遊心六中記

遊心六中記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません
2023.10.29
XML
カテゴリ: 観照

1階に降り、 <第5章 巨大伽藍と仏教彫刻>のセクション に入ると、 すぐ左側に撮影可能エリアが設定されています 。エリアを正面から見て 右側には、「仏手」 が展示されています。


これは、かつて 東福寺の本堂(仏殿)に安置されていた 旧本尊・釈迦如来坐像の左手 です。指先端から手首矧面まで 217.5cm という大きさ。大人の背丈より大きな左手です。木造・漆箔。鎌倉~南北朝時代 14世紀に造立された仏像でした。

この仏手は、現在は本堂(仏殿)内の左脇壇に指を上にして立てて祀られています。


本来であれば、 釈迦如来の左手が間近でこんな感じに見えるのでしょうか。


(資料1)
江戸時代に出版された 『山州名跡志』の第12巻 は、東福寺の項で、 「本尊 釈迦佛 坐像五丈」 と記しています。1丈は10尺です。この場合、 この釈迦像が立てば五丈(約15m)の大きさ を意味するそうです。坐像の像高が約半分とみても 7m余の高さの仏像 だということになります。
創建当初に造立された本尊は、はやくも元応元年(1319)に焼失しました。この仏手は、その後に 再興された本尊の仏手 だそうです。 その本尊が再び明治14年(1881)に焼失 してしまったです。そして残ったのがこの仏手。






逆に 左側には 、これが展示されています。 「蓮弁」 です。
焼失した本尊の台座である 蓮華座の蓮弁 と推定されています。これは 横幅がほぼ1m あるとか。
東福寺内の塔頭に大小いくつかの蓮弁が伝来しているそうです。





中央に安置されているのがこの 「釈迦如来坐像」 です。木造・漆箔で像高 87.5cm。
小さく見えますが、坐像でこの高さですから、 立てばほぼ等身大の大きさ といえます。



この釈迦如来坐像は 旧本尊の光背にあらわされた化仏の一つ だったのです。
この化仏一つからでも、旧本尊の巨大さを偲べることでしょう。 


現在は塔頭の一つ、南明院の本尊として祀られています


     この 説明パネル は仏手の近くに掲示されています。
     旧本尊との関連性がイメージしやすくなるガイドです。



これで特別展「東福寺」の鑑賞に関連して覚書を兼ねたご紹介を終わります。

つづく

参照資料
*図録『特別展 東福寺』 発行 読売新聞社・NHK・NHKプロモーション 2023
1) ​ 山州名跡志. 巻之1-22 / 白慧 撰 ​ :「古典籍データベース」(早稲田大学図書館)

補遺
京都国立博物館 ​  ホームページ
臨済宗大本山 東福寺 ​ ホームページ
化仏 ​   :「Web版 新纂浄土宗大辞典」
化仏 ​   :「コトバンク」
化仏 ​   :ウィキペディア
釈迦如来 その時代と変遷 ​   :「祈りの回廊」

 ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

観照 京都国立博物館 特別展「東福寺」 -1 特別展への誘い へ
観照 京都国立博物館 特別展「東福寺」 -2 展示室を巡る へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.10.29 14:48:28
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: