音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年07月15日
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テーマ: 洋楽(3407)
オリジナル・メンバー、14年ぶり復帰の世紀末盤


 ある意味、なかなかTOTOらしい1枚だと思うのが、この『マインドフィールズ(Mindfields)』というアルバム。作品自体は1999年のものだから、ドラムのジェフ・ポーカロは既に事故で無くなった(1992年)後だし、バンドがデビューした70年代後半から80年代にかけてがバンドの絶頂期だったというのも事実である。そんなわけで、代表盤とはならないであろう作品なのは確かなのだけれど、個人的には意外と気に入っているアルバムだったりする。

 さて、本盤では、オリジナル・メンバーだったヴォーカリストのボビー・キンボール(1984年の『アイソレーション』制作中に脱退)が15年近いブランクからバンドに復活している。もちろん、ヴォーカルが復帰したからといって、すぐさま初期のTOTOらしさが取り戻されるわけではない。けれども、実際にアルバムを聴くと、やっぱり“TOTOらしい”のである。そこが本盤の不思議かついちばんの魅力なのかもしれない。

 冒頭はルカサーがヴォーカルの1.「アフター・ユーヴ・ゴーン」で始まるが、この辺は本盤の直近の流れを意識してのものなのかもしれない。続くキンボールのヴォーカルによる2.「ミステリアス・ウェイズ」からが、上で述べた“TOTOらしさ”が耳につき始める。曲が進むにつれ、当時のTOTOの音楽に80年代風のエッセンスが混じりあったようなヴァリエーションにとんだ曲が展開されていく。上記1.のシタール風のフレーズがるかと思えば、レゲエ風のリズムもある。ジャム・セッション風の演奏があるかと思えば、ドラマチック風バラードもある。70分超の長編だけれど、決して単調になることなく、様々な面を見せていく曲と演奏が変化に富んでいる。

 そんなわけで、実のところ、冒頭に書いた“TOTOらしさ”というのは、ひとえにキンボールの復帰のみによるのではないように思えてくる。彼のメンバー復帰はその要素の一つであり、結局は昔からの彼らの器用さ、つまりはいろんなことができるキャパシティがその復帰で刺激されたことによるとでも説明したほうがいいのかもしれない。

 最後に少しだけ、個人的な趣味でお気に入りを挙げると、上記1.、2.に加え、8.「ラスト・ラヴ」、10.「ワン・ロード」、パート1~パート3まであわせて8分近い13.「ベター・ワールド」もいい。ついでながら、日本盤のボーナス曲となっている14.「スパニッシュ・ステップス・オブ・ローマ」も結構好きなのだけれど、残念ながら正規のアルバム収録曲にはカウントされていない。完成度は高いと思うのだけれど、他の楽曲との組み合わせ上の理由や全体の雰囲気との整合性の問題だったのだろうか。


[収録曲]

1. After You've Gone
2. Mysterious Ways
3. Mindfields
4. High Price of Hate
5. Selfish
6. No Love
7. Caught in the Balance
8. Last Love
9. Mad About You
10. One Road
11. Melanie
12. Cruel
13. Better World Parts I, II & III
14. Spanish Steps of Rome ←ボーナス・トラック

1999年リリース。




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Last updated  2018年07月15日 16時18分09秒
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