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2017.07.09
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2014年4月26日(土)、探訪会「シャクナゲの里をゆく」に参加しました。
これは平成26年度滋賀県教育委員会文化財保護課が主幹されている「歴史探訪等のイベント」の第1回です。事務局とボランティアガイドの皆さんのお世話になりました。感謝!
(かいがけ) 谷ホンシャクナゲ群落を観て、蒲生氏の居館・山屋敷遺跡、屏風岩、正法寺(藤の寺)を訪れてみようという探訪企画です。

日野町探訪の再録によるご紹介の一環に、この時のまとめも加えておきたいと思います。タイムリーさには欠けますが、日野町の魅力を知るには良いかと存じます。

なお、 日野鎌掛の里は、8月下旬~11月初旬は、ダリアが咲き競う地に 変身することを追記しておきましょう。日野ダリア園が2002年にオープンしています。 こちらについては、ここからアクセスしてみてください。 (花の郷日野ダリア園ホームページ)

天然記念物のホンシャクナゲ群落が観られる時季 、つまり2014年4月26日(土)~5月6日(祝・火)に 「しゃくなげ渓」が開園されていて、臨時バスの運行の便宜も 図られていました。今回の探訪はその初日に合わせた企画でした。
「シャクナゲは滋賀県の郷土の花として知られ、春に紅紫色から白色の美しい花を咲かせる」のです。このシャクナゲは、昭和29年(1954)に行われた「郷土の花選定運動」での投票により選ばれたそうです。 (資料1)

冒頭の画像がその場所・鎌掛谷にアプローチする入口です。 「しゃくなげ渓」という標識 が道路脇に出ています。駐車場傍に大きな看板が建てられていて、一番奥に「 森の家」という案内所兼特産品販売コーナーのある建物 があります。

下の部分地図(観光案内リーフレットから引用)をご覧ください。日野町の南東方向に位置します。大凡の位置はこれでご理解いただけるでしょう。

詳しい地図(Mapion)は、こちらからご覧ください


現地の案内用に作成された 「しゃくなげ渓Map」 です。これも参照しながら、ご紹介したいと思います。 (資料2)

「森の家」近くにもシャクナゲが咲いています。
「森の家」に向かって右側が入園受付場所になっています。車道はしばらくの区間、歩行者専用になっています。

その先の車道は「しゃくなげ池」の傍まで園内バスがピストン運行されていて車道の歩行は禁止です。

私たちは谷川に架けられた木橋を渡って遊歩道を歩みます。

              赤いカーネーションツバキが咲き誇っていました。
  ピンク色の椿も咲いています。


 遊歩道沿いの谷川畔にもシャクナゲが点在しています。

「しゃくなげ池」の入口付近 には桜がまだ満開状態でした。

 いよいよ鎌掛谷沿いの遊歩道に入り渓谷沿いに山道を登っていきます。
「天然記念物鎌掛谷ほんしゃくなげ群落地」の起点です。




谷川の対岸の渓谷斜面にホンシャクナゲの群落が見えます 。爺斧岨 (やぶそ) 川渓谷の急峻な岩盤斜面に群生しているのです。斜面の傾斜は40度以上になっています。 (資料1)
例年よりも少し早めに開花があったようで、初日からかなり花開いている状態を鑑賞できました。

これからしばらくは、一層花の盛りを観ることができることでしょう。
何カ所かに説明板が建てられています。 ホンシャクナゲは普通は標高800~1000mに自生するそうなのですが、この鎌掛谷では標高350m前後のところに群生しているのが観られるのです。



ホンシャクナゲは本州の中部地方以西と四国に分布するツツジ科の常緑低木 で、比較的標高の高い渓谷の斜面などに生育し、適度な湿り気を持った土壌を好む。樹高は4mほどで4月下旬から5月中旬にかけて」開花するそうです。 (資料1)

比較的緩やかな山道・Aコースを登っていくと途中から展望台までが少し急な階段状の登道になります。その距離はわずかですガ・・・・。

展望台から対岸の山を見たところ。画像の右側に群落が見えます。

「しゃくなげ池」への戻りは、Aコースを引き返すのですが、オプションでさらに少し登ってから下って行く山道・Bコースを利用できますとのことで、Bコースを選択。途中から探訪グループのメンバーに合流することにしました。
 Bコースの山道に脇には、ツツジも咲いています。


ホンシャクナゲの花も少し観られます。
ただし、BコースではAコースで観た対岸の群生景観は樹木に遮られてほぼ見られませんでした。

そして、 「しゃくなげ池」 畔で昼食休憩。午後は鎌掛山屋敷跡の探訪からとなりました。
この「しゃくなげ池」は「農林省の直営事業によって昭和16年に竣工した砂防堰堤によって形成され、現在は灌漑池としての機能も備えている」のです。 (資料1)

