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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2019.12.29
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カテゴリ: 文芸
​ 時代の寵児として首相の座に昇りつめた真垣統一郎。
 しかし、現在は感染症を患い意識不明の重体。
 そして、その事実は、政局の関係で世間には伏せられたまま。
 内閣官房長官・樽見政純は、首相と瓜二つの劇団員・加納慎策を替え玉に据える。

 荒唐無稽の設定。
 どう考えても、現実にはあり得ないことばかりのお話なのに、
 一つ一つのシーンには緊張感があり、何故かリアリティすら感じてしまう。
 もちろん、現実の政治は、こんな単純明快なものではないだろう。

それでも、首相の替え玉を演じる加納慎策を、ついつい応援したくなってしまう。
閣僚や野党、官僚、テロ、そして国民という難敵に挑むど素人。
その素人の純粋さに、彼と同じく政治の素人の私たちは親近感を覚えてしまう。
そして、読み進める中で、時々ハッとさせられるようなフレーズに遭遇することになる。

  政治というのは正しさの追求ではない。
  意見が対立する者と擦り合わせ、妥協し、着地点を決めることです。
  正論は正しいが、正論を振りかざすことは全く正しくない。(p.71)

これは、樽見が慎策に語った言葉。
次は、慎策が首相として、通常国会で野党議員に答弁した言葉。

  この政策が失敗した時には、総辞職だろうが解散だろうが何でも従ってやる。
  しかし他方、責任を問われない安全地帯で
  好き勝手に喚きたてるのは控えていただきたい。(p.155)

現実には、おそらくお目にかかることはないだろう痛快な一撃。
でも、本当はこんな風に言ってやりたいと、歴代首相は思っていたのでは。

  闘いではなく交渉。
  論破よりも説得。(p.242)

これは、慎策が衆議院本会議場で官僚出身議員の質問に答弁する際、
心の内で自らを戒めるシーン。

  だが、もし人質リストを公表しようものなら、どんな事態が発生するのか。
  考えるだに鬱陶しい話だが、そうした家族に心ない仕打ちをする
  卑劣極まりない輩が多数存在する。
  匿名の下劣な野次馬、家族の悲劇を商品化しようとするマスコミ。
  情報統制はそうした配慮による苦渋の選択だった。(p.320)

これは、在アルジェリア日本大使館が、テロリストたちにより占拠された際の、
官房長官による緊急会見のシーンでの記述。
こういう状況は、これまでにも実際あっただろう。
次は、防衛大臣が慎策に語った言葉。

  本来自衛官は感謝されてはいけない存在です。
  平時においては胡散臭がられ、恐れられ、遠巻きにされ、
  時には非難や誹謗を受ける。
  それでいい、身近な存在になってはいけない。

  なぜなら、自衛官が国民から歓迎され感謝される時は、
  外国から攻撃されて危急存亡の秋か国民が困窮している時だ。
  自衛官は日陰者である時の方が国民や日本は幸せなのだ……
  これは吉田茂元首相の言葉です。(p.395)

これに続く、慎策の思いを述べた文章は次のようなもの。

  公僕だから、税金で生活しているのだからというお決まりの文句が空疎に響く。
  同じ公務員でも、霞が関でふんぞり返る連中とは抱く矜持も懸けるものも違う。
  報われない仕事、感謝されない存在。
  それでも彼らは日々汗を流し肉体を酷使するのを厭わない。(p.396)

自衛官は本当に大変だ。
でも、霞が関で働く者の思いにも、
もう少し寄り添ってもいいのではないかとも思った。
決してふんぞり返っている人たちばかりではないはずだ。





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Last updated  2019.12.29 22:46:36
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