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第21巻が発行されたのが昨年6月。 それから11カ月を経ての、今年5月の新刊発行でした。 望月さんの作品では、最も長く続いているこのシリーズ。 この先も、年1冊のペースで全く構わないので、長く続いていってほしいです。 ***【序章 青天の霹靂】大学卒業後、サリー・バリモアの許で修業する予定だった葵だが、3回生の冬に新型ウイルスが世界中に蔓延、緊急事態宣言も発令され、それは叶わぬ状況に。そんな中、予定を早め清貴と同棲を開始、翌春5月3日に入籍したのだった。【第1章 青花の想い】約1年後、TV特番『あなたの家のお宝を鑑定します』の放映翌日、『蔵』は鑑定希望者で賑わう。その夕刻、クズ三・グループ創業者・久住恵蔵の孫・桃花が染付の香合の複製品を持ち込む。それは、父と母と駆け落ちして生まれた桃花が、2週間後に初めて会う祖父から、20歳の誕生日に贈られたものだったが、桃花は複製品を贈られたことに心を痛めていた。葵と清貴は桃花に寄り添いながら語り掛け、彼女から次の言葉を引き出す。 「成人のお祝いに染付の香合をありがとうございました。 とても良くできた複製品だと褒めてもらえました。 でも私は、あれは香合ではなく、薬壺だと思っています。 薬壺の中にはお祖父様の御心が入っていると信じて、 こらからの人生の万能薬にします」って。 とびきりの笑顔でこう話そうと思います(p.62)【第2章 瑠璃色の空】4回生の秋、葵は就活に苦戦するも、卒業間際に大阪市内の広告代理店から内定をもらう。しかし、入社した職場では歓迎されず小さなセクハラが続き、12月末に退職し蔵で働くことに。【第3章 黄金色の絆】そして翌年春、秋人が兄・冬樹の結婚相手・祥子が割ってしまった人間国宝作の茶碗を持ち込む。蔵はその茶碗を引き取り、秋人から二人への結婚祝いに相応しいものを提案することになる。そして、当日来店していたサリー・バリモアのアシスタント・藤原慶子と清貴の二人は、輪島塗のカップ&ソーサーを、葵は金継したあの茶碗、さらに清貴は朱色の台盤も提案する。【幕間 家頭家の一日】清貴に頼まれた書類を小松探偵事務所に届けて帰宅後、葵は蔵のHPの中に隠し頁を発見。そこには清貴の葵に対する気持ちを表した和歌と写真が掲載されていた。夕食後、清貴は葵に「骨董品店 蔵 チーフ美術補佐人 家頭 葵」の名刺を渡す。【最終章 金泉の思召】清貴の運転するビュートで、葵は太陽の塔、六甲山頂を経て有馬温泉へ。そして、美術キュレーター・篠原陽平が企画するアンダー25・アート・プロジェクトの選考に。6人の候補者の中には、葵が退職した会社の先輩・憎田がおり、見覚えある美術商・田島の姿も。京都国立博物館副館長・栗城祐希が試験を進行し、要と葵、補欠で田島の娘・磨美が合格する。要は久住恵蔵の娘の息子で、桃花へ複製品を贈った張本人、その経緯を自ら語る。実は、恵蔵は本物を桃花に贈るよう言っていたが、要が破損や贈与税等々について心配し、そこらの鑑定士では見破られることはないと踏んで複製品を贈るも家頭誠司に見破られた。しかし、その後見事に葵がフォローしてくれたと桃花から聞いた恵蔵は、感謝の言葉を述べる。【エピローグ】りんご、日本酒、ワイン、牛タンと東北各地から届く美味の数々の送り主の正体は……そして、要の誘いで、葵は清貴と共に篠原陽平がいるロンドンに向かうことに。 ***遂に、葵と清貴が有馬温泉にやって来ました。六甲ケーブルで山頂へ向かい、絶景を楽しんだ後は再び表六甲を下ってから車で有馬温泉へ。豊臣秀吉との繋がりを丁寧に説明し、それを以後の展開に生かしたのは流石!『神戸電鉄殺人事件』で肩透かしを食らったのとは大違いでした。
2025.09.27
