漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

2016.11.12
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北穂高岳南峰








    槍穂高連峰単独縦走行記 ・ 北穂高岳南峰山頂の水場






ゆくてには北穂高岳の南峰が聳え立っている。
画面左側の峰を登山者たちが登っている。
かなり危険な登山路である。

大キレットほどの危険度は無いが慎重に登らねばならない。
下りには鎖場もある。

山頂はデコボコガクガクとした岩がガラゴロところがっている。

僕は世界中で最も旨い水を知っている。
前穂高岳から奥穂高の小屋を越えて、
北穂高岳へ向かう途中の涸沢岳の最低鞍部を通過中の事であった。

前から登山者が

                       水を少しもらえませんか
と、
声をかけてきた。

よほどの出来事か、
何故充分な水を持たずに北穂高の小屋を出たのか。

詮索してもセンナイので水を飲ませてあげたが水筒の水がほとんど無くなった。

見上げる北穂高の南峰までの辛抱だと心に言い聞かせたが渇きがキツかった。
艱難辛苦を懸命にコラエにこらえて最後の水を腐り場の下で飲み干して南峰へ。

南峰の水場がある。
登山者の捨てた空き缶に雨水が溜まっているのだ。
空き缶の底部には赤錆がゆれている。

うわずみの水は乾ききった喉にうれしい。
山頂にあった10缶ほどのほぼ全部の水は世界でいちばん美味しい水であった。
また雨が降れば北穂高岳南峰の空き缶水場が出来る。

水を飲んでいい気分になって北穂高岳山頂の人々に手を振ると、
向こうでも手を振り替えしていたのを思い出す。

人は山が在るから山に登るのではない。



単独行者

                               玉地 俊雄





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最終更新日  2016.11.12 14:58:22


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