として有名な地域です。大きな災害に遭う中で、茶摘みされることなく放置されてしまった茶畑には、ウンカの被害が及んでしまいました。普通ならそのまま廃棄・・・となるところなのですが、そこでくじけませんでした。被災した農家の方が、製法を工夫して作り上げたのが、まさにこの蜜香烏龍茶なのです。復興の中で生まれた、新しいお茶。未来を信じ、災害に負けないという気持ちが、新しい価値を作って行きます。台湾の人たちが、今回の震災に関心を寄せているのは、そういう背景もあるわけです。彼らにとっては、決して人ごとじゃないんです。→4時間で21億円!台湾で震災支援番組 5億円出す人もちなみに、今日のお茶はこちらで買えます。お母さんのためのセレクトショップ 花麹安心できる食材や生活用品を扱っておられるのだそうです。 お茶飲んで前向きに行きましょう♪
2011.03.20
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最近、いろいろなお茶屋さんにお邪魔しています。これからの季節に美味しいお茶を探しつつ、地球にやさしい中国茶交流会のご紹介もしています。おかげさまで、みなさんにご投票いただいたお店のうち2票以上入っている先に関しては、全てお声をかけさせていただきました。名もない(そして、妄想癖がやや多い)お茶好きが勝手に始めたイベントですが、みなさん、とても好意的に捉えて下さっていて、なかには激励をいただいてしまうケースも。本当にありがたいことだと思いました。なにぶんにも年末の忙しい時期の開催なので、残念ながら既に予定が入っているなどで出店を見送られるケースもありましたが、お茶好きのみなさんから推薦をいただいたというお話をしますと、とても喜んで下さっていました。お茶好きのみなさんの声は、確実にお届けしております今回、参加が難しいお店でも、この会が続いていけば、どこかでご参加いただけるのではないかと思いました。今後も続けられるように、頑張らなくては。* * * * * *さて、最近、ブログでも忙しい風が出てしまっているようで、少しはのんびりした感じにせねばと思いました(汗)やはり、お茶を飲んでいたら、のんびりと余裕な感じが出るのではないかと思い(笑)、しばらくは、お茶の感想などを書きたいと思います。まずは、こちらの紅茶を淹れてみました。こちら、上海で買ってきた紅茶です。ひたすら金芽たっぷりな感じです。店員さんの話によると、福建の工夫紅茶というところまでしか分かりませんでした。#ランクの話しかしないんです。大手の店員さんだからですかねぇ・・・「やはり」というべきか、数年前から予見していた通り、静かなる紅茶ブームがやってきているようです。火をつけたのは金駿眉だったりするのですが、坦洋工夫の専門店がお茶市場の中にできていたりして、何となく伝統的な紅茶が見直されている気風があります。といっても、全てが見直されているわけではなくて、やはりこうしたキンキラキンの金芽たっぷり系が多いわけですが。こちらのお茶は、ひたすらにお茶自身の持っている”甘さ”を感じます。砂糖が入ってるんじゃないか?と思うぐらい甘いです。芽ばかりだから、味がひ弱かというとそんなこともなく。かなりの濃厚さを持っていて、何というか甘露飴みたいなお茶です。個人的な好みで長く置かずに、サラリサラリとお湯を通すぐらいの雰囲気で淹れているのですが、その淹れ方をしていくと、なかなか美味しいお茶が、長く楽しめます。香りがパンと立った感じではないので、きっと西洋風の紅茶愛好家の方には物足りないとは思いますが、中国茶飲み的には、これで十分満足な感じです。点で勝負するか、線(煎?)で勝負するかですね。秋の夜長に工夫紅茶。いいかもです(^^)紅茶が美味しい!
2010.10.03
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△超シンプルなチラシ第一弾。もちろん、再生紙を利用しています♪さて、12月に開催される、地球にやさしい中国茶交流会の出店申込を続々といただいています。その出店リストを見ていると、オラ、何だかワクワクしてきたぞと、孫悟空(byドラゴンボール)でなくても思ってしまうほどです。なにしろ、ちょっと中国茶・台湾茶を飲み始めた方なら憧れのあのお店やこのお店、そんなお店までッ!というお店が並んでいます。さらには、ネットでしか接することのできなかったお店やちょっと行きにくい場所にあったお店など、本当に多彩な顔ぶれです。これなら、茶器も茶葉も、とっても期待できそうな感じです♪今回は、きっと、あまり中国茶に馴染みのない方から、ちょっとマニアックな方まで、いろんな方にお越しいただいてもご満足いただけると思いますし、自信を持ってみなさんに「お買い物に来て下さい!」と言えます。楽市楽座じゃありませんが、やはりマーケットというものは、ある程度の規模が必要なんですねぇ(しみじみ) それにしても、今回、これだけの出店お申込みをいただいているのも、「何だか、お茶好きの人たちの期待がスゴそうだ」「せっかくなら、お茶好きのみなさんの期待にお応えしたい!」という、お茶好きのみなさんの”念”に、お店の方々が温かく反応して下さっているからこそ。いやー、お茶好きの力が、12月に何かスゴイことを起こそうとしているのかもしれません。そう感じました。 そんなわけですので、是非みなさん日程を確保して会場へお越し下さいね!もちろん、まだまだ出店のお申込み、受付中です。このイベントは、”初めての茶縁をつなぐ”がモットーですので、「主催者を誰も知らないから・・・」という方でも、全く問題ありません。きら星のようなお店が集う、中国茶の”天の川”の中に、是非ご参加下さいませ♪→出店資料はこちら* * * * * *さて、今日は肌寒いぐらいでしたし、そんなワクワク感もあったので、久々に熱いお茶を家で淹れました。それにしても、久しぶりに家の蓋碗を持ったら、熱くて参りました(((((^^;・・・どんだけ今まで冷茶で過ごしてきたかですね。本日淹れたお茶は、こちら。安渓鉄観音(木柵風)6月に台湾に行った時、茗心坊に寄ったのですが、その時に目に止まったのが”安渓鉄観音”の表示。「焙煎の林さんが安渓?」と不思議に思い、「これは、何?」と聞くと、「ふふふ・・・よくそれに気づいたね」な感じです。何でも、台湾の業者が木柵鉄観音と同じ製法で、安渓で作らせているのだそうです。それを試しに買って、焙煎してみたのがこの商品なのだとか。量は非常に少ないそうです。で、今回のこのお茶は3年目の木だとか。3年目って言ったら、摘み始めで一番良い時じゃないですか!↑こういう話に反応するのは、マニアですなぁ。。。お店で飲んだときは、まだ焙煎したてということで、少し火の感じが残っていたのですが、秋ぐらいには美味しいかなと思い、買ってきたのです。 飲んでみた印象ですが、若い木のお茶ということもあって、特に香りのエネルギーがスゴイですね。口に含むと、あちこちに華やかな香りが飛んでいきます。味は、鉄観音らしいといえばらしいのですが、やや酸味が勝っている感じです。さらに寝かせて老茶にすると、かなり美味しく育つかもと思いました。茶殻を見ても、安渓的な葉の周りがギザギザな茶葉ではなく、木柵っぽい仕上げです。徹底してます。ただ、作りは木柵風なんですが、やっぱりなんかちょっと木柵とは違う感じです。でも、重焙煎の安渓鉄観音とも、何だかちょっと違う感じがします。背負ってる土地の味と技法の差なんでしょうねぇ。 これは中国茶と呼ぶべきか台湾茶と呼ぶべきか・・・
2010.09.24
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先日まで「暖房つけなきゃ」と思うぐらい寒かったと思ったら、今度は「冷房入れなきゃ」ぐらいの暖かさですね。夏服を引っ張り出し始めた、あるきちです。さて、ここ1,2ヶ月ほど、あるコンセプトをまとめるのに苦心しています。既に締め切りオーバー。ゆえに、GWはほぼ返上(苦笑)コンセプトというのは、文章にすれば、わずか数行にまとまることなんですが、適切な言葉で正しく伝えるためには、徹底的な下調べや検証、そして大きな視点が必要で、始終そのことばかり考え、頭の中に、ずっとさざ波が立っているような状態になります。きちんと検証せず、耳ざわりの良い言葉を並べ立てるだけなら、鳩誰でも出来ます。でも、それでは言葉が軽くなりますし、ホンモノにはなりません。ホンモノでなければ、人の心は動きませんし、プロフェッショナルな仕事とは言えません。・・・ああ、企画の仕事って際限がないから、大変(^^;)まあ、だからこそ面白いんですけどね。* * * * * *さて、GW(ガンガンお茶飲むぞウィーク)第3弾は、東山碧螺春。今年の3月28日摘みの、全て手作りの貴重なお茶です。このお茶、ハッキリ言って、半端無く高い!です(^^;でも、封を切った段階からちょっと柑橘系のフルーティーな香りが漂っていて、茶葉の段階で美味そうな雰囲気(^^♪碧螺春も最近はコストや職人確保の面から、機械作りのお茶が増えてきていて、これについては現地でも論争があるようです。中国茶ニュース結論から行くと、機械作りのお茶は、碧螺春の本来の特徴をまだ引き出せていないみたいです。温度をガーッと上げるプロセスが無いので、碧螺春が本来持っている香りが出ないそうな。コストや見た目はクリアできても、本質の出ていない”形だけ碧螺春”になっちゃうわけですね。とはいえ、今の緑茶の採点基準では見た目が4割を占めるので、味や香りがそこそこなら評価が上の方になってしまいます。悩ましいところですが、茶葉研究所の先生方もこの現象を問題視しているようで、そのうち見直しが入るかもしれません。さて、この碧螺春というお茶は、どうにも淹れ方が難しいお茶で、上手く淹れられる人は本当に尊敬してしまいます。温度コントロールを失敗すると良さが全然出ないんですよね。。。頑張ってガラス蓋碗で淹れてみました。水色は産毛が溶けてやや白っぽくなります。小さな新芽が美しい~1煎目は少し温度を低めにして淹れてみました。もう、”甘露”の一言ですね。口当たりもスッと入ってきて、とにかく嫌みの無い甘さ、旨味が詰まっています。2煎目はやや温度を高めにしてみましたが、今度はとてもフルーティーな香が立ちます。うん。このお茶、よほどのことがない限り、どう淹れても上手く入りますね(笑)お茶というよりも、何だか甘いお湯を飲んでいるような感じなのですが、甘さの余韻がしっかり残って、何とも言えない良い気分になります。文句無しに美味しく、碧螺春のフルーティーさってのは、こういうことなのかとハッキリ分かるお茶です。やはり、伝統的な製法のお茶というのは、大変でコストがかかりますが、良さがあります。あとはこのお値段をどう評価するかでしょうねぇ。。。プロフェッショナルな仕事ぶりの感じられる、実に美味しいお茶でした。決して普段飲みのお茶ではありませんが、やはりこういうスペシャルなお茶には特別な力があります(^^)良い時期にきちんと作られたお茶は、やはり美味しい!※量は少ないようですが、在庫があればここで買えるかもです。
2010.05.05
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GW(ガンガンお茶飲むぞウィーク)第2弾は、獅峰龍井です。今年、緑茶の産地はちょうど早生種の芽が出始めたときに寒波に襲われ、新芽が凍害にかかってしまうという試練がありました。中国緑茶の代表格、西湖龍井も例外ではなく、早めに芽が出る龍井43号の最初の新芽は凍害で茶摘みできず、2番目に出てきた新芽を摘んで何とか生産していた、という状況でした。そんな中、何とも幸運なことに、全工程手作りの3月26日摘みの獅峰龍井を今年も飲むことが出来ました。ここ4年ぐらい同じ茶農家さんのお茶を飲んでいるので、昨年との味の違いが分かると思います。例年、かなりクッキリとした輪郭のある味で、まずは香りが先行し、あとから旨味の来る印象のお茶でした。ところが今年は、香りも確かに良いのですが、圧倒的に印象に残ったのは、旨味の深さというか、甘みの強さです。「テアニンを感じる」とか言うと、かなり怪しい人になってしまいますが(^^;)、「ありゃ、安吉白茶を飲んでたんだっけ?」と思うほど旨味がギュギュッと茶水に詰まっています。その印象があまりに強いので、例年よりも香りの印象が、あまり残りません。寒さでギュッと締まったことによって、香りよりも味の方の成分が強めになったのかもしれません。飲み手にとってはとても美味しいお茶ではあるのですが、今年のお茶は品評会などでは、例年よりも評価はあまり上がらないと思われます。というのは、一番の新芽が凍害に遭ってしまったので、芽の出方が揃えにくいので、外観の評価が落ちてしまうと思われるからです。実際、現地の評価もこの点を割り引いて見ているところがあるようです。中国茶ニュースとはいっても、美味しさはかなりのもの。甘さでとろけます。評茶で評価の高いお茶が、必ずしも美味しいお茶とイコールではないことが良く分かるお茶でした。今年は、寒波が長居したこともあって、明後や雨後のお茶でも、品質は悪くないようです。お値段は全般的に高めですが、今年の龍井にはそんな傾向もあるようなので、明前にこだわらずに飲んでみるのも良いかもしれませんね。さすがは龍井(^^)