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2020年に『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんは、 2023年にも、この作品で第20回本屋大賞を受賞しました。 映画化された『流浪の月』は、広瀬すずさんと松坂桃李さんのW主演でしたが、 26年公開予定の本作の映画では、広瀬すずさんと横浜流星さんがW主演します。 ***【プロローグ】暁海の夫が、月に一度、恋人に会うべく今治に出発した後、佐久間のおばさんは、暁海にパウンドケーキを手渡しながら「大丈夫?」と心配そうに窺い見た。結は父親が妻公認の浮気をしていることを、電話で平然と友人に話している。島では、北原先生が女を作ったのは、暁海が相当しでかしたからだと噂している。【第1章 潮騒】 青埜櫂(17)は、男好きなスナックのママである母親と二人暮らし。男を追って京都から瀬戸内の島へとやって来た、自分の子どもより男優先の母親に対しては、思うところは多々あるものの、中学生の頃からその仕事を手伝い続けている。物語を紡ぐ才能に溢れた櫂は、絵を描くのが得意な久住尚人と共に、漫画の連載を目指す。井上暁海(17)は、父親が東京からきた裁縫の先生が住む隣島へ出て行き、母親と二人暮らし。母から頼まれ、愛人である林瞳子宅を青埜櫂を伴って訪ね、お茶とお菓子をご馳走になるが、瞳子は暁海が去年こっそり自身の裁縫教室に通っていたことに気付き、覚えていた。それ以来刺繡に興味を持つようになった暁海は、帰宅後母親に父親は不在だったと伝える。林瞳子宅を訪ねて以来、櫂と暁海はその距離を縮めていく。しかし、男に妻子がいたことを知り錯乱状態になった櫂の母親を、一緒になだめ介抱する姿を、スナックの常連客と島で唯一のシングルファーザーで高校の化学教師・北原に見られてしまう。以後、関係を深めた櫂と暁海は瞳子の家を訪ね、暁海の東京の大学進学について父親に相談する。今治の花火大会を見に行った櫂と暁海は、浜辺で北原に見つかり、後日化学室に呼び出される。櫂は来年4月からの連載が決まり東京での新生活に思いを馳せるが、暁海は母親が行方不明に。櫂は北原に連絡、暁海と3人で瞳子宅に行くと、足下で新聞紙が燃えている暁海の母親がいた。その後の修羅場を経ても、暁海の父親は家に戻る意思を示さず、暁海は東京行きを断念する。【第2章 波蝕】 上京して4年、櫂(22)は連載作品が好調で、漫画雑誌の看板を期待される存在にまで成長する。一方、暁海は、島で変わり映えのしない営業補助を続けながら、母親との生活を支えており、遠距離恋愛を続けている櫂の浮気に気付きながらも、破局を恐れ何も言わないでいた。そんな25歳の夏、櫂から「ただいま。今治におる。」と、スマホにメッセージが入る。暁海がホテルを訪ねてきても、仕事に追われる櫂は最低限の返事しか返さない。別れを告げた暁海は、翌朝ベッドで眠る櫂を残し、黙って一人部屋を出て行く。。そして秋、尚人と未成年の恋人との関係が週刊誌に掲載されると、連載は中止になってしまう。絶望する櫂に声をかけてくれたのは、老舗出版社の文芸編集者・二階堂絵理だった。【第3章 海淵】母親が宗教に預金を注ぎ込んだ末自動車で事故を起こし入院、父と瞳子に借金を断られた暁海は、櫂を訪ね300万円を借りるが、帰途の車中で櫂の現状をネットニュースで初めて知り愕然とする。2年後、櫂は仕事もなく酒浸りの日々を続け、毎月3万5千円を振り込み続ける暁海に増額を要求。酔った暁海は島の女性と付き合っていた男性と関係を持ち、島民の知るところになってしまう。そんな暁海に、北原は教え子との間に生まれた娘が結だと打ち明け、結婚を提案する。一方、絵理に促された櫂は、雑誌のエッセイに加え小説も書こうとしていたが貯金が底を突き、バイトで知り合った女性の家に転がり込むが、母親からの電話で暁海が北原と結婚すると知る。櫂はコンビニで10万円を引き出すと封筒に入れ北原に送金、女性の家も出て行くことになる。31歳になった櫂は、半年前に手術で胃の3分の2を切除、引きこもっている尚人の家で居候中。一方、暁海は『注目の刺繍作家』としてファッション誌に記事が掲載される存在になっていた。