音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年08月11日
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スタイルが定まったサード盤


 若きニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)が中心となって1971年にデビューしたバンド、グリン(Grin)のサード作が、1973年リリースの『オール・アウト(All Out)』である。

 以前の2作(参考過去記事: デビュー盤 第2作 )との大きな違いは、ボブ・ゴードン、ボブ・バーバリッチに加えて、4人目のメンバーが追加された点だろう。リズム・ギターとして加わったトム・ロフグレンがその人で、ニルスの実弟である。彼が加わったことで、ニルス一人のギターではできなかった様々なことが可能になり、バンドの演奏の幅が広がることになった(ついでながら、兄弟でピッキングを入れ替えてお互いのギターを弾くなんて言うライヴ・パフォーマンスも生み出されることになった)。

 全体としては前作までにやってきた音楽のスタイルがしっかりと固まってきたことがよくわかる演奏内容に仕上がっている。ややハードなロック調のナンバーから、メロウでソフト・ロック的なナンバーまで含まれていて、彼らの色、“グリンらしさ”は、ここに至って完全に確立されていると言えるように思う。ジャケット・デザインもそんな自覚がどこかにあったのかもしれないと思えるもので、バンド名のグリン(ニヤッと笑う)を表す口元のデザイン。つまりは、ジャケットの絵そのものがバンド名を表すという、セルフ・タイトル盤ならぬセルフ・ジャケット盤(?)になっている。余談ながら、LP時代にはこの口元が仕掛けジャケットになっていて、めくると中には“All Out”と記されていたのだとか(残念ながら、筆者はCDしか所有したことがないので見たことはない)。

 本盤収録曲のうちぜひとも聴き逃せないのは、9.「オール・アウト」。グリンのキャリア上、 「ライク・レイン」 と並ぶ名曲で、ボブ・バーバリッチとニルス・ロフグレンのヴォーカルによるスロウ・ナンバー。1.「サッド・レター」とシングルにもなった6.「ラヴ・オア・エルス」で、前者は上記9.と並んで本盤の中では特にメロウなナンバー。後者はロックらしさを保ちながらもキャッチ―な仕上がりで、2009年のリイシュー(筆者は未入手)では、ボーナス・トラックとしてシングル・ヴァージョンも収められている。他方、ハードにしっかりとロックしているナンバーとしては、2.「ヘヴィ・シェヴィ」と5.「シー・エイント・ライト」が特におすすめ。

 結局のところ、以前書いたことの繰り返しのようになってしまうのだけれど、十分な人気を得られずに消えたこのグリンというバンド。小粒ながらしっかりとそのスタイルを確立していった彼らの楽曲と演奏は、いまさらながら、再評価がもっと進んでもいいような気がする。


[収録曲]

1. Sad Letter
2. Heavy Chevy
3. Don't Be Long
4. Love Again
5. She Ain't Right
6. Love or Else
7. Ain't Love Nice
8. Heart on Fire
9. All Out
10. Rusty Gun

1973年リリース。



 ↓ファーストからサードまでを一纏めにした盤のようです↓
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Last updated  2019年08月11日 09時00分09秒
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