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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.10.25
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 精神医療の在り方に疑問を投げかける著作は数多くあるが、
 本著は、それらの中でもポイントをしっかり押さえ、
 具体的なケースを挙げながら、冷静に記述されている。

 問題として挙げられているのは、診断や投薬についてが主となるが、
 特にインパクトが強いのは、第2章の「拉致・監禁」と第4章の「過剰投与」。
 隔離病棟から脱出に成功した加藤さんや、
 多剤大量投薬で亡くなったアキラさんに関する記述には、ゾッとさせられる。

   ***

  画像検査などの客観的な診断法が確立していない精神科では、
  患者の話をじっくり聞くことでしか診断できない。
  それなのに患者の話をまともに聞かず、
  症状の有無だけで安易に診断する精神科医が増えてしまった。(中略)
  昔の精神科医が良かったとはとてもいえないが、
  近年の精神科医の診断能力低下は実に嘆かわしい。(p.22)

この神奈川県の精神科クリニック院長の言葉が、様々な問題の根底にある。

  一般の人にも名がよく知られ、
  とても有力な精神科教授が率いる大学病院を退院した患者さんを最近診て驚きました。
  入院中に脳波検査すら受けていなかったのです。
  2012年のことですよ。
  有名大学病院でもまだこんなレベルなのです。(p.71)

精神科医の斉尾武郎さんの言葉に、「なぜ?」という疑問が湧き起こる。
そして、斉尾さんは、このようにも述べている。

  基本を勉強せず、適当に診療しても怖くない精神科医がなぜこれほど多いのか。
  精神科の治療ではすぐには死なないので、
  間違った治療に対する罪の意識が薄いのでしょう。(p.75)

愕然とするしかないが、「そうかも」と思ってしまう、自分も怖い。
さらに、次の記述にも驚かされる。

  統合失調症の疑い例と、
  自閉症スペクトラムの二次的症状をきちんと鑑別できる精神科医は少ない。(p.180)

「できない者もいる」ではなく「少ない」だ。
患者の立場からすると、精神科医と名乗る者なら「誰でも出来る」と信じているのに。
こんなことを書かれてしまうと、自分の主治医に対しても
「この人は大丈夫なのだろうか?」と疑心暗鬼になって当然だ。

そして、幸運にも「出来る」主治医に担当してもらえたとしても、
薬を飲めば、副作用というものは、出るときには、出てしまう。

  パキシルは、衝動性を亢進する副作用が報告されている。(p.40)

  杏林大学准教授の渡邊衡一郎さんらが、
  抗うつ薬の服用者1187人を対象に行った2008年の調査では、
  射せい障害や性的感覚の衰えなえど、性機能障害の発生率が27.3%にのぼった。
  だが対処法がなく「我慢している」との回答が目立った。
  性機能障害の副作用に敏感な海外の調査では、さらに高い発生率が示されている。(p.213)

そして、副作用の次には、離脱症状が待ち構える。

  2005年初め頃から抗不安薬のソラナックスを飲み始めた。
  1日2.4mgの最大容量が処方された。
  この年の秋には別のクリニックに移ったが、
  そこでもソラナックスの最大容量の処方が続いた。
  田中さんは副作用を心配したが、2つめのクリニックの主治医が
  「何年も服用していい安全な薬」と話したため、4年以上飲み続けた。(p.250)

ここに登場した田中さんは、不調が続いたので、主治医に、薬をやめる相談をし、
服用量を半分にしてから、3か月後には断薬した。
減薬時には、激しいイライラ感が、
断薬後には、日光が眩しく、眼痛が起こり、意識が朦朧とし、救急車で運ばれてしまう。

その後、田中さんは、同じベンゾジアゼピン系の薬剤による副作用に苦しんだ
ウェイン・ダグラスさんと共に「 アシュトンマニュアル 」日本語版を完成させる。
精神科医ではなく、患者が作ったという事実が、日本の精神医療の現状を雄弁に物語る。
まだ分からないことだらけの疾患に、知ったかぶりをした人間が対処すると、悲劇は起こる。

精神疾患のメカニズムが解明され、
それに効用がある薬剤が、一刻も早く開発されることを期待するのはもちろんだが、
それ以上に、資質能力に欠ける精神科医が排除され、
誠実に疾患や患者と向き合い、知識能力を高める努力を怠らない医師ばかりになることを望む。

※ 文章が出来上がった段階で、プレビューをしてみると
  「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」との表示。
  そこで、p.213の引用文中の「性」を「せい」と、一か所ひらがな表示に変更することで、
  プレビュー及び公開が出来るようになったことを、ここに記しておく。





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Last updated  2014.10.25 14:36:44
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