櫂と尚人は、暁海と尚人の元恋人に祝杯をあげ、2人で漫画に再挑戦しようと盛り上がるが、翌日、櫂が目覚めると尚人は浴槽に沈んでおり、櫂も再び入院することになる。北原と互助会感覚の結婚生活を平穏に過ごしていた暁海は、櫂の母親からの電話で家を訪ねると、酔った母親から櫂の近況を聞かされ、様子を見て来て欲しいと頼まれる。混乱する暁海に、北原はすぐに飛行機で東京に向かうよう促し、10万円の入った封筒を手渡す。北原が運転する車の中で、暁海はもう戻れないかもしれない島の風景を目に焼き付けるのだった。【第4章 夕凪】高円寺で借りた3DKで、抗がん剤治療を続ける櫂と暮らす暁海は、刺繍の仕事で生活を支える。今治の花火大会、対岸の浜には櫂と暁海、北原と教え子の明日見菜々、結衣とその恋人の姿が。対岸の夜空に光が瞬き音が弾けると、強く握りしめてきた暁海の手を櫂はほんの少し握り返した。しかし、次々と花火が打ち上るなか、暁海が握りしめた手は再び握り返されることはなかった。【エピローグ】ぼんやりとしていた『プロローグ』が、少しだけ明確になって繰り返される。絵理から送られてきた封筒の中には、一冊の本『汝、星のごとく 青埜櫂』が入っていた。 *** 尚人くんのことを思い出した。 未成年の彼氏に手を出して、櫂の未来も巻き込んで潰した。 わたしはあのとき尚人くんを恨んだけれど、 尚人くんには尚人くんの言い分や事情があったはずだ。 でも人は自分というフィルターを通してしか物事を見られない。 だから最後は『自分がなにを信じるか』の問題なんだろう。(p.299)最後の2行に全てが言い尽くされている気がします。
2025.09.25
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朝ドラも残すところ1週間になって、ようやく手にした1冊。 これまでに放映された様々なシーンを思い出しながら、読み進めていきました。 本著では、著者の手により全編に渡って史実が淡々と記されていきますが、 アレンジが加えられたドラマに比べインパクトが小さい…… ということは決してありません。 特に、ドラマでは嵩のことを売れずに苦悩する漫画家として描いている感じが強めでしたが、 実際には、マルチに活躍する才能あふれた人物で、関わった著名人も多数おり驚きました。 もちろん、年齢を重ねてから、国民的人気キャラの「アンパンマン」を生み出すわけですが、 たとえ、もしそこに至っていなくても、充実した人生を歩んだと言える人物だと思います。また、ドラマの主人公である暢についても同様で、彼女が嵩と出会ったのは就職後であり、幼少期の思い出を共有したことも、戦争に対する意識が衝突したこともありませんが、本書に記された記述からは、彼女が自己というものをしっかりと確立した人物で、時代の先端を行く生き方を実践した女性だったことが、ひしひしと伝わってきます。しかし、何と言っても、最も驚かされたのは、妻夫木聡さんが演じた八木上等兵です。上等兵は架空の人物であり、軍隊での関りもドラマにおける創作ですが、戦後の実業家・八木さんにはモデルがおり、それがサンリオ創始者・辻信太郎さんでした。これを知った時が、本著を読み進める中で最も驚くと共に、納得がいった瞬間でした。
2025.09.22
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『掟上今日子の忍法帖』に続くシリーズ第15弾。 発行は2025年4月14日なので、4か月程経ってから手にしました。 これまでの私に比べると、割と早めに発行されたことに気付けたかも。 まぁ、とにかく早速読み進めていきましょう! ***ベビーシッターの厄介が、いつものように「探偵を呼ばせてください!」。ところが、今日子さんは「初めまして」ではなく「お久しぶりです」と挨拶……1週間前、厄介がビーチセーバーとして依頼したことを、今日子さんが覚えている?そう、今日子さんはあれから寝ていない、つまり不眠症に陥っていたのです。今巻は、不眠、歯痛、船酔、猫アレルギーの病の中、煙のように消えた赤子、歯のない死体、過去と現在の二重密室、猫による不可能犯罪という4つの謎を今日子さんが最速で解き明かし、冤罪王・厄介を救うお話4編+コロナ禍掌編1話。ただし、第4証だけは今日子さんではなく、被害者が罹患したものなので念のため。それにしても、全編至る処で厄介(というか著者)の言葉遊びが絶好調過ぎて……しかも、今日子さんの謎解きは、いつにもまして超高速。狂言誘拐、証拠隠滅、事故と自死、風が吹けば桶屋が儲かる。これも第4証だけは、「風」から「桶屋」に至る経緯を知らないと「?」ですね。 *** 知識は力ではあるが、同時に恐怖でもある。(p.180)厄介の言葉遊びの一つですが、なかなかに深いです。しかしながら、「未知のものへの恐怖心は絶大」なのも確かでしょう。
2025.09.15
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碧流篇に続くシリーズ第8巻。 富五郎のお練りで江戸紫の小紋染めは話題を呼び、五鈴屋は大盛況。 しかし、出る杭は打たれる、様々な店が小紋染めに参入してきますが、 幸はその状況に全く動じる様子を見せず、逆に楽しんでいるかのようでした。 ***幸が大坂を発つ際、本店常客医師・修徳から餞別にもらった達筆すぎる掛軸。そこに書かれた文字を、暑気あたりのため五鈴屋で休んでいた初老の男が解読。「衰颯的景象 就在盛満中(衰えていく兆しは最も盛りの時に在る)」程なくして、江戸の街に麻疹が大流行、五鈴屋への客足もすっかり遠のいてしまう。そんな中、5人ほどの女たちが訪れ、江戸紫の小紋染めを4寸ほど切り売りして欲しいと言う。それは、熱や痛みを取る江戸紫に、魔除の鈴の紋様で、麻疹から我が子を守りたいという一心。幸は、女たちの思いに気付き、子供用の鉢巻きのために反物を切り売りする。一方、店に立ち寄った茂作は、賢輔に跡目を継がせる件について次の言葉を残し江戸を去る。 「前に大工の棟梁に教えてもろた話です。 柔こい(柔らかい)土地に家を建てたら、いずれ必ず傾く、て。 家建てたあと、どない支えを増やしたところで、傾くのは止められへんそうな」(p.97)老舗薬種商・小西屋が催す恵比寿講への手土産にと、菊次郎が江戸紫の小紋染め10反を発注。それを届けに結と共に小西屋を訪れた幸は、そこで蛸に似た両替商・音羽屋の店主に遭遇。その後、小西屋から結に縁談、40半ばの音羽屋店主・忠兵衛の後添えにという話が舞い込む。さらに、お才からは、糸商・寿屋が賢輔を婿養子に迎えたがっているとの話が。賢輔に五鈴屋の8代目を継がせようと目論み、さら結が賢輔に心を寄せていることを知る幸は、いずれの話にも断りを入れ、賢輔に跡目の件を告げるが、思うような返事は返ってこなかった。音羽屋から結への求婚がなおも続く中、鉄助から孫六が跡目について待ったをかけたと聞かされ、さらに、幕府から上納金1500両を要求された幸は、本両替商・蔵前屋を訪ねることに。そこで出会ったのは思いもかけない人物……駿河町の本両替、井筒屋3代目・保晴となった惣次。 「そない容易うに金銀を借りるもんと違う。 上納金なんぞ、本両替に借りてまで用意するもんやない」 「あんさん、五鈴屋の暖簾を守りたいのやろ。ほな、もう少し頭を使うたらどないだす。 せや、あんさんの得意な知恵を絞りなはれ」 「悪い奴ほど、阿呆な振りが上手いよって、気ぃつけなはれ」 「私は井筒屋3代目保晴ですよ。五鈴屋だの8代目だの、まるで関りのないことだ。 妙な言いがかりをつけるのは、金輪際、止めていただきましょうか」幸は、鉄助を大坂に戻らせ、替わりに周助を白子の梅松と一緒に江戸に呼び寄せると、賢輔には9代目を継いでもらいたい、結には自分は賢輔の伴侶選びに口出ししないと告げる。ところが、結は上納金のことを音羽屋に一人で相談、店の大事を漏らしたことを幸に咎められる。幸は、上納金を年500両ずつ3年で分納、貰うはずの利の倍を献金すると願い出て了承される。