2010.05.03
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暑いくらいの陽気になってきましたね~。昨日、いよいよ上海万博が開幕しました。メーデーの連休にちょうど当たっているので、ものすごい人出のようです。私も今月中旬~下旬に行く予定にしていますが、それまでに少し落ち着くことを祈ります。。。さて、今年に入ってから、お茶を飲んだ記録をまともにブログにアップしていないことに気づきました((((((^^;これはいかんということで、今年のGWはGanGan(ガンガン)飲むぞ Week ということで、お茶飲み強化週間といたします(^^;)まずトップバッターは、今年一番に飲んだ新茶でもある雲南毛峰。雲南省で作られている緑茶です。いわゆる名優緑茶になるような作られ方をしていないので、著名なお茶ではありませんが、個性的な美味しいお茶です。今年、中国南西部は干ばつの影響で、大変なことになっています。あまりに雨が降らないので、貴州省では人工降雨で茶畑が枯れるのを防いだりしています。中国茶ニュース干ばつの影響は、市民生活と農業全般に及んでいます。もちろん、お茶も例外ではなく、雲南省では4月始めの段階で”春茶は50%の減産”という発表がされています。中国茶ニュースこれは”大本営発表”なので、被害はここからさらに拡大するのではないか?とも言われています。なにしろ、枯れてしまった木もあるそうですから、そうなると春茶だけではなく、数年ダメということになってしまいます。緑茶を原料とするプーアール茶の値上がりも心配されています。中国茶ニュースそういう厳しい環境をくぐり抜けてきたお茶の味は、さて如何に?味をしっかり見るためにちょっと茶葉を多めにして、ガラスの蓋碗で淹れてみました。軽くお湯を注いで馴染ませてみると、特有の柑橘系の香りが立ちます。個人的に、雲南毛峰は少し高めの温度でサッと出した方が持ち味が活きると思います。渋みの成分も多く持ったお茶なので、それを避けるために低温で淹れたくもなるのですが、そうすると香り立ちが弱く、せっかくの良さが半減してしまいます。で、淹れてみたのがこちら。昨年の記憶と比較すると、味の成分が例年より詰まっているように感じます。甘さも強めに感じます。飲み口は例年通りで、口当たりの柑橘系の香りと飲み終えた後のスッキリとした爽やかさは相変わらず素晴らしいものがあります。ただ美味しいけれども固いというか、味の繋がりの滑らかさに少し欠けます。水不足のせいなのか、やや潤いが足りず、後味として舌に渋みが一本残るような感じがあります。生育環境の厳しさが、お茶の味に少し出ている印象です。これが今年の気候による個性なんでしょうね。昨年より良い・悪いということではなくて、持ち味だと思います。味の詰まっている感じは昨年以上なので、渋みが残るからイマイチとは言い切れないのです。* * * * * *お茶も農作物なので、気候の変動に影響を受けるのは当然のことです。変に均一にして提供しようとせず、そのままの味で出した方が、飲み手もお茶を通じて、自然の変動を感じられるので良いのではないかと思いました。最近、野菜が高いのは困りものですが、こういうときがあるからこそ、農作物の大切さ・ありがたみが分かると思うのです。お茶で自然を感じてもいいじゃない※このお茶は、こちらで入手できます。
2010.05.02
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それでは平水珠茶を使って、モロッコ流のミントティーを淹れてみましょう。タジン鍋も流行ってますし、最近モロッコは注目されていますね(^^)←タジン鍋#いつも、ハクション大魔王が出てきそうな形だなぁと思うんですけどね(^^;)レシピは、こちらを参考にしました。All About「エスニック」 モロッコの「ミントティーの淹れ方」用意したのは、・平水珠茶6g・スペアミント・砂糖20gティーポットは直火にかけられるのを持ってないので、普通ので代用。その分、しっかり熱湯で温めるようにしました。それにしても、20gの砂糖というのは壮観ですなぁ・・・えー、体重計が怖いです((((((^^;まずはティーポットをしっかりと温めて、茶葉を入れ、少量のお湯を注ぎます。少し香りを聞いてみますと・・・ 地方のビジネスホテルの部屋(喫煙可)に入った瞬間を思い出しました(爆)茶葉がお湯になじんで、少しほぐれた段階ですすいで(中国茶的には洗茶ですね)、ミントと砂糖を放り込みます。この後、熱湯を高い位置から注ぎます。じっくり茶葉の開く頃合いを待って、1杯分をティーカップに注いで戻す動作を2回やりました。で、出来上がりはこちら。先程の”喫煙ルームの香り”はどこへやら。ミントの香が爽やかなお茶に仕上がりました(^^)さて、飲んでみた感想ですが・・・現地で、モロカンウイスキーとかベルベルウイスキーと言われるのが良く分かりました。とにかく、”濃厚”なんです。最初はミントの爽やかな香りが印象的ですが、かなりどっしりとしたお茶の味が来ます。スモーキーさは消えて、むしろ濃厚な味わいの方が良く出ています。お茶の渋さの部分は、砂糖の甘さによって上手くカバーされていて、スッキリとした爽やかな印象が強調されています。甘すぎるかと思っていましたが、全然そんなことはなく、抵抗なく飲めます。#あの砂糖の量を見てしまうと、少し抵抗があった方が嬉しいのですが。。。これは、なかなか美味しいじゃないですか(^^♪贅沢を言うと、やはり一度火にかける工程は必要ですね。お茶の味がもう少し強ければもっとバランスが良いのに、と思いました。ティーコジーをかぶせるのも手かもしれません。* * * * * *さて、こうしてレシピに従って飲んでみると、 モロッコのお茶の淹れ方は、非常に理に適っていると感じました。平水珠茶という、きつく締まった茶葉の味を引き出すために、・ポットをしっかり温める →温度を極力高くして、抽出を促す・茶葉にお湯を一度なじませて、茶葉を開きやすくしてから熱湯を注ぐ →いわゆる洗茶。味をスムーズに出すための工夫。・高い位置からお湯を注ぐ →高低差から生まれるお湯の水圧を使って、抽出を促す・火にかける →高温をキープし続けて、成分の抽出を促す・火にかける際、蓋は開けておく →余計な水分を飛ばしていると、お茶の本質の味を濃厚に出すために「これでもか!」というぐらいの工夫がされています。ここまで徹底して味を引き出そうとすると、美味しさの他に茶葉の渋みや苦みも出てしまいがちですが、そこは砂糖やミントの爽やかさでカバーする。茶葉とミントと砂糖が、お互いに強烈な主張をしながらもバランスがとれているのを目指すわけですね。だから、ウイスキーと言われるような濃厚さを備えたお茶に仕上がるというわけです。一般にミントティーと言いますと、”ハーブティー”という扱いをされますが、実際には主役はミントではなく、あくまで”お茶が主役”なんだろうと思います。「砂糖の甘さやミントの香りで茶葉の質の悪さをごまかす」のではなく、「茶葉の濃厚な味をしっかりと味わうための工夫」であり、お茶そのものの味を楽しんでいるのではないかと。陸羽以降、お茶に何も入れないのを良しとする東アジア世界。この立場から見ると、モロッコの淹れ方は”異端”のように見えます。しかし、お茶の本質を引き出そうとしている点では、何ら変わりはありません。モロッコは、間違いなく茶文化大国だと思います。マラケシュやカサブランカの街並みも魅力的ですし、是非一度現地で淹れてもらいながら、お茶談義をしてみたいものです(^^)モロッコに敬礼!
2009.12.27
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家にあった、平水珠茶を飲みました。今はなき英記茶荘で見つけて、買っておいたものです。平水珠茶別名・ガンパウダー。発酵の工程がないので、お茶の分類としては緑茶になりますが、緑茶らしからぬお茶です。製茶の技法としては、殺青から乾燥工程まで、一気に釜炒りで仕上げるのが特徴です。茶葉は、ずっと火にさらされますので、茶葉の色は緑から白へ。そしてやがて、褐色に変わります。火の影響で、水分も抜けていくので、どんどん小さな粒のように固く締まっていきます。最終的には、こんな小石のような色と外観の茶葉になるわけです。釜炒りで丸っこく仕上げるので、圓炒青という分類になります。見た目が火薬みたいだから、ガンパウダーというのだそうで。こんな製造工程を踏んでいるお茶なので、火の香りが効いています。いえ、もっと率直に言うと、 煙いのです。たき火のような香りがします((((((^^;日本人の場合、新茶のフレッシュな香りを求める人が多いですから、このお茶はあまり好まれません。まず、売れ筋には入らないと思いますので、日本での流通量は少ないお茶です。おそらく、ご当地の中国人にも、あまり好まれないお茶だと思います。しかし、このお茶は中国茶の全体像を知る上では、外せないお茶なのです。中国茶の輸出先でダントツ1位のモロッコ。この国では、このお茶が欠かせない存在となっています。いわば”輸出中国茶のエース”でして、外貨を稼ぎまくっている大黒柱です。好みはひとまず置くとして、敬意を表する価値のあるお茶だと思います。* * * * * *まずは、普通に飲んでみました。緑茶ですので、低温で・・・と思いがちですが、ここまで火が入っているお茶なので、茶葉の開きを促すために熱湯で淹れます。教科書的に”緑茶だから、低温で”とか書いてあるのは信じちゃダメです。この手のお茶は低温では、お茶本来の美味しさが出てきません。水色は、こんな感じ。緑茶というより、烏龍茶か?と思うような色に出ます。香りはかなり強烈です。 煙い。。。(-_-;)たとえるならば、 たき火の中にくべておいた焼きいもの焦げちゃった皮の部分のような香りがします(マニアックな喩えだ・・・)普通の人は、この時点で飲むのを敬遠するでしょうね(^^;)しかし、実際に飲んでみると、香りはそんなにきつくありません。なによりも、味自体は煙で汚染された感じが無く、しっかりとした味で爽やかさもあり、余韻や甘さすら感じられるお茶でした。香りの強烈さほど、味は悪くないという印象です。このお茶のグレードが良いものなんでしょうが、わりに美味しいかも・・・、と思います。茶殻もとっても柔らかで、お茶自体の素性の良さを感じます。まあ、それでも積極的な選択肢には入りませんが。。。しかし、このお茶の本領は、やはりモロッコ流に飲んでこそ引き出されるものと思います。やってみたいと思います。続く。一度は飲んで頂きたいお茶です
2009.12.26
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長引く風邪からようやく回復。あるきちです。一時は、森進一のような声になっておりました((((((^^;さて、味覚も回復したところで、頂きもののタイの烏龍茶を飲んでみました。タイの北部・メーサロン(そういえば、国民党軍人の村があることで有名でした)で、烏龍茶を作っているのだそうです。王室の特別プロジェクトだそうで、パッケージの上の方に貼ってあるシールが、それを表しているのだとか。タイで烏龍茶というのが、なかなかピンと来ませんが、タイの北部は、茶の原産地と見られている地域に近いですし、タイ族の人たちが雲南あたりでお茶を作っている。そう考えると、タイがお茶の生産地として名乗りを上げてもおかしくありません。#烏龍茶である必要はないと思いますが、まあ付加価値のついたお茶の方が良いという判断でしょう。パッケージは、安渓鉄観音の小袋パッケージのようなものに入っています。文字は、中国語で書かれていますが、生産期日のシールはタイ語で書かれています。封を開けてみると、かなりの量が入っていました(^^;)3,4回は飲める量なので、15gか20gぐらい入っていそうです。#量り損ねたorz当初、手摘み茶葉?と思っていたのですが、どうも機械摘みのようです。高級路線ではなく、普段飲み路線のお茶を低コストで製造してマーケットを取っていこうという戦略だと思います。製茶の作法から見て、台湾系の会社が技術指導をしているのではないかと思います。となると、品種はおそらく四季春か翠玉あたりだろうなあと推測しました。品種は、やはり四季春ですね。飲んだ印象ですが、率直に言うと、レストランなどで提供される茶葉としては良いかと思います。裏を返すと、単品で味わって飲むというレベルには、まだ達していません。まず、ベトナム産の烏龍茶に共通した、ややザラッとした飲み口であり、爽やかさにはやや欠けます。香りは、製茶技法の問題(具体的には、発酵が不均一)からか、四季春の良さである香り高さよりも、短所であるワイルドさの方が勝ってしまっている気がします。確認のために台湾産の四季春と飲みくらべてみましたが、タイ産の方は、発酵不足の茶葉が目立つんですね。あとは、季節の問題かもしれませんが、余韻が残らず、やや雑味も目立ちます。・・・と、ネガティブなことを書きましたが、これもTPO次第でして、味が強いので、食事のお供には向いていそうそうです。レストランのサービスのお茶として出てくるなら、何の問題もありません。もう少し生産技術が進歩して、競争力のある価格で出てきたら、台湾産の普及価格帯のお茶と良い勝負になるのではないかと思います。”和魂洋才”ならぬ、”タイ魂台才”で良いお茶を作って欲しいものです。東南アジアの烏龍茶産地としては、ベトナムが先行していますが、タイにも注目ですね。選択肢が増えるのは良いことだと思います
2009.12.21
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お茶好きならば、きっと知っているでしょう。頂き物のお茶は美味しいということを。日本人のお土産だと当てになりませんが(失礼)、現地の人が、わざわざ持ってきたお茶というのは大体当たりのことが多い気がします。お茶の母国である彼らのこと。お茶を送るというのは、”面子”がかかっているので、ヘンなお茶であるはずもなく。ギフト用のお茶は、とかく張り込んでいることが多いのだろうと推測されます。今まで、外れた試しがありません。そんなわけで、本日のお茶は、お裾分けをいただいたお茶でございます。天目湖白茶いたって普通のお茶の缶なのですが、缶の表面に書いてあるいくつかの文字で、お茶好きレーダーがピピッと反応(笑)まず、聞いたことのない、お茶の名前です。天目湖白茶。江蘇省の天目湖の近くで作られているようです。地図で確認すると、江蘇省の南部。紫砂茶壺の産地で有名な宜興よりもやや内陸に入り、安徽省との省境付近にあるようです。白茶とありますが、おそらくは安吉白茶と同様に、白茶種を使っているのでしょう。ということは、アミノ酸が豊富で、旨味成分たっぷりな美味しい緑茶であると想像されます。そして赤い文字で書いてある、人民大会堂そして、”特供茶”の文字。簡単に言えば、”国会御用達のお茶”というわけですね。数多ある中国茶、それも緑茶の中から、国会御用達に選ばれているということは、これはかなり期待できます♪↑こういうことをパッとひらめいてしまう自分が怖い(^^;)茶葉を取り出してみました。やはり。安吉白茶っぽい仕上げです。この時期の割には、色もキープしています。これは旨味たっぷりなお茶のはずです♪少しお湯を差して香をみると、やや香ばしいお茶の香りがします。美味そうなお茶の香り・・・これ、なんだっけ?と香りの記憶を辿ってみると、永谷園のお茶漬けに行き当たりましたwまあ、何というか、旨味成分たっぷりな香りがするんですよ(^^;)#香りの記憶が貧困ですみません。。。飲んでみると、やはりアミノ酸の旨味が勝ったお茶です。引っかかるような香りもなく、透明感があって、ただただ旨いお湯を飲んでいるような感覚を持つお茶です。うん、確かに美味しい(^^)やはり、ギフト用のお茶をもらったら、絶対に飲むべきだ!と確信しました(笑)さて、ここからはお茶マニアのつぶやき。このお茶、お茶マニアには優等生過ぎるお茶です。やはり、安吉白茶の二番煎じのような印象になってしまうんですよねぇ。アミノ酸の旨さというのは、分かりやすいんですが、単調な気がするんです。寿司で喩えるならば、トロの脂身の旨さ。あれに似ています。「そりゃ脂身は旨いんだけどさ。それ以外にもっと旨いのもあるだろう」と、そんな気がするのです。味の構成要素が単調な分、飽きが来やすいと言いますか。龍井あたりを飲み慣れていると、やや物足りなく感じます。一般向けには、文句無しに美味いお茶だと思うけど、お茶好きにはもうひとひねり欲しい。そんな感じのお茶であります。安吉白茶のヒットもあって、白茶種を使った緑茶はあちこちで作られるようになっています。が、この分だと、意外に薄命なお茶も多いかもしれないなぁと思ったのでした。単なるコピーではなく、産地ならではの創意工夫が必要ではないかと。それでも、もらったお茶は飲もう♪
2009.11.21
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最近は、すっかりグルメブログ(それも比較的B級・・・)と化していましたが、ここは一応、お茶のブログです(^^;)今月は、ジェットコースターのような1ヶ月だったので、ほとんど家でお茶を飲むこともなかったのですが、久しぶりに雲南毛峰を淹れてみました。雲南大葉種を用いて作られる、雲南省の緑茶です。雲南のお茶は、緑茶でも紅茶でもプーアルでも「あ、雲南のお茶だ」と分かるような、ちょっと個性的な香りを帯びています。品種の香でもあり、製法の香でもあります。このお茶も、さっとお湯を少量注いで香りをみると、やはり雲南な香りがあり、さらに柑橘系の不思議な香がします。味はとてもしっかりしていて強さを感じますし、柑橘系の爽やかな香りと口の中に残るサッパリ感が心地良いお茶なのですが、意外に甘みもあります。このお茶、案外、秋に向いてるかも、と思いました。さて、雲南大葉種といえば・・・#タイトルとこの流れで、既にピンと来てしまった方もいるかも。最近、話題の新型インフルエンザ。これに関連して、お茶のカテキン類の機能に注目が集まっています。その機能とは、殺菌効果。カテキン類といっても種類は豊富なのですが、その中でも、よく取り上げられるのがエピガロカテキンガレート(EGCG)という、きわめて力強い名前の成分だったりします。確かにウイルスにすらも勝ちそうな名前ですね(^^;)先日、この成分を”加工”し、インフルエンザ治療薬に応用する技術が”特許”を申請中であるというニュースがありました。asahi.com「カテキンに効果あり」となると、脚光を浴びてくるのが、”大葉種”の品種を使った”緑茶”です。多くの緑茶で使われている小葉種よりも、大葉種は品種特性としてカテキン類の含有量が圧倒的に多いためです。手元にある『中国茶樹品種志』によれば、広義の雲南大葉種の1つである[孟力]海大葉種。この品種のポリフェノール類は一芯二葉の春茶の乾燥茶葉中に32.8%。そのうちカテキン類は18.2%含まれているとされます。中国緑茶の代表選手・龍井茶の主力品種、龍井43号のポリフェノール類の含有比率は18.5%で、そのうちカテキン類は12.1%を占めます。日本茶の主力品種・やぶきたは、カテキン類の含有量が13.9%と言われていますので、これらの品種と比較すると、雲南大葉種はカテキン類の含有量が多いことが分かります。↑日本茶の資料が少なくてすみません。日本茶も勉強しなきゃ・・・また、カテキン類(いわゆるポリフェノールです)は酸化発酵させると、一部がテアフラビンやテアルビジンなどの色素に変化してしまう(=成分が減る)ため、緑茶の方が効率よく成分をとれるわけです。#このようなことは、評茶員の勉強をすると出てきます。さあ、ここまでの情報で、某テレビ番組が健在だったら「インフルエンザ予防のために、雲南緑茶を飲もう!」と、きっと放送していたことでしょう((((((^^;しかし、早合点してはいけません。先のニュースで、成分を”加工”した、と強調しましたが、普通に飲んだって、効かないよと、記事にはきちんと書かれているんですね(^^;)体内で分解されないように”加工”しなければいけないと。それがなかなか難しくて、ようやく実現できたから”特許”なんです。そういう説明を一切端折って、なんか、お茶はインフルエンザに効くみたいよと消費者に誤認させるような売り方は、まったく感心しません。少なくとも、お茶屋を自認するお店には、やって欲しくありません。そりゃ、目先の売上は稼げるかもしれませんが、長い目で見るとマーケットを壊すだけだと私は思います。これで「効かなかった」となったら、雲南の緑茶に対しての悪印象だけが残るんじゃないかと。「花粉症には凍頂烏龍茶」という報道の影響で、「なんだ、これは?」という凍頂烏龍茶もどきのお茶が、市場に出回った悪夢が思い起こされます。あれを飲んで、「凍頂烏龍茶は美味しくない」と感じた方がいたであろうと思うと、お茶好きとしては、目眩がしてしまいます。効能先行では、農家や消費者のいずれにもメリットをもたらさないのです(コストしか見ませんから)悪いのは、お茶ではなく、その売り方です。だいたい、健康への効能を謳って販売をするのなら、ちゃんと勉強して裏付けを取ってから書かないといけません(それでも、一歩間違うと薬事法違反です)。その姿勢もなく、俗説に依ったテキトーなことを書いて売りさばこうというのは、お茶への愛が無いというか、お茶屋の品格はどこへ行った?と言いたくなってしまいます。#おお、久しぶりに吠えてしまった((((((^^;販売業者の方には、正しく、フェアにビジネスを行ってもらいたいものです。農家と消費者を繋ぐ、大事な存在なのですから。嘘はいけません(`´)
2009.09.30
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フォトレタッチソフトの機嫌が悪く、記事がなかなかあげられずにいます(-_-;)旅行に行ったりしたので書きたいことはあるのですが、機嫌が直るまで少々お待ちを。さて、香片を淹れました。台湾産のジャスミン茶です。え、珍しい?そうですね、私、あまりジャスミン得意じゃないですから(^^;)まあ、でも美味しいのはやっぱり美味しいのです。台湾でも彰化縣などがジャスミンの花の産地になっていまして、ジャスミン茶を作っているのです。お店であれこれヒアリングしたところ、このお茶は茶葉が苗栗縣産で花は彰化縣産だとか。隣同士の縣なので、縣境付近で作っているそうです。茶葉は結構細かい感じです。茶葉の外観から、白っぽい白毫が含まれたものも見受けられ、新芽の部分が多いお茶だということが分かります。一般的に、「新芽が多い」=「旨味成分が多く、味わいが柔らかい」という傾向にありますので、なかなか良いお茶ではないかと。ジャスミンの花の香りも不自然さや嫌みがありません。お茶を少し口に含むと、口当たりが非常に柔らかい。いわゆる”お茶の味”が最初は弱めで、ジャスミンの清々しい香りが先行します。そのあとに、茶葉自体の持っている旨味が口に残り、余韻が続きます。お茶の味が後から出てきて、余韻が長い。良いお茶の特徴だと思います。全体的に、ジャスミンの香りとお茶の味のバランスが上手くとれているお茶だなぁと思います。お茶の味の柔らかさもあって、とても上品なジャスミン茶だと感じます。さて、ジャスミン茶といえば、烏龍茶の次に名前が挙がる中国茶だと思います。が、どうも中華料理店のサービスのお茶(廉価なお茶)という印象が強いからか、あまり追究されていない分野のような気がします。#単価も低いですからね。でも、よくよく考えてみると、実は結構研究しがいのありそうな分野でもあります。ジャスミン茶の味を左右しそうな要因を挙げると、たとえば以下のようなものがあります。・台湾のジャスミン茶は清茶ベースで、大陸のジャスミン茶は緑茶ベース。・ジャスミンの花にも台湾種、福州種、福建長楽種、金華種などなど多くの種類がある。・ベースのお茶が、いつの時期に摘まれたものか。・茶葉に花の香りを吸着させる回数。・花が入ったお茶はあまり高級品ではない??などなど。中には「ホントかな?」と思うような、定説があったりもします。意外に突っ込まれていないこともあるので、研究したら面白そうだと思うのですね。↑え、私だけですか?(^^;)近々、あれこれ飲み比べて、調べてみようと思います。ジャスミンも美味しい!
2009.08.24
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先日、嶢陽茶行で買ってきたお茶を淹れました。まずは奇蘭香鉄観音。青い、青いです(^^;)さて、このお茶、鉄観音と書いてありますが、奇蘭香というのが気になります。奇蘭のような香りの”鉄観音”なのか、鉄観音製法で作った”奇蘭”なのかが分かりません。※安渓で作られているお茶の品種で鉄観音と奇蘭というのが両方あるのです。奇蘭は白芽奇蘭という名前でよく知られています。お姉さんに、もっと突っ込んで聞いてくればよかったなぁ・・・まあ、飲めば品種も分かるかしらとさっそく淹れてみました。香りはかなり鋭い。クチナシ系の香りが、キーンと高音のように響きます。ただ、味わいとしては鉄観音的な回甘はあまり見受けられません。味わいに厚みはあまり無く、香りに特化した感じのお茶です。このような味の特徴から見て、おそらく品種は奇蘭なのではないかと思います。これはこれで良いお茶だと思います。茶殻を見ると、製法は安渓的ですね。#おそらく、最終火入れが台湾なんじゃないかと思います。もう1つのお茶は、金観音茶王。嶢陽茶行の看板茶です。こちらは全く正反対の茶葉。黒い、黒いです(^^;)乾燥した茶葉の段階で、かなり強い火の香りがします。「ここまで焙煎しちゃうと、お茶の内質が死んでしまって、火の味しかしないんじゃないの?」と少々訝しく思いながら、淹れてみます。炭火焙煎ならではの、チョコレートのような甘い香りが漂います。水色もかなり濃いめ。でも、何とも言えない艶のある茶水です。火の香りは確かに強く、味も日本で一般的にイメージされる烏龍茶に近い感じ。でも、味わいにかなり厚みと奥行きがあります。鉄観音の品種特性である酸味もかなり強めに出て、「俺は鉄観音だ」と強烈に主張しているかのようです。そして、鉄観音らしさを示すように、戻りの甘さも強烈。飲んでから喉に甘い香りが、ずーっと残ります。飲み終えて、しばらくしても、この香りと味の余韻がいつまでも消えません。何という個性派!茶葉の状態を見ながら、ギリギリまで焙煎をする火入れの技術もありますが、原料茶の品質も良いものを使っているのではないかと思います。さすが、老舗の看板茶だけのことはあります。このお茶、かなり強烈なインパクトがあるお茶で、好き嫌いは真っ二つに分かれそうです。が、一度ハマると手放せなくなってしまいそうなお茶です。この強烈な個性に慣れてしまうと、他のお茶では満足できなくなってしまうのではないかと。火入れの強い伝統的な鉄観音がお好きな方には、一度試して頂きたいお茶だと思います。そして、このお茶、特筆するべき点として、飲むと身体が一気に温まります。もう、汗がダラダラ噴き出してきますよ(^^;)この時期は、クーラーに当たって身体が冷えてしまいがち。そんなときに飲むのにも、向いているお茶ではないかと。かなりの個性派!
2009.07.27
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湿度もあいまって、暑い。暑いです。このようなときは、クーラーのかかった部屋の中で、爽やかな熱いお茶を飲むに限ります。↑エコのかけらもありません今年の春の文山包種茶を飲みました。坪林の品評会で参等奨になったものです。品評会は、あれやこれや言われますが、やはりそれなりのお茶が出てくるケースは多いと思います。優良奨レベルのお茶だと、「まあ、ちょっとゴージャスなパッケージ代だね」ぐらいに考えた方が無難ですが、その上の参等、弐等あたりは、しっかり作られていて、お値段も手の届く範囲のものが多いように感じます。品評会開催コストもかかっているので、多少割高なのは事実ですが、あれこれ試飲して、残念な思いをするぐらいなら、品評会受賞茶を最初から手に取った方が時間は節約できると思います。また、時期はずれに茶産地を訪問する場合は、良いお茶はほとんど売り切れてますので、品評会受賞茶を狙う以外にありません。#定価が決まっていますので、販売する側も売りやすいですし、買う側も買いやすいわけです。説明も”○等奨”ですといえば済むので。問題は、最低ロットが半斤(300g)か1斤(600g)になることですけど、空港や土産物店でパック詰めのお茶を買うよりは遥かに良いと思います。茶葉は、深い緑でいきいきとしています。お湯を差すと、フワーッと香りが立ち上ります。ひとことで表現するならば、とても清らかで模範的な文山包種茶。茶杯にはいつまでも爽やかな蘭の花のような香りが長く残ります。口当たりは滑らかで、とても爽やか。でも、一本調子な爽やかさではなく、軽発酵の烏龍茶らしく香りが微妙に変化していきます。茶杯に残る香りも、徐々に甘い香りに変化していき、烏龍茶の醍醐味を味わえるお茶です。このお茶、さすがに品評会受賞茶だけあって優等生だと思います。とても上品な清々しさがあります。しかし、一方でよくよく味わってみると、自然の中で生きてきた強さというか、やや野性味に溢れる力強い部分があり、その主張が味に出ています。同じ作り手の頭等奨のお茶も飲みましたが、違いはこの点。頭等はこれよりも上品というか、飲んだ瞬間は水のような感覚。そのあと、ジワジワと旨味と甘みが来る感じで、お茶の主張は少なく、まさに美味しいお湯という印象。でも飲んでいると、旨さだけが蓄積されていって、なんとも愉快な気分になります。このお茶は、自己主張が強い分、やや点数を引かれたのだろうと思います。喩えるならば・・・成績は良いんだけど、先生の言うことにたまに逆らっちゃう生徒ですね(^^;)その方が人間味としては面白いと思うんですけど、品評会ではどうしても1つの評価軸で見ざるを得ませんから、こういうタイプは少し損をするわけです(笑)そんな品評会の限界を知りつつ、品評会受賞茶を楽しんでみるというのも、面白いことだと思います。参等奨以上は、確実に一定のレベルには達しているお茶が多いですから、”順位”よりも”個性”に注目して飲んでみると、面白い発見があるのではないかと。やっぱり、優等生過ぎてもねぇ(^^;)
2009.07.25
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昨日は、ちらりちらりと空を見上げるも、厚い雲に閉ざされて日食は見られず。残念です。さて、ここ数日、暑さは随分楽になったものの、梅雨が戻ってきたかのような湿度には、やや閉口気味。今日も、駅のホームで、どういうわけか無性にサイダーが飲みたくなり、自動販売機の前に立つも、そこはグッと堪えて帰宅。なんだか、あの甘い感じの香りに惹かれたんですよね(^^;)電車に乗りながら、「サイダーの香りは何かに似ている・・・」と考えていたら、そうだそうだと思いついたのが、このお茶。今年の鳳凰単叢です。お茶の袋を開けた瞬間、フワーッと甘いブドウのような香り。ブドウはブドウでもちょっと酸味がある感じで、マスカットに近い気がします。甘い香りで、ちょっと酸味。それでサイダーに通じるなと思ったんですね(笑)茶水の香りもしっかりブドウっぽいけれども、飲んでみると単純な甘さではなくて、裏側に渋みが見え隠れする、しっかりとした味。でも、やっぱり喉に落ちてからの戻りの香は甘くて、渋みとの微妙なバランスがとても美味しかったりします。多少の渋さが、こういう湿度が高い時には、スッキリして嬉しかったりします。湿度の高いときには、やっぱり単叢だねぇ、と思ったのでした。#香りが立ちやすいとも言われてます。単叢は美味しい♪
2009.07.23
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今日、関東地方は梅雨明け宣言が出ました暑い。。。(-_-;)それでも夜は随分風が涼しく感じます。ずっと、このぐらいで行って欲しいんですが、西の方の最高気温を見ていると、無理でしょうねぇ(^^;)今日は、文山包種茶を淹れました。我が家には、模範的な品評会参等奨のお茶とちょっと個性的なものの2種類あるのですが、今日は個性派の文山を。少し発酵度が高めに仕上げられている文山包種茶です。水色も、緑よりはやや濃いめに出ます。このお茶、一般的に出回っている文山包種茶よりは、香りがワントーン低めからスタートします。そんなお茶なので、一瞬「えっ、文山?」と思います。多分、文山を飲み慣れている人ほど、そう思うお茶ではないかと。口当たりに刺激的な青さもありません。やや火が入っているせいかと思います。発酵がしっかりしているからか、香りはよく喩えられる蘭の香りというよりは、やや果物っぽさが出ています。味もしっかりしており、お茶請けにも負けない強さがあります。印象としては、女性の歌を男性歌手がカバーしたような感じのお茶なんですね。高音の魅力は無いんだけど、中音~低音域に厚みがあるお茶だと思います。これを”魅力”と捉えるか、”なんか違う”と思うか。文山の魅力をどこに感じているかによって、評価が分かれそうです。#私は好きですが。水出しなどでスッキリ飲むというよりは、夜向きな文山かなぁと思います。もう少し寝かせても良いかもしれません。いずれにしても、発酵マジックを感じることのできる、なかなか美味しいお茶です♪文山も色々
2009.07.14
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気候のせいか何か分かりませんが、どうも頭がシャッキリとしない、あるきちです。みなさん、こんばんは。5月病でしょうかねぇ。。。あれこれ私なりに原因を考えた結果、これはGWに旅行をしていないせいじゃないか?と、風が吹けば桶屋が儲かるどころではない滅茶苦茶な理由にたどり着きました(^^;)これはいけない!ということで、来週、お出かけすることにしましたw出雲から入り、世界遺産の石見銀山を見て、萩に抜けるという、なかなか渋いコースを組んでみました。鳥取~松江間は一時期出張に行っていたのですが、このへんは行ったことがなかったので、結構楽しみです。#本当の理由は、JALのマイレージ消化です。地方空港利用はマイル利用がお得♪まあ、そんなことを言っても、旅の妄想ばかりというわけにはいかないので、「元気が出るかしら」と大紅袍を飲んでみました。 いわゆる純種大紅袍です。いつのだったかは忘れましたが、結構古いやつです。 味は、やっぱり水仙や肉桂や、鉄羅漢あたりとは、また違った系統です。どっしりとした岩茶らしさはあるんですが、比較的透明感が強いクリアさを感じます。その割には、香りが案外華やか。旨味も水仙ほど強烈には出てこないのですが、相応にあります。ただ、水分を少し吸ったらしく、酸味が出てました。一度軽く火を入れたら、もっと美味しかったかなぁとちょっと反省。それでも純種というだけあって味の方向性が一つに向かっており、ブレンドではさすがにこうは行かないか、と思います。ブレンドのものでも、上手に組み合わされたものは豊かな味になるんですが、やはり違った個性があると思います。このお茶も、気軽に選べる対象に入ってくると嬉しいんですけど(^^♪台湾にも行かなきゃ。。。
2009.05.08
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私、いろんなお茶を飲んでますが、極力、このブログには書かないようにしているお茶がいくつかあります。その中の1つが、大紅袍です。理由は、非常にややこしいからこれに尽きます。本物の大紅袍と言った場合に何を指すのか、これが共通認識として確立されていないと怖くて書けない、というのが本音です。伝説が一人歩きしている上に、思い入れが強い方も多いので、迂闊なことは書けません。・・・しかし、やはり真実は追究されるべきです( ̄ー ̄)ニヤリッ実は、大紅袍については、とても気になっていたのです。なにしろ、人によって言うことが全く違います。「どれが事実だ?」と聞くと、「私が言っていることが真実だ」とみんな言います。#中国茶の世界にありがちなことです。こういう伝説でガチガチになっているようなお茶を見ると、絶対に真実を見極めたい、そう思ってしまうのです(←あまのじゃくです)消費者を惑わす中国茶の噂話や伝説。こういうものを断ち切って等身大の中国茶を知りたいがために、私は中国茶の勉強をしています。おかげさまで、評茶員の勉強をしたおかげで、中国の国家標準が読めるようになり、さらに先日、杭州で品種の先生の話を伺い、質問もしてきました。加えて、中国のあちこちのサイトを調べたり、お茶屋さんで聞いた話などを色々総合した結果、ようやく全体像が掴めるようになってきました。#まったく、小さな真実であっても近づくのには大変な労力がかかるものです(^^;)そこで、ちょっと大紅袍の伝説をぶった切って、本物の大紅袍とは何かについて、書いてみようと思います。* * * * * *まず、日本で流通している大紅袍の説を整理してみます。<説1>原木で作られたお茶のみが大紅袍であるという説2002年にわずか20gがオークションで19万8000元で取引されたという、例の崖に生えているヤツです。この茶樹から作ったお茶が、本物の大紅袍であるという説。それ以外は偽物!となります。→文句はありませんが、ひとかたまりのお茶だけが本物の大紅袍ということになると、「一般に流通しているのは何?」ということになります。蘊蓄としては良いでしょうが、一般の消費者には全然役に立たない定義です。というか「貴重なお茶を飲んだことを自慢したいだけか?」と思います。<説2>大紅袍とはブレンドであるという説大紅袍を飲んだ人がそれをイメージし、様々な岩茶をブレンドをして作ったものが大紅袍であるというものです。この説では、つまり、大紅袍というのは商品名・ブランド名であるといえます。そうである以上、ブレンドした茶葉の品質とブレンド技術によって、味は大きく違うということになります。→イメージで行くとコーヒーの「ブルーマウンテンブレンド」みたいなのに近いですね。ただ、ブレンドと言っても、この場合は”イメージに近づけている”だけなので、大紅袍の茶葉が全然入っていなくてもOKなわけです。<説3>原木から挿し木して増やしたものが大紅袍であるという説原木を挿し木して増やしたもの。つまり品種としての大紅袍というものです。挿し木は、いわゆる無性繁殖というやつですので、完全なクローンができます。品種が大紅袍であるものだけが大紅袍である、という説です。→二代目、三代目とかいう話もこれにくっついてきたりしますが、これはただのお茶屋のセールストークだと思います。いわゆる似非科学でして、無性繁殖やクローンという言葉の意味を知っていたら、「そんなわけないだろ」と即座にツッコミを入れられる内容です。もちろん、土壌などの生育条件に違いはあると思いますが、それは正岩茶・半岩茶・洲茶という分類で、ある程度整理できるはずです。さあ、正しいのはどれでしょう?結論から先に行きましょう。3つとも正しいけど、それだけが本物と言い切るのは間違いが、正解です((((((^^;現地の基準で行くと、これらはみな大紅袍なのです。* * * * * *<説1の検証>まあ原木を持ち出されたら、「それは、そうでしょうね」ということになります。ただ、問題なのは、これだけを本物とすることです。原木のもののみが本物だとしたら、市中に出回ってるのは偽物ばかりとなります。いくらニセモノ大国(←失礼)とはいえ、中国政府がそんなことを認可するはずがありません。なので、説1の”それ以外はすべてニセモノ”というのは間違いです。<説2の検証>次で説明しますが、今は無性繁殖技術によって”大紅袍”という品種が存在します。その技術ができる前は、大紅袍を増やすことは不可能でした。お茶の種から増やす有性繁殖では、品種が別のものになってしまうためです。しかし、大紅袍の伝説性はとても強く、何とかしてこれを活かしたい!地元の振興を考える地域政府の当然の考え方です。そこで商品名として大紅袍という名前をつけることが許されました。これをきっかけに各製造会社が大紅袍という名前のブレンド商品を発売しています。会社によってだいぶ個性は違うようなのですが、農家には「今年の大紅袍はこれね」と製作見本(サンプル)が出回るのだとか。武夷岩茶の国家標準には、大紅袍の品質基準が掲載されています。しかし、それをよく見ると、武夷岩茶全般について”適正な品種を使え”とは書いてありますが、”大紅袍は大紅袍品種に限る”とは書いてありません。拡大解釈ができる余地が残されています。つまり・・・基準に達していれば、(ブレンドでも)大紅袍でも良いよということになります。だから、大紅袍というのは商品名であり、ブレンドの種類であるという定義も間違ってはいないことになります。ただし、それが全てではありません。純種大紅袍というのもあるからです。<説3の検証>1990年代の初めに大紅袍の無性繁殖が成功しました。原木の中の1本を選抜し、これを大紅袍として武夷山市の茶葉研究所が育てたものです。こうして育てられた大紅袍品種は、現在では4万畝(1畝は6.667アールなので、2668ヘクタール)以上も栽培されているそうです。今や、水仙や肉桂に次いで広く栽培されている品種が大紅袍となっています(純種大紅袍)。さて、ここで疑問が出てきます。知名度のある大紅袍ですから、その品種は省級品種や国家級品種として登録されていても良さそうなものですが、残念ながらそうはなっていません。これを根拠に、「そもそも大紅袍という品種はないのでは?」とする方もいます。しかし、それは品種認定のプロセスを知れば、「そういうこともあるな」と思えます。国や省レベルの品種認定を受けるためには、様々な場所で栽培し、その品質が一定であることを証明せねばなりません。品質の安定性を見るには、最低10年はかかり、その後、病虫害や耐寒性の検査なども受ける必要がありますので、品種登録されるには、なんだかんだで20年以上かかるのが普通です。大紅袍の無性繁殖が成功したのは1990年代初めとされています。となると、まだ20年経っていない新しい品種です。だから、品種認定の手続き中と考えるのが、妥当なわけです。「・・・何を根拠に、こいつは言っているのだ」と思われるかもしれませんので、偶然引っかかった公的資料をご提示しましょう。武夷山市茶業局が提出した大紅袍品種認定のための予算申告書です。URL#予算を一生懸命取っている段階なわけです。最初の一文から、「大紅袍は商品名として、品種としても作られているのは、共通認識である」と、かなりパンチのある文章で始まっています(^^;)* * * * * *というわけで、色々な文献や国家標準などを総合すると、現地では主に“ブレンド大紅袍”と”品種(純種)大紅袍”の2つが流通していると考えられます。#これでも、説1のみを大紅袍と呼びたい人は、「やぶきたも原木以外は認めない!」と仰っていただかないと困りますね(^^;)ブレンド大紅袍と純種大紅袍のどちらが本物か?というのは全く意味のないことで、武夷岩茶の大紅袍の国家標準をクリアしていれば、どちらも本物の”大紅袍”です。国がそう決めているのですから、異論があっても仕方ありません。※とはいえ、これもひょっとしたら変わっていくものかもしれません。国家標準は頻繁に見直しが入り、実勢にあわせて変わっていくからです。大紅袍品種の拡大が進めば、どこかで見直しの機運が出てくると思います。だから、最新情報をキャッチアップし続けないといけないんですよねぇ・・・ただし、消費者としては、実は大問題です。同じ大紅袍でも、ブレンド大紅袍と純種大紅袍では、品質のブレが大変大きいものになるからです。大紅袍という名前だけでは、欲しい味のお茶にありつけない可能性が出てきます。これは消費者にとっては由々しき問題です。こと、ブレンド大紅袍に関して言えば、何をブレンドしたのかによってお茶の特性が全然違うものになります。つまり、同じ大紅袍という名前でも、全く個性の違うお茶であることがあり得ます。だから、大紅袍というお茶は、名前だけでは指名買いしにくいお茶でもあるわけです。一方、純種というのは、品種が一定ですので、味の傾向はある程度予測はつきます。私の印象では、とてもクリアで華やかさも持っているのが、純種大紅袍の特徴ではないかと思います。・・・とはいえ、これまた買いにくいのです。それは、日本で純種の大紅袍ときちんと明示してくれるお茶屋さんが、大変少ないからです。日本国内で大紅袍の定義というものが、きちんとしていないからなのかもしれません。大紅袍も、様々な伝説のくびきから逃れ、分かりやすく日本のお店の店頭にも並んで欲しい、そう思うのです。猿が茶摘みしようが、赤いマントをかぶろうが、そんなものはお茶を選ぶ人にとっては、全く関係ありません。ブレンドだったら、ブレンドでも良し。純種なら純種もまた良し。それぞれの個性をきちんと表現してもらいたいものだと思います。(余談)ちなみに、「実はあそこに植わっている大紅袍はニセモノ。政府の役人が来ると聞いて、地元の人が貴重な木がダメにされてはマズイと考え、適当な木に植え替えたのだ」という、恐るべき噂話もありますが、今まで書いてきた内容がすべてパアになる上、真偽の確かめようもないので、この話は無視することにします(爆)・・・本当にお茶の伝説というのは、消費者を惑わせるものです(^^;)伝説も聞いてる分には楽しいんですがねぇ(^^;)
2009.05.06
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もうすぐ期限切れのマイルがJALとANAの両方にあって、どうしようかと思案中のあるきちです。みなさん、こんばんは。うーん、定額給付金の書類も届いたので、台湾でも行きますかねぇ。あるいは厦門線は空いているので、安渓でも良いかなぁ。↑これでは全然、日本の景気回復に貢献していない(^^;)さて、今日は良いお天気だったので、なんだか緑茶気分。先日買ってきた径山茶を淹れました。あらためて見てみると、本当に綺麗な茶葉です。まさに生命力に溢れた緑に、うっすらと白い産毛がかかっています。最初に少量お湯を入れ、少し馴染ませて(浸潤)から淹れてみます。#緑茶は一気にお湯を注がず、二段階で淹れた方が上手く入ると思います。踊る茶葉。茶摘みの時の小さい新芽の状態にフワッと戻ります。その姿を見ると、まったく手間のかかっている茶葉だと思います。一煎目は、ちょっと青っぽい香りが先行するので、苦手な人もいるか?という印象でしたが、お湯を注ぎ足したあとの二煎目からが、やたらと旨い!#緑茶、飲み切っちゃうと2煎目以降の味が恐ろしく落ちるので、少し残すのがコツです。明前のお茶なので、線の細さは感じますが、旨味の詰まった茶水です。柔らかい口当たりなのですが、口の中にまったりと甘さの余韻が続き、冬を越した新芽の力強さが感じられます。弱々しいようでいて、しっかりと芯がある。そんなお茶です。いやー、これは旨い♪お湯を足してダラダラと飲んでいても、茶葉の実力ゆえか、旨味がじんわりと続くので、とことん飲み倒せます。お値段を最初聞いたとき、これが社長の外車と金時計に化けるのか?と、しょーもないことを思いましたが、いやいや、実力通り。社長、おそれいりましたm(_ _)mフレッシュなうちに飲みきらないと、この味は落っこちる気がするので、早めに飲み切りたいと思います。旨いです!↑同じやつです。
2009.04.15
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先日、杭州から帰ってくると、自宅にお茶が届いていました。今古茶籍の簡さんにお願いしていた獅峰と梅家塢の龍井。初摘みのお茶を大急ぎで日本に持ち帰り、送っていただいたようです。#これがあったので、杭州で龍井茶は200gしか買ってこなかったのです。獅峰は3月19日摘み、梅家塢は3月20日摘みのもの。この後、杭州は一気に冷え込んで茶摘みが遅れたので(本当に寒かった!)、まさに貴重な初摘み頃の龍井。こちらが獅峰のもの。少し大きめでガサッとしています。こちらは梅家塢。少し小さい感じ。比較すると、色の違いがよく分かります。同じ緑は緑なんですが、獅峰は黄色っぽくて、梅家塢は緑が強い。土壌の違いが大きいのだとか。茶葉の大きさを見て、なんとなーく味の予想はつきますが、一緒に淹れてみました。左が獅峰で、右が梅家塢です。茶葉の成熟度の違いもあるのですが、獅峰の方がキリッとした味と香り。梅家塢は、香りも味もしっかりはしていますが、比較的丸みがあります。甘さを感じやすいのは、こちらの方かも。どちらも文句なく美味しいのですが、個人的には、香りと味がピンと立った獅峰の方が好みです。#でも品評会的には、梅家塢の方が高評価だと思います。・・・うーむ、地球にやさしい中国茶交流会で小町さんの席に座れなかった分、家で復習しているような気分です(^^;)やっぱり一緒に飲み比べると、味の傾向の違いがハッキリと分かります。そうそう、小町さんといえば、4月25日(土)の11時半から、恵比寿の邦人式中華酒館HOIさんで龍井茶のランチ茶会をされるのです。PRIVATE TEA SALON yu:yuの1周年記念(パチパチパチ~♪)も兼ねていて、新茶の龍井茶のお土産付きとか。HOIさんには、地球にやさしい中国茶交流会の打ち合わせで碧眼猫さんとお邪魔しましたが、どのお料理もとても美味しい。”邦人式”とあるように日本人好みにアレンジされているのですが、調味料は現地のものをしっかり使われているので、本格派の味です。 ↑これらは当日は多分出ないです。イメージカットということで。。。今回は、龍井蝦仁などの茶葉料理も出てくるのだとか。美味しい茶葉料理&新茶の龍井茶のコラボは、かなり楽しみです(^^)残席わずかなようなので、ご興味のある方は、お早めにHOIさんまで直接お問い合わせを♪Chinese-DiningBar「邦人式中華酒館HOI」住所:恵比寿1丁目30-9(恵比寿2丁目交差点付近)費用:お一人様5,250円(龍井新茶のおみやげつき)ご予約:03-3446-5437 ”25日のお茶会ランチの予約”とお伝え下さい。龍井も美味いですね~(^^)
2009.04.14
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イベントも一段落。公式ブログ化?していましたが、通常ペースに戻しましょう(^^;)文山や阿里山の冬片と一緒に送ってもらった、梨山の冬茶を開けてみました。梨山の割には、お手頃価格で、軽く焙煎がかかっているお茶です。聞香杯に残る香りは、なんとも甘くて「梨山だー」と思わせてくれます(^^)いわゆる清香系の軽やかな香りと味のお茶ですが、出来の悪いお茶にありがちな、生っぽさはありません。さらに焙煎のおかげで、口当たりはとても柔らかく、抵抗感無くスルスルと口に入っていきます。もちろん、お値段なりのことはあって、茶殻を見ると少し薄手で柔らかさは今ひとつ。それが示すように、味は良く言えばさっぱりと、悪く言うと、やや奥行き・厚みに欠ける印象があります。でも、普段飲み+αのお茶にするには十分な実力です♪気軽に飲める旨さと言いますか(お値段の面でも)香りはかなり良いので、淹れ方によって化けるタイプの茶葉かも。茶葉の量を加減したり、温度や抽出時間を変えたり、茶器を工夫したりすると、全く別の顔を見せてくれそうな予感がします。気軽に飲めるだけではなく、淹れる腕を磨く教材としてはピッタリのお茶かもしれません。しかし、梨山はやっぱり美味いですね~(^^)
2009.04.13
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先日、蘭亭さんにお邪魔したら、新しいお茶が入ったとのことで買ってきたものが2つ。そのうちの1つがこちら。廬山金萱茶(蘭亭)廬山は産地の名前です。大陸・江西省の廬山ではありませんで、台湾の廬山です。台湾の中部、中央山脈のほぼ真ん中付近にあります。→Google Map台中から埔里を経由し、霧社へ。そこから北へ延びる国道14甲を走ると大禹嶺の方へ抜けていきますが、さらに東の山の中に入っていったところが廬山です。日本統治時代から温泉地として知られ、富士温泉という名前で親しまれていました(→交通部観光局)。台湾のお茶小売チェーン・天仁茗茶が近くの霧社のお茶と合わせて「天霧茶」「天廬茶」の名前で売り出しているので、高山茶の産地としても、わりと知られているのではないかと思います。清境農場もこの近くにあり、この一帯はちょっとした高山茶の生産拠点になっています。このへんの茶畑の標高は1200m~1600mといったところでしょうか。産地の情報はそれぐらいにして、さて、お味です。軽く焙煎がかかっているのか、口当たりはスムーズです。金萱というとバニラの香りというイメージがありますが、このお茶はそんなに香りが先行してきません。おそらく、樹齢の若い樹ではなく、しっかりとした樹のお茶なのではないかと思います。台湾茶の樹齢は若い方が良いという方もいますが、これは好みもありますし、一概には言えません。摘めるようになったばかりの樹齢3~5年の樹の方が、金萱独特の香りは分かりやすく表面に出てきます。ただ、味わいの深みという点では物足りない面も。「まあ、若さゆえだね」と言ってあげたくなることが多いです(^^;)一方、樹齢が経ってくると、品種の香りというよりは、その土地の味わいが出てきます。香りでは面白みが無くなるかもしれませんが、きちんとした土壌管理がされている茶畑であれば、味の豊富さが際立ちます。品種の香りは、どちらかというと喉元で感じられるようになります。テイスティングの試験では泣かされるんです。この手のお茶に(^^;)話は戻ると、結局、若い茶樹が良いのかどうかは、色々な要素が絡むので一概には言えないんですよねぇ。。。#樹齢が若い=茶畑が新しい=土壌の栄養分が豊富=美味しい、という公式は全てにあてはまるものではありません。このお茶はどうやら後者のタイプ。金萱というと、軽いイメージがありますが、このお茶はズッシリと飲み応えがあります。一瞬、青心烏龍種だったか?と思うぐらいの味の厚み。力のある茶葉ですので、濃く淹れすぎると酔うかも(^^;)ただ、青心烏龍種とは、やっぱりトーンが違います。特に、喉元からの戻りの香りには、金萱の特徴が出ています。ずーっと、喉元によい香りが残っていて、余韻が深いのです。なんとも飲み応えのあるお茶だと思います。「金萱でも、こういうお茶があるんだ」と思わせてくれる美味しいお茶でした。ゆっくり飲みたいお茶です♪
2009.03.18
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最近、なんだかお買い物モードなあるきちです。そろそろ新製品が出るのでしょう。恐ろしいほど値崩れしている、こちらを購入しました。RICOH R10撮影設定の使いやすさは、ずば抜けて良いですね(^^)マクロ機能が充実しており、28mm~200mmまで1台でカバーできるのが魅力です。これで半年前の約半値。良いものを安く買えるのは嬉しいことなのですが、反面、メーカーは大丈夫か?と思ってしまいます。・・・というわけで、ここからの写真は、R10ならではの1:1モードで撮影しました。#構図とホワイトバランスはもう少し練習が必要です(汗)さて、本日のお茶。2006年の宜興紅茶を淹れました。まもなく丸3年になるお茶です。一般に、紅茶は新鮮な方が良いと言われます。これは中国紅茶でも全く一緒です。どんなに上手に保存しても、茶葉は生き物。年月が経つと”陳化”してしまい、茶葉の成分が変わってしまいます。特にフレッシュな香気は飛んでしまいますので、香りが大切な紅茶としては致命的なわけです。・・・が、しかしです。お茶は嗜好品。教科書通りではない飲み方をしてみると、実は美味かったりします。このお茶、新しいときも確かに美味しかったのですが、何というか堅さが感じられました。そう、大学生が就職活動で着慣れないスーツを着ているような、そんな雰囲気のあったお茶です。ところが時間を経たことによってなのか、飲み口がグッと丸くなっています。少し冷ますと、甘さが特に際だって感じられます。うーん、新茶の時より美味しいかも・・・多少、陳年の香が出ていて、茶殻も少し沈んだ色になっていますので、評茶(茶葉の鑑定)的には完全にアウトです。かなり厳しい点数しかもらえないでしょう。でも、飲んでみると結構イケてしまう。保存をしっかりしておくことが大前提ですが、陳年にしてみるとまた違った個性が見られて面白いと思います。本日のお菓子は頂きもののマノンのチョコ。ベルギー王室御用達。甘さはさすがに日本のマーケットに媚びてない感じ。しかし、これが美味いのです♪最近、お茶よりお菓子が主役になっている気がする・・・(^^;)
2009.02.12
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最近、考えごとの多いあるきちです。考えるのは脳。脳のエネルギー源は糖分です。ということで、考え事をするなら甘いものが必要です。・・・なんという三段論法(苦笑)そんなわけでお菓子片手にお茶を♪うちの近所のスクラッチベーカリーのものです。さくさくのパイ生地の上にカスタードクリームと生クリーム、ココアがのっています。甘いですが、ペロリと行けます。↑危険な兆候です(^^;)合わせたお茶は、正山小種。いわゆる”正露丸”の香りではない伝統製法のものです。甘さにも個性で負けないのが正山小種。最初の煙い感じが逆にありがたくて、甘いものを食べてもサッパリといただけます。で、食べ終わる頃には?香りがとれて、茶葉本来の甘さが出てきます。しっかり作られた正山小種ならではの、楽しみだと思います(^^)しっかり作られた正山小種は美味い♪
2009.01.22
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今日は、冬茶第2弾。昨日、買ってきた翠峰鉄観音です。翠峰鉄観音(華泰茶荘)・・・聞いたことのないお茶ですね(^^;)翠峰というのが”地名”だとピンと来た方は、かなりの台湾茶通ではないかと。梨山の近くにある地名です。最近、ここのお茶を梨山烏龍茶としている販売するケースもあるようです。現在、台中から梨山の方に向かおうとすると、台湾の紹興酒の産地としても知られる埔里(ぷーりー)という街を通ります。ここから国道14号線を中央山脈に入っていきまして、途中、霧社事件で有名な霧社(現在の行政区分は仁愛郷)を通過。大禹嶺へ繋がる国道14甲をちょっと行くと、清境農場。そこより少し先で、台湾で唯一のスキー場がある合歓山に上っていく手前に翠峰はあります。合歓山を越えれば大禹嶺です。→Google Mapそこで作られている鉄観音品種のお茶なのだそうです。知られていないのも当たり前で、鉄観音を作っている農家は1軒しかないそうです(^^;)茶葉の外観は、結構青い感じに見えたので清香系かと思いきや、水色はちょっと濃いめに出ています。焙煎はかかっていないそうなのですが、鉄観音なので少し発酵度を高めにしてあるようです。発酵度を高めた生茶ですね。発酵度が高いだけに、何とも甘い香りが立ちます。それでいて、口当たりは柔らかく、さらに戻りの甘さが際だちます。かなり美味しいです。鉄観音というよりは、発酵度が高く出来の良い梨山茶を飲んでいる感覚です♪でも、香りはちょっと個性的。青心烏龍でも金萱でもない特有の甘さです。よーく飲んでみると特有の酸味など、鉄観音品種の持っている個性がチラチラと見え隠れします。うーん、これはなかなか面白いお茶です(^^)茶殻を見ると、しっかり鉄観音品種なんですよねぇ。青いのも多いのですが、中には周りが赤く、しっかり発酵しているものもあります。これまた発酵マジックを感じるお茶でした。木柵鉄観音の技法で焙煎していったら、どう化けるのか楽しみなお茶ではありますが、生茶だからこそ、香りの変化の大きさを味わえるのではないかと。ちょっとお値段は張りますが、梨山の重発酵が好きな方は、飲んでみても損のないお茶だと思います。焙煎が足りなければ、自家焙煎でw入荷量が少ないそうなので、お早めにどうぞ♪やっぱり品種と発酵は面白い(^^)
2009.01.10
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今日は、雪の予報が出ていた関東地方。朝方にみぞれが降った模様ですが、冷たい雨の降る一日でした。そして、かなり寒いです。うーん、なんだか中途半端ですねぇ。。。↑これだけ寒いなら、雪でも降ってもらわわないと報われない?気がします・・・さて、そんな寒い中ですが、渋谷に行く用事が入りました。で、色々とお問い合わせ事項もあったので、華泰さんへ。そういえば、まだ2008年冬茶を飲んでいませんでした。”季節のお茶を楽しむ”より、”在庫消費”になってしまっている現状を反省せねばなりません((((((^^;というわけで、「何かオススメの冬茶あります?」と林さんに伺って買ってきたのが、2種類の台湾茶。#正確に言うと4種類勧められましたが、阿里山と杉林渓は(春茶ですが)家にたくさんあるのでwまず、今日はこちら。文山包種茶 2008冬茶(華泰茶荘)有機栽培の茶畑で作られたお茶なのだそう。深い緑色が何とも美味しそうなお茶だと思います(^^)今年の冬茶も、天候の影響をかなり受けた様子。それでも、遅い時期のお茶はまずまずのものもあったようで、これもそのうちの1つ。ただ、入荷量は少ないようです。透明感のある、きれいな茶水です。蓋碗の蓋に残る香りは、まさに蘭花香。透明感のある香りですが、春茶と比べるとその出方が柔らかい気がします。冬茶らしく、飲んでから残る甘さが深い。やはり土壌のおかげか、力のある茶葉なのでしょう。戻りの香りも”清香”と呼ぶにふさわしい香りが戻ってきます。いやー、これは美味い(^^)清香系台湾茶の魅力、ここにありという感じのお茶です。ただ、焙煎が入っていないので、早めに飲むべきお茶ですね。新茶の状態で醍醐味を味わって欲しいお茶です。茶殻を見ましたが、発酵度のコントロールもバッチリ。お茶の周りが、ほんのり赤っぽくなっているのが分かりますでしょうか?たったこれだけの違いなのに、緑茶とは全く違う味と香りの個性が生まれる。これぞ発酵のマジック。緑茶と烏龍茶のギリギリのラインにある文山包種茶というのは、本当に面白いお茶だと思います。ちなみに、華泰の文山包種茶はお値段の割にお買い得なものが多いように感じます。文山が発祥の茶商ですから、このへんはさすがに老舗の意地といったところでしょうか。文山は美味しい♪
2009.01.09
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どうも風邪らしき症状が出ている、あるきちです。年始から、なんとなく頭痛があったり、だるい感じがあったのですが、だんだん悪化してきました。というわけで、外出中に飲むものもコーヒーから紅茶へ切り替え。・・・ええ、私、風邪には問答無用で紅茶です(^^;)風邪の時は大葉種の紅茶に手が伸びるんですが、自宅にあったのは、あいにく正山小種や宜興紅茶。というわけで、今日、表参道に出かけたので、帰りがけに遊茶さんへ。[シ眞]紅を買ってきました。↑風邪すら、お茶を買う理由にしてしまうのが恐ろしいことです((((((^^;[シ眞]紅[シ眞]は、雲南を差す言葉。いわゆる、雲南紅茶というやつです。水色も濃いですが、香りも味わいも濃厚。数多くの種類がある中国紅茶の中でも、紅茶っぽい紅茶という感じがします。雲南大葉種からつくられているだけにポリフェノールが多いので、なんとなく風邪に良さそうな気がします。↑気がするだけです。インフルエンザも流行り始めているようです。どうぞ皆様、ご用心を。風邪には紅茶
