音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2018年03月09日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
偉大なる“指揮者”のラスト作


 オリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)は、1932年にミズーリ州で生まれ、
1975年に心臓発作で43歳の若さで亡くなっている。サックスやクラリネットを演奏したが、何よりも作編曲家としての才能を生かして活躍した。結果的に、上述の死によって最終作となってしまったのが、本盤『ストールン・モーメンツ(Stolen Moments)』である。

 彼がリーダーとして吹き込みを始めたのは1959年のことだったが、1950年代のその経歴は興味深い。1952年に兵役で海兵隊に入り、日本や朝鮮で演奏したというから、ちょうど日本は戦後復興、朝鮮半島では朝鮮戦争の時期に来て、軍の音楽隊にいたということになる。日本で東京フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴く機会があり(本人曰く、故郷のセント・ルイスでは黒人がこうしたコンサートに行くことはできなかったので、これが初めてだった)、作曲家になろうと目覚めたという。帰国後は大学・大学院で音楽理論を学び、その後に一連のレコーディングが始まったというわけだ。

 最後の吹込みとなった本盤『ストールン・モーメンツ(Stolen Moments)』も、自らのアルト・サックスの演奏に加え、アレンジャーもしくは全体の“指揮者”としての才能が余すところなく披露されている。ジェローム・リチャードソン(ソプラノ・サックスほか)やシェリー・マン(ドラム)を含む9人編成での演奏で、管楽器のアンサンブルを巧みにまとめていて、さながらオーケストラを率いているかのような迫力すら感じさせる。

 注目の演奏としては、代表曲として名があげられることも多い1.「ストールン・モーメンツ」が冒頭に収められている。この演奏は『ブルースの真実(Blues And The Abstract Truth)』で披露されたものの再演だけれども、本盤の演奏ではテンポがやや軽快になり、音の面ではオーケストレーション的な比重を高めた演奏になっている。これ以外で個人的に注目したいのは、2.「セント・トーマス」と7.「ストレート・ノー・チェイサー」。前者はソニー・ロリンズ( 参考過去記事 )、後者はセロニアス・モンクの有名なナンバー。7.の方はモンク自身の盤でもアレンジの経験( 過去記事 )があるが、本盤ではさらに高速でかつあっという間(収録時間はたった39秒!)に終わるという、なかなか面白い収められ方をしている。


[収録曲]

1. Stolen Moments
2. St. Thomas
3. Three Seconds
4. Mission Accomplished
5. Midnight Blue
6. Yearnin'
7. Straight, No Chaser


[パーソネル、録音]

Oliver Nelson (as, arr, conductor)
Bobby Bryant (tp, flh)
Jerome Richardson (ss, piccolo, fl)
Bobby Bryant Jr., Buddy Collette (ts, fl)
Jack Nimitz (bs)
Mike Wofford (elp, p)
Chuck Domanico (elb)
Shelly Manne (ds)

1975年3月6日録音。




 ​
CD/ストールン・モーメンツ (完全生産限定盤)/オリヴァー・ネルソン/UCCJ-9144




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Last updated  2018年03月17日 22時22分31秒
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