賢輔は男女問わず好まれ、飽きが来ない小紋の新しい図案について、梅松と力造に相談。そこで周助が文字を散らした柄について述べると、時を経て賢輔は干支の漢字に思い至る。その後、紙問屋・千代友屋の末娘が賢輔に会いに五鈴屋に来るという騒動が起こるも無事解決。周助は浅草寺で8代目襲名を引き受け、賢輔に然るべき時に9代目を考えるよう促すのだった。この後、音羽屋忠兵衛の件で小西屋が店に訪れるが、結は心に決めた人がいると断る。そして、賢輔と二人で年の市に出かけ気持ちを伝えたものの、良い返事は貰えなかった。さらに、賢輔の図案を梅松が完成させた型紙を、幸と賢輔が受取りに行くのに同行するが、その際、年寄りの青竹売りがよろめいて、手から離れた青竹が幸と結の方にめがけて…… 「危ない」 賢輔は叫んで、咄嗟に、結ではなく幸に覆いかぶさった。(中略) 結は姉と手代を交互に眺めて、暫く虚脱したような表情を見せていたが、 何かを口の中で呟いた。幸には聞き取れなかった。(p.326)怪我は無かったものの、座り込んでしまった結を、賢輔は負ぶって店に戻り、幸は一人で梅松のいる力造の家へと向かう。その夜、完成した干支の型紙は、幸の手で店の神棚に供えられるが、翌朝、「かんにん」という書置きを残した結と共に、姿を消したのだった。***読書の方は、ようやくTVドラマのシーズン2の部分を通り過ぎました。シーズン3は、嵐の真只中の状況からのスタートということになりますね。惣次の言葉、振る舞いには、かつての妻に対する深い想いが感じられるように思うのですが、今後もポイントポイントで登場し、五鈴屋と関わり合ってきそうな感じです。そして、気になるのは、田所屋の陰のオーナー・音羽屋忠兵衛の存在。姉に対し強い劣等感を抱く結の失踪にも、きっと大きく関わっているのでしょう。
2025.09.15
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いつもなら半年毎に最新刊が発行されるので、すっかり油断していました。 前巻発行日が今年の5月2日、そして今巻は8月1日。(発売日は2週間ほど早い) 前巻の次巻予告を見直すと、確かに「最終第⑮巻 2025年7月発売予定!」と。 迂闊でした……しかし、もっと迂闊なことが…… 今巻のお話、最終頁を読んで、私は「?」状態。 左端には縦書きで『「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」⑮完』の文字 ここでも私は、15巻のお話が終わっただけと、事態に全く気付いておらず、 「あとがきコラム」を読んで、やっと事の重大さに気付いたのでした……「!」 ***第71話「あの頃の自分」では、優斗が病室で性別違和に悩み続けた幼少期や、「トランスジェンダー」という言葉を知ってからのことを振り返りながら、理解を全く示さない父親や、上辺だけを取り繕う母親に悶々としてしまう。そんな優斗に、産婦人科の宇多川と葵は、先日の対応のまずさについて謝罪する。そこへ優斗の母親が現れ、子宮全摘に激しく反対するが、弟・亮輔が退室を促す。第72話「虹がかかれば」では、手術を焦る優斗に店長が社会の変化を伝えながら、誰かのために手術をするのではなく、100%自分が望んだ姿で生きる選択をするよう助言する。また、宇多川は卵巣摘出について、葵はホルモン療法や定期検査について丁寧に説明する。優斗は、子宮全摘手術は受けるものの、卵巣摘出については慎重に考えることにして退院した萬津総合病院は、誰もが安心して相談でき、様々な事情のある人を想定した病院を目指す。第73話「嵐、過ぎ去りて」では、台風20号の影響で笹の葉薬局がある地域が浸水被害に。葵たちは、帰宅困難者が避難している不二野町南公民館で医療支援活動を行うことに。避難している54名33世帯に対し薬剤師が聞き取り調査を実施し、トイレ掃除も行う。第74話「積もる、募る」では、葵が南公民館支援のリーダーとして奮闘。