2009.01.07
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2008年も、あっという間に大晦日。人並みの?師走に奔走していた、あるきちです。某アメリカ系航空会社からは、早くも新年のご挨拶メールが届きました((((((^^;いやー、それにしても今年はいろいろありました(^^;)10年に一度の大きな節目の年だったと思います。細木先生によれば?来年からは良い年回りだそうなので、新境地を開くべく、さらに精進したいと思います。↑そんな理由かwさて、今年最後にご紹介するのは、先日、台湾で買ってきた梨山茶。梨山烏龍茶・華崗(臻味茶苑)梨山と言っても、これまた結構産地がいろいろあります。福寿山農場、武陵農場などの元国営の退役軍人の農場だったところや最高地点として知られる大禹嶺は、特に有名ではないかと。台湾の中央山脈を横切って走る中部横貫公路。この真ん中へんに梨山という村があります(訪問記。地図←航空写真にするとどれだけ山の中か分かると思います)。梨山茶と言った場合、梨山村の近辺で作られているお茶、ぐらいの意味合いです。ですので、梨山烏龍茶と言っても、標高1800m前後(たまに1600mぐらいで梨山を名乗るのもあります)から大禹嶺の2600mぐらいまであり、幅広いわけです。地名で言うと、梨山村のある台中縣和平郷が中心ですが、最近は山を越えて南投縣仁愛郷あたりにまで産地が広がっています。土壌が新しいところの方が力があるということで、産地が広がってきたわけです。このお茶は、梨山の村から福寿山農場へ上がっていって、山の尾根を越えたところにある、華崗という場所のお茶。地図で確認する限りでは標高2400~2600mの間ぐらいでしょうか。産地はそのくらいにして、このお茶、製法に特徴があります。伝統的な烏龍茶に近い、発酵度を高めているお茶なのです。台湾でも最近あまり出回らないタイプ(濃香)のお茶です。清香のお茶の方が、香りは軽く舌触りも滑らかです。ただ、青っぽさを感じることもあります。一方、濃香の方は、発酵を高めている分、ちょっと舌にザラッとした感じや苦み・渋みなどを感じやすいので、取っつきにくさがあります。しかし、発酵から生まれた香りは、まさに”濃”香。果物のような甘い香りが出てきます。サラサラと飲める感じを重視するなら清香、飲み応え感を重視すると濃香のお茶なのですが、濃香は発酵に時間を要する分、手間がかかります。さらに、清香の方がマーケットの好みに合う(=売れる)ということで、農家でも濃香を最初から作る人は少ないそうです。お茶は商品作物ですから、経済原則的に必然の結果です。しかし、呂先生はこういうお茶が大好き。そこで、農家に特別に注文して作ってもらうのだとか。#私、そういうのを喜んで買うもんだから、日本人には珍しいヤツだと言われるわけです(^^;)。あ、ちなみに呂先生、年明けに来日されます。水色は、最近の高山茶とは思えない色です。香りは、強めの焙煎がかかっていることもあり、ちょっと香ばしい感じ。しかし、その奥から来る甘い香りは、重発酵のなせる技。飲んでいただいた方の中には、「石鹸のような香りがする」と表現された方もいます。一煎目を口に含んでみると、舌にドンッと味が乗っかってきます。焙煎のちょっと香ばしい感じと、心地よい程度の渋みと苦みがあります。この辺を心地よいと感じるか、そうでないかが、きっと評価の分かれるところです。ただ、喉に落ちてからの香りの戻りは清香系の烏龍茶とはまた違った個性があります。香りの甘さがかなり強いです。そして、煎を重ねていくと、このお茶の真価が現れてきます。焙煎の香りが抜け、当初に感じていた渋みや苦みも柔らかくなってきて、このお茶の本来持っている甘さと香りの豊かさが強調されてきます。旨味がギュッと詰め込まれた甘い茶水になってきて、しかも飲めば飲むほど、香りが蓄積されていきます。これは旨い!最初はちょっと取っつきにくさがありますが、時間をかけておつきあいすると良さが分かってくるお茶です。そういう意味では、このお茶、ちょっと大人の梨山烏龍茶かもしれません(^^) 本年もご愛読、コメントをたくさんいただきまして、ありがとうございましたm(_ _)m来年もマニアックだけど分かりやすい?を心がけ、更新していきたいと思います。どうぞ良いお年をお迎え下さい。今年も茶縁に感謝♪
2008.12.31
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立て続けに安渓鉄観音(^^;)今度は、香港より。極品鉄観音(英記茶荘)鉄観音が香港にやってくると、再焙煎されることが多いようです。高温多湿の気候だったり、好みだったり、華僑への輸出基地だったりと色々な理由があるのでしょうけれど、香港の鉄観音といえば、青々としていないという印象。そして、店ごとに伝わる焙煎技術で、味が決まってくるようなところがあります。お茶は全く採れない土地柄ですが、茶荘の腕の見せ所が大きいという点で、香港というのは面白いマーケットではないかと思います(^^)というわけで、今回は六本木ヒルズにお店を構える、英記茶荘でお買い物してきました。#あまりにも定番。茶葉も青くなければ、水色も青くない。同じ鉄観音とはいえ、香りが違います。火を入れる(焙煎する)ことによって、甘い香りが強調されている感があります。昨日の鉄観音と比べると、香りの成分は多くないのですが、甘い香りだけを抜き出してギュッと詰め込んだような感じです。少し香ばしい感じの口当たりで、青いのが苦手な方でも飲みやすいお茶だと思います。舌にキュッと来る酸味があり、鉄観音らしさが感じられます。喉に落ちてからも、よく香りが戻ってきます。まったり喉に甘い香りが残る感じです(^^)香りや喉ごしから判断するに、発酵程度はあまり高くはないと思います。やっぱり鉄観音の発酵が軽くなっている影響は香港にも出ているようです。焙煎の分、やや厚みはないですが、よくまとまっているお茶だと思います。火が入っている分、ほっこりしていますので、冬場にはこちらの方が飲みやすいかも。こういうお茶は、じっくりと味を引き出すために茶壺を使いたくなりますね。同じ鉄観音でも、安渓と香港では全く個性が違うというのが、なかなか面白いと思います(^^)火のちからが生み出す魔術といったところでしょうか。焙煎は面白い(^^)
2008.12.25
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本日、我が家の茶棚から、2006年・冬茶の茗心茶皇が”発掘”されたので、飲んでみました。茗心茶皇茗心茶皇は、台北のお茶屋さん・茗心坊の独自の焙煎がかかった梨山茶です。上海人に買い占められてしまって買えないはずだったのを、林さんの手持ちのお茶を譲ってもらって購入してきたものです(その経緯はこちら)。”茶皇”と随分大げさな名前がついていますが、その名に恥じない美味しさのあるお茶です。#ちょっと、お高いんですけどね。焙煎がかかっている分、茶葉の外観の色は落ち着いています。せっかくなので、茶壺で淹れました。水色は、高山茶のトレンドの緑っぽい茶水ではなく、より黄金色に近い感じです。この水色は、発酵度が少し高めであることの証明でもあります。まあ、美味しいお茶とはいえ、2年前のお茶ですから、さすがに、あまり期待できないかなぁ・・・(-_-)と思っていたのですが、これがドンピシャリ♪これ!これが梨山!と思わず、ガッツポーズしてしまいそうなお茶でした(笑)焙煎のおかげか口当たりがスムーズ。最近の梨山、発酵が軽くなりすぎたせいか、口に茶水を運ぶ時点で、「うわっ、生」と思うことが多いのですが、これはそうじゃない。抵抗なく、口に含むことができます。しかし、ひとたび口に入れば、まさに梨山!という感じの、フルーティーな豊かな香りと甘さが口いっぱいに広がります。清香なんだけど、芳醇でものすごくボディのある味。味わいがものすごく豊かです。そして、喉元に落ちてからも、ずーっと余韻が残ります。聞香杯に残る香りの持続力もかなりのものです。やっぱり、梨山はこうでなきゃ!これこそ、ストライクど真ん中というやつですね。いやー、しばらく大陸茶にうつつをぬかしていましたが、これはヤバイぐらいに美味い(^^;)焙煎の技術もさることながら、しっかりと発酵させた力のある茶葉を使っているのが、素晴らしいと思います。うーん、台湾の高山茶は凄い!と思わせてくれる、お茶でした。やっぱり茗心坊は、初日に行こうっと(^^♪#ええ、上園より前に行かないと、大変なことになりますから。。。え、うしろの茶壺に見覚えがないけど、それについては、コメント無しかって?・・・お目が高いですね(^^;)#まあ、このブログに茶壺の姿が出てくるのは、珍しいですからね。いやー、茶器購入禁止令を敷いていたのですが、この西施壺には、あっさりと陥落しました。ははは出元は上海小町さん。「西施だけは弱いんですよねぇ」と言っていた後に、サロンにお邪魔したら、西施壺が並んでた。ちょっとした”茶壺との合コン”状態とでも言いましょうか(笑)どれもなかなか良いもので、少々唸ってしまったのですが、その中で一番かわいい子?を、お嫁にいただいてきたというわけです(^^;)台湾の高山茶専用で、箱入りにして育てます♪サロンに行かれる方、茶器も要チェックですぞ!やっぱり、ちゃんとした梨山は美味しい(^^)
2008.10.28
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中国茶・台湾茶は、それこそたくさんの種類があって、それぞれに異なる個性があります。お茶の個性を上手に使って、生活のリズムを整えるというのも、お茶の楽しみ方の1つではないかと。たとえば、気分を思いっきり変えたいときに飲むお茶ご飯と一緒に飲みたいお茶誰かとのんびり話すときに飲みたいお茶秋の夜長に合うお茶作業をしながら飲みたいお茶 etc...など、シーンごとに、それぞれ用意しておくと、お茶を飲む楽しさも一層広がります。そんな中で、仕事や作業をしている最中に「一番邪魔にならないお茶だなぁ」と思うのが、私の場合、中国緑茶。特に、この時期になると、春先の初々しいばかりの新茶の香りもすっかり落ち着いてしまっていますから、”美味しさに意識を持って行かれる”ことが無くなります(^^;)むしろ、香りに意識が行かない分、お茶の本来持っている甘さを感じられるのは、今の時期かも。しかも「シーズンじゃないから・・・」とお店も安く販売してくれたりするので、結構嬉しい(笑)そんなわけで、今日は黄山毛峰にしてみました。緑茶は、なんと言っても、お茶を淹れるのが超お手軽。基本的には、温めたガラスコップに茶葉を入れ、お湯を差すだけ。少しコツもありまして、最初にちょっとだけお湯を注いで、茶葉をお湯になじませ、香りを立てます。そのあと、お湯を適量注ぎます。熱湯ではなくて、ポットのお湯で十分です。そして、飲みきらずに、5分の1ぐらいになったら、差し湯をしていく。茶葉の周りのお茶エキスの濃ゆい部分を少し残しておくことで、安定したお茶の味が続きます。これをダラダラと繰り返していると、茶葉の力にもよりますが、半日は楽に持っちゃいます(^^)それでいて、ずーっと飲んでいると、舌の上にお茶の甘さが残っていく。リラックス効果のあるテアニンの作用も期待できますし、カフェインも入っているから、眠気も覚める。手間もかからないし、主張しすぎないけど、しっかり仕事の友?としての活躍をしてくれます。コップと茶葉とポットのお湯さえあれば、ずーっとお茶が飲める。そりゃー、面倒くさがりな中国人。みんな緑茶を飲むわけです(笑)この時期でも緑茶。ありだと思います(^^)TPOでお茶を変えよう♪
2008.10.27
