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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.11.08
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『心の深みへ』 を読んで、本著の存在を知った。
 副題は「我が息子・脳死の11日」。
 25歳の次男・洋二郎さんを失った柳田邦男さんの追悼記。
 心の病に苦しんだ末の自死であった。

 タイトルの『サクリファイス(犠牲)』は、タルコフスキーの映画。
 洋二郎さんが、骨髄移植に協力しようという気持を抱くようになった
 思想的背景として最も重要だった作品。
 そして、次のような出来事ことが起こった作品。

  2つの腎臓の摘出がすんで、洋二郎の遺体をわが家に連れて帰ったのは、
  午後十一時すぎだった。
  居間に安置して、グラスに水を供えたとき、賢一郎がテレビのスイッチを入れた。
  偶然にも、NHKの衛星放送で
  タルコフスキーの映画『サクリファイス』が放映されているのに気づいたのだった。
  映画はいままさに終わろうとするところだった。
  なんということだろう、あの『マタイ受難曲』の
  アリア「憐れみ給え、わが神よ」のむせび泣くような旋律が部屋いっぱいに流れた。
  私は立ちすくんだ。
  洋二郎は神に祈ったことはなかった。
  頑ななまでに祈らなかった。
  私には目に見えない大きなもの、
  すべてを超越したものとしての神の存在への畏怖の念を抱きつつも、
  全身全霊を投げ出して祈るという行為をしたことがなかった。
  だが、このとき私は、神が洋二郎に憐れみをかけ給うてほしいと心底から祈る気持になった。
  どういう神なのかと考えることもせずに。
  アリアの旋律はいつまでもいつまでも私の胸に響きつづけた。(p.188)

私が、本著を通じて考えさせられたことの一つ目は、
精神疾患と自死の問題。
洋二郎さんの死は、常に身近にいた父親・柳田さんにとっても、
あまりに唐突なものに感じられたということ。

  サマースクーリングで水泳の授業を受けていたのは、
  洋二郎が自死を決意したたった二、三日前のことだったのだ。
  神経症患者は、外見上はこれといった異常があるわけではないから、
  健康人から見ると、なぜ苦しんでいるのか理解できない場合が多い。
  まして洋二郎のように、自分の辛さを抑えてでも、友人にやさしい接し方をすると、
  とても心を病んでいるなどとは信じられない人柄に映ってしまうのだ。(p.98)

そして、二つ目が、死の意味が「人称」によって全く異質であるということ。
「一人称の死」は、自分自身の死。
「二人称の死」は、連れ合い、親子、兄弟姉妹、恋人の死。
「三人称の死」は、第三者の立場から冷静に見ることのできる死。

  このように「人称」による死の意味の違いという視点から見ると、
  デンバーの小児科病院におけるホスピス・プログラムは、
  医療者には「三人称の死」にすぎない新生児の死であっても、
  「二人称の死」に直面した親の立場を大事にして、
  グリーフワークのための「時間」と「場」を確保しようという、
  新しい医療のあり方なのだということが、より鮮明になってくる。(p.204)

そして、三つ目が「遺伝子死」について。
次の言葉は、洋二郎さんが柳田さんに言ったもの。

  「人間という生物が遺伝子の単なる“乗り物(ヴィークル)”に過ぎないのだとしたら、
   今議論されている脳死なんかより、”遺伝子死”のほうが、
   はるかに重要じゃないかなあ」(p.146)

「人間という生物が遺伝子の単なる“乗り物(ヴィークル)”に過ぎない」という感覚は、
私自身も、時として感じることがあるものなのである。
ちょっと興味が湧いたので、柳田さんが例示した
竹内久美子さんの『そんなバカな!遺伝子と神について』も読んでみようと思う。





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Last updated  2014.11.08 12:45:37
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