食事に対する不満を担当者に抗議する避難者を、自身も被災者である館長・桝村が宥め諭す。そんな桝村に葵は声をかけ、開催場所が未定だったお薬相談会を公民会で開くことを提案される。第75話「最後の砦」では、避難所閉鎖前日に起こったノロウイルス感染の疑いは晴れたものの、糖尿病でSGLT2阻害薬の内服者・桝村が倒れてしまい、救急車で搬送される。1か月後、退院した桝村は、公民会で開かれた「お薬と健康相談会」に顔を出し、葵に礼を言う。 ***あぁ、本当に終わっちゃったんですね。とても残念で、悲しい……最近は、現在進行形で課題となっているテーマが扱わるようになって、より興味深いお話になっていたのに……いつの日か、シーズン2が始まることを、心から願っています。
2025.09.13
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本流篇に続くシリーズ第7巻。 幸と湯屋で出会った指物師・和三郎の姉・才は、 5~6人の女将さんたちと五鈴屋の「帯結び指南」に訪れ、以後毎月通うように。 如月八日の針供養で賑わう淡島堂で、幸とお竹は「結び易く、解け易い」帯結びを 前掛けの絎紐で結んでいた女性から教えてもらい、それを指南すると早速話題に。 *** 幸は、人形遣い・亀三から聞いた歌舞伎役者の菊次郎に会いに中村座を訪ねる。「三都一の女形」として名を馳せた亡き兄・菊瀬吉之丞の養子・吉次を支援しつつ、女形として舞台に立ち続ける菊次郎は、表を木綿、裏を絹で仕立てた吉次の稽古着を発注。その稽古着は役者の間で評判となり、座主は五鈴屋に裏地の浜羽二重50反を注文したのだった。ある日、賢輔が広小路で惣次を見かけたと幸に伝えると、お竹も針供養の際に見かけたという。跡目問題が絡む難しい事案であることから、幸は孫六と治兵衛に判断を仰ぐことに。一方、江戸では士分のものとされている小紋染めを、町人に向けても扱えないかと考えた幸は、伊勢型紙を手配すべく、賢輔を五鈴屋本店に送り出し、鉄助と一緒に伊勢の白雲屋に向かわせる。そして幸は、型染めをお才の亭主・染物師の力造に頼もうと考える。しかし、力造の父は、武家の定小紋反物流出騒動で濡れ衣を着せられ、その末に亡くなっていた。以来、力造は型染めから手を引き、黒染めしかしておらず、幸の依頼を頑なに拒み続ける。そんな中、鈴紋の型紙を錐掘りの梅松に発注し終えた鉄助、賢輔と結が五鈴屋江戸店に現れる。惣次については、その存在が厄介事を引き起こす可能性を理由に、女名前延長を願い出ることに。また、月に一度の帯結び指南に結も参加するようになり、こちらも色々と知恵を出し合う。さらに、菊次郎がかつて亀三と繋がりがあったという富五郎を伴い店に現れるが、富五郎は、舞台衣装は座主に一任しているため、五鈴屋には依頼できないと断って立ち去る。そして、伊勢に向かった鉄助から、待ちに待った梅松の手による鈴紋の型紙が早飛脚で届く。幸は、その伊勢型紙を力造に見せようとするが、力造は頑としてそれを見ようとしなかった。後日、稽古着の反物を求めて店に現れた富五郎が、文台の上に置かれていた伊勢型紙に気付くと、これを用いて最初に染めたものを自分に譲って欲しいと申し出たのだった。力造のことを諦めきれぬ幸は家を訪ねるが、力造が妻を押しのけてそこを出て行こうとした際、幸が持っていた文箱を落とすと、力造の足元に転がった蓋の天板の裏に型紙が張り付いていた。型紙を手にした力造に、幸は「町人のための小紋にしたい」と訴えかけ、説得に成功する。さらに、足掛け3年の女名前延長の願いが仲間から許されたとの連絡も鉄助から届く。年が明け、お竹を伴い菊次郎を訪ねた幸は、江州長浜で先月から縮緬製造が始まったと聞く。そして、そこに居合わせた富五郎から、改めてお練りの衣装の見立てと仕立てを依頼されると、幸は、富五郎が持っていた紙入れの色「江戸紫」で染めることを思いつく。その反物が出来上がる日、待ちきれない富五郎が江戸店に姿を現す。 ***ここからが、本巻のクライマックス。これまでのお話を通じて、最高に感動的な至福の頁が続きます。 「15,6年ほど前のことです。ふたりの友との出会いがありました。 齢も近かったし、互いに若く、夢も野心もあって、それが心地よかった。 歌舞伎以外の世界を垣間見られたのも、その友たちのおかげでした」(p.288)富五郎の口から語られたのは、人形遣いの亀三、そしてもう一人は何と智蔵との思い出の日々。迂闊……気付くことが出来てもおかしくないのに、全く気付くことが出来ていなかった……まさに、その時の幸と同じ心境に。流石、伏線回収の天才です。