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さて、サントリーの烏龍茶に入っていた、武夷水仙とは何者か。これを説明しようとすると、武夷岩茶って何よ?ということを、定義しなければなりません。この武夷岩茶という言葉の定義が少々難しい(^^;)実は、狭義の武夷岩茶と広義の武夷岩茶の2パターンがあるのですが、これが混乱して使用されている&余計な伝説の尾ひれがついているので、岩茶は訳の分からないお茶になっているように感じています。・・・ええ、だから私も「キーッ」となって、岩茶を避けていたんですけど(苦笑)そんなわけで、今日は伝説をぶった切って、淡々と事実をご紹介してみます。<正岩茶を武夷岩茶と定義する場合:狭義の武夷岩茶>お茶好きな方にとっては、武夷岩茶といえば、武夷山の岩の上で生育された、いわゆる正岩茶を指すと思います。太古の時代は海だったという、ミネラル分を豊富に含んだ武夷山の岩。茶樹にとっては、岩というのは生育に厳しい場所ですが、根をしっかりと張って、水や養分を岩から吸収します。さらには、九曲渓という川が山の間を縫うように流れているため、湿度が高く、霧が発生しやすい気候です。こうした独特の土壌と気候が、武夷岩茶の味を作るといわれています。その独特の味わいが、”岩骨花香”と表現される”岩韻”です。これこそが正統な武夷岩茶、いわゆる正岩茶なのですが、”正”岩茶と表記するからには、それ以外のお茶もあるわけです。それが半岩茶と洲茶。簡単に書くと・・・正岩茶は、武夷山市の中でも、いわゆる三坑二潤と呼ばれる場所で育てられたもの。ミネラルたっぷりな岩ばかりです。半岩茶は、正岩茶に近い場所だけれども、九曲渓沿いの低地だったりで栽培されているもの。岩だけではなく、土になっているところもあります。洲茶は、それよりも広い範囲。武夷山市内のお茶で、岩というよりは土の上で栽培されているお茶です。これが、伝統的な生態(というか土壌)での武夷岩茶の分類です。正岩茶の栽培できる範囲は、とても狭く、世界遺産に指定されている地域の中にあります。さらに、伝統的に茶摘みは年1回の春のみです。それを伝統製法だと、休ませながら秋まで焙煎を続けるのです。どう考えても、生産量が限られています。だから、需要が増えれば、どんどん高くなります。そんなわけで、中国の経済成長に伴い、最近の岩茶の価格は急上昇しています。そういう状況にある正岩茶は、ペットボトルにはまず入らないでしょうねぇ。。。そうなると、ペットボトルのお茶に入っている武夷水仙は何者か?ということになります。そこでもう1つの基準が登場します。中国の国家標準です。<中国の国家標準で武夷岩茶を定義する場合:広義の武夷岩茶>中国というのは、昨今の事件を見ていると、とてもいい加減な国家のように思われますが、実は細かなことまで規制でがんじがらめの国家です(問題は、そのチェック機能が、適切に機能していないことです)お茶の品質に関しても、国家が決めている国家標準というのがあります。特に、産地呼称の問題もあるので銘茶については、お茶ごとに国家標準が作られています。これ、武夷岩茶についても当然定められています。その国家標準、2006年に改訂されたのですが、これを読むと、武夷岩茶は、このように定義されています。#興味のある方は、GB/T 18745-2006 で、百度あたりで検索してみてください。武夷山の独特な自然環境下で、適切に繁殖・栽培された茶樹の品種を用い、独特の伝統的な加工技術によって作られた、岩韻(岩骨花香)の特徴がある烏龍茶のこと。だそうです。武夷山で作られていて、品種が武夷岩茶のもので、作り方が正しくて、岩韻があることが、武夷岩茶であると定義されています。このあと、どのくらいの間隔で植えるのかとか、剪定をどうするかとか、肥料はどうやるかとか、事細かに標準が規定されています。いやー、細かい(^^;)生産地域についても、厳密に定義がなされていて、武夷山市の風景区(いわゆる世界遺産地域。およそ70平方キロメートル)を名岩産区、それ以外の武夷山市の地域を丹岩産区と区別しています。この2つの地域以外から持ってきたら、それは武夷岩茶ではないということです。逆にいうと、”武夷山市で作られているお茶は、条件を満たせば、全部、武夷岩茶になる”ということですね。ちなみに武夷山市の面積は、武夷山市ホームページによれば2798平方キロメートル。日本で言えば、神奈川県より広く、鳥取県より少し狭いぐらいの大きさです。・・・って、かなり広いんですけど(^^;)でも、考えてみましょう。福建省北部のお茶と言われるよりも、武夷岩茶といわれたら、産地の範囲が狭いわけですから、より希少な茶葉なわけです。ええ、これは範囲の程度の問題です。新潟産コシヒカリと魚沼産コシヒカリの違いのようなものです(正岩茶が南魚沼産てなとこですね)。商売レベルで武夷岩茶を定義する際に使われるのは、もちろん広義の意味においてです。ですので、現地で商売している人は、広義の意味において”本物”であることを主張すると思います。”岩韻弱ッ”と思っても、国家基準をクリアしていれば、武夷岩茶には違いありません。そういう国家標準が存在するからです。そもそも、そうしないと量を確保できませんし、採算に乗りません。また、そのようにして作られたお茶でも、丁寧に作られたものは、十分に美味しいと感じられます。コストパフォーマンスの点で、優れているわけです。しかし、日本側の消費者には、伝説の刷り込み?がありますので、狭義の意味の武夷岩茶こそが岩茶だと信じていたりします。だから、「これは偽物の武夷岩茶!」と言い出す人が出てきたりします。特に、お茶好きほどです。もちろん、正岩茶100%の武夷岩茶も買えないことはありません。しかし、そのためには正岩茶を栽培されている農家とのコネクションを強く持っていないと、いけないことになります。そして、その稀少さに見合うだけの金額を積めるかどうかが全てを決します。要は「高い!」ということです。たとえは悪いですが、茶農家・茶メーカーにとっては、正岩茶は”コーラの原液”に匹敵するほど、貴重なものです。コーラは原液を水で薄めて出荷するように、正岩茶に他のお茶をブレンドして出荷すれば、岩韻のある正統な武夷岩茶として高い値で売れるからです。原液をそのまま出荷したら、農家はその分、儲ける機会(販売量)を失います。その分を補償できるような金額で買い取らないと、経済原則的に「売るはずがない」のです。どんなに親しい友人でも、販売できる量を大量に調達してあげるのは無理でしょう。というわけで、安いのに”正岩茶”だの”岩の味が・・・”と販売していたら、「それって・・・」というのが私の感覚です。”武夷岩茶”だったら、広義の意味でOKなので問題ないのですが。#ああ、また、お茶屋さんに嫌われるようなことを書いてしまった(汗)なお、水仙というのは品種の名前です。私、個人的には、旨味の強い優れた品種だと思っています(^^)元々の原産地は福建省の建陽県水吉大湖。1722年に発見され、福建省北部に広く広まった品種で、武夷山にも清代に導入された品種です。単位面積当たりの収量の多い品種でありながら、独特の香りと味わいの深さを持つため、いまや武夷山そして福建省北部(ミン北)の代表的な品種の1つになっています。武夷山以外でとれる水仙は、ミン北水仙と呼ばれています。水仙は、福建省北部以外でも、福建省南部(ミン南)、台湾などにも導入されています。同じ品種でも、製茶の仕方が当地独自のやり方で、それぞれ違うので、結構混乱したりします(^^;)※ちなみに鳳凰水仙種は、広東省原産なので、全く別物です。武夷山にも100年ほど前に外来品種として導入されていますさて、まとめましょう。今まで見てきた通り、武夷水仙というのは、2つの意味があるわけです。マニアックな定義で言えば、武夷山の国家風景区の中の三坑二潤で作られている水仙種で、伝統製法で作られたもの。商売に使用される定義で言えば、武夷山市内のどこかで作られた水仙種のお茶で、国家基準をクリアしたもの。おそらく、ペットボトルに使用されるのは、後者のものだと思います。でも、問題は自分にとって、美味しいかどうかです。値段に見合う美味しさがあれば、万事OKです。中国の法律にも触れていないですし。私、サントリーの烏龍茶はそういう意味では、全然問題ないと思います(^^)正岩茶だけで作られたお茶でなくても、品質の良いものは、十分美味しいのです。もちろん、正岩茶で美味いのは、本当にひっくり返るほど美味しいんですけど(^^;)#残念ながら、目玉が飛び出るほど高いのです。陳年にするのにも向いているので、最近買い占めが起こっているそうです。プーアルの次は岩茶かもしれませんねぇ。。。岩茶にお買い得品はありません
2008.10.24
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だいぶ涼しくなってきました。東方美人三昧も終わったところで、最近、研究?を始めたのが武夷岩茶(以下、岩茶)。武夷山の土壌(というよりは岩)の力なのか、焙煎のおかげなのか、身体が温まってくる感覚がとても強いお茶です(^^)正統な岩茶は、焙煎に大変時間のかかるお茶です。5月に茶摘みをして、焙煎しては休ませ、また焙煎し休ませ・・・と繰り返し、ようやく11月頃に新茶が登場しはじめます。実に手間のかかるお茶です。同じ岩茶という商品名で販売されていても、ペットボトルの烏龍茶と大差ないようなものもあれば、口から喉元までズッシリとした余韻が残って甘さが戻ってきて、身体がポカポカしてくるような凄いお茶まで、本当に差が激しい。まさにピンからキリまで。さらに品種や商品名も色々あり、買うのが実に難しいお茶です。そして、高いんですよねぇ・・・そんなシーズンを前に「岩茶をちょっと勉強しておこう」と思い立ちました。実は、岩茶は今まで避けてきた宿題でもあります。ええ、ぶっちゃけ、私の苦手分野です(^^;)苦手な理由は色々ありますが、伝説が多すぎるとダメなんです、私。。。そして、伝説が多いわりには、知りたい肝心な情報が出回っていない。私の知りたいのは、正岩茶と半岩茶、州茶の見分け方だったり、品種ごとの味の特徴だったりなのです。ブレンドが多いのも特徴の1つなので、ピュアなものとの違いをある程度見分けたいのです。・・・こういう肝心な情報がない。え、普通、そういう情報は要らないですか?(^^;)↑あくまで「現地でお茶を買うときに騙されたくない」という邪念?から、へんな方向に興味を持つわけですこういう場合は現地の情報に詳しい方に教えていただくに限ります。今古茶籍さんで、簡さんに「どうしたもんですかね」と相談。品種の特徴と武夷山の中での地域の特徴をつかんでいけば、岩茶はそんなに難しくないとのお答え。最初は、とにかく水仙と肉桂を飲んで、そこから四大名ソウを飲んでいくべし、と教えていただいたので、水仙と肉桂を2つずつ買ってきました。新茶は11月にならないと入ってこないので、去年のものですが、火の香りが消えていて、かえってこちらの方が分かりやすいかもしれません。品種は同じなのですが、栽培されている場所が違います。岩茶の味は、土壌の味。岩韻というのも岩の味です。その違いを見てみなさいということらしいです。違いが分かるかなぁ(^^;)・・・というわけで、今日は慧苑坑の水仙を飲んでみました。焙煎がしっかりかかっているのですが、生き生きとした茶葉に感じます。干からびちゃった感のある、その辺で売っている水仙とは明らかに違うことが分かります。1煎目は、チョコレートのようなかなり濃い水色。最初は、ちょっと味わいが出てこないのですが、2煎目、3煎目と重ねていくと、茶葉本来の力が出てきます。旨味がたっぷりで美味しい!のですが、力に圧倒されてしまって、そちらの方に気を取られてしまいます。味わいの分厚さが、並大抵のお茶ではありません。茶水が口を通り抜けて、喉に落ちてからも、しっかりと舌の上に残る余韻。ジーンと響くかのような感じで、旨さが舌にまとわりつくように残っています。岩韻とは、まさにこれ!というお茶です。飲んでしばらく経っても、舌から喉にかけて、お茶の味と香りが残ります。そして、汗が噴き出してきます。。。いやー、正岩茶はやはりスゴイ。これを飲むと、土壌の味というのがいかに強烈なものかを思い知らされます。恐ろしいことに、これが5煎、6煎と続けていっても、なかなか落ちてこない。別のと飲み比べようと思っていたのですが、結局、このお茶だけずーっと飲んでいました(^^;)しばらく、岩茶を色々飲んでみます♪ただいま岩茶研究中♪
2008.10.14
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今さらなんですが、先月末に私の所属している協会のお茶会で、東方美人の飲み比べをやりました。東方美人といっても、お店によって個性は色々。その違いを見ていくと、産地、ウンカの咬み具合、発酵程度などなど、色々な理由があるのですが、その中でも、品種の違いで、香りと味わいがどう変わるのかを体感していただくという趣旨です。お茶の手配とセレクトは、未熟者ながら、私が。#ま、こんなマニアックなテーマを普通はやろうと思いませんよね(^^;)茶譜としては、以下の通り。お茶は全て東方美人。産地&品種で、並べています。産地が一緒のものは、茶農家も一緒です。・桃園縣の青心大有・桃園縣の白鷺(台茶17号)・雲南省の雲南大葉種・台北縣の白毛猴・新竹縣峨眉の金萱・新竹縣峨眉の青心大有・台北縣坪林の青心烏龍・新竹縣北埔の青心大有以上8種類。並べるとこんな感じ。結構壮観ですね(^^;)壮観だったのはお菓子も。北海道銘菓が多数。そこに沖縄土産が混じっています(^^;)今回は、あくまで”茶会”。勉強会ではないので、品種比べといっても、ゆるーい雰囲気で飲み比べていました(笑)それでも、やっぱり色んな種類を一度に飲んでみると、違いが見えてきます。色々な方の感想を総合してみると、クッキリとした東方美人らしさを強く感じるのは、青心大有のものだったようです。特に、2006年の北埔の東方美人は、相変わらず頑張ってくれました。水の相性があるのか、持ち味の”蜂蜜感”は、いまいち出なかったのですが、甘さの表現はやっぱり抜けていました。みんなで集まって、いろんな美味しいお茶を飲む。お菓子をつまみながら、わいわい、しゃべる。・・・あんまり難しいことは考えずに。これ、とっても大事(笑)こういう楽しい雰囲気が、お茶の一番の効用ではないかと。何人かで集まって、飲み比べ茶会。これからの時期、オススメです(^^)飲み比べは楽しい♪
2008.10.08
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