パート2の今回は、少し時代をさかのぼって1977年、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)がまだ若干22歳で制作したデビュー・アルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー(My Aim Is True)』。“これのどこが春のアルバムなの?”という声も聞こえてくるかもしれないが、筆者にとっては心機一転の春を想起させるものなのである。まあ、こじつけて言えば、デビュー作で晴々しているから、とでも言っていいのかもしれないが、実のところは、たまたまある年の4月のこの時期の印象に残る聴き方をしたから、個人的にはこの時期を思い起こさせるアルバムになったというわけである。
さて、エルヴィス・コステロというのはむろん芸名で、彼の本名はデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナス(Declan Patrick Aloysius MacManus)。このステージネームはかのエルヴィス・プレスリーの“エルヴィス”と父方の祖母の旧姓(アイルランド系に多い苗字)を組み合わせたというもの。そのようなわけで、本盤のジャケットは真ん中に彼自身の写真(黒縁メガネで決してカッコいいとは形容しがたいたたずまいでギターを抱えてポーズをとっている)の周囲に“KING ELVIS”の文字が散りばめられたデザイン(下のジャケ写ではよく見えないけれども、写真周囲の白黒部分にサブリミナルっぽい感じでこれらの文字が散りばめられている)となっている。これで売れなければ、末代まで恥ずかしいデザイン(?)だったが、英チャート14位、USでは32位という記録を残した。さらにこれ以後のアルバムが次々とヒットを飛ばす中、本作『マイ・エイム・イズ・トゥルー』は一層評価を高め、今ではロックの名盤選などでもよく取り上げられるアルバムになっている。
1.Welcome To The Working Week 2. Miracle Man 3. No Dancing 4. Blame It On Cain 5.Alison 6. Sneaky Feelings 7. (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes 8. Less Than Zero [album version] 9. Mystery Dance 10. Pay It Back 11. I'm Not Angry 12. Waiting for the End of the World 13. Watching the Detectives