これが「しゃくなげ池」の景色です。
池の上流側からの眺め。  爺斧岨 (やぶそ) 川に架かる「しゃくなげ橋」を渡った先からの眺め です。

池の下流側から上流側を見た眺め

再録にあたり、追記します。
手許の歳時記を引くと、一書には「シャクナゲ」は漢字で春・四月の季語として 「石南花」 で載っていて、季語の説明の中で、 「石楠花」 とも記されています (資料3) 。もう一書には、「石楠花」で載り、夏の季語としています。そして、「石楠花の名はよく知られているが、漢名を誤用したもので、中国でいう石楠花はまったく別の植物である」とも (資料4) 。もう一書も夏の季語として取り上げています (資料5) 。中国ではどんな植物のことをいうのでしょう・・・・・。その具体的な説明はありません。

収録されている俳句をいくつか引用して、ご紹介します。私の好みでの抽出です。
   石楠花や雲の中なる行者みち   河村宰秀
   禅苑の石南花明りして静か    松尾千代子
   石楠花は日蔭をよしと盛りなる  高浜年尾
   石楠花や朝の大気は高嶺より   渡辺水巴
   石楠花の岩落つ水は淵をなす   石橋辰之助

ネットで検索していて、島木赤彦が「木曾街道より入ること六里にして氷ヶ瀬に至る」と詞書した十首のなかで石楠花を二首で詠んでいることを知りました。 (資料6)
   石楠(しゃくなげ)は寂しき花か谷あいの岩垣淵に影うつりつつ
   石楠の花にしまらく照れる日は向うの谷に入りにけるかな

日本原産種に、ツクシシャクナゲ・キバナシャクナゲ・ハクサンシャクナゲ・ホソバシャクナゲなど があるそうです (『日本語大辞典』講談社) 。原産種がある花のようですが、手許の『萬葉植物事典』をチェックしてみると、『万葉集』にはこの花名で詠まれた歌はありません。また、日本国際文化研究センターの和歌データベースの検索機能で「しゃくなげ/しゃくなけ/石楠花/石南花」の語句を検索してみましたが、シャクナゲを詠み込んだ歌はヒットしませんでした。桜や梅だと300首以上ヒットします。

シャクナゲは上記のとおり滋賀県の県花(郷土の花)です。またネパールの国花でもあるそうです。
その花言葉は、「威厳」「荘厳」であり、一方で「警戒」「危険」をも意味するとか。 (資料7)

シャクナゲからの波紋が広がりますが、一旦この辺りで立ち止まりましょう。

つづく

参照資料
1) 「近江水の宝 鎌掛谷ホンシャクナゲ群落 日野町鎌掛」
   滋賀県教育委員会・滋賀県埋蔵文化財センター  
2)「滋賀県日野町」 二つ折りA4リーフレット 日野観光協会・日野町役場
 「平成26年度滋賀県・日野町 しゃくなげ渓Map」 同上
   (上掲写真の裏面には、日野町Map、しゃくなげ渓行臨時バス時刻表等掲載)
3)『改訂版 ホトトギス新歳時記』 稲畑汀子編  三省堂
4)『合本 現代俳句歳時記』 角川春樹編  角川春樹事務所
5)『吟行版 季寄せ草木花 夏[下]』 選・監修 中村草田男  朝日新聞社
6) 第2回 四月「石楠花・しゃくなげ」  歌人・田中保子氏 :「京都・花の詩・花のこころ」
7) シャクナゲ 花言葉   :「花言葉事典」

補遺
鎌掛谷ホンシャクナゲ群落 学習シートNo.115  :「滋賀県総合教育センター」
日野観光協会  ホームページ
シャクナゲ  :ウィキペディア
ホンシャクナゲ  :「みんなの花図鑑」
シャクナゲ   :「花と緑の図鑑」
美郷町ホンシャクナゲ自生地  :「島根県」
県の木・郷土の花・県の鳥   :「滋賀県」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

観照&探訪 [再録] 滋賀・日野町 みたびめは花に引かれて -2  鎌掛山屋敷跡遺跡、屏風岩、正法寺(藤の寺)へ

探訪 [再録] 滋賀・日野町 蒲生氏郷の足跡ふたたび -1 中野城跡、涼橋神社、興敬寺、大日堂 へ
       4回シリーズでご紹介した探訪記の第1回目です。

探訪 [再録] 滋賀・日野町 蒲生氏郷の足跡周辺を訪ねて -1 信楽院(蒲生家菩提寺)と雲竜図 へ
   7回シリーズでご紹介した探訪記の第1回目です。







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Last updated  2017.07.10 11:51:20
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