遊心六中記

遊心六中記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません
2023.07.04
XML
カテゴリ: 観照
=== 2023.6.16 ===
南の空
9時25分頃に 撮りました。連続していたくもりの天気が やっと晴れに転換 しました。
南西方向の空
西方向の空
                        空には白雲が漂っています。こういう雲がみられると気分が和らぎます。

東方向の空 は、晴れた朝によく見かける感じの空と雲の状態です。

東方向の空
14時半頃に 眺めると、稜線上には大きく白雲が浮かび、青空がクリアに見えます。

南の空 には、グレーがかった雲がぐんと張り出してきていますが、雲の合間に青空が見えます。
南西方向の空
西方向の空

南の空
18時20分頃に 撮りました。雲は灰色がかった状態で動きがありますが、晴れた天気の一日となりました。
南西方向の空
西方向の空
南東方向の空
                                   南東方向はより広く青空が見えます。

                東方向の空 ​で​ 一番青空が広がっていました。

さて、雲がたりに移ります。
今回から『源氏物語』 の中で詠まれている和歌に目を転じていきます。
作中和歌は全部で795首 という多さです。源氏五十四帖のどこに「雲」あるいは「くも」を詠み込んだ歌があるでしょうか。何回かに分けて抽出していきたいと思います。

『源氏物語』は「桐壺」から始まります。各帖に何首の歌が詠み込まれているかを明記しました。
『源氏物語』登場人物の誰が詠者であるか、並びに和歌のコミュニケーション機能の区別を参照資料に基づき略号で明記しました。その区分は:贈答歌⇒贈・答、唱和歌⇒唱、独泳歌⇒独。源氏物語は官位官職名で登場人物が出てきます。同一名称の詠者が登場してきますので、A,B、・・・を併記して区別しています。物語では時間軸と文脈とからその区別ができますので、当時の読者にとっては支障がなかったのでしょう。
全795首に通し番号を付しています。
雲がどのように、どういう形で詠み込まれているかを楽しみましょう。

桐壺 (全9首)
いとどしく虫の音しげき浅茅生に露おきそふる雲の上人   桐壺更衣母、贈   4
    [付記] いとどし:ただでさえ・・・なのに、いっそう・・・である。
      浅茅生:ちがやが生えている場所。ここでは荒れ果てた庭の意。
      露:「浅茅生」の縁で「涙」を「露」と表現。
      雲の上人:宮中に仕える貴人。大宮人。狭義には、殿上人。
           ここでは、勅使の命婦をさす。

雲のうへもなみだにくるる秋の月いかですむらむ浅茅生のやど  桐壺院、独   7
  [付記] 雲の上:(高くて遠い)空。ここでは宮中の意味。「月」の縁語
      涙にくるる:涙で目が曇る。涙で目がかすむ。
      いかで:どのようにして。 すむ:「澄む」と「住む」との掛詞
      浅茅生の宿:荒れた宿。ここでは母君の邸。

夕顔 (全19首)
見し人の煙を雲とながむれば夕べの空もむつまじきかな   源氏、独      36
  [付記] 見し人:以前つきあった人。契りをむすんだ人 煙:火葬の煙。
      ここでは夕顔を火葬した煙。その煙を雲に見立てる。
      むつまし:慕わしい。懐かしい。

紅葉賀 (全17首)
尽きもせぬ心のやみにくるるかな雲ゐに人を見るにつけても  源氏、独    100
  [付記] 尽きもせぬ:尽きることのない。 くる:心が暗く沈む。
      心の闇:若宮を思う親心の闇と藤壺を恋慕する心の闇の重なり。
      雲ゐ:宮中の意。ここでは雲の上の人として遠のいた藤壺をさす

(全24首)
のぼりぬる煙はそれと分かねどもなべて雲ゐのあはれなるかな  源氏、独   118
  [付記] ぬる:完了の助動詞「ぬ」の連体形。 なべて:(あたり)一面に。
      煙:火葬の煙。ここでは葵の上の亡骸を焼き立ち昇った煙。
      雲ゐ:雲の空とほぼ同意。 あはれなり:しみじみと心打たれる。

雨となりしぐるる空の浮雲をいづれの方とわきてながめむ  頭中将A、贈    122
  [付記] しぐるる:しぐれる。 いづれの方と:どれをそれ(=火葬により
      煙となって昇っていった亡き人の姿)と。
      わきて:判断して。見分けて。 ながめむ:眺めようか。

見し人の雨となりにし雲ゐさへいとど時雨にかきくらすころ  源氏、答    123
  [付記] 見し人:ここでは葵の上。 いとど:ますます。いっそう。
      かきくらす:あたり一面を暗くする。悲しみにくれる。の掛詞
      ころ:今日この頃よ。

賢木 (全33首)
ここのへに霧やへだつる雲の上の月をはるかに思ひやるかな  藤壺、贈    154
  [付記] ここのへに:幾重にも重なっていること。宮中との掛詞
      月:空の月に、帝を暗喩させる。 はるかに思ひやる:はるかに
      想像する。裏に、帝にお目にかかれない意を含ませている。

​月のすむ雲ゐをかけてしたふともこのよのやみになほやまどはむ​  源氏、贈  160
  [付記] かけて:心にかけて。 したふとも:お跡をお慕い申して出家する
      といたしましても。 この世の闇に:子ゆえの心の闇に
      なほやまどはむ:やはりまどうことでしょう。

「賢木」まで調べてきますと、 「帚木」(全14首)、「空蝉」(全2首)、「若紫」(全25首)、「末摘花」(全14首)、「花宴」(全8首)には、雲を詠み込んだ歌は登場していない ことがわかりました。
詠み込まれ方としては、 「雲ゐ」「雲の上」「雲の上人」という形 です。これらは、すべて「宮中」を重ねて詠み込まれているようです。唯一 「浮雲」 が別格のようです。しかし、火葬でたち昇って行った煙が雲になり、浮雲の一部になるという発想が述べられていますので、これもまた、宮中での人間関係での懐かしさが雲に込められているということになりますね。

それでは、再び雲の変化に戻ります

=== 2023.6.17 ===
南の空
昨日に続き、 天気はまさに朝から快晴 です。 10時50分頃に 撮りました。雲無し!
南西方向の空
西方向の空
東方向の空
朝でも時間帯が遅かったからでしょうか、東方向の空にも青空の色がはっきり目に入ってきます。稜線の上に少し白雲が浮かんでいます。


18時25分頃に 東方向の空を眺めてみました。
白雲は飛び去り、稜線上空は快晴そのものに変化していました。
南の空
南西方向の空
西方向の空
頭上の空

雲の姿は見られませんでしたが、快晴が続き良き一日でした。

つづく

参照資料
*『常用 源氏物語要覧』 中野幸一編 武蔵野書院
*『源氏物語必携事典』 編:秋山虔・室伏信助 角川書店
*『源氏物語』1~6 日本古典文学全集  小学館
*『学研全訳 古語辞典 改訂第二版』 監修:金田一晴彦 編集代表:小久保崇明 学研
*『明解古語辞典 新版』 金田一京助・金田一春彦 監修 三省堂



こちらもご覧いただけるとうれしいです。
    ​ ベランダから見た雲の変化と雲がたり 掲載記事一覧表





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.07.04 16:20:40
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: