音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2020年11月02日
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テーマ: 洋楽(3407)
1977年、ドイツでのライヴ盤


 トム・ウェイツ(Tom Waits)のスタイルは年代と共に変化していったが、1970年代の“弾き語り詩人”的なパフォーマンスは多くの人たちを魅了してきた。筆者もそれに憑りつかれた一人である。もともと初期のライヴ盤としては、1975年の 『娼婦たちの晩餐』 があったが、この1977年のドイツでのライヴ盤は、どうやらブートレグとして出回っていたものが一般に出回ったものということのようである(正式リリースではないみたいだけれど、音質はちゃんとしたものである)。

 ジャジーな演奏、しゃがれた声、自由なマイク・パフォーマンス…とこの当時のトム・ウェイツのいい部分がそのまんまにしっかりと収められているライヴ盤である。彼のデビューから、 『土曜の夜』 や『ブルー・ヴァレンタイン』などを経て、 『ハートアタック・アンド・ヴァイン』 までの辺りを好きな人にはぴったりはまる盤ではないかと思う。

 個人的な独断と偏見で好みの演奏を何曲か挙げておきたい。1.「スペア・パーツ」は上記の名ライヴ盤『娼婦たちの晩餐』でも重要な役どころだったナンバー。4.「ピアノが酔っちまった」は、 『スモール・チェンジ』 の所収曲で、表題からして“酔いどれ”な感じだが、歌詞にもあるように、元々のタイトルには、末尾に“(Not Me)”とあり、正確には「ピアノが酔っちまった(俺ではなくて)」というもの。いくつもの曲に言えることだけれど、10.「エモーショナル・ウェザー・リポート」なんかに見られるように、自由でインプロヴィゼーショナルな雰囲気がいい。 『土曜の夜』 所収の12.「ニュー・コート・オブ・ペイント」を聴いてもわかるように、アルバムの演奏の再現という気は、おそらくはさらさらなくて、その場の雰囲気の方がはるかに重視されて演奏されたというのが、このライヴ感を醸し出す最大の源になっていたのだろうと思う。

 それにしても、この辺の時期まで(厳密には1980年の『ハートアタック・アンド・ヴァイン』までというのが最も適切かと思う)のトム・ウェイツの演奏は、本当に“酒場”に似合う音楽だった。その酒場というのは、静かで小さなバーだったり、猥雑な雰囲気のする酒場そのものであったり、広いスペースで酒が提供されている場所だったりと様々なものを含む意味で言っているのだけれど、1970年代に本当にそういう場で一杯いただいてみたかった。まあこのトム・ウェイツの演奏の時点で筆者は未成年で、日本の外にも行ったこともなかったわけで、どだい無理な話ではあったのだけれど(笑)。


[収録曲]

1. Spare Parts
2. Invitation to the Blues
3. Depot, Depot
4. The Piano Has Been Drinking
5. Pasties & A G-String
6. Step Right Up
7. Semi Suite
8. Fumblin' with The Blues
9. Midnight Lullaby
10. Emotional Weather Report
11. I Can't Wait to Get off Work
12. New Cort of Paint
13. Nobody but You
14. Diamonds on My Windshield
15. Everytime I Hear the Melody
16. The One that Got Away

2008年リリース(1977年録音)。




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Last updated  2020年11月02日 20時08分18秒
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