2025.09.13
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転流篇に続くシリーズ第6巻。 智蔵の急死で後継ぎ問題に直面した五鈴屋に新町廓の番頭・尚助が現れます。 曰く、4代目徳兵衛には馴染みにしていた遊女との間に10歳になる男児がいると。 しかし、幸は冷静に対処、その撃退に成功しますが、騒動は世間の知るところに。 *** 女名前禁止の定法から、女名前3年の慣習へ。 商いの表舞台に立てない女が、せめて3年、自身の名前で家持ちとなり、店主となる。 そうした道を拓くことが出来れば、と幸は心から願う。(p.69)4代目川浪屋や長老の口添えもあって、呉服仲間の了承、そして公儀の許しも得た幸は、7代目を継いだ挨拶に配る小風呂敷を、郷里・津門の木綿で作ることを思い立つ。そして、江戸の佐七からは、近江屋江戸店の一軒置いた隣の店が売りに出されたとの知らせが。幸は治兵衛に相談することで初代の気概に思いを馳せ、その地への出店は見合わせる。幸は菊栄を訪ねる途上、智蔵が五鈴屋を離れていた時期に関わりのあった銀駒とその息子に遭遇。智蔵を深く愛し、その最期を心から案じていた銀駒は、幸からその時の様子を教えてもらうと、息子の名が「貫太」だと答えたものの、智蔵の子かという問いには決して答えなかった。一方、江州波村の仁左衛門は、五鈴屋のためだけに縮緬を作ることは出来なくなったと謝罪。それは、彦根藩の認可を受け、長浜地域全体で縮緬を作ることになったためと知り、幸は了承。ただし、五鈴屋は波村からこれまで通りに羽二重を作ってもらうことになる。そして、江戸の佐七から、今度は田原町3丁目の太物商「白雲屋」が売りに出されたとの知らせが。早速、幸は高島店支配人・周助を江戸に送りそれを買い上げると、天満組呉服仲間の了承を得る。筑後座の人形遣い・亀三からは、自分の名を出して歌舞伎役者の菊次郎に会うよう勧められ、治兵衛からは「買うての幸い、売っての幸せ」のため「蟻の眼と、鶚の眼」を、と餞の言葉。そして、幸、鉄助、お竹の3人は、大津で落ち合った茂作と近江屋で別れ、田原町に到着する。10日ほどで鉄助が大阪に戻った後、幸、佐七、賢吉、お竹の4人は反物の見せ方について検討。幸に同行して浅草寺へ出かけた際に賢吉が思い付いた「鐘木」を指物師・和三郎に作製依頼。和三郎は工夫して3種類の「鐘木」を作製し、これにで反物を縦に見てもらえるように。一方、埃を払い落とす「さいはらい」を絹布を用いて作ることで、呉服で使用出来るようになる。さらに、五鈴屋の暖簾と同じ色で5つの鈴が染め抜かれ、屋号が2か所入った木綿の手拭いを、周辺の神社仏閣の手水舎に奉納して回ると、湯屋に通う人々の間でも謎の店が話題に。さらに、和三郎の助言で、帯の結び方を教えることを、江戸店でも実施することに。そして迎えた師走14日、開店した五鈴屋江戸店に訪れた人々を、幸は暖かい言葉で迎える。 ***TVドラマでは描かれなかった、4代目徳兵衛の隠し子騒動と、銀駒・貫太親子との遭遇。特に銀駒・貫太親子については、幸としては色々な思いが入り混じり本当に複雑ですよね。さて、いよいよ新天地・江戸でのお話がスタートしましたが、幸がどんな新たな知識を得て、どんな新たな知恵を生み出していくか楽しみです!
2025.09.07
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