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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.11.23
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カテゴリ: その他

 副題は「遺伝子と神について」。
 タイトルから想像されるものとは違って(?)
 いたって真面目な生物学の本である。

 柳田さんが 『犠牲 サクリファイス』 の中で、
 本著のことを書いていたので、読んでみた。
 けれど、「何だか、前に読んだことがある気がするなぁ」と思っていたら、
『風の中のマリア』 の中で語られていた内容だったと、途中で気付いた。

   ***

「二人のキョウダイか八人のイトコのためなら、私はいつでも命を投げ出す用意がある!」
これは、集団遺伝学の研究で名高いJ・B・S・ホールデンの言葉。
血縁が近いと、自己犠牲になれるということを雄弁の物語る言葉。
「二人の子か四人の孫のためなら」ではない。

  ハチやアリなどのコロニーは、普通一匹の女王が産んだ娘たち(ワーカー)が中心となった
  大変に血縁の近い者たちの集団である。(中略)
  そこで彼はワーカーと他のメンバーとの血縁度を計算してみた。
  血縁度というのは、
  ある個体が他人ならまずもっていないような珍しい遺伝子をもっていたとすると、
  それが血縁個体の中にも発見される確率のことをいう。(中略)
  血縁度は人間を始めとするたいていの動物では、親子で1/2、キョウダイでは1/2
  (但し、一卵性双生児で1、異父母キョウダイでは1/4)、
  祖父母と孫とでは1/4、イトコどうしで1/8、などである。
  このとき、たとえば親から子を見ても、子から親を見ても1/2という値に変わりがなく、
  血縁度には普通対称性があると言える。(p.37)

これは、W・D・ハミルトンの「社会行動の遺伝的進化」という論文の内容。
ところが、ハチやアリでは受精卵からはメスが、未受精卵からはオスが産まれるため、
この一般的なケースが当てはまらない。
以下は、『風の中のマリア』でも示されていた内容でもある。

女王とワーカーでは、血縁度が1/2で、一般的なケースと同じになるのだが、
オスバチは、倍数体である女王が卵を未受精卵のまま産んだ結果だから、
倍数体の女王から、半数体のオスバチを見ると、血縁度は1/2になるが、
半数体のオスバチから、倍数体の女王を見ると、血縁度は1になるのである。

そして、倍数体であるワーカーから、半数体のオスバチを見ると、その血縁度は1/4、
ワーカーどうしの血縁度だと3/4となり、母親との血縁度より高い数字になる。

  つまり、ワーカーにとっては、自分が生んだ娘が女王になるよりも、
  女王にメスを産ませ、その中から次期女王が出現した方が得なのである。
  その方が自分の遺伝子をより多く次代に残すことができるのである。
  ワーカーが自分では子を産まず、せっせと働くのは何を隠そう、
  それが自分の遺伝子を最も効率良く残していく方法だからなのだ。(p.40)

そして、R・ドーキンスの『The Selfish Gene』である。

  何がセルフィッシュ(利己的)なのか - それはジーン(遺伝子)である。
  では、生物とはいったい何なのか - 
  生物は遺伝子が自らのコピーを増やすために作った生存機械にすぎない。(p.45)

  我々のこの体は、遺伝子が自らを乗せるために作り上げた乗り物だと言うのである。
  遺伝子は、悠久の時間を旅するという自分自身の目的のために我々の体を利用している。
  個体は幾つもの遺伝子が今偶然にも乗り合わせているうたかたの存在で、
  個体の死が生命の終わりを意味するわけではない。
  主体は最初の最初から遺伝子の側にあったのである。(p.46)

利己的遺伝子(セリフィッシュジーン)の乗り物(ヴィークル)としての存在としての生物。

  ある動物が、どうも理解に苦しむとか、
  頭が狂っているとしか思えないような変な行動や形態を示しているとき、
  我々はその個体を操るその個体以外の利己的遺伝子の存在を疑ってみるべきなのである。
  (p.91)

もちろん、利己的遺伝子は、個体(乗り物)の維持より、遺伝子自体の存続を優先する。
そして、文化的伝達の単位・ミームである。

  遺伝子と比較したミームの特徴は、伝達の速度が極めて速いこと
  (遺伝子ならどうしても一世代かかる)、
  伝達が非血縁者の間にも起こること(これはあまりにも当然)、
  それにコピーミスが大変頻繁に起こること(噂話の伝達を考えよ)などである。(中略)
  ミームは、特に人間において遺伝子と互角か、
  もしかするとそれ以上の力をもっている可能性があるのである。
  この本ではここから先、人間は遺伝子とミームという
  二種類の自己複製子の乗り物であるという観点を導入する。(p.100)

人間は、遺伝子とミームの乗り物。
この考えをもとに、著者は、この先の文を書き進めていく。
それは、これまで思ってもみなかった主客逆転の世界。
確かに「そんなバカな!」である。





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Last updated  2014.11.23 13:11:49
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