本アルバムは、1.「僕の歌は君の歌(Your Song)」から始まるが、それ以外にも、有名な7.「人生の壁(Border Song)」のように、エルトンの代表曲をはじめ、名曲が目白押しの好盤である。本盤の特色かつ最大のよさとなっているのは、あまり明るいポップな路線に走らず、静かで内省的な楽曲が多いことであろう。しかもそれら一つ一つの完成度が異常なほど高く、高度に繊細で洗練された一曲一曲のつくりがとくに評価されるべき点である。こうした観点から、上記2曲以外に特にお勧めなのは、2.「君は護りの天使(I Need You to Turn to)」、6.「60才のとき(Sixty Years On)」、10.「王は死ぬものだ(The King Must Die)」といったあたりである。いずれのナンバーもどちらかと言えば暗めの曲調ではあるが、きめ細かくそして非常に丁寧に仕上げられており、6.や10.に関しては荘厳な空気すら漂っている。ソロ2枚目にしてこの完成度を誇り、なおかつある種の落ち着き払った貫録を示しているのは、驚きと言ってよい。この若い時点から既にエルトンの才能が一級品であったことの証しだと思う。
1.Your Song(僕の歌は君の歌) 2. I Need You to Turn to(君は護りの天使) 3. Take Me to the Pilot(パイロットにつれていって) 4. No Shoe Strings on Louise(ルイーズに靴紐はない) 5. First Episode at Hienton(ハイアントンの思い出) 6.Sixty Years On(60才のとき) 7. Border Song(人生の壁) 8. The Greatest Discovery(驚きのお話) 9. The Cage(檻の中に住みたくない) 10.The King Must Die(王は死ぬものだ)